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明細書 :穿刺ユニット

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5835944号 (P5835944)
公開番号 特開2012-245028 (P2012-245028A)
登録日 平成27年11月13日(2015.11.13)
発行日 平成27年12月24日(2015.12.24)
公開日 平成24年12月13日(2012.12.13)
発明の名称または考案の名称 穿刺ユニット
国際特許分類 A61M   5/32        (2006.01)
A61B   5/15        (2006.01)
FI A61M 5/32 520
A61M 5/32 530
A61B 5/14 300H
請求項の数または発明の数 2
全頁数 10
出願番号 特願2011-116550 (P2011-116550)
出願日 平成23年5月25日(2011.5.25)
審査請求日 平成26年5月19日(2014.5.19)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】399030060
【氏名又は名称】学校法人 関西大学
発明者または考案者 【氏名】青柳 誠司
個別代理人の代理人 【識別番号】100074332、【弁理士】、【氏名又は名称】藤本 昇
審査官 【審査官】金丸 治之
参考文献・文献 特開平08-168478(JP,A)
特開2001-087384(JP,A)
米国特許出願公開第2007/0049959(US,A1)
国際公開第2005/058162(WO,A1)
米国特許出願公開第2005/0149088(US,A1)
調査した分野 A61M 5/32
A61B 5/15
特許請求の範囲 【請求項1】
流体が流通可能に筒状に形成されるとともに患者に対して穿刺可能に形成された針本体と、該針本体と同方向に延びるように形成されるとともに該針本体の径方向の外側に並設され、患者に対して穿刺可能に形成された少なくとも一つの補助針と、前記針本体及び補助針のそれぞれを自己の軸心方向に往復動させるアクチュエータと、該アクチュエータの動作を制御するための制御手段とを備え、前記補助針には、前記針本体と対向する面とは反対側の面の少なくとも先端側に突起部が設けられ、前記制御手段は、少なくとも一つの補助針を軸心方向に押し出しつつ前記針本体を前記軸心方向に引き込んだ後、前記針本体を前記軸心方向に押し出しつつ前記少なくとも一つの補助針を前記軸心方向に引き込む動作を少なくとも一回行うようにアクチュエータを制御するように構成され、前記制御手段は、前記針本体及び前記補助針が穿刺する目的の位置に到達するまで、前記針本体及び前記補助針の往復動作を行うように前記アクチュエータの動作を制御することを特徴とする穿刺ユニット。
【請求項2】
前記補助針は前記針本体の両側に設けられ、前記突起部は前記針本体の軸方向に複数設けられていることを特徴とする請求項1に記載の穿刺ユニット。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、患者に対して投薬や採血を行う際に用いられる穿刺ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
患者に対して投薬や採血を行うために注射針が皮膚組織等に穿刺されることがあるが、従来の注射針は、外径が比較的大きいために穿刺時の皮膚組織等への衝撃や抵抗力が大きく、大きな痛みを感じるとして、近年、穿刺時の痛みを低減した無痛針が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
かかる無痛針は、従来の注射針の外径よりも細くしたもので、穿刺時における皮膚組織等に対する接触面積を従来の注射針よりも小さくなるように構成されている。これにより、かかる無痛針は、穿刺時の皮膚組織等との間に生じる摩擦力が小さくなり、痛みを低減できるとされている。
【先行技術文献】
【0004】

