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明細書 :環状ポルフィリン多量体及びその製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2014-172825 (P2014-172825A)
公開日 平成26年9月22日(2014.9.22)
発明の名称または考案の名称 環状ポルフィリン多量体及びその製造方法
国際特許分類 C07D 487/22        (2006.01)
FI C07D 487/22 CSP
請求項の数または発明の数 3
出願形態 OL
全頁数 31
出願番号 特願2013-044561 (P2013-044561)
出願日 平成25年3月6日(2013.3.6)
発明者または考案者 【氏名】佐竹 彰治
出願人 【識別番号】803000115
【氏名又は名称】学校法人東京理科大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100106002、【弁理士】、【氏名又は名称】正林 真之
審査請求 未請求
テーマコード 4C050
Fターム 4C050PA06
4C050PA07
要約 【課題】新しい環状ポルフィリン多量体及びその製造方法を提供する。
【解決手段】次式(2)
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[式中、R1はそれぞれ独立に、水素原子、有機基、シアノ基、アミノ基、ヒドロキシ基、スルファニル基、スルホ基、及びハロゲン原子からなる群から選択されるいずれかの基を示し、環Aはそれぞれ独立に、置換基を有してもよい5乃至6員環の複素芳香環を示し、Yはそれぞれ独立にハロゲン原子を示し、M1は2水素原子、金属イオン又は配位子を有する金属イオンを示す]で示される化合物をカップリング反応して得られる環状ポルフィリン多量体。
【選択図】なし
特許請求の範囲 【請求項1】
式(1)で表される化合物又はその金属錯体。
【化1】
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(式中、Rはそれぞれ独立に、水素原子、有機基、シアノ基、アミノ基、ヒドロキシ基、スルファニル基、スルホ基、及びハロゲン原子からなる群から選択されるいずれかの基を示し、環Aはそれぞれ独立に、置換基を有してもよい5乃至6員環の複素芳香環を示し、nは0~3の整数を示す。)
【請求項2】
前記式(1)において、前記環Aがすべて同一の複素芳香環である請求項1記載の化合物又はその金属錯体。
【請求項3】
低原子価の金属錯体及びキレート剤の存在下、式(2)で表される化合物をカップリング反応させる工程を含む式(1)で表される化合物又はその金属錯体の製造方法。
【化2】
JP2014172825A_000040t.gif
(式中、Rはそれぞれ独立に、水素原子、有機基、シアノ基、アミノ基、ヒドロキシ基、スルファニル基、スルホ基、及びハロゲン原子からなる群から選択されるいずれかの基を示し、環Aはそれぞれ独立、置換基を有してもよい5乃至6員環の複素芳香環を示し、nは0~3の整数を示す。)
【化3】
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(式中、Rはそれぞれ独立に、水素原子、有機基、シアノ基、アミノ基、ヒドロキシ基、スルファニル基、スルホ基、及びハロゲン原子からなる群から選択されるいずれかの基を示し、環Aはそれぞれ独立に、置換基を有してもよい5乃至6員環の複素芳香環を示し、Yはそれぞれ独立にハロゲン原子を示し、Mは2水素原子、金属イオン又は配位子を有する金属イオンを示す。)
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、環状ポルフィリン多量体及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポルフィリン及びその誘導体は光捕集、光エネルギー移動、光誘起電子移動、触媒作用等多彩な機能を示すため、人工光合成への応用研究等が盛んに行われている。
例えば、効率よく光エネルギーを捕集し、伝達する素子を狙って、ポルフィリンにイミダゾリル基と、二重結合部位を有する基とを導入した化合物が提案されている(特許文献1を参照)。このポルフィリン化合物の金属錯体においては、イミダゾリル基と中心金属との間に分子間配位結合が形成され、更に二重結合部位を有する基同士の閉環メタセシス反応により共有結合が形成され、溶媒の極性等周囲の環境に依存しない、安定なポルフィリン多量体を形成している。
また、高い光捕集能と電荷分離能を併せ持つ化合物として、亜鉛ポルフィリンデンドリマーを用い、ピリジルナフタレンジイミドとの間で配位結合を形成させた超分子錯体が提案されている(特許文献2を参照)。
あるいは、バクテリアの光合成に用いられる車輪型のポルフィリン化合物を模倣して、4つのポルフィリン環が環状に結合した環状ポルフィリン多量体が合成されている(非特許文献1を参照)。この化合物は樽様の構造をとり、内側にC60を捕捉することができる。
【先行技術文献】
【0003】

【特許文献1】特開2004-137273号公報
【特許文献2】特開2005-255810号公報
【0004】

【非特許文献1】Jianxin Song et al.,Journal of American Chemical Society,2010,132,16356.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このように、光エネルギーを効率的よく捕集し、種々の機能を発現させるために、様々なポルフィリン化合物が提案されている。
【0006】
本発明は、新しい環状ポルフィリン多量体及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、ポルフィリンとジヘテロアリーレン基からなる連結基とを交互に有する環状ポルフィリン多量体及びその製造方法を見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は以下の通りである。
【0008】
(1)式(1)で表される化合物又はその金属錯体。
【化1】
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(式中、Rはそれぞれ独立に、水素原子、有機基、シアノ基、アミノ基、ヒドロキシ基、スルファニル基、スルホ基、及びハロゲン原子からなる群から選択されるいずれかの基を示し、環Aはそれぞれ独立に、置換基を有してもよい5乃至6員環の複素芳香環を示し、nは0~3の整数を示す。)
【0009】
(2)上記式(1)において、上記環Aがすべて同一の複素芳香環である(1)記載の化合物又はその金属錯体。
【0010】
(3)低原子価の金属錯体及びキレート剤の存在下、式(2)で表される化合物をカップリング反応させる工程を含む式(1)で表される化合物又はその金属錯体の製造方法。
【化2】
JP2014172825A_000003t.gif
(式中、Rはそれぞれ独立に、水素原子、有機基、シアノ基、アミノ基、ヒドロキシ基、スルファニル基、スルホ基、及びハロゲン原子からなる群から選択されるいずれかの基を示し、環Aはそれぞれ独立に、置換基を有してもよい5乃至6員環の複素芳香環を示し、nは0~3の整数を示す。)
【化3】
JP2014172825A_000004t.gif
(式中、Rはそれぞれ独立に、水素原子、有機基、シアノ基、アミノ基、ヒドロキシ基、スルファニル基、スルホ基、及びハロゲン原子からなる群から選択されるいずれかの基を示し、環Aはそれぞれ独立に、置換基を有してもよい5乃至6員環の複素芳香環を示し、Yはそれぞれ独立にハロゲン原子を示し、Mは2水素原子、金属イオン又は配位子を有する金属イオンを示す。)
なお、本発明において低原子価の金属錯体とは、金属が最高酸化数をとっていない錯体を意味する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ポルフィリンとジヘテロアリーレン基からなる連結基とを交互に有する環状ポルフィリン多量体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】合成例3及び4で製造された環状ポルフィリン三量体金属錯体のUV-visスペクトルを示す図である。
【図2】合成例3及び4で製造された環状ポルフィリン三量体金属錯体の蛍光スペクトルを示す図である。
【図3】比較合成例1で製造された鎖状ポルフィリン三量体金属錯体のUV-visスペクトルを示す図である。
【図4】比較合成例1で製造された鎖状ポルフィリン三量体金属錯体の蛍光スペクトルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<環状ポルフィリン多量体>
本発明に係る環状ポルフィリン多量体は、下記式(1)で表される化合物又はその金属錯体である。具体的には下記式(1)で表される化合物、又は(1)の金属錯体である(3)~(5)で表される化合物が挙げられる。

