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明細書 :食品の処理方法及び食品の処理装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5131625号 (P5131625)
登録日 平成24年11月16日(2012.11.16)
発行日 平成25年1月30日(2013.1.30)
発明の名称または考案の名称 食品の処理方法及び食品の処理装置
国際特許分類 A23L   3/3418      (2006.01)
A23B   7/148       (2006.01)
C12G   3/02        (2006.01)
C12G   1/08        (2006.01)
C12C  11/00        (2006.01)
C12H   1/12        (2006.01)
FI A23L 3/3418
A23B 7/148
C12G 3/02 119S
C12G 1/08
C12C 11/00
C12H 1/12
請求項の数または発明の数 10
全頁数 24
出願番号 特願2009-525350 (P2009-525350)
出願日 平成20年7月23日(2008.7.23)
国際出願番号 PCT/JP2008/063156
国際公開番号 WO2009/016998
国際公開日 平成21年2月5日(2009.2.5)
優先権出願番号 2007198650
優先日 平成19年7月31日(2007.7.31)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成23年2月15日(2011.2.15)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】500557048
【氏名又は名称】学校法人日本医科大学
発明者または考案者 【氏名】早田 保義
【氏名】小林 史幸
個別代理人の代理人 【識別番号】100107870、【弁理士】、【氏名又は名称】野村 健一
【識別番号】100098121、【弁理士】、【氏名又は名称】間山 世津子
審査官 【審査官】柴原 直司
参考文献・文献 特開平9-206044(JP,A)
特開平11-33087(JP,A)
調査した分野 A23L 3/00-3/3598
BIOSIS/MEDLINE/WPIDS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamII)
特許請求の範囲 【請求項1】
耐圧容器内において、二酸化炭素と液体との存在下に負圧を利用して発生した二酸化炭素の微小気泡を、0.2~2MPa下に微生物又は酵素を含む液状食品に接触させ、これにより食品中の微生物の殺菌又は酵素の失活を行うことを特徴とする食品の処理方法。
【請求項2】
二酸化炭素の微小気泡と液状食品との接触をエタノール存在下で行うことを特徴とする請求項1に記載の食品の処理方法。
【請求項3】
エタノール存在量が、液状食品中0.1~30質量%であることを特徴とする請求項2に記載の食品の処理方法。
【請求項4】
液状食品が、アルコール飲料の製造中間物であることを特徴とする請求項1に記載の食品の処理方法。
【請求項5】
アルコール飲料の製造中間物が、火入れ前の清酒、亜硫酸若しくは亜硫酸塩添加前のワイン、又は濾過若しくは熱処理前のビールであることを特徴とする請求項4に記載の食品の処理方法。
【請求項6】
二酸化炭素の微小気泡を液状食品に接触させた後の二酸化炭素を回収し、回収した二酸化炭素を再度食品の処理に用いることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか一項に記載の食品の処理方法。
【請求項7】
(1)第一の容器内において、二酸化炭素と液体の存在下に負圧を利用して発生した二酸化炭素の微小気泡を、0.2~2MPa下で液体中に保持させる工程、(2)第二の容器内に、微生物又は酵素を含む固形状食品を入れ、第一の容器と等圧になるように二酸化炭素を供給する工程、及び(3)二酸化炭素の微小気泡を保持した液体を固形状食品に接触させ、これにより食品中の微生物の殺菌又は酵素の失活を行う工程を含むことを特徴とする食品の処理方法。
【請求項8】
固形状食品が、野菜又は果物であることを特徴とする請求項7に記載の食品の処理方法。
【請求項9】
二酸化炭素供給源、二酸化炭素供給源と連通可能で、供給された二酸化炭素を微小気泡化する微小気泡発生部材、微小気泡発生部材が内部に設置されており、液状食品を貯留しておくための液状食品貯留槽、液状食品貯留槽から排出された液状食品を貯留しておく処理済液状食品貯留槽、並びに処理済液状食品貯留槽及び二酸化炭素供給源と連通し、処理済液状食品貯留槽中の二酸化炭素を捕集し、二酸化炭素供給源へ戻す二酸化炭素回収部材を含む液状食品の処理装置であって、二酸化炭素を微小気泡化する微小気泡発生部材が二酸化炭素と液体の存在下に負圧を利用して微小気泡を発生させることを特徴とする液状食品の処理装置。
【請求項10】
二酸化炭素供給源、二酸化炭素供給源と連通可能で、供給された二酸化炭素を微小気泡化する微小気泡発生部材、微小気泡発生部材が内部に設置されており、液体を貯留しておくための液体貯留槽、並びに二酸化炭素供給源及び液体貯留槽と連通可能で、固形状食品を貯留しておくための固形状食品貯留槽を含む固形状食品の処理装置であって、二酸化炭素を微小気泡化する微小気泡発生部材が二酸化炭素と液体の存在下に負圧を利用して微小気泡を発生させることを特徴とする固形食品の処理装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、食品中に含まれる微生物の殺菌や酵素の失活を行うための処理方法、及びそれに用いる装置に関する。本発明によれば、超臨界二酸化炭素を使用する殺菌方法等に比べ、装置コストやランニングコストを低く抑えることができ、食品特有の匂いを消失することがない。
【背景技術】
【0002】
二酸化炭素は常温、常圧では気体であるが、温度と圧力が臨界点を超えると超臨界状態という液体と気体の中間の状態になる。超臨界状態の二酸化炭素は、殺菌作用を示すことから食品や飲料水などの殺菌に利用されている(非特許文献1)。気体の二酸化炭素を超臨界状態にするには、臨界圧力(7.38 MPa)以上の高い圧力を加える必要があるため、超臨界二酸化炭素を利用した殺菌装置は耐圧性のある頑丈なものでなければならず、装置コストが高くなる。また、超臨界状態の二酸化炭素は、処理対象物の香気成分を取り去ってしまうため、飲料水のような匂いのないものであれば問題ないが、食品のように特有の匂いのあるものに対して処理する場合には処理対象物の品質を著しく低下させてしまう。
【0003】
一方、超臨界よりも低い気体状態の二酸化炭素(以下、「低加圧二酸化炭素」という)にも殺菌作用はあるが、超臨界状態の二酸化炭素に比べ非常に弱い。このため、低加圧二酸化炭素を利用した殺菌方法としては、特許文献1~4に記載されている方法など数例が知られているにすぎない。
【0004】
