TOP > 国内特許検索 > スイング動作を伴う運動における張力測定イメージング装置 > 明細書

明細書 :スイング動作を伴う運動における張力測定イメージング装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5704568号 (P5704568)
公開番号 特開2013-066541 (P2013-066541A)
登録日 平成27年3月6日(2015.3.6)
発行日 平成27年4月22日(2015.4.22)
公開日 平成25年4月18日(2013.4.18)
発明の名称または考案の名称 スイング動作を伴う運動における張力測定イメージング装置
国際特許分類 A63B  69/00        (2006.01)
A63B  65/04        (2006.01)
A63B  71/06        (2006.01)
FI A63B 69/00 C
A63B 65/04
A63B 71/06 Z
請求項の数または発明の数 9
全頁数 15
出願番号 特願2011-205982 (P2011-205982)
出願日 平成23年9月21日(2011.9.21)
審査請求日 平成25年12月12日(2013.12.12)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】505425328
【氏名又は名称】国立大学法人鹿屋体育大学
発明者または考案者 【氏名】瓜田 吉久
【氏名】津浦 洋一
【氏名】福田 正和
【氏名】井上 朱美
個別代理人の代理人 【識別番号】100133271、【弁理士】、【氏名又は名称】東 和博
【識別番号】100099645、【弁理士】、【氏名又は名称】山本 晃司
審査官 【審査官】鶴岡 直樹
参考文献・文献 特開2001-129145(JP,A)
特開2004-129687(JP,A)
特開平05-115585(JP,A)
特開平07-248723(JP,A)
特開2007-319668(JP,A)
特開2006-133180(JP,A)
特開2008-079917(JP,A)
特開平09-215807(JP,A)
特開2001-224725(JP,A)
調査した分野 A63B 69/00
A63B 65/04
A63B 71/06
特許請求の範囲 【請求項1】
スイング動作を行う運動において、被験者のスイング動作時に被験者の手に把持されたスイング体の軸部に生じる張力を測定し、被験者の聴覚または視覚を通じて測定結果を被験者がイメージングする張力測定イメージング装置であって、
前記スイング体がハンマー投げに用いるワイヤー付きハンマーであり、
前記ワイヤーの表面に接着され、被験者のターン動作時にワイヤーに生じる張力の大きさを電圧差として測定するひずみゲージと、
被験者の腕部に装着され、ひずみゲージにより測定された電圧差の測定データをシリアル信号に変換し、無線送信する測定データ送信手段と、
測定データ送信手段から無線送信されたシリアル信号を受信し、受信されたシリアル信号から音発生用パルス信号およびデータ収集用パルス信号にそれぞれ変換処理する測定データ受信およびパルス変換処理手段と、
変換処理された音発生用パルス信号に基づき音を発生させる音発生手段と、
変換処理されたデータ収集用パルス信号を収集保存するデータ収集保存手段
を有することを特徴とする張力測定イメージング装置。
【請求項2】
音発生用パルス信号が、受信されたシリアル信号から、測定された電圧差に比例する周波数のパルスに変調して得られることを特徴とする、請求項1記載の張力測定イメージング装置。
【請求項3】
データ収集用パルス信号が、受信されたシリアル信号から、測定された電圧差に基づき決定されるデューティー比に従う幅のパルスに変調して得られることを特徴とする、請求項1または請求項2記載の張力測定イメージング装置。
【請求項4】
ひずみゲージが、前記ワイヤーの表面の周方向相対する位置に一対接着されることを特徴とする、請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の張力測定メージング装置。
【請求項5】
ひずみゲージが、円形断面の前記ワイヤーの湾曲表面に沿って湾曲状態に接着されることを特徴とする、請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の張力測定イメージング装置。
【請求項6】
