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明細書 :風力発電システム

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2014-176257 (P2014-176257A)
公開日 平成26年9月22日(2014.9.22)
発明の名称または考案の名称 風力発電システム
国際特許分類 H02J   3/38        (2006.01)
F03D   7/00        (2006.01)
H02P   9/00        (2006.01)
H02J   3/12        (2006.01)
FI H02J 3/38 C
F03D 7/00
H02P 9/00 F
H02J 3/12
請求項の数または発明の数 3
出願形態 OL
全頁数 15
出願番号 特願2013-049007 (P2013-049007)
出願日 平成25年3月12日(2013.3.12)
発明者または考案者 【氏名】西方 正司
出願人 【識別番号】800000068
【氏名又は名称】学校法人東京電機大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100083806、【弁理士】、【氏名又は名称】三好 秀和
【識別番号】100100712、【弁理士】、【氏名又は名称】岩▲崎▼ 幸邦
【識別番号】100101247、【弁理士】、【氏名又は名称】高橋 俊一
【識別番号】100095500、【弁理士】、【氏名又は名称】伊藤 正和
【識別番号】100098327、【弁理士】、【氏名又は名称】高松 俊雄
審査請求 未請求
テーマコード 3H078
5G066
5H590
Fターム 3H078AA02
3H078AA26
3H078AA31
3H078BB19
3H078CC22
3H078CC72
3H078CC73
5G066DA06
5G066HB01
5G066HB03
5H590AA11
5H590AA12
5H590AB01
5H590CA14
5H590CC01
5H590CC02
5H590CD01
5H590CD03
5H590CE01
5H590DD67
5H590EA14
5H590EB14
5H590EB15
5H590FA05
5H590FA08
5H590FB05
5H590FC12
5H590FC15
5H590GA02
5H590GA06
5H590GA07
5H590HA02
要約 【課題】複数台の風力発電機を直列接続する場合における各部の電圧上昇を抑制しつつ、出力容量を増加させることのできる風力発電システムを提供する。
【解決手段】風力に応じて回転エネルギーを発生させる風力タービン111、該風力タービンで発生した回転エネルギーに応じて交流電力を発生させる風力発電機121、風力発電機で発生した交流電力を直流電力に変換するコンバータ131と、を有する風力発電ユニット11~1nが複数個で構成される風力発電ユニット群U1,U2を2組有し、風力発電ユニット群毎に設けられ、複数の風力発電ユニットのコンバータがそれぞれ出力する直流電力の直列和を入力し、直列和を交流電力に変換するインバータを有する2組の変換ユニット20a、20bとを備え、2組の変換ユニットの間に、2組の変換ユニットで共用される同期調相機50を有する。
【選択図】図1
特許請求の範囲 【請求項1】
風力に応じて回転エネルギーを発生させる風力タービン、該風力タービンで発生した回転エネルギーに応じて交流電力を発生させる風力発電機、該風力発電機で発生した交流電力を直流電力に変換するコンバータと、を有する風力発電ユニットが複数個で構成される風力発電ユニット群を2組有し、
前記風力発電ユニット群毎に設けられ、前記複数の風力発電ユニットの前記コンバータがそれぞれ出力する直流電力の直列和を入力し、該直列和を交流電力に変換するインバータを有する2組の変換ユニットと
を備え、
前記2組の変換ユニットの間に、前記2組の変換ユニットで共用される同期調相機を有することを特徴とする風力発電システム。
【請求項2】
前記同期調相機は、同期発電ユニットを有し、前記同期発電ユニットが出力する電力と前記インバータが出力する電力とが合成されることを特徴とする請求項1に記載の風力発電システム。
【請求項3】
前記インバータがサイリスタインバータであって、前記同期発電ユニットが、前記インバータに転流に必要な無効電力を供給することを特徴とする請求項2に記載の風力発電システム。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、風力を利用した風力発電システムに係り、特に複数の風力タービンを有する風力発電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、地球温暖化問題の解決等に向けた様々な検討・努力がなされている。
【0003】
特に近年では、原子力発電を取り巻く様々な課題や、原油価格の急激な上昇などにより再生可能エネルギーの有効利用が急務となっている。
【0004】
ここで、風力発電は燃料が不要であることなどから、地球環境保全・改善のための有望・有力な手段の一つと考えられている。
【0005】
ところで、風力エネルギーの密度が低いことから、単機の風力発電機の出力容量は、火力発電所などの既存の発電システムと比べて相対的に小さいという難点がある。
【0006】
そのため、実用規模の風力発電所は一般に、複数台の風力発電機を相互接続したウインドファームにより構成される。
【0007】
風力発電機の相互接続の方法としては、個々の風力発電機の出力を整流してこれらを直列接続する方式が提案されている(例えば、特許文献1)。
【0008】
この方式は、従来の並列接続方式と比べてシステム構成が簡潔であるため、高い信頼性や低コスト化が期待できるだけでなく、高品質の電気出力が得られるなどの多くの利点を有している。
【先行技術文献】
【0009】