特許文献1には、微生物が混入している液状物を、5~70気圧の分圧の下で液状物に二酸化炭素を吸収させる工程と、この工程で得られた二酸化炭素を吸収している加圧された液状物を急速に圧力低下させる工程とに、交互に繰り返し付すことにより、液状物に混入されている微生物の少なくとも一部を死滅させる液状物の殺菌方法が記載されている。しかし、この方法は加圧の後に急速減圧しなければならず、操作が煩雑になるという欠点がある。また、二酸化炭素の直接的な殺菌効果ではなく、急速な高圧からの減圧による微生物のバースト、即ち細胞壁や細胞膜の破壊による殺菌であり、急速減圧を必要としない本発明と異なっている。
【0005】
特許文献2には、液状原料を連続的に供給する液状原料の連続供給流路と、処理槽底部側に設けられ、連続供給流路により送られる液状原料を処理槽に導入するための導入口と、二酸化炭素供給源からの二酸化炭素を超臨界流体(70~400atm)にならしめ連続的に供給する超臨界流体供給流路と、処理槽底部側に設けられ、超臨界流体供給流路により送られる超臨界流体を処理槽内に導入するとともに、超臨界流体を微小泡(20μm以下)にして
液状原料中に放出する超臨界流体微小化導入手段と、処理槽上部側の液状原料を排出する液体取出口に接続された製品回収流路と、処理槽上部に設けられた超臨界流体排出口から超臨界流体を排出する超臨界流体回収流路と、超臨界流体回収流路により回収された超臨界流体を、直接あるいは超臨界流体をガス化あるいは液化するためのリサイクルタンクを介して二酸化炭素供給源に供給するリサイクル流路とを備え、前記処理槽内において微小化超臨界流体と液状原料とを並流連続処理させた連続処理装置が記載されている。しかし、超臨界流体を用いることから、液状原料や食品特有の匂いを破壊することとなり好ましくない。
【0006】
特許文献3には、酵素の失活、殺菌などの効果を得ることを目的として、a)連続的に供給される液状原料中に微小泡化(20μm以下)させた液体二酸化炭素を連続的に放出して、液状原料中に液体二酸化炭素を溶解させる溶解工程と、b)液体二酸化炭素が溶解した液状原料を所定温度、所定圧力条件下(40~400atm)に維持することにより二酸化炭素を超臨界又は亜臨界状態にする加温・加圧工程と、c)加温・加圧工程を通過した液状原料を急速に減圧して二酸化炭素を除去するとともに製品を回収する減圧工程からなる処理方法を開示している。しかしながら、所定圧力条件が高く液状原料や食品特有の匂いを破壊することとなり好ましくない。
【0007】
特許文献4には、液状食品・液状薬品等の酵素、胞子の失活処理、殺菌処理、或いは液状食品等の脱臭処理などを連続的に行うために、連続的に供給される液状原料中に液体二酸化炭素を連続的に供給して、液状原料中に液体二酸化炭素を溶解させる溶解工程と、溶解工程にて液体二酸化炭素を溶解させた液状原料を一定時間保持する保持工程と、液体二酸化炭素が溶解した液状原料を所定温度、所定圧力条件下(40~400atm)に維持することにより二酸化炭素を超臨界又は亜臨界状態にする臨界処理工程と、臨界処理工程を通過した液状原料を急速に減圧して二酸化炭素を除去するとともに製品を回収する減圧工程と、を有することを特徴としている。しかしながら、所定圧力条件が高く液状原料や食品特有の匂いを破壊することとなり好ましくない。
【0008】
これらの従来技術においては、微小気泡を発生させる手段はミクロフィルターを使用しているために、微小気泡発生を重ねるに従いフィルター詰まりが発生し稼働率を下げることになり好ましくない。このフィルター詰まりは微小気泡発生効率を下げ、殺菌効果も急激に低下することになる。
【0009】
なお、前記の非特許文献1には、次のことが開示されている。
疎水性領域を膨潤させている超臨界二酸化炭素の瞬間的膨張により発生する膨圧が微生物や酵素に破壊的な構造破壊をもたらすことも十分考慮すべきである。孔径10μmのフィルターを装着したときCO濃度は最大(飽和溶解度の78%)となった。さらに小さな孔径のフィルターを使用した場合にはCO濃度は逆に低下した。揮発性成分の抽出(脱臭)においては、ミクロバブル状の超臨界二酸化炭素は処理槽上部で試料層から分離される。バッチ法における殺菌効果のCO密度依存性は0.6g/cm以下では小さく、殺菌効果も低い。連続法では、6MPa、滞留時間13分間の処理で完全殺菌を達成することができた。連続法では菌体内に浸透、蓄積したCOの急速膨張により生ずる膨圧により菌体が非常に効率的に破壊されるために優れた殺菌効果が得られたと考えられる。
【0010】

【特許文献1】特開平7-289220号公報
【特許文献2】特開平9-206044号公報
【特許文献3】特開2000-139433号公報
【特許文献4】特開2001-299303号公報
【非特許文献1】下田満哉、筬島豊 日本食品科学工学会誌 第45巻 第5号 334-339頁 1998年5月
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上述したように、低加圧二酸化炭素を利用し、食品の特有の匂いを生かし、簡易に殺菌を行う方法は従来知られていなかった。本発明の目的は、低加圧二酸化炭素を利用した簡易な微生物の殺菌手段、酵素の失活手段を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意検討を重ねた結果、二酸化炭素と液体の存在下に負圧を利用して発生した二酸化炭素の微小気泡を食品に接触させることにより、食品の食品としての香気を損なうことなく強い殺菌、酵素失活作用を発揮することを見出し、この知見に基づき、完成した。
【0013】
即ち、本発明は、以下の〔1〕~〔10〕を提供するものである。
〔1〕耐圧容器内において、二酸化炭素と液体の存在下に負圧を利用して発生した二酸化炭素の微小気泡を、0.2~2MPa下に微生物又は酵素を含む液状食品に接触させ、これにより食品中の微生物の殺菌又は酵素の失活を行うことを特徴とする食品の処理方法。
〔2〕二酸化炭素の微小気泡と液状食品との接触をエタノール存在下で行うことを特徴とする〔1〕に記載の食品の処理方法。
〔3〕エタノール存在量が、液状食品中0.1~30質量%であることを特徴とする〔2〕に記載の食品の処理方法。
〔4〕液状食品が、アルコール飲料の製造中間物であることを特徴とする〔1〕に記載の食品の処理方法。
〔5〕アルコール飲料の製造中間物が、火入れ前の清酒、亜硫酸若しくは亜硫酸塩添加前のワイン、又は濾過若しくは熱処理前のビールであることを特徴とする〔4〕に記載の食品の処理方法。
〔6〕二酸化炭素の微小気泡を液状食品に接触させた後の二酸化炭素を回収し、回収した二酸化炭素を再度食品の処理に用いることを特徴とする〔1〕ないし〔5〕のいずれか一項に記載の食品の処理方法。
〔7〕(1)第一の容器内において、二酸化炭素と液体の存在下に負圧を利用して発生した二酸化炭素の微小気泡を、0.2~2MPa下で液体中に保持させる工程、(2)第二の容器に微生物又は酵素を含む固形状食品を入れ、第一の容器と等圧になるように二酸化炭素を供給する工程、及び(3)二酸化炭素の微小気泡を保持した液体を固形状食品に接触させ、これにより食品中の微生物の殺菌又は酵素の失活を行う工程を含むことを特徴とする食品の処理方法。
〔8〕固形状食品が、野菜又は果物であることを特徴とする〔7〕に記載の食品の処理方法。