ひずみゲージから延びるリード線を前記ワイヤーの長手方向に沿ってZ字状に屈曲させて延在させることを特徴とする、請求項1ないし請求項7のいずれか一項に記載の張力測定イメージング装置。
【請求項7】
ひずみゲージから測定データ送信手段に延びるリード線の途中に、ひずみゲージ側のリード線と測定データ送信手段側のリード線を互いに接続および互いに離間可能な接続カプラーが介在され、当該接続カプラーは、スイング体の投擲動作に従ってひずみゲージ側のリード線と測定データ送信手段側のリード線を互いに離間可能とされていることを特徴とする、請求項1ないし請求項6のいずれか一項に記載の張力測定イメージング装置。
【請求項8】
身体の一部に、ひずみゲージにより測定された電圧差の測定データを、電圧差に比例した周波数のパルスに変調し、生成したパルス信号から音信号を発生させる第2の音発生手段を有することを特徴とする、請求項1ないし請求項7のいずれか一項に記載の張力測定イメージング装置。
【請求項9】
測定データ送信手段から受信された最初のシリアル信号により作動する発光器と、発光器からの受光により被験者のターン動作の映像が同期可能とされている撮像手段を有することを特徴とする、請求項1ないし請求項8のいずれか一項に記載の張力測定イメージング装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、スイング動作を伴う運動、特にハンマー投げ競技において、被験者のターン動作時のワイヤーに生じる張力を測定し、また、同張力の差を音の差に変換して被験者にフィードバックし、被験者がハンマーの回転速度をリアルタイムにイメージングできる、張力測定イメージング装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
スイング動作を伴う運動としてハンマー投げがある。ハンマー投げ競技は、長さ約1.2mのワイヤーの先に付けたハンマー(全体重量7.26kg)を、直径2.135mのサークル内から投擲する競技で、数回のターン動作の後にハンマーをリリースし、ハンマーが角度34.92度のラインの内側に入ったものだけが有効試技となる。通常、サークル内でのターンは3回転から4回転行われ、ハンマーヘッド部分の加速と減速を交互に繰り返し、次第にハンマーの回転速度を上げながら約40度前後の投射角でリリースする。
【0003】
ハンマー投げ競技のトレーニング機器として、ハンマーに複数の加速度計(3軸加速度計)から構成されるセンサ部を装着し、複数の加速度計から測定されたデータを基に角加速度や角速度を求め、求められた角加速度や角速度のデータを信号処理し、選手にバイオフィードバックするシステムが提案されている(非特許文献1)。
【先行技術文献】
【0004】

【非特許文献1】デサントスポーツ科学VOL.29、P108-P109要約
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記の加速度計を用いた計測システムは、ワイヤーに取り付けた3軸加速度計が、選手のターン動作において縦軸回転することが考えられ、得られた角加速度、角速度のデータが正確でないおそれがある。その場合、VF変換により競技者にバイオフィードバックされた音の発生が不規則となり、ターン動作時の回転速度のイメージを競技者が正確に得ることができない。また、複数の加速度計を実装する基板は比較的大型で重量があるため、ワイヤー部分に取り付けてハンマー投げ動作を行うと、正規のハンマー重量(合計7.26kg)よりも重くなり、選手にとってターン動作を行う際に非常に違和感が残る。さらに、ハンマー落下の際、破損する可能性が高く、繰り返し使用できない。
【0006】
一方、ハンマー投げ競技において、ハンマーを遠くまで投擲可能とする要因として直接関連するものは、ハンマーの角加速度や角速度ではなく、競技者のターン動作時にハンマーの回転中にワイヤーに生じる張力であることが分かった。つまり、ハンマーの角加速度や角速度を測定するよりも、ワイヤーに生じる張力を測定することで、ターン動作におけるハンマーの回転速度やそのイメージを被験者が正確に把握できることが分かった。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、スイング動作を伴う運動、特にハンマー投げにおいて、被験者のターン動作時にワイヤーに生じる張力を測定し、また、同張力の差を音の差に変換して被験者にフィードバックし、被験者がハンマーの回転速度をリアルタイムにかつ精度良くイメージングできる、張力測定イメージング装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために、本発明に係る張力測定イメージング装置は、
