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明細書 :会話補助端末

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2014-077822 (P2014-077822A)
公開日 平成26年5月1日(2014.5.1)
発明の名称または考案の名称 会話補助端末
国際特許分類 G09B  21/04        (2006.01)
H04M   1/00        (2006.01)
G06F   3/16        (2006.01)
FI G09B 21/04
H04M 1/00 R
G06F 3/16 340X
請求項の数または発明の数 6
出願形態 OL
全頁数 11
出願番号 特願2012-223927 (P2012-223927)
出願日 平成24年10月9日(2012.10.9)
発明者または考案者 【氏名】苅田 知則
出願人 【識別番号】504147254
【氏名又は名称】国立大学法人愛媛大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100121773、【弁理士】、【氏名又は名称】相原 正
審査請求 未請求
テーマコード 5K127
Fターム 5K127AA31
5K127BA03
5K127CA08
5K127CB12
5K127CB33
5K127GD21
5K127HA11
5K127JA05
5K127JA14
要約 【課題】使用者への負担が軽く、様々な場面に容易に対応可能な会話補助端末を提供する。
【解決手段】発話困難者の代わりに会話で使用されるメッセージを音声出力する会話補助端末10は、所定の施設における会話で使用されるメッセージを音声出力される順序に従って階層化したスクリプトを登録しておくスクリプト記憶部132と、施設毎に、当該施設の位置情報と、当該施設で使用されるスクリプトの識別子と、を含む施設情報を登録しておく施設情報記憶部138と、会話補助端末10の現在位置情報を取得する位置情報取得部14と、現在位置情報に基づき、施設情報記憶部138を参照して当該会話補助端末10が位置する施設を特定する施設判定部31と、施設判定部31が特定した施設に設定されているスクリプトに基づき、順次メッセージを会話補助端末10から音声出力させるスクリプト実行部132と、を備える。
【選択図】図4
特許請求の範囲 【請求項1】
発話困難者の代わりに会話で使用されるメッセージを音声出力する会話補助端末において、
所定の施設における会話で使用されるメッセージを音声出力される順序に従って階層化したスクリプトを登録しておくスクリプト記憶部と、
前記施設毎に、当該施設の位置情報と、当該施設で使用される前記スクリプトの識別子と、を含む施設情報を登録しておく施設情報記憶部と、
前記会話補助端末の現在位置情報を取得する位置情報取得部と、
前記位置情報取得部が取得した現在位置情報に基づき、前記施設情報記憶部を参照して当該会話補助端末が位置する施設を特定する施設判定部と、
前記施設判定部が特定した施設に設定されている前記スクリプトに基づき、順次メッセージを前記会話補助端末から音声出力させるスクリプト実行部と、
を備えることを特徴とする会話補助端末。
【請求項2】
前記施設情報記憶部は、当該施設で使用される前記スクリプトの識別子を時刻に関連付けて記憶しており、
前記スクリプト実行部は、現在の時刻に対応して設定されている前記スクリプトを実行することを特徴とする請求項1記載の会話補助端末。
【請求項3】
入力装置と、
表示装置と、
前記スクリプトの実行に際して、前記メッセージに関する情報を前記表示装置に表示する際のインタフェースであって、各メッセージに対応して前記表示装置に表示される表示画像を含むインタフェースを登録しておくインタフェース記憶部と、をさらに備え、
前記スクリプト実行部は、前記入力装置を介して前記表示装置に表示された表示画像が発話困難者により選択されると、当該表示画像に対応するメッセージを音声出力すると共に、次の階層に進むように制御すること特徴とする請求項1又は2記載の会話補助端末。
【請求項4】
前記スクリプトは、複数のメッセージが登録された階層を有しており、
前記スクリプト実行部は、複数のメッセージが登録された階層のメッセージを音声出力する際に、各メッセージに対応する表示画像を前記表示装置にそれぞれ同時に表示すると共に、前記入力装置を介して発話困難者により選択された表示画像に対応するメッセージを、当該階層のメッセージとして音声出力するように制御することを特徴とする請求項3記載の会話補助端末。
【請求項5】
前記スクリプトのメッセージは、発話困難者の特性に応じて同一階層の選択肢が3つ以下となるように、発話困難者の支援者によって予め設定登録されていることを特徴とする請求項4記載の会話補助端末。
【請求項6】
携帯端末に、発話困難者の代わりに会話で使用されるメッセージを音声出力させるための会話補助プログラムにおいて、
所定の施設における会話で使用されるメッセージを音声出力される順序に従って階層化したスクリプトを前記携帯端末に登録しておくスクリプト記憶ステップと、
前記施設毎に、当該施設の位置情報と、当該施設で使用される前記スクリプトの識別子と、を含む施設情報を前記携帯端末に登録しておく施設情報記憶ステップと、
前記携帯端末の現在位置情報を取得する位置情報取得ステップと、
前記位置情報取得ステップにおいて取得した現在位置情報に基づき、前記施設情報を参照して当該携帯端末が位置する施設を特定する施設判定ステップと、
前記施設判定ステップにおいて特定した施設に設定されている前記スクリプトに基づき、順次メッセージを当該携帯端末から音声出力させるスクリプト実行ステップと、
を前記携帯端末に実行させることを特徴とする会話補助プログラム。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、発話することの困難な発話困難者の円滑な会話を支援するための会話補助端末に関する。
【背景技術】
【0002】
聴覚・言語障害者、肢体不自由者、知的障害者等の障害者の多くは、自発的な発話が不可能であったり、構音不明瞭により発話が困難であったりする場合が多い。会話によるコミュニケーションは、人間の社会生活の基盤となる生活機能であり、発話困難によりコミュニケーションができなくなると、生活の質(QOL)が大きく低下してしまう。
【0003】
このため、このような発話困難者の会話を補助するための音声出力型会話補助端末(VOCA:Voice Output Communication Aid)が従来から提供されており、例えば、下記特許文献1,2に開示されている。
【0004】
従来の会話補助端末は、装置内に会話の文章や会話の構成要素を録音した音声データをデータベース化して収納しておき、使用者の選択に基づき、選択された例文や構成要素を組み合わせた文章の音声データを会話補助端末のスピーカーから音声として出力するように構成されている。
【先行技術文献】
【0005】

