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明細書 :オリゴ糖合成酵素並びにβ-1,2-マンノビオース及びその誘導体の製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第6033621号 (P6033621)
公開番号 特開2014-057534 (P2014-057534A)
登録日 平成28年11月4日(2016.11.4)
発行日 平成28年11月30日(2016.11.30)
公開日 平成26年4月3日(2014.4.3)
発明の名称または考案の名称 オリゴ糖合成酵素並びにβ-1,2-マンノビオース及びその誘導体の製造方法
国際特許分類 C12N   9/12        (2006.01)
C12P  19/12        (2006.01)
C12N  15/09        (2006.01)
FI C12N 9/12
C12P 19/12
C12N 15/00 ZNAA
請求項の数または発明の数 2
全頁数 11
出願番号 特願2012-203891 (P2012-203891)
出願日 平成24年9月18日(2012.9.18)
審査請求日 平成27年8月7日(2015.8.7)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】304027279
【氏名又は名称】国立大学法人 新潟大学
【識別番号】501203344
【氏名又は名称】国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構
発明者または考案者 【氏名】中井 博之
【氏名】仁平 高則
【氏名】鈴木 絵里香
【氏名】大坪 研一
【氏名】北岡 本光
【氏名】西本 完
個別代理人の代理人 【識別番号】100080089、【弁理士】、【氏名又は名称】牛木 護
【識別番号】100161665、【弁理士】、【氏名又は名称】高橋 知之
審査官 【審査官】濱田 光浩
参考文献・文献 特許第5726891(JP,B2)
hypothetical protein HMPREF0557_01537 [Listeria innocua ATCC 33091],EHN61528.1,GenBank,2012年 1月 5日,VERSION EHN61528.1 GI:370793695,2016/04/28検索,URL,http://www.ncbi.nlm.nih.gov/protein/EHN61528
調査した分野 C12N 9/00
C12P 19/00
C12N 15/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
GenBank/EMBL/DDBJ/GeneSeq
UniProt/GeneSeq
SwissProt/GeneSeq
WPIDS/WPIX(STN)
特許請求の範囲 【請求項1】
α-D-マンノース1-リン酸と、D-マンノース、D-アラビノース、D-リキソース、D-アロース、D-リボース、L-ラムノース、D-フルクトース又はD-アルトロースと、以下の酵素学的性質を有するオリゴ糖合成酵素β-1,2-マンノビオースホスホリラーゼとを含む溶液中でオリゴ糖合成反応を行うステップと、β-1,2-マンノビオース、D-マンノシル-β-1,4-D-アラビノース、D-マンノシル-β-1,2-D-リキソース、D-マンノシル-β-1,3-D-アロース、D-マンノシル-β-1,3-D-リボース、D-マンノシル-β-1,3-L-ラムノース、D-マンノシル-β-1,5-D-フルクトース、D-マンノシル-β-1,1-D-フルクトース、D-マンノシル-β-1,2-D-アルトロース又はD-マンノシル-β-1,4-D-アルトロースを回収するステップを含むことを特徴とするβ-1,2-マンノビオース及びその誘導体の製造方法
a)作用
α-D-マンノース1-リン酸と、D-マンノース、D-アラビノース、D-リキソース、D-アロース、D-リボース、L-ラムノース、D-フルクトース又はD-アルトロースとに作用して、β-1,2-マンノビオース、D-マンノシル-β-1,4-D-アラビノース、D-マンノシル-β-1,2-D-リキソース、D-マンノシル-β-1,3-D-アロース、D-マンノシル-β-1,3-D-リボース、D-マンノシル-β-1,3-L-ラムノース、D-マンノシル-β-1,5-D-フルクトース、D-マンノシル-β-1,1-D-フルクトース、D-マンノシル-β-1,2-D-アルトロース又はD-マンノシル-β-1,4-D-アルトロースを生成する;
b)基質特異性
α-D-マンノース1-リン酸と、D-マンノース、D-アラビノース、D-リキソース、D-アロース、D-リボース、L-ラムノース、D-フルクトース又はD-アルトロースとに作用する;
c)至適pH
30℃の条件下で、pH6.0;
d)温度安定性
pH6.0の条件下で、50℃まで安定;
e)pH安定性
4℃、24時間の条件下で、pH5.5-9.0で安定。
【請求項2】
前記溶液は、pH5.0~7.0であることを特徴とする請求項に記載のβ-1,2-マンノビオース及びその誘導体の製造方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、新規に発見したオリゴ糖合成酵素β-1,2-マンノビオースホスホリラーゼ並びに前記酵素が触媒するオリゴ糖合成反応を用いた、病原菌のO抗原のコア骨格であるβ-1,2-マンノビオース及びその誘導体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
糖タンパク質が有する糖鎖の生体認識(細胞接着・抗原抗体反応・情報伝達・ウイルス感染など)への重要性については近年注目が集まるところである。糖鎖は、核酸、タンパク質に次ぐ第三の鎖といわれ、近年急速にその機能解明が進められている。さらに、糖鎖工学及び糖鎖再生医療研究分野での生体内糖鎖認識性の解明が急がれている。
【0003】
しかし、生体内での発現量が微量な糖鎖試料の調製は現在有機合成法に頼らざるを得ず、その困難さが糖鎖工学研究分野や糖鎖再生医療の進展を妨げている。例えば、肺炎やカンジダ症などの日和見感染症を引き起こす病原菌のO抗原のコア骨格であるβ-1,2-マンノオリゴ糖は、従来は、有機合成法による煩雑な多段階反応で製造されており(非特許文献1)、効率的な大量調製が困難であるため、非常に高額であるという問題点があった。そのため、生体認識性分子素子である糖鎖の簡便な製造法の確立は急務となっている。
【先行技術文献】
【0004】

