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明細書 :ナノ粒子蛍光体の製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5452098号 (P5452098)
公開番号 特開2011-012097 (P2011-012097A)
登録日 平成26年1月10日(2014.1.10)
発行日 平成26年3月26日(2014.3.26)
公開日 平成23年1月20日(2011.1.20)
発明の名称または考案の名称 ナノ粒子蛍光体の製造方法
国際特許分類 C09K  11/08        (2006.01)
C09K  11/58        (2006.01)
C09K  11/59        (2006.01)
C09K  11/60        (2006.01)
C09K  11/87        (2006.01)
FI C09K 11/08 ZNMA
C09K 11/08 D
C09K 11/58
C09K 11/59
C09K 11/60
C09K 11/87
請求項の数または発明の数 5
全頁数 9
出願番号 特願2009-154932 (P2009-154932)
出願日 平成21年6月30日(2009.6.30)
審査請求日 平成24年4月20日(2012.4.20)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】399030060
【氏名又は名称】学校法人 関西大学
発明者または考案者 【氏名】岩▲崎▼ 泰彦
【氏名】川崎 英也
【氏名】柴田 靖久
個別代理人の代理人 【識別番号】110000796、【氏名又は名称】特許業務法人三枝国際特許事務所
審査官 【審査官】馬籠 朋広
参考文献・文献 特開2008-075181(JP,A)
特開2004-353038(JP,A)
Surfactant-Free Synthesis and Functionalization of Highly Fluorescent Gold Quantum Dots,J. Phys. Chem. C 2008,2008年,Vol.112(2008), p.10778-10783
Formation of PVP-Protected Metal Nanoparticles in DMF,Langmuir,2002年,Vol.18(2002), p.2888-2894
調査した分野 C09K 11/00-11/89
CAplus/REGISTRY(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
特許請求の範囲 【請求項1】
Si化合物、Pt化合物、Pd化合物、Fe化合物及びCu化合物からなる群から選択される少なくとも1種を、ジメチルホルムアミド含有溶媒中で加熱還流するナノ粒子蛍光体の製造方法であって、
前記化合物は、いずれも塩化物であることを特徴とする、ナノ粒子蛍光体の製造方法。
【請求項2】
マイクロ波を照射しながら前記加熱還流を行う、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
沸騰状態の前記ジメチルホルムアミド含有溶媒に、前記Si化合物、Pt化合物、Pd化合物、Fe化合物及びCu化合物からなる群から選択される少なくとも1種を添加して加熱還流を行う、請求項1又は2に記載の製造方法。
【請求項4】
前記ナノ粒子蛍光体は、Si粒子、Pt粒子、Pd粒子、Fe粒子及びCu粒子からなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1~のいずれかに記載の製造方法。
【請求項5】
前記ナノ粒子蛍光体の平均粒子径は0.5~4nmである、請求項1~のいずれかに記載の製造方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、ナノ粒子蛍光体の新規な製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、蛍光プローブとして、フルオレセイン、ローダミン、Alexa色素等の低分子蛍光色素;緑色蛍光色素(GFP)、YEP、REP等の蛍光性タンパク質;Eu、Tb、Ru等の金属錯体;CdSe/ZnS、InAs、PbSe、Si等の量子ドットなどが知られており、ナノマテリアル、バイオイメージング、光エレクトロニクス(レーザー、通信)等の分野で研究が進められている。
【0003】
上記量子ドットの中でも、Si(シリコン)ナノ粒子は、粒子サイズに依存した蛍光を発することが知られている。そして、シリコンナノ粒子の蛍光は、低分子蛍光色素や蛍光タンパク質等と比べると、光による分解を受け難く、退色が遅いという特徴を有する。
【0004】
このように、シリコンナノ粒子は、発光安定性の点で他の蛍光プローブよりも優位性があるが、既存の製造方法には、危険性の高い試薬を用いる必要があること、後精製が必要であること、大量生産に不向きであること等の問題がある。
【0005】
例えば、非特許文献1、2には、非晶性ケイ素酸化物(又はシリコンウエハ)をHFでエッチングする工程を有するシリコンナノ粒子の製造方法が記載されている。HFによるエッチングは危険性が指摘されているため、改良が求められている。また、非特許文献3には、SiClをエマルジョン法により還元するシリコンナノ粒子の製造方法が記載されている。エマルジョン法では、強い還元剤である水素化アルミニウムリチウムを使用し、オクチルアンモニウムブロミドを界面活性剤として併用することが知られているが、反応条件が限定的であることと界面活性剤を取り除くために後精製が必要である点で大量生産に不向きであり、改良が求められている。また、シリコンナノ粒子の粒子径が揃っていることが均一な蛍光を得るための条件となるが、従来法では粒子径を精度よく制御することは困難である。
【0006】
よって、シリコンナノ粒子に代表されるナノ粒子蛍光体の製造方法であって、危険性の高い試薬を用いる必要がなく、後処理の必要がなく、粒子径の揃ったナノ粒子蛍光体を大量生産するのに適した製造方法の開発が望まれている。
【先行技術文献】
【0007】

