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明細書 :植物栄養状態診断方法、植物栄養状態回復方法、植物栄養状態診断装置、及び植物栄養状態回復装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5483087号 (P5483087)
公開番号 特開2011-072302 (P2011-072302A)
登録日 平成26年2月28日(2014.2.28)
発行日 平成26年5月7日(2014.5.7)
公開日 平成23年4月14日(2011.4.14)
発明の名称または考案の名称 植物栄養状態診断方法、植物栄養状態回復方法、植物栄養状態診断装置、及び植物栄養状態回復装置
国際特許分類 A01G   7/00        (2006.01)
G01N  27/00        (2006.01)
G01N  33/48        (2006.01)
FI A01G 7/00 603
G01N 27/00 Z
G01N 33/48 N
請求項の数または発明の数 17
全頁数 22
出願番号 特願2010-040643 (P2010-040643)
出願日 平成22年2月25日(2010.2.25)
新規性喪失の例外の表示 特許法第30条第1項適用 2009生態工学会年次大会実行委員会、2009生態工学会年次大会発表論文集、平成21年6月19日
優先権出願番号 2009205305
優先日 平成21年9月4日(2009.9.4)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成24年10月31日(2012.10.31)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】801000027
【氏名又は名称】学校法人明治大学
【識別番号】000108627
【氏名又は名称】タカノ株式会社
発明者または考案者 【氏名】中林 和重
【氏名】苅部 誠
【氏名】中原 健司
個別代理人の代理人 【識別番号】100064908、【弁理士】、【氏名又は名称】志賀 正武
【識別番号】100106909、【弁理士】、【氏名又は名称】棚井 澄雄
【識別番号】100108578、【弁理士】、【氏名又は名称】高橋 詔男
【識別番号】100126882、【弁理士】、【氏名又は名称】五十嵐 光永
審査官 【審査官】木村 隆一
参考文献・文献 特開2003-310058(JP,A)
特開2008-280948(JP,A)
特開2006-145247(JP,A)
特開2004-089031(JP,A)
調査した分野 A01G 7/00-7/06
G01N 27/00
G01N 33/48
特許請求の範囲 【請求項1】
植物の栄養状態を診断する方法であって、
(a)1つ以上の検出用周波数と、前記検出用周波数の範囲外であり、かつ、生体電位の変動が少ない周波数として設定された対照用周波数とにおける、植物の生体電位を検出する工程と、
(b)前記対照用周波数において検出された生体電位と、前記検出用周波数において検出された生体電位とから、該植物の栄養状態を診断する工程と、を有し、
前記対照用周波数が、2~8Hzであり、前記検出用周波数が、9~44Hzであることを特徴とする植物栄養状態診断方法。
【請求項2】
植物の栄養状態を回復させる方法であって、
(a)1つ以上の検出用周波数と、前記検出用周波数の範囲外であり、かつ、生体電位の変動が少ない周波数として設定された対照用周波数とにおける、植物の生体電位を検出する工程と、
(b)前記対照用周波数において検出された生体電位と、前記検出用周波数において検出された生体電位とから、該植物の栄養状態を診断する工程と、
(c)前記工程(b)において栄養状態不良と診断された場合、周波数が44Hz以下の点滅光による刺激を付与し、該植物の栄養状態を回復させる工程と、を有し、
前記対照用周波数が、2~8Hzであり、前記検出用周波数が、9~44Hzであることを特徴とする植物栄養状態回復方法。
【請求項3】
前記工程(c)において、赤色点滅光と青色点滅光との組み合わせによる刺激を付与することを特徴とする請求項2記載の植物栄養状態回復方法。
【請求項4】
前記工程(c)における点滅光による刺激を付与したが再度前記工程(a)、(b)において栄養不足と診断されると、欠乏栄養分を付与することを特徴とする請求項2又は3記載の植物栄養状態回復方法。
【請求項5】
前記工程(c)における点滅光の照射時間を、1日あたり1分~12時間とすることを特徴とする請求項2から4のいずれか一項記載の植物栄養状態回復方法。
【請求項6】
植物の栄養状態を回復させる方法であって、
(a)1つ以上の検出用周波数と、前記検出用周波数の範囲外であり、かつ、生体電位の変動が少ない周波数として設定された対照用周波数とにおける、植物の生体電位を検出する工程と、
(b)前記対照用周波数において検出された生体電位と、前記検出用周波数において検出された生体電位とから、該植物の栄養状態を診断する工程と、
(c)前記工程(b)において栄養状態不良と診断された場合、欠乏栄養分を付与し、該植物の栄養状態を回復させる工程と、を有し、
前記対照用周波数が、2~8Hzであり、前記検出用周波数が、9~44Hzであることを特徴とする植物栄養状態回復方法。
【請求項7】
つ以上の検出用周波数と、前記検出用周波数の範囲外であり、かつ、生体電位の変動が少ない周波数として設定された対照用周波数とにおける、植物の生体電位を検出する電位検出手段と、
前記対照用周波数において検出された生体電位と、前記検出用周波数において検出された生体電位とから、該植物の栄養状態を診断する栄養状態診断手段と、をえ、
前記対照用周波数が、2~8Hzであり、前記検出用周波数が、9~44Hzであることを特徴とする植物栄養状態診断装置。
【請求項8】
前記栄養状態診断手段は、前記電位検出手段が前記検出用周波数において生体電位を検出すると、栄養状態不良を示す信号を出力し、前記電位検出手段が前記対照用周波数において生体電位を検出すると、前記栄養状態不良を示す信号の出力を中止することを特徴とする請求項記載の植物栄養状態診断装置。
【請求項9】
前記電位検出手段は、トーンデコーダーにて検出対象の周波数の電位を検出することを特徴とする請求項7又は8記載の植物栄養状態診断装置。
【請求項10】
つ以上の検出用周波数と、前記検出用周波数の範囲外であり、かつ、生体電位の変動が少ない周波数として設定された対照用周波数とにおける、植物の生体電位を検出する電位検出手段と、
前記対照用周波数において検出された生体電位と、前記検出用周波数において検出された生体電位とから、該植物の栄養状態を診断する栄養状態診断手段と、
栄養状態不良と診断された場合、該植物に周波数が44Hz以下の点滅光による刺激を付与する刺激付与手段と、を備え
前記対照用周波数が、2~8Hzであり、前記検出用周波数が、9~44Hzであることを特徴とする植物栄養状態回復装置。
【請求項11】
前記刺激付与手段は、赤色点滅光と青色点滅光との組み合わせによる刺激を付与することを特徴とする請求項10記載の植物栄養状態回復装置。
【請求項12】
前記刺激付与手段が点滅光による刺激を付与したが再度前記栄養状態診断手段が栄養不足と診断すると、欠乏栄養分を付与する手段を具備することを特徴とする請求項10又は11記載の植物栄養状態回復装置。
【請求項13】
前記刺激付与手段は、点滅光を1日あたり1分~12時間照射することを特徴とする請求項10から12のいずれか一項記載の植物栄養状態回復装置。
【請求項14】
前記栄養状態診断手段は、前記電位検出手段が前記検出用周波数において生体電位を検出すると、栄養状態不良を示す信号を出力し、前記電位検出手段が前記対照用周波数において生体電位を検出すると、前記栄養状態不良を示す信号の出力を中止し、
前記刺激付与手段は、前記栄養状態診断手段から前記栄養状態不良を示す信号が出力されているときに前記点滅光による刺激を付与する
ことを特徴とする請求項10から13のいずれか一項記載の植物栄養状態回復装置。
【請求項15】
つ以上の検出用周波数と、前記検出用周波数の範囲外であり、かつ、生体電位の変動が少ない周波数として設定された対照用周波数とにおける、植物の生体電位を検出する電位検出手段と、
前記対照用周波数において検出された生体電位と、前記検出用周波数において検出された生体電位とから、該植物の栄養状態を診断する栄養状態診断手段と、
栄養状態不良と診断された場合、該植物に欠乏栄養分を付与する欠乏栄養分付与手段と、を備え
前記対照用周波数が、2~8Hzであり、前記検出用周波数が、9~44Hzであることを特徴とする植物栄養状態回復装置。
【請求項16】
前記栄養状態診断手段は、前記電位検出手段が前記検出用周波数において生体電位を検出すると、栄養状態不良を示す信号を出力し、前記電位検出手段が前記対照用周波数において生体電位を検出すると、前記栄養状態不良を示す信号の出力を中止し、
前記欠乏栄養分付与手段は、前記栄養状態診断手段から前記栄養状態不良を示す信号が出力されると、前記欠乏栄養分を付与する
ことを特徴とする請求項15記載の植物栄養状態回復装置。
【請求項17】
前記電位検出手段は、トーンデコーダーにて検出対象の周波数の電位を検出することを特徴とする請求項10から16のいずれか一項記載の植物栄養状態回復装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、植物の栄養状態を診断する植物栄養状態診断方法、及び植物栄養状態診断装置、並びに、診断された栄養状態に基づいて植物の栄養状態を回復させる、植物栄養状態回復方法、及び植物栄養状態回復装置に関する。
【背景技術】
【0002】
植物の育成には、日光、二酸化炭素、及び水に加えて、窒素、リン、カリウム等の元素が必須である。これら元素は土壌中にも存在するが、植物が多量に必要とする元素は、肥料に多く含有されており、植物の育成を良好にするためには、施肥が行われている。
近年、植物に光等の低周波刺激を与えることにより、植物の育成を促進する方法が報告されている(特許文献1~3参照)。
また、植物の生体電位は、植物の状態と関連があることが知られており、解析された植物の状態に応じた育成方法の検討が行われている(特許文献4~5参考)。
【先行技術文献】
【0003】

