TOP > 国内特許検索 > ポンプユニット及び流体の搬送方法 > 明細書

明細書 :ポンプユニット及び流体の搬送方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第6078842号 (P6078842)
公開番号 特開2014-005807 (P2014-005807A)
登録日 平成29年1月27日(2017.1.27)
発行日 平成29年2月15日(2017.2.15)
公開日 平成26年1月16日(2014.1.16)
発明の名称または考案の名称 ポンプユニット及び流体の搬送方法
国際特許分類 F04B  43/12        (2006.01)
F04B  43/10        (2006.01)
FI F04B 43/12 A
F04B 43/10
F04B 43/12 T
請求項の数または発明の数 7
全頁数 18
出願番号 特願2012-143491 (P2012-143491)
出願日 平成24年6月26日(2012.6.26)
審査請求日 平成27年5月28日(2015.5.28)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】599011687
【氏名又は名称】学校法人 中央大学
発明者または考案者 【氏名】中村 太郎
【氏名】木村 義規
【氏名】柳田 隆一
【氏名】安達 和紀
個別代理人の代理人 【識別番号】100080296、【弁理士】、【氏名又は名称】宮園 純一
【識別番号】100141243、【弁理士】、【氏名又は名称】宮園 靖夫
審査官 【審査官】柏原 郁昭
参考文献・文献 特公昭46-43337(JP,B1)
特開2000-2184(JP,A)
特表平9-511045(JP,A)
米国特許出願公開第2012/0157919(US,A1)
調査した分野 F04B 43/12
F04B 43/10
F04B 45/08
特許請求の範囲 【請求項1】
流体を搬送する流路内に設けられるポンプユニットであって、
前記流路の延長方向に複数配置され、前記流路内において膨張し、当該膨張に伴う前記流路間との体積変化によって流体を加圧する膨張体と、
前記膨張体内に所定の圧力媒体を供給し、前記複数の膨張体を順次膨張させる膨張制御手段と、
を備え
前記膨張制御手段は、流路の下流側に位置する膨張体が膨張した後に、隣接する上流側の膨張体を収縮させることを特徴とするポンプユニット。
【請求項2】
流体を搬送する流路内に設けられるポンプユニットであって、
前記流路の延長方向に複数配置され、前記流路内において膨張し、当該膨張に伴う前記流路間との体積変化によって流体を加圧する膨張体と、
前記膨張体内に所定の圧力媒体を供給し、前記複数の膨張体を順次膨張させる膨張制御手段と、
を備え、
前記膨張体は、内部に流体を導入可能な気密室を形成する膨張壁と、
前記膨張壁の内部に内挿され、前記流体の導入に伴なう膨張壁の膨張方向を前記流路の延長方向に直交する断面方向に規制する複数の繊維と、
を備えたことを特徴とするポンプユニット。
【請求項3】
前記膨張制御手段は、前記複数の膨張体のうち、少なくとも2つの膨張体が膨張状態となる期間を設定することを特徴とする請求項1又は請求項2記載のポンプユニット。
【請求項4】
前記膨張制御手段によって設定される前記膨張体の膨張時の内圧は、当該膨張体の外表面が前記流路の内壁面に密着する内圧であることを特徴とする請求項1乃至請求項3いずれか記載のポンプユニット。
【請求項5】
搬送方向上流側の流路及び下流側の流路の間に介在される接続フランジを更に備え、
前記膨張体が前記接続フランジ内において固定されたことを特徴とする請求項1乃至請求項4いずれかに記載のポンプユニット。
【請求項6】
流路の延長方向に、当該流路内において膨張し、膨張に伴う前記流路間との体積変化によって流体を加圧する膨張体を複数配置し、
前記膨張体内に所定の圧力媒体を供給して前記複数の膨張体を順次膨張させ、
流路の下流側に位置する膨張体が膨張した後に、隣接する上流側の膨張体を収縮させることにより流体を搬送することを特徴とする流体の搬送方法。
【請求項7】
内部に流体を導入可能な気密室を形成する膨張壁と、前記膨張壁の内部に内挿され、前記流体の導入に伴なう膨張壁の膨張方向を流路の延長方向に直交する断面方向に規制する複数の繊維とを備え、流路内において膨張し、膨張に伴う前記流路間との体積変化によって流体を加圧する膨張体を流路の延長方向に複数配置し、前記膨張体内に所定の圧力媒体を供給して前記複数の膨張体を順次膨張させることにより流体を搬送することを特徴とする流体の搬送方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、ポンプユニット及び流体の搬送方法に関し、特に流路内に配置して流体を搬送するためのポンプユニット及び流体の搬送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、流体を搬送するポンプには、タービン型や圧送型等が知られている。このような従来型のポンプは、搬送する流体が貯留されるタンクの近傍に設けられて、タンク内に貯留される流体のヘッドを利用してポンプに流入させて下流側に加圧して流体を送出している。ところが、従来型のポンプは、搬送する流体の貯留部と搬送先との経路を結ぶ流路とは別に設置スペースを確保して配置する必要があり、設置する場所によりその輸送効率が変わるため、設置スペースの確保及びポンプの選定は、流体搬送における重要な事項となっている。
例えば、特許文献1及び特許文献2には、設置場所に依存しないポンプとして、外筒と、該外筒の内周面に沿って同軸的に設けられた膨張可能な内筒とにより構成されるポンプユニットが開示されている。外筒及び内筒は、ゴム又はエラストマーにより構成され、内部に非伸張性の高弾性繊維が埋設されている。高弾性繊維は、外筒及び内筒の筒軸心方向に沿って配向され、筒軸心方向への長さの変化を拘束し、内筒が半径方向内向きに膨張するように規制している。
このポンプユニットは、複数個同軸に連結することにより1つのポンプを構成し、流体を搬送する配管にこのポンプを直列に接続して、各ポンプユニットの内筒を順次膨張させることにより流体の搬送を可能とし、上記従来のポンプに必要とされるポンプの設置スペースを不要としている。
【先行技術文献】
【0003】

