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明細書 :アンカーヘッド及びアンカー点検方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2013-177760 (P2013-177760A)
公開日 平成25年9月9日(2013.9.9)
発明の名称または考案の名称 アンカーヘッド及びアンカー点検方法
国際特許分類 E02D   5/80        (2006.01)
FI E02D 5/80 Z
請求項の数または発明の数 5
出願形態 OL
全頁数 8
出願番号 特願2012-041969 (P2012-041969)
出願日 平成24年2月28日(2012.2.28)
発明者または考案者 【氏名】川崎 秀明
【氏名】久保 弘明
【氏名】山崎 淳一
【氏名】横田 弘一
出願人 【識別番号】304020177
【氏名又は名称】国立大学法人山口大学
【識別番号】512050874
【氏名又は名称】久保 弘明
個別代理人の代理人 【識別番号】100158702、【弁理士】、【氏名又は名称】岡野 卓也
審査請求 未請求
テーマコード 2D041
Fターム 2D041GA01
2D041GB01
2D041GC12
2D041GC13
要約 【課題】本発明は、アンカーヘッドの背面を直接観察により点検可能とするアンカーヘッドを提供することを目的とする。
【解決手段】本発明のアンカーヘッドは、地中等に埋設したテンドンの一端部を挿通させ、前記テンドンに緊張力を付与した状態で、前記一端部を抜け止め係止する挿通孔と、アンカーヘッドの背面領域を目視観察により点検可能とする点検孔と、を備えることを特徴とする。
【選択図】図3
特許請求の範囲 【請求項1】
地中等に埋設したテンドンの一端部を挿通させ、前記テンドンに緊張力を付与した状態で、前記一端部を抜け止め係止する挿通孔と、
アンカーヘッドの背面領域を目視観察により点検可能とする点検孔と、
を備えることを特徴とするアンカーヘッド。
【請求項2】
前記点検孔は内視鏡挿入用であって、少なくとも背面側端部をテーパ状に拡径する請求項1記載のアンカーヘッド。
【請求項3】
前記点検孔の中心軸線が、表面側から背面側に向けて当該アンカーヘッドの軸心方向へ傾斜する請求項1又は2記載のアンカーヘッド。
【請求項4】
前記点検孔を複数備える請求項1乃至3の何れか一項記載のアンカーヘッド。
【請求項5】
アンカーヘッドをアンカープレート上に載置し、前記アンカーヘッドに形成される挿通孔に、地中等に埋設したテンドンの一端部を挿通させ、前記テンドンに緊張力を付与した状態で、前記一端部を抜け止め係止してなるアンカーの点検方法であって、前記アンカーヘッドとして請求項1乃至4の何れかに記載のアンカーヘッドを使用し、前記アンカーヘッドの点検孔を利用してアンカーヘッドの背面領域を目視観察により点検することを特徴とするアンカー点検方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、グラウンドアンカー等において最も劣化の進みやすいアンカーヘッドの背面領域を目視観察により点検可能とするアンカーヘッド、及び該アンカーヘッドを使用したグラウンドアンカーにおいて、アンカーヘッドの背面領域を目視観察により点検するアンカー点検方法に関する。
【背景技術】
【0002】
グラウンドアンカー(以下、「アンカー」という。)は、地盤や構造物等の補強、安定化を図ることを目的として、土木建築分野において広く利用されている。
【0003】
例えば、山留め工事等において、地中に形成した削孔内にPC鋼より線等により構成されるテンドンの一方側端部を挿入し、該孔内にグラウトを注入・硬化させる一方、地表面に配置されたコンクリート等の受圧板上にアンカープレートを設置し、該アンカープレート上に載置されるアンカーヘッドの挿入孔に前記テンドンの他方側端部を挿入し、該テンドンに緊張力を付与した状態で、該テンドンの他方側端部(余長部)をクサビにより抜け止め係止して該アンカーヘッドに定着させることで、前記テンドンの緊張力により前記工事箇所を補強することが行われている。
【0004】
また、前記アンカーの管理は、主に地表に露出するアンカーヘッドの目視による点検、歪センサ・振動周波数等に基づく荷重(緊張力)計測等により行われている(例えば、特許文献1,2を参照。)。
【0005】
ところで、アンカーについては、国際プレストレストコンクリート連盟(FIP)における「グラウンドアンカー破断事故調査委員会」により、破損・破断の60%以上がアンカーヘッド及びアンカーヘッド背面で発生しているとの報告がなされており、我が国において、テンドンをシースと防錆材グリースによる二重防食構造とすることが基準化されている。
【0006】
ところが、アンカーヘッド背面の真下は、地下水の“みず道”となりやすいため、防錆材グリースが劣化しやすく、錆が発生しやすい。
また、一般に、アンカーヘッド背面は止水構造になっているが、水のわずかな流入でも、防錆材グリースは時間の経過とともに劣化し機能を失うものであり、港湾・海洋構造物・海岸斜面等の安定化に利用されるアンカーの場合は、特に海水の影響を受けやすい。
【0007】
しかしながら、上記従来のアンカー管理手法は、アンカー全体の劣化状況を間接的に把握するものであり、アンカーヘッド背面領域の状況を適切に把握できるものではない。
【先行技術文献】
【0008】