スイング動作を行う運動において、被験者のスイング動作時に被験者の手に把持されたスイング体の軸部に生じる張力を測定し、被験者の聴覚または視覚を通じて測定結果を被験者がイメージングする張力測定イメージング装置であって、
前記スイング体がハンマー投げに用いるワイヤー付きハンマーであり、
前記ワイヤーの表面に接着され、被験者のターン動作時にワイヤーに生じる張力の大きさを電圧差として測定するひずみゲージと、
被験者の腕部に装着され、ひずみゲージにより測定された電圧差の測定データをシリアル信号に変換し、無線送信する測定データ送信手段と、
測定データ送信手段から無線送信されたシリアル信号を受信し、受信されたシリアル信号から音発生用パルス信号およびデータ収集用パルス信号にそれぞれ変換処理する測定データ受信およびパルス変換処理手段と、
変換処理された音発生用パルス信号に基づき音を発生させる音発生手段と、
変換処理されたデータ収集用パルス信号を収集保存するデータ収集保存手段
を有することを最も主要な特徴とする。
【0009】
ここで、スイング動作を行う代表的な運動としてハンマー投げがある。その他、ゴルフ、バトミントン、テニスなどもスイング動作を行う運動に挙げられる。
【0011】
本発明に係る張力測定イメージング装置は、音発生用パルス信号が、受信されたシリアル信号から、測定された電圧差に比例する周波数のパルスに変調して得られることを第3の特徴とする。
【0012】
本発明に係る張力測定イメージング装置は、データ収集用パルス信号が、受信されたシリアル信号から、測定された電圧差に基づき決定されるデューティー比に従う幅のパルスに変調して得られることを第4の特徴とする。
【0013】
本発明に係る張力測定イメージング装置は、ひずみゲージが、前記ワイヤーの表面の周方向相対する位置に一対接着されることを第5の特徴とする。
【0014】
本発明に係る張力測定イメージング装置は、ひずみゲージが、円形断面の前記ワイヤーの湾曲表面に沿って湾曲状態に接着されることを第6の特徴とする。
【0015】
本発明に係る張力測定イメージング装置は、ひずみゲージから延びるリード線を前記ワイヤーの長手方向に沿ってZ字状に屈曲させて延在させることを第7の特徴とする。
【0016】
本発明に係る張力測定イメージング装置は、ひずみゲージから測定データ送信手段に延びるリード線の途中に、ひずみゲージ側のリード線と測定データ送信手段側のリード線を互いに接続および互いに離間可能な接続カプラーを介在し、当該接続カプラーは、スイング体の投擲動作に従ってひずみゲージ側のリード線と測定データ送信手段側のリード線を互いに離間させるようになっていることを第8の特徴とする。
【0017】
本発明に係る張力測定イメージング装置は、身体の一部に、ひずみゲージにより測定された電圧差の測定データを、電圧差に比例した周波数のパルスに変調し、生成したパルス信号から音信号を発生させる第2の音発生手段を有することを第9の特徴とする。
【0018】
本発明に係る張力測定イメージング装置は、測定データ送信手段から受信された最初のシリアル信号により作動する発光器と、発光器からの受光により被験者のターン動作の映像が同期可能とされている撮像手段を有することを第10の特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
以上説明したように、本発明に係る張力測定イメージング装置によると、スイング動作させるスイング体であるワイヤー付きハンマーのワイヤーの表面にひずみゲージを接着して、被験者のスイング動作時にワイヤーに生じる張力を測定することにより、スイング動作を伴う被験者の運動能力や習熟度を正確に測定でき、また、同張力の差を音の差に変換して被験者にフィードバックすることによって、被験者がスイング体の回転速度をリアルタイムに精度良くイメージングでき、それらのトレーニングを効果的に行えるという優れた効果を奏する。

【0020】
また、本発明に係る張力測定イメージング装置によると、ハンマーのワイヤーにひずみゲージを接着して、被験者のターン動作時にワイヤーに生じる張力を測定するようにしたから、被験者のハンマー投げの運動能力や習熟度を正確に把握でき、また、同張力の差を音の差に変換して被験者にフィードバックし、被験者がハンマーの回転速度をリアルタイムにかつ精度良くイメージングでき、被験者のハンマー投げのトレーニングを効果的に行えるという優れた効果を奏する。