【非特許文献1】Dromer,F.ら、Antimicrobial Agents and Chemotherapy 46(12):3869-3876(2002)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明は上記問題点に鑑み、効率的に肺炎やカンジダ症などの日和見感染症を引き起こす病原菌のO側鎖多糖(O抗原)のコア骨格であるβ-1,2-マンノビオース及びその誘導体を製造することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を達成するため鋭意検討した結果、新規に発見したβ-1,2-マンノビオースホスホリラーゼが触媒するオリゴ糖合成反応を用いて、病原菌のO抗原のコア骨格であるβ-1,2-マンノビオース及びその誘導体をワンステップで製造することができ、反応系のスケールアップによる大量調製も可能であることを見出し、本発明を完成させた。
【0007】
すなわち、本発明は、以下の酵素学的性質を有するオリゴ糖合成酵素β-1,2-マンノビオースホスホリラーゼを用いるものである。
a)作用
α-D-マンノース1-リン酸と、D-マンノース、D-アラビノース、D-リキソース、D-アロース、D-リボース、L-ラムノース、D-フルクトース又はD-アルトロースとに作用して、β-1,2-マンノビオース、D-マンノシル-β-1,4-D-アラビノース、D-マンノシル-β-1,2-D-リキソース、D-マンノシル-β-1,3-D-アロース、D-マンノシル-β-1,3-D-リボース、D-マンノシル-β-1,3-L-ラムノース、D-マンノシル-β-1,5-D-フルクトース、D-マンノシル-β-1,1-D-フルクトース、D-マンノシル-β-1,2-D-アルトロース又はD-マンノシル-β-1,4-D-アルトロースを生成する;
b)基質特異性
α-D-マンノース1-リン酸と、D-マンノース、D-アラビノース、D-リキソース、D-アロース、D-リボース、L-ラムノース、D-フルクトース又はD-アルトロースとに作用する;
c)至適pH
30℃の条件下で、pH6.0;
d)温度安定性
pH6.0の条件下で、50℃まで安定;
e)pH安定性
4℃、24時間の条件下で、pH5.5-9.0で安定。
【0008】
そして、本発明のβ-1,2-マンノビオース及びその誘導体の製造方法は、α-D-マンノース1-リン酸と、D-マンノース、D-アラビノース、D-リキソース、D-アロース、D-リボース、L-ラムノース、D-フルクトース又はD-アルトロースと、前記オリゴ糖合成酵素β-1,2-マンノビオースホスホリラーゼとを含む溶液中でオリゴ糖合成反応を行うステップと、β-1,2-マンノビオース、D-マンノシル-β-1,4-D-アラビノース、D-マンノシル-β-1,2-D-リキソース、D-マンノシル-β-1,3-D-アロース、D-マンノシル-β-1,3-D-リボース、D-マンノシル-β-1,3-L-ラムノース、D-マンノシル-β-1,5-D-フルクトース、D-マンノシル-β-1,1-D-フルクトース、D-マンノシル-β-1,2-D-アルトロース又はD-マンノシル-β-1,4-D-アルトロースを回収するステップを含むことを特徴とする
【0009】
また、前記β-1,2-マンノビオース及びその誘導体の製造方法は、前記溶液が、pH5.0~7.0であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、β-1,2-マンノビオースホスホリラーゼが触媒するオリゴ糖合成反応により、α-D-マンノース1-リン酸と、8種類の単糖類(D-マンノース、D-アラビノース、D-リキソース、D-アロース、D-リボース、L-ラムノース、D-フルクトース又はD-アルトロース)を出発材料として、β-1,2-マンノビオース及びその誘導体をワンステップで簡便に製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の方法によれば、加リン酸分解反応の逆反応であるオリゴ糖合成反応により、β-1,2-マンノビオース及びその誘導体を簡便に製造できる。

