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明細書 :進行波生成装置、壁面移動システム及び搬送システム

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5858425号 (P5858425)
公開番号 特開2013-159243 (P2013-159243A)
登録日 平成27年12月25日(2015.12.25)
発行日 平成28年2月10日(2016.2.10)
公開日 平成25年8月19日(2013.8.19)
発明の名称または考案の名称 進行波生成装置、壁面移動システム及び搬送システム
国際特許分類 B62D  57/02        (2006.01)
B65G  33/02        (2006.01)
FI B62D 57/02 Z
B65G 33/02
請求項の数または発明の数 14
全頁数 18
出願番号 特願2012-023244 (P2012-023244)
出願日 平成24年2月6日(2012.2.6)
審査請求日 平成27年1月13日(2015.1.13)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】599011687
【氏名又は名称】学校法人 中央大学
発明者または考案者 【氏名】中村 太郎
【氏名】後藤 佑輔
【氏名】高橋 一聡
個別代理人の代理人 【識別番号】100147485、【弁理士】、【氏名又は名称】杉村 憲司
【識別番号】100119530、【弁理士】、【氏名又は名称】冨田 和幸
【識別番号】100173794、【弁理士】、【氏名又は名称】色部 暁義
審査官 【審査官】畔津 圭介
参考文献・文献 特開2008-094267(JP,A)
特開2008-097349(JP,A)
特開昭61-166767(JP,A)
特開平07-291124(JP,A)
特開2005-133948(JP,A)
国際公開第2011/040137(WO,A1)
調査した分野 B62D 57/02
B65G 33/02
B25J 5/00
G05D 1/00
特許請求の範囲 【請求項1】
外周につるまき状の軌道を有する円柱状のシャフトと、
該シャフトを軸周りに回動させる回動手段と、
該シャフトに沿って延在する薄板と、
該薄板の少なくとも一部を、シャフトのつるまき状の軌道に沿わせて変形させることにより、薄板に凹凸を形成する作動手段とを備える進行波生成装置。
【請求項2】
前記シャフトにつるまき状の条溝、またはつるまき状の突条を形成してなる、請求項1に記載の進行波生成装置。
【請求項3】
前記シャフトが、シャフトの軸線方向に整列させたカムの集合体を含み、隣接するカム同士を、該軸線周りの角度をずらして順次に配設し、これらのカムの表面をもって前記つるまき状の条溝、またはつるまき状の突条を構成する、請求項2に記載の進行波生成装置。
【請求項4】
前記シャフトをフレキシブルシャフトとし、
前記カムを該フレキシブルシャフトの軸線方向に離間して配置する、請求項3に記載の進行波生成装置。
【請求項5】
請求項1~4のいずれかに記載の進行波生成装置の少なくとも1つを具え、
該装置が生成する進行波と壁面とを接触させて、該装置が生成する進行波の進行方向に移動するように構成される壁面移動システム。
【請求項6】
前記壁面移動システムの進行波生成装置がさらに弾性体を具え、
該弾性体は、薄板の、前記シャフトとは反対側の面に隣接して配置される、請求項5に記載の壁面移動システム。
【請求項7】
前記壁面移動システムが、該壁面移動システムの薄板または弾性体を、壁面に密着させる壁面密着手段を具える、請求項5または6に記載の壁面移動システム。
【請求項8】
壁面移動システムと壁面とで区画される空間内の気体を吸引し、当該空間を負圧雰囲気にする負圧発生手段で、前記壁面密着手段を構成してなる、請求項7に記載の壁面移動システム。
【請求項9】
前記システムの薄板または前記弾性体の、壁面との接触面を粘着性とすることで、前記壁面密着手段を構成してなる、請求項7に記載の壁面移動システム。
【請求項10】
前記進行波生成装置を複数具え、それぞれの進行波生成装置を、空間的配列的形態により、壁面移動システムが回転運動できるように配列してなる請求項5~9のいずれかに記載の壁面移動システム。
【請求項11】
少なくとも一対の前記進行波生成装置を具え、
前記壁面移動システムを回転させるモーメントを互いに相殺するように進行波生成装置を配置する、請求項5~10のいずれかに記載の壁面移動システム。
【請求項12】
少なくとも2つの進行波生成装置を具え、
第1の進行波生成装置のシャフトと、第2の進行波生成装置のシャフトとの外周面同士が噛合するように配設し、
第1の進行波生成装置のシャフトと、第2の進行波生成装置のシャフトとを同期して回動可能とした、請求項5~11のいずれかに記載の壁面移動システム。
【請求項13】
前記壁面移動システムの薄板または弾性体にセンサを具えてなる、請求項5~12のいずれかに記載の壁面移動システム。
【請求項14】
請求項1~4のいずれかに記載の進行波生成装置を具え、
該装置の表面に、被搬送物を接触させて、該装置が生成する進行波の進行方向またはその逆方向に、被搬送物を移動させるように構成される搬送システム。

