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明細書 :脳画像生成装置、脳画像生成方法、及びプログラム

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第6056060号 (P6056060)
公開番号 特開2014-123285 (P2014-123285A)
登録日 平成28年12月16日(2016.12.16)
発行日 平成29年1月11日(2017.1.11)
公開日 平成26年7月3日(2014.7.3)
発明の名称または考案の名称 脳画像生成装置、脳画像生成方法、及びプログラム
国際特許分類 G06T   1/00        (2006.01)
A61B   5/05        (2006.01)
A61B   5/00        (2006.01)
FI G06T 1/00 290Z
A61B 5/05 A
A61B 5/00 G
請求項の数または発明の数 6
全頁数 10
出願番号 特願2012-279606 (P2012-279606)
出願日 平成24年12月21日(2012.12.21)
審査請求日 平成27年10月23日(2015.10.23)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504160781
【氏名又は名称】国立大学法人金沢大学
発明者または考案者 【氏名】林 則夫
【氏名】菊知 充
【氏名】真田 茂
【氏名】三邉 義雄
【氏名】上野 沙奈絵
【氏名】下道 喜代美
個別代理人の代理人 【識別番号】100137394、【弁理士】、【氏名又は名称】横井 敏弘
審査官 【審査官】村松 貴士
参考文献・文献 特開2006-314778(JP,A)
特開2006-026066(JP,A)
調査した分野 G06T 1/00
A61B 5/00
A61B 5/04 - 5/055
A61B 10/00
特許請求の範囲 【請求項1】
頭表の形状を示す頭表データと、脳画像とを互いに関連付けて格納する脳画像格納手段と、
被験者の頭表データを取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された頭表データに基づいて、前記脳画像格納手段により格納されている脳画像を選択する選択手段と、
前記選択手段により選択された脳画像に関連付けられた頭表データと、前記取得手段により取得された頭表データとの差分に基づいて、前記選択手段により選択された脳画像を変形させる変形手段と
を有し、
前記選択手段は、取得された1つの頭表データについて、複数の脳画像を選択し、
前記変形手段は、1つの頭表データについて、選択された複数の脳画像それぞれを変形させ、
1つの頭表データについて前記変形手段により変形された複数の脳画像の中から、脳回のズレに基づいて、適用すべき脳画像を確定させる確定手段
をさらに有する脳画像生成装置。
【請求項2】
前記取得手段は、複数の方向から、被験者の頭部を撮影して得られた三次元画像から、三次元の頭表データを取得する
請求項1に記載の脳画像生成装置。
【請求項3】
前記選択手段は、前記取得手段により取得された被験者の頭表データと、前記脳画像格納手段に格納されている頭表データとに基づいて、テンプレートマッチング法により脳画像を選択する
請求項2に記載の脳画像生成装置。
【請求項4】
前記変形手段により変形された脳画像に、脳機能の測定結果をマッピングするマッピング手段
をさらに有し、
前記確定手段は、前記マッピング手段により脳機能の測定結果がマッピングされた脳画像に基づいて、脳回のズレを特定し、特定されたズレに基づいて、適用すべき脳画像を確定させる
請求項に記載の脳画像生成装置。
【請求項5】
被験者の頭表データを取得するステップと、
頭表の形状を示す頭表データと、脳画像とが互いに関連付けられたデータベースから、取得された頭表データに基づいて、テンプレートとなる脳画像を選択するステップと、
選択された脳画像に関連付けられた頭表データと、取得された頭表データとの差分に基づいて、テンプレートとして選択された脳画像を変形させるステップと
を有し、
前記脳画像を選択するステップにおいて、取得された1つの頭表データについて、複数の脳画像を選択し、
前記脳画像を変形させるステップにおいて、1つの頭表データについて、選択された複数の脳画像それぞれを変形させ、
1つの頭表データについて、前記脳画像を変形させるステップにより変形された複数の脳画像の中から、脳回のズレに基づいて、適用すべき脳画像を確定させるステップ
をさらに有する脳画像生成方法。
【請求項6】
被験者の頭表データを取得するステップと、
頭表の形状を示す頭表データと、脳画像とが互いに関連付けられたデータベースから、取得された頭表データに基づいて、テンプレートとなる脳画像を選択するステップと、
選択された脳画像に関連付けられた頭表データと、取得された頭表データとの差分に基づいて、テンプレートとして選択された脳画像を変形させるステップと
