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明細書 :光反応性化合物、光反応性ポリアミンおよびポリアミンシートの製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4934811号 (P4934811)
登録日 平成24年3月2日(2012.3.2)
発行日 平成24年5月23日(2012.5.23)
発明の名称または考案の名称 光反応性化合物、光反応性ポリアミンおよびポリアミンシートの製造方法
国際特許分類 C07D 405/10        (2006.01)
C08G  73/02        (2006.01)
FI C07D 405/10 CSP
C08G 73/02
請求項の数または発明の数 12
全頁数 29
出願番号 特願2006-531828 (P2006-531828)
出願日 平成17年8月17日(2005.8.17)
国際出願番号 PCT/JP2005/015013
国際公開番号 WO2006/019116
国際公開日 平成18年2月23日(2006.2.23)
優先権出願番号 2004237605
優先日 平成16年8月17日(2004.8.17)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成20年7月2日(2008.7.2)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】305060567
【氏名又は名称】国立大学法人富山大学
発明者または考案者 【氏名】畑中 保丸
【氏名】友廣 岳則
【氏名】ビック ギャバン
個別代理人の代理人 【識別番号】100109726、【弁理士】、【氏名又は名称】園田 吉隆
【識別番号】100101199、【弁理士】、【氏名又は名称】小林 義教
審査官 【審査官】井上 明子
参考文献・文献 特開2002-348393(JP,A)
国際公開第97/043631(WO,A1)
特開2001-178472(JP,A)
特開2000-319262(JP,A)
有機合成化学協会誌,1998年,第56巻,第7号,第581-590
Journal of American Chemical Society,1998年,Vol.120, No.2,p.453-454
Chemistry Letters,2004年,Vol.33, No.5,p.594-595
調査した分野 C07D 405/10
C08G 73/02
CAplus(STN)
REGISTRY(STN)
特許請求の範囲 【請求項1】
次の一般式(I):
【化1】
JP0004934811B2_000038t.gif
(式中、R1は、水素原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、アルコキシ基、ホルミル基、カルボキシル基またはニトロ基を示す)で表される化合物。
【請求項2】
次の一般式:
【化2】
JP0004934811B2_000039t.gif
(式中、R1aは、水素原子またはメトキシ基を示す)で表される請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
アミノ基又はイミノ基の少なくとも一部が次の一般式(II):
【化3】
JP0004934811B2_000040t.gif
(式中、R1は、水素原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、アルコキシ基、ホルミル基、カルボキシル基またはニトロ基を示す)
で表される基で置換され、平均分子量が2,000~150,000の範囲にあるポリアミン化合物。
【請求項4】
下記式(3):
【化4】
JP0004934811B2_000041t.gif
で表される繰返し単位と、下記式(A):
【化5】
JP0004934811B2_000042t.gif
で表される繰返し単位を含み、平均分子量が2,000~100,000の範囲にある請求項3に記載のポリアミン化合物。
【請求項5】
式(3)で表される繰返し単位と式(A)で表される繰返し単位のモル比が、1:50~1:2の範囲である請求項4記載のポリアミン化合物。
【請求項6】
下記式(4):
【化6】
JP0004934811B2_000043t.gif
で表される繰返し単位と下記式(B)及び/又は(B’):
【化7】
JP0004934811B2_000044t.gif
で表される繰返単位を含み、平均分子量が2,500~150,000の範囲である請求項3に記載のポリアミン化合物。
【請求項7】
式(4)で表される繰返し単位と式(B)及び(B’)で表される繰返単位のモル比が、1:50~1:2の範囲である請求項6記載のポリアミン化合物。
【請求項8】
次の式(6):
【化8】
JP0004934811B2_000045t.gif
で表される繰り返し単位と式(C)及び/又は(C’):
【化9】
JP0004934811B2_000046t.gif
で表される繰返し単位を含み、平均分子量が2,000~150,000の範囲である請求項3に記載のポリアミン化合物。
【請求項9】
式(6)で表される繰り返し単位と式(C)及び(C’)で表される繰返し単位が1:50~1:2の範囲である請求項8記載のポリアミン化合物。
【請求項10】
請求項3からのいずれか一項に記載のポリアミン化合物を含む溶液を基板表面に塗布し、次いで紫外線を照射してポリアミン化合物を基板上に結合させることを特徴とするポリアミンシートの製造方法。
【請求項11】
基板表面が樹脂性である請求項10に記載の製造方法。
【請求項12】
請求項10または11に記載の製造方法により製造されたポリアミンシート。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、光反応性化合物、光反応性ポリアミンおよびポリアミンシートの製造方法に関する。特に本発明は、光反応性基としてジアジリン基を有する光反応性化合物および光反応性ポリアミンに関し、さらに、前記光反応性ポリアミンを用いたポリアミンシートの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
DNAチップ技術は、対象の発現遺伝子を標識し、ガラス表面やシリコン基板上のDNAにハイブリダイゼーションさせ固定化位置を確認することにより遺伝子を特定する技術である。DNAチップにはcDNAあるいは合成オリゴヌクレオチドを基板上に固定化するスポット方式と、オリゴヌクレオチドを基板上で直接合成するin situ (on chip) 方式がある。後者はAffymetrix社の「Gene Chip」に代表される。スポット方式では数百から一万種類に及ぶ遺伝子のDNA断片をスライドガラス等基板上に数平方センチメートルの範囲で整列でき、主に静電的結合及び共有結合による固定化法が利用されている(非特許文献1)。
【0003】
静電結合による固定化ではポリカチオンをコーティングしたスライドグラスにポリアニオンであるDNAやオリゴヌクレオチドをスポットする。ただし、固定化効率はその長さに依存する。SNP解析における1塩基の差を見るには20-30塩基の合成オリゴヌクレオチドを用いることが必要だが、長さが短くなればDNAの安定的な固定化は困難であり効率も低くなる。また、ポリアミンはDNAチップの基板修飾用として使用されてきたが固相上全体に被覆されるため非特異的吸着により微粒検出が困難であった(非特許文献2及び3)。
【0004】
一方、共有結合による固定化方法は、アミノ基、アルデヒド基、エポキシ基、活性エステル基、ビニル基などを有するシランカップリング剤で基板表面を処理した後、アミノ基、アルデヒド基、チオール基、ビオチンなどを導入したDNAと結合させる。これにより固定化される分子の安定性は増したが、ハイブリダイゼーションなどを行う場合に基板表面の影響を受けやすく、特に表面から20-30塩基までは殆んど利用されないとの報告もあり特異性や再現性の問題が生じやすい。最近、ガラス表面にポリアクリルアミドゲル微小片を整列させることにより、表面に共有結合された合成オリゴマーに対し、液相環境下でハイブリダイゼーションが可能となったが、ガラス表面の官能基付加など事前の表面処理過程は免れ得ない(非特許文献4)。
【0005】
また、プロテオミクスにより創薬候補とその標的分子を効率よく探索するためにはタンパク質のリガンド認識能に基づく直接的・合理的な解析が不可欠である。しかし、これまでのDNAチップやプロテインチップでは、上記の欠点を有するため、そのような解析に十分な性能を具備していなかった。
【0006】