【特許文献1】特開2010-71156号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、直列接続方式を採用する風力発電システムでは、直列接続される風力発電機の台数に特に制限は無い。
【0011】
しかしながら、台数の増加に伴い、システム各部の対地電圧が上昇することとなるので、絶縁に対する特別な配慮(例えば、システムの各部の絶縁性や耐圧性を高めるなどの配慮)が必要となり、コストが嵩むという課題がある。
【0012】
一方で、ウインドファームを構成する風車や風力発電機の台数が多くなると、それだけ出力容量を増加できると共に、出力変動の平準化が期待できるので、絶縁に特別な配慮をせずに出力容量の増大を可能とする相互接続方式の開発が望まれている。
【0013】
本発明は、上述のような課題を解決すべくなされたものであり、複数台の風力発電機を直列接続する場合における各部の電圧上昇を抑制しつつ、出力容量を増加させることのできる風力発電システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の一態様によれば、風力に応じて回転エネルギーを発生させる風力タービン、該風力タービンで発生した回転エネルギーに応じて交流電力を発生させる風力発電機、該風力発電機で発生した交流電力を直流電力に変換するコンバータと、を有する風力発電ユニットが複数個で構成される風力発電ユニット群を2組有し、前記風力発電ユニット群毎に設けられ、前記複数の風力発電ユニットの前記コンバータがそれぞれ出力する直流電力の直列和を入力し、該直列和を交流電力に変換するインバータを有する2組の変換ユニットとを備え、前記2組の変換ユニットの間に、前記2組の変換ユニットで共用される同期調相機を有することを特徴とする風力発電システムが提供される。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、複数台の風力発電機を直列接続する場合における各部の電圧上昇を抑制しつつ、出力容量を増加させることのできる風力発電システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施の形態に係る風力発電システムの構成例(a)~(c)を示す概略構成図である。
【図2】本実施の形態に係る風力発電システムにおけるインバータ出力電圧(制御進み角=20°、20°)の波形(a)~(g)を示すグラフである。
【図3】本実施の形態に係る風力発電システムにおけるインバータ出力電圧(制御進み角=50°、50°)の波形(a)~(g)を示すグラフである。
【図4】比較例に係る風力発電システムの構成例を示す概略構成図である。
【図5】比較例に係る風力発電システムにおけるインバータ出力電圧の波形を示すグラフである。
【図6】比較例に係る風力発電システムにおけるシステムの出力電圧の波形を示すグラフである。
【図7】比較例に係る風力発電システムにおけるインバータの出力電流の波形を示すグラフである。
【図8】比較例に係る風力発電システムにおける負荷電流の波形を示すグラフである。
【図9】比較例に係る風力発電システムにおける電機子電流の波形を示すグラフである。
【図10】比較例に係る風力発電システムにおける実験条件の例を示す図表である。
【図11】図10の実験条件に基づく実験結果を示す図表である。
【図12】基本構成に係る風力発電システムの構成例を示す構成図である。
【図13】基本構成に係る風力発電システムの構成例を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一例としての実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。ここで、添付図面において同一の部材には同一の符号を付しており、また、重複した説明は省略されている。なお、ここでの説明は本発明が実施される最良の形態であることから、本発明は当該形態に限定されるものではない。

【0018】
(基本構成に係る風力発電システム)
本実施の形態に係る風力発電システムについて説明する前に、図12および図13を参照して、基本構成に係る風力発電システムS20について説明する。