【特許文献1】特開2008-43583号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記構成の無痛針は、外径を細くする(極細にする)ことで、穿刺時の痛みを低減できるとされているが、強度や製造上の問題から極細に形成するのに限界がある。そのため、上記構成の無痛針においても、痛みを低減するのに限界があり、穿刺時の痛みをより低減できるものが要求されている。
【0006】
そこで、本発明は、斯かる実情に鑑み、患者に対して投薬や採血を行う際に痛みをより低減した状態で穿刺することのできる穿刺ユニットを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る穿刺ユニットは、流体が流通可能に筒状に形成されるとともに患者に対して穿刺可能に形成された針本体と、該針本体と同方向に延びるように形成されるとともに該針本体の径方向の外側に並設され、患者に対して穿刺可能に形成された少なくとも一つの補助針と、前記針本体及び補助針のそれぞれを自己の軸心方向に往復動させるアクチュエータと、該アクチュエータの動作を制御するための制御手段とを備え、前記補助針には、前記針本体と対向する面とは反対側の面の少なくとも先端側に突起部が設けられ、前記制御手段は、少なくとも一つの補助針を軸心方向に押し出しつつ前記針本体を前記軸心方向に引き込んだ後、前記針本体を前記軸心方向に押し出しつつ前記少なくとも一つの補助針を前記軸心方向に引き込む動作を少なくとも一回行うようにアクチュエータを制御するように構成され、前記制御手段は、前記針本体及び前記補助針が穿刺する目的の位置に到達するまで、前記針本体及び前記補助針の往復動作を行うように前記アクチュエータの動作を制御することを特徴とする。
【0008】
上記構成の穿刺ユニットによれば、補助針には、針本体と対向する面とは反対側の面の少なくとも先端側に突起部が設けられているため、補助針を皮膚組織等に穿刺する時に突起部の先端又は先端近傍が皮膚組織等に接触することになる。すなわち、補助針を皮膚組織等に穿刺する時に、突起部の先端又は先端近傍が皮膚組織等に点当たりしつつ補助針が皮膚組織等の内部に突き進むことになる。従って、補助針と皮膚組織等との接触面積が小さくなるため、皮膚組織等にかかる摩擦抵抗力が減少し、穿刺に要する力(穿刺力)が小さくなる。これにより、上記構成の穿刺ユニットは、補助針の穿刺時の痛みを小さくする(和らげる)ことができる。
【0009】
また、上記構成の穿刺ユニットの制御手段は、少なくとも一つの補助針を軸心方向に押し出しつつ針本体を前記軸心方向に引き込んだ後、針本体を前記軸心方向に押し出しつつ少なくとも一つの補助針を前記軸心方向に引き込む動作を少なくとも一回行うようにアクチュエータを制御するように構成されているため、小さい穿刺力で針本体を皮膚組織等に穿刺することができる。すなわち、補助針を患者の皮膚組織等に穿刺した状態では、補助針の先端側にある突起部が皮膚組織等に入って行き、針本体を前記軸心方向に押し出しつつ少なくとも一つの補助針を前記軸心方向に引き込む動作を行うことで、針本体を軸心方向に押し出す時の力(穿刺力)と、少なくとも一つの補助針を軸心方向に引き込む時の力(引き込み力)とが相殺又は略相殺され、これにより、上記構成の穿刺ユニットは、針本体を皮膚組織等に穿刺する時の針本体と皮膚組織等との間に生じる摩擦抵抗力が低減され、皮膚組織等の痛みを軽減することができる。そして、針本体は、流体が流通可能に筒状に形成されているため、上述の如く、皮膚組織等に穿刺することで薬液や血液が流通できる状態になる。
【0010】
本発明に係る穿刺ユニットにおいて、前記補助針は前記針本体の両側に設けられ、前記突起部は前記針本体の軸方向に複数設けられていることが好ましい。このようにすれば、針本体を穿刺する時(補助針を引き込みつつ針本体を押し出す時)に、複数の突起部が皮膚組織等に引っ掛かってより強いアンカー効果を得ることができる。これにより、補助針が皮膚組織等に引っ掛かった状態で該補助針を引き込むことができ、補助針を引き込む時の摩擦抵抗力の反力を、針本体を突き出す時の穿刺力に追加することができるため、反対向きに移動する針本体を小さな穿刺力で皮膚組織等に対してスムーズに穿刺させることができ、穿刺時の痛みをさらに軽減することができる。
【発明の効果】
【0011】
以上のように、本発明の穿刺ユニットによれば、患者に対して投薬や採血を行う際に痛みをより低減した状態で穿刺することができるといった優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態に係る穿刺ユニットの全体構成を示す断面図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る穿刺ユニットにおける針本体と補助針との協調動作を示す図であって、(a)は、制御手段が一方の補助針を針本体の軸方向に押し出しつつ、針本体を軸方向に引き込むように、アクチュエータを制御する様子を示し、図2(b)は、針本体を軸方向に押し出しつつ、両方の補助針を軸方向に引き込むように、アクチュエータを制御する様子を示し、(c)は、他方の補助針を針本体の軸方向に押し出しつつ、該針本体を軸方向に引きこむように、アクチュエータを制御する様子を示し、(d)は、針本体を軸方向に押し出しつつ、両方の補助針を軸方向に引き込むように、アクチュエータを制御する様子を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態にかかる穿刺ユニットについて、添付図面を参照して説明する。