【非特許文献1】S. -M. Liu et al., Langmuir 2005, 21, 6324.
【非特許文献2】J. H. Park et al., Nature Materials 2009, in press
【非特許文献3】R. D. Tilly et al., Adv. Mater. 2006, 18, 2053.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、シリコンナノ粒子に代表されるナノ粒子蛍光体の製造方法であって、危険性の高い試薬を用いる必要がなく、後処理の必要がなく、粒子径の揃ったナノ粒子蛍光体を大量生産するのに適した製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、特定の金属化合物又は非金属化合物を、ジメチルホルムアミド(DMF)含有溶媒中で加熱還流する方法によれば、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
即ち、本発明は、下記のナノ粒子蛍光体の製造方法に関する。
1.Si化合物、Pt化合物、Pd化合物、Fe化合物及びCu化合物からなる群から選択される少なくとも1種を、ジメチルホルムアミド含有溶媒中で加熱還流するナノ粒子蛍光体の製造方法であって、
前記化合物は、いずれも塩化物であることを特徴とする、ナノ粒子蛍光体の製造方法。
2. マイクロ波を照射しながら前記加熱還流を行う、上記項1に記載の製造方法。
3. 沸騰状態の前記ジメチルホルムアミド含有溶媒に、前記Si化合物、Pt化合物、Pd化合物、Fe化合物及びCu化合物からなる群から選択される少なくとも1種を添加して加熱還流を行う、上記項1又は2に記載の製造方法。
. 前記ナノ粒子蛍光体は、Si粒子、Pt粒子、Pd粒子、Fe粒子及びCu粒子からなる群から選択される少なくとも1種である、上記項1~のいずれかに記載の製造方法。
. 前記ナノ粒子蛍光体の平均粒子径は0.5~4nmである、上記項1~のいずれかに記載の製造方法。
【0011】
以下、本発明のナノ粒子蛍光体の製造方法について詳細に説明する。
【0012】
本発明のナノ粒子蛍光体の製造方法は、Si化合物、Pt化合物、Pd化合物、Fe化合物、Au化合物、Cu化合物及びAg化合物からなる群から選択される少なくとも1種を、ジメチルホルムアミド(DMF)含有溶媒中で加熱還流することを特徴とする。
【0013】
上記特徴を有する本発明のナノ粒子蛍光体の製造方法によれば、従来法に比して危険性の高い試薬を用いる必要がなく、後処理の必要がなく、粒子径の揃ったナノ粒子蛍光体を大量生産することができる。
【0014】
本発明では、最終生成物であるナノ粒子蛍光体として、Si粒子、Pt粒子、Pd粒子、Fe粒子、Au粒子、Cu粒子及びAg粒子の少なくとも1種を得る。特にSi粒子の場合には半導体ナノ粒子であり、他の元素の場合には金属ナノ粒子である。
【0015】
上記ナノ粒子蛍光体を製造するために用いる原料(各化合物)としては、例えば、Si化合物であればSiCl、SiCl等が挙げられる。Pt化合物としては、HPtCl、[Pt(NH]Cl等が挙げられる。Pd化合物としては、PdCl、[Pd(NH]Cl等が挙げられる。Fe化合物としては、FeCl、Fe(SO等が挙げられる。Au化合物としては、HAuCl、Na[Au(CN)]等が挙げられる。Cu化合物としては、CuCl、CuSO等が挙げられる。Ag化合物としては、AgNO、〔Ag(NH〕NO等が挙げられる。これらの原料化合物の中でも、還元され易く微粒子が得られ易い点で塩化物を用いることが好ましい。
【0016】