発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、進行波生成装置、壁面移動システム及び搬送システムに関するものであり、特には、進行波生成装置を単純な構造及び制御で実現する技術を提案するものである。
【背景技術】
【0002】
車輪を用いずに移動することのできる移動機構として、特許文献1に記載されているように、走行面と面接触する推進用部材と、推進用部材を上下動させる複数のアクチュエータとを備えて、各アクチュエータの位相を制御することによって、移動方向に進行する進行波を発生させる全方向移動機構が知られている。
【0003】
ここで、このような全方向移動機構では、多数のアクチュエータを設けて、それぞれのアクチュエータの位相を位置制御する必要があるために、構造や制御が複雑になりかねず、メンテナンス面やコスト面では、なお改善の余地があり、また、アクチュエータによるエネルギー損失が大きくなりかねないという問題があった。
【0004】
そして、多数のアクチュエータによって進行波を生成しているため、滑らかな進行波を生成したり、進行波を連続的に生成したりすることが困難であることに加えて、生成できる進行波の波長等が、アクチュエータの配置等によって制約されてしまい、様々な波を生成することが難しかった。
【0005】
さらに、アクチュエータを上下させることで進行波を発生させているため、移動時に、全方向移動機構の本体に大きな上下振動が加わりやすいという問題もあった。
【先行技術文献】
【0006】