【0014】
本実施形態に係る穿刺ユニットは、目的の部位(例えば、皮膚組織等)に針を穿刺するためのものであって、図1に示すように、流体が流通可能に筒状に形成されるとともに患者に対して穿刺可能に形成された針本体10と、該針本体10と同方向に延びるように形成されるとともに該針本体10の径方向の外側に並設され、患者に対して穿刺可能に形成された少なくとも一つの補助針20と、針本体10及び補助針20のそれぞれを自己の軸心方向に往復動させるアクチュエータ30と、該アクチュエータ30の動作を制御するための制御手段40とを備える。

【0015】
本実施形態に係る針本体10は、シリコン、ポリマー(ポリ乳酸,ポリカーボネート,エポキシ樹脂,アクリル樹脂,テフロン等のフッ素樹脂等)、金属(ニッケル,チタン,鉄,ステンレス,タングステン,モリブデン,アルミニウム,銅等)で形成されている。該針本体10は先端側に向かって先細りとなるように形成されている。針本体10の外径寸法は30~200μm程度であり、その長さ寸法は1,000~3,000μm程度である。

【0016】
針本体10は、アクチュエータ30によって自己の軸心方向に移動可能に構成されている。針本体10の内部には、該針本体10の先端から皮膚組織等に投薬や採血を行うための空洞部11が、針本体10の軸心方向に沿って設けられている。また、針本体10の基端には、薬液や血液を流通させるためのチューブがアクチュエータ30を介して流体的に接続されている。

【0017】
本実施形態に係る補助針20は、針本体10と同様に、シリコン、ポリマー(ポリ乳酸、パリレン、ポリカーボネート、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、テフロン等のフッ素樹脂等),金属(ニッケル、チタン、鉄、ステンレス、タングステン、モリブデン、アルミニウム、銅等)で形成されている。なお,生体適合性が低い材料については,その表面に生体適合性ポリマーを薄くコーティングすることが有効である。このためのポリマーとして,等角的に(コンフォーマル、すなわち表面、側面、底面の全ての方向から)CVD(ケミカルベーパーデポジション、すなわち、化学蒸着)ができるパリレンが挙げられる。また、このコーティングは、シリコン等の脆性材料の針が穿刺中に砕けた場合に、その破片を散乱させずに包み込む機能も期待でき、患者の体内に該破片が散乱することを回避できるという点で安全性が担保できる。

【0018】
該補助針20は、先端側に向かって先細りとなるように形成されている。本実施形態において、補助針20は、針本体10の両側に設けられ、アクチュエータ30によって針本体10の軸心方向に移動可能に構成されている。

【0019】
また、該補助針20には、針本体10と対向する面とは反対側の面(補助針20の外側の面)の少なくとも先端側に突起部21が設けられている。本実施形態においては、突起部21は、針本体10の軸方向に複数設けられている。各突起部21は、外側に向かうにつれて細くなるように形成されている。本実施形態においては、複数の突起21,21・・・は、補助針20の先端側から基端側(先端と反対側)に向かって突出するように形成されている。