【非特許文献1】「DNAチップ応用技術」(2000年),シーエムシー出版(株)発行
【非特許文献2】「DNAチップ技術とその応用」,「蛋白質核酸酵素43(13)」,(1998年),共立出版(株)発行,2004-2011頁
【非特許文献3】Microarrays: the use of oligonucleotides and cDNA for the analysis of gene expression, Drug Discov Today, 8,134-141, 2003.
【非特許文献4】DNA analysis and diagnostics on oligonucleotide microchips, Proc. Natl. Acad. Sci. US A., 93, 4913-4918, 1996.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記したように、DNAチップやプロテインチップを作成する上で以下の課題が未解決のままである。
(1)DNAチップの基板修飾用として使用されてきたポリアミンは、固相上全体に被覆されるため非特異的吸着により微粒検出が困難であること。
(2)一般にDNAチップやプロテインチップで汎用されるスライドガラスは、目的に応じた表面処理が必要であること。
(3)固相表面での生体分子結合には表面処理により液相環境を与えることが必要であること。
【0008】
本発明の目的は、ポリプロピレンシートなど樹脂基板表面上の所定領域に、光リソグラフィー技術を用いてポリアミンを直接結合させることができる材料及び方法を提供することにある。具体的には、DNAチップやプロテインチップに利用可能な、ポリアミンシート、ポリアミンシートの作製に用いられる光反応性ポリアミンおよび光反応性ポリアミンなどの原料となる光反応性化合物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者等は、光反応を利用して特異的リガンドと相手タンパク質を非可逆的に繋ぎ止める光アフィニティー法という先端技術の研究に従事してきており、ジアジリン誘導体を光反応基として用いて独自の高速光アフィニティー法を開発した(下記参考文献1~7参照)。
参考文献1:Multifunctional photoprobes for rapid protein identification. In Chemical Genomics, 199-214, Marcel Dekker Inc., New York, 2003.
参考文献2:Labeling in Drug Discovery and Developments: Chemical Gateway for Entering Proteomic Frontier., Curr. Top. Med. Chem., 2, 271-288, 2002.
参考文献3:A novel approach for affinity-based screening of target specific ligands: application of photoreactive D-glyceraldehyde-3-phosphate dehydrogenase, Bioconjugate Chem., 14, 849-52 (2003).
参考文献4:Improvement in the properties of 3-phenyl-3-trifluoromethyldiazirine based photoreactive bis-glucose probes for GLUT4 following substitution on the phenyl ring., Chem. Pharm. Bull., 50, 1004-1006, 2002.
参考文献5:One-step Synthesis of Biotinyl Photoprobes from Unprotected Carbohydrates., J. Org. Chem., 65, 5639-5643, 2000.
参考文献6:A Rapid and Efficient Method for Identifying Photoaffinity Biotinylated Sites within Proteins., J. Am. Chem. Soc., 120, 453-454, 1998.
参考文献7:特開2000-319262号公報(発明の名称:フェニルジアリジン化合物及び光親和性標識試薬)
本発明者等は、前記光アフィニティー法の研究において新たに開発された光反応性化合物が、DNAチップやプロテインチップを製造する上でのポリアミンによる基板修飾に特に適しており、それを用いることにより上記の課題を解決できることを見出し、本発明をなすに至った。
【0010】
即ち、本発明の第1の態様は、次の一般式(I)で表される新規化合物である。
【化1】
JP0004934811B2_000002t.gif
(式中、R1は水素原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、アルコキシ基、ホルミル基、カルボキシル基またはニトロ基を;R2は水素原子、ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基を、それぞれ示す。)
これらの化合物は、光反応性のジアジリン構造及び反応性のエポキシ基を有しているため、エポキシ基を介してポリアミンと反応し、ポリアミンに光反応性のジアジリン構造を導入するための原料として使用できる。
【0011】
本発明の第2の態様は、アミノ基又はイミノ基の少なくとも一部が次の一般式(II)で表される基で置換され、平均分子量が2,000~150,000の範囲にあるポリアミン化合物である。
【化2】
JP0004934811B2_000003t.gif
(式中、R1は水素原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、アルコキシ基、ホルミル基、カルボキシル基またはニトロ基を;R2は水素原子、ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基を;Zは1~10、好ましくは1~5、より好ましくは1~3の炭素原子を有しヒドロキシル基で置換されていてもよいアルキレン基を、それぞれ示す。)
【0012】
より詳細には、前記一般式(II)で表される基は、下記の一般式(III)又は(III’)で表される構造を有するのが好ましい。
【化3】
JP0004934811B2_000004t.gif
(式中、R1及びR2は上記と同様である。)
JP0004934811B2_000005t.gif(式中、R1及びR2は上記と同様である。)
【0013】
本発明の第3の態様は、上記のポリアミン化合物を含む溶液を基板表面に塗布し、次いで紫外線を照射してポリアミン化合物を基板上に結合させることを特徴とするポリアミンシートの製造方法である。
本発明の第4の態様は、上記の製造方法で製造されたポリアミンシートである。
【0014】
以下、詳細に説明する。
本発明において、特にことわりがない限り、ハロゲン原子とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子を;アルキル基とは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチルなどの直鎖状または分岐状のC1-6アルキル基を;アルケニル基とは、ビニル、アリル、イソプロペニルなどの直鎖状または分岐状のC2-6アルケニル基を;アルコキシ基とは、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシなどの直鎖状または分岐状のC1-6アルコキシ基を、それぞれ意味する。
また、本発明において、平均分子量は、特にことわりがない限り、重量平均分子量を意味する。
【0015】
R1のアルキル基、アルケニル基およびアルコキシ基の置換基としては、例えば、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、アルコキシ基、カルボキシル基、ニトロ基、アミノ基などが挙げられる。
また、R2のハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基としては、例えば、フルオロメチル、クロルメチル、フルオロエチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、トリクロルメチルなどが挙げられるが、好ましいものとしてトリフルオロメチルが挙げられる。
【0016】
一般式(I)の化合物として、具体的なものとして、例えば、以下の化合物が挙げられる。
【化4】
JP0004934811B2_000006t.gif

