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明細書 :漏電検出装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5911065号 (P5911065)
公開番号 特開2013-257213 (P2013-257213A)
登録日 平成28年4月8日(2016.4.8)
発行日 平成28年4月27日(2016.4.27)
公開日 平成25年12月26日(2013.12.26)
発明の名称または考案の名称 漏電検出装置
国際特許分類 G01R  31/02        (2006.01)
G01R  15/20        (2006.01)
G01R  33/09        (2006.01)
H01H  83/02        (2006.01)
FI G01R 31/02
G01R 15/20 B
G01R 33/06 R
H01H 83/02 E
請求項の数または発明の数 15
全頁数 27
出願番号 特願2012-133312 (P2012-133312)
出願日 平成24年6月12日(2012.6.12)
審査請求日 平成27年6月11日(2015.6.11)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】506122327
【氏名又は名称】公立大学法人大阪市立大学
発明者または考案者 【氏名】辻本 浩章
個別代理人の代理人 【識別番号】230104019、【弁護士】、【氏名又は名称】大野 聖二
【識別番号】100109841、【弁理士】、【氏名又は名称】堅田 健史
【識別番号】100167933、【弁理士】、【氏名又は名称】松野 知紘
【識別番号】100174137、【弁理士】、【氏名又は名称】酒谷 誠一
審査官 【審査官】菅藤 政明
参考文献・文献 特開平11-281699(JP,A)
特開昭63-210781(JP,A)
特開2008-298753(JP,A)
特開平3-103710(JP,A)
調査した分野 G01R 31/02
G01R 15/20
G01R 33/09
H01H 83/02
特許請求の範囲 【請求項1】
電源と負荷を接続する一対の電源ラインに設置する漏電検出装置であって、
前記一対の電源ラインのそれぞれを保持する一対の保持手段と、
前記一対の保持手段同士を所定の間隔で固定する固定手段と、
前記それぞれの保持手段に前記電源ラインと平行に配置された一対の磁性素子と、
前記一対の磁性素子同士の磁気抵抗効果の差を検出する検出手段と
前記磁性素子に駆動電流を流す駆動手段と
を有することを特徴とする漏電検出装置。
【請求項2】
前記固定手段は、前記一対の保持手段の間隔を可変的に調整する間隔調整手段を有する請求項1に記載された漏電検出装置。
【請求項3】
前記それぞれの磁性素子は、前記一対の保持手段の中間に向かって所定角度傾斜することを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載された漏電検出装置。
【請求項4】
前記磁性素子には、磁化容易軸に対して傾斜した導体パターンが形成され、
前記一対の保持手段に対して、異なる傾斜方向を有することを特徴とした請求項1乃至3のいずれかの請求項に記載された漏電検出装置。
【請求項5】
前記駆動手段は、前記電源であることを特徴とした請求項1乃至4のいずれかの請求項に記載された漏電検出装置。
【請求項6】
前記磁性素子の少なくとも一方の磁性素子にはバイアス手段が設けられ、
前記一方の磁性素子の素子端子間電圧を検出する電力検知手段をさらに備えたことを特徴とした請求項5に記載された漏電検出装置。
【請求項7】
前記駆動手段は、前記電源および前記負荷が構成する回路から独立した電源であることを特徴とした請求項1乃至4のいずれかの請求項に記載された漏電検出装置。
【請求項8】
前記磁性素子の少なくとも一方の磁性素子は前記独立した電源で駆動され、前記一方の磁性素子の素子端子間電圧を検出する電流検出手段をさらに備えたことを特徴とした請求項7に記載された漏電検出装置。
【請求項9】
電源と負荷を接続する一対の電源ラインに設置する漏電検出装置であって、
前記一対の電源ラインの一方に対して他方を前記一方の電源ラインに流れる電流と同方向に電流が流れるように保持する一対の保持手段と、
前記一対の保持手段同士を所定の間隔で固定する固定手段と、
前記それぞれの保持手段の間に前記電源ラインと平行に配置された磁性素子と、
前記磁性素子の磁気抵抗効果の変化を検出する検出手段と
を有することを特徴とする漏電検出装置。
【請求項10】
前記駆動手段は、前記電源および前記負荷が構成する回路から独立した電源であることを特徴とした請求項9に記載された漏電検出装置。
【請求項11】
前記駆動手段は、前記電源であり、
前記検出手段には、無漏電時における前記磁性素子からの電圧値である無漏電電圧値を保持するメモリと、
前記無漏電電圧値と現在の前記磁性素子からの電圧値を比較する比較手段を有することを特徴とした請求項9または10のいずれかの請求項に記載された漏電検出装置。
【請求項12】
前記磁性素子は直列に接続されバイアス手段を有する少なくとも2つの磁性素子からなり、それぞれの前記磁性素子の電気抵抗の差を検出する検出手段と、
前記磁性素子に駆動電流を流す駆動手段とを有することを特徴とした請求項9乃至11のいずれかの請求項に記載された漏電検出装置。
【請求項13】
前記駆動手段は、前記電源および前記負荷とは独立した電源であることを特徴とした請求項12に記載された漏電検出装置。
【請求項14】
前記駆動手段は、前記電源であることを特徴とした請求項12に記載された漏電検出装置。
【請求項15】
前記磁性素子には、磁化容易軸に対して傾斜した導体パターンが形成され、
前記保持手段に対して、異なる傾斜方向を有することを特徴とした請求項12乃至14のいずれかの請求項に記載された漏電検出装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は漏電を検出する漏電検出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
漏電とは、電源から負荷へ連結された電線以外に電流が流れることである。実際には、電源から負荷に流れる電流と、負荷から電源に帰ってくる電流が異なることで検出される。従来の漏電検出装置では、電源から負荷に連通された2本の電線をリング状の磁性体の孔を通し、磁性体のインピーダンスの変化を検出する装置が提案されている(特許文献1)。
【0003】
図24には、この漏電検出装置100の概要を説明する。漏電検出装置100は、リング状の磁性体101と、磁性体101に貼り付けた磁気インピーダンス素子102と、インピーダンスの変化を検出する検出器103から構成される。リング状の磁性体101は、孔104の部分に電源115から負荷116に向かう一対の電線110、111(電線Aおよび電線Bとする)をともに通過させておく。
【0004】
磁気インピーダンス素子102は、磁界によって抵抗が変化する磁気抵抗素子を用いる。磁気抵抗素子は、リング状の磁性体101が生成する磁界中に配置される。例えば、リング状の磁性体101の一部を削除し、ギャップを形成し、そのギャップ内に配置するという構成が例示できる。もちろん、これ以外の方法であってもよい。
【0005】
検出器103は、磁気抵抗素子の抵抗の変化を検出できるものであればよく、抵抗変化を所定の周波数の信号に変換させたり、フィルタ回路および増幅回路によって波形整形を行った後、信号検出回路で出力し主力信号に変換する。
【0006】
この漏電検出装置100の動作を説明すると、漏電がなければ、電線A110に流れる電流と電線B111に流れる電流は同じ量であり、また方向が逆であるから、リング状の磁性体101中には磁束は発生しない。したがって、この時に磁気インピーダンス素子102の抵抗は変化しない。一方、もし漏電が発生していれば、電線A110に流れる電流値と電線B111に流れる電流値が異なるので、リング状の磁性体101中に磁束が発生する。
【0007】
この発生した磁束によって磁気インピーダンス素子102のインピーダンスが変化するので、検出器103によって、それが検出され、漏電の発生を検知する。
【先行技術文献】
【0008】