【特許文献1】特開2010-203400号公報
【特許文献2】特開2010-196689号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、流体搬送に使用される配管は、一般的にJIS規格等により規格化されているため、特許文献1,2に開示されているポンプの場合、各管径に対応したサイズのポンプユニットを作成する必要があるため、管径によってはポンプユニットが極めて大型化するという課題が残る。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するため、ポンプの設置スペースの確保を必要とせず、また、既存の規格化された配管であっても、配管の大きさ毎に設計する必要がないポンプユニット及び流体の搬送方法を提供することを目的とする。
【0006】
上記課題を解決するためのポンプユニットの構成として、流体を搬送する流路内に設けられるポンプユニットであって、流路の延長方向に複数配置され、流路内において膨張し、当該膨張に伴う流路間との体積変化によって流体を加圧する膨張体と、膨張体内に所定の圧力媒体を供給し、複数の膨張体を順次膨張させる膨張制御手段とを備え、膨張制御手段は、流路の下流側に位置する膨張体が膨張した後に、隣接する上流側の膨張体を収縮させる構成とした。
本構成のポンプユニットによれば、流路の延長方向に複数配置された膨張体が、膨張制御手段の制御により流路内において順次膨張することにより、膨張体の膨張順と同一方向に流体を押し出して搬送することができる。また、膨張体の膨張量を調整することにより、寸法が異なる流路に対応させることが可能となる。また、膨張体が、流路内に配置されるため、ポンプユニットの設置スペースを最小化することができる。また、本構成のポンプユニットによれば、上流側の膨張体が収縮することにより、膨張する下流側の膨張体に上流側から流体を取り込むことができるので、流体の搬送効率を向上させることができる。
また、ポンプユニットの他の構成として、流体を搬送する流路内に設けられるポンプユニットであって、流路の延長方向に複数配置され、流路内において膨張し、当該膨張に伴う流路間との体積変化によって流体を加圧する膨張体と、膨張体内に所定の圧力媒体を供給し、複数の膨張体を順次膨張させる膨張制御手段とを備え、膨張体は、内部に流体を導入可能な気密室を形成する膨張壁と、膨張壁の内部に内挿され、流体の導入に伴なう膨張壁の膨張方向を流路の延長方向に直交する断面方向に規制する複数の繊維とを備える構成とした。
本構成のポンプユニットによれば、膨張体の膨張壁を効率よく流路の断面方向に膨張させることができるので、膨張壁の内部に導入される流体の供給量を少なくすることができる。従って、効率よく膨張体を膨張させることができる。
また、ポンプユニットの他の構成として、膨張制御手段が、複数の膨張体のうち、少なくとも2つの膨張体が膨張状態となる期間を設定する構成とした。
本構成のポンプユニットによれば、膨張制御手段が、少なくとも2つの膨張体が膨張状態となる期間を設定することにより、上流側に位置する膨張体を流路におけるバルブとして動作させ、下流側の膨張体が膨張することで、上流側の膨張体よりも下流側の流体を加圧して下流側に搬送することができる。
また、ポンプユニットの他の構成として、膨張制御手段によって設定される膨張体の膨張時の内圧が、膨張した膨張体の外表面が流路の内壁面に密着する内圧である構成とした。
本構成のポンプユニットによれば、膨張した膨張体の外表面が流路の内壁面に密着することにより流路が遮断され、膨張体の膨張により加圧された流体の逆流を阻止することができるので、効率よく流体を搬送することができる。
た、ポンプユニットの構成として、搬送方向上流側の流路及び下流側の流路の間に介在される接続フランジを更に備え、膨張体が接続フランジ内において固定される構成とした。
本構成のポンプユニットによれば、膨張体が接続フランジを介して流路内に固定されるので、流路内を流れる流体によって膨張体が下流側に流されることを防ぐことができる。
また、接続フランジを介して膨張体が固定されることにより、膨張や収縮動作により流体から受ける反力によって流体内を膨張体が移動しないため、膨張体の膨張,収縮に伴う体積変化を効率的に流体に伝達でき、ポンプ動作を効率的に行なわせることができる。
また、流体の搬送方法として、流路の延長方向に、当該流路内において膨張し、膨張に伴う流路間との体積変化によって流体を加圧する膨張体を複数配置し、膨張体内に流体を供給して複数の膨張体を順次膨張させ、流路の下流側に位置する膨張体が膨張した後に、隣接する上流側の膨張体を収縮させることにより流体を搬送する態様としたり、内部に流体を導入可能な気密室を形成する膨張壁と、前記膨張壁の内部に内挿され、前記流体の導入に伴なう膨張壁の膨張方向を流路の延長方向に直交する断面方向に規制する複数の繊維とを備え、流路内において膨張し、膨張に伴う前記流路間との体積変化によって流体を加圧する膨張体を流路の延長方向に複数配置し、前記膨張体内に所定の圧力媒体を供給して前記複数の膨張体を順次膨張させることにより流体を搬送する態様とした。
本搬送方法の態様によれば、上述したポンプユニットと同様の効果を得ることができる。

【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】ポンプユニットの一例を示す概略図である。
【図2】ジョイントの軸方向断面図及び径方向断面図である。
【図3】膨張ユニットの一例を示す断面図である。
【図4】ポンプユニットの適用例を示す図である。
【図5】ポンプユニットの動作パターンを示す図である。
【図6】ポンプユニットの動作パターンを示す図である。
【図7】動作パターンの他の形態を示す図である。
【図8】動作パターンの違いによる流圧、体積流量率、体積流量効率の違いを示す図である。
【図9】ポンプユニットの他の形態を示す概略図である。

【0008】
以下、発明の実施形態を通じて本発明を詳説するが、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態の中で説明される特徴の組み合わせのすべてが発明の解決手段に必須であるとは限らず、選択的に採用される構成を含むものである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、本発明に係るポンプユニット1の一例を示す概略全体図である。同図においてポンプユニット1は、駆動体10を動作させることにより、矢印で示す方向に向かって搬送対象である流体を送出するものとし、矢印が示す方向と同一方向を下流側、逆方向を上流側として説明する。なお、本明細書において、搬送対象となる流体には、気体、液体の他、固液混合体、或いは紛体等を含み、流路内を移動可能なものであればその性質を問わない。

【0010】
同図に示すように、ポンプユニット1は、概略、駆動体10と、フランジ11と、制御装置100とにより構成される。ポンプユニット1を構成する駆動体10は、流路を形成する配管等に固定するためのフランジ11に取り付けられて流路内に配置される。駆動体10は、当該駆動体10を構成する膨張体としての複数の膨張ユニット10A乃至10Dを所定のタイミングで膨張,収縮動作させることにより、ミミズの移動を模した蠕動運動を行なわせて流路内を流通する流体を上流側から下流側に向けて加圧して送出,搬送する装置である。なお、以下の説明において流路は、一例として、所定寸法で規格された塩ビ管からなる配管として説明する。

【0011】
図2(a),(b)は、駆動体10が取り付けられるフランジ11の軸方向断面図及び径方向断面図である。図2(a),(b)に示すように、フランジ11は、流路を形成する配管P1及び配管P2を接続し、配管P1;P2で形成される流路内に駆動体10を内設して固定する。つまり、フランジ11は、配管P1;P2を接続するための接続手段であるとともに、駆動体10を流路内に固定するための固定手段である。