【0019】
基本構成に係る風力発電システムS20は、図12に示すように、風力に応じて回転エネルギーを発生させる風力タービン111~11n(nは2以上の整数)、その風力タービン111~11nで発生した回転エネルギーに応じて交流電力を発生させる風力発電機121~12n、その風力発電機121~12nで発生した交流電力を直流電力に変換するコンバータ131~13nと、風力タービン111~11nを回転させる風力の風速を測定する図示しない風速計をそれぞれ有する複数の風力発電ユニット11~1nと、複数の風力発電ユニット11~1nのコンバータ131~13nがそれぞれ出力する直流電力の直列和を入力し、その直列和を交流電力に変換するインバータ21を有する変換ユニット20と、複数の風力発電ユニット11~1nの風速計が測定する風速をそれぞれ監視し、風速に応じてコンバータ131~13nそれぞれの出力電圧Vd1 ~Vdn 及びインバータの入力電圧をリアルタイムに制御する制御ユニット(図示せず)とを備える(n:2以上の整数)。

【0020】
図12に示した基本構成では、同期発電ユニット150をさらに備えている。

【0021】
この風力発電システムS20は、風力発電ユニット11~1nの出力の直列和と同期発電ユニット150の出力とを合成した交流電力を出力できる。

【0022】
風力タービン111~11nは、風の持つ運動エネルギーを回転エネルギーに変換し、風力発電機121~12nをそれぞれ駆動する。

【0023】
具体的には、風力タービン111~11nの回転軸に風力発電機121~12nが機械的に接続され、風力発電機121~12nは風力に応じた電力をコンバータ131~13nに出力する。

【0024】
風力発電機121~12nには、永久磁石同期発電機(PMSG)や巻線界磁形同期発電機等の同期発電機が採用可能である。

【0025】
例えば、PMSGは界磁励磁のための電源回路が不要であり、構造が簡単で保守が容易であるため好適である。

【0026】
コンバータ131~13nには、例えばサイリスタコンバータが採用可能である。但し、サイリスタコンバータ以外のコンバータであっても、外部からの信号によって出力電圧Vd1 ~Vdn を制御可能な、自己消弧型素子を用いた電流型コンバータであれば、コンバータ131~13nに採用可能である。

【0027】
ここで、出力電圧Vd1 ~Vdn を制御するためにコンバータ131~13nの外部から調整可能なパラメータを、以下において「コンバータパラメータ」という。

【0028】
コンバータ131~13nにサイリスタコンバータを採用した場合は、コンバータ131~13nの各制御角を調整することにより、出力電圧Vd1 ~Vdn が制御される。つまり、制御角がコンバータ131~13nのコンバータパラメータである。

【0029】
コンバータ131~13nに絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)や電界効果トランジスタ(FET)を用いた場合には、ゲート電圧を調整することにより、コンバータ131~13nの出力が制御される。

【0030】
図12に示すように、風力発電ユニット11~1nの出力端は直列接続される。そして、風力発電ユニット11~1nがそれぞれ出力する直流電力の直列和が、直流送電線40を介して、変換ユニット20に送られる。

【0031】
ここで、風力発電ユニット11~1nから変換ユニット20に送られる直流電流(以下において、「DCリンク電流」という)をIdとする。また、風力発電ユニット11~1nの出力電圧和(以下において、「DCリンク電圧」という)Vdは、Vd=Vd1 +Vd2 +・・・+Vdn である。

【0032】
変換ユニット20は、インバータ21が出力する交流電力を、図示を省略した電力系統又は負荷に供給する。

【0033】
図12に示した変換ユニット20は、直流リアクトル22とインバータ21とを有する。

【0034】
直流リアクトル22は、風力発電ユニット11~1nから送られた直流電流を平滑化するためのものである。

【0035】
インバータ21は、直流リアクトル22によって平滑化された直流電流を交流に変換する。

【0036】
インバータ21には、例えば他励式サイリスタインバータが採用可能である。但し、サイリスタインバータ以外のインバータであっても、外部からの信号によって入力電圧を制御可能な、自己消弧型素子を用いた電流型インバータであれば、インバータ21に採用可能である。

【0037】
インバータの入力電圧Edを制御するための、インバータ21の外部から調整可能なパラメータを、以下において「インバータパラメータ」という。インバータ21にサイリスタインバータを採用した場合は、制御進み角を調整することにより、インバータの入力電圧Edが制御される。つまり、制御進み角がインバータ21のインバータパラメータである。

