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明細書 :太陽電池の異常状態検出方法およびその装置、並びに、当該装置を有する太陽光発電システム

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2014-165277 (P2014-165277A)
公開日 平成26年9月8日(2014.9.8)
発明の名称または考案の名称 太陽電池の異常状態検出方法およびその装置、並びに、当該装置を有する太陽光発電システム
国際特許分類 H01L  31/04        (2014.01)
G01R  31/26        (2014.01)
FI H01L 31/04 K
G01R 31/26 F
請求項の数または発明の数 6
出願形態 OL
全頁数 13
出願番号 特願2013-033614 (P2013-033614)
出願日 平成25年2月22日(2013.2.22)
発明者または考案者 【氏名】板子 一隆
【氏名】工藤 嗣友
出願人 【識別番号】391022614
【氏名又は名称】学校法人幾徳学園
個別代理人の代理人 【識別番号】100094053、【弁理士】、【氏名又は名称】佐藤 隆久
審査請求 未請求
テーマコード 2G003
5F151
Fターム 2G003AA06
2G003AB01
2G003AH10
5F151KA08
5F151KA09
要約 【課題】太陽電池(PV)モジュール内の太陽電池セルの欠陥、ホットスポット現象などを有効に検出する。
【解決手段】PVモジュール10の端子を短絡する短絡用スイッチング素子11と、電流計12と、制御・検出装置14とを有し、制御・検出装置14は、前記PVモジュールの検査時、所定の光が前記PVモジュールに照射される状態で、前記短絡用スイッチング素子を動作して、前記PVモジュールの両端を短絡または短絡状態にし、その時の電流検出手段の読みを、公称短絡電流ISCとして入力し、前記PVモジュールを構成する複数の太陽電池セルの1個を遮光させ、その時の電流検出手段の読みを、遮光時短絡電流Ixとして入力し、電流比=遮光時短絡電流Ix/公称短絡電流ISCを計算し、前記電流比が、他の電流比に対して、大きい場合、または、所定の値により大きい場合、そのPVモジュールに欠陥があると判別する。
【選択図】図2
特許請求の範囲 【請求項1】
太陽電池(PV)モジュールの端子を短絡する短絡用スイッチング素子と、
前記短絡用スイッチング素子に接続された、電流検出手段と、
制御・検出装置と
を有し、
前記制御・検出装置は、
前記PVモジュールの検査時、
所定の光が前記PVモジュールに照射される状態で、前記短絡用スイッチング素子を動作して、前記PVモジュールの両端を短絡または短絡状態にし、その時の電流検出手段の読みを、公称短絡電流ISCとして入力し、
前記PVモジュールを構成する複数の太陽電池セルの1個を遮光させ、その時の電流検出手段の読みを、遮光時短絡電流Ix として入力し、
電流比=遮光時短絡電流Ix/公称短絡電流ISCを計算し、
前記電流比が、他の電流比に対して、大きい場合、または、所定の値により大きい場合、そのPVモジュールに欠陥があると判別する、
太陽電池の異常状態検出装置。
【請求項2】
太陽電池(PV)モジュールの端子を短絡する短絡用スイッチング素子と、
前記短絡用スイッチング素子に接続された、逆方向電流検出手段と、
制御・検出装置と
を有し、
前記制御・検出装置は、
前記PVモジュールの検査時、
所定の光が前記PVモジュールに照射される状態で、前記短絡用スイッチング素子を動作して、前記PVモジュールの両端を短絡または短絡状態にし、前記PVモジュールを構成する複数の太陽電池セルの1個を遮光させ、その時の逆方向電流検出手段の読みを入力し、
入力した電流値が逆方向であるとき、そのPVモジュールに欠陥があると判別する、 太陽電池の異常状態検出装置。
【請求項3】
太陽電池(PV)モジュールの端子を短絡する短絡用スイッチング素子と、前記短絡用スイッチング素子に接続された、電流検出手段とを有する太陽光発電システムにおいて、 前記PVモジュールの検査時、