【0012】
図2に示すように、フランジ11は、外筒31と、内筒32と、肉厚調整筒33と、台座34とにより構成される。外筒31は、流路を形成する配管P1;P2と嵌合可能な寸法の内径を有する所定肉厚の円筒体からなる。内筒32は、流路を形成する配管P1;P2の内径と嵌合可能な寸法の外径を有する所定肉厚の円筒体からなり、外筒31の軸方向の長さよりも短い長さに設定される。肉厚調整筒33は、外筒31と内筒32の間に配置され、流路を形成する配管の肉厚分に相当する肉厚を有する円筒体からなり、内筒32の軸方向の長さよりも短く設定される。

【0013】
外筒31、内筒32及び肉厚調整筒33は、軸方向の中心が一致するように、内筒32,肉厚調整筒33,外筒31の順に同心状に重ねて一体に形成される。外筒31と肉厚調整筒33との間、肉厚調整筒33と内筒32との間は、それぞれシール機能を有する接着剤などによって接着固定される。したがって、フランジ11の両端部に配管P1;P2の端部をそれぞれ挿入することにより、配管P1;P2の外周面が外筒31の内周面と接触して外筒31により囲繞され、配管P1;P2の内周面が内筒32の外周面と接触して内筒32囲繞されることで、配管P1;P2がフランジ11に対して密着して接続される。

【0014】
台座34は、フランジ11に駆動体10を固定するための基台であって、内筒32の内周面上に固定される。図2(b)に示すように、台座34は、断面長円状の軸体であって、例えば内筒32の長さと同一の長さを有し、内筒32の内周面の曲率に対応する円弧面34aと、流路中心C側に位置して、後述の駆動体10の外形の寸法に対応する曲率の円弧面34bとを有する。台座34は、円弧面34aが内筒32の内周面に固定された状態において、流路中心C側に形成される円弧面34bの中心が流路中心Cと一致する。円弧面34b側の下流側の端面34cからは、駆動体10を固定するための結合部36が突出する。結合部36は、流路中心Cを中心として下流側に向けて突出する円筒状であって、後述の駆動体10を構成するフランジ16Aの内周面と嵌合する。

【0015】
また、台座34は、結合部36から軸方向に沿って延長するとともに、半径方向に折れ曲がるL字状の中空部Sを備える。
中空部Sは、後述の駆動体10のチューブ15A乃至15Dを流路外に引き出すための空間であり、台座34の結合部36の端面36aから台座34の内部に向かって軸方向に沿って延長し、台座34の内部において終端する穴と、軸方向と直交方向に延長し、外筒31の外周面31aから肉厚調整筒33及び内筒32を貫通して台座34の内部において終端する穴とを台座34内部で互いに交差させることで形成される。
つまり、中空部Sは、台座34の結合部36の端面36aの開口と、フランジ11の外筒31の外周面31aの開口とを連通する空間からなる。外周面31aに形成される中空部Sの開口縁には、チューブ15A乃至15Dの引き出しをガイドする円筒状のガイド筒35が取り付けられる。
従って、配管P1;P2内を流通する流体は、フランジ11内の図2(a),(b)の図中Fで示す部分を流れる。

【0016】
次に、上述のフランジ11によって固定される駆動体10について説明する。駆動体10は、複数の膨張ユニット10A乃至10Dと、各膨張ユニット10A乃至10Dを膨張,収縮動作させる空気を供給する駆動用エアチューブ15A乃至15Dとにより構成される。なお、駆動体10の各膨張ユニット10A乃至10Dは、同一構成であるため、以下の説明においては膨張ユニット10Aを例として説明する。また、駆動体10を構成する膨張ユニットの数量は上記4つに限定されず、少なくとも2つ以上の数量により構成されれば良い。
図3は、膨張ユニット10Aの軸方向断面図である。同図に示すように、膨張ユニット10Aは、オーバーチューブ12Aと、一対のフランジ16A,16Bと、膨張壁25Aとを備える。

【0017】
オーバーチューブ12Aは、軸方向に伸長,委縮自在な蛇腹構造を有する両端開口の管状体である。フランジ16A及びフランジ16Bは、リング状に形成された平板円環体であって、当該フランジ16A;16Bの内周面にオーバーチューブ12Aの外周面が嵌着される。フランジ16A;16Bは、それぞれ外周面に沿って窪む凹部19を備える。凹部19は、フランジ16A,16Bの板厚中心からやや位置ずれして形成され、溝を挟んだ外周面の幅が広い幅広部20aと、狭い幅狭部20bとが形成される。
一方のフランジ16Aの幅広部20aは、当該フランジ16Aの外周面から内周面に貫通する貫通孔39を備える。貫通孔39には、オーバーチューブ12Aの内部空間を介して挿通される仮想線で示す駆動用エアチューブ15Aを接続するための接続口17が設けられる。駆動用エアチューブ15Aには、例えばポリ塩化ビニル等の可撓性部材によって形成されたチューブが適用される。

【0018】
膨張壁25Aは、オーバーチューブ12Aの外周面を覆うように被着される。膨張壁25Aは、両端開口の略筒状体であって、例えば合成ゴムや天然ゴム等の弾性体からなる。
また、図3の二点鎖線で示すように、オーバーチューブ12Aの外周面の周囲を覆う膨張壁25Aの内部には、流体の搬送方向と対応する軸方向に沿って延在するガラスロービングやカーボンロービング等からなる複数の繊維fが内挿される。複数の繊維fは、膨張壁25A内に密な状態として内挿される。なお、繊維fの延在方向は、流体の搬送方向と同一方向に限定されず、流体の搬送方向に対して傾斜、或いは、繊維f同士が互いに交差するように内挿してもよい。
繊維fが内挿された膨張壁25Aの両端部は、フランジ16A,16Bの外周上に形成された溝部19,19に対応する位置で例えばピアノ線のような固定手段を介して強固に括られる。これにより、膨張壁25A内に内挿された繊維fの両端についても一端がフランジ16A、他端がフランジ16Bの外周上に強固に固定される。

【0019】
以上の構成により、オーバーチューブ12Aの外周面と膨張壁25Aの内周面との間に密閉空間としてのチャンバー27Aが形成され、オーバーチューブ12A、第1フランジ16A、第2フランジ16B及び膨張壁25Aによって駆動体としての膨張ユニット10Aが構成される。

【0020】
そして、図1に示すように、上記膨張ユニット10Aと同一構造を有する膨張ユニット10B乃至10Dを図外の固定手段、例えばボルトナット等により膨張ユニット10Aのフランジ16Bと膨張ユニット10Bのフランジ16Aとを向かい合わせて固定し、膨張ユニット10Bのフランジ16Bと膨張ユニット10Cのフランジ16Aとを向かい合わせて固定し、膨張ユニット10Cのフランジ16Bと膨張ユニット10Dのフランジ16Aとを向かい合わせて固定することで、複数の膨出ユニット10A乃至10Dが搬送方向に沿って連結された1つの駆動体10が構成される。
また、膨張ユニット10Dのフランジ16Bの外周には、各膨張ユニット10A乃至10Dのオーバーチューブ12A乃至12Dによって連通する内周空間を閉塞するためのキャップ18が嵌着される。キャップ18は、駆動体10の動作により搬送される流体の流れを乱さない外形形状に形成される。