【特許文献1】特開2008-94267号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、車輪を用いずに移動することのできる移動機構の、このような問題点を解決するものであり、単純な構造及び制御で、様々な進行波を生成させることができる進行波生成装置と、該装置を用いた壁面移動システム及び搬送システムを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の進行波生成装置は、外周につるまき状の軌道を有する円柱状のシャフトと、シャフトを軸周りに回動させる回動手段と、シャフトに沿って延在する薄板と、薄板の少なくとも一部を、シャフトのつるまき状の軌道に沿わせて変形させることにより、薄板に凹凸を形成する作動手段とを具えてなる。
【0009】
シャフトにつるまき状の条溝、またはつるまき状の突条を形成することが好ましい。
【0010】
シャフトが、シャフトの軸線方向に整列させたカムの集合体を含み、隣接するカム同士を、軸線周りの角度をずらして順次に配設し、これらのカムの表面をもってつるまき状の条溝、またはつるまき状の突条を構成することが好ましい。
【0011】
さらに、シャフトをフレキシブルシャフトとし、カムを該フレキシブルシャフトの軸線方向に離間して配置することが好ましい。
【0012】
次に、本発明の壁面移動システムは、進行波生成装置の少なくとも1つを具え、該装置が生成する進行波と壁面とを接触させて、該装置が生成する進行波の進行方向に移動するように構成してなる。
【0013】
壁面移動システムの進行波生成装置がさらに弾性体を具え、弾性体を、薄板の、シャフトとは反対側の面に隣接して配置することが好ましい。
【0014】
壁面移動システムは、該壁面移動システムの薄板または弾性体を、壁面に密着させる壁面密着手段を具えることが好ましい。
【0015】
さらに、壁面移動システムと壁面とで区画される空間内の気体を吸引し、当該空間を負圧雰囲気にする負圧発生手段で、壁面密着手段を構成することが好ましい。
【0016】
またさらに、壁面移動システムの薄板または弾性体の、壁面との接触面を粘着性とすることによって、壁面密着手段を構成することが好ましい。
【0017】
壁面移動システムが進行波生成装置を複数具え、それぞれの進行波生成装置を空間的配列的形態により、壁面移動システムが回転運動できるように配列することが好ましい。
【0018】
壁面移動システムが少なくとも一対の前記進行波生成装置を具え、進行波生成装置が前記壁面移動システムを回転させるモーメントを互いに相殺するように、進行波生成装置を配置することが好ましい。
【0019】
少なくとも2つの進行波生成装置を具え、第1の進行波生成装置のシャフトと、第2の進行波生成装置のシャフトとの外周面同士が噛合するように配設し、第1の進行波生成装置のシャフトと、第2の進行波生成装置のシャフトとを同期して回動可能とすることが好ましい。
【0020】
壁面移動システムの薄板または弾性体にセンサを具えることが好ましい。
【0021】
そして、本発明の搬送システムは、進行波生成装置を具え、装置表面に、被搬送物を接触させて、装置が生成する進行波の進行方向またはその逆方向に、被搬送物を移動させるように構成する。
【0022】
なお、本発明において「壁面」とは、鉛直方向に延在する面や斜面を含むとともに、水平面と略平行な天井面及び地面や底面も含むものとする。
【発明の効果】
【0023】
本発明の進行波生成装置では、回動手段によってシャフトを軸周りに回動させつつ、作動手段によってシャフトに沿って延在する薄板の少なくとも一部をシャフトのつるまき状の軌道に沿わせて変形させることで、装置の上下振動を抑えつつ簡便に、薄板に進行波を形成することができる。また、シャフトを軸周りに連続的に回動させることだけで、進行波を連続的に生成することができる。さらに、シャフトのつるまき状の軌道を適切に選択することで、生成される進行波の形態を、容易に意図したものとすることができる。
【0024】
ここで、シャフトにつるまき状の軌道として、つるまき状の突条、またはつるまき状の条溝を形成することができる。この場合、作動手段により、薄板がシャフトの表面形状に沿って変形することから、シャフトの表面形状を適切に選択することで、様々な進行波をより容易に形成することができる。
【0025】
また、シャフトが、シャフトの軸線方向に整列させたカムの集合体を含み、隣接するカム同士をシャフトの軸線周りの角度をずらして配設し、カムの表面形状をもってつるまき状の条溝、またはつるまき状の突条を構成することができる。この場合、既存のパーツであるカムを組み合わせることで、突条または条溝の形成に設計自由度を持たせることができて、様々なニーズに対応した進行波を生成する進行波形成装置を、簡便に製造することができる。
【0026】
なお、シャフトをフレキシブルシャフトとし、カムを該フレキシブルシャフトの軸線方向に離間して配置することができる。この場合には、シャフトを自由に屈曲させることができる。
【0027】
次に、本発明の壁面移動システムは、進行波生成装置の少なくとも1つを具え、該装置が生成する進行波と壁面とを接触させて、該装置が生成する進行波の進行方向に移動するように構成することで、壁面と、薄板または弾性体とが接触する面(以下、「接触面」という)が、ほとんど移動方向に動かず、クローラ等のように接触面を循環させる必要も無いことから、接触面周囲の防塵性を有効に高めることができるとともに、回転時にクローラ等と比較して接地面の滑りが少なく、耐久性を向上させることができる。
【0028】
ところで、進行波生成装置がさらに弾性体を具え、該弾性体を、薄板の、前記シャフトとは反対側の面に隣接して配置することができる。この場合、弾性体と壁面との間の摩擦係数が向上して、壁面移動システムの移動速度を向上させることができるとともに、弾性体が壁面移動システムの振動を吸収することができ、さらには、外部からの衝撃を弾性体で吸収することで、薄板の損傷を防止することができる。
【0029】
また、壁面移動システムは、移動システムの薄板または弾性体を、壁面に密着させる壁面密着手段を具えることができる。この場合、薄板または弾性体と壁面との間に、重力による押し付け力が働かない壁面上でも、壁面移動システムを安定して移動させることができる。
【0030】
さらに、前記壁面密着手段は、壁面移動システムと壁面で区画される空間内の気体を吸引し、当該空間を負圧雰囲気にする負圧発生手段で構成することができる。この場合、壁面の表面状態(凹凸の有無、汚染の有無等)に関わらずに、壁面移動システムの壁面との接触面を、壁面に確実に押し付ける力を発揮することができる。また、壁面移動システムの隔壁と壁面との間の隙間は、進行波生成装置が生成する進行波の高さに依存するが、本発明の壁面移動システムでは、進行波の位置に関わらず、この高さを一定とすることができるため、壁面移動システムの隔壁と壁面との間の隙間が一定となり、隔壁内に安定した負圧を発生させて、押し付け力を確保することができる。
【0031】
またさらに、壁面移動システムの薄板または弾性体の、壁面との接触面を粘着性とすることで、前記壁面密着手段を構成することができる。この場合、壁面密着手段に上述した負圧発生手段を用いた場合よりも、壁面密着手段の構造を単純化することができるとともに、壁面との間に摩擦力が発生しにくいガラス等の壁面であっても、十分な摩擦力を確保して、壁面を移動することができる。
【0032】
また、本発明の壁面移動システムでは、接触面の面積を大きくできるため、接触面の一部に摩擦力の低下が発生しても、タイヤ等の移動機構と比較して、接触面全体では十分な摩擦力を確保することができる。加えて、特許文献1に記載されるような従来の全方向移動機構と比較して、単位面積当りの吸着力を小さくしても、接触面全体では十分な吸着力を確保することができるため、壁面密着手段を単純なものとすることができる。
【0033】
そして、壁面移動システムが進行波生成装置を複数具え、それぞれの進行波生成装置を所定の空間的配列的形態、例えば環状または格子状として、壁面移動システムが回転運動できるように配列することができる。この場合、壁面移動システムは並進移動のみならず、回転運動も行うことができる。
【0034】
ここで、壁面移動システムが少なくとも一対の前記進行波生成装置を具え、進行波生成装置が前記壁面移動システムを回転させるモーメントを互いに相殺するように、進行波生成装置を配置することができる。この場合、一の進行波生成装置による駆動力と、他の進行波生成装置による駆動力とに由来するモーメントが相殺されるために、壁面移動システムを回転させずに、並進移動のみを行わせることができる。
【0035】
ところで、壁面移動システムが少なくとも2つの進行波生成装置を具え、第1の進行波生成装置のシャフトと、第2の進行波生成装置のシャフトとの外周面同士が噛合するように配設し、第1の進行波生成装置のシャフトと、第2の進行波生成装置のシャフトとを同期して回動可能とすることができる。この場合、それぞれのシャフトが、噛合するシャフトの突状または条溝による隙間を、互いに埋め合うことによって、異物の侵入を防ぎ、壁面移動システムにおける防塵性をさらに向上させることができる。
【0036】
そして、壁面移動システムの薄板または弾性体にセンサを具えることができる。この場合、壁面移動システムの接触面が、クローラ等の移動手段と比較して、壁面移動システムの移動方向にほとんど動かず、また、接触面が循環することも無いために、センサの配線を単純なものとすることができる。
【0037】
そして、本発明の搬送システムは、進行波生成装置を具えて、進行波生成装置の表面に被搬送物を接触させた状態で、進行波を生成することにより、接触面での摩擦によって、進行波の波長よりも大きな被搬送物を、滑りを生じさせることなく、進行波の進行とは逆方向に移動させることができる。なお、進行波の波長よりも小さな被搬送物は、進行波の進行方向に移動することとなる。
上述したように、本発明の搬送システムでは、被搬送物の大きさの違いによって移動方向が異なるために、被搬送物を大きさによって分離することができる。この分離方法は、被搬送物が粉状体または粒状体の場合に、特に有効である。
【0038】
また、本発明の搬送システムでは、従来のベルトコンベア等の搬送システムと比較して、搬送面がほとんど被搬送物の移動方向に動かないために、搬送面周囲の防塵性を有効に高めることができるとともに、接触面を循環させる必要が無いことから、接触面を移動させることによる摩滅等が生じにくいために、装置の耐久性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の第1の実施形態の進行波生成装置を示す側部断面図である。
【図2】図1に示す進行波生成装置の、II-II線における正面断面図である。
【図3】本発明の第2の実施形態の進行波生成装置を示す側部断面図である。
【図4】本発明の第3の実施形態の進行波生成装置を示す側部断面図である。
【図5】本発明の第4の実施形態の進行波生成装置を示す側部断面図である。
【図6A】(a)~(c)はそれぞれ、本発明の第5の実施形態の進行波生成装置を示す側部断面図である。
【図6B】本発明の第5の実施形態の進行波生成装置を示す側部断面図である。
【図7】(a)、(b)はそれぞれ、本発明の第1の実施形態の壁面移動システムを示す平面図及び正面図である。
【図8】図7に示す壁面移動システムを壁面に押し付けて、進行波を生成した状態を示す要部側面図である。
【図9】(a)、(b)はそれぞれ、壁面移動システムの弾性体が、進行波の通過前後で移動する様子を示す図である。
【図10】(a)、(b)はそれぞれ、本発明の第2の実施形態の壁面移動システムの進行波生成装置の配置を示す要部平面図である。
【図11】図7に示す壁面移動システムの2つの進行波生成装置に、同じ方向に進行する進行波を生成した際に、壁面移動システムによる駆動力を示す平面図である。
【図12】本発明の第3の実施形態の壁面移動システムを示す要部底面図である。
【図13】本発明の第4の実施形態の壁面移動システムを示す要部平面図である。
【図14】本発明の実施形態の搬送システムを示す要部側断面図である。
【図15】図14に示す搬送システムを、進行波生成装置の薄板及び弾性体を描写しない状態で示す要部平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下に、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態を説明する。なお、下記の説明はあくまで例示であり、各部材の構成や作用効果等は、これに限定されるものではない。