【特許文献1】特開2004-089031号公報
【特許文献2】特開2007-050004号公報
【特許文献3】特開2001-251961号公報
【特許文献4】特開平9-056258号公報
【特許文献5】特開2006-145247号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
植物を良好に育成するためには、上述したように施肥が行われるが、植物は、土壌又は培地中の肥料濃度バランスが崩れた場合、貧栄養状態に陥る。そのため、近代農法においては、肥料濃度が一定以下にならないように過剰な肥料の付与を行うため、肥料コストの上昇、及び過剰量の肥料が地中や地下水中に分散することによる環境汚染という問題がある。
また、低周波刺激により植物を良好に育成する方法は、長期的に刺激を続けた場合、植物の育成を阻害するという問題があり、植物の育成状態が悪化した場合にのみ低周波刺激を与える必要がある。しかしながら、植物の外見により育成状態を診断するには熟練した技術が必要であり、且つ、外見に育成状態の悪化が現れてからでは、処置が間に合わないおそれもあるため、植物の状態を迅速且つ的確に診断し、状態が悪化している場合は状態を迅速に回復させることができる方法が求められている。さらに、上記植物の状態の診断及び状態の回復の手間がかかるという問題があり、簡便な方法が求められている。
一方、植物の生体電位を用いた植物の状態の診断方法は、測定された電位のノイズが大きい等の問題があり、その技術は未だ十分ではないため、更なる改善が求められている。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、植物の栄養状態を迅速且つ的確に診断することが可能な植物栄養状態診断方法、及び植物栄養状態診断装置を提供することを目的とする。栄養状態とは水分および栄養素(窒素、リン、カリウム、カルシウム、マグネシウムなど)の過不足の状態をいう。また、本発明は、診断された栄養状態に基づいて、迅速且つ効果的に植物の栄養状態を回復させることが可能な植物栄養状態回復方法、及び植物栄養状態回復装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、対照用周波数において検出された植物の生体電位と、検出用周波数において検出された該植物の生体電位とから、該植物の栄養状態を迅速且つ的確に診断することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明の第一の態様は、植物の栄養状態を診断する方法であって、
(a)1つ以上の検出用周波数と、前記検出用周波数の範囲外であり、かつ、生体電位の変動が少ない周波数として設定された対照用周波数とにおける、植物の生体電位を検出する工程と、
(b)前記対照用周波数において検出された生体電位と、前記検出用周波数において検出された生体電位とから、該植物の栄養状態を診断する工程と、を有し、
前記対照用周波数が、2~8Hzであり、前記検出用周波数が、9~44Hzであることを特徴とする植物栄養状態診断方法である
本発明の第二の態様は、植物の栄養状態を回復させる方法であって、
(a)1つ以上の検出用周波数と、前記検出用周波数の範囲外であり、かつ、生体電位の変動が少ない周波数として設定された対照用周波数とにおける、植物の生体電位を検出する工程と、
(b)前記対照用周波数において検出された生体電位と、前記検出用周波数において検出された生体電位とから、該植物の栄養状態を診断する工程と、
(c)前記工程(b)において栄養状態不良と診断された場合、周波数が44Hz以下の点滅光による刺激を付与し、該植物の栄養状態を回復させる工程と、を有し、
前記対照用周波数が、2~8Hzであり、前記検出用周波数が、9~44Hzであることを特徴とする植物栄養状態回復方法である。
前記工程(c)において、赤色点滅光と青色点滅光との組み合わせによる刺激を付与するようにしてもよい。
また、前記工程(c)における点滅光による刺激を付与したが再度前記工程(a)、(b)において栄養不足と診断されると、欠乏栄養分を付与するようにしてもよい。
また、前記工程(c)における点滅光の照射時間を、1日あたり1分~12時間としてもよい。
本発明の第三の態様は、植物の栄養状態を回復させる方法であって、
(a)1つ以上の検出用周波数と、前記検出用周波数の範囲外であり、かつ、生体電位の変動が少ない周波数として設定された対照用周波数とにおける、植物の生体電位を検出する工程と、
(b)前記対照用周波数において検出された生体電位と、前記検出用周波数において検出された生体電位とから、該植物の栄養状態を診断する工程と、
(c)前記工程(b)において栄養状態不良と診断された場合、欠乏栄養分を付与し、該植物の栄養状態を回復させる工程と、を有し、
前記対照用周波数が、2~8Hzであり、前記検出用周波数が、9~44Hzであることを特徴とする植物栄養状態回復方法である
【0008】
本発明の第四の態様は、つ以上の検出用周波数と、前記検出用周波数の範囲外であり、かつ、生体電位の変動が少ない周波数として設定された対照用周波数とにおける、植物の生体電位を検出する電位検出手段と、前記対照用周波数において検出された生体電位と、前記検出用周波数において検出された生体電位とから、該植物の栄養状態を診断する栄養状態診断手段と、をえ、前記対照用周波数が、2~8Hzであり、前記検出用周波数が、9~44Hzであることを特徴とする植物栄養状態診断装置である
本発明の第四の態様において、前記栄養状態診断手段は、前記電位検出手段が前記検出用周波数において生体電位を検出すると、栄養状態不良を示す信号を出力し、前記電位検出手段が前記対照用周波数において生体電位を検出すると、前記栄養状態不良を示す信号の出力を中止することが好ましい。
本発明の第五の態様は、つ以上の検出用周波数と、前記検出用周波数の範囲外であり、かつ、生体電位の変動が少ない周波数として設定された対照用周波数とにおける、植物の生体電位を検出する電位検出手段と、前記対照用周波数において検出された生体電位と、前記検出用周波数において検出された生体電位とから、該植物の栄養状態を診断する栄養状態診断手段と、栄養状態不良と診断された場合、該植物に周波数が44Hz以下の点滅光による刺激を付与する刺激付与手段と、を備え、前記対照用周波数が、2~8Hzであり、前記検出用周波数が、9~44Hzであることを特徴とする植物栄養状態回復装置である。
前記刺激付与手段は、赤色点滅光と青色点滅光との組み合わせによる刺激を付与するものであってもよい。
また、前記刺激付与手段が点滅光による刺激を付与したが再度前記栄養状態診断手段が栄養不足と診断すると、欠乏栄養分を付与する手段を具備するようにしてもよい。
また、前記刺激付与手段は、点滅光を1日あたり1分~12時間照射するものであってもよい。
本発明の第五の態様において、前記栄養状態診断手段は、前記電位検出手段が前記検出用周波数において生体電位を検出すると、栄養状態不良を示す信号を出力し、前記電位検出手段が前記対照用周波数において生体電位を検出すると、前記栄養状態不良を示す信号の出力を中止することが好ましい。
本発明の第六の態様は、つ以上の検出用周波数と、前記検出用周波数の範囲外であり、かつ、生体電位の変動が少ない周波数として設定された対照用周波数とにおける、植物の生体電位を検出する電位検出手段と、前記対照用周波数において検出された生体電位と、前記検出用周波数において検出された生体電位とから、該植物の栄養状態を診断する栄養状態診断手段と、栄養状態不良と診断された場合、該植物に欠乏栄養分を付与する欠乏栄養分付与手段と、を備え、前記対照用周波数が、2~8Hzであり、前記検出用周波数が、9~44Hzであることを特徴とする植物栄養状態回復装置である。
本発明の第六の態様において、前記栄養状態診断手段は、前記電位検出手段が前記検出用周波数において生体電位を検出すると、栄養状態不良を示す信号を出力し、前記電位検出手段が前記対照用周波数において生体電位を検出すると、前記栄養状態不良を示す信号の出力を中止することが好ましい。