【0021】
また、本発明に係る張力測定イメージング装置によると、ひずみゲージはハンマーのワイヤーやゴルフのシャフトなどに比べてサイズが非常に小さくかつ軽量であることから、正規のハンマー重量やゴルフクラブ重量とほとんど総重量が変わらず、したがって、被験者がターン動作やスイング動作を行う際にほとんど違和感がなく、実際のハンマー投げ競技やゴルフ競技に極めて近い状態で測定を行い、また、より実践的なトレーニングを行えるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明に係るハンマー投げ張力測定イメージング装置の一実施形態を示すもので、被験者による本装置の使用状態を示す斜視図、
【図2】ワイヤーへのひずみゲージの装着状態を示すもので(A)はその側面図、(B)平面図、
【図3】ワイヤーへのひずみゲージの装着状態を示す断面図、
【図4】本装置における測定データ送信ユニットの構成図、
【図5】本装置における測定データ受信および信号処理ユニットの構成図、
【図6】測定データ受信および信号処理ユニットにおける音発生用のPWM出力信号例で、(A)はサンプリングデータ値が小さい場合、(B)はサンプリングデータ値がより大きい場合のPWM出力信号を示す図、
【図7】音発生用パルス信号生成プログラムの例を示すサンプリングデータとPWM出力信号と発生音の関係を示す表、
【図8】測定データ受信および信号処理ユニットにおけるデータ収集用のPWM出力信号例で、(A)はサンプリングデータ値が小さい場合、(B)はサンプリングデータ値がより大きい場合のPWM出力信号を示す図、
【図9】データ収集用パルス信号生成プログラムの例を示すサンプリングデータとPWM出力信号と電圧データの関係を示す表、
【図10】被験者による本装置の使用状態を示す平面図、
【図11】本装置の使用手順を示すフロー図、
【図12】試技中に測定された電圧データを示す図、
【図13】試技中に測定された電圧データに基づく張力データを示す図、
【図14】電圧データと張力データの換算表を示す図である。

【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
次に本発明に係る張力測定イメージング装置の、最良の実施形態を、図面を参照して説明する。図1において、符号100は本発明に係るハンマー投げ張力測定イメージング装置を示している。
【0024】
ハンマー投げ張力測定イメージング装置(以下、測定装置という)100のシステム構成を最初に説明すると、本測定装置100は、図1に示すように、ひずみゲージ110と、測定データ送信ユニット120と、測定データ受信および信号処理ユニット130と、主スピーカー140と、データロガー150と、外部装置としてのパーソナルコンピュータ160と、補助スピーカー170を備えている。さらに付属装置として、同期用発光器180と、カメラ190を備えている(図10参照)。
【0025】
ひずみゲージ110は、被験者Hのターン動作に伴いワイヤーに生じる張力の大きさを電圧変化(電圧差)として測定するもので、ハンマー1を付けたワイヤー2の表面に接着されている。図2および図3にひずみゲージ110の、ワイヤー2表面への接着状態を示す。
【0026】
図2および図3に示すように、ひずみゲージ110は、長手方向を長尺なワイヤー2の軸線方向に一致させる形で、かつ、円形断面のワイヤー2の湾曲表面に沿って湾曲させる形で、ワイヤー2表面の180度相対する位置に一対のひずみゲージ110,110が、接着剤112によりそれぞれ一体に接着されている。ひずみゲージ110からワイヤー2の軸線方向に延びる2本のリード線111,111は、ワイヤー2に外装された絶縁被覆3上を、第1屈曲部111aを介して反対側に屈曲され、さらに第2屈曲部111bを介してその反対側に屈曲されている。すなわち、2本のリード線111,111は、ワイヤー2の軸線方向に沿ってZ字状に屈曲されている。2本のリード線111,111は、後述する測定データ送信ユニット120の電圧増幅部122に接続されるが、リード線111,111の途中にはハンマー1の投擲時に離間可能な接続カプラー112,112が介在されている。これにより、ターン動作後のハンマー1の投擲に伴い、ワイヤー2側のリード線111,111が接続カプラー112ごと離間し、また、ワイヤー2に生じる引張力により生じる伸びを第1および第2屈曲部111aおよび111bにより吸収し、各リード線111がひずみゲージ111から破断される事態を防止している。なお、ひずみゲージ110周辺のリード線111,111は、図示しないテープの巻回によってワイヤー2に仮固定されている。