【0041】
図1に例示する進行波生成装置1は、外周につるまき状、ここでは螺旋状の条溝2aが形成された円柱状のシャフト2と、シャフト2を回転軸L周りに回動させる図示しない回動手段と、シャフト2に沿って延在する薄板3とを具えてなる。

【0042】
シャフト2の横断面は軸線方向位置に関わらず、図2に示すような、断面中心Oとは異なる点Dを中心とする角度bの円弧ACBと、点Oを中心とする角度2π-aの円弧とで表すことができ、軸線方向に移動するにつれて、このような横断面が一定の割合で図1に示す回転軸Lの周りに回転することによって、図1に示す螺旋状の条溝2aを形成している。

【0043】
シャフト2の断面をこのような形態とすることで、図1に示す条溝2aの角度αを大きくし、薄板3が変形する際の、最大曲率半径を極力大きくして、薄板3が破損することを防止しているが、シャフト2の断面の形態を他のものとすることもできる。

【0044】
またシャフト2の両端2c、2d付近の進行波減衰部2eでは、両端2c、2dに近づくほど条溝2aの深さが小さくなり、両端2c、2dでは、シャフト2の断面形状が円形となっている。このことによって、後述するように、シャフト2の進行波減衰部2eで進行波10を減衰させ、両端2c、2dが進行波生成装置1で生成される進行波10の固定端となるようにしている。

【0045】
本実施形態ではシャフト2を剛体で構成しているが、シャフト2に可撓性を持たせることもできる。また、シャフト2を中空にすることや、つるまきバネのように、条溝以外の部分を形成して、残りの部分を条溝とすることもできる。

【0046】
回動手段はサーボモータ等で構成される。後述するように、進行波10の進行速度を制御するために、シャフト2を回転軸L周りに回動させる際の、回転数を制御できることが好ましい。