【0009】
なお、本発明の植物栄養状態診断装置及び植物栄養状態回復装置には、さらに、トーンデコーダーを用いて構成することも有効である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、対照用周波数において検出された植物の生体電位と、対照用周波数において検出された該植物の生体電位とから、該植物の栄養状態を迅速且つ的確に診断することができる。
また、診断された植物の状態を用いて、状態が悪化している場合は、状態を迅速に回復させることができる。さらに、植物の状態の回復に点滅光を用いる場合にも、状態が悪化した時のみ点滅光の照射を行うことができるため、長期的に使用し続けることにより植物の育成を阻害することがない。そして、本発明を用いることにより、植物が土壌、培地又は培養液中の肥料を最大限摂取できるため、肥料コスト及び環境汚染の低減が達成できる。
また、これら植物の状態の診断及び状態の回復は、一連の動作として装置内で自動的に行うことが可能であるため、手間を大幅に省くことができ、非常に簡便である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第一の態様の植物栄養状態診断方法の一連の流れを示す概略フロー図である。
【図2】本発明の第二の態様の植物栄養状態回復方法の一連の流れを示す概略フロー図である。
【図3】本発明の第三の態様の植物栄養状態回復方法の一連の流れを示す概略フロー図である。
【図4】本発明の第四の態様の植物栄養状態診断装置、並びに第五の態様及び第六の態様の植物栄養状態回復装置の構成例を示す図である。
【図5】参考例1において、点滅光による刺激を行った際の、点滅光の色ごとの果実収量を示す図である。
【図6】参考例2において、点滅光による刺激を行った際の、植物の葉の色と光合成速度との関係を示す図である。
【図7】参考例3における培養液中のマグネシウム濃度ごとの生重量を示す図である。
【図8】参考例3における培養液中のマグネシウム濃度ごとの植物乾物中のマグネシウム含有率を示す図である。
【図9】参考例3において、培養液中のマグネシウム濃度が0.50ミリモル/リットルの場合の、生体電位スペクトラムを示す図である。
【図10】参考例3において、培養液中のマグネシウム濃度が0.00ミリモル/リットルの場合の、生体電位スペクトラムを示す図である。
【図11】参考例3における培養液中のマグネシウム濃度と周波数40Hzの生体電位の大きさとの関係を示す図である。
【図12】参考例3における培養液中のマグネシウム濃度ごとの、植物乾物中のマグネシウム含有率及び周波数40Hzの生体電位の大きさを示す図である。
【図13】実施例1において検出された生体電位スペクトラムの一例を示す図である。
【図14】実施例1において検出された生体電位スペクトラムの一例を示す図である。
【図15】実施例1において検出された生体電位スペクトラムの一例を示す図である。
【図16】実施例1において検出された生体電位スペクトラムの一例を示す図である。
【図17】実施例1において検出された生体電位スペクトラムの一例を示す図である。
【図18】実施例1において検出された生体電位スペクトラムの一例を示す図である。
【図19】実施例1において検出された生体電位スペクトラムの一例を示す図である。
【図20】実施例1において検出された生体電位スペクトラムの一例を示す図である。
【図21】実施例1において検出された8個(図13から図20の8例)の生体電位スペクトラムにおける50Hz電位と2~8Hz帯電位の相関図である。
【図22】実施例1において検出された8個(図13から図20の8例)の生体電位スペクトラムにおける50Hz電位と45~49Hz帯電位の相関図である。
【図23】実施例2における試験区ごとの、草丈及び葉の大きさを示す図である。
【図24】実施例2における交換区の、電位ピーク検知時点、標準培養液交換1週間経過時点、及び貧栄養培養液交換2週間経過時点の、生体電位スペクトラムを示す図である。
【図25】実施例2における電位照射区の、電位ピーク検知時点、点滅光照射開始1週間経過時点、及び点滅光照射開始3週間経過時点の、生体電位スペクトラムを示す図である。
【図26】実施例2における試験区ごとの、電位ピーク検知時点、電位ピーク検知後1週間経過時点、及び電位ピーク検知後3週間経過時点の、植物汁液中の硝酸態窒素濃度を示す図である。
【図27】実施例2における試験区ごとの、電位ピーク検知時点、電位ピーク検知後1週間経過時点、及び電位ピーク検知後3週間経過時点の、植物汁液中のカリウム濃度を示す図である。
【図28】本発明の第四の態様の植物栄養状態診断装置、及びに第五の態様の植物栄養状態回復装置にトーンデーターを用いた構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明において、植物は特に限定されず、食用植物であっても、観葉植物であっても、花きであってもよい。食用植物としては、ルッコラ、チンゲンサイ、カイワレダイコン等のアブラナ科の植物、レタス等のキク科の植物、トマト等のナス科の植物、稲等のイネ科の植物、又はホウレンソウ等のアカザ科の植物が好ましく、観葉植物としては、コリウス等が好ましい。また、サンゴ、水草、藻にも適用できる。

【0013】
《第一の態様》
本発明の植物栄養状態診断方法は、植物の栄養状態を診断する方法であって、下記工程(a)及び工程(b)を有する。
(a)対照用周波数、及び1つ以上の検出用周波数における、植物の生体電位を検出する工程。
(b)前記対照用周波数において検出された生体電位と、前記検出用周波数において検出された生体電位とから、該植物の栄養状態を診断する工程。