【0021】
駆動体10として一体に連結された各膨張ユニット10A乃至10Dには、各膨張ユニット10A乃至10Dのフランジ16Aが備える接続口17に駆動用エアチューブ15A乃至15Dの先端が、複数のオーバーチューブ12A乃至12Dによって連通する内周空間を経て接続される。

【0022】
図1に示すように、駆動用エアチューブ15A乃至15Dの後端部は、後述する空気供給源としてのエアコンプレッサ101と、供給バルブ102A乃至102D及び開放バルブ103A乃至103Dを介して接続されており、エアコンプレッサ101から供給された空気は、各伸縮ユニット10A乃至10Dのチャンバー27A乃至27D内に独立して供給される。
空気供給バルブ102A乃至102Dは、エアコンプレッサ101から供給される空気圧を後述の制御装置100から出力される信号に基づいて所定の圧力に制御し、駆動用エアチューブ15A乃至15Dと連通する供給孔21を経て、各膨張ユニット10A乃至10Dのチャンバー27A乃至27D内に空気を供給する(図3参照)。
なお、チャンバー27A乃至27Dに供給され、各膨張壁を膨張させる圧力媒体としては、空気に限られるものではなく、他の気体や混合気体、液体、紛体等、各膨張壁を膨張せしめる媒体であればいかなる媒体であってもよい。

【0023】
次に、上記駆動体10の駆動を制御する制御装置100について説明する。
制御装置100は、上記膨張ユニット10A乃至10Dに供給する空気を所定の圧力で蓄圧するエアコンプレッサ101と、エアコンプレッサ101に蓄圧された空気を所定の圧力で供給する供給バルブ102A乃至102Dと、膨張ユニット10A乃至10Dに供給された空気を大気中に開放する開放バルブ103A乃至103Dと、膨張ユニット10A乃至10Dの膨張,収縮を制御する膨張制御手段110とを備える。膨張制御手段110は、図外のキーボード等の入力手段、CPU等の演算手段、ROM,RAM等の記憶手段等を備えた所謂コンピュータであって、上述の供給バルブ102A乃至102D及び開放バルブ103A乃至103Dに制御信号を出力可能な出力手段とを備えており、ROM内に格納された制御プログラムに従って、駆動体10の複数の膨張ユニット10A乃至10Dを膨張させる動作タイミングを制御する。

【0024】
以下、図4を参照して上記駆動体10を備えたポンプユニット1が配管P1,P2に組み込まれた場合のポンプ動作の一例について説明する。
図4は、ポンプユニット1が備える駆動体10の複数の膨張ユニット10A乃至10Dを駆動することにより、タンク50内に貯留された流体を下方から上方に搬送する場合のポンプ動作を示すための模式図である。同図に示すように、膨張ユニット10A乃至10Dを構成する駆動用エアチューブ15A乃至15Dは、制御装置100内に設置されたエアコンプレッサ101と制御バルブ102A乃至102D及び開放バルブ103A乃至103Dを介して接続されている。

【0025】
同図に示すように、駆動体10は、タンク50から鉛直方向に延長する上流側の配管P1と、タンク50内に貯留された流体51を上方に搬送するための下流側の配管P2との間に配設される。配管P1は、下端がタンク50内に貯留される流体51内に浸るように延長し、上端が駆動体10を固定するフランジ11の一端側と接続される。配管P2は、上端が大気に開放され、下端がフランジ11の他端側と接続される。なお、この状態において、駆動体10の膨張ユニット10A乃至10Dは、いずれもタンク50内の流体51に浸らない位置に配置されている。

【0026】
まず、駆動体10をポンプとして動作させるため、各膨張ユニット10A乃至10Dの膨張,収縮動作が開始される。このとき、供給バルブ102A乃至102Dにより制御される空気圧は、膨張壁25A乃至25Dの外表面が配管P2の内壁面に密着し得る圧力として設定される。以下、図5(a)乃至(h)を用いて駆動体10の動作を時系列で説明する。

【0027】
まず、制御装置100の膨張制御手段110が、各膨張ユニット10A乃至10Dに空気が供給されていない初期状態から、供給バルブ102Aを開放状態とし、駆動用エアチューブ15Aを介してエアコンプレッサ101からの空気をフランジ11側に位置する膨張ユニット10Aに送り込む。膨張ユニット10A内に空気が送り込まれると、空気はフランジ16Aに形成された接続口17を経由してチャンバー27A内に流れ込む。空気がチャンバー27A内に流れ込むと、膨張ユニット10Aを構成する膨張壁25Aは、図5(a)に示すように、複数の繊維fにより軸方向への膨張が拘束されていることにより、径方向外側(配管P2の延長方向に対して直交する断面の壁面方向)に拡径しつつ、軸方向に委縮するように膨張する。なお、当該軸方向への委縮に伴って内部のオーバーチューブ12Aも委縮する。
そして、膨張した膨張壁25Aの外表面は、配管P2の内壁面と密着した状態となり、膨張ユニット10Aよりも下側の空間と、膨張ユニット10Aよりも上側の空間とが遮断される。

【0028】
次に、図5(b)に示すように、膨張制御手段110は、膨張ユニット10Aよりも下流側(上方)に位置する膨張ユニット10Bを構成する膨張壁25Bの膨張を開始する。具体的には、供給バルブ102Bを開放状態とし、駆動用エアチューブ15Bを介してエアコンプレッサ101からの空気を膨張ユニット10Bのチャンバー27B内に送り込むことにより、膨張壁25Bを前述の膨張壁25Aと同様の状態に膨張させ、その外表面が配管P2の内壁面と密着した状態とする。

【0029】
次に、膨張壁25Bの外表面が配管P2の内壁面と密着した状態となると、膨張制御手段110は、配管P2と密着状態にある膨張壁25A内の空気を放出し、膨張壁25Aを元の状態に収縮させる。具体的には、図5(c)に示すように、開放バルブ103Aを開放状態とし、チャンバー27A内に供給された空気を大気に放出し、密着状態にある膨張壁25Aを径方向内側に縮径させつつ、軸方向に伸長するように徐々に収縮させる。なお、当該軸方向への伸長に伴って内部のオーバーチューブ12Aも伸長する。
膨張壁25Aが膨張前の元の状態に復帰することにより、配管P2の内壁面との密着状態は解除される。また、図5(b),(c)間の変化に示すように、膨張壁25Aの収縮による軸方向への伸長により、膨張壁25Bが内壁面との密着状態を維持したまま下流側(上方)に僅かに押し上げられる。
上記膨張壁25Aの収縮によって、配管P2の内壁面に密着する膨張壁25B、配管P2の内壁面、液面51aで囲まれる密閉空間内の圧力は、膨張壁25Aの収縮したことによる容積の増加分と、膨張ユニット10Aが軸方向に伸長して膨張壁25Bを押し上げたことによる容積の増加分とにより減圧されて、液面51aの位置を初期の位置から上昇させることになる。