【0017】
本明細書における「ポリアミン化合物」とは、分子内に2以上のアミノ基又はイミノ基を有する化合物を意味するものとする。例えば、ポリアルキレンイミン(ポリエチレンイミンなど)、ポリアルキルアミン(ポリビニルアミン、ポリアリルアミンなど)などの合成高分子およびポリオルニチン、ポリリジンなどのポリアミノ酸が挙げられる。
【0018】
アミノ基又はイミノ基の一部が一般式(II)で表される基で置換され、平均分子量が2,000~150,000の範囲にあるポリアミン化合物として、具体的なものは、以下のポリアミン化合物(10)~(15)が挙げられる。
【0019】
・ポリアミン化合物(10)
【化5】
JP0004934811B2_000007t.gif
【化6】
JP0004934811B2_000008t.gif

【0020】
ポリアミン化合物(10)は、式(3)で表される繰返し単位と式(A)で表される繰返し単位を含み、それらのモル比は、好ましくは、1:50~1:2の範囲、より好ましくは、1:10~1:2の範囲である。
ポリアミン化合物(10)の平均分子量は、平均分子量が2,000~100,000の範囲、好ましくは5,000~80,000の範囲、より好ましくは10,000~50,000の範囲である。
【0021】
・ポリアミン化合物(11)
【化7】
JP0004934811B2_000009t.gif
【化8】
JP0004934811B2_000010t.gif

【0022】
ポリアミン化合物(11)は、式(4)で表される繰返し単位と式(B)及び/又は(B’)で表される繰返単位を含み、それらのモル比は好ましくは、1:50~1:2の範囲、より好ましくは、1:10~1:2の範囲である。また、式(B)で表される繰返し単位と式(B’)で表される繰返し単位のモル比は、例えば、100:0~0:100であることができる。
ポリアミン化合物(11)の平均分子量は、平均分子量が2,500~150,000の範囲、好ましくは2,500~120,000の範囲、より好ましくは3,000~100,000の範囲である。
【0023】
・ポリアミン化合物(12)
【化9】
JP0004934811B2_000011t.gif
【化10】
JP0004934811B2_000012t.gif

【0024】
ポリアミン化合物(12)は、式(6)で表される繰り返し単位と式(C)及び/又は(C’)で表される繰返し単位を含み、それらのモル比は、好ましくは、1:50~1:2の範囲、より好ましくは、1:10~1:2の範囲である。
また、式(C)で表される繰返し単位と式(C’)で表される繰返し単位のモル比は、例えば、100:0~0:100であることができる。
ポリアミン化合物(12)の平均分子量は、平均分子量が2,000~150,000の範囲、好ましくは2,500~120,000の範囲、より好ましくは3,000~10,000の範囲である。
【0025】
・ポリアミン化合物(13)
【化11】
JP0004934811B2_000013t.gif
【化12】
JP0004934811B2_000014t.gif

【0026】
ポリアミン化合物(13)は、式(7)で表される繰返し単位と式(A)で表される繰返し単位を含み、それらのモル比は、1:50~1:2の範囲のものが好ましい。
ポリアミン化合物(13)の平均分子量は、平均分子量が2,000~100,000の範囲、好ましくは5,000~80,000の範囲、より好ましくは10,000~50,000の範囲である。
【0027】
・ポリアミン化合物(14)
【化13】
JP0004934811B2_000015t.gif
【化14】
JP0004934811B2_000016t.gif