【0047】
薄板3は、ほとんど伸縮せず、長手方向の両端から内側に力を加えることで上下方向に屈曲する板であり、薄板バネ等の素材で構成される。図1に示すように、薄板3は、長手方向の両端から内側に所定の力Pwで押圧されて、シャフト2を押圧する方向に屈曲させる力Piが働いている状態でネジ留めされており、このシャフト2に対する薄板3の押圧によって、薄板3は、シャフト2との接触部で条溝2aに密着し、条溝2aの形状に合わせて変形する。このように、薄板3はネジや、ストッパ等の作動手段によって凹凸を形成する。

【0048】
後述するように、進行波生成装置1に、薄板3の、シャフト2と接触する面とは反対側の面に隣接する弾性体5を設けることが、進行波生成装置1を壁面移動システムで利用する際に好ましい。

【0049】
次に、進行波生成装置1が進行波を生成する原理について説明する。回動手段がシャフト2を回転させていない時には、薄板3は作動手段によって屈曲してシャフト2に密着し、薄板3が、シャフトに形成された条溝2aまたは後述する突条2bに追従して変形することで、薄板3からシャフト2の回転軸Lへ向かう方向に波の頂点を持つ、図1では、3つの固定波10が形成されている。

【0050】
この状態で、回動手段によってシャフト2を、図1に矢印で示すように、シャフト2の上面が手前から奥に移動する方向へ回動させると、シャフト2と薄板3との接触部がずれて、それに伴って薄板3は、シャフト2との新たな接触部の条溝2aの形状に追従して変形する。シャフト2の上面を手前から奥に回動させ続けると、薄板3が形成する波10は、図1に矢印で示すように、シャフト2の回転軸Lと平行(図1では右方向)に進行する進行波となる。

【0051】
シャフト2を回動し続けることで、薄板3の左端部から進行波10が次々と生成されて、右側へ進行してゆき、薄板3の右端部で消滅する。

【0052】
一方、回動手段によって、シャフト2を上記とは逆方向、つまりシャフト2の上面が奥から手前に移動する方向に回動させ続けると、進行波10は薄板3の右端部から生成されて、左に進行してゆき、薄板3の左端部で消滅する。

【0053】
ここで、進行波10の振幅は、シャフト2の条溝2aの深さに相当する。また、同時に形成される進行波10の数は、シャフトの条溝2aの条数と一致するため、条溝2aの条数を変えることで、単独の進行波を生成することも、複数の進行波を連続的に生成することもできる。さらに、進行波10の進行速度は、シャフト2の回転数に比例する。

【0054】
また上述したように、シャフト2の両端2c、2d付近の進行波減衰部2eでは、両端2c、2dに近づくほど条溝2aの深さが小さくなり、両端2c、2dでは、シャフト2の断面形状が円形となる。このため、薄板3の両端付近では、薄板3の端部に近づくほど進行波10の振幅が減衰していき、薄板3の両端では、シャフト2を回動させても凹凸が形成されず、進行波10の固定端を構成する。

【0055】
このように進行波10を薄板3の両端付近で減衰させて、両端を固定端とすることで、薄板3が両端で変形することによる、薄板3の破損や、大きな変形音の発生を防止できる。

【0056】
ここで、薄板3の、シャフト2と接触する面とは反対側の面に隣接して弾性体5が設けられている場合には、薄板3の変形に追従して弾性体5も変形することで、弾性体5の表面にも進行波10が形成される。

【0057】
以下、進行波生成装置1が弾性体5を具えるものとして、弾性体5に生成される進行波についての説明を行うが、進行波生成装置1が弾性体5を具えていない場合には、薄板3に、同様の進行波が生成されることとなる。

【0058】
ここまで、シャフト2に条溝2aが形成されている進行波生成装置1を説明したが、図3に示すように、シャフトに突条2bを形成して進行波生成装置を構成することもできる。この場合には、シャフト2の回転軸Lから薄板3へ向かう方向に波の頂点を持つ進行波10’が形成される。

【0059】
また図4のように、シャフト2を、シャフトの軸線方向に整列させたカム4の集合体で構成することもできる。この場合、隣接するカム4同士を、シャフト2の回転軸L周りにオフセット角を持たせて配置することで、つるまき条の条溝4aや、図示しない突条を構成することができる。

【0060】
このように、既存のパーツであるカムでシャフト2を構成することによって、突条または条溝の形成に設計自由度を持たせることができる。例えば、カムの形態を適宜選択して、シャフトの形態を容易に意図するものとでき、また、隣接するカム同士のオフセット角を変更することで、突条または条溝の条数を容易に変更することができる。これらのことによって、進行波10の形態や数等を容易に変更することができる。
また、図示はしていないが、カムを互いに離隔させて、フレキシブル心棒で連結することで、シャフト2を屈曲させることもできる。

【0061】
ここまで、作動手段を、薄板3を屈曲させて、ネジまたはストッパで固定することによって実現していたが、静電気や磁気等で作動手段を実現して、進行波を生成することもできる。この場合、薄板3を誘電体や磁性体等で構成して、図5のように、シャフト2のつるまき状の軌道2fに、薄板3を引き付ける力Piを発生させ続けたまま、シャフト2を回動させることによって、進行波10を生成することができる。また、シャフト2のつるまき状の軌道2fを誘電体や磁性体等で構成し、薄板3に、シャフト2のつるまき状の軌道2fを引き付ける力を発生させ、この力の反作用によって薄板3をシャフト2のつるまき状の軌道2fに沿わせて変形させてシャフト2を回動させることによっても進行波10を生成することもできる。