【0030】
次に、膨張制御手段110は、膨張ユニット10Bよりも下流側(上方)に位置する膨張ユニット10Cを構成する膨張壁25Cの膨張を開始する。具体的には、図5(d)に示すように、供給バルブ102Cを開放状態とし、駆動用エアチューブ15Cを介してエアコンプレッサ101からの空気を膨張ユニット10Cのチャンバー27C内に送り込むことにより、膨張壁25Cを膨張させ、膨張壁25Bと同様にその外表面が配管P2の内壁面と密着した状態とする。

【0031】
次に、膨張壁25Cが配管P2の内壁面と密着した状態となると、膨張制御手段110は、配管P2と密着状態にある膨張壁25B内の空気を放出し、膨張壁25Bを元の状態に収縮させる。具体的には、図5(e)に示すように、開放バルブ103Bを開放状態とし、チャンバー27B内に供給された空気を大気に放出し、密着状態にある膨張壁25Bを径方向内側に縮径させつつ、軸方向に伸長するように徐々に収縮させる。なお、当該軸方向への伸長に伴って内部のオーバーチューブ12Bも伸長する。
膨張壁25Bが膨張前の元の状態に復帰することにより、配管P2の内壁面との密着状態は解除される。また、図5(d),(e)間の変化に示すように、膨張壁25Bの収縮による軸方向への伸長により、膨張壁25Cが内壁面との密着状態を維持したまま下流側(上方)に僅かに押し上げられる。
上記膨張壁25Bの収縮によって、配管P2の内壁面に密着する膨張壁25C、配管P2の内壁面、液面51aで囲まれる密閉空間内の圧力は、膨張壁25Bの収縮したことによる容積の増加分と、膨張ユニット10Bが軸方向に伸長して膨張壁25Cを押し上げたことによる容積の増加分とにより減圧されて、液面51aの位置をさらに上昇させることになる。

【0032】
次に、膨張制御手段110は、膨張ユニット10Cよりも下流側(上方)に位置する膨張ユニット10Dを構成する膨張壁25Dの膨張を開始する。具体的には、供給バルブ102Dを開放状態とし、駆動用エアチューブ15Dを介してエアコンプレッサ101からの空気を膨張ユニット10Dのチャンバー27D内に送り込むことにより、膨張壁25Dを膨張させ、膨張壁25Cと同様にその外表面が配管P2の内壁面と密着した状態とする。

【0033】
次に、膨張壁25Dが配管P2の内壁面と密着した状態となると、膨張制御手段110は、配管P2と密着状態にある膨張壁25C内の空気を放出し、膨張壁25Cを元の状態に収縮させる。
具体的には、図5(g)に示すように、開放バルブ103Cを開放状態とし、チャンバー27C内に供給された空気を大気に放出することにより、密着状態にある膨張壁25Cを径方向内側に縮径させつつ、軸方向に伸長するように徐々に収縮させる。なお、当該軸方向への伸長に伴って内部のオーバーチューブ12Cも伸長する。
膨張壁25Cが膨張前の元の状態に復帰することにより、配管P2の内壁面との密着状態は解除される。また、図5(f),(g)間の変化に示すように、膨張壁25Cの収縮による軸方向への伸長により、膨張壁25Dが内壁面との密着状態を維持したまま下流側(上方)に僅かに押し上げられる。
上記膨張壁25Cの収縮によって、配管P2の内壁面に密着する膨張壁25D、配管P2の内壁面、液面51aで囲まれる密閉空間内の圧力は、膨張壁25Cの収縮したことによる容積の増加分と、膨張ユニット10Cが軸方向に伸長して膨張壁25Dを押し上げたことによる容積の増加分とにより減圧されて、液面51aの位置をさらに上昇させて、液面51aを膨張ユニット10Aの下端に到達させる。

【0034】
次に、膨張制御手段110は、最も上流側(下方)に位置する膨張ユニット10Aを構成する膨張壁25Aの膨張を開始する。具体的には、図5(h)に示すように、供給バルブ102Aを開放状態とし、エアコンプレッサ101からの空気を駆動用エアチューブ15Aを介して膨張ユニット10Aのチャンバー27A内に送り込むことにより、膨張壁25Aを膨張させ、膨張壁25Dと同様にその外表面が配管P2の内壁面と密着した状態とする。

【0035】
次に、膨張壁25Aが配管P2の内壁面と密着した状態となると、膨張制御手段110は、配管P2と密着状態にある膨張壁25D内の空気を放出し、元の状態に収縮させる。具体的には、図6(a)(図5(a)と同一の状態)に示すように、開放バルブ103Dを開放状態とし、チャンバー27D内に供給された空気を大気に放出し、密着状態にある膨張壁25Dを径方向内側に縮径させつつ、軸方向に伸長するように徐々に収縮させる。なお、当該軸方向への伸長に伴って内部のオーバーチューブ12Dも伸長する。

【0036】
次に、膨張制御手段110は、膨張ユニット10Bを構成する膨張壁25Bの膨張を開始する。具体的には、図6(b)に示すように、供給バルブ102Bを開放状態とし、エアコンプレッサ101からの空気を駆動用エアチューブ15Bを介して膨張ユニット10Bのチャンバー27B内に送り込むことにより、膨張壁25Bを前述の膨張壁25Aと同様の状態に膨張させ、その外表面が配管P2の内壁面と密着した状態とする。

【0037】
次に、膨張壁25Bの外表面が配管P2の内壁面と密着した状態となると、膨張制御手段110は、配管P2と密着状態にある膨張壁25A内の空気を放出し、膨張壁25Aを元の状態に収縮させる。具体的には、図6(c)に示すように、開放バルブ103Aを開放状態とし、チャンバー27A内に供給された空気を大気に放出し、密着状態にある膨張壁25Aを径方向内側に縮径させつつ、軸方向に伸長するように徐々に収縮させる。なお、当該軸方向への伸長に伴なって内部のオーバーチューブ12Aも伸長する。
膨張壁25Aが膨張前の元の状態に復帰することにより、配管P2の内壁面との密着状態は解除される。また、図6(b),(c)間の変化に示すように、膨張壁25Aの収縮による軸方向への伸長により、膨張壁25Bが内壁面との密着状態を維持したまま下流側(上方)に僅かに押し上げられる。
上記膨張壁25Aの収縮によって、配管P2の内壁面に密着する膨張壁25B、配管P2の内壁面、液面51aで囲まれる密閉空間内の圧力は、膨張壁25Aの収縮したことによる容積の増加分と、膨張ユニット10Aが軸方向に伸長して膨張壁25Bを押し上げたことによる容積の増加分とにより減圧されて、液面51aの位置を上昇させて、液面51aの位置を完全に膨張ユニット10Aに到達させる。