【0012】
具体的には、α-D-マンノース1-リン酸と、D-マンノースと、β-1,2-マンノビオースホスホリラーゼを含む溶液中でオリゴ糖合成反応を行うことにより、β-1,2-マンノビオースを製造することができる。

【0013】
【化1】
JP0006033621B2_000002t.gif

【0014】
また、α-D-マンノース1-リン酸と、D-アラビノースと、β-1,2-マンノビオースホスホリラーゼを含む溶液中でオリゴ糖合成反応を行うことにより、D-マンノシル-β-1,4-D-アラビノースを製造することができる。

【0015】
また、α-D-マンノース1-リン酸と、D-リキソースと、β-1,2-マンノビオースホスホリラーゼを含む溶液中でオリゴ糖合成反応を行うことにより、D-マンノシル-β-1,2-D-リキソースを製造することができる。

【0016】
また、α-D-マンノース1-リン酸と、D-アロースと、β-1,2-マンノビオースホスホリラーゼを含む溶液中でオリゴ糖合成反応を行うことにより、D-マンノシル-β-1,3-D-アロースを製造することができる。

【0017】
また、α-D-マンノース1-リン酸と、D-リボースと、β-1,2-マンノビオースホスホリラーゼを含む溶液中でオリゴ糖合成反応を行うことにより、D-マンノシル-β-1,3-D-リボースを製造することができる。

【0018】
また、α-D-マンノース1-リン酸と、L-ラムノースと、β-1,2-マンノビオースホスホリラーゼを含む溶液中でオリゴ糖合成反応を行うことにより、D-マンノシル-β-1,3-L-ラムノースを製造することができる。

【0019】
また、α-D-マンノース1-リン酸と、D-フルクトースと、β-1,2-マンノビオースホスホリラーゼを含む溶液中でオリゴ糖合成反応を行うことにより、D-マンノシル-β-1,5-D-フルクトース及びD-マンノシル-β-1,1-D-フルクトースを製造することができる。

【0020】
また、α-D-マンノース1-リン酸と、D-アルトロースと、β-1,2-マンノビオースホスホリラーゼを含む溶液中でオリゴ糖合成反応を行うことにより、D-マンノシル-β-1,2-D-アルトロース及びD-マンノシル-β-1,4-D-アルトロースを製造することができる。

【0021】
反応液中でのβ-1,2-マンノビオースホスホリラーゼの濃度は特に限定されないが、0.086~172μM、好ましくは、0.43~86μMで使用することができる。

【0022】
β-1,2-マンノビオースホスホリラーゼの30℃における至適pHは6.0付近であることから、前記溶液は、pH5.0~7.0であることが好ましく、特にpH6.0が好ましい。前記溶液としては、特に限定されるものではないが、モルホリノエタンスルホン酸-水酸化ナトリウム(MES-NaOH)緩衝液が好適である。

【0023】
また、β-1,2-マンノビオースホスホリラーゼのpH6.0における温度安定性は50℃までであることから、オリゴ糖合成反応は25~50℃で行うことが好ましく、特に、30℃が好ましい。

【0024】
また、反応時間は、特に限定されるものではないが、1~100時間が好ましく、特に、24時間が好ましい。

【0025】
上記オリゴ糖合成反応により製造されたβ-1,2-マンノビオース及びその誘導体は、カラムクロマトグラフィーや結晶化等の公知の方法により単離することが可能であるが、高速液体クロマトグラフィーが好適である。

【0026】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の思想を逸脱しない範囲で種々の変形実施が可能である。