【0014】
【化4】
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【化5】
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【化6】
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【化7】
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【0015】
上記式中、Rはそれぞれ独立に、水素原子、有機基、シアノ基、アミノ基、ヒドロキシ基、スルファニル基、スルホ基、及びハロゲン原子からなる群から選択されるいずれかの基を示し、環Aはそれぞれ独立に、置換基を有してもよい5乃至6員環の複素芳香環を示し、nは0~3の整数を示す。また、Mは2水素原子、金属イオン又は配位子を有する金属イオンを示し、Mは金属イオン又は配位子を有する金属イオンを示す。

【0016】
の有機基としては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基、アルコキシアルキル基、アルコキシアルケニル基、アルコキシアルキニル基、アリールアルキル基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、ヘテロアリールアルキル基、ヘテロアリールアルケニル基、ヘテロアリールアルキニル基、アルキルアリール基、アルキルヘテロアリール基、アルコキシアリール基、アルコキシヘテロアリール基、カルボキシ基、カルボキシアルキル基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシル基、カルバモイル基、アルキルアミノ基、アルキルスルファニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基等が挙げられる。この有機基は、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、ヘテロアリール基、アシル基、ハロゲン原子等によって任意に置換されていてもよい。

【0017】
は上記の基のうち、特に、水素原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアリール基が好ましい。アルキル基としては、炭素数1~18のアルキル基がより好ましく、炭素数2~9のアルキル基が特に好ましい。アルキル基は、直鎖であっても分岐であっても環状であってもよい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。アリール基としては、炭素数6~20の単環式又は多環式芳香族炭化水素基がより好ましく、炭素数6~12の単環式又は多環式芳香族炭化水素基が特に好ましい。具体的には、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、トリル基、ジメチルフェニル基、メシチル基、エチルフェニル基等が挙げられる。

【0018】
環Aの5乃至6員環の複素芳香環は、1以上の窒素原子を含むものであり、他に環上に酸素原子又は硫黄原子を含んでいてもよい。具体的には、環Aとして、ピリジン、ピリミジン、トリアジン、オキサゾール、チアゾール、イミダゾール等が挙げられる。

【0019】
環Aが有していてもよい置換基としては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基、アルコキシアルキル基、アルコキシアルケニル基、アルコキシアルキニル基、アリールアルキル基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、ヘテロアリールアルキル基、ヘテロアリールアルケニル基、ヘテロアリールアルキニル基、アルキルアリール基、アルキルヘテロアリール基、アルコキシアリール基、アルコキシヘテロアリール基、カルボキシ基、カルボキシアルキル基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシル基、カルバモイル基、アルキルアミノ基、アルキルスルファニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、ホスファニル基、ホスホリル基、ホルフィニル基等が挙げられる。これらの置換基は、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、ヘテロアリール基、アシル基、ハロゲン原子等によって更に任意に置換されていてもよい。

【0020】
これらの中でも、環Aが有していてもよい置換基としては、アルキル基、-COOR、-PO(ORが好ましい。ここで、Rは水素原子又はアルキル基を示す。Rのアルキル基としては炭素数1~18のアルキル基が好ましく、炭素数1~4のアルキル基がより好ましい。

【0021】
環Aが有していてもよい置換基の位置は、式(1)に記載されている環Aの窒素原子を1位としたときに、環Aが6員環であれば4位となる位置が好ましく、環Aが5員環であれば3位又は4位となる位置が好ましい。

【0022】
環Aは2個結合し、下記式で表されるジヘテロアリーレン基となってポルフィリンを連結する。

【0023】
【化8】
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【0024】
環Aはそれぞれ独立に上記の複素芳香環の構造をとることができるが、式(1)において、すべて同一であることが、合成上好ましい。特には、環Aは頭-頭結合し、対称体のジヘテロアリーレン基となることが好ましい。

【0025】
上記ジヘテロアリーレン基は、具体的には、ビピリジン、ビピリミジン、ビトリアジン、ビイミダゾール、ビオキサゾール、ビチアゾール等の2環構造を有することが好ましい。特に好ましいジヘテロアリーレン基としては、下記の基を挙げることができる。

【0026】
【化9】
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【0027】
式中、Xは環Aが有していてもよい置換基を示す。Xとしては、アルキル基、-COOR、又は-PO(ORであることが好ましい。ここで、Rは水素原子又はアルキル基を示す。Rのアルキル基としては、炭素数1~6のアルキル基が好ましく、炭素数1~4がより好ましい。
これらの中でも、環Aの炭素に置換しているXとしては、-COOH、-COORが特に好ましく、環Aの窒素に置換しているXとしては、アルキル基が特に好ましい。

【0028】
の金属イオン又は配位子を有する金属イオンとしては、通常ポルフィリンに配位する金属イオン又は配位子を有する金属イオンであれば特に限定されない。また、Mとしては、二座含窒素配位子と結合する金属イオン又は配位子を有する金属イオンであれば特に限定されない。具体的には、M及びMは、Zn(II)、Mg(II)、Ca(II)、Ru(CO)、SiCl、Si(OR、Ge(OR、Sn(OR、Sb(OR、Al(OR)、GaCl、P(ORCl、[P(OR、As(V)、Ti(O)、TiIV(O)、TiIVCl、TiIV、VIVO、CrIIICl、MnIII(OAc)、MnIIICl、MnIIIBr、MnIIII、Cu(II)、Ni(I)、Ni(II),Co(I)、Co(II)、Co(III)、Mn(II)、Mn(III)、Mn(IV)、Cr(III)、Fe(II)、Fe(III)、Mo(IV)、Mo(V)、Mo(V)、Mo(VI)、Rh(II)、Rh(III)、Pd(II)、Pd(IV)、Ag(II)、Cd(II)、InCl、Sn(II)、Sn(IV)、Sb(III)、Sb(V)、Os(II)、Os(III)、Os(IV)、Os(VI)、Ir(III)、Pt(II)、Pt(IV)、Au(I)、Au(II)、Hg(II)が好ましく、Zn(II)、Mg(II)、Ru(CO)、Sn(OR、Cu(II)、Ni(II)、Co(II)、Co(III)、Fe(II)、Fe(III)がより好ましい。上記式中、Rは、水素原子又はアルキル基を示す。Rのアルキル基としては炭素数1~6のアルキル基が好ましい。

