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明細書 :三相三倍電圧整流回路

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5846551号 (P5846551)
公開番号 特開2012-249419 (P2012-249419A)
登録日 平成27年12月4日(2015.12.4)
発行日 平成28年1月20日(2016.1.20)
公開日 平成24年12月13日(2012.12.13)
発明の名称または考案の名称 三相三倍電圧整流回路
国際特許分類 H02M   7/10        (2006.01)
FI H02M 7/10 Z
請求項の数または発明の数 1
全頁数 8
出願番号 特願2011-119108 (P2011-119108)
出願日 平成23年5月27日(2011.5.27)
新規性喪失の例外の表示 特許法第30条第1項適用 発行者名:社団法人電気学会、刊行物名:電気学会研究会資料、発行年月日:平成23年3月7日
審査請求日 平成26年4月28日(2014.4.28)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】305060567
【氏名又は名称】国立大学法人富山大学
発明者または考案者 【氏名】作井 正昭
【氏名】清水 翼
個別代理人の代理人 【識別番号】100090206、【弁理士】、【氏名又は名称】宮田 信道
【識別番号】100168228、【弁理士】、【氏名又は名称】倉谷 達則
審査官 【審査官】鈴木 重幸
参考文献・文献 特開昭59-076175(JP,A)
特開昭60-077678(JP,A)
英国特許出願公開第02047484(GB,A)
英国特許出願公開第02491475(GB,A)
特開2004-064937(JP,A)
新谷英大,清水翼,飴井賢治,大路貴久,作井正昭,チャージポンプ方式を用いた三相三倍電圧整流回路,平成22年度電気関係学会北陸支部連合大会講演論文集,日本,2010年 9月 8日,A-61
調査した分野 H02M 7/00- 7/40
H02M 9/00
特許請求の範囲 【請求項1】
A相端子(T)、B相端子(T)およびC相端子(T)を有する三相交流電源を入力とし、
6個のダイオードと、5個のコンデンサとを備え、
A相端子(T)に第一コンデンサ(C)の一端が接続され、第一コンデンサ(C)の他端とB相端子(T)の間に、第二ダイオード(D)および第三ダイオード(D)が、第一コンデンサ(C)側をカソードとして直列に接続されており、
C相端子(T)に第二コンデンサ(C)の一端が接続され、B相端子(T)と第二コンデンサ(C)の他端の間に、第四ダイオード(D)および第五ダイオード(D)が、B相端子(T)側をカソードとして直列に接続されており、
第一コンデンサ(C)の他端に、第一ダイオード(D)が第一コンデンサ(C)側をアノードとして直列に接続され、第二コンデンサ(C)の他端に、第六ダイオード(D)が第二コンデンサ(C)側をカソードとして直列に接続されており、
第一ダイオード(D)のカソードと第四ダイオード(D)のアノードの間に第三コンデンサ(C)が接続されており、
第三ダイオード(D)のカソードと第六ダイオード(D)のアノードの間に第四コンデンサ(C)が接続されており、
第一ダイオード(D)のカソードと第六ダイオード(D)のアノードの間に第五コンデンサ(C)が接続されていることを特徴とする三相三倍電圧整流回路。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、三相交流電源を入力として、三相線間電圧の3倍の直流電圧が得られる三相三倍電圧整流回路に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のダムや発電所による大規模な発電システムに対して、近年、小型の水車や風車などを用いた小規模な発電システムが注目されている。しかし、こうした小規模な発電システムに用いられる永久磁石形同期発電機は、低い回転数で運転しているため、従来の三相ブリッジ整流回路では十分な直流出力電圧を得ることができない。そのため、昇圧チョッパや変圧器を用いる方法や、同期発電機の巻数を増やす方法が必要となるが、高コスト化や設備の大型化が問題となる。そこで本願の発明者らは、チャージポンプ方式を用いた三相三倍電圧整流回路を提案している(非特許文献1)。この回路は、図10に示すように、6個のダイオード(d~d)と、6個のコンデンサ(c~c)からなる構成であって、三相交流電源を入力として、整流するとともに、三相線間電圧の略3倍の直流電圧を得ることができる。
【先行技術文献】
【0003】