【0014】
図1に、第一の態様の植物栄養状態診断方法の一連の流れを示す概略フロー図を示す。
工程(a)において植物の生体電位を検出するとは、対象とする植物中の特定の栄養分が欠乏しているか否かを診断するために、対照用周波数と特定の栄養分に由来する周波数における電位を検出することをいう。ここで、栄養分としては、植物の育成に必要なものであれば特に限定されるものではないが、植物の必須元素であることが好ましい。
検出用周波数は、検出しようとする栄養分の欠乏を検出できるものであれば、特に限定されるものではなく、複数の栄養分をまとめて検出できる周波数であってもよい。栄養分の欠乏を検出できる周波数としては、例えば、窒素、カリウムの欠乏時に電位の増大が検出される20Hz付近、マグネシウム、リン、カルシウムの欠乏時に電位の増大が検出される40Hz付近が挙げられる。本発明における検出用周波数としては、9~44Hzの間の任意の範囲の周波数であることが好ましく、窒素、カリウムの欠乏を検出できる9~27Hz、又はマグネシウム、リン、カルシウムの欠乏を検出できる28~44Hzの間の任意の範囲の周波数であることがより好ましい。50Hz以上の周波数であると、商用電源や音波等の周囲の環境の影響を受けやすいため、検出が困難となる。
対照用周波数は、上記検出用周波数と重複するものでなければ、特に限定されるものではなく、任意に決定できるが、植物の状態の良し悪しに関わらず、生体電位の変動が少ない周波数であることが好ましい。したがって、上記検出用周波数の好ましい範囲外であり、且つ環境の影響を受けにくい49Hz以下である、2~8Hz又は45~49Hzであることが好ましく、2~8Hzであることがより好ましく、3~8Hzであることがさらに好ましく、5~7Hzであることが特に好ましい。本発明者らの検討では、現在までに2~8Hzの間に栄養分の欠乏に影響される周波数は見出されていないため、好適である。
対照用周波数、及び1つ以上の検出用周波数における、植物の生体電位を検出する方法は、特に限定されるものではなく、常法により行うことができる。例えば、植物の任意の異なる2箇所に接触させた電極を介して生体電位を検出し、検出した生体電位を増幅した後、フィルターを用いて目的の対照用周波数又は検出用周波数の電位のみをより分ける方法が挙げられる。

【0015】
工程(b)では、前記工程(a)で検出された対照用周波数における生体電位と、検出用周波数における生体電位とから、植物の栄養状態を診断する。上記のように、対照用周波数を生体電位の変動が少ない周波数に設定することにより、対照用周波数における生体電位を、生体電位測定の検出感度を示す指標として用いることができ、検出用周波数における生体電位による診断の精度を向上させることができる。
診断方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、
検出用周波数における生体電位(以下、「シグナル」ということがある。)と対照用周波数における生体電位(以下、「ノイズ」ということがある。)の比(S/N比)を算出し、該S/N比が所定の閾値以上であれば、検出用周波数における生体電位が確かに検出されたと診断し、その検出用周波数に関わる栄養分が欠乏していると診断する方法;
シグナル及びノイズの閾値をあらかじめ設定し、該シグナルの閾値以上のシグナルが検出された場合、その検出用周波数に関わる栄養分が欠乏していると診断するが、同時に該ノイズの閾値以上のノイズが検出された場合は、検出されたシグナルを無効として扱い、栄養分は欠乏していないと診断する方法;これらの組み合わせ;等が挙げられる。
生体電位実測値を用いてS/N比により診断する際は、該S/N比の閾値は、2以上に設定することが好ましく、3以上に設定することがより好ましく、5以上に設定することがさらに好ましい。シグナル及びノイズの閾値をあらかじめ設定して診断する際は、シグナルの閾値は、0.0005mV以上であることが好ましく、0.005mV以上であることがより好ましく、0.010mV以上であることがよりさらに好ましい。ノイズの閾値は、0.010mV以下であることが好ましく、0.005mV以下であることがより好ましく、0.001mV以下であることがさらに好ましい。
また、第一の態様の植物栄養状態診断方法の一連の工程を行う場合は、後述する第四の態様の植物栄養状態診断装置を用いることが好ましい。

【0016】
《第二の態様》
本発明の第二の態様の植物栄養状態回復方法は、植物の栄養状態を回復させる方法であって、下記工程(a)、工程(b)及び工程(c)を有する。
(a)対照用周波数、及び1つ以上の検出用周波数における、植物の生体電位を検出する工程。
(b)前記対照用周波数において検出された生体電位と、前記検出用周波数において検出された生体電位とから、該植物の栄養状態を診断する工程。
(c)前記工程(b)において栄養状態不良と診断された場合、周波数が44Hz以下の点滅光による刺激を付与し、該植物の栄養状態を回復させる工程。
第二の態様における工程(a)及び工程(b)は、上記第一の態様の工程(a)及び工程(b)と同様である。

【0017】
図2に、第二の態様の植物栄養状態診断方法の一連の流れを示す概略フロー図を示す。
本発明において、栄養状態不良とは、前記工程(b)において、何らかの栄養分の欠乏と診断された状態、すなわち、貧栄養状態を指す。

【0018】
栄養状態不良と診断された際に付与する光は、点滅光であれば特に限定されるものではなく、一定周期で点滅する光であっても、不定期で点滅する光であってもよい。光の周波数は44Hz以下であれば特に限定されるものではないが、1~44Hzであることが好ましく、5~36Hzであることがより好ましく、9~36Hzであることがさらに好ましく、15~25Hzであることが特に好ましい。光強度は、特に限定されるものではないが、0.01~1000lxであることが好ましく、0.1~100lxであることがより好ましく、0.3~10lxであることがさらに好ましく、0.3~0.6lxであることが特に好ましい。光は紫外光又は赤外光であってもよいが、可視光が望ましい。光が可視光である場合、その色は特に限定されるものではないが、赤色、黄色、橙色等の暖色であることが好ましく、赤色であることが特に好ましい。また、本発明では、2種以上の光を同時に照射してもよく、その色の組み合わせとしては、暖色の光と、青色等の寒色の光とを組み合わせることが好ましい。光の光源は、特に限定されるものではないが、白熱電球、ストロボ光、LED等を用いることができ、LEDであることが好ましい。光の照射時間は、特に限定されるものではないが、長時間照射し続けると植物の育成に悪影響を及ぼすことから、1日あたり1分~12時間であることが好ましく、5分~6時間であることがより好ましく、10分~3時間であることがさらに好ましい。
点滅光による刺激の付与方法は特に限定されるものではなく、常法により光を植物に対して照射して行うことができる。点滅光による刺激を付与する部位は、植物の葉、茎、花等の地上部分であってもよく、根等の地下部分であってもよい。

【0019】
上記第二の態様の植物栄養状態回復方法は、対象となる植物に対し、常時、工程(a)~(c)を繰り返して行ってもよく、生育のある段階において、単回又は複数回、工程(a)~(c)を行ってもよい。常時工程(a)~(c)を行うことにより、該植物の栄養状態を常にモニタリングし、必要なときのみ点滅光刺激を付与し、迅速に栄養状態を回復させることができるため好ましい。
また、第二の態様の植物栄養状態回復方法の一連の工程を行う場合は、後述する第五の態様の植物栄養状態回復装置を用いることが好ましい。