〔9〕二酸化炭素供給源、二酸化炭素供給源と連通可能で、供給された二酸化炭素を微小気泡化する微小気泡発生部材、微小気泡発生部材が内部に設置されており、液状食品を貯留しておくための液状食品貯留槽、液状食品貯留槽から排出された液状食品を貯留しておく処理済液状食品貯留槽、並びに処理済液状食品貯留槽及び二酸化炭素供給源と連通し、処理済液状食品貯留槽中の二酸化炭素を捕集し、二酸化炭素供給源へ戻す二酸化炭素回収部材を含む液状食品の処理装置であって、二酸化炭素を微小気泡化する微小気泡発生部材が二酸化炭素と液体の存在下に負圧を利用して微小気泡を発生させることを特徴とする液状食品の処理装置。
〔10〕二酸化炭素供給源、二酸化炭素供給源と連通可能で、供給された二酸化炭素を微小気泡化する微小気泡発生部材、微小気泡発生部材が内部に設置されており、液体を貯留しておくための液体貯留槽、並びに二酸化炭素供給源及び液体貯留槽と連通可能で、固形状食品を貯留しておくための固形状食品貯留槽を含む固形状食品の処理装置であって、二酸化炭素を微小気泡化する微小気泡発生部材が二酸化炭素と液体の存在下に負圧を利用して微小気泡を発生させることを特徴とする固形食品の処理装置。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、食品等の香気成分を取り去ってしまうことなく、食品等の品質の劣化を最小限に抑えて微生物殺菌・酵素失活処理することができる。また、超臨界二酸化炭素を使用する処理方法のような頑丈な装置も必要ないので、装置コストも低くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】二酸化炭素の微小気泡の外観写真。左は多孔質フィルターを用いて二酸化炭素を微小気泡化した場合の写真、右はマイクロ・ナノバブル発生装置を用いて二酸化炭素を微小気泡化したのち静置した状態の写真。
【図2】本発明の液状食品の処理方法に用いる装置の一例を示す図。
【図3】本発明の固形状食品の処理方法に用いる装置の一例を示す図。
【図4】二酸化炭素の供給方法を表す図。
【図5A】本発明の処理方法を行った場合の溶存二酸化炭素濃度の経時的変化を示す図。二酸化炭素供給量は100 mL/minとした。図中の◆は微小気泡化させないで二酸化炭素を放出した場合、■は多孔質フィルターを用いて二酸化炭素を微小気泡化した場合、▲は1基のマイクロ・ナノバブル発生装置を用いて二酸化炭素を微小気泡化した場合、×は2基のマイクロ・ナノバブル発生装置を用いて二酸化炭素を微小気泡化した場合のそれぞれの溶存二酸化炭素濃度を表す。
【図5B】本発明の処理方法を行った場合の溶存二酸化炭素濃度の経時的変化を示す図。二酸化炭素供給量は500 mL/minとした。図中の◆は微小気泡化させないで二酸化炭素を放出した場合、■は多孔質フィルターを用いて二酸化炭素を微小気泡化した場合、▲は1基のマイクロ・ナノバブル発生装置を用いて二酸化炭素を微小気泡化した場合、×は2基のマイクロ・ナノバブル発生装置を用いて二酸化炭素を微小気泡化した場合のそれぞれの溶存二酸化炭素濃度を表す。
【図5C】本発明の処理方法を行った場合の溶存二酸化炭素濃度の経時的変化を示す図。二酸化炭素供給量は1000 mL/minとした。図中の◆は微小気泡化させないで二酸化炭素を放出した場合、■は多孔質フィルターを用いて二酸化炭素を微小気泡化した場合、▲は1基のマイクロ・ナノバブル発生装置を用いて二酸化炭素を微小気泡化した場合、×は2基のマイクロ・ナノバブル発生装置を用いて二酸化炭素を微小気泡化した場合のそれぞれの溶存二酸化炭素濃度を表す。
【図5D】本発明の処理方法を行った場合の溶存二酸化炭素濃度の経時的変化を示す図。二酸化炭素供給量は2000 mL/minとした。図中の◆は微小気泡化させないで二酸化炭素を放出した場合、■は多孔質フィルターを用いて二酸化炭素を微小気泡化した場合、▲は1基のマイクロ・ナノバブル発生装置を用いて二酸化炭素を微小気泡化した場合、×は2基のマイクロ・ナノバブル発生装置を用いて二酸化炭素を微小気泡化した場合のそれぞれの溶存二酸化炭素濃度を表す。
【図6A】二酸化炭素供給量を変えて、本発明の処理方法を行った場合の大腸菌の菌数の経時的変化を示す図。二酸化炭素供給量は100 mL/minとした。図中の◆は微小気泡化させないで二酸化炭素を放出した場合、■は多孔質フィルターを用いて二酸化炭素を微小気泡化した場合、▲は1基のマイクロ・ナノバブル発生装置を用いて二酸化炭素を微小気泡化した場合、×は2基のマイクロ・ナノバブル発生装置を用いて二酸化炭素を微小気泡化した場合のそれぞれの生残菌数を表す。
【図6B】二酸化炭素供給量を変えて、本発明の処理方法を行った場合の大腸菌の菌数の経時的変化を示す図。二酸化炭素供給量は500 mL/minとした。図中の◆は微小気泡化させないで二酸化炭素を放出した場合、■は多孔質フィルターを用いて二酸化炭素を微小気泡化した場合、▲は1基のマイクロ・ナノバブル発生装置を用いて二酸化炭素を微小気泡化した場合、×は2基のマイクロ・ナノバブル発生装置を用いて二酸化炭素を微小気泡化した場合のそれぞれの生残菌数を表す。
【図6C】二酸化炭素供給量を変えて、本発明の処理方法を行った場合の大腸菌の菌数の経時的変化を示す図。二酸化炭素供給量は1000 mL/minとした。図中の◆は微小気泡化させないで二酸化炭素を放出した場合、■は多孔質フィルターを用いて二酸化炭素を微小気泡化した場合、▲は1基のマイクロ・ナノバブル発生装置を用いて二酸化炭素を微小気泡化した場合、×は2基のマイクロ・ナノバブル発生装置を用いて二酸化炭素を微小気泡化した場合のそれぞれの生残菌数を表す。
【図6D】二酸化炭素供給量を変えて、本発明の処理方法を行った場合の大腸菌の菌数の経時的変化を示す図。二酸化炭素供給量は2000 mL/minとした。図中の◆は微小気泡化させないで二酸化炭素を放出した場合、■は多孔質フィルターを用いて二酸化炭素を微小気泡化した場合、▲は1基のマイクロ・ナノバブル発生装置を用いて二酸化炭素を微小気泡化した場合、×は2基のマイクロ・ナノバブル発生装置を用いて二酸化炭素を微小気泡化した場合、*は2基のマイクロ・ナノバブル発生装置を用いて二酸化炭素の代わりに窒素を微小気泡化した場合のそれぞれの生残菌数を表す。
【図7A】処理温度を変えて、本発明の処理方法を行った場合の酵母の菌数の経時的変化を示す図。エタノール非存在下で実験を行った。処理圧力は2 MPa、二酸化炭素供給量は2000mL/minとした。図中の◆は処理温度を40℃とした場合、■は処理温度を45℃とした場合、△は処理温度を50℃とした場合のそれぞれの生残菌数を表す。
【図7B】処理温度を変えて、本発明の処理方法を行った場合の酵母の菌数の経時的変化を示す図。5%エタノール(又は7%エタノール)条件下で実験を行った。処理圧力は2 MPa、二酸化炭素供給量は2000mL/minとした。図中の●は処理温度を35℃とした場合、▲は処理温度を35℃とし、エタノール濃度を7%とした場合、◆は処理温度を40℃とした場合、■は処理温度を45℃とした場合のそれぞれの生残菌数を表す。
【図8】二酸化炭素の供給方法を変えて、本発明の処理方法を行った場合の酵母の菌数の経時的変化を示す図。5%エタノール条件下で実験を行った。処理温度は40℃、処理圧力は2 MPa、二酸化炭素供給量は2000mL/minとした。図中の◆は微小気泡化させないで二酸化炭素を放出した場合、■は孔径が10μmの多孔質フィルターを用いて二酸化炭素を微小気泡化した場合、▲は孔径が1μmの多孔質フィルターを用いて二酸化炭素を微小気泡化した場合、×は1基のマイクロ・ナノバブル発生装置を用いて二酸化炭素を微小気泡化した場合、*は2基のマイクロ・ナノバブル発生装置を用いて二酸化炭素を微小気泡化した場合、●は2基のマイクロ・ナノバブル発生装置を用いて二酸化炭素の代わりに窒素を微小気泡化した場合のそれぞれの生残菌数を表す。