【0027】
測定データ送信ユニット120は、ひずみゲージ110により測定された電圧差(測定データ)をシリアル信号に変換し、無線送信するもので、図1に示すように、被験者Hの腕部Aに固定バンドBにより装着されている。測定データ送信ユニット120は、図4に示すように、筐体120a内にマイコン部121と、電圧増幅部122と、信号無線送信部123と、測定開始スイッチ部124Aと、電源スイッチ部124Bと、電源部125を備えている。マイコン部121は、A/D変換部126とシリアル信号変換部127と制御部128を備えている。電圧増幅部122は、ひずみゲージ110からケーブル111を介して送信された電圧差を増幅し、A/D変換部126は増幅された電圧差をA/D変換し、シリアル信号変換部127はA/D変換された電圧差データをシリアル信号に変換するようになっている。測定開始スイッチ部124Aは、押圧操作により、ひずみゲージ110における抵抗変化に基づく電圧差を測定開始し、電源スイッチ部124Bは電源部125をオンオフするようになっている。制御部128はユニットのシステム全体を制御するようになっている。
【0028】
測定データ受信および信号処理ユニット130は、測定データ送信ユニット120から無線送信されたシリアル信号を受信し、音発生用パルス信号とデータ収集用パルス信号に変換処理するもので、図5に示すように、筐体130a内に、信号無線受信部131と、音発生用マイコン部132Aと、データ収集用マイコン部132Bと、電源スイッチ部133と、電源部134を備えている。信号無線受信部131は、測定データ送信ユニット120の信号無線送信部123から無線送信されたシリアル信号を受信するようになっている。
【0029】
音発生用マイコン部132Aは、ノイズキャンセル部135Aと、音発生用のPWM出力部136Aと、制御部137Aを備えている。ノイズキャンセル部135Aは信号無線受信部131で受信されたシリアル信号をパルス信号にいったん変換し、PD制御によりノイズをキャンセルする。PWM出力部136Aは、ノイズキャンセルされたパルス信号について、シリアル信号データ(電圧差データ)の大きさに比例した周波数のパルスに変調し(Pulse
Wide Modulation)、変調された音発生用のパルス信号を出力する。制御部137Aは、各信号を制御し、かつ信号生成に必要なプログラムの実行および演算処理を行う。マイコン部132Aには、音発生用のパルス信号を生成するためのプログラムが格納されている。同プログラムは、ノイズキャンセルされたパルス信号のサンプリングデータ値に反比例する長さの波長をもつパルス信号を生成するように設定されている。
【0030】
より具体的には、図6に示すように、ノイズキャンセルされたパルス信号のサンプリングデータ値が小さい場合は、図6(A)に示すように、サンプリングデータ値の大きさに比例する周波数、言い換えると、サンプリングデータ値の大きさに反比例して長い波長をもつパルス信号(低音)を生成する。ノイズキャンセルされたパルス信号のサンプリングデータ値がより大きい場合は、図6(B)に示すように、サンプリングデータ値の大きさに比例する周波数、言い換えると、サンプリングデータ値の大きさに反比例して短い波長をもつパルス信号(前述のパルス信号よりも高音側)を生成する。図7にサンプリングデータ(8ビットデータ)値と音発生用プログラムに従って生成されたパルス信号と発生音の関係表を示す。このようにPWM出力部136Aは、PWM出力信号を周波数(Hz)としてとらえ、低音から高音に至る音を発生させるパルス信号を出力する。
【0031】
データ収集用マイコン部132Bは、ノイズキャンセル部135Bと、データ収集用のPWM出力部136Bと、制御部137Bを備えている。ノイズキャンセル部135Bは信号無線受信部131で受信されたシリアル信号をパルス信号に変換して、PD制御によりノイズをキャンセルする。PWM出力部136Bは、ノイズキャンセルされたパルス信号について、シリアル信号データ(電圧差データ)の大きさに比例した電圧のパルスに変調し(Pulse