【0038】
図示しない制御ユニットは、風速計が測定する風速を監視する。そして、制御ユニットは、風速に応じて、コンバータ131~13nの出力電圧Vd1 ~Vdn を調整するコンバータパラメータを変更するコンバータ出力制御信号をコンバータ131~13nにそれぞれ出力する。

【0039】
さらに、制御ユニットは、風速に応じて、インバータ21の入力電圧を調整するインバータパラメータを変更するインバータ制御信号をインバータ21に出力する。

【0040】
次に、同期発電ユニット150について説明する。

【0041】
変換ユニット20の出力は、エネルギー源である風力によって変動する。例えば各設置場所の地形や季節風等の風力の変動要因が多いため、風速は不安定である。このため、風力変動に起因する変換ユニット20の出力変動を緩和するために、変換ユニット20の出力と他の発電システムの出力とを合成する、いわゆるハイブリッド風力発電システムが有効である。

【0042】
図12に示した風力発電システムS20では、変換ユニット20の出力と同期発電ユニット150の出力とを合成した交流電力を出力し得る。

【0043】
図12に示した同期発電ユニット150は、同期発電機(同期調相機)50、波形改善リアクトル52および図示しない原動機を有する。

【0044】
原動機は、例えば太陽エネルギー等の自然界に存在する様々なエネルギーを力学的エネルギーに変換して、同期発電機50を駆動する。

【0045】
原動機は、例えばガスタービンやガソリンエンジン等で構成することができる。

【0046】
なお、負荷の変動等に起因して同期発電機50の出力が変動した場合にも同期発電機50の回転速度を一定に保つため、図示しないガバナ(調速機)で原動機の出力を制御するようにしても良い。

【0047】
同期発電機50は、原動機により駆動され、交流電力を出力する。同期発電機50は、風力発電システムS20全体の出力を一定に維持するため、コンバータ131~13nの出力で賄うことのできない不足分の電力(有効分)を供給する。

【0048】
つまり、変換ユニット20の出力する電力が、負荷が必要とする所定の電力に足りない場合に、同期発電機50は不足分の電力を負荷に供給する。

【0049】
したがって、同期発電ユニット150を有する風力発電システムS20は、風力の変動に依存せずに、必要な所定の電力を負荷に供給できる。

【0050】
また、同期発電機50は、サイリスタインバータが採用されたインバータ21に、転流に必要な無効電力を波形改善リアクトル52を介して供給する。

【0051】
インバータ21の制御進み角と電流重なり角とが等しくなった場合には、インバータ21において転流失敗が発生する。したがって、制御進み角は、電流重なり角よりも大きい状態で制御される必要がある。なお、同期発電機50がインバータ21の転流を制御するため、同期発電機50の回転速度に基づき、風力発電システムS20の出力周波数は決定される。

【0052】
さらに、同期発電機50は、風力発電システムS20の負荷が必要とする無効電力を供給する。

【0053】
波形改善リアクトル52は、変換ユニット20が出力する交流電力と同期発電機50が出力する電力とを合成し、所定の電力を負荷に出力する。その際、波形改善リアクトル52は、出力電圧の高調波分を除去する。また、波形改善リアクトル52は、二つのリアクトルコイルの自己インダクタンスL1、L2と相互インダクタンスMの適切な選定により、同期発電機50の初期過渡インダクタンスを等価的に打ち消すことができる。このため、インバータ21の転流による出力電圧の波形陥没を防止できる。

【0054】
図12に示すように、変換ユニット20と同期発電機50の出力端との両方から電流が流入したときに、両方の電流により生じる磁束が加わり合うように、波形改善リアクトル52が、同一鉄心上に巻装され且つ直列に接続された二つのコイルから構成されるようにできる。

【0055】
あるいは、図13に示すように、波形改善リアクトル152は、図12に示す変換ユニット20と、風力発電システムS20の出力端との両方から電流が流入したときに、両方の電流より生じる磁束が打ち消し合うように、同一鉄心上に巻装され且つ直列に接続された二つのコイル152a、152bから構成されるようにしても良い。

【0056】
なお、波形改善リアクトル52は必ずしも必須の構成要件ではない。波形改善リアクトル52を設けない場合でも、風力発電システムS20を動作させることは可能である。但し、何らかのフィルタは必要であると考えられる。また、波形改善リアクトル52を採用する場合には、電流重なり角を所定の値以下に抑えるために、波形改善リアクトル52を構成する二つのリアクトルコイルの自己インダクタンスL1、L2、及び相互インダクタンスMは、適切に選定される必要がある。