【0062】
なお、上記作動手段を静電気や磁気等で実現する際には、シャフト2または薄板3の表面の電荷分布や磁場分布等を適宜変更することで、進行波の振幅、波長、数等を変更することができる。

【0063】
そして、薄板3のシャフト2のつるまき状の軌道2fと接触する部分を、作動手段によってシャフト2に沿わせて変形させたまま、シャフト2のつるまき状の軌道2f以外の部分に、薄板3を押し退ける力を発生させることでも、進行波10を生成することができる。

【0064】
また、図6Aに示すように、誘電体や磁性体等で構成される多数の引力発生手段101を並べて配置し、金属板等で構成される変形手段102を、引力発生手段101から適度に離隔して配置することでも、進行波生成装置を構成することができる。この実施形態では、図6Aに示すように、引力発生手段101の一部101aに引力を発生させて変形手段102を変形させ、図6A(a)→(b)→(c)→(a)のように、引力を発生させる引力発生手段101aを順次切り替えることで、進行波10を生成することができる。

【0065】
なお、図示はしないが、引力発生手段自体が変形して進行波を生成することもできる。この場合には、少なくとも表面を誘電体または磁性体とした薄板を引力発生手段とし、この引力発生手段と平行に対向面を配置し、該対向面は該対向面の表面に立てた垂線方向に十分な剛性を持つようにする。ここで、引力発生手段の一部に、対向面を引き付ける力を発生させると、その力の反作用として引力発生手段が対向面に向かって変形する力が発生する。この力による引力発生手段の変形によって、進行波が形成される。

【0066】
図6Aでは、引力を発生させている引力発生手段101aの両側で、隣接するそれぞれ2つの引力発生手段101には引力を発生させないように構成しているが、引力が発生している引力発生手段101a同士の間隔を変えることで、進行波の数を変えることができる。また、引力発生手段101aが発生する引力の強さを変えることで、進行波10の振幅を変えることができる。さらに、図6Bのように、互いに隣接する複数の引力発生手段101aに引力を発生させることで、進行波10の波長λを変えることができる。

【0067】
次に、図7に示す壁面移動システム11は、壁面移動システム11を壁面100に密着させる壁面密着手段を構成する負圧発生手段12と、負圧発生手段12の幅方向両端に隣接して延在する2つの進行波生成装置1a、1bとを具える。

【0068】
負圧発生手段12は、隔壁12aと、隔壁12aを貫通する減圧用遠心ファン12bと、減圧用遠心ファン12bを回動させるモータ12cとを具え、隔壁12aにより区画される負圧空間を形成する。

【0069】
負圧発生手段12のモータ12cを駆動して減圧用遠心ファン12bを回動させると、減圧用遠心ファン12bは、負圧空間12dの空気を吸引して、負圧空間12dの外側に排出する。このことで、負圧空間12d内が負圧雰囲気となり、隔壁12aの外側から大気圧による押圧力が働くために、壁面移動システム11は壁面100に押し付けられる。

【0070】
このように、負圧発生手段12を用いることで、壁面100の表面状態や汚染状態に関わらず、壁面移動システム11の接触面と壁面100との間に、一定の押し付け力を確保することができる。

【0071】
また、壁面移動システム11の接触面と壁面100との間に大きな接触面積を確保できるために、接触面の一部に摩擦力の低下が発生しても、タイヤ等の移動機構と比較して、接触面全体では十分な摩擦力を確保することができる。加えて、単位面積当りの吸着力を小さくしても、接触面全体では十分な吸着力を確保することができるため、壁面密着手段を単純なものとすることができる。また、後述するように、壁面100と隔壁12aとの間の隙間を小さくすることで、負圧空間12dの負圧雰囲気を安定的に保つことができる。

【0072】
ところで、図7(b)では、壁面100は左右方向に延在しているが、壁面は鉛直方向に延在する面や斜面、水平面と略平行な天井面または地面や底面とすることが可能であり、壁面移動システムはいずれの壁面をも移動することができる。

【0073】
なお、底面や勾配の小さい斜面を移動する際には、壁面移動システム11が、壁面100に対して、重力により押し付けられて密着するために、負圧発生手段等の壁面密着手段は必ずしも必要でない。

【0074】
ここで、負圧空間内の負圧雰囲気を安定的に保つためには、壁面100と隔壁12aとの間の隙間を極力小さなものとして、隙間から空気が流入しにくくする必要がある。図7(b)に示される壁面移動システム11では、隔壁12aの左右の縁に、それぞれ進行波生成装置1a、1bを配置しており、隔壁12aの左右の縁の隙間を壁面移動システムで塞いでいる。また、図7(a)に示すように、隔壁12aの幅方向(進行波生成装置の回転軸と直交する方向)の長さWを、長さ方向(進行波生成装置の回転軸と平行な方向)の長さLよりも短くしている。

