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明細書 :ゼラチン水溶液を用いた弾性に富む繊維ならびに中空糸の乾式紡糸法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5828643号 (P5828643)
公開番号 特開2012-167397 (P2012-167397A)
登録日 平成27年10月30日(2015.10.30)
発行日 平成27年12月9日(2015.12.9)
公開日 平成24年9月6日(2012.9.6)
発明の名称または考案の名称 ゼラチン水溶液を用いた弾性に富む繊維ならびに中空糸の乾式紡糸法
国際特許分類 D01F   4/00        (2006.01)
FI D01F 4/00 A
請求項の数または発明の数 6
全頁数 8
出願番号 特願2011-028562 (P2011-028562)
出願日 平成23年2月14日(2011.2.14)
審査請求日 平成26年2月10日(2014.2.10)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】399030060
【氏名又は名称】学校法人 関西大学
発明者または考案者 【氏名】田村 裕
【氏名】戸倉 清一
【氏名】古池 哲也
【氏名】浦木 康光
【氏名】小川 正人
【氏名】伊藤 昇
【氏名】田中 洋一
個別代理人の代理人 【識別番号】100081422、【弁理士】、【氏名又は名称】田中 光雄
【識別番号】100084146、【弁理士】、【氏名又は名称】山崎 宏
【識別番号】100122301、【弁理士】、【氏名又は名称】冨田 憲史
【識別番号】100144923、【弁理士】、【氏名又は名称】中川 将之
【識別番号】100157956、【弁理士】、【氏名又は名称】稲井 史生
【識別番号】100170520、【弁理士】、【氏名又は名称】笹倉 真奈美
【識別番号】100156085、【弁理士】、【氏名又は名称】新免 勝利
審査官 【審査官】平井 裕彰
参考文献・文献 特表2003-521551(JP,A)
特開平02-028260(JP,A)
特表平04-502027(JP,A)
特表2010-520377(JP,A)
特開2007-075271(JP,A)
特開2007-186831(JP,A)
国際公開第2009/031620(WO,A1)
特開2003-238810(JP,A)
特表2009-516038(JP,A)
調査した分野 D01F1/00~ 6/96
D01F9/00~ 9/04
C08K3/00~ 13/08
C08L1/00~101/14
C08J5/00~ 5/02
5/12~ 5/22
JSTPlus/JST7580/JSTChina(JDreamIII)
特許請求の範囲 【請求項1】
ゼラチンおよび水溶性直鎖状高分子を、水または水とアルコールとの混合溶媒に溶解してなる水溶液を、空気中で押し出しまたは引き出しにより紡糸することを含む、ゼラチン繊維の製造方法であって、
水溶性直鎖状高分子が、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルキチン、キトサン、カラギーナン、メチルセルロースおよびエチルセルロースからなる群から選択されたものであり、水に膨潤・溶解する高分子であり、分子構造が直鎖状であって、分子量が5,000~1,000,000である高分子である、ゼラチン繊維の製造方法。
【請求項2】
繊維が中空糸である、請求項1記載のゼラチン繊維の製造方法。
【請求項3】
アルコールがグリセリンである請求項1または2のいずれかに記載のゼラチン繊維の製造方法。
【請求項4】
紡糸を下方引出しにより行う請求項1~のいずれかに記載のゼラチン繊維の製造方法。
【請求項5】
紡糸を上方引き上げにより行う請求項1~のいずれかに記載のゼラチン繊維の製造方法。
【請求項6】
ゼラチンがアルカリ処理により原料から抽出されたものである、請求項1~のいずれかに記載のゼラチン繊維の製造方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、ゼラチン水溶液を用いた弾性に富む繊維ならびに中空糸の乾式紡糸法に関する。
【背景技術】
【0002】
ゼラチンは、豚、牛、鶏、魚等の骨、皮等の結合組織等から得られるコラーゲンの三重らせん分子を解いて作成されるものであり、生体適合性材料として好適に使用されている。しかし、ゼラチンを水に溶かして得られたゼラチン水溶液は、低濃度では延糸性が低く、高濃度ではゲル化してしまうため、ゼラチン繊維を作成することは困難であった。
【0003】
そこで本発明者らの一部は、湿式紡糸によってゼラチン繊維を製造する方法を検討した結果、ゼラチンを含む溶液に、アミド化合物、アルカリ金属、またはアルカリ土類金属のハロゲン塩を添加して得た溶液を用いることにより、ゼラチン繊維を製造しうることを見いだした(特許文献1)。
【0004】
しかし、特許文献1の方法では、ゼラチン水溶液から、有機溶媒を含む凝固浴を用いた湿式紡糸法で紡糸するため、有機溶媒などの洗浄に時間と複雑な操作が必要であり、コストも非常に高く、有機溶媒に起因して安全性にも問題があった。
【0005】
かかる問題に鑑み、本発明者らの一部は、特許文献1に開示のゼラチン繊維と比較して低毒性であってより強度の高いゼラチン繊維を得るため研究した結果、ゼラチンからなる繊維の乾式紡糸法を見いだした(特許文献2)。
【0006】
特許文献2に記載の乾式紡糸法では、ゼラチン水溶液に親水溶媒および/または多価グリシジル化合物を添加しており、多価グリシジル化合物を用いる態様では安全性に懸念があり、多価グリシジル化合物を用いない態様、即ち、ゼラチンと水と親水溶媒からなる溶液を乾式紡糸した場合、安全性は向上するが、得られる繊維の強度・弾性が十分でなく、改善の余地のあるものであった。
【0007】
また、ゼラチンを魚餌や食品の包装などに用いる場合、ゼラチンは水に対して極めて不安定であるため、耐水性の面でも改善された性質を有するゼラチン繊維が求められている。
【先行技術文献】
【0008】