【特許文献1】特開2002-221457号公報
【特許文献2】特開2003-121278号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで、本発明は、アンカーヘッドの背面領域を直接目視により観察し点検することを可能とするアンカーヘッドを提供することを目的とする。
また、本発明は、前記アンカーヘッドを用いたアンカーにおいて、アンカーヘッドの背面領域を直接目視により観察し点検するアンカー点検方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明のアンカーヘッドは、地中等に埋設したテンドンの一端部を挿通させ、前記テンドンに緊張力を付与した状態で、前記一端部を抜け止め係止する挿通孔と、アンカーヘッドの背面領域を目視観察により点検可能とする点検孔と、を備えることを特徴とする。
【0011】
本発明のアンカーヘッドは、前記点検孔が内視鏡挿入用であって、少なくとも背面側端部をテーパ状に拡径することが好ましい。
【0012】
本発明のアンカーヘッドは、前記点検孔の中心軸線が、表面側から背面側に向けて当該アンカーヘッドの軸心方向へ傾斜することが好ましい。
【0013】
本発明のアンカーヘッドは、前記点検孔を複数備えることが好ましい。
【0014】
本発明のアンカー点検方法は、アンカーヘッドとして前記何れかのアンカーヘッドを使用し、前記アンカーヘッドの点検孔を利用してアンカーヘッドの背面領域を目視観察により点検することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明のアンカーヘッドは、点検孔を利用してアンカーヘッドの背面領域を直接目視により観察し点検できるのに加え、前記点検孔を利用して劣化した防錆材グリースを排出し、また新鮮な防錆材グリースを充填することができる。
したがって、本発明のアンカーヘッドによれば、アンカーヘッド背面領域におけるアンカーの劣化状況を適切に把握することができるため、補修必要箇所を容易に確定でき、防錆材グリースを適切に補充してアンカーの長寿命化を図れ、法面等の安全管理を効率的かつ経済的な手法で行うことができる。
【0016】
本発明のアンカーヘッドは、前記点検孔が内視鏡挿入用であって、少なくとも背面側端部をテーパ状に拡径することとすれば、内視鏡先端部の動作範囲が広がる結果、アンカーヘッドの背面領域において直接目視により観察できる範囲を広げることができるとともに、当該アンカーヘッド自体の裏面付近についても直接目視により観察し点検することができる。
【0017】
本発明のアンカーヘッドによれば、前記点検孔の中心軸線が、表面側から背面側に向けて当該アンカーヘッドの軸心方向へ傾斜することとすれば、アンカーヘッド背面領域における中心付近の点検が容易となる。
【0018】
本発明のアンカーヘッドは、前記点検孔を複数備えることとすれば、テンドンに遮られることなく、内視鏡によってアンカーヘッドの背面領域をくまなく点検することが可能となる。
また、本発明のアンカーヘッドは、前記点検孔の一つを防錆材グリースの充填用として利用する場合、他の孔からアンカーヘッド背面側の空間の空気が抜けることで、防錆材グリースをスムースに充填することが可能となる。
【0019】
本発明のアンカー点検方法によれば、アンカーヘッドの点検孔を利用してアンカーヘッドの背面領域を直接目視により観察し点検するので、効率的かつ経済的な方法により、アンカーを適切に維持管理することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】アンカーのアンカーヘッド周辺部の構造を示す概略断面図。
【図2】アンカーヘッドの説明図。
【図3】アンカー点検システムの説明図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。

【0022】
図1は、アンカーのアンカーヘッド周辺部の構造を示す概略断面図である。
図1には、アンカーを構成するアンカーヘッド1と、アンカープレート2と、3本のテンドン3と、自由長シース4が示されている。

【0023】
前記アンカーヘッド1は、前記テンドン3を挿通させる図示しない3つの挿通孔を有し、前記アンカープレート2上に載置されている。
前記アンカープレート2は、前記3本のテンドンを挿通させる1つの開口を中央に有し、地表面に配設されるコンクリート製等の受圧板5上に設置されている。
前記テンドン3は、PC鋼より線により構成され、地上側の端部部分が前記アンカーヘッド1の図示しない挿通孔に挿通されている。また、前記テンドン3は、地中側の領域が前記自由長シース4によって被覆されており、該自由長シース4内に充填される防錆材としてのグリースとともに二重防食加工が施されている。

【0024】
前記アンカーは、前記テンドン3が、地中に埋設され、自由長部を通じて図示しない地盤内部の定着部に固結されており、緊張力を付与された状態で、地上側の余長部(アンカーヘッド1から延出する端部部分)が、図示しないクサビにより前記アンカーヘッド1の挿通孔内に抜け止め係止され、該アンカーヘッド1に定着されることで地盤を補強する。

【0025】
図2は、本発明の実施の形態におけるアンカーヘッドの説明図であって、(a)は平面図、(b)は(a)におけるA-A断面図を示す。
本実施の形態において、アンカーヘッド1は、テンドン3を挿通させる3つの挿通孔11と、内視鏡によりアンカーヘッドの背面領域を直接目視により観察し点検可能とする2つの点検孔12を備える。