【特許文献1】特開平8-137385号公報
【特許文献2】特開2011-013871号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、会話の文章は場所や状況等によって多様な内容が考えられ、全ての会話文章を予め格納しておくのは困難である。また、会話の文章が多くなればなるほど、発話困難者による会話の選択が困難となり、階層化したとしても容易に選択できる文章の数には限りがあった。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、使用者への負担が軽く、様々な場面に容易に対応可能な会話補助端末を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明に係る会話補助端末は、発話困難者の代わりに会話で使用されるメッセージを音声出力する会話補助端末において、所定の施設における会話で使用されるメッセージを音声出力される順序に従って階層化したスクリプトを登録しておくスクリプト記憶部と、前記施設毎に、当該施設の位置情報と、当該施設で使用される前記スクリプトの識別子と、を含む施設情報を登録しておく施設情報記憶部と、前記会話補助端末の現在位置情報を取得する位置情報取得部と、前記位置情報取得部が取得した現在位置情報に基づき、前記施設情報記憶部を参照して当該会話補助端末が位置する施設を特定する施設判定部と、前記施設判定部が特定した施設に設定されている前記スクリプトに基づき、順次メッセージを前記会話補助端末から音声出力させるスクリプト実行部と、を備えることを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る会話補助プログラムは、携帯端末に、発話困難者の代わりに会話で使用されるメッセージを音声出力させるための会話補助プログラムにおいて、所定の施設における会話で使用されるメッセージを音声出力される順序に従って階層化したスクリプトを前記携帯端末に登録しておくスクリプト記憶ステップと、前記施設毎に、当該施設の位置情報と、当該施設で使用される前記スクリプトの識別子と、を含む施設情報を前記携帯端末に登録しておく施設情報記憶ステップと、前記携帯端末の現在位置情報を取得する位置情報取得ステップと、前記位置情報取得ステップにおいて取得した現在位置情報に基づき、前記施設情報を参照して当該携帯端末が位置する施設を特定する施設判定ステップと、前記施設判定ステップにおいて特定した施設に設定されている前記スクリプトに基づき、順次メッセージを当該携帯端末から音声出力させるスクリプト実行ステップと、を前記携帯端末に実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、使用者への負担が軽く、様々な場面に容易に対応可能な会話補助端末を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、本発明の実施形態に係る会話補助端末の構成を概略的に示す模式図である。
【図2】図2は、本発明の実施形態に係るスクリプトDBに登録されるスクリプトの内容を示す図である。
【図3】図3は、本発明の実施形態に係る施設情報DBに登録される施設情報の内容を示す図である。
【図4】図4は、本発明の実施形態に係る会話補助端末の機能を概略的に示すブロック図である。
【図5】図5は、本発明の実施形態に係る会話補助端末により会話を補助する際の処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係る会話補助端末について説明する。本実施形態に係る会話補助端末は、スマートフォン等の携帯端末に会話補助プログラムをインストールすることで実現される。図1は、本実施形態に係る会話補助端末の構成を概略的に示す模式図である。