所定の光が前記PVモジュールに照射される状態で、前記短絡用スイッチング素子を動作して、前記PVモジュールの両端を短絡または短絡状態にし、その時の電流検出手段の読みを、公称短絡電流ISCとして入力し、
前記PVモジュールを構成する複数の太陽電池セルの1個を遮光させ、その時の電流検出手段の読みを、遮光時短絡電流Ixとして入力し、
電流比=遮光時短絡電流Ix/公称短絡電流ISCを計算し、
前記電流比が、他の電流比に対して、大きい場合、または、所定の値により大きい場合、そのPVモジュールに欠陥があると判別する、
太陽電池の異常状態検出方法。
【請求項4】
太陽電池(PV)モジュールの端子を短絡する短絡用スイッチング素子と、前記短絡用スイッチング素子に接続された、逆方向電流検出手段とを有する太陽光発電システムにおいて、
前記PVモジュールの検査時、
所定の光が前記PVモジュールに照射される状態で、前記短絡用スイッチング素子を動作して、前記PVモジュールの両端を短絡または短絡状態にし、前記PVモジュールを構成する複数の太陽電池セルの1個を遮光させ、その時の逆方向電流検出手段の読みを入力し、
入力した電流値が逆方向であるとき、そのPVモジュールに欠陥があると判別する、 太陽電池の異常状態検出方法。
【請求項5】
請求項1に記載の太陽電池の異常状態検出装置、または、請求項2に記載の太陽電池の異常状態検出装置を有する太陽光発電システム。
【請求項6】
当該太陽光発電システムは、最大電力動作点を追跡制御(MPPT制御)手段を有する、請求項5に記載の太陽光発電システム。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池(PV)パネルを構成する太陽電池(PV)モジュールの異常検出、好ましくは、太陽電池(PV)パネルを構成している太陽電池(PV)セルの異常を検出する方法と装置に関する。
また本発明は、そのような装置を有する太陽光発電システムに関する。
【0002】
本明細書において、太陽電池(PV)セル、太陽電池(PV)モジュール、太陽電池(PV)パネルを総称して、あるいは、これらを区別しない場合、単に、太陽電池という。
【背景技術】
【0003】
太陽光発電の進展に伴い、長期間運転する太陽光発電システムにおける、PVパネルを構成している各PVモジュールの異常検出(または、故障検出)、可能ならば、さらに、各PVモジュールを構成している各PVセルの異常検出(または、故障検出)が望まれている。
さらに、可能ならば、そのような太陽光発電システムの運用中に、上述した、PVパネルを構成している各PVモジュールの異常検出(または、故障検出)、可能ならば、さらに、各PVモジュールを構成している各PVセルの異常検出(または、故障検出)が望まれている。
【0004】
太陽電池、たとえば、PVモジュールの異常状態としては、PVモジュールまたは各PVモジュールを構成しているPVセルの特性劣化状態、故障状態がある。
また、PVモジュールの異常状態としては、PVモジュールに落ち葉、塵芥などが付着したことに起因するPVモジュールからの一時的な発電量の低下現象がある。
さらに、PVモジュールの異常状態としては、PVモジュールが日陰になることによる、PVモジュールの発電量の低下現象がある。
また、PVモジュールの異常状態としては、PVモジュールの一部が日陰(影)になると、ホットスポット現象が起こることがある。
【0005】
ホットスポット現象とは、PVモジュールの一部に影がかかり、影がかかったPVセルの出力電圧が低下するため、バイパスダイオードの働きで、影がかかっていない出力のある他のPVセル群の出力電圧によって、影がかかっているPVセルが逆バイアスされ、そのセル内部の局所的な発熱により高温になる現象をいう。
【0006】
図1を参照して、ホットスポット現象を詳述する。
図1は太陽電池(PV)モジュールに部分的な影ができたときの電流経路を示す。
部分影にあるPVモジュール101は電流が制限されるため、並列に接続されたバイパスダイオードに電流が流れ、PVモジュール101に直列に接続された影がない部分のPVモジュール102の太陽電池(PV)セル群の出力電圧によって、影がかかっているPVモジュール101は逆バイアスされる。