【特許文献1】特開平10-232259号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1の漏電検出装置は、簡便であり、またある程度の小型化も可能である。しかし、リング状の磁性体を使用するため、必然的にその小型化は制限される。また、電源からの電線Aおよび電線Bをリングの孔に通過させる必要があるので、電線が太くなった場合は、リング状の磁性体101自体が大きくなる。また、すでに配置されている電線に対してリング状の磁性体101を配置するのは、容易ではない。たとえば、クランプ型電流計のように、リング状磁性体の一部を開放できるようにし、開放部分から電線を孔の中に入れ、再びリング状磁性体が磁束の閉路を形成するように戻すといった手間が必要であった。
【0010】
また、小型化のために回路基板自体が集積化される中で、電源からの電源ラインパターンを2線共同時に磁性体で囲わないとならないので、後からの取付は極めて困難である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は上記のような課題に鑑み想到されたものであり、すでに配線された回路であっても、後から容易に設置しやすく、また、小型化も可能である漏電検出装置である。より具体的に本発明の漏電検出装置は、
電源と負荷を接続する一対の電源ラインに設置する漏電検出装置であって、
前記一対の電源ラインのそれぞれを保持する一対の保持手段と、
前記一対の保持手段同士を所定の間隔で固定する固定手段と、
前記それぞれの保持手段に前記電源ラインと平行に配置された一対の磁性素子と、
前記一対の磁性素子同士の磁気抵抗効果の差を検出する検出手段と
前記磁性素子に駆動電流を流す駆動手段と
を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明による漏電検出装置は、非接触(原理)、設置が容易(超小型、薄型)、省エネ(計測時のエネルギー消費小)、といった磁気抵抗素子のメリットを生かし、すでに配線されている回路であっても、容易に取り付けが可能である。また、電線Aおよび電線Bに対する磁気抵抗素子の配置位置を固定することで、隣接する電線からの磁界の影響を十分に小さく抑えることができ、安定した漏電検出を行うことができる。また、磁気抵抗素子にバイアス手段を設けることで、電力測定や電流測定も可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係る漏電検出装置の構成を示す図である。
【図2】磁性素子の拡大図である。
【図3】磁性素子の動作を説明する図である。
【図4】ストライプ形状の導体パターンを施した磁性素子(バーバーポール型)を示す図である。
【図5】磁性素子で電力計測を行う場合の原理を説明する図である。
【図6】本発明に係る漏電検出装置の電源ラインに直角な面での断面図を示す図である。
【図7】本発明に係る漏電検出装置の結線を表す図である(電源独立の場合)。
【図8】本発明に係る漏電検出装置の結線を表す図である(電源寄生の場合)。
【図9】本発明に係る電力計測と電流計測が行える漏電検出装置の結線を表す図である。
【図10】本発明に係る漏電検出装置であって、隣接電線からの磁界の影響を低減できる構成を示す図である。
【図11】図1の漏電検出装置の電源ラインに直角な面での断面図を示す図である。
【図12】図10の漏電検出装置の電源ラインに直角な面での断面図を示す図である。
【図13】本発明に係る磁性素子の配置が1か所となる漏電検出装置の構成を示す図である。
【図14】図13の漏電検出装置の結線図を示す図である。
【図15】図13の漏電検出装置で磁性素子にバイアス手段が付加されている場合の結線を示す図である。
【図16】図13の漏電検出装置で素子端子の一方を接地させる場合の結線を示す図である。
【図17】図16の漏電検出装置で磁性素子にバイアス手段が付加されている場合の結線を示す図である。
【図18】図13の漏電検出装置であって、駆動手段を被検出回路から得る場合の結線を示す図である(電源寄生の場合)。
【図19】図18の漏電検出装置であって、磁性素子にバイアス手段が付加されている場合の結線を示す図である。
【図20】図18の漏電検出装置であって、磁性素子の一端を接地した場合の結線を示す図である。
【図21】図20の漏電検出装置であって、磁性素子にバイアス手段が付加されている場合の結線を示す図である。
【図22】図13の漏電検出装置であって、バイアス手段を付加された磁性素子が直線的に配置されている場合の結線を示す図である。
【図23】図22の漏電検出装置であって、駆動手段を被検出回路から得る場合の結線を示す図である(電源寄生の場合)。
【図24】従来の漏電検出装置の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下本発明に係る漏電検出装置について図を参照しながら説明する。なお、以下の説明は本発明の一実施形態を例示するのであり、以下の実施形態に限定されるものではない。本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、以下の実施形態は変更することができる。

【0015】
(実施の形態1)
図1は本実施の形態に係る漏電検出装置1の外観を示した図である。図1(a)には、電線を保持する部分の外観図を示す。また図1(b)には、被検出回路との連結関係を示す構成図を示す。図1(b)を参照して、被検出回路90は、電源91と負荷92と、電源91と負荷92を接続する電源ライン93を含む。電源ライン93は電線A93aと電線B93bからなる。

【0016】
本発明の漏電検出装置1は、一対の電源ライン93のそれぞれを保持する一対の保持手段11と、保持手段11の間の間隔を固定する固定手段12と、保持手段11に埋設された磁性素子14および磁性素子14の磁気抵抗効果の差を検出する検出手段20を含む。磁性素子14と検出手段20の詳細な接続関係は後述する。

【0017】
図1(a)は、保持手段11と固定手段12と磁性素子14の部分を示し、検出手段20は省略した。

【0018】
電源ライン93とは、電源91から負荷92に電力を供給する一対の電線(電線A93a、および電線B93b)である。また電源91は交流若しくは直流のどちらでもよい。また、負荷92は複素要素を持たないインピーダンスでもよいし、複素要素を有するリアクタンス(キャパシタンスおよびインダクタンスを含む)であってもよい。

【0019】
図1(a)を参照して、保持手段11は、電源ライン93の個々の電線(電線A93a、および電線B93b)を所定長に渡って直線状に固定する。したがって保持手段11も一対(11a、11b)存在する。形状は特に限定されるものではないが、図1では断面の一部が欠けた円筒状の保持部材を示した。この保持手段11は図1(b)のように電源ライン93の一部を所定長さ(L)直線状に固定する。

【0020】
保持手段11の下部には、板状の嵌入部13が形成される。嵌入部13には、固定される電線(A93a、B93b)と平行に、磁性素子14(A14a、B14b)が配設される。したがって、保持手段11で電線(A93a、B93b)を保持すると、電線(A93a、B93b)の長さ方向に対して平行に磁性素子14が配置されることになる。

【0021】
固定手段12は、保持手段11同士の間隔を所定長に固定する。1つの例示として、固定手段12は、板状部材12aにレール状の溝12bを形成したものとすることができる。その溝12bに、保持手段11の下面に設けられた嵌入部13を、溝12bに沿って移動可能に嵌合することで、保持手段11間の距離を可変にできる。もちろん、保持手段11間が所望の距離になった際には、溝12bに対して保持手段11を固定できるようにしておく。

【0022】
これは例えば、ネジなどで嵌入部13と固定手段12を締結してもよい。このように保持手段11の間隔を調整する部分は間隔調整手段と呼ぶ。本実施の形態で、間隔調整手段は、溝12bと嵌入部13、ネジ等で構成されるが、これ以外の方法であってもよい。