本発明では、反応溶媒としてジメチルホルムアミド含有溶液を用いる。なお、ジメチルホルムアミドは還元剤としても作用する。反応溶媒としてはジメチルホルムアミド単独でもよく、ジメチルホルムアミドに他の溶媒(例えば、N-メチルホルムアミド、N-メチル-2-ピロリドン等)が混合されていてもよい。2種以上の溶媒を混合して用いる場合には、溶媒中のジメチルホルムアミド含有量は60重量%以上が好ましく、90重量%以上がより好ましい。
【0017】
本発明では、ジメチルホルムアミド含有溶液中で原料化合物を加熱還流する。このとき、ジメチルホルムアミドを加熱して130℃以上、好ましくは沸騰状態としておき、そこに原料化合物を一度に(急峻に)添加して加熱還流することが好ましい。これにより、得られるナノ粒子蛍光体の平均粒子径が制御し易くなる。
【0018】
また、本発明では、反応液にマイクロ波を照射しながら加熱還流することが好ましい。マイクロ波の周波数は2.45GHz程度が好ましく、照射量としては100~300Wの範囲が好ましい。マイクロ波を照射することにより、ナノ粒子蛍光体の製造効率を高めることができる。これは、マイクロ波の照射によりナノ粒子蛍光体の粒子性を短時間で高めることができるからである。
【0019】
上記加熱還流により、Si粒子、Pt粒子、Pd粒子、Fe粒子、Au粒子、Cu粒子及びAg粒子の少なくとも1種のナノ粒子蛍光体が得られる。ナノ粒子蛍光体は粒子径に応じた蛍光性を示す。ナノ粒子蛍光体の平均粒子径は0.5~4nm程度が好ましい。
【0020】
具体的には、Si粒子の平均粒子径としては、0.5~4nm程度が好ましく、0.5~3nm程度がより好ましい。他の金属ナノ粒子(Pt粒子、Pd粒子、Fe粒子、Au粒子、Cu粒子及びAg粒子)の平均粒子径としては、いずれも0.5~2nm程度が好ましい。加熱還流の終了時は、ナノ粒子蛍光体が、目的の平均粒子径に到達した時点とすればよい。
【0021】
本発明の製造方法は、界面活性剤を取り除く等の後処理の必要がなく、一段階の操作でナノ粒子蛍光体を高収率で合成することができる。そのため、ナノ粒子蛍光体をゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)や遠心分離で分離する必要がなく、一段階の操作で効率的に調製できる点で従来法に比して優位性が高い。
【0022】
本発明の製造方法により得られるナノ粒子蛍光体は、理由は定かではないが、各種媒体への分散性が高いという特性がある。例えば、別途の表面処理を施すことなく、水、クロロホルム、ジメチルホルムアミド等の各種媒体に均一に分散させることができる。従来のシリコン蛍光プローブは、水に分散させるに際して表面処理を要するが、本発明の製造方法により得られるナノ粒子蛍光体であれば、表面処理しなくても良好な分散性が得られる。かかる良好な分散性は、バイオセンシング、バイオイメージングの観点から有用である。
【発明の効果】
【0023】
本発明のナノ粒子蛍光体の製造方法によれば、従来法に比して危険性の高い試薬を用いる必要がなく、後処理の必要がなく、粒子径の揃ったナノ粒子蛍光体を大量生産することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】実施例1で得られたシリコンナノ粒子蛍光体のTEM像である。
【図2】実施例1、2において、加熱還流条件と発光強度との関係を示す図である。
【図3】実施例1、2において、加熱還流時間と発光強度との関係を示す図である。
【図4】金属ナノ粒子蛍光体の発光性を示す図である。
【図5】金属ナノ粒子蛍光体の波長/発光強度の関係を示す図である。
【図6】金属ナノ粒子蛍光体(Au、Pt及びPd)のMALDI-MSによるマススペクトルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に実施例を示して本発明を具体的に説明する。但し本発明は実施例に限定されない。