【0007】
また、上述したPVモジュールの一部が日陰になった場合のほか、PVモジュールを構成している一部のPVセルの不良によっても、その部分で逆バイアスが発生し、ホットスポット現象が発生する可能性がある。
【0008】
通常、PVセルは、その構造から数百V程度の耐圧があるので、逆バイアスがかかっても問題はない。しかしながら、PVセルに欠陥があると、その暗状態でのI-V特性において、通常のダイオード特性のように逆方向リーク電流が微小ではなく、殆どの場合、大きな逆電流方向の電流が流れる。このPVセルの欠陥を事前に検出してそのPVセルを排除することができれば、ホットスポット現象を軽減することができる。
【0009】
また、メガソーラーなどの大容量の太陽光発電システムにおいては、故障を避けるために発電量を犠牲にしてバイパスダイオードを取り付けない場合がある。この場合、影がかかったストリングのPVモジュールの電力は殆どゼロになってしまい、大幅に出力電力が低下するという問題がある。
【0010】
以上から、太陽光発電システムにおいて、上述した故障(または異常)のPVセルを迅速に、可能ならば、未然に、検出することが望まれている。
【0011】
特開2012-169447号公報(特許文献1)は、最大電力動作点を追跡制御(MPPT制御)するパワーコンディショナ(電力調整装置)を有する太陽光発電システムにおいて、パワーコンディショナを制御してPVパネルの出力電流を0Aから、出力電圧を0Vまで変化させて、この変化における出力電流と出力電圧の変化状態から、PVパネル全体の状態を検出する発明を開示している。
しかしながら、この発明では、各PVモジュールごとの異常を検出することができない。さらに、太陽光発電システムの運用への障害となる。
【0012】
特開2012-94751号公報(特許文献2)は、落ち葉の付着やタブ線の断線などに起因して発電量が低下しているPVモジュールごとに、低消費電力で、特定する方法として、各PVモジュールごとに、バイパスダイオードと並列に、抵抗器と、発光ダイオードを直列に接続した発電状態監視手段を設けた太陽光発電システムを開示している。この太陽光発電システムにおいては、PVモジュールが正常に発電している時は、発電状態監視手段が順方向にバイアスされて発光ダイオードを発光させ、他方、PVモジュールが発電不能時は発電状態監視手段が逆方向にバイアスされて発光ダイオードが消灯する。したがって、各PVモジュールごとの発電状態監視手段の発光ダイオードの点灯/消灯状態を監視すると、太陽光発電システムの運転中でも、各PVモジュールの状態を監視することができる。
しかしながら、この発明は、照射される太陽光の強度と比較して発電状態監視手段の発光ダイオードの発光量には限度があり、太陽電池モジュールに太陽光が照射され、そして、太陽光の反射もある、屋外で、各PVモジュールごとに設けられた発電状態監視手段の発光ダイオードの点灯/消灯状態を肉眼で識別することは難しい。
【0013】
特開2010-245410号公報(特許文献3)は、PVモジュール全体に光が当たっている場合のPVモジュールの基準のI-V特性を測定しておき、所望のセルだけを影で覆った場合のPVモジュールの部分影のI-V特性を測定し、基準のI-V特性と部分影のI-V特性とを対比して、部分影の状態を検出する発明を開示している。
しかしながら、この発明は、太陽光発電システムに組み込まれた各PVモジュールごとに基準のI-V特性を測定するという作業を必要とする。
さらに、この発明では、部分影起因する異常状態しか検出することができない。
【0014】
特開2009-141056号(特許文献4)は、赤外線カメラなどのサーモグラフィ、撮像技術を利用して、PVモジュールのホットスポットの部分の検出を行い、その修復することを開示している。
しかしながら、この方法は、太陽光の強度が強い時、赤外線カメラでホットスポットを識別することには限界がある。また、人手がかかる。
【先行技術文献】
【0015】