【0029】
nは0~3の整数を示す。この中でも、nは0~2が好ましく、0が特に好ましい。nが0のとき、式(1)で表される化合物、及びその金属錯体である(3)~(5)で表される化合物は環状ポルフィリン三量体となり、ひずみの少ない安定な構造をとることができる。また、nが0の場合、式(1)、(3)~(5)で表される化合物はコンパクトな積層構造をとりやすく、これらの化合物が有する機能を効果的に高めることができる。

【0030】
上記環状ポルフィリン多量体は、従来ポルフィリンが有する触媒能や光捕集能を有することができるが、環状に配置されたポルフィリンが様々な方向から可視光を効率的に吸収できるため、高い光捕集アンテナ機能を発現することができる。また、ポルフィリンを連結する上記連結基は二座窒素配位子となって金属錯体を形成できるため、ポルフィリンと連結基部分の金属錯体との間で電子移動をさせることができる。更に、環Aが置換基として-COOR又は-PO(ORを有する場合には、酸化チタン等の酸化物表面に吸着しやすいため、酸化物に固定化したり、酸化物に電子注入を行ったりできる。特にnが0の環状ポルフィリン三量体は、金属錯体を分子内部に集積し、環Aの置換基-COOR又は-PO(ORの基を分子の外側に向けた構造をとることによって、電子を内側から外側へと一定方向へ輸送することができる。

【0031】
<製造方法>
本発明に係る式(1)で表される化合物又はその金属錯体は、式(6)及び(7)で表される化合物を出発原料にして、下記反応式にしたがって(I)~(IV)の工程により製造できる。
(I)ローゼムント型縮合反応による式(8)で表される化合物の製造
(II)金属配位による式(2)で表される化合物の製造
(III)環化縮合による式(3)で表される化合物の製造
(IV)式(3)で表される化合物から式(1)、(4)、(5)で表される化合物への変換

【0032】
【化10】
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【化11】
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【化12】
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【化13】
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【0033】
上記式中、Rはそれぞれ独立に、水素原子、有機基、シアノ基、アミノ基、ヒドロキシ基、スルファニル基、スルホ基、及びハロゲン原子からなる群から選択されるいずれかの基を示し、環Aはそれぞれ独立に、置換基を有してもよい5乃至6員環の複素芳香環を示し、Yはそれぞれ独立に、ハロゲン原子を示し、nは0~3の整数を示す。また、Mは2水素原子、金属イオン又は配位子を有する金属イオンを示し、Mは金属イオン又は配位子を有する金属イオンを示す。

【0034】
各工程について、以下に示す。
(I)ローゼムント型縮合反応による式(8)で表される化合物の製造
【化14】
JP2014172825A_000015t.gif

【0035】
式中、R、環A、Yは上記と同様である。
Yのハロゲン原子は、塩素原子、臭素原子が好ましい。
上記式(6)で表されるヘテロアリールアルデヒドと上記式(7)で表されるジピロール化合物とをローゼムント型縮合反応させることにより、上記式(8)で表されるポルフィリン化合物を製造できる。

【0036】
反応に用いられる上記式(6)で表されるヘテロアリールアルデヒドは、既知の方法により製造できる。例えば、下記式に示すように、含窒素複素環系化合物の窒素に隣接する炭素に結合したメチル基をジブロモメチル化した後、ジメトキシメチル基に変換し、更にホルミル基に変換する方法により製造できる(例えば、Tetrahedron、2008、64、688-695を参照)。

【0037】
【化15】
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【0038】
また、反応に用いられる上記式(7)で表されるジピロール化合物は、既知の方法により製造できる。例えば、下記式に示すように、RCHOで表されるアルデヒドと、アルデヒドに対して2当量以上のピロールとをトリフルオロ酢酸の存在下縮合させることにより製造できる(例えば、Tetrahedron、2001、57、4261-4269を参照)。

【0039】
【化16】
JP2014172825A_000017t.gif

【0040】
上記式(6)で表されるヘテロアリールアルデヒドと上記式(7)で表されるジピロール化合物との反応による上記式(8)で表されるポルフィリン化合物の製造においては、上記式(6)で表されるヘテロアリールアルデヒドのモル数と上記式(7)で表されるジピロール化合物のモル数との比を1:1とすることが好ましい。

【0041】
上記反応においては、第1に酸触媒を用いて反応を行い、次いで酸化剤を加え、最後に塩基で中和することにより、目的物の上記式(8)で表されるポルフィリン化合物を製造できる。

【0042】
上記酸触媒としては、トリフルオロ酢酸、メタンスルホン酸、プロピオン酸、トリフルオロボランジエチルエーテル等が挙げられる。酸触媒は、上記式(6)で表されるヘテロアリールアルデヒドに対し110~150モル%用いることが好ましい。

【0043】
上記酸化剤としては、クロラニル、2,3-ジクロロ-5,6-ジシアノ-p-ベンゾキノン、1,4-ベンゾキノン等が挙げられる。酸化剤は、上記式(6)で表されるヘテロアリールアルデヒドに対し150~200モル%用いることが好ましい。

【0044】
上記塩基としては、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン等が挙げられる。塩基は、上記式(6)で表されるヘテロアリールアルデヒドに対し200~300モル%用いることが好ましい。

【0045】
上記反応においては、溶媒を用いることが好ましい。溶媒としては、クロロホルム、ジクロロメタン、アセトニトリル、THF、ジオキサン等が挙げられる。

【0046】
また、上記反応は、不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。また、遮光下で行うことが好ましい。

【0047】
上記反応のうち、酸触媒を添加して行う反応は、20~28℃で、2~6時間撹拌することにより行うことが好ましい。

【0048】
次いで酸化剤と塩基を加えた後は、20~28℃で、5~24時間撹拌を行うことが好ましい。

【0049】
最後に反応混合物から溶媒を留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィ等の精製方法により精製して、目的物の上記式(8)で表されるポルフィリン化合物を製造することができる。

【0050】
(II)金属配位による式(2)で表される化合物の製造
【化17】
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【0051】
式中、R、環A、M、Yは上記と同様である。
上記式(8)で表されるポルフィリン化合物へ金属を配位させて上記式(2)で表される化合物を製造する。

【0052】
ポルフィリン化合物への金属の配位は、通常行われる方法で行えばよく、ポルフィリン化合物と配位させたい金属の金属塩とを溶媒中で撹拌すればよい。必要に応じて加熱を行うことも、不活性ガス雰囲気下にすることも、遮光下にすることもできる。

【0053】
混合する金属塩の量は、通常ポルフィリン化合物の重量の5~20倍で設定することができる。
反応後は、反応混合液を水で洗浄し、濃縮、乾燥して目的物である上記式(2)で表される化合物を製造することができる。