【図9】エタノール濃度を変えて、本発明の処理方法を行った場合の酵母の菌数の経時的変化を示す図。処理温度は40℃、処理圧力は2MPa、二酸化炭素供給量は2000mL/minとした。図中の◆はエタノール非存在下、■は5%エタノール存在下、▲は10%エタノール存在下でのそれぞれの生残菌数を表す。
【図10】処理圧力を変えて、本発明の処理方法を行った場合の酵母の菌数の経時的変化を示す図。処理温度は40℃、二酸化炭素供給量は2000mL/min、エタノール濃度は5%とした。図中の◆は処理圧力を0 MPa(常圧)とした場合、■は処理圧力を0.1 MPaとした場合、▲は処理圧力を0.3 MPaとした場合、×は処理圧力を0.5 MPaとした場合、*は処理圧力を1.0 MPaとした場合、●は処理圧力を2.0 MPaとした場合のそれぞれの生残菌数を表す。
【図11】エタノール濃度を変えて、本発明の処理方法を行った場合の火落菌の菌数の経時的変化を示す図。処理温度は40℃、処理圧力は2MPa、二酸化炭素供給量は2000mL/minとした。図中の◆は10%エタノール存在下、■は15%エタノール存在下、▲は20%エタノール存在下でのそれぞれの生残菌数を表す。
【図12】処理温度を変えて、本発明の処理方法を行った場合の火落菌の菌数の経時的変化を示す図。処理圧力は2 MPa、エタノール濃度は10%、二酸化炭素供給量は2000mL/minとした。図中の◆は処理温度を40℃とした場合、■は処理温度を45℃とした場合、▲は処理温度を40℃とし、二酸化炭素の代わりに窒素を供給した場合のそれぞれの生残菌数を表す。
【図13】処理圧力を変えて、本発明の処理方法を行った場合の火落菌の菌数の経時的変化を示す図。処理温度は40℃、二酸化炭素供給量は2000mL/min、エタノール濃度は15%とした。図中の◆は処理圧力を0.5 MPaとした場合、■は処理圧力を1.0 MPaとした場合、▲は処理圧力を2.0 MPaとした場合のそれぞれの生残菌数を表す。
【図14A】熱処理のみを行った場合の酸性プロテアーゼ酵素の残存活性の経時的変化を示す図。処理温度は40℃。二酸化炭素の供給は行わなかった。図中の◆はエタノール非存在下、■は10%エタノール存在下、▲は15%エタノール存在下、×は20%エタノール存在化でのそれぞれの残存活性を表す。
【図14B】低加圧マイクロ・ナノバブル二酸化炭素処理を行った場合の酸性プロテアーゼ酵素の残存活性の経時的変化を示す図。処理温度は40℃、処理圧力は2 MPa、二酸化炭素供給量は2000mL/minとした。図中の◆はエタノール非存在下、■は10%エタノール存在下、▲は15%エタノール存在下、×は20%エタノール存在化でのそれぞれの残存活性を表す。
【図15】低加圧二酸化炭素を供給した蒸留水に曝したキャベツの外観写真(図15右上及び右下)。低下圧二酸化炭素中に置いた後、低加圧二酸化炭素を供給した蒸留水に曝したキャベツの外観写真(図15中央上及び中央下)。未処理のキャベツの外観写真(図15左)。
【図16】低加圧二酸化炭素を供給した蒸留水に曝したレタスの外観写真(図16右上及び右下)。低下圧二酸化炭素中に置いた後、低加圧二酸化炭素を供給した蒸留水に曝したレタスの外観写真(図16中央上及び中央下)。未処理のレタスの外観写真(図16左)。
【符号の説明】
【0016】
101 液状食品貯留槽
102 食品循環ポンプ
103 食品管
104 マイクロ・ナノバブル発生装置
105 二酸化炭素供給源
106 排出口
107 処理済液状食品貯留槽
108 冷却器
109 二酸化炭素加圧ポンプ
111 弁
115 開放弁
201 液体貯留槽
202 液体循環ポンプ
203 液体管
204 マイクロ・ナノバブル発生装置
205 二酸化炭素供給源
206 排出口
207 処理済液体貯留槽
208 冷却器
209 二酸化炭素加圧ポンプ
210 香気成分吸着槽
211 弁
212 固形状食品貯留槽
213 栓
214 圧力計
215 開放弁
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の食品の処理方法は、0.2~2MPa下に二酸化炭素の微小気泡を、微生物又は酵素を含む液状食品あるいは固形状食品に接触させ、これにより食品中の微生物の殺菌又は酵素の失活を行うことを特徴とするものである。
【0018】
処理圧力が0.2 MPa未満の場合は殺菌効果が十分でなく、また、2MPaを超えると食品の香気成分の損失増大、装置コストの上昇等の問題が生じるので、処理圧力(大気圧との差圧)は、通常、0.2~ 2MPaとする。処理圧力は、食品の種類や食品との接触時間等に応じて、前記範囲内で任意に変更することができるが、0.3~2MPaとすることが更に好ましい。
【0019】
微小気泡の大きさは微生物に対する殺菌効果や酵素に対する失活効果を向上させ得る範囲内であれば特に限定されないが、気泡の平均直径は10μm以下であることが好ましい。
【0020】
二酸化炭素と液体の存在下に負圧を利用して二酸化炭素の微小気泡を発生させる装置としては、特許第3682286号掲載公報に記載されている微細気泡発生装置、即ち、耐圧容器内に二酸化炭素の気液混合流体の旋回流に起因する、負圧を利用し剪断力によって、二酸化炭素の微小気泡を発生させる装置を使用するのが有効である。この微細気泡発生装置は、浄水場や河川の浄化、畜産排尿の浄化、活魚の輸送時や養殖時の酸素供給、水耕栽培時の溶存酸素量増加、ヘドロ等の浮上による汚泥水処理、貯水槽のカルキ類の除去、オゾン混合による殺菌、滅菌、脱臭、入浴時の血行促進、洗濯機、発酵食品類の発酵及び培養の促進、各種薬品と各種ガスの高密度接触による溶解及び中和、化学工場の気液反応装置における気液反応の促進、顔面洗浄器に用いることを目的とした装置で、常温で用いるものである。また、特開2007-229674号公報に記載されているフリップフロップ流の負圧を利用するのも有効である。
【0021】
図1に多孔質フィルターを用いて発生させた微小気泡(左)と微小気泡発生装置を用いて発生させた微小気泡(右)の外観写真を示す。図1に示すように、多孔質フィルターを用いた場合は気泡が水面で破裂しているのに対し、微小気泡発生装置を用いた場合には気泡の破裂がみられず、乳濁色を呈している。このことから、本発明の微小気泡は持続的に食品に作用することができ、しかも、0.2~2MPaの圧力範囲で使用することにより、殺菌、酵素の失活作用が顕著になるものと推測される。本発明において二酸化炭素と液体の存在下に負圧を利用して微小気泡を発生させるために使用する液体としては、本発明に適用する液状食品を使用するのが好適である。適用する液状食品が希釈されていても支障がない場合は水等の液体であってもよい。また、適用する食品が固体状である場合は水等の液体が好適に適用できる。
【0022】
二酸化炭素の微小気泡と液状食品との接触は、エタノール存在下で行うことが好ましい。エタノールは元々液状食品に含まれているものでもよく、また、液状食品に別途添加したものであってもよい。元々エタノールを含んでいない液状食品にエタノールを添加する場合、液状食品中のエタノール濃度は特に限定されないが、液状食品中の濃度が0.1質量%未満では殺菌効果等の増強効果が弱く、また、30質量%を超えると食品の品質に影響を与えるなどの問題が生じるので、通常は、0.1~30質量%とし、好ましくは、0.5~25質量%とする。