【非特許文献1】新谷英大、清水翼、飴井賢治、大路貴久、作井正昭、「チャージポンプ方式を用いた三相三倍電圧整流回路」、平成22年度電気関係学会北陸支部連合大会、A-61、2010年9月
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、非特許文献1の発明においては、直流電圧のリップルを抑制するための平滑コンデンサcが設けられており、電圧の平滑化を回路構成の工夫により補うことで、コンデンサcを削除しても性能を落とすことなくさらに構成を簡素なものとする余地があった。
【0005】
本発明は、上記事情を鑑みたものであり、簡素な回路構成で整流と昇圧を同時に行うことができる三相三倍電圧整流回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、A相端子、B相端子およびC相端子を有する三相交流電源を入力とし、6個のダイオードと、5個のコンデンサとを備え、A相端子に第一コンデンサの一端が接続され、第一コンデンサの他端とB相端子の間に、第二ダイオードおよび第三ダイオードが、第一コンデンサ側をカソードとして直列に接続されており、C相端子に第二コンデンサの一端が接続され、B相端子と第二コンデンサの他端の間に、第四ダイオードおよび第五ダイオードが、B相端子側をカソードとして直列に接続されており、第一コンデンサの他端に、第一ダイオードが第一コンデンサ側をアノードとして直列に接続され、第二コンデンサの他端に、第六ダイオードが第二コンデンサ側をカソードとして直列に接続されており、第一ダイオードのカソードと第四ダイオードのアノードの間に第三コンデンサが接続されており、第三ダイオードのカソードと第六ダイオードのアノードの間に第四コンデンサが接続されており、第一ダイオードのカソードと第六ダイオードのアノードの間に第五コンデンサが接続されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、6個のダイオードと、5個のコンデンサという受動素子のみからなる簡素な構成の回路によって、三相交流電源を入力として、整流するとともに、三相線間電圧の略3倍の直流出力電圧を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の三相三倍電圧整流回路の構成を示す回路図。
【図2】本発明の回路の動作原理の説明図(1)。
【図3】本発明の回路の動作原理の説明図(2)。
【図4】本発明の回路の動作原理の説明図(3)。
【図5】本発明の回路の動作原理の説明図(4)。
【図6】本発明の回路の動作原理の説明図(5)。
【図7】本発明の回路の動作原理の説明図(6)。
【図8】相電圧とダイオードの導通状態との関係を示す説明図。
【図9】(a)はシミュレーション結果を示すグラフ、(b)は実験結果を示すグラフ。
【図10】従来の三相三倍電圧整流回路の構成を示す回路図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の三相三倍電圧整流回路の具体的な構成について、各図面に基づいて説明する。図1に示すように、この回路は三相交流電源を入力とするものであって、三相交流電源は、A相端子T、B相端子TおよびC相端子Tを有する。そして、回路は6個のダイオードと、5個のコンデンサとを備える。まず、A相端子Tに第一コンデンサCの一端が接続され、第一コンデンサCの他端とB相端子Tの間に、第二ダイオードDおよび第三ダイオードDが、第一コンデンサC側をカソードとして直列に接続されている。また、C相端子Tに第二コンデンサCの一端が接続され、B相端子Tと第二コンデンサCの他端の間に、第四ダイオードDおよび第五ダイオードDが、B相端子T側をカソードとして直列に接続されている。さらに、第一コンデンサCの他端に、第一ダイオードDが第一コンデンサC側をアノードとして直列に接続され、第二コンデンサCの他端に、第六ダイオードDが第二コンデンサC側をカソードとして直列に接続されている。そして、第一ダイオードDのカソードと第四ダイオードDのアノードの間に第三コンデンサCが接続されている。また、第三ダイオードDのカソードと第六ダイオードDのアノードの間に第四コンデンサCが接続されている。さらに、第一ダイオードDのカソードと第六ダイオードDのアノードの間に第五コンデンサCが接続されている。なお、A相、B相およびC相の相電圧を、それぞれE,E,Eとし、線間電圧を、それぞれVab(=E-E),Vbc(=E-E),Vca(=E-E)とする。また、この回路に接続される負荷を、負荷抵抗Rで表す。

【0010】
続いて、このように構成した三相三倍電圧整流回路の動作原理を説明する。各線間電圧が負の半周期の場合と正の半周期の場合で、ダイオードが導通する組み合わせは6通りとなる。

【0011】
A相とB相の間の線間電圧Vabが負の半周期のとき、図2に示すように、第二ダイオードDと第三ダイオードDが導通し、第一コンデンサCに線間電圧Vabの最大値Vが充電される。