【0054】
(III)環化縮合による式(3)で表される化合物の製造

【0055】
【化18】
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【0056】
式中、R、環A、M、Y、nは上記と同様である。

【0057】
式(1)で表される化合物の金属錯体である式(3)で表される化合物を製造する方法は、低原子価の金属錯体及びキレート剤の存在下、式(2)で表される化合物をカップリング反応させることを特徴とする。

【0058】
上記の反応では、低原子価の金属錯体が還元剤として働き電子供与することによって、式(2)で表される化合物のカップリング反応が起こり、まず鎖状の縮合体が生じる。このとき、酸化されて高原子価となった金属は、配位子置換して環Aからなる連結基に配位しているところ、キレート剤が存在すると、当該金属がキレート剤に捕捉されて縮合体から脱離し、縮合体は環化しやすい配座構造へ変化すると考えられる。上記反応において、キレート剤を用いない場合は、環状の縮合体は得られず、鎖状の縮合体が得られる。

【0059】
本発明で用いられる低原子価の金属錯体としては、Fe、Co、Ni、Pd、Ru、Rh、Cu等の遷移金属錯体であって低原子価のものが好ましい。例えば、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウムジクロリド、ビス(トリ-o-トシルホスフィン)パラジウムジクロリド、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム、ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)パラジウムジクロリド、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウムジアセタート、[1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン]パラジウムジクロリド、[1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン]パラジウムジクロリド等のPd錯体、ビス(シクロオクタジエン)ニッケル等のNi錯体、ビス(2-メチルアリル)シクロオクタ-1,5-ジエンルテニウム、カルボニル(ジヒドロ)トリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム、トリルテニウムドデカカルボニル等のRu錯体、ヘキサロジウムヘキサデカカルボニル、ヒドリドテトラキス(トリフェニルホスフィン)ロジウム等のRh錯体を挙げることができる。これらの中でもPd錯体、Ni錯体が特に好ましい。

【0060】
反応においては、低原子価の金属錯体の他に、例えば金属亜鉛等の他の還元剤を添加してもよい。上記のように還元剤として作用した後に高原子価となった金属錯体を、他の還元剤によって還元すれば、再び低原子価の金属錯体として用いることができ、このとき金属錯体は触媒として機能することができる。

【0061】
なお、低原子価の金属錯体は、低原子価の金属錯体として反応系に添加してもよいし、[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ニッケルジクロリド、ビス(トリシクロヘキシルホスフィノ)ニッケルジクロリド、ビス(トリフェニルホスフィン)ニッケルジクロリド、[1,3-ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン]ニッケルジクロリド、[1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン]ニッケルジクロリド等の高原子価の金属錯体と共に他の還元剤を添加して、反応系内で生じさせてもよい。

【0062】
本発明で用いられるキレート剤は、金属を配位する多座配位子であれば特に限定されないが、2,2’-ビピリジン、2,2’-ビピリミジン、2,2’-ビイミダゾール、2,2’-ビキノリン、3,3’-ビイソキノリン、1,10-フェナントロリン、2-(2-イミダゾリル)ピリジン、3-(2-ピリジル)-1H-ピラゾール、及びこれらの化合物の炭素原子上に、アルキル基、アリール基、エステル基、アミド基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アルキルチオキシ基、アミノ基等が置換した誘導体が好ましく、2,2’-ビピリジン、2,2’-ビイミダゾール、1,10-フェナントロリンがより好ましい。

【0063】
カップリング反応には、溶媒を用いることが好ましい。溶媒としては、トルエン、キシレン、ベンゼン等の芳香族炭化水素類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタン、ジイソプロピルエーテル等のエーテル類、塩化メチル、クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン、ジブロモエタン等のハロゲン化炭化水素類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、ジメチルホルムアミド等のアミド類、アセトニトリル等のニトリル類、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。これらの溶媒は単独で用いても、二種以上適宜組み合わせて用いてもよい。これらの中でもジメチルホルムアミド、THFが特に好ましい。
カップリング反応は水分のない状態で行うことが好ましく、用いる溶媒を予め乾燥し、不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。

【0064】
また、反応温度は、0~200℃で行うことが好ましく、25~70℃で行うことがより好ましい。

【0065】
カップリング反応後は、反応混合物から溶媒抽出、洗浄、濃縮、乾燥等を行い、得られた粗生成物をゲル浸透クロマトグラフィ等の精製方法に付して、目的物である上記式(3)で表される化合物を分離する。