【0028】
ポリアミン化合物(14)は、式(8)で表される繰返し単位と式(B)及び/又は(B’)で表される繰返し単位を含み、それらのモル比は、好ましくは、1:50~1:2の範囲、より好ましくは、1:10~1:2の範囲である。
また、式(B)で表される繰返し単位と式(B’)で表される繰返し単位のモル比は、例えば、100:0~0:100であることができる。
ポリアミン化合物(14)の平均分子量は、平均分子量が2,000~150,000の範囲、好ましくは2,500~120,000の範囲、より好ましくは3,000~10,000の範囲である。
【0029】
・ポリアミン化合物(15)
【化15】
JP0004934811B2_000017t.gif
【化16】
JP0004934811B2_000018t.gif

【0030】
ポリアミン化合物(15)は、式(9)で表される繰返し単位と式(C)及び/又は(C’)で表される繰返し単位を含み、それらのモル比は、好ましくは、1:50~1:2の範囲、より好ましくは、1:10~1:2の範囲である。
また、式(C)で表される繰返し単位と式(C’)で表される繰返し単位のモル比は、例えば、100:0~0:100であることができる。
ポリアミン化合物(15)の平均分子量は、平均分子量が2,000~150,000の範囲、好ましくは2,500~120,000の範囲、より好ましくは3,000~10,000の範囲である。
【0031】
本発明の一般式(I)の化合物は、例えば以下の製造法Aによって製造することができる。
[製造法A]
【化17】
JP0004934811B2_000019t.gif

【0032】
「式中、R1は、水素原子、置換されていてもよいアルキル、アルケニルもしくはアルコキシ基、ホルミル基、カルボキシル基またはニトロ基を;R2は、水素原子、ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基を、それぞれ示す。」
一般式(2a)の化合物は、一般式(1a)の化合物をエポキシ化することにより製造できる。この反応は、エポキシドをアルデヒドより合成する公知の方法[第4版実験化学講座20、215-218、(1992)、丸善、など]で実施すればよい。具体的には、例えば、含水アセトニトリルなど溶媒中で、ジメチルスルホニウムメチリドなどにより、アルデヒドのカルボニルにメチレン単位を付加環化させればよい。
一般式(1a)の化合物は、例えば、Heterocycls, 49, 465-468(1998)及びJ. Am. Chem. Soc., 115, 3458-3474(1993)などに記載の方法、またはそれらに準じた方法により調製することができる。
【0033】
本発明のポリアミン化合物は、例えば以下の製造法B1~B3によって製造することができる。
[製造法B1]
【化18】
JP0004934811B2_000020t.gif

【0034】
「式中、R1は、水素原子、置換されていてもよいアルキル、アルケニルもしくはアルコキシ基、ホルミル基、カルボキシル基またはニトロ基を;R2は、水素原子、ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基を、それぞれ示す。」
通常、エポキシ化合物は、アミンにより求核置換反応により、温和な条件下で環開裂を伴って2-アミノアルコール誘導体を生成する。具体的に製造法B1として図示した。
本発明に使用されるポリアルキレンイミンの好ましい例としては、以下の式で示されるポリエチレンイミンが挙げられる。
【0035】
【化19】
JP0004934811B2_000021t.gif

【0036】
本発明に使用されるポリエチレンイミンとして好ましいものは、平均分子量が約10,000であり、(C6H15N3)n≒129×nとしてnは約78のものである。
【0037】
本発明に使用されるポリアルキルアミンの好ましい例としては、以下の式で示されるポリアリルアミンの塩酸塩が挙げられる。
【0038】
【化20】
JP0004934811B2_000022t.gif

【0039】
本発明に使用されるポリアリルイミン・塩酸塩として好ましいものは、平均分子量が約15,000であり、(C3H8ClN)n≒94×nとしてnは約156のものである。
【0040】
本発明に使用されるポリアミノ酸の好ましい例としては、以下の式で示されるポリ-L-リジンの臭化水素酸塩が挙げられる。
【化21】
JP0004934811B2_000023t.gif

【0041】
本発明に使用されるポリ-L-リジン・臭化水素酸塩として好ましいものは、平均分子量が約5,000~15,000であり、(C6H13BrN2O)n≒209×nとしてnは約24~72のものである。
【0042】
上記したポリアミンと一般式(2a)の化合物を、例えば、ジメチルホルムアミド-水(1:1)の混合溶媒中、50℃付近で遮光下に終夜反応させることにより、ポリアミン化合物(10)、(11)および(12)の成分である(3A)、(4A)および(5A)を製造することができる。また、この反応は、ポリアリルイミン・塩酸塩やポリ-L-リジン・臭化水素酸塩のようにポリアミンの酸性塩を使用する場合は、塩基の存在下に行うことが好ましい。反応終了後、溶媒を留去し、さらにゲル濾過などにより精製して目的のポリアミン化合物を得ることができる。
ゲル濾過におけるポリアミン化合物の溶出は、254nmおよび360nmの吸光度を測定することで確認すればよい。
なお、製造法B1においては、表記上、全てアミノ基に置換フェニル基が付加されているが、実際の本発明のポリアミン化合物は、ポリアミンの一部のアミノ基は、フリーのアミノ基(置換フェニル基が付加していないアミノ基)として存在する。
また、ポリアミン化合物(10)、(11)および(12)は、それぞれ(3A)、(4A)および(5A)とポリアルキレンイミン、ポリアルキルアミンおよびポリアミノ酸の複数の繰り返し単位からなる共重合体であり、各ポリアミン化合物における各繰り返し単位はランダムに配列する。
【0043】
[製造法B2]
【化22】
JP0004934811B2_000024t.gif

