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明細書 :超音波プローブの取付構造

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5747251号 (P5747251)
公開番号 特開2012-233802 (P2012-233802A)
登録日 平成27年5月22日(2015.5.22)
発行日 平成27年7月8日(2015.7.8)
公開日 平成24年11月29日(2012.11.29)
発明の名称または考案の名称 超音波プローブの取付構造
国際特許分類 G01F   1/66        (2006.01)
G01N  29/28        (2006.01)
FI G01F 1/66 A
G01N 29/28
請求項の数または発明の数 4
全頁数 9
出願番号 特願2011-102927 (P2011-102927)
出願日 平成23年5月2日(2011.5.2)
審査請求日 平成26年3月18日(2014.3.18)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】505374783
【氏名又は名称】国立研究開発法人日本原子力研究開発機構
発明者または考案者 【氏名】平林 勝
【氏名】荒 邦章
【氏名】斉藤 淳一
【氏名】永井 桂一
個別代理人の代理人 【識別番号】100078961、【弁理士】、【氏名又は名称】茂見 穰
審査官 【審査官】三笠 雄司
参考文献・文献 特開平11-304777(JP,A)
特開平2-243137(JP,A)
特開2005-315583(JP,A)
特開2010-243320(JP,A)
特開2009-115633(JP,A)
調査した分野 G01F 1/66,
G01N 29/00-29/52,
H04R 17/00
特許請求の範囲 【請求項1】
超音波の送信及び/又は受信を行う超音波プローブを、固体カプラントを介して対象物に押し付け密着させる取付構造において、
前記固体カプラントは、その対象物との対向面が、膨出する曲面状に整形され焼鈍処理によって軟質化した金属材料からなり、対象物への取り付け時に取り付け角度がずれても、前記対向面の中心付近から押し潰され対象物の表面に倣って塑性変形して音響伝播界面が形成されるようにし、前記固体カプラントと前記対象物との間に、対象物の構成元素の拡散バリアとなる箔材を介装することを特徴とする超音波プローブの取付構造。
【請求項2】
前記固体カプラントは、その対象物との対向面が、曲率250~500mmの円柱面あるいは球面に膨出する曲面状に整形され、前記箔材は、1枚もしくは積層した複数枚の軟質の箔からなり、箔材全体が厚さ5~50μmである請求項1記載の超音波プローブの取付構造。
【請求項3】
前記箔材は、安定な酸化皮膜を形成する材料もしくは高融点の材料であって、アルミニウム、チタン、ニッケルのいずれか1種類以上からなる請求項2記載の超音波プローブの取付構造。
【請求項4】
前記対象物は、内部を液体ナトリウムが流通する高クロム鋼製の高温配管であり、前記固体カプラントは銀製であって、前記高温配管の外壁に流量計測用の超音波プローブが取り付けられる請求項2又は3記載の超音波プローブの取付構造。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波の送信及び/又は受信を行う超音波プローブを、固体カプラントを介して対象物に押し付け密着させる取付構造に関し、更に詳しく述べると、対象物との対向面が膨出する曲面状に整形され焼鈍処理によって軟質化した金属材料からなる固体カプラントを用い、該固体カプラントを対象物に押し付けて密着させる超音波プローブの取付構造に関するものである。この技術は、特に超音波プローブを液体ナトリウムなどの高温液体が流動する配管の外壁に取り付けて、該液体の流量計測を行う場合などに有用である。
【背景技術】
【0002】
周知のように、流量や温度などの計測、あるいは探傷などに超音波が利用されている。例えば超音波流量計の場合には、配管外壁に一対の超音波プローブを斜め方向で対向するように設置し、一方の超音波プローブから管壁を経由して管内の流体に向けて超音波を送信し、他方の超音波プローブで流体を伝搬してきた超音波を受信することで、その際の超音波の伝搬時間を測定し、それによって流量を測定するように構成している。因みに、配管内の液体ナトリウムの流量計測では、配管材料として高クロム鋼が用いられており、高クロム鋼は磁性体であることから電磁流量計は適用できず、そのため超音波流量計が用いられることになる。
【0003】
超音波計測や超音波探傷では、超音波プローブを対象物(材料、配管、容器など)に押し付けて行うが、その際、超音波プローブと対象物との間の音響結合を良くするために、カプラントと呼ばれる伝音材を介在させる。ここで、対象物が高温の場合には、ゲル状のカプラントが使用できず、耐熱性のある固体カプラントを使用することになる。
【0004】
前記のような配管内を流動する液体ナトリウムの流量計測では、固体カプラントとして超音波の伝搬速度が低い材料が要求され、その観点から銀製の平板(厚み2mm程度)が用いられている。超音波プローブは、通常、「シュー」と呼ばれるベース部材の上に振動子を固着した構造であり、固体カプラントを使用する超音波プローブでは、ベース部材の下面側に固体カプラントが位置する。ベース部材とカプラントは、別体構成の場合もあるし、一体構成の場合もある。いずれにしても、このような超音波プローブは、修理や点検などのため、必要に応じて対象物への取り付け/対象物からの取り外しが行われる。
【0005】
ここで重要なことは、超音波プローブの取り付け時に、押し付け力が小さくても固体カプラントと対象物との間での良好な密着性が実現され維持されることである。もし、超音波プローブの取り付け時に固体カプラントと対象物との間に隙間が生じていると、超音波が透過しないか、あるいは透過し難くなり、必要な計測が行えない。
【0006】
ところで、対象物が数百℃にも及ぶ場合、あるいは放射線環境下にあるような場合、それらの対象物に対する超音波プローブの取り付け/取り外しは、作業者が直接行うことは困難であり、交換機などを用いて遠隔操作で間接的に行うことになる。交換機などを用いた遠隔操作では、超音波プローブを対象物に取り付ける際に、固体カプラントの対象物との対向面を対象物の表面に対して完全に平行(全面で接触)にできず僅かに(例えば1度程度以下)傾く事態が生じることは避け難い。しかし、その傾きの微細な修正を遠隔操作で機械的に行うことは極めて困難である。そのために、遠隔操作に適した超音波プローブの取付構造の開発が求められている。
【0007】
固体カプラントと対象物との間の密着性を良くする従来技術として、固体カプラントに延展性のある柔らかい金属シートを用いることが提案されている(特許文献1参照)。ここでは固体カプラントとして、例えば銀やアルミニウムなどからなる厚さ0.1~1mm程度の金属シートが例示されている。確かに、延展性のある柔らかい金属の使用は、密着性の向上に有効である。
【0008】
しかし、前述のように、交換機などを用いた遠隔操作では、超音波プローブを対象物に取り付ける際に、固体カプラントの対象物との対向面が対象物の表面に対して完全に平行な状態で圧接できない場合も予想され、そのような場合には、単に延展性のある柔らかい金属シートを用いたとしても、固体カプラントの対象物に対する傾きのために生じる隙間を完全に無くすことはできず、音響伝搬性能を改善することは困難である。
【先行技術文献】
【0009】

