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明細書 :センシングシステム

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第6095201号 (P6095201)
公開番号 特開2014-059198 (P2014-059198A)
登録日 平成29年2月24日(2017.2.24)
発行日 平成29年3月15日(2017.3.15)
公開日 平成26年4月3日(2014.4.3)
発明の名称または考案の名称 センシングシステム
国際特許分類 G01B   7/14        (2006.01)
G01R  33/02        (2006.01)
G05F   1/13        (2006.01)
FI G01B 7/14
G01R 33/02 B
G05F 1/13
請求項の数または発明の数 3
全頁数 9
出願番号 特願2012-203990 (P2012-203990)
出願日 平成24年9月18日(2012.9.18)
審査請求日 平成27年7月13日(2015.7.13)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504180239
【氏名又は名称】国立大学法人信州大学
発明者または考案者 【氏名】水野 勉
【氏名】雨宮 永宜
審査官 【審査官】神谷 健一
参考文献・文献 特開2012-093160(JP,A)
特開2001-238372(JP,A)
特開2005-257369(JP,A)
特開2001-024413(JP,A)
特開2012-010546(JP,A)
特開2012-060609(JP,A)
中村 壮亮,胡間 遼,久保田 孝,橋本 秀紀,磁界共振結合を用いた距離センサの提案とその誤差評価,電気学会論文誌D(産業応用部門誌),日本,社団法人電気学会,2012年 3月 1日,Vol. 132, No. 3,pp. 437-444,DOI: 10.1541/ieejias.132.437
調査した分野 A61B 5/00- 5/01
G01B 7/00- 7/34
G01R 33/00-33/20
G01R 33/24
G01R 33/26
G01S 7/00- 7/42
G01S 13/00-13/95
G05F 1/12- 1/44
G05F 1/45- 7/00
G06K 17/00
G08C 13/00-25/04
特許請求の範囲 【請求項1】
電源と、該電源に接続された送信コイルと、受信コイルとを備えるセンシングシステムであって、
前記送信コイルと前記受信コイルとの間の距離の変化にともなって変動するパラメータを検出する検出回路と、
前記送信コイルに接続されたスイッチ付整合回路と、前記受信コイルに接続されたスイッチ付整合回路とを備え、
前記送信コイルに接続されたスイッチ付整合回路と、前記受信コイルに接続されたスイッチ付整合回路は、前記送信コイルと受信コイルとの距離L、送信コイルと受信コイルの内径dの比(L/d)に基づいて整合条件が異なる複数の値を設定した複数のスイッチ付整合回路からなり、
前記検出回路により前記送信コイルと受信コイルとの間の距離を特定する際に、前記スイッチ付整合回路を使用する状態と、使用しない状態とに切り替えて使用するとともに、前記スイッチ付整合回路を使用する際に、前記異なる整合条件を備えるスイッチ付整合回路から測定レンジに合わせてスイッチ付整合回路を選択して使用することを特徴とするセンシングシステム。
【請求項2】
前記検出回路として出力電圧測定回路を使用し、該出力電圧測定回路の出力電圧を検出して、前記送信コイルと受信コイルとの間の距離を特定することを特徴とする請求項1記載のセンシングシステム。
【請求項3】
前記出力電圧測定回路を双方向結合器とし、反射係数をパラメータとして、前記送信コイルと受信コイルとの間の距離を特定することを特徴とする請求項記載のセンシングシステム。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁界を利用して送信コイルと受信コイルの相互の位置関係を検知するセンシングシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
電磁界を用いた距離センサは、構成が簡単で安価であることや、測定物に対する周辺物体による遮蔽といった環境変化に強いことから、研究・開発が盛んに行われている。
電磁界を用いた距離センサには、電磁波を用いる方式や電磁的な結合を用いる方式がある。電磁的な結合を用いる距離センサは、距離に対する電磁エネルギーの減衰が激しいために長距離化が困難である。そのために、電磁的な結合と共振現象の同時発生を利用する距離センサが検討されている(非特許文献1、2)。
【0003】
磁界共振結合を用いてセンシング対象の位置や姿勢を特定するセンシング技術としては、複数の送信アンテナを備え、電源から送信アンテナに出力される電力に対する受信アンテナに伝達されずに電源に還る電力の反射係数に基づいて、受信アンテナの位置や姿勢を特定する方法が提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【0004】