【0023】
処理時の温度は特に限定されないが、温度が20℃未満では殺菌効果等が十分でなく、また、50℃を超えると食品の品質を劣化させる可能性があるので、通常は、20~50℃とし、好ましくは、30~45℃とする。
【0024】
接触させる二酸化炭素の供給量も特に限定されないが、処理液25Lに対して100mL /min未満では殺菌効果等が十分でなく、また、5000mL/minを超えても殺菌効果等の向上が期待できないので、通常は、100~5000mL/min、好ましくは、1000~5000mL/minとする。ただし、供給量が小さいときには、処理液中への二酸化炭素の微小気泡の存在量が小さく食品に対する殺菌効果等が小さくなっていると推測される。したがって、殺菌効果等を速めたい場合には、5000mL/minとし、緩慢処理をしたい場合には、1000mL/minを選択すればよい。また、あらかじめ二酸化炭素の微小気泡が十分な量に保持された溶液を処理液に供給するようにすると、処理時間を短縮させることができ好適である。
処理時間も特に限定されず、十分な殺菌効果等が発揮されるまで処理を行えばよい。通常、処理時間は1~60分であり、好ましくは、5~40分である。
【0025】
処理に使用する二酸化炭素は、常に新しく供給される二酸化炭素を使用してもよいが、食品に接触させた後の二酸化炭素を回収し、回収した二酸化炭素を再度食品の処理に用い、二酸化炭素を循環させることが好ましい。このように二酸化炭素を循環させることにより、二酸化炭素の使用量を節約できる。二酸化炭素の循環はどのような装置を用いて行ってもよいが、二酸化炭素供給源、二酸化炭素供給源と連通可能で、供給された二酸化炭素を微小気泡化する微小気泡発生部材、微小気泡発生部材が内部に設置されており、食品を貯留しておくための食品貯留槽、食品貯留槽から排出された食品を貯留しておく処理済食品貯留槽、並びに処理済食品貯留槽及び二酸化炭素供給源と連通し、処理済食品貯留槽で発生した二酸化炭素を捕集し、二酸化炭素供給源へ戻す二酸化炭素回収部材を含む装置を使用するのが好ましい。また、この装置内の圧力は0.2~2MPa下で処理に供されるので、この装置は、強い耐圧性を求める必要がない。
【0026】
二酸化炭素を循環させる処理装置の一例を図2に示す。この装置は、液状食品貯留槽101、微小気泡発生部材であるマイクロ・ナノバブル発生装置104、二酸化炭素供給源105、処理済液状食品貯留槽107、二酸化炭素回収部材である二酸化炭素加圧ポンプ109を含み、さらにマイクロ・ナノバブル発生装置104による微小気泡の発生を補助する食品循環ポンプ102及び食品管103、二酸化炭素の回収を効率化する冷却器108、各部材の連通関係を調整する弁111(a、b、c、d、e)及び開放弁115、液状食品貯留槽101内の圧力を測定する圧力計114を含む。食品は、食品循環ポンプ102により液状食品貯留槽101と食品管103を循環している。食品管103は、その両端が液状食品貯留槽101の中間部と下部とにそれぞれつながっており、液状食品貯留槽101の中間部にある食品管103の先端にはマイクロ・ナノバブル発生装置104が接続されている。食品管103は液状食品貯留槽101の上部(気相)及び二酸化炭素供給源105と連通可能であり、弁111cと弁111eを開、弁111aを閉とすることで、二酸化炭素が食品循環ポンプ102により循環している食品管103中の食品に流入する。流入した二酸化炭素は、マイクロ・ナノバブル発生装置104により微小気泡化され、液状食品貯留槽101内の食品中に放出される。食品中に放出された微小気泡化二酸化炭素は、極めて緩やかに液状食品貯留槽101の上部に移動する。この間に、食品に作用して殺菌等に寄与するものと思われる。液状食品貯留槽101内の圧力は、圧力計114を計測しながら弁115を適宜開閉することにより一定の値、0.2~2MPa、に維持する。装置の運転開始時には、液状食品貯留槽101内の圧力を上げるため、弁111a、111eを開き、液状食品貯留槽101の上部に二酸化炭素供給源105から二酸化炭素を供給する。液状食品貯留槽101内の圧力が目的の値に達したら、弁111aを閉じ、弁111cを開ける。これにより、食品管103中の食品中に二酸化炭素が供給されるが、二酸化炭素は食品中に溶け込むので、しばらくの間、液状食品貯留槽101内の圧力は一定の値に保たれる。二酸化炭素の溶存量の限界を超えると、液状食品貯留槽101内の圧力は上昇し始めるので、所要の圧力となったとき弁111eを閉じ、二酸化炭素供給源105からの二酸化炭素の供給を止める。食品の排出等により液状食品貯留槽101内の圧力が下がった場合には、弁111aを開け、二酸化炭素供給源105から新たな二酸化炭素を供給し、液状食品貯留槽101内の圧力を一定の値に維持する。二酸化炭素の微小気泡と接触させた食品は、連続的に又は間欠的に排出口106から排出され、処理済液状食品貯留槽107に移る。処理済液状食品貯留槽107内は常圧に調整されているため、圧力の低下により食品から二酸化炭素が発生する。発生した二酸化炭素は冷却器108によって冷却された後、二酸化炭素加圧ポンプ109によって二酸化炭素供給源105に送られる。この装置では、二酸化炭素は外部に漏出せず、装置内を循環する。
【0027】
なお、上記の例においては、液体貯留槽101としてタンク状のものを示したが、これに限定されることなく、例えば、横長筒状の液体貯留槽を用い、この液体貯留槽の1端から食品管に接続されるマイクロ・バブル発生装置を臨ませ、液体貯留槽の他端側には液体貯留槽中の液状食品を循環ポンプに導く食品管を臨ませるようにしてもよい。
【0028】
液状食品の種類は特に限定されないが、火入れ前の清酒、亜硫酸若しくは亜硫酸塩添加前のワイン、濾過若しくは熱処理前のビールなどのアルコール飲料の製造中間物を好適な食品として例示できる。これらの食品の殺菌及び酵素の失活には、加熱、濾過、亜硫酸若しくは亜硫酸塩添加などの処理方法が用いられているが、これらの処理方法の代わりに、本発明の処理方法を採用することができる。アルコール飲料の製造中間物のほかにも、牛乳、果汁、清涼飲料水、醤油、みりん等の調味料、お茶、医薬品などを処理の対象とすることができる。
【0029】
殺菌対象とする微生物の種類は特に限定されず、人体に有害な微生物、食品の品質を劣化させる微生物などを殺菌対象とすることができる。具体的には、大腸菌、乳酸菌、サルモネラ菌、リステリア菌、レジオネラ菌、麹菌、酢酸菌などの細菌、ビール酵母、清酒酵母、ワイン酵母、醤油酵母などの酵母を殺菌対象とすることができる。
失活の対象とする酵素も特に限定されず、例えば、酸性プロテアーゼ、酸性カルボキシぺプチダーゼ、α-グルコシダーゼ、α-アミラーゼ、β-アミラーゼ、グルコアミラーゼ、ペクチンエステラーゼ、ポリフェノールオキシダーゼ、リパーゼなどを対象とすることができる。
【0030】
このような液状食品の処理方法は、飲料水に対しても同様に行うことができ、飲料水中の微生物を殺菌することができる。