【0026】
前記挿通孔11は、中心軸線が、アンカーヘッド1の軸心に平行に形成されており、表面側端部がテーパ状に拡径する構成とすることで、当該挿通孔11に挿通されるテンドン3との間にクサビが係合可能とされる。

【0027】
一方、前記点検孔12は、中心軸線が、表面側から背面側に向けて、アンカーヘッド1の軸心方向へ傾斜するよう形成されており、当該点検孔12に挿入される内視鏡によってアンカーヘッドの背面領域における中心付近の点検が容易とされる。
また、前記点検孔12は、アンカーヘッドの背面側端部がテーパ状に拡径する構成とすることで、当該点検孔12に挿入される内視鏡先端部の動作範囲を広げることが可能とされる。

【0028】
前記アンカーヘッド1は、テンドン3を挿通させる3つの挿通孔11を備えるものであるが、前記挿通孔11の数は、地中に埋設するテンドン3の数に合わせて適宜設定すればよい。

【0029】
また、前記アンカーヘッド1は、2つの点検孔12を備えるものであるが、少なくとも1つの点検孔12を備えるものであればよい。なお、前記アンカーヘッド1が複数の点検孔12を備えるものであれば、テンドン3に遮られることなく、前記内視鏡によってアンカーヘッドの背面領域を全方位からくまなく点検することが可能となる。

【0030】
前記アンカーヘッド1において、前記点検孔12は、アンカーヘッド背面領域において劣化した防錆材グリースの排出用、及び新鮮な防錆材グリースの充填用として用いることもできる。
また、前記アンカーヘッド1が点検孔12を複数備える場合、当該点検孔12の一つを防錆材グリースの充填用として利用すれば、他の点検孔12からアンカーヘッド背面側の空間の空気が抜けて、防錆材グリースのスムースな充填が可能となる。
なお、前記防錆材グリースは、前記自由長シース4内に止まらず、前記自由長シース4とアンカーヘッド1の間の空間に位置するテンドン3に対し供給してもよいことはいうまでもない。

【0031】
本実施の形態におけるアンカーヘッドは、前記点検孔12を利用してアンカーヘッド1の背面領域を直接目視により観察し点検できるのに加え、前記点検孔12を利用して劣化した防錆材グリースの排出や新鮮な防錆材グリースの充填を行うことができる。
したがって、本発明の実施の形態におけるアンカーヘッドによれば、当該アンカーヘッド背面領域におけるアンカーの劣化状況を適切に把握することができるため、補修必要箇所を容易に確定でき、防錆材グリースを適切に補充してアンカーの長寿命化を図れ、法面等の安全管理を効率的かつ経済的な手法で行うことができる。

【0032】
図3は、本発明の実施の形態におけるアンカー点検方法において使用するアンカー点検システムの説明図を示す。ここでは、法面の補強に用いられるアンカーを例として示す。
本実施の形態において、アンカーヘッド背面領域の点検は、内視鏡6とモニター7からなるシステムを用いて行われる。

【0033】
ここで、前記内視鏡6は、先端部にCCDカメラ61を備え、前記先端部が360°回動可能なものであって、フラッシュ撮影により動画や静止画を撮影できるものである。
また、前記モニター7は、前記内視鏡6により撮影された動画や静止画を表示するものである。なお、当該モニター7は、前記動画や静止画を記録できる装置を内蔵することが好ましい。

【0034】
本実施の形態においてアンカーの点検は、前記アンカーヘッド1に形成された点検孔12から前記内視鏡6を挿入し、アンカーヘッド1の背面領域の動画又は静止画を前記モニター7に表示して直接目視により観察することで行われる。

【0035】
本実施の形態におけるアンカー点検方法によれば、前記アンカーヘッド1の点検孔12を利用して該アンカーヘッド1の背面領域を直接目視により観察し点検するので、従来のアンカー全体の劣化状況を間接的に把握する方法と比較して、アンカーをより適切に維持管理することが可能となる。

【0036】
なお、上記本発明の実施の形態において、アンカーヘッド1に形成される点検孔12には、通常は閉栓がなされるとともに、該アンカーヘッド1にヘッドキャップを被せる等することで、前記点検孔12からアンカーヘッド1の背面領域への雨水等の侵入を防止することができる。

【0037】
本発明は、上記実施の形態に限るものでなく、発明の範囲を逸脱しない限りにおいてその構成を適宜変更できることはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明のアンカーヘッドは、アンカーヘッドの背面領域を目視観察により点検可能とする点検孔を備え、また、本発明のアンカー点検方法は、前記アンカーヘッドの点検孔を利用してアンカーヘッドの背面領域を目視観察により点検するので、アンカーを適切に維持管理することが可能であり、極めて実用性が高い。
【符号の説明】
【0039】
1 アンカーヘッド
11 挿通孔
12 点検孔
2 アンカープレート
3 テンドン
4 自由長シース
5 受圧板
6 内視鏡
61 CCDカメラ
7 モニター
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2