【特許文献1】特開2012-93160号公報
【0005】

【非特許文献1】G.Pirkl,K.Stockinger,and P.Lukowicz:“Adapting Magnetic ResonantCoupling Based Relative Positioning Technology for Wearable ActivityRecognition”,Proc. IEEE Symposium on Wearable Computers,pp.47-54(2008)
【非特許文献2】中村壮亮、胡間遼、久保田孝、橋本秀紀:「磁界共振結合を用いた距離センサの提案とその誤差評価」,電気学会論文誌D,Vol.132,No.3 pp.437-444(2011)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
磁界共振結合を利用した距離センサには、受信機側で発生する誘起電圧を測定して距離を算出する方法と、送信機側の入力インピーダンスや反射係数から距離を算出する方法がある。後者は、受信機側に測定機器や通信機器を接続する必要がないため、受信機側の小型化と長期間の運用におけるメンテナンスフリーの観点から有用である。
しかしながら、送信機側で入力インピーダンスや反射係数の変動を検知して距離を検知する方法では、長距離での距離の検出ができないという問題があった。
【0007】
本発明は、送信コイルと受信コイルを利用して距離をセンシングする方法に関するものであり、より長距離でのセンシングを可能にするセンシングシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るセンシングシステムは、電源と、該電源に接続さ 電源と、該電源に接続された送信コイルと、受信コイルとを備えるセンシングシステムであって、前記送信コイルと前記受信コイルとの間の距離の変化にともなって変動するパラメータを検出する検出回路と、前記送信コイルに接続されたスイッチ付整合回路と、前記受信コイルに接続されたスイッチ付整合回路とを備え、前記送信コイルに接続されたスイッチ付整合回路と、前記受信コイルに接続されたスイッチ付整合回路は、前記送信コイルと受信コイルとの距離L、送信コイルと受信コイルの内径dの比(L/d)に基づいて整合条件が異なる複数の値を設定した複数のスイッチ付整合回路からなり、前記検出回路により前記送信コイルと受信コイルとの間の距離を特定する際に、前記スイッチ付整合回路を使用する状態と、使用しない状態とに切り替えて使用するとともに、前記スイッチ付整合回路を使用する際に、前記異なる整合条件を備えるスイッチ付整合回路から測定レンジに合わせてスイッチ付整合回路を選択して使用することを特徴とする。
【0009】
イッチ付整合回路を上記のように切り替えながら組み合わせて使用することにより、単に整合回路を備えるセンシングシステムと比較して、より広範囲(長距離)での測定が可能になる。
【0010】
また、前記検出回路として出力電圧測定回路を使用し、該出力電圧測定回路の出力電圧を検出して、前記送信コイルと受信コイルとの間の距離を特定する構成とすることも可能であり、前記出力電圧測定回路を双方向結合器とし、反射係数をパラメータとして、前記送信コイルと受信コイルとの間の距離を特定することも可能である。反射係数をパラメータとして距離を特定する方法の場合は、送信コイルから受信コイルに電力を供給しながら送信コイルと受信コイルとの位置関係を検知することができるという利点がある。
なお、検出回路により検出するパラメータ(測定値)としては、前記出力電圧に限らず、入力インピーダンス、抵抗、インダクタンス、位相差等の適宜物理量を対象とすることができる。
【0011】
また、前記送信コイルと受信コイルは、それぞれ単一のコイルとして、相互間の距離を検知するように設定することもできるし、送信コイルを、所定間隔をあけて複数個配置する設定とすることにより、送信コイルと受信コイルとの離間間隔(距離)に加えて、受信コイルの向き(姿勢)を検知することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係るセンシングシステムによれば、送信コイルおよび受信コイルにそれぞれスイッチ付整合回路を設け、スイッチ付整合回路を選択使用することにより、単に電磁界共振結合させる条件による測定方法と比較して、より広い範囲にわたって送信コイルと受信コイルとの位置関係を特定することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】センシングシステムの構成例を示すブロック図である。
【図2】センシングシステムの等価回路の例を示す図である。
【図3】送受信コイル間の距離とコイルの内径との比(L/d)と、出力電圧との関係を示すグラフである。
【図4】反射係数により距離を特定する際に用いる回路例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は、本発明に係るセンシングシステムの一実施形態の構成を示す。本実施形態のセンシングシステム1は、磁界共振結合を利用して、送信コイルと受信コイルとの間の距離を検出するものであり、送信コイル3を備える送信器と、受信コイル4を備える受信器とから構成される。なお、送信コイル3と受信コイル4は同軸上に配置される必要はなく、コイル面が互いに平行である必要もない。
送信器は、送信コイル3と受信コイル4との離間距離(相互の位置関係)を検出する検出装置2を備え、検出装置2は、電源5、検出回路6、スイッチ付送信側整合回路8を備える。受信器は、スイッチ付受信側整合回路9を備える。