【0013】
図1に示すように、会話補助端末10は、各種演算を行うCPU(Central
Processing Unit)等の演算装置11、各種情報を記憶しておくフラッシュメモリや演算処理のワークエリアとして使用されるRAM(Random Access Memory)等からなる記憶装置13、GPS(Global Positioning
System:全地球的測位システム)受信器14、音声を電気信号に変換して入力するためのマイクロフォン15、音を出力するためのスピーカー16、入力装置及び表示装置として機能するタッチパネル18、携帯電話用通信網を介して外部と通信するための通信部19、を備えている。

【0014】
記憶装置13は、後述する会話補助端末10の各種機能を実現するためのプログラムを格納しておくプログラム格納部131、所定の場面における発話すべきメッセージを階層化したスクリプトを記録しておくスクリプトDB132、スクリプトを会話補助端末10上に表示する際の形式であるインタフェースを記録しておくインタフェースDB133、各種施設の位置情報、上記スクリプトとの関連付け等の施設情報を記録しておく施設情報DB138を備えている。

【0015】
GPS受信器14は、航法衛星から発信されている電波信号を受信し、GPS受信器14の位置情報を出力する機能を備えている。具体的には、航法衛星からは、一秒毎に、正確な時刻情報及びその衛星の軌道情報が発信されている。GPS受信器14は、複数の衛星からこれらの情報を受信し、各衛星との距離を算出することで、GPS受信器14自身の位置、すなわち、会話補助端末10の位置情報(緯度、経度)を算出して出力する。

【0016】
図2は、本実施形態に係るスクリプトDBに登録されるスクリプトの内容を示す図である。同図に示すように、スクリプトDB132に記録されているスクリプトは、各スクリプトの識別子である「スクリプトID」、階層別に登録されたメッセージである「階層1」、「階層2」、「階層3」、「階層4」、「階層5」、「階層6」の項目のデータを有している。各階層には、それぞれ1つ以上のメッセージが登録されている。

【0017】
「階層1~6」の各メッセージは、所定の場面での発話困難者と相手方との会話の流れに応じて、階層順に会話補助端末10上に後述するアイコンボタンとして表示されると共に、発話困難者によるアイコンボタンの選択に従って、該当するメッセージが発話困難者の代わりにスピーカー16から音声出力される。

【0018】
スピーカー16からのメッセージの音声出力は、メッセージのテキストデータを合成音声で読み上げるように構成しても良いし、マイクロフォン15を介して予め各メッセージの音声データを録音しておいて、その音声データを再生するように構成しても良い。

【0019】
本実施形態では、図2に示すように、「スクリプトID」が「0001」のスクリプトとして、「階層1」に「メッセージAA」、「階層2」に「メッセージAB」と「メッセージAC」、「階層3」に「メッセージAD」と「メッセージAE」、「階層4」に「メッセージAF」、「階層5」に「メッセージAG」、「階層6」に「メッセージAH」が設定されたスクリプトが登録されている。

【0020】
また、「スクリプトID」が「0002」のスクリプトとして、「階層1」に「メッセージBA」と「メッセージBB」、「階層2」に「メッセージBC」と「メッセージBD」と「メッセージBE」、「階層3」に「メッセージBF」、「階層4」に「メッセージBG」と「メッセージBH」、「階層5」に「メッセージBI」が設定されたスクリプトが登録されている。