【0020】
該補助針20の最大太さ(突起部21の尖端までの太さ)は15~100μm程度であり、その長さ寸法は1,000~3,000μm程度である。

【0021】
材料がシリコン製の場合、本実施形態に係る穿刺ユニット1において、針本体10及び補助針20は、DRIE(Deep Reactive Ion Etching)法と電解エッチングによって形成されている。より具体的には、まず、厚さ150μmのシリコンウェハに酸化膜を堆積する。次に、リソグラフィを行い、酸化膜をCHF3(トリフルオロメタン)でエッチングする。そして、DRIE法によってシリコン基板をエッチングする。その後、レジストとSiO2(二酸化ケイ素)を除去し、作製した2次元針を電解エッチングにて3次元針として先鋭化する。

【0022】
材料がポリマー製や金属製の場合は、上記プロセスで作製されたシリコン製の針を母型とし、ニッケル等の金属製の鋳型を鍍金(めっき)等の技術を用いて作製する。これを鋳型として、ポリマーの場合はこの鋳型に射出成形を施し、金属の場合はこの鋳型に鍍金を施した後に、鋳型から離型すれば、ポリマー製,または,金属製の針を得ることができる。

【0023】
本実施形態に係るアクチュエータ30は、針本体10及び補助針20の基端側(先端側と反対側)に設けられ、針本体10及び補助針20の動作を制御するように構成されている。より具体的には、アクチュエータ30は、前述のように、針本体10と補助針20のそれぞれを自己の軸心方向に往復動させるようになっている。本実施形態においては、アクチュエータ30として、圧電セラミックスの一種であるPZT(チタン酸ジルコン酸鉛)アクチュエータを採用している。なお、本実施形態においては、アクチュエータ30としてPZT(チタン酸ジルコン酸鉛)アクチュエータを採用しているが、これに限定されるものではない。例えば、アクチュエータとして、回転モータとラックピニオンを組み合わせたリニアアクチュエータや、回転モータとボールねじを組み合わせたリニアアクチュエータ、空気圧アクチュエータ、油圧アクチュエータ等を採用することができる。

【0024】
本実施形態に係る穿刺ユニット1は、制御手段40が、アクチュエータ30による針本体10及び補助針20の往復動作(協調動作)を制御するように構成されている。

【0025】
より具体的には、本実施形態に係る制御手段40は、少なくとも一つの補助針20を軸心方向に押し出しつつ針本体10を軸心方向に引き込んだ後、針本体10を軸心方向に押し出しつつ少なくとも一つの補助針20を軸心方向に引き込む動作を少なくとも一回行うようにアクチュエータ30を制御する。

【0026】
すなわち、穿刺する目的の部位(皮膚組織等)や該目的の部位の深さによって、針本体10及び補助針20が目的の位置に到達するまで、制御手段40は、アクチュエータ30による針本体10及び補助針20の往復動作を繰り返し行うようにする。なお、ここで「押し出す」とは、針本体10や補助針20をそれぞれの先端(尖端)を先頭にして進行させることをいい、「引き込む」とは、針本体10や補助針20をそれぞれの基端(すなわち、先端(尖端)と反対側)を先頭にして進行させることをいう。

【0027】
より具体的には、本実施形態においては、図2(a)に示すように、制御手段40は、一方の補助針20(図2(a)において左側)を針本体10の軸方向に(皮膚組織等に向かって)押し出しつつ、針本体10を軸方向に引き込んだ後、図2(b)に示すように、該針本体10を軸方向に(皮膚組織等に向かって)押し出しつつ、両方の補助針20,20を軸方向に引き込むように、アクチュエータ30を制御するように構成されている。