【0015】
検出装置2の電源5、検出装置6、スイッチ付送信側整合回路8は、コネクタ10を備える筐体中に収納され、スイッチ付送信側整合回路8とコネクタ10とが電気的に接続され、コネクタ10と送信コイル3とが電気的に接続されている。
また、受信器の受信コイル4は、スイッチ付受信側整合回路9と電気的に接続されている。

【0016】
検出装置2が備える検出回路6は、送信コイル3と受信コイル4との相互の位置関係を検出するための回路であり、測定対象とするパラメータによって種々の回路構成とすることが可能である。本実施形態においては、検出回路6を、ブリッジ回路や発振回路を含む出力電圧測定回路として構成し、ブリッジ回路の出力電圧を測定して送信コイル3と受信コイル4の位置関係を検出している。
スイッチ付送信側整合回路8及びスイッチ付受信側整合回路9は、電源5の内部インピーダンスZoや、負荷インピーダンスZLと整合をとるために設けた整合回路であり、本発明は、整合回路を選択して切り替えるスイッチを備えることが特徴的である。スイッチの切り替え機能は、送信コイル3と受信コイル4との間の距離の測定におけるセンシングレンジを変更する作用を有する。

【0017】
図2はセンシングシステム1の等価回路の例を示す。
送信側回路12は、電源5と、ブリッジ回路11と、スイッチ付送信側整合回路8と、送信側共振用コンデンサCr1(キャパシタンスの値は、Cr1)と、送信コイル3を備える。
受信側回路13は、受信コイル4と、受信側共振用コンデンサCr2(キャパシタンスの値は、Cr2)と、スイッチ付受信側整合回路9と、負荷インピーダンスZL(インピーダンスの値はZL)とを備える。

【0018】
なお、電源E(電圧の値は、E、周波数の値はf)、内部インピーダンスZo(内部インピーダンスの値はZo)、ブリッジ回路11のパラメータZ1(インピーダンスはZ1)、Z3(インピーダンスはZ3)、Z4(インピーダンスはZ4)、スイッチ付送信側整合回路8のインダクタLm1(インダクタンスはLm1)、キャパシタCm1(キャパシタンスはCm1)、送信コイル3の抵抗R1(抵抗の値は、R1)、インダクタL1(インダクタンスはL1)、キャパシタC1(キャパシタンスはC1)である。
また、受信コイル4の抵抗R2(抵抗の値は、R2)、インダクタL2(インダクタンスはL2)、キャパシタC2(キャパシタンスはC2)、スイッチ付受信側整合回路9のインダクタLm2(インダクタンスはLm2)、キャパシタCm2(キャパシタンスはCm2)、である。

【0019】
また、スイッチSW1とSW4は、整合を行わない際にスイッチをONとする。また、スイッチSW2とSW3は、送信側整合を行う際に同時にスイッチをONとする。さらに、スイッチSW5とSW6は、受信側整合を行う際に同時にスイッチをONとする。本実施形態では、整合回路をスイッチにより切り替えることにより、センシングレンジの変更を行っている。また、インダクタL1とL2との間の相互インダクタンスの値はMであることとする。
本実施形態では、送信コイル3と受信コイル4とは磁界共振結合されている。また、本実施形態では、送信側回路12と受信側回路13とは、共振周波数が同じになるように設計されている。

【0020】
図3は、出力電圧測定回路の出力電圧に基づいて距離を特定する際の、送信コイル3と受信コイル4との間の距離Lと、コイルの内径dとの比(L/d)と、出力電圧との関係を示す。検出できる送受信コイル間の距離Lは、コイルの内径dに依存するために、グラフの横軸を送受信コイル間の距離Lとコイルの内径との比(L/d)としている。
なお、図3は、送信コイル3と受信コイル4とが同軸上に配置され、相互にコイル面が平行であると仮定して求めたものである。