【0066】
(IV)式(3)で表される化合物から式(1)、(4)、(5)で表される化合物への変換
【化19】
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【0067】
式中、R、環A、M、M、nは上記と同様である。
上記(II)の工程と同様に、上記式(3)で表される化合物に、溶媒中金属塩を添加して撹拌すると、環Aに含まれる窒素原子に金属が配位した上記式(4)で表される化合物を製造することができる。
また、上記式(3)又は(4)で表される化合物を酸性溶液中で撹拌すると、配位した金属が脱離し、上記式(1)で表される化合物を製造することができる。金属を脱離させるために用いられる酸としては、通常金属錯体の脱金属に用いられる酸であれば特に限定されないが、塩酸、p-トルエンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、硫酸等を用いることができる。
このように、式(1)で表される化合物又はその金属錯体は、ポルフィリン及び連結基に配位させる金属をそれぞれ選択し、金属の配位と脱離とを適宜行うことにより製造することができる。
【実施例】
【0068】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
以下の実施例では、式(1)で表される化合物又はその金属錯体として、下記の化合物U1~U6を製造した。
【実施例】
【0069】
【化20】
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【化21】
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【化22】
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【化23】
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【実施例】
【0070】
[合成例1]
<環状ポルフィリン三量体(U1)の合成>
(1)2-クロロ-6-メチルピリジン-4-カルボン酸メチル(S2)の合成
【化24】
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【実施例】
【0071】
300mLナスフラスコに2-クロロ-6-メチルピリジン-4-カルボン酸(S1)1.0g(5.8mmol)を入れ、メタノール230mLに溶解させた後、濃硫酸0.6mL(11mmol)を加えて20.5時間還流した。室温まで冷却後、0Cで炭酸ナトリウム水溶液を加え、pHを6に調整した。反応液をエバポレーターで減圧濃縮すると白色固体が得られた。得られた固体に酢酸エチルを加えて溶解させ、炭酸ナトリウム水溶液でpH9に調整して目的物を抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、エバポレーターで溶媒を減圧留去し、真空乾燥して白色固体として2-クロロ-6-メチルピリジン-4-カルボン酸メチル(S2)を1.0g得た(収率93%)。物性値は以下の通りである。
【実施例】
【0072】
H NMR(300MHz、CDCl):δ(ppm)
7.70-7.69(m,1H),7.64-7.63(m,1H),3.96(s,3H),2.61(t,3H,J=0.6Hz).
【実施例】
【0073】
(2)2-クロロ-6-ジブロモメチルピリジン-4-カルボン酸メチル(S3)の合成の合成
【化25】
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【実施例】
【0074】
20mLナスフラスコに2-クロロ-6-メチルピリジン-4-カルボン酸メチル(S2)200mg(1.08mmol)を入れ、四塩化炭素4mLに溶解させた。N-ブロモスクシンイミド576mg(3.2mmol)、過酸化ベンゾイル(25%水添加物)279mg(0.863mmol)を順に加え、徐々に加熱して29.5時間還流した。室温に冷却後、水0.5mLを加えた後、四塩化炭素を減圧除去した。残渣にトルエンを加えてセライトろ過し、ろ液をエバポレーターで減圧濃縮後、真空乾燥した。得られた残渣にジエチルエーテルを加えてセライトろ過し、ろ液をエバポレーターで減圧濃縮後、真空乾燥して黄褐色オイル状物を得た。得られたオイル状物をクロロホルムに溶解させ、炭酸ナトリウム水溶液15mLを加え、抽出した。有機層をチオ硫酸ナトリウム水溶液で洗浄し、次いで飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒をエバポレーターで減圧留去後、真空乾燥して黄褐色オイル状物を得た。このオイル状物をシリカゲルクロマトグラフィ(ヘキサン:酢酸エチル=40:1)に付し、Rf=0.67(トルエン:酢酸エチル=11:1で展開)の溶出分を回収した。溶媒留去したところ、2-クロロ-6-ジブロモメチルピリジン-4-カルボン酸メチル(S3)204mgが無色オイル状物として得られた(収率55%)。物性値は以下の通りである。
【実施例】
【0075】
H NMR (300MHz、CDCl):δ(ppm)
8.28(d,1H,J=0.9Hz),7.84(d,1H,J=0.9Hz),6.61(s,1H),4.01(s,3H).
【実施例】
【0076】
(3)2-クロロ-6-ホルミルピリジン-4-カルボン酸メチル(S5)の合成
【化26】
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【実施例】
【0077】
35mLナスフラスコに2-クロロ-6-ジブロモメチルピリジン-4-カルボン酸メチル(S3)1.0g(2.9mmol)を入れ、メタノール16mLに溶解させた後、硝酸銀1.2g(7.1mmol)を加えて50時間還流した。室温に冷却後、飽和食塩水を白色沈殿が析出しなくなるまで加えた。沈殿をセライトろ過によって除去し、セライト層をメタノールで洗浄した。0℃下でろ液に炭酸ナトリウム水溶液を添加してpH7に調整後、エバポレーターで減圧濃縮した。得られた残渣に2M塩酸約40mLを加え、室温で5時間撹拌した。0℃下で反応液に炭酸ナトリウム水溶液を添加してpH9に調整し、クロロホルムで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、エバポレーターで溶媒を減圧留去し、空気中に1.5時間程度放置して白色固体を得た。得られた固体をフラッシュシリカカラムクロマトグラフィ(ヘキサン:酢酸エチル=9:1)で精製し、2-クロロ-6-ホルミルピリジン-4-カルボン酸メチル(S5)492mgを白色固体として得た(収率85%)。物性値は以下の通りである。
【実施例】
【0078】
H NMR(300MHz、CDCl):δ(ppm)
10.05(s,1H),8.39(d,1H,J=1.2Hz),8.13(d,1H,J=1.2Hz),4.02(s,3H).
【実施例】
【0079】
(4)5-エチルジピロロメタン(S8)の合成
【化27】
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【実施例】
【0080】
50mLナスフラスコをアルゴン置換した後、ピロール(S6)35.0mL(0.50mol)、プロピオンアルデヒド(S7)0.36mL(5.0mmol)を入れて3分間アルゴンでバブリングした。このフラスコに三塩化インジウム(III)四水和物122mg(0.552mmol)を加えた後、アルゴン雰囲気及び遮光下、室温で2.5時間撹拌すると溶液が茶褐色になった。この反応液に水酸化ナトリウム0.7g(18mmol)をペレットのまま加えて30分間撹拌した。固体をろ紙上でろ別し、少量のクロロホルムで元のフラスコ内と固体を洗浄した。ろ液を減圧濃縮して過剰のピロール20mLを除去した後、得られた残渣を真空乾燥して暗褐色オイル状物を得た。得られたオイル状物をフラッシュシリカカラムクロマトグラフィ(ヘキサン:酢酸エチル:クロロホルム=9:2:1)で精製して5-エチルジピロロメタン(S8)535mgを薄褐色結晶として得た(収率61%)。物性値は以下の通りである。