また、この液状食品の処理方法は、固形状食品の処理方法にも応用することができる。即ち、(1)第一の容器内において、二酸化炭素と液体の存在下に負圧を利用して発生した二酸化炭素の微小気泡を、0.2~2MPa下で液体中に保持させる工程、(2)第二の容器内に、微生物又は酵素を含む固形状食品を入れ、第一の容器と等圧になるように二酸化炭素を供給する工程、及び(3)二酸化炭素の微小気泡を保持した液体を固形状食品に接触させる工程ならなる。これにより食品中の微生物の殺菌又は酵素の失活を行うことができる。
【0031】
工程(1)は、上述した液状食品の処理方法における液状食品を液体に置き換えただけであり、液状食品の処理方法と同様に行うことができる。また、第二の容器を第一の容器とパイプを介して接続し第一の容器内の二酸化炭素の微小気泡を第二の容器に供給することもできる。使用する液体は特に限定されるものではなく、水や生理食塩水などを使用することができる。
工程(2)における固形状食品は特に限定されず、野菜、果物、ハム、ソーセージ、コンニャク、トウモロコシなどを例示できる。
【0032】
この固形状食品の処理方法に用いる装置はどのようなものであってもよいが、二酸化炭素供給源、二酸化炭素供給源と連通可能で、供給された二酸化炭素を微小気泡化する微小気泡発生部材、微小気泡発生部材が内部に設置されており、液体を貯留しておくための液体貯留槽(第一の容器)、並びに二酸化炭素供給源及び液体貯留槽と連通可能で、固形状食品を貯留しておくための固形状食品貯留槽(第二の容器)を含む装置を用いるのが好ましい。また、液状食品の場合と同様に、二酸化炭素を循環させるため、固形状食品貯留槽から排出された液体を貯留しておく処理済液体貯留槽、並びに処理済液体貯留槽及び二酸化炭素供給源と連通し、処理済液体貯留槽で発生した二酸化炭素を捕集し、二酸化炭素供給源へ戻す二酸化炭素回収部材をも含む装置を用いてもよい。また、この装置内の圧力は0.2~2MPa下で処理に供されるので、この装置は、強い耐圧性を求める必要がない。
【0033】
固形状食品の処理装置の一例を図3に示す。この装置は、固形状食品貯留槽212、液体貯留槽201、微小気泡発生部材であるマイクロ・ナノバブル発生装置204、二酸化炭素供給源205、処理済液体貯留槽207、二酸化炭素回収部材である二酸化炭素加圧ポンプ209を含み、さらにマイクロ・ナノバブル発生装置204による微小気泡の発生を補助する液体循環ポンプ202及び液体管203、二酸化炭素の回収を効率化する冷却器208、各部材の連通関係を調整する弁211(a、b、c、d、e)、開放弁215、及び栓213、並びに液体貯留槽201内と固形状食品貯留槽202の圧力を測定する圧力計214を含む。
【0034】
液体は、液体循環ポンプ202により液体貯留槽201と液体管203を循環している。液体管203は、その両端が液体貯留槽201の中間部と下部とにそれぞれつながっており、液体貯留槽201の中間部にある液体管203の先端にはマイクロ・ナノバブル発生装置204が接続されている。液体管203は液体貯留槽201の上部(気相)及び二酸化炭素供給源205と連通可能であり、弁211dと弁211eを開、弁211cを閉とすることで、二酸化炭素が食品循環ポンプ202により循環している液体管203中の液体に流入する。流入した二酸化炭素は、マイクロ・ナノバブル発生装置204により微小気泡化され、液体貯留槽201内の液体中に放出される。液体中に放出された微小気泡化二酸化炭素は、極めて緩やかに液体貯留槽201の上部に移動する。液体貯留槽201内の圧力は、圧力計214を計測しながら弁215を適宜開閉することにより一定の値、0.2~2MPa、に維持する。装置の運転開始時には、液体貯留槽201及び固形状食品貯留槽212内の圧力を上げるため、弁211b、211c及び弁211eを開き、液体貯留槽201の上部及び固形状食品貯留槽212に二酸化炭素供給源205から二酸化炭素を供給する。両槽内の圧力が目的の値に達したら、弁211cを閉じ、弁211dを開ける。これにより、液体管203中の液体中に二酸化炭素が供給されるが、二酸化炭素は液体中に溶け込むので、しばらくの間、液体貯留槽201及び固形状食品貯留槽212内の圧力は一定の値に保たれる。二酸化炭素の溶存量の限界を超えると、圧力は上昇し始めるので、所要の圧力となったとき弁211eを閉じ、二酸化炭素供給源205からの二酸化炭素の供給を止める。液体の排出等により液体貯留槽201及び固形状食品貯留槽212内の圧力が下がった場合には、弁211dを閉じた状態で弁211cを開け、二酸化炭素供給源205から新たな二酸化炭素を供給し、二酸化炭素の圧力を一定の値に維持する。この間に、二酸化炭素の微小気泡と一定時間接触させた液体は、栓213を開け、固形状食品貯留槽212へと移動させ、固形状食品と接触させる。固形状食品と一定時間接触させた液体は、排出口206から排出され、処理済液体貯留槽207に移る。処理済液体貯留槽207内は常圧に調整されているため、圧力の低下により液体から二酸化炭素が発生する。発生した二酸化炭素は冷却器208によって冷却された後、二酸化炭素加圧ポンプ209によって二酸化炭素供給源205に送られる。このように液体貯留槽201と固形状食品貯留槽212を分けて処理することにしたので、固形状食品に対し、物理的力が加わることを避けることができる。
【0035】
なお、上記の例においては、固形状食品貯留槽212を液体貯留槽201の下流側に設置したが、固体状食品貯留槽212を籠体とし、液体貯留槽201内の上部に待機させておいて、二酸化炭素の微小気泡の発生が熟したころに、当該籠体を下降させて当該籠体中に入れてある固形状食品を二酸化炭素の微小気泡と接触させることも本発明に包含される。
【実施例】
【0036】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。
【0037】
〔実施例1〕 生理食塩水中の微生物に対する殺菌実験
(1)実験方法
(1-1)微生物懸濁液の調整
大腸菌(Escherichia coli NBRC14237)、酵母(Saccharomyces cerevisiae NBRC10217)および火落菌(Lactobacillus fructivorans s36)のそれぞれの懸濁液の調製は以下の通りに行った。1白金耳量の各菌体を、大腸菌では10 mLのニュートリエント培地(Difco)、酵母では10mLのYM培地(Difco)、火落菌では10% エタノールを含む10 mLのS.I.培地((財)日本醸造協会)をそれぞれ試験管内に懸濁し、大腸菌では37℃で16時間、酵母では30℃で10時間、火落菌では30℃で7日間培養した。その後、大腸菌および酵母の培養液をそれぞれ190 mLのニュートリエント培地および300 mLのYM培地を含有する三角フラスコにそれぞれ添加し、大腸菌では37℃で24時間、酵母では30℃で12時間振とう培養した。また、0.5 mLの火落菌の培養液を15% エタノールを含む10 mLのS.I.培地に移し、30℃で7日間培養した。それら培養液から菌体を2度の遠心分離(4℃、10000×g、10分)により収集し、初発菌数105 ~106CFU/mLになるように菌体を生理食塩水中に懸濁して各試料として実験に使用した。
【0038】
(1-2)生残菌数の測定
大腸菌、酵母および火落菌の生残菌数は標準寒天培地(日水製薬株式会社)、YM寒天培地、およびS.I.寒天培地にそれぞれ0.1 mLの試料1/10ごと段階的に希釈して塗布した。大腸菌では37℃で24時間、酵母では30℃で48時間、火落菌では30℃で10日間それぞれ培養し、形成したコロニー数を測定することによって行った。