【0023】
ここで、本発明に使用する磁性素子14について簡単に説明する。図2を参照して、磁性素子14は、基板141上に磁性膜142を形成し、その両端に素子端子(電極)143、144が形成されている。形状は短冊状で、素子端子143、144が形成された方向を長手方向と呼ぶ。磁性膜142は好ましくは長手方向に磁化容易軸EAが誘導されているのが好ましい。

【0024】
この磁性素子14に、検出器電源21から電流Iを流す。電流Iは磁性膜142中を長手方向に流れる。この時、長手方向に直角な方向から磁界Hが印加されると、磁性膜142の電気抵抗が変化する。これを磁気抵抗効果と呼ぶ。磁気抵抗効果は、磁性膜142中を流れる電流Iと磁性膜142中の磁化の方向が変化することで生じると考えられる。

【0025】
図3(a)には、図2の磁性素子14の平面図を示し、図3(b)には、磁性素子14に印加される外部磁界Hと磁性膜142の抵抗値Rmrの関係を示す。横軸は磁性膜142に印加される外部磁界Hで、縦軸は磁性膜142の抵抗値(Ω)である。磁気抵抗効果は、電流Iと磁化Mの方向がずれることで生じると考えられるので、印加される外部磁界Hに対して、磁性膜の抵抗値は偶関数の特性を有する。

【0026】
しかし、外部磁界Hがゼロの状態から外部磁界Hを印加すると、外部磁界Hの方向を抵抗値の変化として識別できない。そこで、長手方向に対して直角方向にバイアス磁界MFをかける。このバイアス磁界MFによって動作点が移動し、外部磁界Hの方向によって、抵抗値Rmrが増減する。図3(b)では、動作点の抵抗値Rmの時に、外部磁界Hが印加され、その結果+ΔRmrの抵抗変化が生じたことを示している。なお、符号MRCは、磁気抵抗効果を示す曲線である。

【0027】
このバイアス磁界MFは、永久磁石149によって容易に付与することができる。もちろん、電磁石であってもよい。このように磁性素子14に対してバイアス磁界MFを付与するものをバイアス手段145と呼ぶ。このバイアス手段145は直接磁界を発生するものでなくてもよい。

【0028】
図4には、磁性膜142上に良導電物質で形成した導体148を帯状のストライプ構造に形成したものを示す。ストライプ構造とは、導体148を帯状にし、且つ磁性膜142の長手方向に対して傾斜して形成した構造をいう。このような構造では、導体148間は、帯状の導体148に対して直角方向に電流Iが流れる。そして、磁性膜142には磁化容易軸EAを磁性素子14の長手方向に誘導しておく。すると、外部磁界Hがゼロの状態でも磁化Mと電流Iの方向が異なる。すなわち、磁気抵抗効果に関する限り、バイアス磁界が印加されたと同じ状況を得ることができる。

【0029】
このような構造の磁性素子14に紙面上から下方向に外部磁界H(白矢印H)が印加されたとする。外部磁界Hがない状態の磁化M(黒色矢印)は電流Iと違う角度を向いていたが、外部磁界Hによって電流Iと同じ方向に回転する。これは図3(b)に示すように抵抗値が変化する。

【0030】
本明細書では、このように、実際に磁界を発生してなくても、実質的にバイアス磁界が印加されたと同じ効果を示すものをバイアス手段145に含める。図4のような構造の磁性素子14をバーバーポール型と呼ぶ。また、他の例として、磁性膜142の磁化容易軸EAを長手方向から傾けて誘導しておいてもよい。この場合も予め電流が流れる方向(長手方向)と磁化の向きが傾いているからである。

【0031】
図5には、バーバーポール型の磁性素子14を用いた電力測定器の原理を示す。磁性素子14と計測抵抗22を直列にし、被計測回路99の電源91に連結されている負荷92と並列にこれを連結する。そして、磁性素子14は、電源91と負荷92の間を接続している電線A93aに平行に隣接配置させる。ここで計測抵抗22は、磁性素子14の抵抗値Rmrに対して十分に大きいとしておく。また、電線A93aの抵抗は十分に小さい。

【0032】
まず、電源91が直流の場合、電線A93a、電線B93bに流れる電流をIとすると、磁性素子14に印加される外部磁界Hは、比例定数をαとして、(1)式のように表される。
H=αI・・・・(1)

【0033】
図3(b)にも示すように、磁性素子14の電気抵抗の変化ΔRmrは、外部からの印加磁界Hに比例するので、比例定数をβとし、(1)式を考慮すると、(2)式のように表される。
ΔRmr=βH=β(αI)・・・・(2)

【0034】
磁性膜142に外部磁界Hが印加されていない時(動作点)の電気抵抗をRm0とすると、外部磁界Hが印加された時の磁性素子14全体の電気抵抗Rは、(3)式のように表される。
=Rm0+ΔRmr=Rm0+αβI・・・・(3)

【0035】
つまり、電流Iが流れる電線A93aに近接配置された磁性膜142は、(3)式のような電気抵抗特性を有する。この磁性素子14の素子端子143、144間に電流Iが流れると、素子端子143、144間の電圧Vmrは(4)式のように表される。
mr=R=(Rm0+ΔR)I=(Rm0+αβI)I・・・・(4)

【0036】
次に電源91を直流としているので電圧VinをVとすれば、(5)式のように表される。そして、電線A93a、電線B93bの抵抗は十分に小さく、また、磁性素子14の電気抵抗Rも計測抵抗22(値はR)よりも十分小さいとする。負荷92の抵抗をRとすると、電線A93aを流れる電流Iと、磁性素子14を流れる電流Iは、それぞれ(6)式、(7)式のようになる。

【0037】
そこで、磁性素子14の素子端子143、144間の電圧Vmrは(8)式のように表される。なお(8)式の式変形の途中でRm0<<Rの関係を使った。またKは比例定数である。すなわち、磁性素子14の素子端子143、144間には負荷92で消費される電力Iに比例した電圧を得ることができる。

【0038】
【数1】
JP0005911065B2_000002t.gif

【0039】
このような関係は、電源91が交流であっても成立する。電源91が交流で、負荷92がリアクタンスの場合について次に説明する。(1)式から(4)式の関係は上記の説明通りである。電源91が交流になるので、電圧Vinは、振幅V、角周波数ωとすると、(9)式のように表される。また、被計測回路99で負荷92がリアクタンスなので、負荷92を流れる電流Iは、電源91電圧Vinとは位相のズレが生じる。この位相のズレをθとする。一方、磁性素子14は、通常の抵抗なので電源91電圧Vinと同位相である。したがって、電流IおよびIは、(10)式、(11)式のように表される。

【0040】
そこで、(4)式に(10)式および(11)式を代入すると(12)式のように変形される。

【0041】
【数2】
JP0005911065B2_000003t.gif

【0042】
(12)式を見ると、最終項は、負荷92で消費する有効電力が直流成分として表れているのがわかる。すなわち、素子端子143、144間の出力をローパスフィルタを通過させて得た直流電圧は、負荷92で消費する有効電力に比例した電圧である。以上のように磁性素子14を使って、電源ライン93に流れる電流だけでなく、接続の方法によって電源91に接続している負荷92での消費電力も計測することができる。