【特許文献1】特開2001-89929号公報
【特許文献2】特開2005-163204号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、強度・弾性が十分であり、かつ水に対して安定性が高いゼラチン繊維およびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願発明者らはかかる課題を解決するべく鋭意検討の結果、ゼラチンの水または水とアルコールとの混合溶媒中の水溶液に、水溶性直鎖状高分子を添加することにより、高弾性度であり、かつ、水に難溶性のゼラチン繊維を乾式紡糸することが可能となることを見いだし、本発明を完成した。
【0011】
即ち、本発明は、ゼラチンおよび水溶性直鎖状高分子を、水または水とアルコールとの混合溶媒に溶解してなる水溶液を、空気中で紡糸することを含む、ゼラチン繊維の製造方法を提供する。
【0012】
本発明の方法において、好ましくは繊維は中空糸である。また好ましくは、水溶性直鎖状高分子は、ポリエチレングリコールである。さらに、溶媒として用いるアルコールは好ましくはグリセリンである。
【0013】
本発明の方法においては紡糸を下方引出しにより行うことも上方引き上げにより行うこともできる。紡糸を下方引出しにより行うと、重力が加わって細めの繊維となり、上方引き上げにより行うと太めの繊維となり、用途に応じて糸の形状を調整できる。
【0014】
好ましくは、本発明において用いるゼラチンはアルカリ処理により原料から抽出されたものである。
【0015】
本発明はさらに、ゼラチンおよび水溶性直鎖状高分子を、水または水とアルコールとの混合溶媒に溶解してなる水溶液を、空気中でフィルム状に成形することを含む、ゼラチンフィルムの製造方法を提供する。
【0016】
さらに本発明は上記方法により得られたゼラチン繊維またはゼラチンフィルムも提供する。また本発明は、かかるゼラチン繊維またはゼラチンフィルムからなる魚餌または食品用ケーシングも提供する。かかる魚餌は、大型養殖魚への餌の包装として提供することもできるし、それ自体、腐敗進行度の遅い餌として提供することもできる。本発明によると、魚餌および食品用ケーシングのいずれの用途においても、包装およびサイズ調整が容易である。
【発明の効果】
【0017】
本発明の方法は、ゼラチンを含む水溶液から乾式紡糸法を用いて中実糸や中空糸などの繊維ないしフィルムを作成する方法である。本発明の方法によると、溶媒が水または水とアルコールとの混合溶媒であり、空気中に押出してゼラチン溶液を凝固させるため、溶媒の除去などの後処理が不要であり、しかも凝固浴や洗浄液に留意する必要がなく、工業的に有利である。
【0018】
また、本発明の方法は、ゼラチン溶液の特性であるゾル・ゲル変化を利用した手法であり、適切なノズルを用いることにより、所望の形状のゼラチン繊維またはフィルムを容易に作成することができる。さらに本発明の方法により得られたゼラチン繊維またはフィルムは弾性が高く、水に難溶性である。
【0019】
さらに、近年、デジタルカメラの急速な普及に伴い、ゼラチンの需要が極度に減少しているため、精肉産業からの廃棄物としてのゼラチンを有効利用することにより、廃棄物による環境汚染を軽減するためにも役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の方法による中空糸の紡糸を示す写真である。
【図2】約3ヶ月一定湿度で保管した後の本発明の方法により得られた中空糸の写真である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明において使用するゼラチンは、豚、牛、鶏、魚等の骨、皮等の結合組織等から得られるコラーゲンの三重らせん分子をほぐして得られるタンパク質である。かかるゼラチンの製造方法としては、ゼラチン原料のアルカリ処理や酸処理方法などがあり、いずれの方法によって製造されたものを用いてもよく、市販のゼラチンを用いてもよい。本発明において用いるゼラチンは、アルカリ処理によって原料から抽出されたものが好ましい。