【0044】
「式中、R1は、水素原子、置換されていてもよいアルキル、アルケニルもしくはアルコキシ基、ホルミル基、カルボキシル基またはニトロ基を;R2は、水素原子、ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基を;Xは、ハロゲン原子を、それぞれ示す。」
一般式(5A)の化合物は、例えば、J. Am. Chem. Soc., 106, 7540-7545(1984) に記載された方法またはそれに準じた方法により製造することができる。具体的な化合物として、3-(4-(ブロモメチル)フェニル)-3-(トリフルオロメチル)-3H-ジアジリンが挙げられる。
【0045】
通常、ハロゲン化アルキル化合物とアミンは、塩基の存在下で求核置換反応により温和な条件下で容易に結合する。具体的に製造法B2として図示した。
製造法B2おけるポリアルキレンイミノ、ポリアルキルアミノ、ポリアミノ酸としては、例えば、ポリエチレンイミノ、ポリアリルアミン、ポリ-L-リジンなどが挙げられる。
上記したポリアミンとXが臭素である一般式(5A)の化合物を、例えば、ジメチルホルムアミド-水(1:1)の混合溶媒中、50℃付近で遮光下に終夜反応させ、反応終了後、溶媒を留去し、さらにゲル濾過などにより精製して目的のポリアミン化合物(13)、(14)および(15)の成分である(6A)、(7A)および(8A)を製造することができる。
ゲル濾過におけるポリアミン化合物の溶出は、254nmおよび360nmの吸光度を測定することで確認すればよい。
なお、製造法B2においては、表記上、全てアミノ基に置換フェニル基が付加されているが、実際の本発明のポリアミン化合物は、ポリアミンの一部のアミノ基は、フリーのアミノ基(置換フェニル基が付加していないアミノ基)として存在する。
また、ポリアミン化合物(13)、(14)および(15)は、それぞれ(6A)、(7A)および(8A)とポリアルキレンイミン、ポリアルキルアミンおよびポリアミノ酸の複数の繰り返し単位からなる共重合体であり、各ポリアミン化合物における各繰り返し単位は、ランダムに配列する。
【0046】
[製造法B3]
【化23】
JP0004934811B2_000025t.gif