【0043】
さて、以上の準備の下で、図1の漏電検出装置1の説明を続ける。図6には、電源ライン93の電線A93a、B93bに沿って磁性素子14を配置した際の断面の模式図を示す。左側を電線A93aとし、右側を電線B93bとする。電線A93aに配置した磁性素子14を磁性素子A14aとし、電線B93bに配置した磁性素子14を磁性素子B14bとする。電源ライン93は、電源91と負荷92(共に図1参照)をつなぐ電線であるので、電流は必ず左右で逆方向である。そこで、左側の電線A93aは紙面に向かって裏から表に電流が流れることとし、右側の電線B93bは手前から紙面の裏側に電流が流れるとする。

【0044】
この時、電線の周囲には、磁界が発生する。電線A93aの磁界は、紙面に向かって左回り(点線)であり、電線B93bの磁界は紙面に向かって右回り(二点鎖線)である。すると、磁性素子A14aには、紙面に向かって左から右へ磁界Haが印加され、磁性素子B14bには、紙面に向かって右から左へ磁界Hbが印加される。これは、磁性素子14の磁性膜142の面内方向であって、磁性素子14の長手方向に直角な方向に、磁性膜142の外部から磁界が印加されることを意味する。

【0045】
なお、ここで、2つの磁性素子A14a、B14bは、同じ磁界が印加された際には、同じ磁気抵抗効果を有するように、作製しておくものとする。同じ磁気抵抗効果を有する磁性素子14は、磁性膜142の厚さ、長さ、幅といった寸法と、磁性膜142の組成、および製造条件を一致させることで、作製することができる。

【0046】
また、この時磁性素子14に印加される磁界の強さは電線A93a、B93bから磁性素子A14a、B14bまでの距離の2乗に反比例する。したがって、電線A93a、B93bからの距離が等しい位置に配置し、漏電が発生していなければ、2つの磁性素子A14a、B14bは、同じ抵抗値を示す。両電線A93a、B93bに流れる電流は同じであるからである。

【0047】
一方、電源91と負荷92とで形成される回路(被検出回路90)において、漏電が発生している場合は、電源91から負荷92に向かう電線A93aと負荷92から電源91に戻ってくる電線B93bに流れる電流が異なる。具体的には図6で、電線A93aに流れる電流と電線B93bに流れる電流とが同じにならないため、磁性素子A14aの抵抗値と磁性素子B14bの抵抗値は異なることとなる。

【0048】
したがって、漏電検出装置として、磁性素子A14aの抵抗値と磁性素子B14bの抵抗値の差分を出力するように回路を構成しておけば、磁性素子A14aおよびB14bの抵抗値の差分がゼロであれば、漏電は発生しておらず、所定の値以上の差分値を検出した際は、漏電が発生していると判断することができる。

【0049】
なお、磁性素子A14aと磁性素子B14bの配置は、それぞれが隣接配置される電線A93aと電線B93bからの距離が等しければ限定はされない。図6では、磁性素子A14aと磁性素子B14bは同一平面内に位置するように配置されている。

【0050】
図7には、本実施の形態に係る漏電検出装置1を電源91および負荷92で構成する被検出回路90に設置した結線図を示す。電源91は交流若しくは直流のどちらでもよい。また負荷92も複素要素を持たないインピーダンス若しくは複素要素を有するリアクタンスのどちらでもよい。電源91からの電源ライン93は2本あり、電線A93aおよび電線B93bとする。これらの電線A93a、B93bは、一部を図1の保持手段11で保持される。

【0051】
保持位置は、できるだけ電源91に近い部分で保持するのが望ましい。電源91が交流の場合は、電線A93a、B93bのどの位置でも漏電を検出することができるが、直流の場合は、検出位置よりも電源91に近い部分で漏電が発生していた場合は、検出できないおそれがあるからである。

【0052】
図7では、保持手段11で保持した部分を点線で囲んで示した。この部分では、電線A93aおよび磁性素子A14aが隣接し、電線B93bと磁性素子B14bが隣接している。磁性素子A14aおよびB14bの一方の素子端子143a、143b同士は連結されている。また、磁性素子A14aの他方の素子端子144aには計測抵抗A22aの一方端が直列に接続され、磁性素子B14bの他方の素子端子144bには計測抵抗B22bの一方端が直列に接続されている。

【0053】
計測抵抗A22aおよびB22bの他端はともに接続される。また、磁性素子A14aおよびB14bは、検出器電源21の一方の電極に接続され、計測抵抗A22a、B22bの他端は、検出器電源21の他方の電極に接続される。したがって、磁性素子A14a、計測抵抗A22aと磁性素子B14b、計測抵抗B22bは、それぞれ直列に接続され、枝を形成している。またこれら2本の枝を並列に接続することによって、ブリッジ回路30が形成されている。

【0054】
検出器電源21は、磁性素子A14aおよびB14bに駆動電流を流す電源であり、駆動手段である。図7では、検出器電源21と被検出回路90の電源91はそれぞれ別回路として構成されている。これをそれぞれの電源は独立しているという。

【0055】
磁性素子A14aおよび計測抵抗A22aの接続点と、磁性素子B14bおよび計測抵抗B22bの接続点を計測端子23(23a、23b)とする。計測端子23には、アンプ24の入力が接続され、計測端子23間の電圧を増幅する。アンプ24の出力には、表示手段26が接続される。表示手段26は、アンプ24の出力を表示できれば、特に限定されるものではない。たとえば、アンプ24の出力をそのまま表示してもよいし、予め想定されるノイズのレベルは切り捨てるように、閾値を設け、閾値よりアンプ24の出力が高い場合は、漏電有に相当する表示を行うようにしてもよい。

【0056】
なお、検出手段20は、駆動手段である検出器電源21、計測抵抗22a、22b、アンプ24、表示手段26を含んで構成される。また、後述するように駆動手段を被検出回路90の電源91と共用する場合は、検出手段中には駆動手段は含まれない。

【0057】
次にこの漏電検出装置1の動作について説明する。電源91と負荷92で構成される被検出回路90において、漏電が無い場合は、電線A93aおよび電線B93bに流れる電流は同じである。この時、磁性素子A14aおよび磁性素子B14bの磁気抵抗効果による抵抗値は同じである。したがって、磁性素子A14a、計測抵抗A22a、磁性素子B14b、計測抵抗B22bで形成されるブリッジ回路30における計測端子23a、23b間の電圧は等しい。したがって、アンプ24の出力はゼロである。

【0058】
一方、電源91および負荷92で構成される被検出回路90に漏電があると、電線A93aおよび電線B93bに流れる電流が同じでなくなる。すると、磁性素子A14aと磁性素子B14bの電気抵抗値は異なる値となる。つまり、計測端子23a、23b間には磁性素子A14aおよび磁性素子B14bの電気抵抗値の差に応じた電圧差が生じる。これはアンプ24によって増幅され、表示手段26に表示される。

【0059】
なお、漏電が発生した場合に、電源91が直流の場合は、アンプ24の出力は直流であり、電源91が交流の場合は、アンプ24の出力も交流となる。したがって、電源91が交流の場合は、アンプ24と表示手段26の間に整流器(図示せず)を配置してもよい。

【0060】
本実施の形態に係る漏電検出装置1では、検出器電源21は被検出回路90とは独立している。したがって、すでに完成している被検出回路90の電線A93a、電線B93bを保持手段11で固定するだけで、漏電検出装置1を設置することができる。また、計測端子23a、23b間の差分をアンプ24で増幅しているので、検出器電源21の電圧が降圧してしまっても、漏電の検出ができなくなるということはない。ただし、アンプ24への供給電力が低下することにより、アンプ24の出力電圧が低下することはある。