【0020】
《第三の態様》
本発明の第三の態様の植物栄養状態回復方法は、植物の栄養状態を回復させる方法であって、下記工程(a)、工程(b)及び工程(c)を有する。
(a)対照用周波数、及び1つ以上の検出用周波数における、植物の生体電位を検出する工程。
(b)前記対照用周波数において検出された生体電位と、前記検出用周波数において検出された生体電位とから、該植物の栄養状態を診断する工程。
(c)前記工程(b)において栄養状態不良と診断された場合、欠乏栄養分を付与し、該植物の栄養状態を回復させる工程。
図3に、第三の態様の植物栄養状態診断方法の一連の流れを示す概略フロー図を示す。
第三の態様における工程(a)及び工程(b)は、上記第一の態様の工程(a)及び工程(b)と同様である。

【0021】
工程(c)において、欠乏栄養分とは、前記工程(b)において、不足と診断された栄養分を指す。欠乏栄養分は、該欠乏栄養分のみで付与してもよく、水等の溶媒に分散させた形で付与してもよく、該欠乏栄養分を含有する配合肥料等を付与してもよい。また、欠乏栄養分の付与量及び付与期間は、特に限定されるものではなく、適宜決定することができる。
欠乏栄養分の付与方法は特に限定されるものではなく、該植物の土壌、培地、培養液、茎、葉、根等に対して、散布、混合塗布等の常法により行うことができる。

【0022】
上記第三の態様の植物栄養状態回復方法は、対象となる植物に対し、常時、工程(a)~(c)を繰り返して行ってもよく、生育のある段階において、単回又は複数回、工程(a)~(c)を行ってもよい。常時工程(a)~(c)を行うことにより、該植物の状態を常にモニタリングし、必要なときのみ欠乏栄養分を付与し、迅速に栄養状態を回復させることができるため好ましい。
また、第三の態様の植物栄養状態回復方法の一連の工程を行う場合は、後述する第六の態様の植物栄養状態回復装置を用いることが好ましい。

【0023】
また、上記第二の態様の植物栄養状態回復方法と、上記第三の態様の植物栄養状態回復方法とを組み合わせて用いることができる。組み合わせの好ましい例としては以下のようなものが挙げられる:
第二の態様の工程(a)、(b)において栄養不良と診断され、第二の態様の工程(c)において点滅光刺激を付与する一連の流れを単回又は複数回行う。第二の態様の工程(a)、(b)において栄養不良と診断され、第二の態様の工程(c)において点滅光刺激を付与する一連の流れを単回又は複数回行ったが再度工程(a)、(b)において栄養不良と診断されたため、第三の態様の工程(c)により欠乏栄養分を付与する;
工程(a)、(b)において栄養不良と診断され、第二の態様の工程(c)において点滅光刺激を付与する一連の流れを単回又は複数回行ったが、再度工程(a)、(b)において栄養不良と診断されたため、第二の態様の工程(c)と第三の態様の工程(c)を併用し、点滅光刺激と共に欠乏栄養分を付与する。

【0024】
《第四の態様》
本発明の第四の態様の植物栄養状態診断装置は、対照用周波数、及び1つ以上の検出用周波数における、植物の生体電位を検出する電位検出手段と、
前記対照用周波数において検出された生体電位と、前記検出用周波数において検出された生体電位とから、該植物の栄養状態を診断する栄養状態診断手段と、を備える。

【0025】
電位検出手段は、植物の異なる2箇所に接触させた電極を介して生体電位を検出し、検出した生体電位を増幅した後、フィルターを介して、目的の対照用周波数及び検出用周波数における電位を検出する。
ここで、対照用周波数及び検出用周波数は上記第一の態様と同様である。電極は、特に限定されるものではないが、白金、銀、チタニウム、又はステンレスチール製の電極であることが好ましい。フィルターは、特に限定されるものではないが、ローパスフィルター(LPF)、ハイパスフィルター(HPF)、又はバンドパスフィルター(BPF)が好ましく、バンドパスフィルター(BPF)であることがより好ましい。

【0026】
栄養状態診断手段は、電位検出手段が検出した対照用周波数において検出された生体電位と、検出用周波数において検出された生体電位とから、栄養状態を診断する。栄養状態の診断の方法は、上記第二の態様と同様である。

【0027】
また、第四の態様の植物栄養状態診断装置は、上記手段以外に、診断された栄養状態を画面等に表示する栄養状態表示手段や、該栄養状態を情報として蓄積する栄養状態記憶手段を併せて備えていてもよい。栄養状態表示手段や栄養状態記憶手段は、公知の方法により構築することができる。

【0028】
第四の態様の植物栄養状態診断装置の構成は、図4に示す通り、後述する第五の態様及び第六の態様の植物栄養状態回復装置の比較回路までの部分と、同様の構成である。

【0029】
《第五の態様》
本発明の第五の態様の植物栄養状態回復装置は、対照用周波数、及び1つ以上の検出用周波数における、植物の生体電位を検出する電位検出手段と、
前記対照用周波数において検出された生体電位と、前記検出用周波数において検出された生体電位とから、該植物の栄養状態を診断する栄養状態診断手段と、
栄養状態不良と診断された場合、該植物に周波数が44Hz以下の点滅光による刺激を付与する刺激付与手段と、を備える。
電位検出手段及び栄養状態診断手段は、上記第四の態様と同様である。

【0030】
刺激付与手段は、栄養状態診断手段が診断した結果に基づき、該植物に周波数が44Hz以下の点滅光による刺激を付与する。点滅光の種別、点滅光による刺激の付与方法は、上記第二の態様と同様である。

【0031】
図4は、第五の態様の植物栄養状態回復装置の構成例を示す図である。以下、図を用いて構成及び動作を説明するが、本発明はこれに限られるものではない。
対象とする植物の任意の2点に接続された電極間の電位差が図中の電圧増幅器に入力され、増幅される。電圧増幅器(オペアンプ)は、検出電位へのノイズ混入を防止するため、乾電池、太陽電池等を用いた直流電源により動作させることが好ましい。
その後、分配器により、複数の信号に分配される。また、図4では、対照用周波数と1つの検出用周波数とにおける、2つの生体電位を検出するため、2分配を行う。
次に、2分配された電位信号は、それぞれ図中のバッファアンプを介した後に、バンドパスフィルター(BPF)により、対照用周波数(ここでは2~8Hz)又は検出用周波数(ここでは9~44Hz)の周波数のみをより分け、信号変換器により、信号を交流から直流に変換し、比較器(コンパレータ)へ入力する。
ここでは、検出用周波数における電位が所定の閾値以上である場合に、一定時間の点滅光照射を開始し、対照用周波数における電位が所定の閾値以上である場合に、点滅光照射を中断する方法を採用した場合について説明する。このとき、コンパレータに入力された検出用周波数における電位信号は、設定された閾値(比較電圧)と比較され、その結果がタイマー回路に入力され、タイマー回路は閾値よりも入力された電位信号が大きい場合に、点滅光照射タイマーをセットする出力信号(タイマーセット)を出力する。また、コンパレータに入力された対照用周波数における電位信号は、設定された閾値(比較電圧)と比較され、その結果がタイマー回路に入力され、タイマー回路は閾値よりも入力された電位信号が大きい場合に、点滅光照射タイマーをリセットする出力信号(タイマーリセット)を出力する。
出力されたタイマーセット及び/又はタイマーリセットの信号は、LED点滅周波数発信回路により制御されたLED制御器に入力され、LED照射器から植物への点滅光照射が開始又は停止される。LED点滅周波数発信回路には、あらかじめ点滅周波数を設定しておくこともできるし、検出用周波数に対応した周波数を出力することもできる。
第五の態様の植物栄養状態回復装置は、筐体内に収められたものであってもなくてもよいが、筐体を用いることにより、外部との接触が低減され、ノイズが低減されるため、筐体を用いることが好ましい。また、該植物栄養状態回復装置は、全ての手段が1つの筐体内に収められたものであってもよく、複数の筐体が結ばれたものであってもよい。筐体の部材、形状は特に限定されるものではないが、アルミを用いた筐体の場合磁力線ノイズが低減され、鉄を用いた筐体の場合電気力線ノイズが低減されるため、好ましく、アルミ筐体と鉄筐体との組み合わせがより好ましい。