【実施例】
【0081】
H NMR(300MHz、CDCl):δ(ppm)
7.82(br,2H),6.65(td,2H,J=1.5,2.7Hz),6.15(dd,2H,J=2.8,5.9Hz),6.09-6.06(m,2H),3.89(t,1H,J=7.4Hz),1.98(quint,2H,J=7.4Hz),0.93(t,3H,J=7.4Hz).
【実施例】
【0082】
(5)5,15-ジエチル-10,20-ビス(2’-クロロ-4’-メトキシカルボニルメチル-6’-ピリジル)ポルフィリン(S9)の合成
【化28】
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【実施例】
【0083】
200mL三口フラスコに2-クロロ-6-ホルミルピリジン-4-カルボン酸メチル(S5)200mg(1.00mmol)と5-エチルジピロロメタン(S8)175mg(1.00mmol)とを入れてアルゴン置換した後、窒素バブリングしたクロロホルム95mLを加えて溶解させた。更にクロロホルム5mLに溶解させたトリフルオロ酢酸111μL(1.5mmol)を加え、アルゴン雰囲気及び遮光下、室温で4時間撹拌した。その後、p-クロラニル431mg(1.75mmol)を加えて室温で5分間撹拌した。次いで、0℃に冷却し、クロロホルム5mLに溶解させたトリエチルアミン280μL(2.01mmol)を加えて25分間撹拌し、その後、室温で更に12.5時間撹拌した。エバポレーターで反応混合物から溶媒を減圧留去し、真空乾燥して黒色固体を得た。得られた固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィ(クロロホルム)に付し、溶出液を濃縮して黒色粗生成物を得た。黒色粗生成物をクロロホルムに溶解させ、水酸化ナトリウム水溶液(pH11)、飽和食塩水、の順に洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。エバポレーターで溶媒を減圧留去し、真空乾燥して黒紫色固体を得た。得られた固体をフラッシュシリカカラムクロマトグラフィ(クロロホルム:酢酸エチル=50:1)で精製し、5,15-ジエチル-10,20-ビス(2’-クロロ-4’-メトキシカルボニルメチル-6’-ピリジル)ポルフィリン(S9)108mgを紫色固体として得た(収率31%)。物性値は以下の通りである。
【実施例】
【0084】
H NMR(300MHz、CDCl):δ(ppm)
9.50(d,4H,J=4.8Hz,β-pyrrole),8.82(d,4H,J=4.8Hz,β-pyrrole),8.68(d,2H,J=1.2Hz,pyridine),8.36(d,2H,J=1.2Hz,pyridine),5.02(q,4H,J=7.5Hz,CHCH),4.05(s,6H,OCH),2.12(t,6H,J=7.5Hz,CHCH),-2.76(s,2H,NH);
MALDI-TOF-MS(dithranol):m/z 704.19[M],calcd for C3830Cl 704.17;
UV-vis(max/nm(abs),CHCl):424.0(0.876),518.0(0.055),554.2(0.026),595.0(0.016),652.8(0.019).
【実施例】
【0085】
(6)5,15-ジエチル-10,20-ビス(2’-クロロ-4’-メトキシカルボニルメチル-6’-ピリジル)ポルフィリン亜鉛錯体(S10)の合成
【化29】
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【実施例】
【0086】
100mLナスフラスコに5,15-ジエチル-10,20-ビス(2’-クロロ-4’-メトキシカルボニルメチル-6’-ピリジル)ポルフィリン(S9)137mg(0.194mmol)を入れ、クロロホルム40mLに溶解させた後、飽和酢酸亜鉛メタノール溶液4.5mLを加えてアルゴン雰囲気及び遮光下、室温で2時間撹拌した。反応液を水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、エバポレーターで溶媒を減圧留去し、真空乾燥して、5,15-ジエチル-10,20-ビス(2’-クロロ-4’-メトキシカルボニルメチル-6’-ピリジル)ポルフィリン亜鉛錯体(S10)149mgを紫色固体として得た(収率100%)。物性値は以下の通りである。
【実施例】
【0087】
H NMR(300MHz、CDCl):δ(ppm)
9.55(d,4H,J=4.8Hz,β-pyrrole),8.88(d,4H,J=4.8Hz,β-pyrrole),8.72(d,2H,J=1.1Hz,pyridine),8.33(d,2H,J=1.1Hz,pyridine),5.06(q,4H,J=7.5Hz,CHCH),4.06(s,6H,OCH),2.15(t,6H,J=7.5Hz,CHCH);
MALDI-TOF-MS(dithranol):m/z [M] 766.09(モノアイソトピック),calcd for C3828ClZn 766.08(モノアイソトピック);
UV-vis(max/nm(abs),CHCl):430.2(0.876),558.2(0.056),612.4(0.029).
【実施例】
【0088】
(7)環状ポルフィリン三量体(U1)の合成
【化30】
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【実施例】
【0089】
50mLシュレンクフラスコに5,15-ジエチル-10,20-ビス(2’-クロロ-4’-メトキシカルボニルメチル-6’-ピリジル)ポルフィリン亜鉛錯体(S10)40.0mg(52.0μmol)と2,2’-ビピリジン113.2mg(725μmol)とを入れてアルゴン置換した後、直前にベンゾフェノンケチルで乾燥したテトラヒドロフラン24mLを加え、ビス(シクロオクタジエン)ニッケル99.7mg(362μmol)を加えて50℃で撹拌した。反応開始から41時間後に、ピリジン、クロロホルム、アンモニア水を加えて撹拌し、有機層を分離した。有機層をアンモニア水で洗浄後、セライトろ過し、ろ液を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。次に、エバポレーターで溶媒を減圧留去し、真空乾燥して得られた固体を、ゲルろ過クロマトグラフィー(ゲル:Biobeads S-X1、溶離液:ピリジン15%トルエン溶液(v/v))に付し、次いで分取用ゲル浸透クロマトグラフィ(GPC、カラム:TSK G2500HHR+G2000HHR,溶離液:ピリジン)で保持時間21.4分の流出分を回収し、環状ポルフィリン三量体(U1)として紫色固体3mgを得た(GPC分析による純度87%)。物性値は以下の通りである。
【実施例】
【0090】
H NMR(300MHz、CDCl):δ(ppm)
9.82(s,12H,β-pyrrole),9.20(s,6H,pyridine),9.07(s,12H,β-pyrrole),8.82(s,6H,pyridine),4.75(s,12H,CHCH),4.15(s,18H,OCH),1.86(s,18H,CHCH);
MALDI-TOF-MS(dithranol):m/z [M+H] 2089.4548(モノアイソトピック),calcd for C114841812Zn+H 2089.4463(モノアイソトピック);
UV-vis(max/nm(abs),CHCl):427.4(0.698),562.8(0.056),613.8(0.029);
GPC(Column:TSK G2500HHR 2本+G2000HHR 1本,溶離液:ピリジン1.2mL/min,検出波長:566nm):RT=21.4min.
【実施例】
【0091】
[合成例2]
<環状ポルフィリン三量体(U2)の合成>
【化31】
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【実施例】
【0092】