【特許文献1】特開2012-169447号公報
【特許文献2】特開2012-94751号公報
【特許文献3】特開2010-245410号公報
【特許文献4】特開2009-141056号
【特許文献5】特許第4294346号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
以上述べたように、太陽電池(PV)パネルを構成している各太陽電池(PV)モジュールの異常検出(または、故障検出)、可能ならば、さらに、各PVモジュールを構成している各PVセルの異常検出(または、故障検出)を有効に行う技術のさらなる開発が望まれている。
【0017】
さらに、可能ならば、そのような太陽光発電システムの運用中に、上述した、太陽電池(PV)パネルを構成している各太陽電池(PV)モジュールの異常検出(または、故障検出)、可能ならば、さらに、各PVモジュールを構成している各PVセルの異常検出(または、故障検出)を有効に行う技術のさらなる開発が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明は、太陽電池(PV)モジュールに逆バイアスがかかり逆方向に電流が流れることを検出することにより、太陽電池の欠陥またはホットスポット現象などを検出する。
【0019】
本発明によれば、太陽電池(PV)モジュールの端子を短絡する短絡用スイッチング素子と、前記短絡用スイッチング素子に接続された、電流検出手段と、制御・検出装置とを有し、前記制御・検出装置は、
前記PVモジュールの検査時、
所定の光が前記PVモジュールに照射される状態で、前記短絡用スイッチング素子を動作して、前記PVモジュールの両端を短絡または短絡状態にし、その時の電流検出手段の読みを、公称短絡電流ISCとして入力し、
前記PVモジュールを構成する複数の太陽電池セルの1個を遮光させ、その時の電流検出手段の読みを、遮光時短絡電流Ix として入力し、
電流比=遮光時短絡電流Ix/公称短絡電流ISCを計算し、
前記電流比が、他の電流比に対して、大きい場合、または、所定の値により大きい場合、そのPVモジュールに欠陥があると判別する、
太陽電池の異常状態検出装置が提供される。
【0020】
また本発明によれば、太陽電池(PV)モジュールの端子を短絡する短絡用スイッチング素子と、前記短絡用スイッチング素子に接続された、逆方向電流検出手段と、制御・検出装置とを有し、前記制御・検出装置は、
前記PVモジュールの検査時、
所定の光が前記PVモジュールに照射される状態で、前記短絡用スイッチング素子を動作して、前記PVモジュールの両端を短絡または短絡状態にし、前記PVモジュールを構成する複数の太陽電池セルの1個を遮光させ、その時の逆方向電流検出手段の読みを入力し、
入力した電流値が逆方向であるとき、そのPVモジュールに欠陥があると判別する、
太陽電池の異常状態検出装置が提供される。
【0021】
本発明によれば、上記太陽電池の異常状態検出装置のそれぞれを実施する方法が提供される。
【0022】
また本発明によれば、上記太陽電池の異常状態検出装置をそれぞれ有する太陽光発電システムが提供される。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、太陽電池(PV)パネルを構成している各太陽電池(PV)モジュールの異常検出(または、故障検出)、可能ならば、さらに、各PVモジュールを構成している各PVセルの異常検出(または、故障検出)を有効に行うことができる。
【0024】
また本発明によれば、太陽光発電システムの運用中に、上述した、太陽電池(PV)パネルを構成している各太陽電池(PV)モジュールの異常検出(または、故障検出)、可能ならば、さらに、各PVモジュールを構成している各PVセルの異常検出(または、故障検出)を有効に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】図1は太陽電池(PV)モジュールに部分的な影ができたときの電流経路を示す図である。
【図2】図2は本発明の第1実施の形態としての太陽電池の異常状態検出装置を図解した図である。
【図3】図3は太陽電池(PV)モジュールの暗状態におけるI-V特性を図解した図である。
【図4】図4はPVモジュールへの光源として、LEDまたは有機ELなどの光源を用い、制御・検出装置により光源の点灯状態を制御する実施の形態を図解した図である。
【図5】図5はPVモジュールへの光源として、バックライト付液晶表示装置を用いた例を示す図である。
【図6】図6は所定の強度の光として太陽光を用い、PVセルを遮光する(影をつける)ときは、LEDを用いた例を図解した図である。
【図7】図7は光源としてのLED、有機ELなどの表示装置の他に、投影手段、たとえば、プロジェクタを用いた実施の形態を示す図である。
【図8】図8は図7に図解した実施の形態の変形例を示す図である。
【図9】図9は本発明の太陽電池の異常状態検出装置の第2実施の形態を図解した図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
第1実施の形態
図2を参照して、本発明の太陽電池の異常状態検出装置と方法について述べる。
図2に図解した太陽電池の異常状態検出装置において、1ストリングの太陽電池(PV)モジュール10は複数の太陽電池セルが直列に接続されている。
各太陽電池セルは、たとえば、シリコン半導体、アモルファスシリコン半導体などで形成されている。
このPVモジュール10の両端には、短絡用スイッチング素子11と、電流計12とが接続されている。また、太陽電池(PV)モジュールの両端には、電圧計13が接続されている。この太陽電池(PV)モジュールの両端に、バイパスダイオード(図示せず)を設けることもできる。
太陽光発電システムには、コンピュータを有し、演算処理機能を有する制御・検出装置14も設けられている。