【0047】
「式中、R1は、水素原子、置換されていてもよいアルキル、アルケニルもしくはアルコキシ基、ホルミル基、カルボキシル基またはニトロ基を;R2は、水素原子、ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基を;Xは、ハロゲン原子を、それぞれ示す。」
一般式(1a)の化合物は、例えば、Heterocycls, 49, 465-468(1998)に記載された方法またはそれに準じた方法により製造することができる。具体的な化合物として、4-[3-トリフルオロメチル-3H-ジアジリン-3-イル]ベンズアルデヒドが挙げられる。
【0048】
ホルミル化合物とアミンは、酸性下で反応させることにより、イミニウム化合物が生成する。これらをシアノ水素化ホウ素ナトリウム(NaCNBH3)などの還元剤を使用して還元反応を行うことにより目的のポリアミン化合物を製造することができる。具体的に製造法B3として図示した。
製造法B3おけるポリアルキレンイミノ、ポリアルキルアミノ、ポリアミノ酸としては、例えば、ポリエチレンイミノ、ポリアリルアミン、ポリ-L-リジンなどが挙げられる。
上記したポリアミンと化合物(1)を、例えば、酢酸-水-メタノール(7:1:8)の混合溶媒中、50℃付近で遮光下に1日反応させ、次いでNaCNBH3を加えた後、さらに50℃付近で遮光下に1日反応させる。
反応終了後、溶媒を留去し、さらにゲル濾過などにより精製して目的のポリアミン化合物(13)、(14)および(15)の成分である(6A)、(7A)および(8A)を製造することができる。
ゲル濾過におけるポリアミン化合物の溶出は、254nmおよび360nmの吸光度を測定することで確認すればよい。
なお、製造法B3においては、表記上、全てアミノ基に置換フェニル基が付加されているが、実際の本発明のポリアミン化合物は、ポリアミンの一部のアミノ基は、フリーのアミノ基(置換フェニル基が付加していないアミノ基)として存在する。
また、ポリアミン化合物(13)、(14)および(15)は、それぞれ(6A)、(7A)および(8A)とポリアルキレンイミン、ポリアルキルアミンおよびポリアミノ酸の複数の繰り返し単位からなる共重合体であり、各ポリアミン化合物における各繰り返し単位は、ランダムに配列する。
【0049】
[ポリアミンシートの製造方法]
本発明は、ポリアミン化合物(10)、(11)、(12)、(13)、(14)または(15)を含む溶液を基板表面に塗布し、次いで紫外線照射してポリアミン化合物を基板表面上に結合させることを含む。
アミンシートは、例えば、以下のスキームで作成することができる。なお、表記上、全てアミノ基に置換フェニル基が付加されているが、実際の本発明のポリアミン化合物は、ポリアミンの一部のアミノ基は、フリーのアミノ基(置換フェニル基が付加していないアミノ基)として存在する。
【0050】
【化24】
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【0051】
ポリアミン化合物を含む塗布液は、以下のように調製することができる。
塗布液に使用する溶媒としては、通常、水を使用すればよいが、光反応ポリアミンの溶解性などの物性により水以外の溶媒、例えば、各種緩衝液やジメチルホルムアミドなどを単独または混合して使用することができる。
ポリアミン化合物と溶媒との混合比は、ポリアミン化合物が溶解される量であれば、特に限定されないが、例えば、ポリアミン化合物(12)の場合、1mLの溶媒に0.01~10mgを溶かして用いることができる。他のポリアミン化合物の場合もほぼ同様の条件で混合することができる。
【0052】
上記塗布液は、基板表面に塗布する。基板は、その少なくとも表面が樹脂製であることが好ましい。上記のスキームに示すように、樹脂基板は、表面にメチル基を有し、このメチル基とポリアミン化合物のジアジリン基とが、紫外線照射により反応する。
【0053】
光反応基であるジアジリンは光照射により、極めて反応性の高い活性種であるカルベンが生じ、容易にアルキル鎖などの化学結合間に挿入して新たな結合を作る。従って、基本的には一般的な樹脂基板に固定化が可能であるが、上記反応スキームに示すように、表面にメチル基などを有する樹脂を用いる場合に反応性が高い。このような樹脂基板としては、ポリプロピレン、メタクリレートなど多様なものが挙げられる。
【0054】
樹脂基板の表面にポリアミン化合物を反応させるために紫外線照射する。紫外線照射についてはジアジリンの光吸収帯である350nm付近の光が必要であり、この光は、例えば、100Wブラックライトランプを用いることで得ることができる。
具体的なポリアミンシートの作成手順は、例えば、1.0mg/mLのポリアミン化合物の水溶液の適当量をポリプロピレンシートにスポッティングし乾燥させる。次いで、100Wブラックライトランプを30分間照射した後、イオン交換水、1M塩酸、超純水の順で洗浄すればよい。
【0055】
本発明において、ポリマーを光反応性であるジアジリンで修飾した光反応性ポリマーを合成し、それを固相上に載せて光をあてることで、固相の任意の場所にポリマーを共有結合させる。
本発明の反応性のポリアミンは、ポリプロピレンの光反応で焼付けでき、新しいタイプのアミンシートを作成することができる。
【発明の効果】
【0056】
(1)本発明のポリアミンシートは、ポリアミンが任意の場所にピンポイントで、しかも共有結合により固定化されているため非特異的吸着など夾雑物を徹底的な洗浄などにより除くことが可能である。また、反応は、DNAやタンパク質など通常の生体分子にはほとんど吸収されない360nm付近の光で効率よく起こり、しかも極めて早い反応のため、用いる解析系に与える影響が少ない。
(2)本発明のポリアミンシートは、スポッティング前に基板の樹脂に特別な処理をする必要が全くなく、簡便かつ迅速で低コストにDNAチップなどを作製することができる。
(3)本発明のポリアミンシートは、固定されたポリアミンが3次元的で柔軟な構造をとることで、その後の生体物質の反応系においてより液相中の環境に近くなり、しかも単位面積あたりの物質の固定化量の向上を図ることができる。
(4)本発明のポリアミンシートは、DNAを基板上に静電気的に固定する場合、オリゴマーやDNAの結合および除去をpHの調整により容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】実施例2のゲル濾過の溶出パターンを示す。
【図2】実施例3のゲル濾過の溶出パターンを示す。
【図3】実施例4のゲル濾過の溶出パターンを示す。
【図4】実施例5のゲル濾過の溶出パターンを示す。
【図5】実施例6のゲル濾過の溶出パターンを示す。
【図6】実施例7のゲル濾過の溶出パターンを示す。
【図7】実施例8のゲル濾過の溶出パターンを示す。
【図8】タンパク質のポリアミンシートへの固定の概念図。

【発明を実施するための最良の形態】
【0058】
実施例
以下、本発明を実施例および試験例で説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
なお、以下の反応式において、ポリアミン化合物は、便宜上、全てアミノ基に置換フェニル基が付加されているが、実際の本発明のポリアミン化合物は、ポリアミンの一部のアミノ基は、置換フェニル基が付加していないアミノ基として存在する。
【0059】
実施例1-1
3-(4-オキシラニルフェニル)-3-トリフルオロメチル-3H-ジアジリン(2)の合成
[3-(4-Oxiranylphenyl)-3-trifluoromethyl-3H-diazirine]
【化25】
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【0060】
トリメチルスルホニウム ヨージド0.95g 、水酸化カリウム0.52gをアセトニトリル4mLに溶かし、窒素ガス雰囲気下、60℃で10分攪拌した。4-(3-トリフルオロメチル-3H-ジアジリン-3-イル)ベンズアルデヒド1.00gを5.3mLのアセトニトリルとともに加え、水0.02gを加えた。そのまま1時間60℃、窒素ガス雰囲気下で攪拌した。エチルエーテルで抽出した後、水で2回 飽和食塩水溶液で1回洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過した。溶媒を減圧留去し、シリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン:クロロホルム=1:2,V/V)で精製し、3-(4-オキシラニルフェニル)-3-トリフルオロメチル-3H-ジアジリン0.56g(収率52%)を得た。
1H NMR (500MHz, CDCl3, 25℃):δ 7.31 (d, 2H, J=8.3Hz), 7.18 (d, 2H, J=7.9Hz), 3.81 (dd, 1H, J=2.6, 3.8Hz), 3.17 (dd,1H, J=5.6, 3.8Hz), 2.75 (dd,1H, J=2.6, 5.6Hz)
【0061】
実施例1-2
3-(3-メトキシ-4-オキシラニルフェニル)-3-トリフルオロメチル-3H-ジアジリン(2a)の合成
[3-(3-Methoxy-4-oxiranylphenyl)-3-trifluoromethyl-3H-diazirine]
【化26】
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【0062】
トリメチルスルホニウム ヨージド488mg 、水酸化カリウム224mgをアセトニトリル4mLに溶かし、窒素ガス雰囲気下、60℃で10分攪拌した。3-メトキシ-4-(3-トリフルオロメチル-3H-ジアジリン-3-イル)ベンズアルデヒド488mgを1mLのアセトニトリルとともに加え、水9μgを加えた。そのまま1時間60℃、窒素ガス雰囲気下で攪拌した。エチルエーテルで抽出した後、水で2回 飽和食塩水溶液で1回洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過した。溶媒を減圧留去し、シリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン:ジクロロメタン=3:2,V/V)で精製し、3-(3-メトキシ-4-オキシラニルフェニル)-3-トリフルオロメチル-3H-ジアジリン249mg(収率48%)を得た。
1H NMR (500MHz, CDCl3, 25℃):δ 7.17 (d, 1H, J=8.1 Hz), 6.79 (d, 1H, J=8.1 Hz), 6.62 (s, 1H), 4.16 (dd, 1H, J=2.6, 3.8 Hz), 3.87 (s, 3H), 3.15 (dd, 1H, J=3.8, 6.0 Hz), 2.64 (dd, 1H, J=2.6, 6.0 Hz).
【0063】
実施例2
光反応性ポリエチレンイミン(3) の合成
【化27】
JP0004934811B2_000029t.gif