【0032】
《第六の態様》
本発明の第六の態様の植物栄養状態回復装置は、対照用周波数、及び1つ以上の検出用周波数における、植物の生体電位を検出する電位検出手段と、
前記対照用周波数において検出された生体電位と、前記検出用周波数において検出された生体電位とから、該植物の栄養状態を診断する栄養状態診断手段と、
栄養状態不良と診断された場合、該植物に欠乏栄養分を付与する欠乏栄養分付与手段と、を備える。
電位検出手段及び栄養状態診断手段は、上記第四の態様と同様である。
欠乏栄養分付与手段は、栄養状態診断手段が診断した結果に基づき、該植物に欠乏栄養分を付与する。欠乏栄養分の付与方法は、上記第三の態様と同様である。

【0033】
図4は、第六の態様の植物栄養状態回復装置の構成例を示す図である。
上記第五の態様と同様にして、比較回路において所定の閾値と比較された結果が、タイマー回路に入力され、タイマー回路は、施肥をセットする出力信号(施肥セット)又は施肥をリセットする出力信号(施肥リセット)を出力する。
出力された施肥セット及び/又は施肥リセットの信号は、肥料調合機に入力され、肥料調合セット信号のみの場合は、施肥機から施肥が実行される。また、肥料調合セット信号+肥料調合リセット信号の場合、又は肥料調合リセット信号のみの場合は、施肥は実行されない。また、肥料の種類は肥料選別機によって選ぶことができる。

【0034】
次に、植物栄養状態診断装置および植物栄養状態回復装置の上記以外の構成例として、トーンデコーダーを用いた構成例について説明する。
図28は、第四の態様の植物栄養状態診断装置にトーンデコーダーを用いた構成例を示す図である。
本発明の第四の態様の植物栄養状態診断装置は、対照用周波数、及び1つ以上の検出用周波数における、植物の生体電位を検出する電位検出手段と、
前記対照用周波数において検出された生体電位と、前記検出用周波数において検出された生体電位とから、該植物の栄養状態を診断する栄養状態診断手段と、を備えるが、これにトーンデコーダーを用いる場合、電位検出手段としては、植物の異なる2箇所に接触させた電極を介して生体電位を検出し、検出した生体電位をALC(Automatic Level Control;自動レベル制御)回路で安定化させた後、トーンデコーダー(Tone Decoder)回路で目的の対照用周波数及び検出用周波数における電位を検出し、当該電位を検出したことを示す信号を、ワンショットタイマー(One Shot Timer)回路を用いて所定の時間出力する。
ここで、対照用周波数及び検出用周波数は上記第一の態様と同様である。また、電極は、特に限定されるものではないが、上記第四の態様と同様、白金、銀、チタニウム、又はステンレスチール製の電極であることが好ましい。

【0035】
ALC回路は、出力電圧レベルを一定に保つ回路であり、例えば、市販されている自動レベル調整機能付きアンプIC(Integrated Circuit)を用いて実現できる。
トーンデコーダー回路は、予め設定された周波数帯域の電位を検出する回路であり、例えば、市販されているトーンデコーダーICを用いて実現できる。検出対象の周波数の電位を的確に検出するために、トーンデコーダー回路としては、PLL(Phase Locked Loop)方式トーンデコーダーICなど、鋭い周波数選択性を持った回路を用いることが好ましい。電位検出手段は、検出対象の周波数毎にトーンデコーダー回路を具備する。図28の例では、電位検出手段は、検出用周波数を検出するトーンデコーダー回路として、20Hzと40Hzとを検出する2個のトーンデコーダー回路を具備し、対照用周波数を検出するトーンデコーダー回路として、7Hzを検出するトーンデコーダー回路を具備する。
ワンショットタイマー回路は、トーンデコーダー回路が検出対象の周波数における電位を検出した際に、動作漏れを防ぐために信号を一定時間出力する回路であり、例えば、市販されているタイマーICを用いて実現できる。

【0036】
また、栄養状態診断手段としては、電位検出手段が検出した対照用周波数において検出された生体電位と、検出用周波数において検出された生体電位とから、栄養状態を診断する。
具体的には、栄養状態診断手段は、タイマー(Timer)回路を具備する。このタイマー回路は、検出用周波数において生体電位を検出したことを示す信号が電位検出手段から出力されると、この信号をトリガー(Trigger)として、栄養状態不良を示す信号を所定の時間出力する。
また、栄養状態診断手段のタイマー回路は、対照用周波数において生体電位を検出したことを示す信号が電位検出手段から出力されると、栄養状態不良を示す信号の出力を中止(リセット、Reset)する。第一の態様にて説明したように、対照用周波数は、植物の状態の良し悪しに関わらず、生体電位の変動が少ない周波数である。したがって、この対照用周波数を検出した際に、栄養状態不良を示す信号の出力を中止することにより、ホワイトノイズ等のノイズによる誤動作を防止できる。栄養状態診断手段は、例えば、市販されているタイマーICを用いて実現できる。

【0037】
このように、トーンデコーダーを用いて植物栄養状態診断装置を構成することにより、フィルターを用いる場合よりも、検出する周波数帯域幅を狭くできる。フィルターを用いた場合、検出対象の周波数帯域幅は、例えば、周波数がxHzのときほぼx±1/3xの関係があり、帯域幅が広く、ノイズを拾いやすいが、トーンデコーダーを用いることにより、例えば、検出対象の周波数プラスマイナス5%の狭い帯域幅で生体電位を検出できる。これにより、生体電位の検出をより小信号下でも正確に行えるので大きく増幅する必要がなく、したがって、プリアンプを不要又は装置全体を小型化することができる。
また、トーンデコーダーを用いて植物栄養状態診断装置を構成することにより、前述した第四の態様のようにBPF等のフィルターを用いる場合よりも装置を小型化でき、また、消費電力を削減できる。検出用周波数において検出する電位は、信号レベルが0.01~0.1mV程度と微小であり、また、バックグラウンドノイズが0.04mV程度と相対的に大きいため、BPFを用いて電位を検出する場合は、例えば7次のBPFが必要であり、装置の小型化や消費電力の削減が困難であった。これに対して、トーンデコーダーを用いて電位を検出する場合は、上述のPLL方式のように鋭い周波数選択性を持った回路を用いて多段化せずに電位を検出することができ、さらに、IC化された回路を用いることにより大幅に小型化および省電力化が可能である。消費電力の削減により、例えば、植物栄養状態診断装置が、小型ニッケルカドミウム電池と、この小型ニッケルカドミウム電池を充電する太陽電池を具備することにより電源をまかなうことができる。したがって、植物栄養状態診断装置の動作環境(畑地など)の周辺に家庭用電源等の電源が無い場合にも使用できる。また、家庭用電源等の交流電流を用いずに動作させられるので、交流電源によるノイズの影響を受けない。

【0038】
図28は、第五の態様の植物栄養状態回復装置にトーンデコーダーを用いた構成例を示す図である。以下、同図を用いて構成及び動作を説明するが、本発明はこれに限られるものではない。
本発明の第五の態様の植物栄養状態回復装置は、対照用周波数、及び1つ以上の検出用周波数における、植物の生体電位を検出する電位検出手段と、
前記対照用周波数において検出された生体電位と、前記検出用周波数において検出された生体電位とから、該植物の栄養状態を診断する栄養状態診断手段と、
栄養状態不良と診断された場合、該植物に周波数が44Hz以下の点滅光による刺激を付与する刺激付与手段と、を備えるが、これにさらにトーンデコーダーを用いる場合、電位検出手段及び栄養状態診断手段は、上記第四の態様にさらにトーンデコーダーを用いた場合と同様である。