10mLナシフラスコに環状ポルフィリン三量体(U1)を1.1mg(0.5μmol)を入れ、テトラヒドロフラン1.5mLに溶解させた後、3M水酸化ナトリウム水溶液2.5mLを加えて室温で撹拌した。反応の追跡はMALDI-TOF-MSで行い、サンプリングした反応液に水とクロロホルムを加え、これにクエン酸を加えpHを2~3に調整して得た有機層を試料とした。撹拌開始から4時間後に、MALDI-TOF-MSにてエステル部位がカルボン酸に変化した環状ポルフィリン三量体(U2)となったことを確認した。撹拌を止めると上層(無色から微かな紫色を呈するテトラヒドロフラン層)と下層(青紫色を呈する水層)の二層に分離し、下層をUV-visスペクトル測定用のサンプル調製に用いた。物性値は以下の通りである。
【実施例】
【0093】
MALDI-TOF-MS(dithranol):m/z [M+H] 2005.3838(モノアイソトピック),calcd for C108721812Zn 2005.3524(モノアイソトピック);
UV-vis(max/nm(abs),リン酸緩衝液):423.8(0.732),563.0(0.074),613.2(0.037).
【実施例】
【0094】
[合成例3]
<環状ポルフィリン三量体(U3)の合成>
(1)2-[(1H-ピロール-2-イル)-(2,4,6-トリメチルフェニル)-メチル]-1-H-ピロール(S12)の合成
【化32】
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【実施例】
【0095】
アルゴン置換した50mL三口フラスコにピロール(S6)47.6mL(688mmol)と2,4,6-トリメチルベンズアルデヒド(S11)1mL(6.88mmol)とを入れて、15分間アルゴンバブリングを行った。そこへトリフルオロ酢酸53μL(0.688mmol)を加え、アルゴン雰囲気下、室温遮光条件で1時間撹拌を行った。その後氷浴下でトリエチルアミン0.15mL(1.08mmol)を加えクエンチした。反応液にクロロホルム50mLを入れ、蒸留水20mLで2回洗浄し、次いで有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した。有機層を減圧留去して緑色固体を得た。この固体をヘキサン50mLで洗浄し、黒褐色固体を得た。得られた固体をフラッシュシリカカラムクロマトグラフィ(ヘキサン:クロロホルム=2:1))に付し、Rf=0.55(ヘキサン:クロロホルム=5:1)の溶出分を回収した。濃縮後、真空乾燥して2-[(1H-ピロール-2-イル)-(2,4,6-トリメチルフェニル)-メチル]-1-H-ピロール(S12)763.7mgを淡黄色粉末として得た(収率42%)。物性値は以下の通りである。
【実施例】
【0096】
H NMR(300MHz、CDCl):δ(ppm)
7.93(br,2H,NH),6.87(s,2H,ph),6.67(s,2H,pyrrol),6.17(s,2H,pyrrol),6.01(s,2H,pyrrol),5.93(s,1H,CH),2.28(s,3H,CH),2.06(s,6H,CH).
【実施例】
【0097】
(2)5,15-ジ(2,4,6-トリメチルフェニル)-10,20-ビス(2’-クロロ-4’-メトキシカルボニルメチル-6’-ピリジル)ポルフィリン(S13)の合成
【化33】
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【実施例】
【0098】
アルゴン雰囲気下、100mL三口フラスコに2-クロロ-6-ホルミルピリジン-4-カルボン酸メチル(S5)100.9mg(0.505mmol)と2-[(1H-ピロール-2-イル)-(2,4,6-トリメチルフェニル)-メチル]-1-H-ピロール(S12)133.6mg(0.505mmol)とを入れ、窒素バブリングしたクロロホルム50.5mLを加えて溶解させた。更に、トリフルオロ酢酸56μL(0.757mmol)を加え、遮光下室温で4時間撹拌した。次いで、氷浴下でトリエチルアミン0.14mL(1.01mmol)を加えてクエンチを行った。その後室温に戻しp-クロラニル207.0mg(0.833mmol)を入れ、12時間撹拌した。反応液を減圧濃縮し、黒色固体が得られた。得られた個体をシリカカラムクロマトグラフィ(クロロホルム)に付し、Rf=0.35(クロロホルム)の溶出分を回収した。減圧濃縮、真空乾燥して、黒紫色固体を得た。ここに10mL程度のヘキサンを入れてソニケーションすると紫色固体が析出した。これをセライトろ過し、セライト上の固体をクロロホルムにより溶出し、減圧濃縮、真空乾燥して紫色固体を得た。最後にこの固体をフラッシュシリカゲルクロマトグラフィ(クロロホルム)に付し、Rf=0.35(クロロホルム)の溶出分を回収した。減圧濃縮、真空乾燥して、5,15-ジ(2,4,6-トリメチルフェニル)-10,20-ビス(2’-クロロ-4’-メトキシカルボニルメチル-6’-ピリジル)ポルフィリン(S13)40.2mgを紫色固体として得た(収率18%)。物性値は以下の通りである。
【実施例】
【0099】
H NMR(300MHz、CDCl)δ(ppm):
8.75(s,8H,β-pyrrole),8.70(d,2H,pyridine),8.32(d,2H,pyridine),7.29(s,4H,ph),4.04(s,6H,OCH),2.63(s,6H,CH),1.83(s,12H,CH),-2.68(s,2H,NH);
MALDI-TOF-Mass:m/z [M+H] 885.24(モノアイソトピック),calucd for C5242Cl 885.27(モノアイソトピック).
【実施例】
【0100】
(3)5,15-ジ(2,4,6-トリメチルフェニル)-10,20-ビス(2’-クロロ-4’-メトキシカルボニルメチル-6’-ピリジル)ポルフィリン亜鉛錯体(S14)の合成
【化34】
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【実施例】
【0101】
25mLナスフラスコに5,15-ジ(2,4,6-トリメチルフェニル)-10,20-ビス(2’-クロロ-4’-メトキシカルボニルメチル-6’-ピリジル)ポルフィリン(S13)40.2mg(0.047mmol)を入れ、クロロホルム6mLを加えて溶解させた。ここに酢酸亜鉛25.5mg(0.14mmol)のメタノール溶液3mLを加えて、アルゴン雰囲気及び遮光下、室温で撹拌を行った。2時間後UV-vis測定を行い、亜鉛錯体の生成を確認した。溶液を減圧濃縮後、クロロホルムを加え、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧濃縮、真空乾燥により5,15-ジ(2,4,6-トリメチルフェニル)-10,20-ビス(2’-クロロ-4’-メトキシカルボニルメチル-6’-ピリジル)ポルフィリン亜鉛錯体(S14)37.6mgを濃青色固体として得た(収率88%)。物性値は以下の通りである。
【実施例】
【0102】
H-NMR(300MHz、CDCl):δ(ppm)
8.81(q,8H,β-pyrrole),8.77(d,2H,pyridine),8.32(d,2H,pyridine),7.29(s,4H,ph),4.05(s,6H,OCH),2.64(s,6H,CH),1.80(s,12H,CH);
MALDI-TOF-Mass:m/z [M+H] 947.12(モノアイソトピック),calucd for C5240ClZnH 947.18(モノアイソトピック).
【実施例】
【0103】
(4)環状ポルフィリン三量体(U3)の合成
【化35】
JP2014172825A_000036t.gif
【実施例】
【0104】