【0022】
アルカリ処理の方法としては、ゼラチン原料を石灰懸濁液を満たした容器に浸漬する方法が知られており、例えば、特に限定されないが、石灰として消石灰を用い、懸濁液の濃度1-5重量%で20℃以下にて30-100日、好ましくは40-80日浸漬する。その後、水洗および中和を経たアルカリ処理を受けた原料は不純物が少なく、温水でゼラチンが容易に抽出される。アルカリ処理を含むゼラチンの前処理方法は、例えば、「にかわとゼラチン」(日本にかわ・ゼラチン工業組合、pp273-276、丸善)に詳細に記載されている。

【0023】
一方、市販されているゼラチンは、その製造工程において、抽出されるまでに種々の精製工程を経るため、タンパク質以外の成分は少なく、通常は、タンパク質85%以上、水分8~14%、灰分2%以下、その他脂質、多糖類など1%以下という組成が一般的であるが、本発明ではかかる一般的な市販のゼラチンを使用することもできる。

【0024】
ゼラチンの分子量としては、特に限定されず、広範なものが使用できるが、例えば、分子量10,000~100,000程度のものが好ましく、分子量10万程度のものが特に好ましい。

【0025】
本発明においては、ゼラチンの他に、水溶性直鎖状高分子を用いる。「水溶性直鎖状高分子」とは、水分子との親和性が高い官能基や原子団をその分子構造中に含み、水に膨潤・溶解する高分子であり、分子構造が直鎖状であって、分子量が5,000~1,000,000のものをいう。

【0026】
具体的な水溶性直鎖状高分子の例としては、特に限定されないが、例えば、ポリエチレングリコール(以下、単にPEGと称する)、ポリビニルアルコール(PVA)、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルキチン、キトサン、カラギーナン、メチルセルロース、エチルセルロースなどが挙げられるが、好ましくは、PEGである。

【0027】
例えば、水溶性直鎖状高分子としてPEGを用いる場合、分子量1万~60万程度のものが好ましく、特に好ましくは分子量10万程度のものである。

【0028】
本発明において用いる溶媒は、水または水とアルコールとの混合溶媒である。アルコールとしては、特に限定されないが、多価アルコールが好ましく、多価アルコールとしては、エチレングリコールおよびその誘導体、グリセリンおよびその誘導体、ペンタエリトリトールおよびその誘導体などが挙げられるが、特にグリセリンが好ましい。

【0029】
混合溶媒を用いる場合の混合溶媒中のアルコール比は特に限定されないが、水50gに対して1~5gが好ましく、2g程度が特に好ましい。

【0030】
本発明においては、まずゼラチンと水溶性直鎖状高分子を上記の溶媒中に溶解させてなるゼラチン水溶液を乾式紡糸または成形のための粘稠水溶液とする。かかる粘稠水溶液中の組成は、例えば溶媒60gを使用する場合、ゼラチン含有量は好ましくは40~70g、特に好ましくは60gであり、水溶性直鎖状高分子含有量、例えば、PEG含有量は好ましくは1~20gであり、特に好ましくは10gであり、ゼラチンと水溶性直鎖状高分子との比、例えば、ゼラチンとPEGとの比は、ゼラチン/PEGとして好ましくは2~70、特に好ましくは6である。