【0027】
次に、本発明を実施例により詳しく説明するが、本発明はこれらにより限定されるものではない。
【実施例1】
【0028】
リステリア・イノキュアのゲノム情報を基に、Lin0857遺伝子に対するフォーワードプライマー(配列番号3)及びリバースプライマー(配列番号4)を設計し、合成した。Lin0857遺伝子の塩基配列を配列番号2に、またこの塩基配列にコードされているアミノ酸配列を配列番号1に示す。
【実施例1】
【0029】
リステリア・イノキュアのゲノムDNAを鋳型とし、上記のプライマー及びKOD plus polymerase(TOYOBO社製)を用い、95℃に2分間保持したのち、95℃で30秒間、58℃で30秒間、68℃で1分30秒間のサイクルを45回繰り返してPCR反応を行い、最後に68℃に5分間保持した。その結果、1084bpの増幅断片が得られた。このPCRで増幅されるDNA断片は、5’末端にNdeIサイトを、3’末端にXhoIサイトをそれぞれ有するLin0857をコードするDNAである。
【実施例1】
【0030】
得られた増幅断片を制限酵素NdeI及びXhoIで消化後、同様に処理した市販の遺伝子発現用プラスミドpET-24a(ノバジェン社製)に高効率ライゲーション試薬Ligation high(TOYOBO社製)を用いて連結した。さらに、ライゲーション反応液を用いて大腸菌コンピテントセルDH5α(TOYOBO製)を形質転換し、C末端に6残基のヒスチジンからなるHisタグが付加されたLin0857をコードするDNAを含む発現ベクターpET-24aを回収した。
【実施例1】
【0031】
この発現ベクターpET-24aを用いて、大腸菌BL21(DE3)をHanahanらの方法(J.Mol.Biol.、1983年、第166巻、第557-580頁)に従って形質転換した。形質転換体を50μg/mLのカナマイシンを含むLB培地200mLに植菌し、IPTG濃度を0.1mMとして誘導培養を18℃で24時間行った。培養液から遠心分離で回収した菌体を10mLの500mM塩化ナトリウム及び10%グリセロールを含む20mM HEPES-NaOH緩衝液pH7.5に懸濁し、超音波処理により破砕した後、遠心分離後によって粗酵素液を得た。組換えタンパク質の精製は、Hisタグタンパク質精製用カラムHisTrapFF(GEヘルスケア社製)を用いたカラムクロマトグラフィーにより行った。得られた精製酵素溶液を、10mM HEPES-NaOH緩衝液pH7.0に対して透析を行い、遠心式フィルターユニットアミコンウルトラ-15(ミリポア社製)を用いた限外濾過によって4mLに濃縮することで、精製酵素標品を調製した。
【実施例2】
【0032】
得られた精製酵素標品を用い、以下に示す方法によって本タンパク質を新規酵素β-1,2-マンノビオースホスホリラーゼと同定し、β-1,2-マンノビオース及び9種類のβ-1,2-マンノビオース誘導体を生成した。
【実施例2】
【0033】
50mMのα-D-マンノース1-リン酸(糖供与体)、50mMのD-マンノース(糖受容体)、0.43μMの精製酵素を含む40mM MES-NaOH緩衝液(pH6.0)1ml中で酵素反応を30℃、24時間行った。反応液をアンバーライトMB3(オルガノ社製)で脱塩後、TSKgel Amide-80カラム(TOSOH社製)による70%アセトニトリルを溶媒とした高速液体クロマトグラフィーにより、二糖画分を単離した。精製後の収量は2mgであった。生成物をNMRにより分析したところ、β-1,2-マンノビオース(下記式(1))であることを確認した。
【実施例2】
【0034】
【化2】
JP0006033621B2_000003t.gif
【実施例2】
【0035】
50mMのα-D-マンノース1-リン酸(糖供与体)、50mMの各糖受容体(5種類:D-アラビノース、D-リキソース、D-アロース、D-リボース、L-ラムノース)、86μMの精製酵素を含む40mM MES-NaOH緩衝液(pH6.0)1ml中で酵素反応を30℃、24時間行った。各反応液をアンバーライトMB3で脱塩後、TSKgel Amide-80カラムによる75%アセトニトリルを溶媒とした高速液体クロマトグラフィーにより、二糖画分を単離し、各生成物をNMRにより分析した結果、D-マンノシル-β-1,4-D-アラビノース(下記式(2))、D-マンノシル-β-1,2-D-リキソース(下記式(3))、D-マンノシル-β-1,3-D-アロース(下記式(4))、D-マンノシル-β-1,3-D-リボース(下記式(5))、D-マンノシル-β-1,3-L-ラムノース(下記式(6))であることを確認した。精製後の収量はそれぞれ1mg、1mg、1mg、3mg、1mgであった。