【0021】
同じ階層に複数のメッセージが設定されているスクリプトでは、当該階層の各メッセージに対応するアイコンボタンが会話補助端末10のタッチパネル18に選択可能に表示され、発話困難者がタップすることで選択されたメッセージが、スピーカー16から音声出力される。

【0022】
もちろん、スクリプトの階層数は適宜変更可能であり、また、所定の階層に複数のメッセージが設定されている場合、発話困難者によって選択されたメッセージによって、次の階層のメッセージが異なるといったサブ階層を設定するようにしても良い。これらスクリプトは、発話困難者の支援者(保護者や教師等)が、発話困難者の特性に合わせて予め設定登録される。

【0023】
なお、同一階層に設定するメッセージの数が多くなると、発話困難者による選択が困難になるため、なるべく選択肢の数を増やさないことが望ましく、できれば3つ以下となるように設定するのが望ましい。このため、飲食店での注文場面等、選択肢の数が多い会話場面では、発話困難者の特性に嗜好に合わせて、支援者が予め選択肢が3つ以下となるように選択肢を絞ったうえでメッセージを設定登録しておくのが望ましい。

【0024】
インタフェースDB133に記録されているインタフェースは、スクリプトのメッセージを順次タッチパネル18に表示する際の形式に関する設定情報である。具体的には、スクリプトを表示する際の壁紙、各メッセージを表示する際の表示画像であるアイコンボタン、アイコンボタンの表示位置等のデータがインタフェースの情報として登録されている。インタフェースDB133には、支援者によって予め設定された複数のインタフェースが設定登録されている。

【0025】
図3は、本実施形態に係る施設情報DB138に登録されている施設情報の内容を示す図である。同図に示すように、施設情報は、施設の識別子である「施設ID」、施設の名称である「施設名」、施設の所在地を示す情報である「位置情報」、当該施設内で使用されるスクリプトの識別子である「スクリプト」、スクリプトが使用される時間帯を示す「時間帯情報」、スクリプトを表示する際に使用するインタフェースの識別子である「インタフェース」の項目のデータを有している。

【0026】
「位置情報」としては、施設が位置する場所の緯度経度情報が設定されている。この経度緯度情報は、ある程度の幅をもって設定されている。「スクリプト」には、スクリプトDB132に記録されているスクリプトのうち、当該施設で使用されるスクリプトのスクリプトIDが記録されている。本実施形態では、学校等、朝、昼、夜によって会話の内容が異なってくる施設では、「時間帯情報」の項目を参照することで、時間帯別に異なるスクリプトを使用するように設定することができる。

【0027】
例えば、図3の施設ID「10001」の施設「XXXXX」では、朝の時間帯は「1001」のスクリプト(インタフェースは「2001」)、昼の時間帯は「1002」のスクリプト(インタフェースは「2002」)、夕方及び夜の時間帯は「1003」のスクリプト(インタフェースは「2003」)を使用するように設定されている。

【0028】
ここで、施設情報の設定は、発話困難者の支援者が予め設定して登録しておく。例えば、通信部19を介して会話補助端末10によりインターネット上の地図サイト(例えば、web上で地理情報システム(GIS:Geographic
Information System)を提供しているGoogle(登録商標)マップ等)にアクセスし、所望の施設を地図上に表示しながら施設情報の設定を行うことができる。

【0029】
具体的には、まず、携帯端末を会話補助端末10として機能させるための会話補助プログラムを起動させてから、会話補助端末10のブラウザアプリケーションを起動して地図サイトにアクセスし、タッチパネル18上に所望の施設の場所を表示させる。その施設の場所の位置情報を地図サイトから取得し、会話補助プログラムの施設情報設定機能に従って、順次、施設名、位置情報、スクリプト、時間帯情報、インタフェースの情報を設定する。設定された施設情報は、新規の施設IDが付され、施設情報DB138に順次登録される。

【0030】
このとき、既にスクリプトDB132に記録されているスクリプトやインタフェースDB133に記録されているインタフェースの中に、会話補助端末10を使用する発話困難者の当該施設での会話を補助するために適切なものがない場合には、スクリプトやインタフェースも施設情報と一緒に設定する。