【0028】
また、本実施形態においては、図2(c)に示すように、制御手段40は、他方の補助針20(図2(c)において右側)を針本体10の軸方向に(皮膚組織等に向かって)押し出しつつ、該針本体10を軸方向に引き込んだ後、図2(d)に示すように、針本体10を軸方向に(皮膚組織等に向かって)押し出しつつ、両方の補助針20,20を軸方向に引き込むように、アクチュエータ30を制御するように構成されている。なお、図2(a)~図2(d)においては、制御手段40を省略して図示している。

【0029】
本実施形態に係る穿刺ユニット1は、以上の構成からなり、次に、本実施形態に係る穿刺ユニット1の穿刺動作について説明する。

【0030】
まず穿刺するにあたって、針本体10及び補助針20の先端を患者の目的の部位(皮膚組織等)に当てる。そして、この状態で、図2(a)に示すように、制御手段40は、一方の補助針20(図2(a)において左側)を針本体10の軸方向(図2(a)中の矢印Aの方向)に(皮膚組織等に向かって)押し出しつつ、針本体10を軸方向(図2(a)中の矢印Bの方向)に引き込むように、アクチュエータ30を制御する。

【0031】
そうすると、補助針20が皮膚組織等に穿刺され、補助針20の突起部21が皮膚組織等内に入っていく。この時、突起部21の先端(尖端)が先細りになっているため、補助針20を皮膚組織等に穿刺する時に突起部21の先端(尖端)又は先端(尖端)近傍が皮膚組織等に接触することになる。すなわち、補助針20を皮膚組織等に穿刺する時に、突起部21の先端(尖端)又は先端(尖端)近傍が皮膚組織等に点当たりしつつ補助針20が皮膚組織等の内部に突き進むことになる。従って、補助針20と皮膚組織等との接触面積が小さくなるため、皮膚組織等にかかる摩擦抵抗力が減少し、穿刺に要する力(穿刺力)が小さくなる。

【0032】
次に、図2(b)に示すように、制御手段40は、該針本体10を軸方向(図2(b)中の矢印Cの方向)に(皮膚組織等に向かって)押し出しつつ、両方の補助針20,20を軸方向(図2(b)中の矢印Dの方向)に引き込むように、アクチュエータ30を制御する。

【0033】
そうすると、針本体10を軸心方向に押し出す時の力(穿刺力)と、両方の補助針20を軸心方向に引き込む時の力(引き込み力)とが相殺又は略相殺され、小さい穿刺力で針本体10を皮膚組織等に穿刺することができる。また、針本体10を穿刺する時(補助針20を引き込みつつ針本体10を押し出す時)に、複数の突起部21が皮膚組織等に引っ掛かってより強いアンカー効果を得ることができる。これにより、補助針20を引き込む時の摩擦抵抗力の反力を、針本体10を突き出す時の穿刺力に追加することができ、反対向きに移動する針本体10を小さな穿刺力で皮膚組織等に対してスムーズに穿刺させることができる。

【0034】
そして、図2(c)に示すように、制御手段40は、他方の補助針20(図2(c)において右側)を針本体10の軸方向(図2(c)中の矢印Eの方向)に(皮膚組織等に向かって)押し出しつつ、該針本体10を軸方向(図2(c)中の矢印Fの方向)に引き込むように、アクチュエータ30を制御する。

【0035】
そうすると、一方の補助針20を皮膚組織等に穿刺した時と同様に、他方の補助針20を皮膚組織等に穿刺する時に、突起部21の先端(尖端)又は先端(尖端)近傍が皮膚組織等に点当たりしつつ補助針20が皮膚組織等の内部に突き進むことになる。従って、補助針20と皮膚組織等との接触面積が小さくなるため、皮膚組織等にかかる摩擦抵抗力が減少し、穿刺に要する力(穿刺力)が小さくなる。