【0061】
なお、本実施の形態に係る漏電検出装置1では、磁性素子A14aおよびB14bは特にバイアス手段145を持たなくてもよい。ブリッジ回路30の計測端子23a、23b間の電圧を見ることで、磁性素子A14aおよびB14bの磁気抵抗効果に差がありさえすればよいからである。もちろん、磁性素子A14aおよびB14bは、バイアス手段145を有する磁性素子14で構成してもよい。本実施の形態に係る漏電検出装置1は、電線A93aと電線B93bに流れる電流の差を検出しているといってもよい。

【0062】
(実施の形態2)
図8に本実施の形態に係る漏電検出装置1bを被検出回路90に設置した場合の結線図を示す。電線A93a、B93bに対する保持は図1の場合と同じである。本実施の形態ではブリッジ回路30への電源、すなわち検出器電源を、被検出回路90の電源91から得る。

【0063】
実施の形態1と同じように、磁性素子A14a、計測抵抗A22a、磁性素子B14b、計測抵抗B22bによってブリッジ回路30が形成されている。このブリッジ回路30への電流供給は、一方を電線A93aから他方を電線B93bへ接続した経路によって供給される。つまり、駆動手段は被検出回路90の電源91としていることになる。このような構成は検出器電源は被検出回路90に寄生しているという。

【0064】
本実施の形態に係る漏電検出装置1bでは、磁性素子A14aと計測抵抗A22aは、被検出回路90の電源91に対して、負荷92と並列に連結されている。すなわち、磁性素子A14aの素子端子143a、144a間電圧は、負荷92で消費される電力に比例する出力が得られている。また、磁性素子B14bと計測抵抗B22bについても同じく被検出回路90の電源91に対して負荷92と並列に接続されている。したがって、磁性素子B14bの両端電圧も、負荷92の消費電力に比例する出力が得られている。つまり、計測端子23a、23b間で見ているのは、負荷92の消費電力を電線A93aと電線B93bとで計測した時の、それぞれの測定値の差である。

【0065】
被検出回路90に漏電がない場合は、電源91から見た負荷92の消費電力は、電線A93aで計測した場合と電線B93bで計測した場合で同じである。しかし、被検出回路90に漏電があれば、電線A93aで計測した場合と電線B93bで計測した場合の負荷92での消費電力が異なり、計測端子23a、23b間の電圧差はゼロでなくなる。したがって、計測端子23a、23b間で電圧差が生じ、アンプ24からは計測端子23a、23b間電圧に比例した出力電圧が得られる。

【0066】
結果、表示手段26によって漏電が生じていることが確認できる。このように本実施の形態における漏電検出装置1bは、負荷92での消費電力を検出している。なお、漏電検出装置1bは、駆動手段を被検出回路90の電源91から得ているので、予め被検出回路90に組み込まれるのが望ましい。

【0067】
また、漏電を検出した場合は、電源91が直流の場合は、アンプ24の出力は直流となり、電源91が交流の場合は、アンプ24の出力は交流となる。ただし、電源91が交流の場合は、アンプ24の出力の内、直流成分だけを監視すればよい。したがって、電源91が交流の場合は、アンプ24と表示手段26の間にローパスフィルタ25を配置させれば、表示手段26は直流の出力を受けることができる。

【0068】
(実施の形態3)
図9に本実施の形態に係る漏電検出装置1cを被検出回路90に設置した場合の結線図を示す。電源ライン93の保持および固定については、図1と同じである。また、被検出回路90への設置方法は、実施の形態2の場合と同じである。すなわち、ブリッジ回路30への駆動手段は、被検出回路90の電源91から得ている。

【0069】
本実施の形態と実施の形態2との相違点は、磁性素子14にバーバーポールタイプを使用している点と、一方の磁性素子A14aの素子端子143a、144a間の電圧を出力する電力検出アンプ32が設けられている点と、他方の磁性素子B14bの一方の素子端子143bは、被検出回路90との接続若しくは、素子端子143bを独立させ、被検出回路90の電源91とは別に定電流電源35から電流が流される回路33との接続を切り替えるスイッチ36を有する点である。この回路33には、定電流電源35に並列に電流検出アンプ34が接続される。

【0070】
磁性素子14にバーバーポールタイプを使用するのは、バーバーポールタイプが内包している構造的なバイアス手段145を利用して、漏電検出装置でありながら、少なくとも一方の磁性素子14を利用して電流センサおよび電力センサをも兼用するためである。したがって、バーバーポール以外のバイアス手段145を用いてもよい。

【0071】
まず、漏電検出装置として利用する場合は、2つの磁性素子A14a、B14bの一方端143a、143bが被検出回路90へ接続されるようにスイッチ36を切り替える。漏電がない場合は、ブリッジ回路30の計測端子23a、23b間の電圧差がゼロになり、漏電があった場合は、計測端子23a、23b間に所定の圧力が発生する。この点は実施の形態2と同じである。

【0072】
ここで、それぞれの磁性素子A14a、B14bのバイアス手段145は、それぞれ対向する方向に付与される。すなわち、互いの導体のパターンは異なる傾斜方向に配置されている。具体的には、図1の保持手段11a、11b同士の真ん中11cに向かう、若しくは保持手段11a、11b同士の真ん中から両外側に向かうようなバイアス磁界が付与されるように設けられる。図9のバーバーポールタイプでは、磁性素子A14a、B14bのバイアス手段145であるストライプ構造をした導体148は、互いの真ん中11cに向かって傾斜するように形成されている。電線A93aおよびB93bは、電流Ia、Ibの流れる方向が逆になるため、逆向きの電流が流れた時に同じ磁気抵抗効果を発揮するためである。

【0073】
同じ磁気抵抗効果とは、磁性素子A14a、B14bが磁気抵抗効果を示す曲線MRC(図3(b)参照)上を動作点からそれぞれ同じ方向に変化することをいう。図9では、電流Ia、Ibによる磁界によって、磁性素子A14a、B14bともに、磁化が磁性膜に流れる電流方向から離れる方向に変化する。

【0074】
このように設定すると、同じ値の電流Ia、Ibによって磁性素子A14a、B14bの抵抗値はともに動作点での抵抗値から低下する。しかも、磁性素子A14a、B14bが同じ磁気抵抗効果を示す曲線MRCを有するように作製されていれば、ともに同じ抵抗値となる。したがって、漏電がない場合は、ブリッジ回路30の計測端子23a、23b間には電圧が発生しない。

【0075】
一方、漏電が発生した場合は、いずれかの磁性素子14の抵抗値が変化するので、ブリッジ回路30の計測端子23a、23bには、磁性素子A14a、B14bの抵抗値の差に応じた電圧が発生する。この電圧をアンプ24で増幅し、表示手段26に表示することで漏電の発生を検出することができる。

【0076】
本実施の形態に係る漏電検出装置1cは、上記のように漏電を検出するだけでなく、電力センサおよび電流センサとしても利用できる。具体的には、磁性素子A14aの素子端子143a、144a間の電圧を計測することで、被検出回路90の負荷92で消費される電力に比例した電圧を電力検出アンプ32から得ることができる。なお、被検出回路90に流れる電流が交流の場合は、電力検出アンプ32の出力は、その直流成分が負荷で消費される有効電力に比例した電圧出力を得ることができる。直流成分を取り出すためには、例えばアンプ24の出力にローパスフィルタ25を接続すればよい。