Wide Modulation)、変調された電圧値のパルス信号を出力する。マイコン部132Bには、データ(電圧データ)収集用のPWM出力信号を生成するためのプログラムが格納されている。同プログラムは、ノイズキャンセルされたパルス信号のサンプリングデータ値の大きさに比例するデューティー比が設定され、サンプリングデータ値毎にデューティー比が決定され、決定されたデューティー比に従う幅のパルス信号を生成するように設定されている。
【0032】
より具体的には、図8に示すように、ノイズキャンセルされたパルス信号のサンプリングデータ値が小さい場合は、図8(A)に示すように、一定波長下で、サンプリングデータ値の大きさに比例してデューティー比が小さい値(図示例ではデューティー比=0.1)に決定され、決定されたデューティー比に従う幅のパルス信号を生成する。ノイズキャンセルされたパルス信号のサンプリングデータ値が大きい場合は、図8の下段に示すように、一定波長下で、サンプリングデータ値の大きさに比例してデューティー比が大きい値(図示例ではデューティー比=0.46)に決定され、決定されたデューティー比に従う幅のパルス信号を生成する。このようにPWM出力部136Bは、PWM出力信号をデューティー比でとらえ、ワイヤーの張力の大きさに比例する電圧データのパルス信号を出力する。ここで、デューティー比=パルス幅/パルス波長である。図9にサンプリングデータ(8ビットデータ)値とデータ収集用プログラムに従って決定されるデューティー比、生成されたパルス信号、電圧データの関係表を示す。
【0033】
音発生用のPWM出力部136Aから出力されたパルス信号は、ケーブル141を介して主スピーカー140に送信され、主スピーカー140から被験者Hに向けて、被験者Hのターン時のワイヤー2に生じる張力の大きさに比例する高低音を発生させるようになっている。また、データ収集用のPWM出力部136Bから出力された電圧データ(パルス信号)は、データロガー150に送信され、データロガー150内に逐一収集保存されるようになっている。
【0034】
データロガー150にはケーブル161を介して外部装置としてのパーソナルコンピュータ160が接続されている。パーソナルコンピュータ160は、キーボードからの操作により、データロガー150に収集された電圧データをディスプレイに表示させたり、内臓ハードディスクに保存できる。また、パーソナルコンピュータ160から測定データ受信および信号処理ユニット130の音発生用マイコン部132Aおよびデータ収集用マイコン部132Bにアクセスし、格納されたプログラムの各種設定を変更、更新することができる。
【0035】
補助スピーカー170は、測定データ送信ユニット120の筐体120aの外面に取り付けられ、測定データ送信ユニット120のシリアル信号変換部128から出力されたシリアル信号が図示しないケーブルにより入力され、測定データ受信および信号処理ユニット130中の音発生用マイコン部132Aと同一のシステムおよびプログラムにより音発生用のパルス信号が生成され、同パルス信号が図示しないケーブルにより補助スピーカー170に送信され、腕A付近から被験者Hに向けて、被験者Hのターン時のワイヤー2に生じる張力の大きさに比例する高低音を補助的に発生させるようになっている。
【0036】
同期用発光器180は、図10に示すように、測定データ送信ユニット120から無線送信された最初のシリアル信号を受信してLEDランプ181を点灯させ、カメラ190による被験者Hの試技の様子の映像データを、測定データや高低音データと同期させるもので、測定開始スイッチ部124Aの押し操作により、測定データ送信ユニット120から無線送信された最初のシリアル信号を受信してLEDランプ181を点灯させ、LEDランプ181からの光が録画動作状態のカメラ190のレンズに入光し、一緒に映像として記録されることにより、前述の同期が可能となっている。
【0037】
次に、以上のように構成された本測定装置100により被験者の試技中にワイヤーに生じる張力を測定し、被験者が試技中にハンマーの回転速度をイメージングする手順について、図11のフローチャートを参照しつつ、以下に説明する。
【0038】