【0021】
図3では、周波数の値を13.56MHz、電圧Eの値を1 V、送信コイル3および受信コイル4に用いた導線の導体径を450μm、内径d = 36mm、巻数を8とし、スイッチ付送信側整合回路8とスイッチ付受信側整合回路9とをあらかじめ整合させる位置を、L/d = 1、2と設定した場合と、整合させない条件とした場合を示す。
スイッチ付送信側整合回路8とスイッチ付受信側整合回路9とを整合させる位置(条件)は、L/d = 1、2とする場合に限られるものではなく、L/d = 3、4のように2以上の値に設定したり、L/d =1.5、1.8、2.5等の整数値以外の値に設定したりすることもできる。あらかじめ設定するL/d の値は、距離等の測定の感度や測定レンジによって選択すればよい。

【0022】
本実施形態の送信側回路12と受信側回路13について、スイッチ付送信側整合回路8とスイッチ付受信側整合回路9の整合を行わない設定としては、送信側の共振用コンデンサCr1= 31 pF、受信側の共振用コンデンサCr2= 31 pF、ブリッジ回路11のパラメータZ1=47Ω、Z3=680Ω、Z4=4.7Ω、負荷ZL=50Ωとした。図3における整合なしのグラフは、この設定の場合における、L/dに対する出力電圧を示す。

【0023】
L/d = 1とする設定としては、スイッチ付送信側整合回路8のインダクタンスを312 nH、キャパシタンスを396 pF、スイッチ付受信側整合回路9のインダクタンスを318 nH、キャパシタンスを439 pFとした。図3では、両側整合時(V,L/d = 1)のグラフとして示す。
L/d = 2とする設定としては、スイッチ付送信側整合回路8のインダクタンスを210 nH、キャパシタンスを908 pF、スイッチ付受信側整合回路9のインダクタンスを170 nH、キャパシタンスを901 pFとした。図3では、両側整合時(V,L/d = 2)のグラフとして示す。

【0024】
図3において、整合なしとしたのは、図2に示したSW1とSW4をON、SW2とSW3及びSW5とSW6をOFFとした場合である。このときは、図3に示すように、横軸がL/d = 0から1の範囲については出力電圧が顕著に変化する一方、L/d = 1を超えると出力電圧はほとんど変化しなくなる。このことから、整合なしとした条件下においては、L/d = 0から1の範囲について、出力電圧測定回路の出力電圧を検知することにより効果的に距離センシングが可能であるということができる。

【0025】
また、送信側と受信側の双方を整合させる両側整合時(整合条件:L/d = 1)においては、図2に示したSW1とSW4をOFFとし、SW2とSW3及びSW5とSW6をONとすることにより、図3に示すように、横軸がL/d=1から1.5までの範囲において、出力電圧が顕著に変動することから、このL/d=1から1.5の範囲において効果的に距離センシングが可能であることがわかる。
さらに、両側整合時(整合条件:L/d = 2)においては、図2に示したSW1とSW4をOFFとし、SW2とSW3及びSW5とSW6をONとすることにより、横軸がL/d = 1.5から2の範囲において、出力電圧の変動幅が大きくなり、このL/d = 1.5から2の範囲において効果的に距離センシングが可能であることがわかる。

【0026】
上述したように、本実施形態のセンシングシステムによれば、送信側と受信側の整合回路をスイッチにより切り替えて、整合条件を選択するだけで、L/d = 0から2の測定範囲といったように、より広い範囲にわたっての距離センシングが可能になる。すなわち、磁界共振結合させる条件に従って距離をセンシングする場合に、単に整合条件を設定するのみでは距離センシングできる範囲が限定されるのに対し、上述したように整合条件を組み合わせて整合条件を切り替えるようにすれば、より広い範囲での測定が可能になる。また、整合しない条件についても選択できるようにすれば、磁界共振結合させる条件の場合にはセンシング感度が低いL/d = 0から1の測定範囲についても高感度で測定できるという利点がある。これらの切り替え操作が、単なるスイッチング操作によってできる点も有効である。

【0027】
なお、上記実施形態のように、整合なし、整合条件L/d =1、整合条件L/d = 2の条件に切り替えて使用する場合は、整合条件L/d =1と整合条件L/d = 2とする検出回路を個別に設けておき、スイッチ操作によって、整合なし、整合条件L/d =1、整合条件L/d = 2を選択して切り替えればよい。整合なしと整合条件L/d =1、2との切り替えは単なるスイッチング回路で済ますことができる。スイッチ付整合回路と称しているのはこの意味である。