【実施例2】
【0036】
【化3】
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【実施例2】
【0037】
【化4】
JP0006033621B2_000005t.gif
【実施例2】
【0038】
【化5】
JP0006033621B2_000006t.gif
【実施例2】
【0039】
【化6】
JP0006033621B2_000007t.gif
【実施例2】
【0040】
【化7】
JP0006033621B2_000008t.gif
【実施例3】
【0041】
50mMのα-D-マンノース1-リン酸(糖供与体)、50mMのD-フルクトース(糖受容体)、86μMの精製酵素を含む40mM MES-NaOH緩衝液(pH6.0)1ml中で酵素反応を30℃、24時間行った。実施例2と同様、各反応液から二糖画分(2mg)を単離し、生成物をNMRにより分析した。その結果、フルクトースを糖受容体とし、上記の条件で反応した際の生成物はD-マンノシル-β-1,5-D-フルクトース(下記式(7))とD-マンノシル-β-1,1-D-フルクトース(下記式(8))の混合物であることを確認した。同混合物は、ショウデックスアサヒパック NH2P-50 4Eカラムによる80%アセトニトリルを溶媒とした高速液体クロマトグラフィーにより分離可能であった。
【実施例3】
【0042】
【化8】
JP0006033621B2_000009t.gif
【実施例3】
【0043】
【化9】
JP0006033621B2_000010t.gif
【実施例4】
【0044】
50mMのα-D-マンノース1-リン酸(糖供与体)、50mMのD-フルクトース(糖受容体)、2.9μMの精製酵素を含む40mM MES-NaOH緩衝液(pH6.0)1ml中で酵素反応を30℃、24時間行った。反応液をアンバーライトMB3で脱塩後、ショウデックスアサヒパック NH2P-50 4Eカラムによる80%アセトニトリルを溶媒とした高速液体クロマトグラフィーにより、二糖画分(1mg)を単離し、生成物をNMRにより分析した結果、上記の条件で反応した際の生成物はD-マンノシル-β-1,5-D-フルクトース(下記式(7))のみであることを確認した。
【実施例4】
【0045】
【化10】
JP0006033621B2_000011t.gif
【実施例4】
【0046】
50mMα-D-マンノース1-リン酸(糖供与体)、50mMのD-アルトロース(糖受容体)、86μMの精製酵素を含む40mM MES-NaOH緩衝液(pH6.0)1ml中で酵素反応を30℃、4時間行った。実施例2と同様、各反応液から二糖画分(3mg)を単離し、生成物をNMRにより分析した結果、二糖画分の主成分はD-マンノシル-β-1,2-D-アルトロース(下記式(9))であり、マイナー成分として少なくともD-マンノシル-β-1,4-D-アルトロース(下記式(10))が混入していることを確認した。
【実施例4】
【0047】
【化11】
JP0006033621B2_000012t.gif
【実施例4】
【0048】
【化12】
JP0006033621B2_000013t.gif
【実施例4】
【0049】
25mM MES-NaOH緩衝液(pH6.0)中、2mMのα-D-マンノース1-リン酸及びD-マンノースを用いて、合成反応時に生成するリン酸をモリブデンブルー法(J.Biol.Chem.1946、162、421-428)により定量した。上記条件下に毎分1μモルのリン酸を生成する活性を1ユニットと定義した。その結果、D-マンノースを糖受容体としたときの活性は6.1ユニット/mgであった。
【実施例4】
【0050】
β-1,2-マンノビオースホスホリラーゼの30℃における至適pHは6.0付近であり(図1A)、安定pH範囲は4℃及び24時間の条件下でpH5.5-9.0であった(図1B)。本酵素のpH6.0における安定性は50℃までであった(図1C)。
【産業上の利用可能性】
【0051】
以上のように本発明は、糖鎖工学研究分野や糖鎖医療産業界で利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1A】実施例1で調製したβ-1,2-マンノビオースホスホリラーゼの至適pHを示した図である。
【図1B】実施例1で調製したβ-1,2-マンノビオースホスホリラーゼのpH安定性を示した図である。
【図1C】実施例1で調製したβ-1,2-マンノビオースホスホリラーゼの温度安定性を示した図である。
図面
【図1A】
0
【図1B】
1
【図1C】
2