【0026】
実施例では、次の測定装置を使用した。
・蛍光分光計:F-2500形分光蛍光光度計、HITACHI製
・赤外分光光度計:FT/IR-6300 Fourier Transform Infrared Spectrometer、JASCO製
・吸光光度計:V-650 spectrophotometer、JASCO製
・質量分析計:AXIMA-CFR、(株)島津製作所製
実施例1(シリコンナノ粒子蛍光体の調製:オイルバス)
三口フラスコ(100ml)にジムロート冷却器をつないだものをArガスで置換しながらガスバーナーで全体を炙った。3回炙った後、Ar雰囲気下で脱水DMF(40ml)をフラスコに加えた。オイルバス(155℃)にフラスコを浸し、Ar雰囲気の還流下で約10分撹拌した。Ar雰囲気下でSiCl4(60μl、0.522mmol)をマイクロシリンジでフラスコ内のDMF溶液に加え、還流しながら8時間、撹拌した。

【0027】
実施例2(シリコンナノ粒子蛍光体の調製:マイクロウェーブ加熱)
上部が二又の試験管をマイクロ波式有機化学反応実験装置(グリーン・モチーフ・IB)、IDX製、に入れジムロート冷却器をつないだ後、Arガスで置換した。Ar雰囲気下で脱水DMF(10ml)をシリンジで試験管に加えた。グリーン・モチーフ・IB(設定温度153℃、2.45GHz、出力300Wに設定)の電源を入れ、マイクロウェーブを発生させ、撹拌しながらAr雰囲気の還流下で溶液を沸騰させた。沸騰し始めたらAr雰囲気下でSiCl4(15μl、0.13mmol)をマイクロシリンジでフラスコ内のDMF溶液に加え、還流しながら8時間撹拌した。
≪実施例1、2の考察≫
実施例1、2において、加熱還流することによりシリコンナノ粒子蛍光体が得られた。実施例1において、6時間還流により得られたシリコンナノ粒子蛍光体の透過型電子顕微鏡観察像(TEM像)を図1に示す。図1から、粒子径が揃ったシリコンナノ粒子蛍光体(粒子径約0.5~1nm)が得られたことが分かる。

【0028】
実施例1において加熱還流時間を1時間、6時間に設定し、得られたシリコンナノ粒子蛍光体の波長と発光強度(a.u.)との関係を図2に示す。また、参考例として加熱還流をしない場合(SiCl4+DMF(r.t.))の結果も示す。また、実施例2において加熱還流時間を0.5時間、1時間、2時間、3時間に設定し、得られたシリコンナノ粒子蛍光体の波長と発光強度(a.u.)との関係を図2に示す。

【0029】
図2の結果から明らかなように、加熱還流をしない場合(SiCl4+DMF(r.t.))には発光強度は観測されず、1時間、6時間と加熱還流時間が長くなるに従って、発光強度が強くなることが分かる。マイクウェーブ加熱をした場合には、マイクロウェーブ加熱をしない場合と比べて短時間で発光強度の高いシリコンナノ粒子蛍光体が得られることが分かる。0.5時間マイクロウェーブ加熱をした場合には、既にマイクロウェーブ加熱をせずに6時間加熱還流した場合よりも発光強度が高く、1時間、2時間、3時間と加熱還流時間が長くなる従って、発光強度がより強くなることが分かる。

【0030】
実施例1、2における加熱還流時間と発光強度(a.u.)との関係を図3に示す。図3の結果からも明らかなように、マイクロウェーブ加熱をすることにより、マイクロウェーブ加熱をしない場合と比べて短時間で発光強度の高いシリコンナノ粒子蛍光体が得られることが分かる。

【0031】
参考例3(金ナノ粒子蛍光体の調製:オイルバス)
三口フラスコ(100ml)にジムロート冷却器をつないだものを、空気雰囲気下で脱水DMF(15ml)をフラスコに加えた。オイルバス(140℃)にフラスコを浸し、空気雰囲気の還流下で6分ほど撹拌した。空気雰囲気下で塩化金酸水溶液(150μl, 0.1M)をマイクロシリンジでフラスコ内のDMF溶液に加え、還流しながら6時間、撹拌した。

【0032】
参考例4(銀ナノ粒子蛍光体の調製:オイルバス)
三口フラスコ(100ml)にジムロート冷却器をつないだものを、空気雰囲気下で脱水DMF(15ml)をフラスコに加えた。オイルバス(140℃)にフラスコを浸し、空気雰囲気の還流下で6分ほど撹拌した。空気雰囲気下で硝酸銀水溶液(150μl, 0.1M)をマイクロシリンジでフラスコ内のDMF溶液に加え、還流しながら6時間、撹拌した。