【0028】
前述したように、スイッチ付送信側整合回路8とスイッチ付受信側回路9の整合条件は、L/d =1、2の設定に限定されるものではない。したがって、L/d =1、2以外の整合条件としたスイッチ付整合回路をさらに別に用意して、3個以上のスイッチ付整合回路間で切り替えて測定することも可能である。これらの設定は、測定内容、用途等に応じて適宜選択することが可能である。

【0029】
なお、上記実施形態においては、送信側と受信側の双方にそれぞれ、スイッチ付送信側整合回路8とスイッチ付受信側整合回路9を設ける構成としたが、送信コイル3と受信コイル4のいずれか一方のみに整合回路を設ける構成とすることも可能である。
また、送信側の整合回路と、受信側の整合回路の整合条件を同一の条件に設定しなければならないという訳ではない。例えば、スイッチ付送信側整合回路8の整合条件をL/d =1とし、スイッチ付受信側整合回路9の整合条件をL/d =2と設定するといった設定も可能である。また、送信側については、整合条件が異なる複数の整合回路を設けて整合条件を選択可能とする一方、受信側については、整合条件を固定して整合なしと整合ありの二条件のみを切り替え可能にするといった設定も可能である。

【0030】
図4は、反射係数により距離を推定する際に用いる検出回路6の回路構成の一例を示す。図4に示すように、双方向性結合器14によって反射係数を測定する。FWDとGND1は図2における電源5に接続されており、電力が供給される。電源5から供給された電力の一部は、負荷15に接続された端子a1から取り出される。また、TRとGND2は送信コイル3に接続されており、反射された電力の一部は、負荷16に接続された端子b1から取り出される。
この反射係数を利用して距離を推定する方法によれば、a1とb1から取り出された電力の比によって距離を特定することができる。反射係数を利用する方法は、送信コイル3から受信コイル4へ効率的に電力を供給しながら、受信コイル4の位置情報を得ることができるという利点がある。この方法は、受信コイル4へ電力を供給しながら位置測定するといった用途にとくに有効に利用することができる。

【0031】
また、上述した実施形態は検出回路6として出力電圧測定回路を構成し、入力インピーダンスを出力電圧に変換して距離をセンシングした。送信コイル3と受信コイル4との距離が変動することによって検知できるパラメータは、入力インピーダンスの変化に伴う出力電圧に限るものではない。送信コイル3と受信コイル4との位置関係の変化に起因するパラメータであれば、抵抗、インダクタンス、位相差等の適宜物理量を測定対象として観測することにより、送信コイル3と受信コイル4との間の距離をセンシングすることができる。
また、例えば、検出回路6において、反射係数の代わりに、進行波の電力と反射波の電力とに関わるパラメータ(具体的には、例えば、定在波比やS11パラメータ)を出力電圧として送信コイル3と受信コイル4との距離等の位置関係を検出することもできる。

【0032】
なお、送信コイル3と受信コイル4のコイルの形状、大きさ、パターンはとくに限定されるものではなく、ヘリカルコイルやワンターンコイルを利用することができる。また、送信コイル3と受信コイル4とは磁界結合によって結合される場合に限らず、電界結合によって結合されている場合もまったく同様に適用される。この電界結合による場合も、図2に示した図と同様の等価回路が適用できる。

【0033】
上記実施形態のセンシング装置は、単一の送信コイル3と単一の受信コイル4を備えたものである。単一の送信コイルと受信コイルを用いる場合は、相互間の距離を検知することができるが、送信コイルと受信コイルとの位置関係をさらに詳細に検知するには、複数個の送信コイルを所定間隔をおいて配置し、それぞれの送信コイルと受信コイルとの位置関係をセンシングすればよい。図1では、検出装置2に一つの送信コイル3を接続したが、送信コイルを複数個配置する場合は、それぞれの送信コイル3と検出装置2とを個別に接続し、それぞれの送信コイル3と受信コイル4との位置関係を検出すればよい。この方法によれば、受信コイル4の向き(姿勢)を含めた距離情報を得ることができる。
【符号の説明】
【0034】
1 センシングシステム
2 検出装置
3 送信コイル
4 受信コイル
5 電源
6 検出回路
8 スイッチ付送信側整合回路
9 スイッチ付受信側整合回路
10 コネクタ
11 ブリッジ回路
12 送信側回路
13 受信側回路
14 双方向性結合器
15、16 負荷
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3