【0057】
上記のように、原動機の出力を制御することにより、風速の変動による風力発電機121~12nの出力変動を補償できる。なお、原動機を駆動するためのエネルギー源はどのようなものでもよく、例えば太陽光等の再生可能エネルギーやバイオマス資源を利用することもできる。また、原動機を省略することも可能である。この場合、同期発電機50は同期調相機として動作し、風力発電システムS20の交流出力は風力発電による出力のみとなる。

【0058】
なお、同期発電ユニット150は風力発電システムS20に必須の構成要素ではない。例えば、サイリスタインバータが採用されたインバータ21の転流に必要な無効電力を、風力発電システムS20の負荷側から供給してもよい。

【0059】
図13は、図12に示す風力発電システムS20を簡略化して示す概略構成図である。

【0060】
図13において、図12に示す直列接続されるサイリスタ整流回路は、直列接続風車群(ユニット群)Uに包含されている。

【0061】
このような基本構成に係る風力発電システムS20によれば、従来の並列接続方式と比べてシステム構成を簡潔にすることができ、高い信頼性や低コスト化が期待できるという利点がある。また、高品質の電気出力が得られるという利点も有している。

【0062】
しかしながら、基本構成に係る風力発電システムS20では、直列接続される風力発電機の台数に特に制限は無いが、台数の増加に伴い、システム各部の対地電圧が上昇することとなる。その対地電圧は、風力発電機の台数によっては、数万~数十万Vにも達し、絶縁に対する特別な配慮が必要である。

【0063】
絶縁に対する特別な配慮とは、例えば、システムの各部の絶縁性や耐圧性を高めるなどの配慮であるが、これを実現するためには、多大の費用が必要であった。

【0064】
一方で、ウインドファームを構成する風車や風力発電機の台数が多くなると、それだけ出力容量を増加できると共に、出力変動の平準化が期待できるので、上述のような絶縁に特別な配慮をせずに出力容量の増大を可能とする風力発電システムの開発が望まれていた。

【0065】
そこで、本発明者は、鋭意研究の結果、本発明に係る風力発電システムを完成するに至った。

【0066】
(実施の形態に係る風力発電システム)
図1~4を参照して、実施の形態に係る風力発電システムS1(S1aからS1c)について説明する。

【0067】
図1(a)は、第1実施例に係る風力発電システムS1aの構成例を示す概略構成図である。

【0068】
第1実施例に係る風力発電システムS1aは、複数の風力発電ユニットで構成される2組のユニット群U1,U2と、ユニット群U1,U2毎に設けられ、複数の風力発電ユニットのコンバータ(図12に示すサイリスタコンバータ131~13nを参照)がそれぞれ出力する直流電力の直列和を入力し、該直列和を交流電力に変換するインバータ(サイリスタインバータ)21a、21bを有する2組の変換ユニット20a、20bとを備えている。

【0069】
ユニット群U1側である上側出力側には、変圧器(トランス)500が接続されている。

【0070】
変圧器(トランス)500は、巻数比=1:1の理想変圧器とした。

【0071】
なお、初期過渡インダクタンスは1mHとし、波形改善リアクトルは、初期過渡インダクタンスを完全にキャンセルできる値の2倍とした。

【0072】
また、波形改善リアクトル52aは、コイル300aと300bを接続して構成され、波形改善リアクトル52bは、コイル300cと300dを接続して構成されている。

【0073】
また、波形改善リアクトル52aと波形改善リアクトル52bの中間点201において1台の同期調相機50が接続されている。

【0074】
なお、図1に示す直列接続風車群(ユニット群)U1,U2の具体的な構成は、前述の図12に示す基本構成に係る風力発電システムS20の直列接続風車群(ユニット群)Uと同様である。

【0075】
また、図1(b)は、第2実施例に係る風力発電システムS1bの構成例を示す概略構成図である。

【0076】
第2実施例に係る風力発電システムS1bと、第1実施例に係る風力発電システムS1aとの相違点は、風力発電システムS1aにおける変圧器(トランス)500を省いている点である。このような構成においても波形改善リアクトル52aと波形改善リアクトル52bの中間点201において1台の同期調相機50を共用するように接続することができる。