【0038】
次に、膨張制御手段110は、膨張ユニット10Bよりも下流側(上方)に位置する膨張ユニット10Cを構成する膨張壁25Cの膨張を開始する。具体的には、図6(d)に示すように、供給バルブ102Cを開放状態とし、駆動用エアチューブ15Cを介してエアコンプレッサ101からの空気を膨張ユニット10Cのチャンバー27C内に送り込むことにより、膨張壁25Cを膨張させ、膨張壁25Bと同様にその外表面が配管P2の内壁面と密着した状態とする。

【0039】
次に、膨張壁25Cが配管P2の内壁面と密着した状態となると、膨張制御手段110は、配管P2と密着状態にある膨張壁25B内の空気を放出し、膨張壁25Bを元の状態に収縮させる。具体的には、図6(e)に示すように、開放バルブ103Bを開放状態とし、チャンバー27B内に供給された空気を大気に放出し、密着状態にある膨張壁25Bを径方向内側に縮径させつつ、軸方向に伸長するように徐々に収縮させる。なお、当該軸方向への伸長に伴なって内部のオーバーチューブ12Bも伸長する。
膨張壁25Bが膨張前の元の状態に復帰することにより、配管P2の内壁面との密着状態が解除される。また、図6(d),(e)間の変化に示すように、膨張壁25Bの収縮による軸方向への伸長により、膨張壁25Cが内壁面との密着状態を維持したまま下流側(上方)に僅かに押し上げられる。
上記膨張壁25Bの収縮によって、配管P2の内壁面に密着する膨張壁25C、配管P2の内壁面、液面51aで囲まれる密閉空間内の圧力は、膨張壁25Bの収縮したことによる容積の増加分と、膨張ユニット10Bが軸方向に伸長して膨張壁25Cを押し上げたことによる容積の増加分とにより減圧されて、液面51aの位置が膨張壁25Bの下端側まで到達する。

【0040】
次に、膨張制御手段110は、膨張ユニット10Cよりも下流側(上方)に位置する膨張ユニット10Dを構成する膨張壁25Dの膨張を開始する。具体的には、供給バルブ102Dを開放状態とし、駆動用エアチューブ15Dを介してエアコンプレッサ101からの空気を膨張ユニット10Dのチャンバー27D内に送り込むことにより、膨張壁25Dを膨張させ、膨張壁25Cと同様にその外表面が配管P2の内壁面と密着した状態とする。

【0041】
次に、膨張壁25Dが配管P2の内壁面と密着した状態となると、膨張制御手段110は、配管P2と密着状態にある膨張壁25C内の空気を放出し、膨張壁25Cを元の状態に収縮させる。
具体的には、図6(g)に示すように、開放バルブ103Cを開放状態とし、チャンバー27C内に供給された空気を大気に放出することにより、密着状態にある膨張壁25Cを径方向内側に縮径させつつ、軸方向に伸長するように徐々に収縮させる。なお、当該軸方向への伸長に伴なって内部のオーバーチューブ12Cも伸長する。
膨張壁25Cが膨張前の元の状態に復帰することにより、配管P2の内壁面との密着状態が解除される。また、図6(f),(g)間の変化に示すように、膨張壁25Cの収縮による軸方向への伸長により、膨張壁25Dが内壁面との密着状態を維持したまま下流側(上方)に押し上げられる。
上記膨張壁25Cの収縮によって、配管P2の内壁面に密着する膨張壁25D、配管P2の内壁面、液面51aで囲まれる密閉空間の圧力は、膨張壁25Cの収縮したことによる容積の増加分と、膨張ユニット10Cが軸方向に伸長して膨張壁25Dを押し上げたことによる容積の増加分とにより減圧されて、液面51aの位置をさらに上昇させて、面51aの位置を膨張壁25Bの上端側まで到達させる。

【0042】
次に、膨張制御手段110は、膨張ユニット10Aを構成する膨張壁25Aの膨張を開始する。具体的には、図6(h)に示すように、供給バルブ102Aを開放状態とし、エアコンプレッサ101からの空気を駆動用エアチューブ15Aを介して膨張ユニット10Aのチャンバー27A内に送り込むことにより、膨張壁25Aを膨張させ、膨張壁25Dと同様にその外表面が配管P2の内壁面と密着した状態とする。
膨張ユニット10Aの膨張に伴なって、液面51aは、膨張ユニット10Bの上端側から膨張ユニット10Cに到達する位置まで押し上げられる。

【0043】
以上、図5(a)乃至(h)に至る工程を1工程とし、この工程を繰り返すことによりポンプユニット1の駆動体10が、流体を上流側(下方)から下流側(上方)に向けて搬送することができる。また、膨張制御手段110が、図5,図6に示す工程を繰り返すことにより、流体51が膨張ユニット10A,10B,10C,10Dの順に押し上げられ、最終的には、膨張ユニット10Dよりも下流(上方)に搬送される。

【0044】
なお、貯留された流体51が膨張ユニット10Aに到達するまでの工程の繰り返し数については、駆動体10が動作を開始する前の液面51aの初期の位置から膨張ユニット10Aまでの距離により異なる。また、液面51aが膨張ユニット10Aに到達するまでの図5に示す動作は、ポンプとして流体51を搬送する前に、液面51aから膨張ユニット50Aの間に存在する流体としての空気を排出して、タンク50内に貯留される流体51を搬送するための空気抜き動作である。

【0045】
以上説明したように、本発明に係るポンプユニット1の駆動体10が、流路内において蠕動運動するように各膨張ユニット10A乃至10Dを膨張,収縮させることで、タンク50側に位置する膨張ユニット10Aとタンク50に貯留される流体51の液面51aとの間の空気が吸い出されることにより、液面51aが徐々に上昇し、駆動体10に到達した流体51を下流側に向けて搬送することができる。
つまり、従来のポンプのように呼び水を行なう必要がなく、駆動体10は、空間内の空気を搬送し、その後液体を搬送することができる気液搬送ポンプとしての機能を有することになる。