【0075】
上記のように壁面移動システム11を構成することで、壁面100と隔壁12aとの間の隙間を十分小さくして、負圧空間12dの負圧雰囲気を安定的に保つことができる。

【0076】
なお、壁面移動システム11の進行波生成装置1a、1bの進行波部分と、壁面100との間には隙間が発生し、この隙間から空気が流入する。減圧用遠心ファン12bを回動させ続けることで、この隙間から流入した空気は吸引されることとなる。

【0077】
上記のように、壁面移動システム11を壁面100に押し付けたまま、進行波生成装置1の回動手段によってシャフト2を回動させると、図8に示されるように、弾性体5に進行波10が生成される。

【0078】
そして、図9のように弾性体5上のある点Pに注目して、図9(a)のように進行波10が点Pを通過する前と、図9(b)のように進行波10が点Pを通過した後とを比較すると、進行波10が通過した後では、進行波を形成している撓みの分だけ、点Pは進行波10の進行方向に移動していることがわかる。なお、進行波10の通過による点Pの移動距離をf、進行波10の始点と終点との曲線長さをS、進行波の始点と終点とのシャフトの回転軸方向長さをYとすると、それらの関係は、f=S-Yとなる。

【0079】
また、進行波10が既に通過している点Q、進行波がまだ通過していない点Rの位置は変化しない。

【0080】
従って、壁面移動システム11を壁面100に押し付けた状態で、進行波10を生成することにより、弾性体5は進行波の進行方向に移動し、その結果として、壁面移動システム11は、進行波の進行方向に移動する。

【0081】
なお、壁面移動システムの移動速度Vと、上記進行波の通過による点Pの移動距離fと、シャフトの回転数qと、シャフトに形成された条溝の条数をrとすると、それらの関係は、V=f×q×rとなる。

【0082】
ここで、図7(b)のように、進行波生成装置1が、薄板3の、シャフト2とは反対側の面に隣接する弾性体5を具えることで、弾性体5と壁面100との間の摩擦係数を向上させて、壁面移動システムの移動速度を向上させることができるとともに、弾性体5が壁面移動システム11の振動を吸収することができ、さらには、外部からの衝撃を弾性体5で吸収することで、薄板3の損傷を防止することができる。

【0083】
ところで、図7に示されるように、壁面移動システム11は、壁面移動システム11の幅方向の両縁に、互いに平行に延在する2つの進行波生成装置1a、1bを具えている。ここで、2つの進行波生成装置1a、1bに、同じ方向に進行する進行波を生成させた場合には、壁面移動システム11は、進行波の進行方向に並進移動し、一方、2つの進行波生成装置1a、1bに、互いに逆方向に進行する進行波を生成させた場合には、壁面移動システム11は、その場で回転する。

【0084】
また、壁面移動システム11を構成する際に、進行波生成装置1を、図10(a)のように環状に配置したり、図10(b)のように格子状に配置したりすることでも、壁面移動システムは、並進移動及び回転を行うことができる。

【0085】
そして、図7(a)に示すように、図の下側の進行波生成装置1aのシャフトには、右下がりの螺旋条の条溝が形成されており、一方、図の上側の進行波生成装置1bのシャフトの条溝2aには、右上がりの螺旋状の条溝が形成されている。

【0086】
進行波生成装置1による駆動力は、図11に示すように、シャフト2の条溝と垂直な方向に作用するため、下側の進行波生成装置1aでは、図の右側に進行する進行波を生成すると、弾性体5と壁面100との間に、壁面移動システム11を図の右上に移動させる駆動力が発生して、壁面移動システム11を反時計回りに回転させるモーメントが発生する。また、図11の上側の進行波生成装置1bで、図の右側に進行する進行波を生成すると、弾性体5と壁面100との間に、壁面移動システム11を図の右下に移動させる駆動力が発生して、壁面移動システム11を時計回りに回転させるモーメントが発生する。

【0087】
そのため、上記のような2つの進行波生成装置1a、1bに、同じ方向に進行する進行波を生成することで、それぞれの進行波生成装置によるモーメントが相殺されるとともに、進行波の進行方向に壁面移動システム11を移動させる合力が働くため、壁面移動システム11を回転させることなく、壁面移動システム11を並進移動させることができる。

【0088】
なお、図12に示すように、壁面移動システム11’が進行波生成装置を一つだけ具える場合でも、弾性体5の壁面との接触面に、進行波の移動方向に直交する、すだれ状の切れ目、または、図示しない突起または溝を設けることで、進行波の移動方向に平行な駆動力を発生させることができ、壁面移動システム11’を回転させることなく、壁面移動システム11’を並進移動させることができる。

【0089】
本発明の壁面移動システムの他の実施形態では、図13に示すように、条溝が形成された2つの進行波生成装置1a、1bを、シャフトが互いに噛合するように配置させて、2つのシャフト1a、1bを同じ方向に同じ回転数で回動させている。この場合には、シャフトの条溝による隙間が、他のシャフトで埋められることで、隙間から粉塵等が入り込むおそれを低減して、壁面移動システムの防塵性を向上して、故障を防止することができる。なお、進行波生成装置を3つ以上具え、それぞれの進行波生成装置のシャフト同士が互いに噛合するように配置することもできる。