をコンピュータに実行させ、
前記脳画像を選択するステップにおいて、取得された1つの頭表データについて、複数の脳画像を選択し、
前記脳画像を変形させるステップにおいて、1つの頭表データについて、選択された複数の脳画像それぞれを変形させ、
1つの頭表データについて、前記脳画像を変形させるステップにより変形された複数の脳画像の中から、脳回のズレに基づいて、適用すべき脳画像を確定させるステップ
をさらにコンピュータに実行させるプログラム。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、脳画像生成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、3次元頭部画像上における任意の頭表上基準点とその直下の脳表位置の関係について任意の標準脳座標空間に対する正規化前後の対応関係を記載した参照脳データベースを構築し、経頭蓋的脳機能測定・刺激法における測定・刺激点の頭表位置情報を各参照脳上で仮想的に標準脳座標系に仮想正規化し、この作業結果を統計的に解析する経頭蓋的脳機能測定・刺激点の空間解析方法が開示されている。
【先行技術文献】
【0003】

【特許文献1】特開2007-185491号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、簡易な手順で脳画像を生成する脳画像生成装置を提供する。例えば、脳磁計(MEG)や近赤外線スペクトロスコピー(NIRS)で、幼児に対してもストレスを与えることなしに、簡単に脳機能評価を行えるようになってきている。しかしながら、MEGやNIRS単独では、脳のどこを測っているのかがわからない。
また、成人に対しては、位置合わせ用のMRI検査が施行されているが、小児では鎮静処置等を必要とするため、MRI画像の取得が難しい。
また、上記特許文献1の方法では、数点程度の基準点を設定しているが、小児の実MRI画像と対比して評価すると、その誤差が問題となりうる。これは、技師の個人差などで生じる誤差、基準点の不足による誤差などが原因と考えられる。その他、センサを小児がはずす恐れもある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る脳画像生成装置は、頭表の形状を示す頭表データと、脳画像とを互いに関連付けて格納する脳画像格納手段と、被験者の頭表データを取得する取得手段と、前記取得手段により取得された頭表データに基づいて、前記脳画像格納手段により格納されている脳画像を選択する選択手段と、前記選択手段により選択された脳画像に関連付けられた頭表データと、前記取得手段により取得された頭表データとの差分に基づいて、前記選択手段により選択された脳画像を変形させる変形手段とを有する。
【0006】
好適には、前記取得手段は、複数の方向から、被験者の頭部を撮影して得られた三次元画像から、三次元の頭表データを取得する。三次元画像から、多数の頭表データの取得が可能になり、誤差が小さくなることが期待できる。
【0007】
好適には、前記選択手段は、前記取得手段により取得された被験者の頭表データと、前記脳画像格納手段に格納されている頭表データとに基づいて、テンプレートマッチング法により脳画像を選択する。例えば、脳画像格納手段に、数十例の症例をテンプレートとして格納することにより、適切なテンプレートを自動的に選択可能となる。
【0008】
好適には、前記選択手段は、取得された1つの頭表データについて、複数の脳画像を選択し、前記変形手段は、1つの頭表データについて、選択された複数の脳画像それぞれを変形させ、1つの頭表データについて前記変形手段により変形された複数の脳画像の中から、脳回のズレに基づいて、適用すべき脳画像を確定させる確定手段をさらに有する。
【0009】
好適には、前記変形手段により変形された脳画像に、脳機能の測定結果をマッピングするマッピング手段をさらに有し、前記確定手段は、前記マッピング手段により脳機能の測定結果がマッピングされた脳画像に基づいて、脳回のズレを特定し、特定されたズレに基づいて、適用すべき脳画像を確定させる。
【0010】
また、本発明に係る脳画像生成方法は、被験者の頭表データを取得するステップと、頭表の形状を示す頭表データと、脳画像とが互いに関連付けられたデータベースから、取得された頭表データに基づいて、テンプレートとなる脳画像を選択するステップと、選択された脳画像に関連付けられた頭表データと、取得された頭表データとの差分に基づいて、テンプレートとして選択された脳画像を変形させるステップとを有する。
【0011】