【0027】
第1の検出方法
PVセルの故障を検出するとき、全部のPVセルが、ある日射強度で照射されているとき、制御・検出装置14が短絡用スイッチング素子11を短絡して、または、短絡状態に近い状態にして、そのときの電流計12の値を読み取る。その値を公称短絡電流ISCと呼ぶ。
次いで、検出対象の1個のPVセルの照射光を遮光して、制御・検出装置14は、そのとき電流計12に流れる電流を読み取る。その値を遮光時短絡電流Ix と呼ぶ。この処理を、PVモジュール10の全てのPVセルについて行う。

【0028】
制御・検出装置14は、遮光した各PVセルごとに、電流比=遮光時短絡電流Ix/公称短絡電流ISCを計算する。
各PVセルについて求めた電流比について、他の電流比より極端に大きな場合、制御・検出装置14は、そのPVセルは欠陥があると判断する。
なお、制御・検出装置14は、あるPVセルの遮光時短絡電流Ix が極端に大きいとき、そのPVセルは欠陥があると判断する。

【0029】
第2の検出方法
PVセルの故障を検出するとき、全部のPVセルが、ある日射強度で照射されているとき、制御・検出装置14が短絡用スイッチング素子11を短絡して、または、短絡状態に近い状態にして、そのときの電流計12の値を読み取る。
もし、ある太陽電池セルが、遮光されたり、欠陥により、発電できない場合、図1を参照して述べたように、逆バイアスがかかり、逆方向に電流が流れる。
太陽電池(PV)モジュールの暗状態のI-V特性を図3に例示する。
このとき、電流計12の検出値は、図3に図解したように、マイナス電流となる。
制御・検出装置14は、電流計12の検出値が所定値以下のマイナス電流が所定時間継続した場合、その太陽電池セルが遮光されている、または、欠陥があると判断する。
ここで、電流計12および制御・検出装置14は、太陽電池セルの欠陥検出手段として機能する。

【0030】
次いで、検出対象の1個のPVセルの照射光を遮光して、制御・検出装置14は、そのとき電流計12に流れる電流を読み取る。その値を遮光時短絡電流Ixと呼ぶ。この処理を、PVモジュール10の全てのPVセルについて行う。

【0031】
制御・検出装置14は、遮光した各PVセルごとに、電流比=遮光時短絡電流Ix/公称短絡電流ISCを計算する。
各PVセルについて求めた電流比について、他の電流比より極端に大きな場合、制御・検出装置14は、そのPVセルは欠陥があると判断する。
なお、制御・検出装置14は、あるPVセルの遮光時短絡電流Ix が極端に大きいとき、そのPVセルは欠陥があると判断する。

【0032】
PVモジュール10に上記光を照射する方法としては、太陽光を用いることができる。あるいは、各種の照明器具を用いることができる。
他方、各PVセルに影をつける方法としては、たとえば、遮光シールなどをPVセルに張り付ける方法などを適用することができる。
そのような方法を、図3を参照して述べる。

【0033】
図4は、PVモジュールへの光源として、LEDまたは有機ELなどの光源を用い、制御・検出装置により光源の点灯状態を制御する実施の形態を図解した図である。
PVモジュール10全体に所定の強度の光を照射するときは、制御・検出装置14は、LEDまたは有機ELなどの光源20の全体を点灯させ、他方、PVモジュール10内の一部のPVセルを遮光させるときは、対応する部分(図3における黒い部分)を消灯させる。

【0034】
図5は、PVモジュール10への光源21として、バックライト付液晶表示装置21を用いた例を示す図である。
この実施の形態において、制御・検出装置14により、バックライト付液晶表示装置21を、図4を参照して述べたLEDまたは有機ELなどの光源20と同様に制御する。

【0035】
図6は、所定の強度の光として太陽光を用い、PVセルを遮光する(影をつける)ときの光源22として、制御・検出装置14により、黒い映像を投影するLEDを用いた例を図解した図である。
制御・検出装置14により、LEDを用いたPVセルを遮光する方法は、図3、図4を参照した実施の形態と同様である。

【0036】
図7は、光源としてのLED、有機ELなどの表示装置23の他に、投影手段、たとえば、プロジェクタ24を用いた実施の形態を示す図である。
この方式は、表示装置23とPVモジュール10とが離間している場合に有効である。 たとえば、実際の太陽光発電システムにおいて、PVモジュール10と表示装置23とが離間しており、LED、有機ELなどの表示装置23などの光だけでは不十分な場合など、レンズを有するプロジェクタ24により、離間、照度不足を補償する。
プロジェクタ24は、たとえば、制御・検出装置14により、焦点距離が調整可能である。
なお、表示装置23のバックライト25としては、LED、有機ELなどの他にハロゲン、キセノンランプなどの発光強度の高いものが望ましい。