【0077】
また、図1(c)は、第3実施例に係る風力発電システムS1cの構成例を示す概略構成図である。

【0078】
第3実施例に係る風力発電システムS1cと、第1実施例に係る風力発電システムS1aとの相違点は、風力発電システムS1aにおける変圧器(トランス)500を直列接続風車群(ユニット群)U2側にも設けた点である。このような構成においても波形改善リアクトル52aと波形改善リアクトル52bの中間点201において1台の同期調相機50を共用するように接続することができる。

【0079】
図2および図3に、実施の形態に係る風力発電システムS1(S1aからS1c)のシミュレーション結果の例を示す。

【0080】
図2は制御進み角=20°、20°の場合、図3は制御進み角=50°、50°の場合をそれぞれ示す。

【0081】
ここで、図2および図3の各図において、(a)は上側インバータ出力電圧、(b)は下側インバータ出力電圧、(c)は上側システム出力電圧、(d)は下側システム出力電圧、(e)はEd1(図1(a)参照)のインバータ入力側電圧、(f)はEd2(図1(a)参照)のインバータ入力側電圧、(g)はDCリンク電流をそれぞれ示す。

【0082】
図2および図3の(c)および(d)の波形から分かるように、本実施の形態に係る風力発電システムS1によれば、歪みの無い完全な三相交流波形を得ることができ、そのまま負荷に接続することができる。

【0083】
ここで、図13に示す基本構成に係る風力発電システムS20と、本実施の形態に係る風力発電システムS1とを対比すると、風力発電システムS20を単純に2つ設ける場合に比して、同期調相機50を一つに集約することができ、コストを低減することができる。

【0084】
また、風力発電機の台数を倍増させても同期調相機50を増加する必要がないので、比較的簡易な構成で風力発電システムの総出力を倍増することが可能となる。

【0085】
なお、図1に示す同期調相機50は、サイリスタインバータ21a、21bのサイリスタを転流するために設置し、波形改善リアクトル52a、52bのパラメータは交流出力側の出力電圧ひずみを完全に打ち消すように選定する。

【0086】
また、同期調相機50を原動機で駆動して同期発電機として動作させた場合にはハイブリッドシステムを構成することができ、風速の変動による風力発電機の出力変動を原動機の出力を制御することにより補償することができる。

【0087】
以上述べたように、本実施の形態に係る風力発電システムS1によれば、次のような効果を得ることができる。

【0088】
1)電力変換器のスイッチング素子としてサイリスタを採用し、かつ平滑用大容量コンデンサを使用しないので、信頼性が向上し、保守が容易である。また、大容量化が容易である。

【0089】
2)併設する同期調相機を原動機で駆動して同期発電機として使用すれば、所謂ハイブリッド風力発電システムを実現することができ、風車の出力変動の平準化が容易に達成できる。

【0090】
3)電圧形インバータで必要な高調波除去用のフィルタを用いることなく、原理的に出力電圧歪みを皆無にすることができるため、常に高品質の電力を得ることができる。

【0091】
4)電流形サイリスタインバータを採用しているため、IGBTや平滑用コンデンサ等を必要とする電圧形インバータと比較してコストを低廉化することができる。

【0092】
5)風力発電機群の直流出力をインバータに送電する手段として、長距離送電に有利な直流送電方式を使用することができるため、風車設置場所の選択における自由度が増す。

【0093】
(比較例に係る風力発電システム)
図4~11を参照して、比較例に係る風力発電システムS10について説明する。

【0094】
図4は、比較例に係る風力発電システムS10の構成例を示す概略構成図である。

【0095】
実施の形態に係る風力発電システムS10は、複数の風力発電ユニットで構成される2組のユニット群U1,U2と、ユニット群U1,U2毎に設けられ、複数の風力発電ユニットのコンバータ(図12に示すサイリスタコンバータ131~13nを参照)がそれぞれ出力する直流電力の直列和を入力し、該直列和を交流電力に変換するインバータ(サイリスタインバータ)21a、21bを有する2組の変換ユニット20a、20bとを備え、2組のユニット群U1,U2は、各ユニット群U1,U2間と各変換ユニット20a、20bとの間の基準電位である中間点100a、100bを結ぶコモンラインCを介して接続されて構成される。