【0036】
次に、制御手段40は、図2(d)に示すように、針本体10を軸方向(図2(d)中の矢印Gの方向)に(皮膚組織等に向かって)押し出しつつ、両方の補助針20,20を軸方向(図2(d)中の矢印Hの方向)に引き込むように、アクチュエータ30を制御する。

【0037】
そうすると、図2(b)の場合と同様に、針本体10を軸心方向に押し出す時の力(穿刺力)と、両方の補助針20を軸心方向に引き込む時の力(引き込み力)とが相殺又は略相殺され、小さい穿刺力で針本体10を皮膚組織等に穿刺することができる。また、針本体10を穿刺する時(補助針20を引き込みつつ針本体10を押し出す時)に、複数の突起部21が皮膚組織等に引っ掛かってより強いアンカー効果を得ることができる。これにより、補助針20を引き込む時の摩擦抵抗力の反力を、針本体10を突き出す時の穿刺力に追加することができ、反対向きに移動する針本体10を小さな穿刺力で皮膚組織等に対してスムーズに穿刺させることができる。

【0038】
この状態で、アクチュエータ30に接続されたチューブから針本体10の内部に設けられた空洞部11を介して、針本体10の先端から患者の皮膚組織等に投薬や採血が行われる。

【0039】
以上のように、本実施形態に係る穿刺ユニット1によれば、補助針20には、針本体10と対向する面とは反対側の面の少なくとも先端側に突起部21が設けられているため、突起部21の先端又は先端近傍が皮膚組織等に点当たりし、補助針20と皮膚組織等との接触面積が小さくなるため、皮膚組織等にかかる摩擦抵抗力が減少し、穿刺に要する力(穿刺力)が小さくなる。これにより、上記構成の穿刺ユニット1は、補助針20の穿刺時の痛みを小さくする(和らげる)ことができる。

【0040】
また、上記構成の穿刺ユニット1の制御手段40は、少なくとも一つの補助針20を軸心方向に押し出しつつ針本体10を軸心方向に引き込んだ後、針本体10を軸心方向に押し出しつつ少なくとも一つの補助針20を軸心方向に引き込む動作を少なくとも一回行うようにアクチュエータ30を制御するように構成されているため、針本体10を軸心方向に押し出す時の力(穿刺力)と、少なくとも一つの補助針20を軸心方向に引き込む時の力(引き込み力)とが相殺又は略相殺され、小さい穿刺力で針本体10を皮膚組織等に穿刺することができる。これにより、上記構成の穿刺ユニット1は、針本体10を皮膚組織等に穿刺する時の針本体10と皮膚組織等との間に生じる摩擦抵抗力が低減され、皮膚組織等の痛みを軽減することができる。

【0041】
また、本実施形態に係る穿刺ユニット1によれば、補助針20は針本体10の両側に設けられ、突起部21は針本体10の軸方向に複数設けられているため、針本体10を穿刺する時(補助針20を引き込みつつ針本体10を押し出す時)に、複数の突起部21が皮膚組織等に引っ掛かってより強いアンカー効果を得ることができる。これにより、補助針20が皮膚組織等に引っ掛かった状態で該補助針20を引き込むことができ、補助針20を引き込む時の摩擦抵抗力の反力を、針本体10を突き出す時の穿刺力に追加することができるため、反対向きに移動する針本体10を小さな穿刺力で皮膚組織等に対してスムーズに穿刺させることができ、穿刺時の痛みをさらに軽減することができる。

【0042】
尚、本発明の穿刺ユニット1は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。

【0043】
上記実施形態において、制御手段40は、一つの補助針20を軸心方向に押し出しつつ針本体10を軸心方向に引き込んだ後、針本体10を軸心方向に押し出しつつ一つの補助針20を軸心方向に引き込む動作を複数回行うようにアクチュエータ30を制御するように構成されているが、これに限定されない。