【0037】
図8は図7に図解した実施の形態の変形例である。
図8の実施の形態において、制御・検出装置14の制御のもとで、夜間に各PVパネルにプロジェクタ24からの光を照射して各PVセルごとに影をつくる。
制御・検出装置14は、最大電力動作点を追跡制御(MPPT制御)に用いるパワーコンディショナ(電力調整装置)を用いて、図2に図解した短絡用スイッチング素子11を短絡させて、その時の短絡電流を測定する。そして、上述したように、遮光した各PVセルごとに、電流比=遮光時短絡電流Ix/公称短絡電流ISCを計算して、上記同様の判定処理を行って、欠陥のあるPVセルを識別する。

【0038】
以上述べたように、本発明の第1実施の形態によれば、欠陥のある太陽電池セル、及び/又は、欠陥のある太陽電池セルを含む太陽電池(PV)モジュールを検出することができる。

【0039】
第2実施の形態
図9は本発明の太陽電池の異常状態検出装置の第2実施の形態を図解した図である。
第2実施の形態の太陽電池の異常状態検出装置は、太陽光発電システムに適用されている。
図9に図解した太陽光発電システムは、太陽電池(PV)パネル1と、太陽電池の異常状態検出装置2と、最大電力動作点を追跡制御する(MPPT制御)装置3とを有する。
この太陽光発電システムは、負荷または系統に接続されている。

【0040】
太陽電池(PV)パネル1は、たとえば、図1に図解したPVモジュール10が複数ストリング集合されて構成されている。各PVモジュールは、たとえば、図2に図解したように、複数の太陽電池セルが直列に接続された構成となっている。
各PVモジュールごとに、並列に、バイパスダイオードが設けられていてもよい。

【0041】
太陽電池の異常状態検出装置2は、図2を参照して述べた、短絡用スイッチング素子11と、太陽電池セルの欠陥検出手段としての電流計12と、制御・検出装置14とを有する。太陽電池の異常状態検出装置2は、さらに、PVパネル1内の各PVモジュールごとの異常を検出可能なように、各ストリングごと、複数の選択スイッチ対、SW1A:SW1B、…、SW2A:SW2Bを有する。

【0042】
MPPT制御装置3は、たとえば、特開2012-169447号公報(特許文献1)、特許第4294346号(特許文献5)に開示されているように、最大電力動作点を追跡制御する部分である。
MPPT制御装置3は、太陽電池(PV)パネル1の端子電圧を測定する電圧計31と、太陽電池(PV)パネル1の出力電流を検出する電流計32と、インダクタ33と、スイッチ素子34と、ダイオード35と、平滑コンデンサ36と、DC-DCコンバータ37と、MPPT制御部38とを有する。

【0043】
最大電力動作点を追跡制御(MPPT制御)方法は、たとえば、特開2012-169447号公報(特許文献1)、特許第4294346号(特許文献5)に開示されているように、日照条件などにより変化する太陽電池(PV)パネル1の出力が最大になるように、コンピュータなどの演算処理機能を有するMPPT制御部38が、たとえば、スイッチ素子34をPWM動作させて、太陽電池(PV)パネル1の両端を短絡状態から変化させて、そのときの電圧計31、電流計32の検出値を参照して、最大電力動作点を求め、その後、最大電力動作点を維持するように、MPPT制御部38がスイッチ素子34を、たとえば、PWM制御する。

【0044】
太陽電池の異常状態検出装置2の動作
太陽電池の異常状態検出装置は、所定周期で、たとえば、1日に1回、下記の処理を行う。

【0045】
第1の検出方法
この太陽光発電システムの運用状態において、すなわち、通常の日照状態において、制御・検出装置14は、たとえば、第1ストリングの太陽電池(PV)モジュールを検査するため、第1ストリングの太陽電池(PV)モジュールのみが、短絡用スイッチング素子11および電流計12の回路に接続されるように、第1の選択スイッチ対SW1A:SW1Bを動作させる。
そして、制御・検出装置14が短絡用スイッチング素子11を短絡して、または、短絡状態に近い状態にして、そのときの電流計12の値を読み取る。その値を公称短絡電流ISCと呼ぶ。
次いで、図4~図8を参照したいずれかの方法で、たとえば、図7または図8を参照した方法で、選択した第1の太陽電池(PV)モジュールの1個のPVセルの照射光を遮光して、制御・検出装置14が、そのとき電流計12に流れる電流を読み取る。その値を遮光時短絡電流Ix と呼ぶ。
この処理を、PVモジュール10の全てのPVセルについて行う。