【0077】
また、磁性素子B14bの一方の端子143bをスイッチ36を切り替えることで、外部の回路33に接続し、磁性素子B14bに被検出回路90とは別の定電流電源35から電流を流し、素子端子143b、144b間の電圧を計測することで、被検出回路90に流れる電流に比例した電圧を検出することができる。被検出回路90の電源91が交流の場合は、電流検出アンプ34の出力も交流となる。

【0078】
このように、本実施の形態に係る漏電検出装置1cは、一対の磁性素子A14a、B14bの一方を利用することで、電流センサおよび電力センサをも兼用することができる。

【0079】
(実施の形態4)
図10(a)に本実施の形態に係る漏電検出装置2aの保持手段11、嵌入部13、固定手段16の部分の斜視図を示す。図10(a)の保持手段11、嵌入部13および固定手段16は、図1に示した保持手段11、嵌入部13、固定手段12と類似している。しかし、固定手段16が固定手段の所定位置16cから両端に向かって所定の角度を有する傾斜面16a1、16a2を有している。つまり、傾斜面16a1と傾斜面16a2は角度16θで突き合わされているといえる。

【0080】
図11には、電源ライン93の断面図を示す。電線A93aおよびB93bから発生した磁界によって、磁性素子A14a、B14bが磁界を受け、磁気抵抗効果により電気抵抗が変化するというのは、すでに図6で説明したとおりである。ここで、それぞれの電線A93a、B93bからより離れた磁界を見ると、電線A93aからの磁界(点線)は電線B93bに配置された磁性素子B14bに対しても影響を及ぼす。同様に、電線B93bからの磁界(二点鎖線)は電線A93aに配置された磁性素子A14aに対しても影響を及ぼす。

【0081】
これらの磁界は、それぞれの磁性素子A14a、B14bが電線A93a、B93bから受ける磁界を減少させる方向に働く。これは磁性素子A14a、B14bによる漏電の検出感度を低下させることにつながる。

【0082】
図12には、図10で示したように、磁性素子A14a、B14b同士に所定の傾斜を設けた場合の断面図を示す。磁性素子A14a、B14bをそれぞれ所定角度だけ傾けて電線A93a、B93bに配設すると、両電線A93a、B93bからの磁性素子A14a、B14bに対する磁界の影響は、磁性素子A14a、B14bの磁性膜に対して垂直な成分だけが、印加される状況を創出することができる。より具体的には、磁性素子A14aは、電線B93bの中心から電線A93aへの接線に沿って配置され、磁性素子B14bは、電線A93aの中心から電線B93bへの接線に沿って配置される。

【0083】
このような配置では、隣接する電線からの磁界は、磁性素子A14a、B14bの磁性膜に対して垂直方向にだけ作用することになる。磁性素子14中の磁性膜は磁性素子の幅と比較して非常に薄いため、磁性膜に垂直な方向への磁界は、磁気抵抗効果の発動に対する影響は非常に少ない。したがって、磁性素子A14a、B14bは、隣接する電線B93b、A93aからの影響を大きく受けることなく自らが隣接配設された電線A93a、B93bからの磁界だけで磁気抵抗効果を発揮する。

【0084】
したがって、誤差が少なく、動作も安定するという効果を得ることができる。なお、それぞれの磁性素子A14a、B14b間の角度14θは、図12の線図より(13)式によって表される。したがって、それぞれの磁性素子A14aおよびB14bのなす角度が(13)式によって得られる角度14θ若しくはこの角度14θの近傍であればよい。なお、aは電線B93b、A93a間の距離であり、rは電線の半径である。

【0085】
【数3】
JP0005911065B2_000004t.gif

【0086】
図10(a)を再び参照して、固定手段16の傾斜面16a1、16a2同士が突き合わされている所定角度16θは、図12で示した所定の角度14θ分、若しくはそれを修正した角度分だけ傾斜して突き合わされている。また、傾斜面16a1と16a2は、保持手段11の中間16cに向かって所定角度だけ傾斜しているとも言える。

【0087】
図10(b)には、図10(a)に示した保持手段11、嵌合部13、固定手段16に被検出回路90の電線A93a、B93bを保持した様子を示す。固定手段16が傾斜面16a1、16a2を有している点を除けば、図1の場合と同じである。したがって、上記の実施例1乃至3に記載された固定手段12の代わりに、図10(a)の固定手段16を使用することができる。なお、固定手段16には、図1の固定手段12同様溝16bが形成されており、嵌入部13がこの溝16bに移動可能に嵌入されている点は図1の場合と同様である。

【0088】
より具体的には、図10(a)の固定手段16を図10(b)のように結線したものは、漏電検出装置2aである。これは実施の形態1に対応する。また図10(a)の固定手段16を図8のように結線したものは、漏電検出装置2bである。これは実施の形態2に対応する。また図10(a)の固定手段16を図9のように結線したものは、漏電検出装置2cである。これは実施の形態3に対応する。

【0089】
(実施の形態5)
図13に本実施の形態に係る漏電検出装置3の保持手段11等を示す。本実施の形態に係る保持手段11は、磁性素子14を1か所にしか配置しない。複数の磁性素子14を用いても、それらは直線状に配置される。保持手段11および固定手段17は一体となっている。図13(a)では、保持手段11aと保持手段11bの間隔は固定されている。しかし、可変できるようにしてもよい。磁性素子14は、それぞれの保持手段11a、11bの中間に保持される。保持される方向は、互いの保持手段11a、11bに保持される電線A93a、B93bからの磁界が磁性素子14の面内に作用するような方向で固定される。なお、この固定手段17に用いられる磁性素子14を符号14sとする。

【0090】
図13(b)には、本実施の形態に係る漏電検出装置3aの場合の結線図を示す。漏電検出装置3aでは、電線A93a若しくは電線B93bのどちらかを、一度ひねってから保持手段11で保持する。すなわち、一対の保持手段11a、11bで保持される電線A93a、B93bは固定手段17の地点では同一方向に電流Ia、Ibが流れるようにする。保持手段11で保持する前に、電線B93bにループを作っておくと言ってもよい。このようにすることで、漏電がなく、電線A93a、B93bに同じ量の電流が流れている場合は、磁性素子14sの位置では磁界はゼロとなる。それぞれの電線A93a、B93bの作る磁界が打ち消し合うからである。

【0091】
もし、固定手段17の地点で電線A93aと電線B93bに流れる電流が逆方向になっていると、磁性素子14sの位置では、それぞれの電線A93a、B93bを流れる電流によって発生する磁界の和が磁性素子14sに印加される。このような場合は、互いの電線A93a、B93bに流れる電流が共に増減したのか、それともいずれかの電線A93a、B93bに流れる電流だけが増減したのかを区別することができない。図13(b)のように、固定手段17の地点で、電流IaとIbが同一方向に流れるようにしておけば、両電線A93a、B93bを流れる電流に違いがあった場合だけ検出することができる。

【0092】
図14は、図13(b)の結線図である。図13の固定手段17と図14の結線を用いた漏電検出装置を漏電検出装置3aとする。漏電検出装置3aは、検出器電源21と、磁性素子14sと、計測抵抗22と、計測端子23a、23bとアンプ24と表示手段26を含む。保持手段17で電線A93a、B93bが保持されている様子は、点線で囲んだ部分である。