【0039】
トーンデコーダーを用いた場合の刺激付与手段は、発光ダイオード(Light Emitting Diode;LED)と、発光ダイオードを点滅させる発振器(Oscillator;OSC)とを具備し、栄養状態診断手段が診断した結果に基づき、該植物に周波数が44Hz以下の点滅光による刺激を付与する。点滅光の種別、点滅光による刺激の付与方法は、上記第二の態様と同様である。
具体的には、まず、栄養状態診断手段が栄養状態不良を示す信号を出力する時間を、第二の態様で説明した光の照射時間に予め設定しておく。これにより、栄養状態診断手段は、点滅光による刺激を植物に付与する時間を制御するタイマーとして機能する。
そして、発振器は、栄養状態不良を示す信号が栄養状態診断手段から出力されている間、44Hz以下の矩形波の電圧信号を発光ダイオードに出力する。発振器は、例えば、市販のタイマーICを用いて実現できる。発光ダイオードは、発振器から出力される電圧信号により点滅する。これにより、第二の態様と同様の点滅光による刺激を植物に付与できる。

【0040】
トーンデコーダーを用いた植物栄養状態回復装置も、上記トーンデコーダーを用いた植物栄養状態診断装置と同様、トーンデコーダーを用いることにより、フィルターを用いる場合よりも、検出する周波数帯域幅を狭くでき、また、装置を小型化でき、さらに、消費電力を削減できる。