【0031】
スクリプトは、同じ施設であっても発話困難者によって必要となるメッセージや階層構造が異なる場合が多く、施設情報の設定に合わせてスクリプトの設定も必要となるケースが多い。また、インタフェースについても、メッセージが異なれば、アイコンボタンのデザインが異なる場合が多いので、スクリプトの設定に合わせてインタフェースの設定も必要となるケースが多い。

【0032】
なお、施設情報の設定登録の際の施設の位置情報取得については、地図サイトから取得に限らず、例えば、実際にその施設に行ってGPS受信器14により位置情報を取得するようにしても良い。

【0033】
続いて、図4及び図5を参照しながら、所定の施設において発話困難者の会話が円滑となるように会話補助端末10が支援する処理について説明する。図4は、本実施形態に係る会話補助端末の機能を概略的に示すブロック図である。同図に示すように、会話補助端末10は、施設判定部31、スクリプト実行部32を備えている。これらの各部の機能は、演算装置11がプログラム格納部131内の会話補助プログラムを実行することで実現される。

【0034】
図5は、会話補助端末が発話困難者の会話を補助する際の処理の流れを示すフローチャートである。まず、S11において、発話困難者がスマートフォン上で会話補助プログラムを起動すると、スマートフォンが会話補助端末10として機能するようになる。

【0035】
会話補助端末10では、まずS12において、施設判定部31がGPS受信器14から会話補助端末10の現在の位置情報を取得する。S13では、施設判定部31は、取得した位置情報に基づいて、当該会話補助端末を携帯する発話困難者が現在位置している施設を判定する。

【0036】
S13での施設判定は、施設判定部31が、施設情報DB138を参照し、S12で取得した現在位置情報を含む位置情報が設定されている施設を抽出することで行われる。ここで、例えば、同じビル内に位置する施設のように、異なる施設が同じ位置情報で施設情報DB138に登録されている場合がある。よって、S13において、S12で取得した位置情報に該当する施設が複数ある場合には、該当する複数の施設名をタッチパネル18に表示し、発話困難者に選択してもらうように制御すれば良い。

【0037】
続いて、S14では、スクリプト実行部32が、施設情報DB138及び会話補助端末10の計時機能から取得した現在の時刻を参照し、当該施設での会話補助に使用するスクリプト及びインタフェースを決定する。すなわち、当該施設に関連付けて施設情報DB138に設定されているスクリプトのうち、現在の時刻を含む時間帯に関連付けて設定されているスクリプト及びそのインタフェースを抽出する。

【0038】
S15では、決定されたスクリプト及びインタフェースに従って、スクリプト実行部32がまず階層1のメッセージのアイコンボタンをタッチパネル18に表示する。このとき、階層1に複数のメッセージが設定されている場合には、複数のアイコンボタンが表示される。このように、メッセージの対応するアイコンボタンを表示することで、メッセージを文字のまま表示するよりも発話困難者が視覚的に素早く容易にメッセージ内容を把握することができる。

【0039】
S16において、発話困難者がタッチパネル18に表示された所望のアイコンボタンをタッチして選択すると、スクリプト実行部32の制御により、S17に進み、選択されたアイコンボタンのメッセージがスピーカー16から発声される。このように、所定のメッセージが発話困難者の代わりにスピーカー16から音声出力されることで、発話困難者が円滑に会話できるように支援することができる。

【0040】
引き続き、S18では、スクリプト実行部32が、S17で発声されたメッセージが今回のスクリプトの最終階層のメッセージであるかどうかを判定し、まだ次の階層のメッセージがある場合には、S15へと戻り、次の階層のメッセージについて、S15~S17が繰り返される。一方、S18において、S17で発声されたメッセージが最終階層のメッセージであった場合には、処理が終了し、当該施設での会話補助が終了する。

【0041】
このように、本実施形態によれば、会話補助端末10の位置情報に基づいて、発話困難者が位置している施設での使用に最適な会話のスクリプトが自動的に選択されるので、発話困難者が容易に会話補助機能を利用することができる。