【0031】
ゼラチンと水溶性直鎖状高分子との水溶液を乾式紡糸あるいは成形する場合、該水溶液がゾル状態となるまで加温し、ゾル状態となった水溶液をノズルから空気中へ押し出して紡糸または成形する。一般にゼラチン水溶液がゾル状態となるのは40℃以上であるため、加温する温度としては40℃以上が好ましく、45℃以上がより好ましい。但し、あまり高温にしすぎると熱分解またはゲル化が起こって紡糸あるいは成形が阻害されやすくなるため、通常90℃以下、好ましくは85℃以下とするのがよい。

【0032】
かかる水溶液は、基本的にゼラチンおよび水溶性直鎖状高分子および水および所望によりアルコールからなるが、本発明の目的を損なわない限りその他の物質、例えば、架橋剤などを含めてもよい。

【0033】
本発明をゼラチン繊維の乾式紡糸法についてまず説明するが、ノズルの形状を変更することにより、フィルムの成形にもかかる方法は適用できる。一般に乾式紡糸は、ポリマーを溶媒で溶解した粘稠な溶液を細孔から押し出して、熱風等で溶媒を蒸発させ、ポリマーを糸状に固化させるプロセスであるが、本発明においては、ゼラチンのゾル・ゲル転移温度が高いことにより、熱風などを用いずに室温で空気中に紡糸するのみでゼラチン溶液がゲル化する。したがって紡糸装置も、原料溶液をためておく部分とそれに接続したノズルおよび巻き取り装置があれば、特別な紡糸筒なども必要ではない。

【0034】
乾式紡糸ないしフィルム成形では、加温した水溶液を、所望の形状のノズルから大気中に押し出す。押し出す雰囲気は空気であっても、窒素などの不活性気体であってもよいが、空気を利用するのが簡便である。空気の温度は室温、具体的には、10~35℃とする。本発明においては、室温で空気中で紡糸または成形できるので、紡糸筒や加熱気体などの特殊な装置や手段が必要ではない。

【0035】
例えば、中空糸を紡糸する場合は、断面◎型のノズルを用いるとよく、中実糸を紡糸する場合には断面○型や異型のノズルを用いるとよい。口径は特に限定されず、中空糸の場合、外側ノズルの径と内側ノズルの径を調節することにより、肉厚、肉薄、大口径、小口径といった所望の形状のものが得られる。中実糸の場合にはノズルの形状を断面○型にすることにより、通常の繊維が、異型ノズルを用いることにより異型繊維が得られる。フィルムを得る場合には、扁平な金型をノズルとし、金型の厚さおよび幅を適宜調節することにより所望の厚さおよび幅のフィルムが得られる。紡糸速度、巻き取り速度は特に限定されない。

【0036】
紡糸にあたって、下方引き出しを用いても上方引き上げを用いてもよい。紡糸を下方引出しにより行うと、重力が加わって細めの繊維となり、上方引き上げにより行うと太めの繊維となり、用途に応じて糸の形状を調整できる。

【0037】
本発明の方法によると、用途によって紡糸または成形条件、即ち、ノズル近辺の温度、ノズルの形状や大きさ、引き出し(押出し)方向や速度を制御することにより、肉厚中空糸、肉薄中空糸、大口径中空糸、小口径中空糸あるいは、対応する中実糸、所望の幅や厚さのフィルムを得ることができる。

【0038】
本発明の方法により得られた繊維またはフィルムは、弾性・強度が強く、安全性が高いのみならず、水に難溶性である。これらの繊維またはフィルムは、魚餌、ケーシングなどに好適に用いることができる。