【0064】
3-(4-オキシラニルフェニル)-3-トリフルオロメチル-3H-ジアジリン20mg、ポリエチレンイミン[平均分子量10,000、式中nは約78]11.2mg、水2mLおよびジメチルホルムアミド2mLを褐色ビンに入れ、50℃の油浴で一夜攪拌した。溶媒を完全に減圧留去し、水を4mL加えた。その溶液を1mLずつカラムでゲル濾過(溶媒;水)し、精製した。ジアジリンの吸光度を360nm、254nmでモニターし、光反応性ポリアミンのフラクションを回収し、それを凍結乾燥した。反応の進行は薄層クロマトグラフィーで確認した。
* 使用カラム;(ゲル部分) 内径0.75cm、高さ18cm、体積31.8cm3
使用ゲル;セファデックス(Sephadex)G15
フラクション;約0.7mLずつ試験管にとった
溶出パターンを図1に示す。
【0065】
実施例3
光反応性ポリアリルアミン(4) の合成
【化28】
JP0004934811B2_000030t.gif

【0066】
3-(4-オキシラニルフェニル)-3-トリフルオロメチル-3H-ジアジリン20mg、ポリアリルアミン・塩酸塩[平均分子量15,000、式中nは約156]8.2mg、ジイソプロピルエチルアミン22.6mg、水2mLおよびジメチルホルムアミド2mLを褐色ビンに入れ、50℃の油浴で一夜攪拌した。溶媒を完全に減圧留去し、水4mLを加えた。その溶液を1mLずつカラムでゲル濾過(溶媒;水)し、精製した。ジアジリンの吸光度を360nm、254nmでモニターし、光反応性ポリアミンのフラクションを回収し、それを凍結乾燥した。反応の進行は薄層クロマトグラフィーで確認した。
* 使用カラム;(ゲル部分) 内径0.75cm、高さ18cm、体積31.8cm3
使用ゲル;セファデックスG15
フラクション;約0.7mLずつ試験管にとった。
溶出パターンを図2に示す。
【0067】
実施例4
光反応性ポリ-L-リジン(6) の合成
【化29】
JP0004934811B2_000031t.gif

【0068】
3-(4-オキシラニルフェニル)-3-トリフルオロメチル-3H-ジアジリン40mg、ポリ-L-リジン・臭素水素酸塩[平均分子量5,000~15,000、式中nは約24-72]36.6mg、ジイソプロピルエチルアミン45.3mg、水4mLおよびジメチルホルムアミド4mLを褐色ビンに入れ、50℃の油浴で一夜攪拌した。溶媒を完全に減圧留去し、水8mLを加えた。その溶液を2mLずつカラムでゲル濾過(溶媒;水)し、精製した。ジアジリンの吸光度を360nm、254nmでモニターし、光反応性ポリアミンのフラクションを回収し、それを凍結乾燥した。反応の進行は薄層クロマトグラフィーで確認した。また、光反応性ポリ-L-リジンの元素分析を行った (表1)。
* 使用カラム;(ゲル部分) 内径 0.75cm、高さ 36cm、体積 63.6cm3
使用ゲル;セファデックス G15
フラクション;約1mlずつ試験管にとった。
溶出パターンを図3に示す。
【0069】
【表1】
JP0004934811B2_000032t.gif

【0070】
吸光度
・光反応性ポリアミン1.20mg/水1.0mLを10倍希釈したものの吸光度;0.0806
・ジアジリン-エポキシドのεの値;151
(波長;356nm)(溶媒;水:メタノール=4:1)
上記の2つの値と式A=εclより
ジアジリンによるポリアミンの修飾率; 4.44×10-3mol/1.00mg
【0071】
実施例5
光反応性ポリエチレンイミン(7) の合成
【化30】
JP0004934811B2_000033t.gif