計測の準備段階として、最初に、被験者Hが自らの腕AにバンドBで軽量小型の測定データ送信ユニット120を装着する。カメラ190を被験者Hに向けてセットし、録画は試技開始前にスタートさせる。次ぎに、2つの電源スイッチ部124B,133を押して電源を入れ(S1)、測定開始スイッチ部124Aを押して試技を開始する(S2、S3)。測定開始スイッチ部124Aの押圧により、データの測定が開始され、同時に受光器180のLEDランプ181が点灯して、カメラ190のレンズにLED光が入光する(データの測定と録画の同期)。
【0039】
被験者Hがターン動作を開始しハンマー1をゆっくりと自身の周りに回転させると、ハンマー1の質量による遠心力によって、ワイヤー2に引張力が生じる(S4)。ワイヤー2に生じる引張力により、ひずみゲージ110には抵抗変化による電圧差が発生する(S5、S6)。ひずみゲージ110により測定された電圧差(測定データ)は、測定データ送信ユニット120の電圧増幅器122で増幅され(S7)、A/D変換器127によりA/D変換され(S8)、シリアル信号変換器128によりシリアル信号に変換される(S9)。変換されたシリアル信号は、信号無線送信部123から測定データ受信および信号処理ユニット130に無線送信される(S10)。
【0040】
ひずみゲージ110はワイヤー(直径3mm以上)に比べてサイズが小さくかつ軽量である(0.5g以下)ことから、正規のハンマー重量(合計7.26kg)とほとんど総重量が変わらず、被験者Hがターン動作を行う際に違和感が残らない。また、測定データ送信ユニット120は軽量小型(本体60g+単4乾電池3本込みで合計95g)であるから、腕Aに装着してもさほど違和感を感じることがなく、被験者Hがターン動作を行う際にほとんど気になることがない。
【0041】
ひずみゲージ110が軽量でかつワイヤー1に一体に接着されているから、ハンマー1の投擲によって容易にひずみゲージ110が壊れることがない。したがって、本測定装置100を繰り返し長期間使用することができ、耐久性に優れる。
【0042】
測定データ受信および信号処理ユニット130では、無線送信されたシリアル信号を無線受信部131が受信し(S11)、受信されたシリアル信号は、音発生用マイコン部132Aおよびデータ収集用マイコン部132Bにそれぞれ入力される。音発生用マイコン部132Aにおいては、ノイズキャンセル部135Aでノイズキャンセルされた(S12)後、PWM出力部136Aで、電圧差データ(シリアルデータ)の大きさに比例した周波数のパルスに変調され(S13)、変調されたPWM出力信号が主スピーカー140に送出される(S14、S15)。これにより、試技中に、ワイヤー2に生じる張力の大きさに比例した高低音をスピーカー140(さらには補助スピーカー170)から発生させる(S16)。被験者Hは、ワイヤー2に生じる張力の大きさを高低音の差として試技中にリアルタイムに認識することができる。
【0043】
ワイヤー2に生じる張力の大きさは、ハンマー1の回転速度に比例するから、被験者Hは、ターン動作時にスピーカー140、170から聞こえる高低音のレベルを認識することによって、実際のハンマー1の回転速度を、増速や加減速を含めて、リアルタイムにかつ正確にイメージすることができる。
【0044】
並行して、データ収集用マイコン部132Bに入力されたシリアル信号は、最初にノイズキャンセル部135Bでノイズがキャンセルされた(S17)後、PWM出力部136Bで、プログラムにより電圧差データ(シリアルデータ)の大きさに比例した値のデューティー比が決定され(S18)、決定されたデューティー比に従う幅のパルスに変調され、PWM出力される(S19)。同PWM出力信号は、電圧データとしてデータロガー150に送出され、データロガー150に入力される(S20、S21)。データロガー150には逐次電圧データが収集され保存される。データロガー150に収集保存された電圧データは、パーソナルコンピューター160のディスプレイに表示させることができる。図12に電圧データの表示例、図13に電圧データに基づく張力の表示例を示す。電圧データは、図14に示す電圧-張力換算表によって、張力データとして出力表示させることができる。これにより、被験者Hの試技中のワイヤー2に生じる張力を測定できる。図13の張力表示例によると、被験者Hの最初のゆっくりとした回転からハンマー1の投擲に至るまで、ワイヤー2に生じる張力は増減を繰り返しながら次第に増加し、投擲の瞬間に最大値を測定することが分かる。これに比例してハンマー1の回転速度も加速-減速を繰り返しながら次第に増加し、投擲の瞬間に最大速度に達することが分かる。
【0045】