【0033】
実施例5(銅ナノ粒子蛍光体の調製:オイルバス)
三口フラスコ(100ml)にジムロート冷却器をつないだものを、空気雰囲気下で脱水DMF(15ml)をフラスコに加えた。オイルバス(140℃)にフラスコを浸し、空気雰囲気の還流下で6分ほど撹拌した。空気雰囲気下で硝酸銅水溶液(15μl, 0.1M)と水135μlをマイクロシリンジでフラスコ内のDMF溶液に加え、還流しながら6時間、撹拌した。

【0034】
実施例6(白金ナノ粒子蛍光体の調製:オイルバス)
三口フラスコ(100ml)にジムロート冷却器をつないだものを、空気雰囲気下で脱水DMF(15ml)をフラスコに加えた。オイルバス(140℃)にフラスコを浸し、空気雰囲気の還流下で6分ほど撹拌した。空気雰囲気下で塩化白金酸水溶液(75μl, 0.1M)と水75μlをマイクロシリンジでフラスコ内のDMF溶液に加え、還流しながら6時間、撹拌した。

【0035】
実施例7(パラジウムナノ粒子蛍光体の調製:オイルバス)
三口フラスコ(100ml)にジムロート冷却器をつないだものを、空気雰囲気下で脱水DMF(15ml)をフラスコに加えた。オイルバス(140℃)にフラスコを浸し、空気雰囲気の還流下で6分ほど撹拌した。空気雰囲気下で塩化パラジウム(II)水溶液(75μl, 0.2M)と水75μlをマイクロシリンジでフラスコ内のDMF溶液に加え、還流しながら6時間、撹拌した。

【0036】
実施例8(鉄ナノ粒子蛍光体の調製:オイルバス)
三口フラスコ(100ml)にジムロート冷却器をつないだものを、空気雰囲気下で脱水DMF(15ml)をフラスコに加えた。オイルバス(140℃)にフラスコを浸し、空気雰囲気の還流下で6分ほど撹拌した。空気雰囲気下で塩化鉄(III)水溶液(15μl, 0.1M)と水135μlをマイクロシリンジでフラスコ内のDMF溶液に加え、還流しながら6時間、撹拌した。

【0037】
実施例9(鉄ナノ粒子蛍光体の調製:マイクロウェーブ加熱)
上部が二又の試験管をマイクロ波式有機化学反応実験装置(グリーン・モチーフ・IB)、IDX製に入れジムロート冷却器をつないだ後、空気雰囲気下で脱水DMF(10ml)をシリンジで試験管に加えた。グリーン・モチーフ・IB(設定温度153℃、2.45GHz、出力300Wに設定)の電源を入れ、マイクロウェーブを発生させ、撹拌しながら空気雰囲気の還流下で溶液を沸騰させた。沸騰し始めたら空気雰囲気下で塩化鉄(III)水溶液(15μl, 0.1M)と水135μlをマイクロシリンジでフラスコ内のDMF溶液に加え、還流しながら8時間撹拌した。
参考例3及び4並びに実施例~9の考察≫
図4(A)に、参考例3及び4並びに実施例~8で得られた金属ナノ粒子蛍光体を示す。ブラックライトを照射した際の蛍光性を図4(B)に示す。いずれの金属ナノ粒子蛍光体も蛍光性を示すことが分かる。

【0038】
参考例3及び4並びに実施例~8で得られた金属ナノ粒子蛍光体の波長と発光強度(a.u.)との関係を図5に示す。各スペクトルから明らかなように、各金属ナノ粒子蛍光体が蛍光性を示すことが分かる。金属ナノ粒子の粒子径が2nm以下であるとき、量子サイズ効果により蛍光特性を示すことが知られている。参考例3及び4並びに実施例~8の金属ナノ粒子は、蛍光特性を示すことから、いずれも粒子径が2nm以下であることが分かる。また、質量分析(マトリックス支援レーザー脱離イオン化質量分析法:MALDI-MS)結果から、金属ナノ粒子蛍光体(Au、Pt及びPd)は、いずれも金属原子が10~15個程度からなる金属ナノ粒子であることが分かる(図6)。

【0039】
実施例8、9では、ともに鉄ナノ粒子蛍光体を得ている。実験の結果、マイクロウェーブ加熱をする実施例9の方が、マイクロウェーブ加熱をしない実施例8よりも短時間で鉄ナノ粒子蛍光体が得られた。いずれの金属の場合でも、マイクロウェーブ加熱により製造効率を高めることができた。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5