【0046】
制御・検出装置14は、遮光した各PVセルごとに、電流比=遮光時短絡電流Ix/公称短絡電流ISC を計算する。
各PVセルについて求めた電流比について、他の電流比より極端に大きな場合、制御・検出装置14は、そのPVセルは欠陥があると判断する。
なお、制御・検出装置14は、あるPVセルの遮光時短絡電流Ix が極端に大きいとき、そのPVセルは欠陥があると判断する。
太陽電池セルの欠陥などを検出したとき、制御・検出装置14は、MPPT制御部38にそのことを通報する。
制御・検出装置14は、第1の選択スイッチ対SW1A:SW1Bを、短絡用スイッチング素子11、電流計12の回路から切り離す動作をさせる。

【0047】
MPPT制御部38は、第1の太陽電池(PV)モジュールに欠陥があることを知り、交換のための警報などを行うことができる。

【0048】
第2の検出方法
PVセルの故障を検出方法としては、全部のPVセルが、ある日射強度で照射されているとき、上記のように、制御・検出装置14が第1の選択スイッチ対SW1A:SW1Bを動作させて、第1の太陽電池(PV)モジュールを短絡用スイッチング素子11と電流計12の回路に接続した状態として、短絡用スイッチング素子11を短絡して、または、短絡状態に近い状態にして、そのときの電流計12の値を読み取る。
もし、ある太陽電池セルが、遮光されたり、欠陥により、発電できない場合、図1を参照して述べたように、逆バイアスがかかり、逆方向に電流が流れる。
太陽電池(PV)モジュールの暗状態のI-V特性を図3に例示する。
このとき、電流計12の検出値は、図3に図解したように、マイナス電流となる。
制御・検出装置14は、電流計12の検出値が所定値以下のマイナス電流が所定時間継続した場合、その太陽電池セルが遮光されている、または、欠陥があると判断する。
ここで、電流計12および制御・検出装置14は、太陽電池セルの欠陥検出手段として機能する。

【0049】
太陽電池セルの欠陥などを検出したとき、制御・検出装置14は、MPPT制御部38にそのことを通報する。
制御・検出装置14は、第1の選択スイッチ対SW1A:SW1Bを、短絡用スイッチング素子11、電流計12の回路から切り離す動作をさせる。

【0050】
MPPT制御部38は、第1の太陽電池(PV)モジュールに欠陥があることを知り、交換のための警報などを行うことができる。

【0051】
以下、同様に、第2太陽電池(PV)モジュールについても、上述した処理を行う。
以上の処理により、太陽電池(PV)パネル1内のいずれかの太陽電池(PV)モジュールに欠陥があるか否かを検出することができる。

【0052】
特に、第2実施の形態は、太陽光発電システムの運用状態のなかで、欠陥ある太陽電池(PV)モジュールを迅速に検出することができる。

【0053】
太陽電池の異常状態検出装置2は、太陽光発電システムに、短絡用スイッチング素子11、電流計12、制御・検出装置14、選択スイッチ対、SW1A:SW1B、…、SW2A:SW2Bを設けるだけでよく、実現することが容易である。
なお、制御・検出装置14は、MPPT制御装置3内のMPPT制御部38で処理を行うこともできる。

【0054】
本実施の形態において、各ストリングの太陽電池(PV)モジュールごとに上述した処理を行うので、太陽光発電システムの運用期間のうち、上記検出処理の期間、1/n(nは太陽電池(PV)モジュールのストリング数)の出力低下が起こるだけである。

【0055】
本発明の実施の形態に際しては、上述した例示に限らず、本発明の技術思想のもと、種々の変形態様をとることができる。
【符号の説明】
【0056】
1…太陽電池(PV)パネル、2…太陽電池の異常状態検出装置、3…最大電力動作点を追跡制御する(MPPT制御)装置、
10…PVモジュール、11点短絡用スイッチング素子、12…電流計、13…電圧計、14…制御・検出装置、20/25…光源、
31…電圧計、32…電流計、33…インダクタ、34…スイッチ素子、35…ダイオード、36…平滑コンデンサ、37…DC-DCコンバータ、38…MPPT制御部
図面
【図1】
0
【図2】
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【図3】
2
【図4】
3
【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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