【0046】
また、駆動体10による搬送動作は、各膨張ユニット10A乃至10Dの動作順序を制御することで自在に変更することができる。以下に、動作パターンの違いによる流体の搬送特性について説明する。
動作パターンには、図5で説明したパターン(以下、「動作パターン211」という)、及び図7(a),(b)に示す2つのパターン(以下、「動作パターン7sm」、「動作パターン8sm」という)が存在する。図8(a),(b),(c)は、各動作パターン毎の流圧、体積流量率及び体積流量効率についてまとめた結果である。

【0047】
図7(a)は、流体の搬送方向に沿って、上流側から下流側に向けて順に膨張ユニット10A乃至10Dを膨張させ、全ての膨張ユニット10A乃至10Dを膨張させた後に、上流側から下流側に向けて順に膨張ユニット10A乃至10Dを収縮させることで1つのサイクルが完了する動作パターン(以下、「動作パターン7sm」という)を示す。
また、図7(b)は、流体の搬送方向に沿って、上流側から下流側に向けて順に膨張ユニット10A乃至10Dを膨張させ、全ての膨張ユニット10A乃至10Dを膨張させた後に、上流側から下流側に向けて順に膨張ユニット10A乃至10Dを収縮させ、最も下流側の膨張ユニット10Dを収縮させる前に最も上流側の膨張ユニット10Aを膨張させた後に、最も下流側の膨張ユニット10Dを収縮させることで1つのサイクルが完了する動作パターン(以下、「動作パターン8sm」という)を示す。

【0048】
図8(a)に示すように、流圧測定実験では、動作パターン8smが液体に対して大きな圧力を加えることができることが分かる。動作パターン7smと動作パターン8smとは、上流側から下流側に向けて膨張ユニット10A乃至10Dを順次膨張させて、液体を上流側から下流側に向けて押し出し、最も下流側の膨張ユニット10Dが膨張したところで上流側から下流側に向けて順次膨張ユニット10A乃至10Cを収縮させるまでは、同じ動作であるが、最も下流側の膨張ユニット10Dを収縮させる前に、最も上流側の膨張ユニット10Aを膨張させるか否かによって、加圧時の圧力の大きさを変化させることが可能となっている。

【0049】
特に、動作パターン7smと動作パターン8smとを比較すると、動作パターン8smの方が、動作パターン7smよりも大きな圧力となっている。これは、動作パターン7smでは全ての膨張ユニット10A乃至10Dが同時に収縮する瞬間があり、流体から圧力が抜けてしまうためと考えられる。しかし、動作パターン8smでは、最も下流側の膨張ユニット10D又は最も上流側の膨張ユニット10Aのいずれかが、必ず流路を上流側と下流側とに遮断しており、流路における弁の役割を果たしているため、流体に加圧した圧力が逃げにくいためと考えられる。その結果、動作パターン7sm及び動作パターン8smは、動作パターン211に比べて送出圧力が高く測定されたものと考えられる。つまり、動作パターンとしては、動作パターン211や動作パターン8smのように、流路内でいずれか1つの膨張ユニットを膨張させた状態において、膨張している膨張ユニットよりも下流側に位置する膨張ユニット、若しくは、膨張している膨張ユニットが最下流側の場合には上流側の膨張ユニットを少なくとも1つ、計2つ以上の膨張ユニットが膨張状態となる期間を設定しておくことで、流体を送出する圧力を高くすることができる。

【0050】
図8(b)に示すように、体積流量実験では、1サイクル当たりの体積流量率は、動作パターン211が最も効率が良い。
動作パターン211は、上流側から下流側に向けて膨張ユニット10A乃至10Dを順次膨張させて流体を上流側から下流側に向けて押し出しながら、下流側の膨張ユニットが膨張すると上流側の膨張ユニットを収縮させることにより、効率良く駆動体10内に液体が取り込まれることで、1サイクル当たりの体積流量が最も多くなったものと考えられる。また、動作パターン7sm及び8smでは、上流側から下流側までの全ての膨張ユニット10A乃至10Dが膨張した後に、上流側から膨張ユニット10A乃至10Dを順次収縮させているため、全ての膨張ユニット10A乃至10Dが膨張しない限り流体を駆動体10内に取り込むことができない。従って、効率よく駆動体10内に流体を取り込むことができる動作パターン211よりも動作パターン7sm及び8smの体積流量率が小さくなったものと考えられる。

【0051】
また、図8(c)に示すように、動作パターンの違いによる体積流量効率は、動作パターン211が最も大きく、動作パターン7sm及び8smは、動作パターン211の略半分となっている。ここで、体積流量効率とは、本発明に係る蠕動運動型のポンプが理想的は運搬をしたときの体積流量を100%としたときに、実際に運搬できる流体の体積流量の割合をいう。例えば、動作パターン211の場合における理想的な運搬可能な体積流量は、膨張ユニットが配設された流路の内壁面と、これによって囲まれる収縮状態の膨張ユニット、2ユニット分の外周面との間で囲まれる領域の体積をいう。なお、動作パターン7smの場合は、流路の内壁面によって収縮状態の4ユニット分が囲まれる体積、動作パターン8smの場合は、流路の内壁面によって収縮状態の3ユニット分が囲まれる体積を理想体積とした。

【0052】
以上の実験結果から明らかなように、ポンプユニット1の駆動体10の動作を制御装置100の膨張制御手段110により適宜変更するこで、動作パターン8smのような圧力型のポンプ、動作パターン211のような流量型のポンプなどとしてポンプの特性を変化させることができる。
即ち、駆動体10の動作により搬送される搬送物の特性、例えば、流体の粘性や、固液混層流体等の流体の物性に応じて適宜動作パターンを変更することで、ポンプとしての機能を最適化することができる。また、ポンプとしての機能を果たす駆動体10を流路内に設けたことで、設置スペースの確保を必要することなくポンプを設置することができる。したがって、従来のように流体搬送におけるポンプの選定に係る時間や設置スペースの設定に係る時間を不要のものとすることができる。また、ポンプユニット1の設置後に、搬送する流体の物性が変わっても、膨張制御手段110により膨張ユニット10A乃至10Dの動作パターンを変更することで、好適な状態で流体の搬送が可能となる。
さらに、供給バルブ102A乃至102Dにより調整される空気の圧力の設定を変更することにより、膨張ユニット10A乃至10Dに供給される空気の圧力を調整して膨張壁25A乃至25Dの膨張量を調整して、寸法の異なる複数の配管に対応させることができる。
特に、流路を流通する流体内に駆動体10を構成する膨張ユニット10A乃至10Dを膨張させ、この膨張による体積変化によって、搬送する流体を押し出すように加圧するため、搬送する流体の物性に依存せずに安全、安定に液体を搬送することができる。特に、粘度の高い液体や、固体と液体とが混相された固液混相流体の搬送において好適である。