20mLシュレンク管にアルゴン雰囲気下で、5,15-ジ(2,4,6-トリメチルフェニル)-10,20-ビス(2’-クロロ-4’-メトキシカルボニルメチル-6’-ピリジル)ポルフィリン亜鉛錯体(S14)30.0mg(0.032mmol)、2,2’-ビピリジン62.0mg(0.40mmol)、ビス(シクロオクタジエン)ニッケル107mg(0.40mmol)を入れ、蒸留した乾燥ジメチルホルムアミド88mLを加え、溶解させた。その後アルゴン雰囲気下、50℃で44時間撹拌した。反応液を放冷し、クロロホルムを加え、蒸留水、アンモニア水で洗浄した。有機層をセライトろ過し、メタノールで溶出させた後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧濃縮、真空乾燥により紫色固体を得た。これを分取用GPC(カラム:TSK G2500HR×2本,TSK G2000HR×1本,溶離液:ピリジン、1mL/min,検出波長:556nm)に付し、保持時間20.16分、21.12分、22.61分の流出分をそれぞれ分取した。保持時間22.61分の流出分を、ゲル濾過クロマトグラフィ(ゲル:Bio-beads S-X1、排除限界14,000、溶離液:クロロホルム)、フラッシュシリカゲルクロマトグラフィ(シリカゲル:粒子系40-50μm、溶離液:クロロホルム)に付して精製し、環状ポルフィリン三量体(U3)を1.7mg(収率5.7%)で単離した。また、保持時間21.12分及び20.16の流出分は、質量分析から、環状ポルフィリン四量体(U4)及び五量体(U5)であった。物性値は以下の通りである。
【実施例】
【0105】
保持時間22.61分流出分(U3)
H NMR(400MHz,CDCl),δ(ppm):
9.09(s,2H),8.87(s,2H),8.57(d,4H,β-pyrrole),8.40(d,4H,β-pyrrole),7.16(s,4H),4.11(s,6H),2.54(s,6H),1.72(s,6H);
MALDI-TOF-Mass:m/z [M+H] 2629.7294(モノアイソトピック),2635.72(平均),calucd for C1561211812Zn 2629.7286(モノアイソトピック),2635.72(平均).
【実施例】
【0106】
保持時間21.12分流出分(U4)
MALDI-TOF-Mass:m/z [M+Na] 3527.98(モノアイソトピック),calucd for C20816024NaO16Zn 3527.95(モノアイソトピック).
【実施例】
【0107】
保持時間20.16分流出分(U5)
MALDI-TOF-Mass:m/z [M+Na] 4414.19(平均),calucd for C26020030NaO20Zn 4414.19(平均).
【実施例】
【0108】
[合成例4]
<環状ポルフィリン(U6)の合成>
【化36】
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【実施例】
【0109】
環状ポルフィリン三量体(U3)の1.3mgをクロロホルム5mLに溶解させ、ここから10μLをとり、クロロホルム3mLの入った蛍光セル(420nm付近の吸収帯の最大吸収波長abs0.27)中に溶かし、0.189μMの溶液W1とした。ビス(トリフルオロメタンスルホン酸)銅(II)(Cu(OTf))0.5mgをエタノール溶液1mLに溶解し、1.382mMの溶液W2とした。溶液W1中に溶液W2を徐々に加え撹拌してUV-visスペクトルと蛍光スペクトルを測定した。蛍光スペクトルの励起波長は吸光度変化のほとんどない416nmとした。結果を図1及び図2に示す。図1及び図2において、(a)は上記溶液W1のスペクトルを、(b)は上記溶液W2を添加してCu(OTf)の濃度が6.4×10-6Mとなったときのスペクトルを、(c)はCu(OTf)の濃度が1.3×10-5Mとなったときのスペクトルをそれぞれ示す。
【実施例】
【0110】
図1には、UV-visスペクトルを示す。化合物U3では、420nm付近のソーレー帯の吸収スペクトルはシャープであり、化合物U3が対象性の高い剛直な構造をしていることがわかった。化合物U3中の連結基であるビピリジル部位に銅が配位して化合物U6に変化しても吸収スペクトルの形状は変わらず、5nmほど短波長シフトした。以上のことから、化合物U6と化合物U3とは、配座構造がほとんど変わらないことがわかった。
【実施例】
【0111】
図2には、蛍光スペクトルを示す。化合物U3に徐々に銅が配位するにしたがって、蛍光強度は減少し、錯形成が終了して化合物U6になると、蛍光強度は化合物U3の場合の1/400以下となり、ほぼ消失した。以上のことから、ポルフィリンに吸収されたエネルギーが、連結基のビピリジル部位に形成された金属錯体部へ、効率よく移動していることがわかった。
【実施例】
【0112】
[比較合成例1]
<鎖状ポルフィリン多量体の合成>
【化37】
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式中、Z,Zはそれぞれ独立に水素原子又は塩素原子を示す。
【実施例】
【0113】
20mLシュレンク管にアルゴン雰囲気下で、5,15-ジ(2,4,6-トリメチルフェニル)-10,20-ビス(2’-クロロ-4’-メトキシカルボニルメチル-6’-ピリジル)ポルフィリン亜鉛錯体(S14)5.1mg(0.00526mmol)、ビス(シクロオクタジエン)ニッケル17.9mg(0.0652mmol)を入れ、蒸留した乾燥ジメチルホルムアミド14.6mLを加え、溶解させた。その後アルゴン雰囲気下、50℃で22時間撹拌した。反応液を放冷し、クロロホルムを加え、蒸留水、アンモニア水で洗浄した。有機層をセライトろ過し、メタノールで溶出させた後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧濃縮、真空乾燥により紫色固体を得た。これを分取用GPC(カラム:TSK G2500HR×2本,TSK G2000HR×1本,溶離液:ピリジン、1mL/min,検出波長:556nm)に付し、保持時間19.28分、19.95分、20.84分の流出分をそれぞれ分取した。各流出分の質量分析からそれぞれは鎖状ポルフィリン五量体(m=4)、四量体(m=3)、三量体(m=2)と帰属できた。物性値は以下の通りである。
【実施例】
【0114】
保持時間20.84分流出分(鎖状ポルフィリン三量体)
MALDI-TOF-Mass:m/z [M+H] 2637.5(平均),calucd for C1561231812Zn 2637.5(平均).
【実施例】
【0115】
保持時間19.95分流出分(鎖状ポルフィリン四量体)
MALDI-TOF-Mass:m/z [M+H] 3516(平均),calucd for C2081632416Zn 3516(平均).
【実施例】
【0116】
保持時間19.28分流出分(鎖状ポルフィリン五量体)
MALDI-TOF-Mass:m/z [M+H] 4394(平均),calucd for C2602033020Zn 4396(平均)
【実施例】
【0117】
上記のうち保持時間20.84分流出分の鎖状ポルフィリン三量体をクロロホルムに溶解させ、420nm付近のUV-visスペクトル吸収強度が化合物U3の場合と同程度になるように濃度を調整した。この溶液を蛍光セルに入れ、1.382mMエタノール溶液を徐々に加え撹拌して、UV-visスペクトルと蛍光スペクトルを測定した。蛍光スペクトルの励起波長は420nmとした。結果を図3及び図4に示す。図3及び図4において、(a)は上記鎖状ポルフィリン三量体の溶液のスペクトルを、(b)は上記鎖状ポルフィリン三量体の溶液にCu(OTf)溶液を添加してCu(OTf)の濃度が5.5×10-6Mとなったときのスペクトルを、(c)はCu(OTf)の濃度が1.1×10-5Mとなったときのスペクトルをそれぞれ示す。
【実施例】
【0118】
図3にUV-visスペクトルを示す。鎖状ポルフィリン三量体では、420nm付近の吸収スペクトルは分裂しており、柔軟な構造をとっていることがわかった。ビピリジル部位に銅が徐々に配位するにしたがい、吸収スペクトルはシャープになっていき、配座構造が固定されていったことがわかった。
【実施例】
【0119】
図4に蛍光スペクトルを示す。鎖状ポルフィリン三量体では、ピリジル部位に徐々に銅が配位するにしたがって、蛍光強度は減少したが、錯形成が終了した状態での蛍光強度は、銅が配位する前の1/16程度であり、化合物U6に比べ、エネルギー移動の効率が低いことがわかった。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3