【0042】
さらに、会話補助端末10の現在の時刻情報に基づいて、現在の時刻に最適な会話のスクリプトが自動的に選択されるので、発話困難者は、より容易に会話補助機能を利用することができる。

【0043】
また、本実施形態では、タッチパネル18上に表示されたアイコンボタンが発話困難者によって選択されると、該当するメッセージを音声出力すると共に、次の階層に進むように構成されているので、発話困難者が自分のペースで操作することができる。

【0044】
続いて、所定の発話困難者に対して所定の支援者が予め設定した、スクリプトDB132に記録されているスクリプトのメッセージの具体例(スクリプト1、スクリプト2)について説明する。

【0045】
(スクリプト1)
スクリプト1は、施設がハンバーガーのファストフード店である場合のスクリプトであり、発話困難者の嗜好に合わせて、実際のメニュー数よりも選択肢の数を大幅に絞ってメッセージが設定されている。

【0046】
スクリプト1は、まず、階層1のメッセージとして、店員から店内での飲食か、持ち帰りかを訪ねられた際の返答メッセージである、「店内で食べます」、「持ち帰ります」の2つのメッセージが設定されている。階層2のメッセージとしては、ハンバーガーの注文場面のメッセージである、「バリューセット(登録商標)」、「ハンバーガー(100円)単品」のメッセージが設定されている。

【0047】
階層3のメッセージとしては、階層2での選択によって異なっており、階層2で「バリューセット」が選択された場合のメッセージとして、セットのドリンクの注文場面のメッセージである、「コカコーラゼロ」、「爽健美茶(登録商標)」、「野菜生活(登録商標)100」が設定されており、階層2で「ハンバーガー(100円)単品」が選択された場合のメッセージとして、サイドメニューの注文場面のメッセージである、「ジューシーシャカシャカチキン(登録商標)・チェダーチーズ」、「ホットアップルパイ」が設定されている。

【0048】
また、階層4のメッセージも階層2での選択によって異なっており、階層2で「バリューセット」が選択された場合、階層4のメッセージはなく、階層2で「ハンバーガー(100円)単品」が選択された場合のメッセージとしてのみ、単品ドリンクの注文場面のメッセージである、「コカコーラSサイズ」、「ファンタグレープSサイズ」が設定されている。

【0049】
このように、階層2でのメッセージの選択に合わせて、下位階層のメッセージの選択肢を異ならせたり、階層数を異ならせたりしてスクリプトを設定しておくことで、より柔軟且つ効果的に発話困難者の会話を補助することができる。

【0050】
階層5のメッセージとしては、店員からの「ご注文は以上でよろしいでしょうか?」との注文場面の最後の質問に対する返答メッセージである、「はい」、「いいえ」が設定されている。階層6のメッセージとしては、店員の「会計は○○円になります」という言葉に対する対応メッセージである、「Edy(登録商標)は使えますか?」が設定されている。

【0051】
階層7のメッセージとしては、支払場面のメッセージである、「手が上手く使えないので財布からお金を取って下さい。」が設定されている。階層7のメッセージは、階層6でのメッセージに対して店員が「Edyは使えません」と回答した場合のみ使用されるメッセージであり、Edyが使える場合には、発話困難者がEdyカードを店員に手渡せば良いので、階層7のメッセージはそのままスキップできるように構成されている。

【0052】
例えば、階層7のメッセージと共に、「次へ」のアイコンボタンを表示しておいて、不要な場合に発話困難者に選択してもらえるようにしておけば、必要に応じて階層7のメッセージをスキップすることができる。階層8のメッセージとしては、「食べ物を机まで運んで下さい」、階層9のメッセージとしては、「ありがとうございました」が設定されている。

【0053】
(スクリプト2)
スクリプト2は、施設が学校である場合のスクリプトであり、朝の時間帯にのみ使用される朝礼用のスクリプトである。スクリプト2は、まず、階層1~5の朝の号令時のメッセージである、「起立」(階層1)、「気をつけ」(階層2)、「礼」(階層3)、「はじめましょう」(階層4)、「着席」(階層5)が設定されている。