【0093】
漏電検出装置3aは、駆動手段である検出器電源21と磁性素子14sと磁性素子14sに直列に接続された計測抵抗22によって回路が形成される。検出器電源21は被検出回路90の電源91とは独立している。したがって、すでに存在する被検出回路90に後から設置しやすい。また、検出器電源90と計測抵抗22は、磁性素子14sに所定の一定電流を流すのが目的であるので、これらの代わりに定電流電源を用いてもよい。磁性素子14sの素子端子143s、144s間にはアンプ24と表示手段26が接続されている。したがって、漏電検出装置3aでは、素子端子143s、144sと計測端子23a、23bは同電位点である。

【0094】
本実施の形態に係る漏電検出装置3aの動作を説明する。被検出回路90には電源91と負荷92が電源ライン93(電線A93a、電線B93b)によって接続されている。それぞれの電線A93a、B93bを流れる電流Ia、Ibは固定手段17の地点では同一方向に流れる。負荷92から電源91に返る電線B93bは、途中で一度ひねってあるためである。

【0095】
保持手段11aと11bの真ん中に配置された磁性素子14sは、それぞれの電線A93a、B93bからの磁界を受けるが、これらの磁界は打ち消し合う。したがって、漏電が発生していなければ、磁性素子14sの素子端子143s、144s間では電圧は生じない。一方、漏電が発生していた場合は、電線A93aと電線B93bに流れる電流が異なるため、磁性素子14sの位置には、外部磁界が印加されることとなる。

【0096】
すなわち、磁性素子14sは磁気抵抗効果によって抵抗値が変化する。磁性素子14sには検出器電源21によって所定の電流が流されているので、磁性素子14sの素子端子143s、144s間には電圧が生じる。この電圧をアンプ24で増幅し、表示手段26で表示させることで漏電が発生したことを知ることができる。

【0097】
なお、図14の漏電検出装置3aでは、漏電した際には、漏電していない時の磁性素子14sの抵抗値からの変化を検出する必要がある。したがって、漏電していない時のアンプ24の出力を記録しておき、その値とアンプ24の出力を逐次比較する必要がある。したがって、アンプ24の出力にはメモリおよび比較手段40を配置するのが望ましい。

【0098】
メモリおよび比較手段40は、漏電がない場合のアンプ24の出力を初期値として記録し、検知が開始された後はアンプ24の出力を初期値と比較し、変化があった場合に表示手段26に信号を送る機能をすれば、構成は特に限定されるものではない。

【0099】
また、電源91が直流であれば、アンプ24の出力は直流であり、電源91が交流であればアンプ24の出力も交流になる。この漏電検出装置3aでは、被検出回路90に流れる電流の値を磁性素子14sで検知しているので、電源91が交流の場合は、アンプ24の出力の振幅が検知したい電流の変化に相当する。そのため、電源91が交流の場合は、アンプ24とメモリおよび比較手段40の間に整流器(図示せず)を挿入し、直流で信号を取り扱えるようにしておくのが好適である。

【0100】
なお、磁性素子14sがバイアス手段145を有している場合は、アンプ24での電圧変化の方向(正負の方向)によって、どちらの電線A93a、B93bから漏電が発生しているかもわかる。バイアス手段145をバーバーポール型とした場合の漏電検出装置3avの結線図を図15に示す。磁性素子14sがバーバーポール型である点以外は図14の漏電検出装置3aと同じである。

【0101】
(実施の形態6)
図16に本実施の形態に係る漏電検出装置3bの、被検出回路90に対する結線図を示す。固定手段17等の外観は図13の場合と同じである。本実施の形態と実施の形態5との相違点は、磁性素子14sの他端144s(計測抵抗22の一方端との接続側)が接地されている点と、計測端子23が磁性素子14sの一方端143sと、計測抵抗22の他端の間に設定されている点にある。

【0102】
また、計測抵抗22は、磁性素子14sの抵抗値と一致するように校正しておく。このように、磁性素子14sと計測抵抗22を同じ抵抗値にしておき、接続点を接地すると、磁性素子14sと計測抵抗22の両端の出力は、漏電がない場合にゼロにすることができる。したがって、アンプ24の出力に所定の電圧が発生すれば、漏電が生じたことを検知することができる。

【0103】
なお、電源91が直流の場合は、アンプ24の出力は直流であり、電源91が交流の場合は、アンプ24の出力も交流となる。したがって、電源91が交流の場合は、整流器をアンプ24と表示手段26の間に配設するのが好ましい。

【0104】
図17には、磁性素子14sにバイアス手段145を設けた場合の漏電検出装置3bvの結線を示す。図16の場合と磁性素子14s以外は同じである。バイアス手段145を設けたことで、電線A93a、B93bのどちら側で漏電が発生したかを知ることができる。

【0105】
(実施の形態7)
図18に本実施の形態に係る漏電検出装置3cの、被検出回路90に対する結線図を示す。固定手段17等の外観は図13の場合と同じである。磁性素子14sと計測抵抗22は直列に接続され、被検出回路90の電源91に、負荷92と並列に連結される。電線B93bは、保持手段11cに対して1回ひねってから保持される。固定手段17の地点で電流IaとIbが同じ方向に流すためである。磁性素子14sの素子端子143s、144sにはアンプ24が接続されている。アンプ24の出力には表示手段26が接続されている。

【0106】
本実施の形態に係る漏電検出装置3cの動作について説明する。漏電が発生していない場合は、磁性素子14sに印加される電線A93aからの磁界と電線B93bからの磁界は打ち消し合い、磁性素子14sには磁界は印加されない。つまり、電源91側から見た、負荷92の消費電力を電線A93a側と電線B93b側で測定した場合に差はないと観測される。

【0107】
一方、漏電が発生すると、一方の電線93に流れる電流が、他方の電線93に流れる電流より少なく、磁性素子14sに外部磁界が印加されることになる。この磁界によって磁性素子14sは磁気抵抗効果を発生し、素子端子143s、144s間の電圧は変化する。するとこの発生した電圧をアンプ24および表示手段26で表示することで、漏電が発生したことを検出することができる。

【0108】
なお、実施の形態5で説明した図14の場合同様、メモリおよび比較手段40をアンプ24と表示手段26の間に配設するのが好ましい。本実施の形態に係る漏電検出装置3cは、磁性素子14sの抵抗値の変化を電圧の変化として観測するからである。

【0109】
なお、被検出回路90の電源91が交流の場合は、アンプ24の出力に現れる直流成分が、負荷92での消費電力に比例する電圧として取り出せる。したがって、アンプ24の出力端にローパスフィルタ25を設置しておけば、電源91が直流であっても交流であっても漏電を検出することができる。

【0110】
図19には、磁性素子14sにバイアス手段145を備えた漏電検出装置3cvについて説明する。磁性素子14sにバイアス手段145が設けられている以外は、図18の場合と同様である。磁性素子14sにバイアス手段145を設ければ、どちらの電線A93a、B93b側で漏電が発生しているかがわかる。なお、バイアス手段145の方法は、図19のようなバーバーポールに限定されない。