【0072】
3-(4-(ブロモメチル)フェニル)-3-トリフルオロメチル-3H-ジアジリン20mg、ポリエチレンイミン9.2mg、水2mLおよびジメチルホルムアミド2mLを褐色ビンに入れ、50℃の油浴で一夜攪拌した。溶媒を完全に減圧留去し、水4mLを加えた。その溶液を1mLずつカラムでゲル濾過(溶媒;水)し、精製した。ジアジリンの吸光度を360nm、254nmでモニターし、光反応性ポリアミンのフラクションを回収し、それを凍結乾燥した。反応の進行は薄層クロマトグラフィーで確認した。
* 使用カラム;(ゲル部分) 内径0.75cm、高さ18cm、体積31.8cm3
使用ゲル;セファデックスG15
フラクション;約0.7mlずつ試験管にとった。
溶出パターンを図4に示す。
【0073】
実施例6
光反応性ポリアリルアミン(8) の合成
【化31】
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【0074】
3-(4-(ブロモメチル)フェニル)-3-トリフルオロメチル-3H-ジアジリン20mg、ポリアリルアミン・塩酸塩6.6mg、水2mLおよびジメチルホルムアミド2mLを褐色ビンに入れ、50℃の油浴で一夜攪拌した。溶媒を完全に減圧留去し、水4mLを加えた。その溶液を1mLずつカラムでゲル濾過(溶媒;水)し、精製した。ジアジリンの吸光度を360nm、254nmでモニターし、光反応性ポリアミンのフラクションを回収し、それを凍結乾燥した。反応の進行は薄層クロマトグラフィーで確認した。
*使用カラム;(ゲル部分) 内径0.75cm、高さ18cm、体積31.8cm3
使用ゲル;セファデックスG15
フラクション;約0.7mlずつ試験管にとった。
溶出パターンを図5に示す。
【0075】
実施例7
光反応性ポリ-L-リジン(9) の合成
【化32】
JP0004934811B2_000035t.gif

【0076】
3-(4-(ブロモメチル)フェニル)-3-トリフルオロメチル-3H-ジアジリン20mg、ポリ-L-リジン・臭素水素酸塩15.1mg、水2mLおよびジメチルホルムアミド2mLを褐色ビンに入れ、50℃の油浴で一夜攪拌した。溶媒を完全に減圧留去し、水4mLを加えた。その溶液を1mLずつカラムでゲル濾過(溶媒;水)し、精製した。ジアジリンの吸光度を360nm、254nmでモニターし、光反応性ポリアミンのフラクションを回収し、それを凍結乾燥した。反応の進行は薄層クロマトグラフィーで確認した。
*使用カラム;(ゲル部分) 内径0.75cm、高さ18cm、体積31.8cm3
使用ゲル;セファデックスG15
フラクション;約0.7mlずつ試験管にとった。
溶出パターンを図6に示す。
【0077】
実施例8
光反応性ポリエチレンイミン(7) の合成
【化33】
JP0004934811B2_000036t.gif

【0078】
ポリエチレンイミン17mg、酢酸700μLおよび水100μLを褐色ビンに入れ、ビンを振りポリエチレンイミンを溶解させた。ついで、4-[3-トリフルオロメチル-3H-ジアジリン-3-イル]ベンズアルデヒド28mgおよびメタノール800μLを加え、50℃の油浴で24時間攪拌した後、溶媒を減圧留去した。窒素ガス雰囲気下で、シアノ水素化ホウ素ナトリウムをスパチュラー約1杯分およびメタノール1.6mLを加え、50℃の油浴で24時間攪拌した。溶媒を完全に減圧留去し、水1mLを加えた。その溶液をカラムでゲル濾過(溶媒;水)し精製した。ジアジリンの吸光度を360nmおよび254nmでモニターし、光反応性ポリアミンのフラクションを回収し、それを凍結乾燥した。反応の進行は薄層クロマトグラフィーで確認した。
* 使用カラム;(ゲル部分) 内径0.75cm、高さ18cm、体積31.8cm3
使用ゲル;セファデックスG15
フラクション;約1mLずつ試験管にとった。
溶出パターンを図7に示す。
【0079】
実施例9
アミンシートの作製
【化34】
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【0080】
化合物(3)を水に溶かしたもの10μLをポリプロピレンのシート(厚さ:0.2cm、横:3.5cm、縦:3.0cm)にのせ、ドラフト内で乾燥させた。次いで紫外線ランプを用い、シートの上下から4cmの間隔で30分間、紫外線照射した。シートをイオン交換水で激しく洗浄、1M塩酸で洗い流し、超純水(Milli-Q装置,ミリポア社製)で洗い流して、本発明のポリアミンシートを得た。ニンヒドリン反応によってシート上にポリアミンが固定されたことを確認した。
【0081】
試験例1
タンパク質のポリアミンシートへの固定(概念図を図8に示す)
DIA-ポリエチレンイミンの1%(W/V)水溶液5μL、西洋ワサビパーオキシダーゼ(HRP)の1%(W/V)水溶液5μLの混合液を、ポリプロピレンシート状にスポッティングし減圧下20分間乾燥した。次いで、紫外線を照射(360nm,15W×2で60分)した後、緩衝液中で1分間超音波洗浄した。
ルミノール発光によって、シート上に固定化されたHRPの活性を確認した。
【産業上の利用可能性】
【0082】
生理活性物質の有効な構造・機能解析法である光アフィニティー法で汎用されているジアジリン基をポリアミンに導入した光反応性高分子を製造した。ポリプロピレンなど固相上にスポットし光照射を行うことによって共有結合によりポリアミンを固定化できる。このリソグラフィーにより化学的に反応性が乏しい樹脂表面でも任意の場所に官能基構築を可能とする。


図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7