【0012】
A相とB相の間の線間電圧Vabが正の半周期のとき、図3に示すように、第一ダイオードDと第四ダイオードDが導通し、線間電圧Vabの最大値Vに、第一コンデンサCに充電された電圧Vが加算され、第三コンデンサCに2Vの電圧が充電される。

【0013】
B相とC相の間の線間電圧Vbcが負の半周期のとき、図4に示すように、第四ダイオードDと第五ダイオードDが導通し、第二コンデンサCに線間電圧Vbcの最大値Vが充電される。

【0014】
B相とC相の間の線間電圧Vbcが正の半周期のとき、図5に示すように、第三ダイオードDと第六ダイオードDが導通し、線間電圧Vbcの最大値Vに、第二コンデンサCに充電された電圧Vが加算され、第四コンデンサCに2Vの電圧が充電される。

【0015】
C相とA相の間の線間電圧Vcaが負の半周期のとき、図6に示すように、第一ダイオードDと第六ダイオードDが導通し、線間電圧Vcaの最大値Vに、第一コンデンサCに充電された電圧Vおよび第二コンデンサCに充電された電圧Vが加算され、第五コンデンサCに3Vの電圧が充電される。

【0016】
C相とA相の間の線間電圧Vcaが正の半周期のとき、図7に示すように、第二ダイオードDと第五ダイオードDが導通し、線間電圧Vcaの最大値Vに、第三コンデンサCに充電された電圧2Vおよび第四コンデンサCに充電された電圧2Vが加算され、第一コンデンサCにV、第二コンデンサCにV、第五コンデンサCに3Vの電圧が充電される。

【0017】
以上のように、第五コンデンサCには3Vの電圧が充電されるので、線間電圧の最大値の3倍の直流電圧が得られることになる。そしてこの第五コンデンサCは、直流電圧のリップルを抑制するための平滑コンデンサとしても機能する。また、上述の動作原理から、ダイオードが導通する組み合わせは6通りあり、回路動作は相電圧E,E,Eによって、図8に示す6つのモードに分けられる。何れのモードにおいても、ダイオードは2個ずつ動作しており、各モードはπ/3[rad]ずつ切り換わる。なお、各モードにおけるダイオードの導通状態と図面との対応は、モードI:図3、モードII:図6、モードIII:図5、モードIV:図2、モードV:図7、モードVI:図4、となる。

【0018】
次に、本発明の回路の性能を確認するために行ったシミュレーションおよび実験の結果を示す。シミュレーションおよび実験において、回路定数は、三相線間電圧Vab,Vbc,Vca(実効値)を50[V]、各コンデンサC,C,C,C,Cの容量を2200[μF]、ダイオード順電圧降下を1.4[V]、負荷抵抗Rの抵抗値を290[Ω]とした。

【0019】
まず、図9(a)に、シミュレーションによって得られた三相線間電圧と直流出力電圧の波形を示す。三相線間電圧の最大値が70.7[V](=50[V]×√2)であるのに対し、直流出力電圧は196.4[V]となっている。出力電圧は、線間電圧の最大値の2.78倍となっており、略3倍の出力が得られるという結果となった。

【0020】
そして、図9(b)に、図1に示す回路を作成して実際に測定した三相線間電圧と直流出力電圧の波形を示す。三相線間電圧の最大値が70.7[V]であるのに対し、直流出力電圧は192.5[V]となっている。シミュレーションにおいては無視されていたコンデンサの損失などの影響によって、出力電圧はシミュレーションの結果より低くなっているが、線間電圧の最大値の2.72倍となっており、略3倍の出力が得られたといえる。

【0021】
以上のように、本発明によれば、6個のダイオードと、5個のコンデンサという受動素子のみからなる簡素な構成の回路によって、三相交流電源を入力として、整流するとともに、三相線間電圧の略3倍の直流出力電圧を得ることができる。そして、この回路を永久磁石形同期発電機と組み合わせることによって、小規模な水力発電装置や風力発電装置にも適用することができ、発電装置の小型化および低コスト化を実現できる。

【0022】
なお、本発明の回路の実施に際しては、たとえば、回路の三相交流電源側に力率改善用のリアクトルを挿入するなど、上記実施形態に示したもの以外の回路素子を追加してもよい。
【符号の説明】
【0023】
第一ダイオード
第二ダイオード
第三ダイオード
第四ダイオード
第五ダイオード
第六ダイオード
第一コンデンサ
第二コンデンサ
第三コンデンサ
第四コンデンサ
第五コンデンサ
A相端子
B相端子
C相端子
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
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【図10】
9