また、本発明に係るプログラムは、被験者の頭表データを取得するステップと、頭表の形状を示す頭表データと、脳画像とが互いに関連付けられたデータベースから、取得された頭表データに基づいて、テンプレートとなる脳画像を選択するステップと、選択された脳画像に関連付けられた頭表データと、取得された頭表データとの差分に基づいて、テンプレートとして選択された脳画像を変形させるステップとをコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、頭表上に基準点などを設定することなしに、簡易な手順で脳画像を生成できる。例えば、手早く、被験者に非接触で数万点の頭表の三次元データを取得することが期待できる。また、テンプレートを40以上に増やし、数万点の頭表データで比較するため、適切なテンプレートを選択でき、誤差が小さくなることが期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】脳画像生成システム1の概要を例示する図である。
【図2】脳画像生成プログラム100の機能構成を例示する図である。
【図3】脳画像生成処理(S10)を説明するフローチャートである。
【図4】(A)は、撮影装置20により撮影された三次元画像を例示し、(B)は、テンプレートの脳画像の変形を例示する図である。
【図5】MEGデータがマッピングされた脳画像(変形済み)を例示する図である。
【図6】脳回のズレを例示する図である。
【図7】手動で基準点を設定する比較例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】【実施例1】
【0014】
図1は、脳画像生成システム1の概要を例示する図である。
図1に例示するように、脳画像生成システム1は、脳画像生成装置10、撮影装置20、及び信号ケーブル40からなる。
脳画像生成装置10は、被験者の頭部を撮影する撮影装置20と、信号ケーブル40を介して接続されている。
脳画像生成装置10は、CPU及び記憶媒体などを備えるコンピュータであり、脳画像生成プログラム100(図2を用いて後述)がインストールされている。
撮影装置20は、被験者の頭部を複数の方向から撮影して、頭部の三次元画像データを生成する。撮影装置20は、例えば、非接触式の三次元デジタイザである。
【実施例1】
【0015】
図2は、脳画像生成プログラム100の機能構成を例示する図である。
図2に例示するように、脳画像生成プログラム100は、入力部102と、選択部104と、変形部106と、マッピング部108と、確定部110とを有する。なお、脳画像生成プログラム100は、脳画像生成装置10のハードウェア資源(CPU、及び記憶媒体など)を利用して実行される。また、脳画像生成プログラム100は、一部又は全部をASIC等のハードウェアにより実現されてもよい。
なお、脳画像生成装置10には、脳画像データベース120が設けられており、このデータベースは脳画像生成プログラム100から参照される。脳画像データベース120には、テンプレートとなる複数の脳画像データが、それぞれの頭表データに関連付けて格納されている。脳画像データベース120は、本発明に係る脳画像格納手段の一例である。
【実施例1】
【0016】
入力部102は、本発明に係る取得手段の一例であり、被験者の頭表の形状を示す頭表データを取得する。本例の入力部102は、撮影装置20により撮影された頭部の三次元画像から、1万点以上の頭表データを取得する。本例では、10万点程度の頭表データが取得される場合を具体例として説明する。
本例の入力部102は、上記に加えて、被験者の脳機能に関する測定結果(MEGデータ又はNIRSデータ)を、外部(MEG又はNIRSの測定装置)から取得する。
【実施例1】
【0017】
選択部104は、入力部102により取得された被験者の頭表データに基づいて、脳画像データベース120から、テンプレートとなる頭表データ及び脳画像データを選択する。より具体的には、選択部104は、入力部102により取得された被験者の頭表データと、脳画像データベース120に登録されているテンプレートの頭表データとに基づいて、テンプレートマッチング法により、形状が近似する頭表の頭表データ及び脳画像データをテンプレートとして選択する。
【実施例1】
【0018】
変形部106は、選択部104により選択された脳画像データを、入力部102により取得された被験者の頭表データと、テンプレートの頭表データとの差分に基づいて変形させる。より具体的には、変形部106は、テンプレートの頭表形状が被験者の頭表形状とするような画像変形(最小二乗法とアフィン変換、ワーピング変形など)を、テンプレートの脳画像に施す。
【実施例1】
【0019】
マッピング部108は、変形部106により変形されたテンプレートの脳画像に、脳機能の測定結果をマッピングする。本例のマッピング部108は、入力部102により取得されたMEGデータ又はNIRSデータを、変形部106により変形させたテンプレートの脳画像にマッピングする。
【実施例1】
【0020】
確定部110は、変形部106により変形されたテンプレートの脳画像それぞれについて、脳回のズレを評価し、ズレの評価値に基づいて、適用すべき脳画像を確定させる。
【実施例1】
【0021】
図3は、脳画像生成処理(S10)を説明するフローチャートである。
図3に例示するように、ステップ100(S100)において、オペレータは、撮影装置20の撮影位置で、被験者の頭部を撮影する。