【0039】
(1-3)二酸化炭素の供給
二酸化炭素の供給は、図4の(a)~(d)に示すように、1)マイクロ・ナノバブル発生装置を用いた供給(図4(a)と図4(b))、2)ミクロフィルターを用いた供給(図4(c))、3)微小気泡化を用いない供給(コントロール)(図4(d))の3通りで行った。
【0040】
マイクロ・ナノバブル発生装置を用いた二酸化炭素の供給は、図2の装置を用いて、以下の通りに行った(但し、二酸化炭素の循環は行っていない。)。30Lの液状食品貯留槽101(株式会社寺田鉄工所製)に挿入した25Lの試料を各実験温度まで加温し、液状食品貯留槽101のヘッドスペース部分に二酸化炭素を各実験圧力に達するまで供給して実験を開始した。二酸化炭素マイクロ・ナノバブルの発生は食品循環ポンプ102(株式会社帝国電機製作所製)により試料を20L /minで循環させ、二酸化炭素を食品循環ポンプ102の出口付近から供給し、試料・二酸化炭素混合流体を液状食品貯留槽101内にある食品管103の先端に接続したマイクロ・ナノバブル発生装置104を通過させることによって行った。二酸化炭素マイクロ・ナノバブルの発生には、気液混合流体の旋回流に起因する、負圧を利用してなるBT-50((有)バブルタンク社製)を使用した。
【0041】
ミクロフィルターを用いた二酸化炭素の供給は、二酸化炭素を液状食品貯留槽101の底に誘導し(図4(c))、孔径1μm又は10 μmのミクロフィルター(鈴木商工株式会社製)を設置して行った。
処理試料はゆっくり排出口106を開放して60分間10分おきに採取し、溶存二酸化炭素濃度、生残菌数および酵素活性を測定した。
【0042】
(1-4)処理条件
溶存二酸化炭素濃度測定では、処理温度40℃、処理圧力2 MPa(以下、大気圧との差圧)、二酸化炭素供給量100、500、1000および2000 mL /minで行った。
大腸菌殺菌では処理温度40℃、処理圧力2 MPa、比較として窒素を2000 mL /minで供給した。
酵母殺菌では処理温度35、40、45および50℃、処理圧力0、0.3、0.5、1および2MPa、二酸化炭素供給量2000 mL/min、試料中のエタノール濃度0および5%で行った。
【0043】
火落菌殺菌は処理温度40および45℃、処理圧力0、0.5、1および2 MPa、二酸化炭素供給量2000 mL /min、エタノール濃度10、15および20%で行った。
【0044】
(2)実験結果
(2-1)溶存二酸化炭素濃度
マイクロ・ナノバブル発生装置を用いた場合とミクロフィルターを用いた場合で溶存二酸化炭素濃度の変化に大きな違いは見られなかった(図5A、B、C、D)。二酸化炭素の供給量が500mL /min以上のときには一定時間経過後は、溶存二酸化炭素濃度が12mL/gまで上昇すると、飽和状態に達する傾向にある(図5C、D)。このことから、早期に飽和状態にしたければ、二酸化炭素の供給速度を大とすることが有効であることが分かる。
【0045】
後述するように、微生物に対する殺菌効果はマイクロ・ナノバブル発生装置を用いた場合とミクロフィルターを用いた場合では大きな違いが生じることから、殺菌効果は溶存二酸化炭素の濃度に依存するだけではないことが判明した。
【0046】
(2-2)大腸菌の殺菌における二酸化炭素供給量の影響
二酸化炭素供給量が増えることにより殺菌効果も増大した(図6A、B、C、D)。二酸化炭素の供給方法としては、マイクロ・ナノバブル発生装置を用いる方法が有効で、特に装置を2基設置することにより殺菌効果は更に向上した(図6A、B、C、D)。コントロールの殺菌効果は低かった(図6A、B、C、D)。二酸化炭素の代わりに窒素を用いた場合には全く殺菌効果はなかった(図6D)。また、図5と図6とを対比すると、二酸化炭素濃度が飽和状態に達すると殺菌効果も大となることが分かる。
【0047】
(2-3)酵母の殺菌における処理温度の影響
温度が高くなるほど殺菌効果も増大した(図7A、B)。また、エタノールが存在すると殺菌効果は著しく増大した(図7A、B)。
【0048】
(2-4)酵母の殺菌における二酸化炭素供給方法の影響
大腸菌の場合と同様、マイクロ・ナノバブル発生装置を用いる方法が最も殺菌効果が高かった(図8)。ミクロフィルターを用いた場合は、殺菌効果は孔径が1μmのものを用いた方が若干高かった(図8)が、両フィルターとも殺菌60分以内で完全殺菌を達成させることはできなかった。また、30分以降に殺菌効果が低下しているが、これは目詰まり等が発生したものと推測される。窒素を用いた場合には、大腸菌の場合と同様に全く殺菌効果はなかった(図8)。
【0049】
(2-5)酵母の殺菌におけるエタノール濃度の影響
エタノール濃度が高くなるほど殺菌効果は増大した(図9)。
【0050】
(2-6)酵母の殺菌における処理圧力の影響
処理圧力が0.3 MPa以上であれば十分な殺菌効果を示した(図10)。
【0051】
(2-7)火落菌の殺菌におけるエタノール濃度の影響
エタノール濃度が高くなるほど殺菌効果は増大した(図11)。
【0052】
(2-8)火落菌の殺菌における処理温度の影響
温度が高くなるほど殺菌効果は増大した(図12)。大腸菌及び酵母の場合と同様、窒素を用いた場合には全く殺菌効果はなかった(図12)。
【0053】
(2-9)火落菌の殺菌における処理圧力の影響
処理圧力を1 MPaと2 MPaとした場合ではほとんど殺菌効果に違いはなかった(図13)。0.5 MPaとした場合は他よりもやや殺菌効果が低かった(図13)。
【0054】
〔実施例2〕 酵素失活実験
(1)実験方法
(1-1)酸性プロテアーゼ溶液の調整
酸性プロテアーゼ(エイチビィアイ株式会社)はMcIlvaine広域緩衝液(pH 3.0)に100 μg/mLとなるように懸濁して使用した。
【0055】
(1-2)低加圧マイクロ・ナノバブル二酸化炭素処理装置
低加圧マイクロ・ナノバブル二酸化炭素処理装置の使用は実施例1と同様に行った。
【0056】
(1-3)処理条件
酸性プロテアーゼの失活には処理温度40℃、処理圧力2 MPa、二酸化炭素供給量2000 mL/min、エタノール濃度0、10、15および20%で行い、比較として、二酸化炭素を供給せずに熱処理のみの実験は40℃のウォーターバス内で行った。
【0057】
(1-4)酸性プロテアーゼ活性測定
酸性プロテアーゼ活性測定は基質にカゼインを使用し、37℃、pH 3.0で10分間酵素反応させることで行った。この反応液にトリクロロ酢酸を加え反応を停止させた後、沈殿物をろ過し、ろ液にフェノール試薬を加え発色させ660 nmでの吸光度を測定した。酵素の残存活性は未処理酵素の活性に対する相対活性として百分率(%)で表示した。
【0058】
(2)実験結果
低加圧マイクロ・ナノバブル二酸化炭素処理を行った場合の酸性プロテアーゼの残存活性の経時的変化を図14Bに示す。また、熱処理のみを行った場合の残存活性の経時的変化を図14Aに示す。
【0059】
熱処理のみではエタノール濃度が高い場合でも、完全には失活しなかった(図14A)。これに対し、低加圧マイクロ・ナノバブル二酸化炭素処理を行った場合には、エタノール濃度15%以上で酵素は完全に失活した(図14B)。
【0060】
〔実施例3〕野菜に対する殺菌実験
(1)実験方法
(1-1)野菜に対する低加圧二酸化炭素による前処理の効果