なお、受信された最初のシリアル信号は、発光器180に送信され、LEDランプ181を点灯(複数回点滅)させる(S22)。このLEDランプ181の最初の点灯をカメラ190のレンズが受光することで、被験者Hによる試技の様子の録画が同期する(S23)。LEDランプ181は点灯後、消灯する(S24)。
【0046】
以上のようにして、被験者Hによるターン動作の間、ワイヤー2に生じる張力の大きさに応じてひずみゲージ110により測定された電圧差データが被験者Hの腕部Aに装着された測定データ送信ユニット120によって、遠方の測定データ受信および信号処理ユニット130に無線送信され、遠方の測定データ受信および信号処理ユニット130において、音発生用パルス信号とデータ収集用パルス信号に変換処理され、データロガー150に電圧データがリアルタイムで収集保存される。同時に、被験者Hに対し、電圧差の大小、すなわち、ワイヤー2に生じる張力の大小に比例した高低音がスピーカー140、170から発信され、被験者Hは、ターン動作中に、ワイヤー2に生じる張力の大きさ、すなわちハンマー1の回転スピードの大きさを高低音の差としてリアルタイムに認識することができる。
【0047】
また、電圧データ、さらには張力データをパーソナルコンピュータ160のディスプレイに表示させることで、ハンマー投げの試技後に被験者Hに試技の結果をフィードバックさせることができる。さらには、ハンマー投げの試技によって発生させた音情報と試技の様子を録画した録画情報を同期させることにより、映像による被験者Hのターン動作の姿勢や加速タイミングと、ハンマー1の回転速度との密接な関係を高度に把握することができ被験者Hのハンマー投げの能力や習熟度を正確に測定し、より高度なハンマー投げのトレーニングを行うことができる。
【0048】
測定した張力データから、ワイヤー2の長さ、ハンマー1の質量を基にして、遠心力の式(F=mV/r)により、ハンマー1の回転速度を求めることもできる。
【0049】
さらに、本発明のハンマー投げ張力測定イメージング装置によると、ひずみゲージ110をワイヤー2表面の相対する位置に2個接着したから、ピアノ線の曲がりによるひずみを解消することができ、これにより純粋に張力のみのひずみだけをデータとして取得可能となる。張力測定精度が向上する。
【0050】
本発明に係る張力測定イメージング装置は、スイング動作を伴う運動競技、特にハンマー投げ競技に好適であるが、ハンマー投げに限らず、ゴルフ、バトミントンなどの競技にも適用可能である。ゴルフに適用する場合、スイング体としてゴルフクラブのシャフトにひずみゲージを接着してゴルフスイング動作に伴いシャフトに生じる張力を測定し、バトミントンに適用する場合、ラケットのシャフトにひずみゲージを接着してバトミントンの腕降り動作に伴いシャフトに生じる張力を測定し、それらのトレーニングに応用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明に係る張力測定イメージング装置は、スポーツ科学分野において、被験者のスイング動作(ターン動作や回転動作を含む)を伴う運動競技や運動の能力を測定する装置として、また、スイング動作を伴うスポーツの能力を高めるトレーニング装置として利用可能である。
【符号の説明】
【0052】
1 ハンマー(スイング体)
2 ワイヤー(軸部)
3 絶縁被覆
100 張力測定イメージング装置
110 ひずみゲージ
111 リード線
111a 第1屈曲部
111b 第2屈曲部
112 接続カプラー
120 測定データ送信ユニット
120a,130a 筐体
121 マイコン部
122 電圧増幅部
123 信号無線送信部
124A 測定開始スイッチ部
124B,133 電源スイッチ部
125,134 電源部
126 A/D変換部
127 シリアル信号変換部
128,137A,137B 制御部
130 測定データ受信および信号処理ユニット
131 信号無線受信部
132A 音発生用マイコン部
132B データ収集用マイコン部
135A,135B ノイズキャンセル部
136A,136B PWM出力部
140 主スピーカー
141,161 ケーブル
150 データロガー
160 パーソナルコンピューター
170 補助スピーカー
180 発光器
181 LEDランプ
190 カメラ
H 被験者
A 腕部
B バンド
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10
【図12】
11
【図13】
12
【図14】
13