【0044】
例えば、制御手段40が、両方の補助針20,20を針本体10の軸心方向に押し出しつつ該針本体10を軸心方向に引き込むとともに、針本体10を軸方向に押し出しつつ両方の補助針20,20を軸方向に引き込む動作を少なくとも一回行うようにアクチュエータ30を制御するように構成してもよい。すなわち、穿刺する深さに応じて針本体10及び補助針20の上記往復動作(協調動作)の回数を増減させればよい。

【0045】
この場合でも、両方の補助針20,20を引き込む時の摩擦抵抗力の反力を、針本体10を突き出す時の穿刺力に追加することができ、針本体10を皮膚組織等に穿刺する時の力をさらに低減させることができる。また、針本体10を穿刺する時(両方の補助針補助針20,20を引き込みつつ針本体10を押し出す時)に、複数の突起部21,21・・・が皮膚組織等に引っ掛かってさらにより強いアンカー効果を得ることができる。

【0046】
要は、針本体10を皮膚組織等に穿刺する時に針本体10と皮膚組織等との間に生じる摩擦抵抗力が低減され、補助針20を引き込む時の摩擦抵抗力の反力を、針本体10を突き出す時の穿刺力に追加することができるように、制御手段40が、アクチュエータ30による針本体10及び補助針20の往復動作(協調動作)を制御するような構成であればよい。

【0047】
上記実施形態において、複数の突起21,21・・・は、補助針20の先端側から他端側(先端と反対側)に向かって突出するように形成されているが、これに限定されず、例えば、複数の突起21,21・・・は、補助針20の他端側から先端側(先端と反対側)に向かって突出するように形成されていてもよい。この場合でも、複数の突起21,21・・・によって、皮膚組織等に対してアンカー効果を得ることができる。

【0048】
上記実施形態にあたって、針本体10を穿刺する時(補助針20を引き込みつつ針本体10を押し出す時)に、針本体10が先細りのテーパ状となっていれば,補助針20は針本体10の進行および自身の後退につれて、針の軸方向と垂直の外側方向に移動し、穿刺対象の皮膚組織等に押し付けられることとなる。これにより,複数の突起部21が皮膚組織等に食い込み,より引っ掛かりの度合いが大きくなり、強いアンカー効果を得ることができる。

【0049】
上記実施形態において言及しなかったが、皮膚組織等から針本体10及び補助針20を抜くにあたって、針本体10が引き抜かれるにつれて、補助針20が針本体10に向かって互いに接近する(補助針20の内側に向かう)ように構成してもよい。すなわち、皮膚組織等から針本体10及び補助針20を抜く時に、針本体10が引き抜かれるにつれて、補助針20同士の間隔が狭くなるように構成してもよい。このようにすれば、補助針20と皮膚組織等との間の接触面積がさらに低減されるため、それに伴って、補助針20と皮膚組織等との間の摩擦抵抗力がさらに減少され、皮膚組織等から針本体10及び補助針20を抜く際にも痛みを感じにくくすることができる。

【0050】
また、上記実施形態において言及しなかったが、皮膚組織等から針本体10及び補助針20を抜く時に、補助針20の複数の突起21,21・・・が軸心方向に窄まるような構成であってもよい。すなわち、皮膚組織等から針本体10及び補助針20を抜く時に、複数の突起21,21・・・が、補助針20の側面に対して面一となる(補助針20の側面から外側に向かって突出しない)ように構成されてもよい。このようにすれば、補助針20と皮膚組織等との接触面積をさらに低減させることができるため、皮膚組織等から針本体10及び補助針20を抜く時の摩擦抵抗力をより小さくすることができ、皮膚組織等から針本体10及び補助針20を抜く時にも、痛みをさらに感じにくくすることができる。
【符号の説明】
【0051】
1…穿刺ユニット、10…針本体、11…空洞部、20…補助針、21…複数の突起、30…アクチュエータ、40…制御手段
図面
【図1】
0
【図2】
1