【0054】
このように、スクリプト2の階層1~5のメッセージは、各階層のメッセージの選択肢が一つだけであり、階層1~5の各メッセージに対応するアイコンボタンがタッチパネル18の一つの画面内に順番に並んで表示されるように構成されている。このように、選択肢が単一で連続する階層のメッセージ(アイコンボタン)を一つの画面内にリスト表示するようにしても良い。この場合、各アイコンボタンは階層順にのみ選択可能となるようにタッチパネル18上に表示される。

【0055】
続いて、階層6のメッセージとしては、健康確認場面での開始メッセージである、「健康確認をします」が設定されている。階層7のメッセージとしては、クラスメイトの点呼場面でのメッセージである「○○さん、元気ですか?」が設定されている。階層7のメッセージのアイコンボタンとしては、クラスメイトの写真のボタンが登録され、当該写真ボタンが選択されると、階層7のメッセージは、○○部分にそのクラスメイトの名前が挿入されてスピーカー16から発声される。

【0056】
階層8のメッセージとしては、階層7のメッセージに対するクラスメイトの返答メッセージへの対応メッセージである、「今日も頑張りましょう」、「保健室に行きますか?」が設定されている。発話困難者は、階層7のメッセージに対して、クラスメイトが「元気です」と返答した場合には、「今日も頑張りましょう」を選択し、「いいえ、元気ではないです」と返答した場合には、「保健室に行きますか?」を選択するようにすれば良い。なお、階層7,8のメッセージについては、クラスメイト全員の点呼が終わるまで繰り返し行われるように構成すれば良い。

【0057】
続いて、階層9~15のメッセージは、時間割確認場面のメッセージとして、「今日は」(階層9)、「国語」(階層10~14)、「水泳」(階層10~14)、「給食」(階層10~14)、「掃除」(階層10~14)、「作業」(階層10~14)、「をします」(階層15)が登録されている。

【0058】
このように、スクリプト2では、階層10~14のメッセージは予め発話順序が決まっておらず、これらのメッセージのアイコンボタンが同一の画面上に並んで表示される。そして、例えば、時間表を見ながら行われる発話困難者の選択した順番に従って、各メッセージがスピーカー16から音声出力される。このように、本実施形態では、全てのメッセージが予め設定された順序に従って音声出力される構成だけでなく、一部のメッセージについては、現場での発話困難者の選択順に出力される構成であっても良い。

【0059】
続いて、階層16,17としては、朝礼終了時のメッセージである、「先生からのお話があります」(階層16)、「それでは、朝の会を終わります」(階層17)が設定されている。階層16のメッセージの発声後、先生の話が終わった後に、発話困難者が階層17のメッセージのアイコンボタンを選択すると、当該メッセージがスピーカー16から発声され、スクリプト2が終了する。

【0060】
以上、本実施形態について詳細に説明したが、本発明の実施の形態は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。例えば、会話補助端末の位置情報を取得するための手段は、GPSに限らず、Wi-Fiや携帯基地局を利用した位置取得手段を使用したり、これらを組み合わせて使用したりしても良い。

【0061】
また、上記実施形態では、表示装置と入力装置とを兼用するタッチパネルを用いたが、入力装置としてメカニカルボタンを使用し、表示装置と入力装置を別々に設置するようにしても良い。

【0062】
また、アイコンボタンとしては、種々の表示画像を用いることができ、メッセージがそのまま記載されたボタンでも良いし、メッセージを端的に表す画像としても良い。例えば、メッセージが飲食物の名称の場合には、ハンバーガーやジュースの実際の商品の画像でも良い。

【0063】
また、メッセージのアイコンボタンをタッチパネルに表示する際に、ヘルプボタンを表示するようにしても良い。発話困難者がヘルプボタンを選択すると、支援者の携帯電話に電話がつながったり、支援者の携帯電話にヘルプメールが送信されたりするように設定しておけば、スクリプトによる会話が上手く行かなかった場合でも、さらに支援を行うことが可能となる。
【符号の説明】
【0064】
10 会話補助端末
11 演算装置
13 記憶装置
131 プログラム格納部
132 スクリプトDB
133 インタフェースDB
138 施設情報DB
14 GPS受信器
15 マイクロフォン
16 スピーカー
18 タッチパネル
19 通信部
31 施設判定部
32 スクリプト実行部
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4