【0041】
なお、植物栄養状態回復装置が複数の検出用周波数を検出する場合、周波数毎に栄養状態診断手段と刺激付与手段とを具備し、検出した周波数に応じて異なる色または周波数または照射時間の点滅光刺激を植物に付与するようにしてもよい。
なお、以上では光源としてLEDを用いる場合について説明したが、これに限定されるものではなく、白熱電球やストロボ光等、他の光源を用いてもよい。なお、消費電力を削減するためには、LEDを用いることが好ましい。
なお、植物栄養状態回復装置が、刺激付与手段に代えて、あるいは、刺激付与手段に加えて、上記第六の態様と同様の欠乏栄養分付与手段を具備するようにしてもよい。この場合、栄養状態診断手段が出力する、栄養状態不良を示す信号を、施肥セット信号として用いることができる。欠乏栄養分付与手段は、栄養状態診断手段から施肥セット信号が出力されると、上記第六の態様と同様に施肥を行って、植物に欠乏栄養分を付与する。さらに、栄養状態診断手段が、栄養状態不良を示す信号の出力を終了するタイミングを、上記第六の態様と同様の施肥リセットとして用いるようにしてもよい。
【実施例】
【0042】
次に実施例を示して本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0043】
[参考例1]
(点滅光の色と果実収量との関係)
ミニトマトを用いて、点滅光の色による果実収量の違いを調べた。
具体的には、ミニトマト(「ラブリー藍」、商品名、協和種苗株式会社製)を2009年4月10日に播種し、5月20日に完全な栄養分を満たした水耕栽培用ベッドに定植した。この際に、点滅光の種類を、赤色点滅光のみの試験区(Red)、赤色点滅光と青色点滅光を5:1で組み合わせた試験区(R/B=5)無照射試験区(Cont)の3種類を設けた(各区供試株数:8株)。点滅光にはLEDを用い、周波数は20Hz、波長は赤色がLED(ER-500、商品名、スタンレー電気株式会社製)660nm、青色がLED(UB5305S、商品名、スタンレー電気株式会社製)470nm、光強度は1~20lx、照射時間は光合成が盛んな9時~15時までの6時間とした。ミニトマトの第一段果房が着色を始めた7月7日に栽培を終了し、栽培終了時点の第三段果房までの1株あたりの果実収量(g)の平均を求めた。結果を図5に示す。
この結果、無照射試験区に比べて、点滅光照射試験区では果実収量が多く、赤色点滅光と青色点滅光を組み合わせた照射試験区の方が、赤色点滅光のみの点滅光照射試験区よりもさらに果実収量が多いことが分かった。
【実施例】
【0044】
[参考例2]
(植物の葉の色と点滅光照射の有無と光合成量との関係)
赤色の大型斑を葉に有するコリウスを用いて、葉の色と点滅光照射の有無と光合成量との関係を調べた。
具体的には、コリウスを10000lxの人工太陽光(「XC-1000」、商品名、セリック株式会社製)環境下で育成し、葉の緑色の部分で無照射の試験区(緑色部無照射)、葉の緑色の部分で赤色点滅光を照射した試験区(緑色部赤照射)、葉の赤色の部分で無照射の試験区(赤色部無照射)、葉の赤色の部分で赤色点滅光を照射した試験区(赤色部赤照射)の4種類を設けた。赤色点滅光には660nmのLED(ER-500、商品名、スタンレー電気株式会社製)を用い、光強度は葉面で1~10lxの強さになるように調整した。LI-6400(商品名、LI-COR社製)を用いて、各試験区の葉の光合成量を測定した結果を図6に示す。
この結果、赤色点滅光照射により、葉の緑色の部分のみならず、葉の赤色の部分においても、光合成量が増加した。今まで、赤色点滅光照射は植物の緑色の葉緑素に影響を与え、光合成を促進していると考えられていたが、このことにより、赤色点滅光照射は緑色の葉緑素以外にも影響を与えると推察された。
【実施例】
【0045】
[参考例3]
(マグネシウム欠乏と生体電位との関係)
ハーブを用いて、マグネシウム欠乏と生体電位の関係を調べた。
具体的には、2009年2月20日にルッコラ(株式会社トーホク製)を、プライムミックス(「TKS-2」、商品名、サカタのタネ製)を充填した128穴ポットに播種した。播種20日後にパーライトを充填した24穴の緑セルに生育の均一な苗を千鳥に定植し、下記に示す培養液の施用を開始した。葉面における生体電位の測定は4月9日に行い、4月17日に栽培を終了した。
試験区は、栄養塩としての硫酸マグネシウムの濃度を、0.00ミリモル/リットル、0.10ミリモル/リットル、0.20ミリモル/リットル、0.30ミリモル/リットル、0.40ミリモル/リットル、0.50ミリモル/リットルの6段階に設定した、計6試験区とした(各区供試株数:48株)。また、生体電位の測定は高速データ収集システムNR-2000(商品名、株式会社キーエンス製)を用い、サンプリング周期を200Hz、データポイント数を2000点に設定した。電極には銀-塩化銀電極を用いた。
各試験区の1株あたりの生重量(g)の平均を図7に、各試験区の乾物中マグネシウム含有率を図8に、マグネシウム0.50ミリモル/リットル試験区の生体電位スペクトラムを図9に、マグネシウム0.00ミリモル/リットル試験区の生体電位スペクトラムを図10に、マグネシウム含有率と40Hzの生体電位との相関図(R=-0.960)を図11に、各試験区のマグネシウム含有率と40Hzの生体電位を図12にそれぞれ示す。
この結果、生重量は完全栄養区である0.50ミリモル/リットル試験区で最も高く(図7)、乾物中のマグネシウム含有率も0.50ミリモル/リットル試験区で最も高かった(図8)。また、生体電位スペクトラムでは、0.50ミリモル/リットル試験区以外の全ての試験区では40Hz付近にピークが現れた(図9、図10;0.10ミリモル/リットル~0.40ミリモル/リットル試験区は図示せず)。さらに、ルッコラ中のマグネシウム含有率が低いと40Hz付近のピークが高い(相関性=-0.960)ことが分かった(図11、図12)。したがって、ルッコラの生体電位の40Hzのピーク値は、栽培時の培養液中マグネシウム濃度によって影響を受け、植物体中のマグネシウムが不足している場合に現れ、その結果、生育も不良になることが分かった。さらに、40Hzのピーク値を測定することで、植物体中に含まれるマグネシウムの含有量を予測できると推察された。
【実施例】
【0046】
[実施例1]
(生体電位を用いた植物栄養状態診断)
本発明の第一の態様の植物栄養状態診断方法を定めるために、生体電位と植物栄養状態の関係を調べた。
具体的には、トマト、ミニトマト、レタス、チンゲンサイ、ルッコラを用いて、植物生体電位スペクトラムを測定し、栄養状態不良と診断された植物の生体電位スペクトラムの結果を図13から図20に示す。生体電位の測定は高速データ収集システムNR-2000(商品名、株式会社キーエンス製)を用い、サンプリング周期を200Hz、データポイント数を2000点に設定した。電極には銀-塩化銀電極を用いた。これらの測定値を基にして、本発明の対照用周波数の選定と検出用周波数の決定を行った。すなわち欠乏栄養素に対応する周波数は9~44Hzに出現した。また、2~8Hz帯の電位と45~49Hz帯の電位は50Hzの商用電源ノイズの電位と相関がきわめて高いために対照用周波数として好ましいと考えられる。これらの相関図を図21~図22に示した。
【実施例】
【0047】
[実施例2]
(生体電位と連動した点滅光照射による植物栄養状態回復)
ミニトマトを用いて、本発明の第二の態様の植物栄養状態回復方法、及び第五の態様の植物栄養状態回復装置を用いて、生体電位検知と連動した栄養状態の回復を試みた。
具体的には、供試作物にはイエローミミ(商品名、カネコ種苗)を用い、2009年4月14日にプライムミックス TKS-2(商品名、サカタのタネ製):バーミキュライト=1:1の混合培地に播種(25セルポット:キャメロン化工銀)し、2009年5月18日にRW製ポット(10×10CV:日東紡)に開花苗を鉢上げし、2009年5月27日に水耕ベッド(全農製隔離ベンチ:45cm×65cm×水深30cm)に定植した。試験区分するまでは園試処方1/2単位(大塚化学(株)製肥料大塚1号、大塚2号で調整)の培養液をEC(電気伝導度)1.2で施用した。
試験区は,週3回行う電位測定で,窒素やカリウムの貧栄養を表す20Hz前後の電位ピークを検知した時の対応の仕方に関して、表1に示す5種類を設けた。すなわち、ピークを検知しても照射も培養液更新もしない区(欠乏区)、ピーク検知後標準培養液に交換する区(交換区)、ピーク検知後栽培終了まで20Hz赤色点滅光を照射(照射時間は午前9:00~午後3:00の6時間)する区(連続照射区)、20Hzピーク検知後10分間、20Hzの赤色(660nm)点滅光をLED(ER-500、商品名、スタンレー電気株式会社製)を用いて光強度0.6~3lxで葉面に照射をする区(電位照射区)、定植後も大塚化学(株)製の肥料、大塚1号、大塚2号で調整した園試処方1/2単位(標準培養液の1/2濃度)で栽培を続ける試験区(完全区)を設定し、計5試験区を設けた。なお、貧栄養の培養液は園試処方1/2単位(標準培養液の1/2濃度)のうち窒素(N)とカリウム(K)について1/2量となるように大塚2号、大塚3号、大塚5号、大塚6号、大塚7号にて調整し管理した。2009年7月6日に第四段花房の上葉2枚を残して摘心し2009年7月13日に生育調査終了後栽培終了とした。
【実施例】
【0048】
電位照射区は、図4に示す本発明の第五の態様に係る植物栄養状態回復装置を用いた。装置内の構成及び条件は以下の通りである。
電圧増幅器:T-01HGA(商品名、株式会社タートル工業社製、高インピーダンス入力)。
バンドパスフィルター(BPF):T-L/HPF04C(商品名、株式会社タートル工業社製、4チャンネル、精度:18dB/oct、検出用周波数が14~40Hz、対照用周波数が2~7Hz)
信号変換器:T-RMSO1(商品名、株式会社タートル工業社製、交流から直流へ変換)
比較器(コンパレーター):14~40Hzの検出用周波数における電位が0.012mVより大きい場合に、栄養状態不良と診断し、照射開始。2~7Hzの対照用周波数における電位が0.006mVより大きい場合は、検出用周波数の電位が0.012mV以上であっても、得られた生体電位をノイズとみなし、照射中であっても照射を中止。0.012mV以上の14~40Hzにおける電位と0.006mV以上の2~7Hzにおける電位とを同時に検出した場合には、照射せず(本体の閾値は任意設定可能)。
赤色点滅光(20Hz)照射時間は10分間に設定(本体は任意設定可能)。
筐体:アルミ筐体と鉄筐体を組み合わせて使用。
なお、図示しないが、計測を精密に行うために以下に示す2つの測定補助器を使用した。
高速データ収集システム:NR-2000(商品名 キーエンス社製)
データ解析ソフト:DADISP(商品名 アストロデザイン社製)
【実施例】
【0049】
【表1】
JP0005483087B2_000002t.gif
[貧栄養培養液はEC1.0を、標準培養液はEC1.35を使用し、供試株数は各20株とした。交換区、完全区はピーク検知の有無にかかわらず週2~3回培養液を交換した。]
【実施例】
【0050】
図23に試験区ごとの草丈と葉の大きさを示した。草丈は、完全区と交換区が他の試験区に比べて10cm程大きかったが、葉の大きさ(葉長×葉幅)は電位照射区が完全区に次いで大きくなった。また交換区と連続照射区は電位照射区についで大きく同等の大きさになった。これは点滅光照射が硝酸態窒素の吸収を促進したので葉が大きくなったのではないかと考えられる。特に、電位ピークを検知するたびに10分間照射した、本発明に係る電位照射区の方が連続照射区より効果的であった。
また、図24に交換区の電位ピーク検知時と培養液交換後の葉面電位スペクトラムを示した。貧栄養状態で栽培して18Hz付近と22Hz付近の電位ピークを検知(6月18日)後、標準培養液を施用したところ、1週間後(6月24日)にはその2つの電位ピークは消失したので再び培養液を貧栄養(N5割減、K5割減)に戻したところその2週間後(7月9日)に14Hz付近にピークが出現した。
さらに、図25に電位照射区の電位ピーク検知時と,点滅光照射をする葉面電位スペクトラムを示した。18Hz付近と22Hz付近にピークを検知(6月18日)し,その後3週間の点滅光照射で18Hz付近のピークが消失した(7月9日)。
また、図26に植物汁液中硝酸態窒素濃度を、図27に植物汁液中カリウム濃度を示した。交換区の硝酸態窒素濃度は高くなっており、カリウム濃度は減少したが連続照射区と同等なので、交換後も出現した18Hz付近の葉面電位ピークはカリウム栄養のピークであると考えられる。
以上の結果から、本発明に係る植物栄養状態回復方法及び植物栄養状態回復装置は、植物の良好な育成に有用であることが分かった。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明は、農園芸等の植物生産の分野で、好適に利用可能である。
図面
【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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