【0090】
ここまで説明した壁面移動システム11では、弾性体5を壁面に押し付ける壁面密着手段を、負圧発生手段12で構成していたが、これに代えて、弾性体5と壁面との接触面を粘着性とすることで壁面密着手段を構成することもできる。この場合には、弾性体5が、壁面100との間に摩擦力を発生させにくい、ガラス等の壁面であっても、弾性体5と壁面との間に十分な摩擦力を確保し、壁面100に沿って壁面移動システム11を移動させることができる。

【0091】
さらに、弾性体5と壁面100とを、静電気や磁気で引き合わせることもできる。弾性体5と壁面100とは面接触をするため、接触面積を大きくすることができ、一般に静電気や磁気は引力が接触面積に比例することにより、弾性体5と壁面100との間に十分な押し付け力を確保することができる。

【0092】
また、弾性体5と壁面100との接触面は、クローラ等の移動手段と異なり、移動方向にほとんど動かず、また、接触面が循環することも無いために、静電気を発生させるために、弾性体5等に電極を設けた場合に、電極からの配線が絡まったり引き千切られたりすることが無くなって、電極等の破損を有効に防止することができる。

【0093】
ここで、弾性体5にセンサを具えることができる。上述したように、弾性体5と壁面100との接触面は、移動方向にほとんど動かず、また、接触面が循環することも無いために、センサに接続された配線が絡まったり、配線が損傷したりするおそれが少なく、多数のセンサを配置することが容易となる。設けられるセンサの例として、弾性体全体に圧力センサを配置して、壁面から受ける圧力を詳細に計測することができる。なお、壁面移動システム11の進行波生成装置1が弾性体5を有しない場合には、薄板3にセンサを具えることができる。

【0094】
さらに、進行波生成装置1によって、図14に示す搬送システム21を構成することができる。なお、この実施形態では、進行波生成装置1は、シャフト2の内側に凹んだ形態の進行波10を生成しているが、シャフト2の外側に突出する進行波を生成する場合でも、搬送システムを構成することができる。

【0095】
この搬送システム21の弾性体5の表面上に、進行波生成装置1が生成する進行波10の波長λよりも大きな被搬送物200aを載せた状態で、シャフト2を回動させると、弾性体5に進行波10が生成される。進行波10が、被搬送物200aの下部を通過する際に、被搬送物200aと進行波10との間には、壁面移動システムと壁面との間に発生する摩擦力と同様の摩擦力が作用する。この摩擦力を十分に確保することで、被搬送物200aは、進行波10との間に滑りを生じさせることなく、進行波の進行方向に搬送されることとなる。なお、シャフト2を円滑に回動させて進行波10を形成するためには、被搬送物200aの重量を適切なものとする必要があることは言うまでもない。

【0096】
一方、搬送システム21の弾性体5の表面に、進行波10の波長λよりも小さな被搬送物200bを載せた状態で、シャフト2を回動させて進行波10を生成すると、被搬送物200bは、進行波10の谷部に引き込まれて、進行波10の谷部に落ち込んだまま、進行波10に伴って、進行波10の進行方向に移動することとなる。被搬送物がこのように移動する作用は、被搬送物が粉状体または粒状体の場合に、特に顕著となる。

【0097】
なお、本発明の搬送システムは、ベルトコンベア等の従来の搬送システムと比較して、被搬送物の搬送方向にほとんど動かないために、防塵性に優れており、また、搬送システムと被搬送物との接触面が循環することが無いために、耐久性に優れる。

【0098】
また、本発明の搬送システムでは、被搬送物の大きさの違いによって、被搬送物の移動方向が異なるため、図15に示すように、大きさの異なる複数種類の搬送物200a、200bを搬送システム上で一緒に移動させることで、被搬送物を、進行波の波長λよりも大きなもの(200a)と、進行波の波長λよりも小さなもの(200b)とに分離することができる。
【符号の説明】
【0099】
1 進行波生成装置
2 シャフト
2a 条溝
2b 突条
2c、2d 端面
2e 進行波減衰部
2f 軌道
3 薄板
4 カム
4a 突条
5 弾性体
10、10’ 進行波
11、11’ 壁面移動システム
12 負圧発生手段
12a 隔壁
12b 減圧用遠心ファン
12c モータ
12d 負圧空間
21 搬送システム
100 壁面
101 引力発生手段
102 変形手段
200a、200b 搬送物
シャフトの回転軸
α シャフトの条溝の角度
f 進行波の通過によって移動する距離
S 進行波の始点と終点との曲線長さ
Y 進行波の始点と終点との、シャフトの回転軸方向長さ
λ 進行波生成装置が生成する進行波の波長
W 負圧発生手段の隔壁の幅方向の長さ
L 負圧発生手段の隔壁の長さ方向の長さ
Pw 薄板を押圧する力
Pi 薄板を屈曲させる力
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6A】
5
【図6B】
6
【図7】
7
【図8】
8
【図9】
9
【図10】
10
【図11】
11
【図12】
12
【図13】
13
【図14】
14
【図15】
15