【0096】
なお、図4に示す直列接続風車群(ユニット群)U1,U2の具体的な構成は、前述の図12に示す基本構成に係る風力発電システムS20の直列接続風車群(ユニット群)Uと同様である。

【0097】
また、波形改善リアクトル52aは、コイル300aと300bをノード200aで接続して構成され、波形改善リアクトル52bは、コイル300cと300dをノード200bで接続して構成されている。

【0098】
また、波形改善リアクトル52aと波形改善リアクトル52bは、ノード200a、200bを介して接続され、その中間点201に同期調相機50が接続されている。

【0099】
ここで、図13に示す基本構成に係る風力発電システムS20と、比較例に係る風力発電システムS10とを対比すると、風力発電システムS20を単純に2つ設ける場合に比して、同期調相機を一つに集約することができ、コストを低減することができる。

【0100】
また、比較例に係る風力発電システムS10によれば、2組のユニット群U1,U2は、各ユニット群U1,U2間と各変換ユニット20a、20bとの間の基準電位である中間点100a、100bを結ぶコモンラインCを介して接続されているので、各ユニット群U1,U2の直流出力電圧Vdl、Vd2が図12の直流電圧Vdと等しくなる場合を想定すると、各部の電圧上昇は風力発電システムS10と風力発電システムS20とも同一になる。

【0101】
即ち、図12に示す基本構成に係る風力発電システムS20よりも風力発電機の台数を倍増させた比較例に係る風力発電システムS10における直流出力電圧Vdl、Vd2は、図12あるいは図13に示す風力発電システムS20の直流電圧Vdと同程度であるため、絶縁レベルを変更する必要がない。

【0102】
そのため、システムの各部の絶縁性や耐圧性を高めるなどの特別な絶縁対策が不要となり、低コストで風力発電機の台数を倍増させることができ、出力容量を増加できると共に、出力変動の平準化を向上させることができる。

【0103】
さらに、風力発電機の台数を倍増させても同期調相機を増加する必要がないので、比較的簡易な構成で風力発電システムの総出力を倍増することが可能となる。

【0104】
なお、図4に示す同期調相機50は、サイリスタインバータ21a、21bのサイリスタを転流するために設置し、波形改善リアクトル52a、52bのパラメータは交流出力側の出力電圧ひずみを完全に打ち消すように選定する。

【0105】
また、同期調相機50を原動機で駆動して同期発電機として動作させた場合にはハイブリッドシステムを構成することができ、風速の変動による風力発電機の出力変動を原動機の出力を制御することにより補償することができる。

【0106】
ここで、図5は、比較例に係る風力発電システムS10におけるインバータ出力電圧の波形を示すグラフ、図6は、風力発電システムS10によって波形が改善された出力電圧波形の例を示すグラフである。

【0107】
また、図7は風力発電システムS10におけるインバータの出力電流の波形、図8は風力発電システムS10における負荷電流の波形、図9は風力発電システムS10における同期調相機50の電機子電流の波形をそれぞれ示す。

【0108】
図6等に示すように、風力発電システムS10によれば、出力電圧の歪みを抑制することができる。

【0109】
また、図10は風力発電システムS10における実験条件の例を示す図表、図11は、図10の実験条件に基づく実験結果を示す図表である。

【0110】
以上本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本明細書で開示された実施の形態はすべての点で例示であって開示された技術に限定されるものではないと考えるべきである。すなわち、本発明の技術的な範囲は、前記の実施の形態における説明に基づいて制限的に解釈されるものでなく、あくまでも特許請求の範囲の記載に従って解釈すべきであり、特許請求の範囲の記載技術と均等な技術および特許請求の範囲内でのすべての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0111】
S1、S10、S20…風力発電システム
C…コモンライン
U1,U2…ユニット群
11~1n…風力発電ユニット
20(20a、20b)…変換ユニット
21…インバータ(サイリスタインバータ)
22…直流リアクトル
40…直流送電線
50…同期発電機(同期調相機)
52a、52b…波形改善リアクトル(コイル)
100a、100b…中間点
111~11n…風力タービン
121~12n…風力発電機
131~13n…コンバータ(サイリスタコンバータ)
150…同期発電ユニット
152…波形改善リアクトル
200a、200b…ノード
201…中間点
300a~300d…コイル
500…変圧器(トランス)
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10
【図12】
11
【図13】
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