【0053】
なお、上記実施形態では、駆動体10をフランジ11の下流側に配置して、フランジ11側に位置する膨張ユニット10Aを最初に駆動して、膨張ユニット10Bから10Dへと膨張させてフランジ11側から膨張ユニット10D側に流体を搬送するとして説明したが、駆動体10の各膨張ユニット10A乃至10Dの膨張する方向及び順序を流体の流れの方向に沿って膨張制御手段110により制御することで、流体を搬送する向きを自在に変更することができる。

【0054】
上記実施形態では、流体としての流体51を上方に搬送する場合の適用例について説明したが、流路が水平状態或いは傾斜状態であっても本発明のポンプユニット1を適用できることは言うまでもない。また、流路が水平状態或いは下流側に向けて下降する傾斜状態の場合には、各膨張ユニット10A乃至10Dの膨張壁25A乃至25Dを配管内の内壁面に密着させる必要はなく、配管の内壁面と各膨張ユニット10A乃至10Dの膨張壁25A乃至25Dの表面との間に所定の空隙をもって膨張,収縮を繰り返すように制御すれば良い。
流路が水平状態或いは下流側に向けて下降する傾斜状態の場合、流路内を上流から下流に向かって流れる流体は、逆流(下流から上流に向かう流れ)が生じないため、各膨張ユニット10A乃至10Dの膨張壁25A乃至25Dを配管内の内壁面に密着させて流路を遮断することなく、膨張ユニット10A乃至10Dの配設順に、上流側から下流側に向かうように順に膨張壁25A乃至25Dを膨張させることで、膨張ユニット10A乃至10Dに体積変化を生じさせて、流体を上流側から下流側に向けて加圧すれば良い。このようなポンプユニット1の適用方法は、例えば、流路が長く、流体の流れに管摩擦による圧力損失が大きいときに好適である。

【0055】
図9は、他の形態に係るポンプユニット1Aの構成を示す図である。本例におけるポンプユニット1Aは、配管P1の曲部R1に設けられており、膨張ユニット10Aと膨張ユニット10Bの2つの膨張ユニットを備える。膨張ユニット10A及び膨張ユニット10Bは、曲部R1の上流側(入口側)と下流側(出口側)にそれぞれ間隔を隔ててフランジ11を介して配置される。つまり、膨張ユニット10A及び膨張ユニット10Bは、曲部R1の長さ分だけ離間して配置される。

【0056】
本実施形態におけるポンプユニット1Aは、駆動体10を以下のように動作させれば良い。
まず、膨張ユニット10Aの膨張壁25Aを膨張させて、膨張壁25Aの外表面を曲管R1の内壁面に密着させた後に、膨張ユニット10Bの膨張壁25Bを膨張させて、流体を押し出しながら、膨張壁25Bの外表面を配管P2の内壁面に密着させる。膨張壁25Aを曲管R1の上流側の内壁面に密着させた後に、膨張壁25Aと曲管R1との密着状態を維持したまま、膨張壁25Bを膨張させることにより、膨張壁25Bの膨張に伴なって膨張壁25A側と下流側とに流体が押し出される。膨張壁25A側に押し出された流体は、膨張壁25Aによって流路が遮断されていることから、膨張壁25A側に位置する流体によって押し戻されるように、下流側に流れることになり、結果として流体を下流側に加圧して押し出すポンプとしての機能を果たすことになる。
次に、上流側の膨張ユニット10Aの膨張壁25A及び下流側の膨張ユニット10Bの膨張壁25Bを収縮させて、曲管R1内に上流側から流体を取り込み、再び上流側の膨張ユニット10Aの膨張壁25Aを膨張させた後に、下流側の膨張ユニット10Bの膨張壁25Bを膨張させることで、流体を加圧することができる。
つまり、上流側の膨張ユニット10Aを膨張させた後に、膨張ユニット10Aの膨張状態を維持したまま下流側の膨張ユニット10Bを膨張させ、下流側の膨張ユニット10Bを膨張した後に、膨張ユニット10A及び10Bを同時に収縮させる工程を1サイクルとして、このサイクルを順次繰り返すことにより、曲部R1において減圧した流体の流れを加圧して下流側に送出することができる。

【0057】
本実施形態では、膨張ユニット10A及び10Bそれぞれにフランジ11を設けたが、いずれか一方の膨張ユニットのみにフランジ11を設け、他方の膨張ユニットにはフランジ11を設けずに、膨張ユニット10A,10B同士を連結手段により連結するようにしても良い。なお、この場合、フランジ11を備える膨張ユニット10Aを流体の搬送方向上流側に設けると良い。連結手段には、可撓性を有する素材からなる連結部材、例えば紐やワイヤを適用することで、膨張ユニット10A及び10Bの互いの距離を所定距離離間した状態を保つことができる。

【0058】
以上説明した固定手段としてのフランジ11は、流路となる配管の間に介在されることで、ポンプユニット1の駆動体10を流路内に配置するものとして説明したが、これに限定されず、例えば、駆動体10Aを構成する膨張ユニット10A乃至10Bのフランジ16A,16Bに、配管の接続に適用されるフランジを取り付けて、フランジ同士で接続される配管のフランジの間で、駆動体10に固定されたフランジを挟み込み、駆動体10を流路内に配置、固定するようにしても良い。
また、本発明のポンプユニット1は、上記いずれの実施形態で示した適用例に限定されず、流路を構成する配管内に複数箇所に設置しても良い。これにより、従来のポンプのように1つの箇所で液体を加圧する必要はなく、流路の形状に応じて適宜流路内に設置すれば良い。

【0059】
また、膨張ユニット10A乃至10Dの構成としては上記構成に限られるものではなく、エアコンプレッサ101から供給バルブ102A乃至102Dを経て送出された空気により膨張壁25A乃至25Dが膨張すればいかなる構成としてもよい。例えば、オーバーチューブ12A乃至12Dの構成を排除してもよいし、予め球体状に膨張可能な膨張壁25A乃至25Dを成形し、その内部に流体を供給する構成としてもよい。

【0060】
また、オーバーチューブ12A乃至12Dは、蛇腹状に限られず、伸縮不能な管状体により構成しても良い。そしてこの場合には、膨張壁25A乃至25Dから複数の繊維fを排除し、膨張壁25A乃至25Dの膨張時における軸方向への収縮を抑制することが望ましい。つまり、膨張ユニット10A乃至10Dは、その膨張,収縮により流路間との圧力変化を生ぜしめるものであれば如何なる構成であってもよい。
【符号の説明】
【0061】
1 ポンプユニット、10 駆動体、10A~10D 膨張ユニット、
12A~12D オーバーチューブ、
15A~15D 駆動用エアチューブ、25A~25D 膨張壁、
27A~27D チャンバー、
100 制御装置、101 エアコンプレッサ、110 膨張制御手段。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8