【0039】
さらに本発明のゼラチン繊維またはフィルムに架橋を施してさらに強度を高めてもよい。架橋方法としては、架橋剤を用いる方法や放射線照射により架橋する方法が挙げられる。使用可能な架橋剤としては、カルボジイミド化合物、グルタルアルデヒド、ジエポキシ化合物、ジイソシアネート化合物などゼラチンの架橋に一般に使用される架橋剤が挙げられる。架橋剤を紡糸・成形前に適用する場合、紡糸・成形に供する水溶液に架橋剤をあらかじめ混合するとよく、紡糸・成形後に適用する場合は、得られた繊維・フィルムを架橋剤を含む溶液に浸漬するとよい。放射線照射により架橋する場合は、紡糸・成形後の繊維・フィルムに電子線、γ線を照射するとよい。

【0040】
本発明の方法によると、ゼラチンと水溶性直鎖状高分子との混合物水溶液を所望のノズルから室温で直接空気中に押し出すことにより、所望の形状の繊維・フィルムを製造することができる。ゼラチン水溶液にPEG等の水溶性直鎖状高分子を共存させることにより、ゼラチン水溶液の、例えば中空糸形成能などの物性が向上する。また、本発明の方法では、溶媒として水あるいは水とアルコールの混合溶媒を用いるため、紡糸・成形後に洗浄などの操作が必要ではない。本発明の方法は、紡糸・成形途上に起こるゼラチン分子の構造変化を直接ゾル・ゲル変化に関連した現象として観察できる。
【実施例1】
【0041】
(中空糸の製造)
ゼラチンとして、宏栄化成(株)製アルカリ処理ゼラチンを用い、水溶性直鎖状高分子として、Aldrich社製の分子量10,000,35,000,100,000、200,000,600,000のPEGを用いた。
【実施例1】
【0042】
ゼラチン60gに分子量100,000のPEG10gとグリセリン2gを混合し、熱蒸留水50gを加え練り合わせた後、脱泡のため一夜静置しゼラチンゲルを得た。
【実施例1】
【0043】
ゼラチンゲルを紡糸管に詰め、70℃に加熱して減圧下で脱泡した。脱泡後、2気圧の圧力をかけて中空糸ノズル(外径6mm、内径5mm)から大気中に押出し、紡糸速度は上方引き上げの場合1m/min、下方引き出しの場合5m/minで中空糸を得た(図1)。
【実施例1】
【0044】
中空糸の膜厚は、中空糸を下方に引き出すか、上方へ引き上げるかに加えて、その引き出し速度、紡糸管温度などによっても調節できた。結果として、外気温度や湿度に左右されることなく弾力性に富んだ中空糸が得られた。上方引き上げで得られた中空糸の外径は5mm、内径は4mm、下方引き出しの場合、外径は3mm、内径は2mmであった。また、中空糸同士の癒着は観察されなかった。また、得られた中空糸は約3ヶ月程度一定の湿度で保管しても形状が崩れず、水難溶性であった(図2)。
【実施例2】
【0045】
(中実糸の製造)
ゼラチン60gに分子量35,000のPEGとグリセリン2gを混合し、熱蒸留水50gを加え練り合わせた後、脱泡のため一夜静置しゼラチンゲルを得た。
【実施例2】
【0046】
ゼラチンゲルを紡糸管に詰め、50℃に加熱して減圧下で脱泡した。脱泡後、0.5気圧の圧力をかけて中実糸ノズル(外径2mm、内径1mm)から大気中に押出し、紡糸速度は25m/minで直径0.1mmの中実糸を得た。
【実施例2】
【0047】
中実糸の紡糸は、分子量10,000~600,000のPEGを用いて良好に行うことができた。その際、中実糸の紡糸は引き出し速度、紡糸管温度、圧力、ノズル直径などによっても調節できた。結果として、外気温度や湿度に左右されることなく弾力性に富んだ中実糸が得られた。また、中実糸同士の癒着は観察されなかった。また、得られた中実糸は約3ヶ月程度一定の湿度で保管しても形状が崩れず、水難溶性であった。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明の方法により製造した、中実糸や中空糸などの繊維ないしフィルムは、養殖魚の餌やハム等の食品に対するケーシングならびに医用材料として応用できる。
図面
【図1】
0
【図2】
1