入力部102(図2)は、撮影装置20(本例では、三次元デジタイザ)により撮影された三次元画像(図4(A))を取得する。
【実施例1】
【0022】
ステップ110(S110)において、入力部102は、取得された三次元画像データに基づいて、頭部の重心から前後、左右、上下方向の距離、頭部の体積及び形状などを頭表データとして算出する。
【実施例1】
【0023】
ステップ120(S120)において、選択部104は、被験者の既知情報(国籍、年齢、及び性別など)と、入力部102により取得された被験者の頭表データとに基づいて、脳画像データベース120から、これらの頭表データが近似するテンプレートの脳画像及び頭表データを読み出す。
【実施例1】
【0024】
ステップ130(S130)において、変形部106は、選択部104により選択されたテンプレートの脳画像を、このテンプレートの頭表データと、被験者の頭表データとが近づくように、剛体変換(拡大、縮小、平行移動、回転)させる。
【実施例1】
【0025】
ステップ140(S140)において、変形部106は、さらに、被験者の頭表データと、テンプレートの頭表データとに基づいて、剛体変換されたテンプレートの脳画像を、テンプレートマッチング法により位置合わせを行う。
【実施例1】
【0026】
ステップ150(S150)において、変形部106は、テンプレートの頭表データと、被験者の頭表データとから、最小二乗法によりアフィン変換の変換係数を求めて、図4(B)に例示するように、頭表の位置ズレが小さくなるようにテンプレートの脳画像を線形変換させる。なお、変形部106は、ワーピング技術により、テンプレートの脳画像を非線形変換させてもよい。
【実施例1】
【0027】
ステップ160(S160)において、マッピング部108は、図5に例示するように、変形部106により変形されたテンプレートの脳画像に、MEGデータ又はNIRSデータをマッピングする。
【実施例1】
【0028】
ステップ170(S170)において、確定部110は、MEGデータ又はNIRSデータがマッピングされた脳画像の脳回のズレを評価し、評価値を生成する。図6は、脳回のズレを例示する図である。
脳画像生成プログラム100は、複数のテンプレートに対して、S120~S170の処理を繰り返し、これらのテンプレートの評価値に基づいて、誤差が最も小さいテンプレート(変形済み)を、適用すべき脳画像として確定させる。
【実施例1】
【0029】
以上説明したように、本実施形態の脳画像生成システム1は、40例以上の臨床MRIデータ及びその頭表データをテンプレートとして脳画像データベース120に登録しておき、非接触式の三次元デジタイザ(撮影装置20)を用いて、被験者の頭表データ(数万点の三次元データ)を取得し、テンプレートマッチング法により、頭表データが近似するテンプレートを脳画像データベース120から選択し、選択されたテンプレートの脳画像を、被験者の頭部形状(頭表データ)に合わせて変形させる。さらに、脳画像生成システム1は、変形させた脳画像に、MEGデータ又はNIRSデータをマッピングする。
【実施例1】
【0030】
図7は、比較例を説明する図である。
図7に例示するように、被験者の頭表に、5点程度の基準点を手動で設定し、設定された基準点に基づいて、撮影済みMRIデータ(テンプレート)を変形させる。
しかしながら、この比較例では、頭部という体表のランドマークを決めることが難しい部位において、5点の座標を手動で設定するため、技師の個人差などで誤差が生じてしまう。また、基準点に設置されたセンサを小児がはずしてしまう恐れもある。また、5点のみで画像を変形させるため、テンプレートと頭のサイズがかけ離れていると収束せず誤差が大きくなってしまう。
また、標準脳画像を用いる例も存在するが、標準脳画像は成人用として作成されたものであるため、頭や脳の形状の差が大きい小児の場合、収束せずに誤差が大きくなる。なお、小児用の標準脳画像は出願時において存在しない。
【実施例1】
【0031】
一方、上記実施形態の脳画像生成システム1は、被験者に非接触で数万点の頭表の三次元データを取得でき、これらに基づいて、40以上のテンプレートの中から、適切なテンプレートを選択し、選択されたテンプレートを多数の頭表データに基づいて変形させるため、誤差を小さくできる。特に、MEGやNIRSの評価では、10mm以下の誤差であることが望ましいが、上記脳画像生成システム1であれば、10mm以下の誤差が達成できる。
また、上記の脳画像生成システム1によれば、被験者に非接触で、簡易な手順で脳画像を生成できる。特に、MRIを使用しないので小児への負担が軽減され、小児の脳内の特定病巣を同定できる。
【符号の説明】
【0032】
10 脳画像生成装置
20 撮影装置
100 脳画像生成プログラム
102 入力部
104 選択部
106 変形部
108 マッピング部
110 確定部
120 脳画像データベース
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6