【0111】
(実施の形態8)
図20には、本実施の形態に係る漏電検出装置3dの結線図を示す。固定手段17等の外観は図13と同じである。漏電検出装置3dでは、直列に接続した磁性素子14sと計測抵抗22の間を接地し、外部磁界が印加されていない状態の磁性素子14sと計測抵抗22を同じ抵抗値とする。また、磁性素子14sと計測抵抗22の両端を計測端子23a、23bとする。このようにすることによって、計測端子23a、23b間の電圧をゼロとすることができる。したがって、漏電がなければ、アンプ24の出力はゼロである。また、アンプ24の出力が発生したら、漏電が発生したことを検知することができる。

【0112】
なお、被検出回路90の電源91が交流の場合は、アンプ24の出力に現れる直流成分が、負荷92での消費電力に比例する電圧として取り出せる。したがって、アンプ24の出力端にローパスフィルタ25を設置しておけば、電源91が直流であっても交流であっても漏電を検出することができる。

【0113】
また、図21には、磁性素子14sにバイアス手段145を備えた漏電検出装置3dvについて説明する。磁性素子14sにバイアス手段145を設ければ、どちらの電線側で漏電が発生しているかがわかる。なお、バイアス手段145の方法は、図21のようなバーバーポールに限定されない。

【0114】
(実施の形態9)
図22に本実施の形態に係る漏電検出装置3eの、被検出回路90に対する結線図を示す。固定手段17等の外観は図10の場合と同じである。磁性素子14sは、バイアス手段145を有する磁性素子14が2つ配置されている。そして、電線A93aおよびB93bは少なくとも、それぞれの磁性素子A14a、B14bが同方向に配置されている部分については、直線状に保持される。

【0115】
図22では、センタータップ14cを有するバーバーポール型の磁性素子と、一対の計測抵抗22a、22bが、ブリッジ回路30eを形成するように接続されている。これは、計測抵抗22と磁性素子14が直列結合したものを一対用意し、それぞれを並列に接続したものである。すなわち、バーバーポール型の磁性素子14を一対用意し、それぞれを直線状に配置してもよい。なお、この際それぞれのバイアス手段145は、逆向きに形成若しくは配置されている。計測抵抗22a、22b同士の結合点22jと磁性素子A14a、B14b同士の結合点14c(センタータップ部)との間に検出器電源21から電流が供給される。

【0116】
電線A93aおよびB93bは、同じ方向に配置させた一対の磁性素子A14a、B14bのそれぞれに平行に配置される。もちろん、一方の電線B93bは、保持手段11bに保持される際に1回ひねってから保持される。また、ブリッジ回路30eにおいて、計測抵抗22a、22bと磁性素子14の結合点同士を計測端子23a、23bとする。ここにアンプ24が接続される。アンプ24の出力には表示手段26が連結される。

【0117】
本実施の形態に係る漏電検出装置3eの動作について説明する。磁性素子14は、バイアス手段145を有するものの、電線A93a、B93bが発生する磁界に対しては、それぞれ逆方向のバイアス手段145を有する。例えば、図22では、磁性素子14のセンタータップ14cより素子端子143側は磁性膜に流れる電流が磁性素子14の中央から左側に向かって流れ、センタータップ14cより素子端子144側は電流が磁性素子14の中央から右側に向かって流れている。

【0118】
漏電が発生していない場合は、電線A93aおよびB93bから発生する磁界は、磁性素子14の位置で打ち消し合うため、ブリッジ回路30eからの出力はゼロである。すなわち、アンプ24からの出力がゼロであれば、漏電は発生していない。

【0119】
一方、漏電が発生すると、電線A93aおよびB93bに流れる電流量が異なるので、磁性素子14の位置で磁界が生じる。この磁界は磁性素子14の磁化を一方向に傾けるが、センタータップ14cの上下で電流の流れる方向が異なるため、一方では、磁性膜の磁化と電流方向が近くなり、他方では磁性膜の磁化と電流方向が離れる。すなわち、センタータップ14cの上下で逆の磁気抵抗効果が生じ、一方では抵抗値があがり、他方では抵抗値が下がる。したがって、ブリッジ回路30eには、それぞれのパスに流れる電流の不均衡によって電位差が生じ、それをアンプで取り出すことができる。

【0120】
以上のように本実施の形態に係る漏電検出装置3eでは、それぞれ逆方向のバイアス手段145を有する磁性素子14を一対直線的に配置するので、磁性膜の磁化の変化をさらに増幅して出力することができ、感度が上がる。

【0121】
なお、本実施の形態の漏電検出装置3eでは、被検出回路90の電源91が交流である場合は、アンプ24の出力も交流で得られる。

【0122】
(実施の形態10)
図23に本実施の形態に係る漏電検出装置3fの、被検出回路90に対する結線図を示す。固定手段17等の外観は図13の場合と同じである。本実施の形態では、実施の形態9と同じ構成の磁性素子14および計測抵抗22の組み合わせのブリッジ回路30eを被検出回路90の電源91に負荷92と並列に接続する。より具体的には、ブリッジ回路30eの計測抵抗22同士が結合している部分22jを電源91の一方の端子に、また磁性素子14のセンタータップ14cを他方の端子に接続する。

【0123】
磁性素子14と計測抵抗22の接続点を計測端子23a、23bとし、アンプ24が接続されているのは、実施の形態9と同じである。

【0124】
次に本実施の形態の漏電検出装置3fの動作について説明する。漏電が発生していない場合は、電線A93aおよびB93bが作る磁界が磁性素子14の位置で打消しあっている。つまり、磁性素子14の抵抗値に不均衡が生じていないので、ブリッジ回路30eの出力はゼロである。すなわち、アンプ24の出力がゼロであれば、漏電は発生していない。

【0125】
一方、漏電が生じると、磁性素子14のセンタータップ14cの上下で抵抗値が変化し、ブリッジ回路30eの支枝同士に流れる電流の不均衡によって計測端子23a、23b間には電圧差が生じ、アンプ24は出力電圧を発生する。つまり、アンプ24の出力があった場合は、漏電が発生していると言ってよい。

【0126】
なお、本実施の形態については、被検出回路90の電源91が交流であると、アンプ24の出力の直流成分が漏電における消費電力を検出していることになる。よって、アンプ24の出力にローパスフィルタを配置しておけば、電源91が交流の場合は、有効消費電力を見ていることになる。もちろん、被検出回路90の電源91が直流の場合は、アンプ24の出力も直流となる。
【産業上の利用可能性】
【0127】
本発明は、家庭電気製品分野、自動車分野、産業機器分野などの漏電検出に広く利用することができる。
【符号の説明】
【0128】
1、1b、1c、2、3、3a、3b、3c、3d、3e、3f 漏電検出装置
11 保持手段
12、16、17 固定手段
13 嵌入部
14 磁性素子
20 検出手段
21 検出器電源
22 計測抵抗
23 計測端子
24 アンプ
25 ローパスフィルタ
26 表示手段
30 ブリッジ回路
32 電力検出アンプ
34 電流検出アンプ
35 定電流電源
36 スイッチ
40 メモリおよび比較手段
90 被検出回路
91 電源
92 負荷
93 電源ライン
93a 電線A
93b 電線B
141 基板
142 磁性膜
143、144 素子端子
145 バイアス手段
148 導体
149 永久磁石
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10
【図12】
11
【図13】
12
【図14】
13
【図15】
14
【図16】
15
【図17】
16
【図18】
17
【図19】
18
【図20】
19
【図21】
20
【図22】
21
【図23】
22
【図24】
23