この実験は図3に示す固形状食品の処理装置を用いて行った(但し、二酸化炭素の循環は行っていない。)。30Lの液体貯留槽201に入れた25Lの蒸留水を40℃まで加温し、蒸留水中に市販のキャベツおよびレタスを挿入し、マイクロ・ナノバブル発生装置204を用いて微小気泡化した二酸化炭素を1および2 MPaに達するまで供給した。30分間保持後、液体貯留槽201のヘッドスペース部分の二酸化炭素を開放弁215からゆっくり放出することで液体貯留槽201内の圧力を大気圧まで減圧し、キャベツおよびレタスを取り出し、観察した。
【0061】
また、固形状食品貯留槽212にキャベツおよびレタスを挿入し、二酸化炭素のみを1および2 MPaに達するまで供給した。その後、上述した方法で液体貯留槽201内でマイクロ・ナノバブル発生装置204を用いて二酸化炭素を微小気泡化することによって溶存二酸化炭素濃度が飽和に達した蒸留水を固形状食品貯留槽212に導いた。30分間保持後、固形状食品貯留槽212のヘッドスペース部分の二酸化炭素を開放弁215からゆっくり放出することで固形状食品貯留槽212内の圧力を大気圧まで減圧し、キャベツおよびレタスを取り出し、観察した。
【0062】
(1-2)野菜に付着した微生物に対する殺菌効果
大腸菌を塗布した市販のキャベツを固形状食品貯留槽212内に挿入し、二酸化炭素ガスによって1 MPaまで加圧した。その後、液体貯留槽201内でマイクロ・ナノバブル発生装置204を用いて二酸化炭素を微小気泡化することによって溶存二酸化炭素濃度が飽和に達した蒸留水を固形状食品貯留槽212に導き、キャベツを処理し、殺菌効果の検討を行った。また、大腸菌を塗布したキャベツを1 MPaの二酸化炭素ガスに曝しただけのときの殺菌効果についても検討した。
【0063】
(2)実験結果
(2-1)野菜に対する低加圧二酸化炭素による前処理の効果
予め二酸化炭素で加圧することなく、液体貯留槽201内が1および2 MPaとなるように二酸化炭素を供給した蒸留水中に直接曝したキャベツおよびレタスでは水が浸潤し、商品価値が低下したが(図15右上及び右下、図16右上及び右下)、1 MPaおよび2 MPaの二酸化炭素中に置いた後、二酸化炭素を供給した蒸留水中に曝したキャベツおよびレタスは変化が認められなかった(図15中央上及び中央下、図16中央上及び中央下)。
【0064】
(2-2)野菜に付着した微生物に対する殺菌効果
キャベツに塗布した106 CFU/mLの大腸菌は、1 MPaとなるように二酸化炭素を供給した固形状食品貯留槽212内の水につけてから20分以内に0 CFU/mLとなった。しかしながら、二酸化炭素ガスに曝しただけでは殺菌効果はほとんど認められなかった。
【0065】
〔実施例4〕 香気成分の残存実験
(1)実験方法
(1-1)供試試料
日本酒を想定して、15% エタノール溶液25Lに250 μLのカプロン酸エチル(Ethyl hexanoate、日本酒中の主要香気成分)を添加したモデル水を試料水とした。
【0066】
(1-2)低加圧マイクロ・ナノバブル二酸化炭素処理および処理条件
低加圧マイクロ・ナノバブル二酸化炭素処理装置及び操作は実施例1と同様の手順で行った。処理条件は火落菌の完全殺菌が可能であり、本実験で最も香りが揮散しやすいと考えられる処理温度40℃、処理圧力2 MPa、二酸化炭素供給量2000mL/min、処理時間40 minで行った。
【0067】
(1-3)香気分析
試料中の香気成分の抽出は食品中の香気成分抽出法であるPorapak Qカラム濃縮法を用いて行った。即ち、低加圧マイクロ・ナノバブル二酸化炭素処理前後の200 mLの試料水を10 mLのPorapak Q (polydivinylbenzene, 50-80 mesh, Waters Co., Ltd., Milford, MA)が充填されたガラスカラム(2 cm×10 cm)に流してPorapak Qに香気成分を吸着させた後、100 mLの蒸留水でカラム内を洗浄し、次いで香気成分を100 mLのジエチルエーテル(和光純薬工業株式会社)で溶出させた。その溶出液に内部標準物質として100 μLの0.1%シクロヘキサノール溶液(片山化学工業株式会社)を添加し、無水硫酸ナトリウム(和光純薬工業株式会社)で一晩脱水後、窒素ガスを用いて約40 μLまで濃縮し、ガスクロマトグラム(GC)分析により定量した。
【0068】
(2)実験結果
低加圧マイクロ・ナノバブル二酸化炭素処理後のカプロン酸エチルの残存率を表1に示す。また、比較のため、超臨界二酸化炭素処理後のカプロン酸エチルの残存率を表2に示す。
【0069】
【表1】
JP0005131625B2_000002t.gif
開放系:二酸化炭素を処理時間中供給しつづけ、過圧になる分を開放弁115から排出させ、処理圧力を維持する。
閉鎖系:二酸化炭素を処理時間中供給しつづけ、過圧になると供給を止め、二酸化炭素の処理液への溶解によって圧力が設定圧力より低下した場合、二酸化炭素を再供給して処理圧力を維持する。
【表2】
JP0005131625B2_000003t.gif

【0070】
1)35℃、10 MPa、13 min(未発表、小林ら,2005)
2)35℃、25 MPa、30 min(Ishikawa et al., 1995, Inactivation of Enzymes in Namazake Using Micro-bubble Supercritical Carbon Dioxide. Biosci. Biotech. Biochem., 59(6), 1027-1031.)
【0071】
超臨界二酸化炭素処理によりカプロン酸エチルはほぼ完全に失われてしまった(表2)。これに対し、低加圧マイクロ・ナノバブル二酸化炭素処理では、大部分のカプロン酸エチルは残存していた(表1)。
本明細書は、本願の優先権の基礎である日本国特許出願(特願2007-198650号)の明細書および/または図面に記載されている内容を包含する。また、本発明で引用した全ての刊行物、特許および特許出願をそのまま参考として本明細書にとり入れるものとする。
図面
【図2】
0
【図3】
1
【図5A】
2
【図5B】
3
【図5C】
4
【図5D】
5
【図6A】
6
【図6B】
7
【図6C】
8
【図6D】
9
【図7A】
10
【図7B】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
14
【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14A】
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【図14B】
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【図1】
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【図4】
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【図15】
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【図16】
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