【特許文献1】特開平10-213467号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明が解決しようとする課題は、超音波プローブの取り付け時に固体カプラントと対象物との間の密着性を良好にでき、交換機などを用いた遠隔操作にも対応できる超音波プローブの取付構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、超音波の送信及び/又は受信を行う超音波プローブを、固体カプラントを介して対象物に押し付け密着させる取付構造において、前記固体カプラントは、その対象物との対向面が、膨出する曲面状に整形され焼鈍処理によって軟質化した金属材料からなり、対象物への取り付け時に取り付け角度がずれても、前記対向面の中心付近から押し潰され対象物の表面に倣って塑性変形して音響伝播界面が形成されるようにし、前記固体カプラントと前記対象物との間に、対象物の構成元素の拡散バリアとなる箔材を介装することを特徴とする超音波プローブの取付構造である。
【0012】
ここで、前記固体カプラントは、その対象物との対向面が、曲率250~500mm程度の円柱面あるいは球面に膨出する曲面状に整形され、前記箔材は、1枚もしくは積層した複数枚の軟質の箔からなり、箔材全体が厚さ5~50μm程度とするのがよい。その場合、前記箔材としては、安定な酸化皮膜を形成する材料もしくは高融点の材料であって、アルミニウム、チタン、ニッケルのいずれか1種類以上からなるものが好ましい。

【0013】
典型的な例としては、前記対象物は、内部を液体ナトリウムが流動する高クロム鋼製の高温配管であり、前記固体カプラントは銀製であって、前記高温配管の外壁に流量計測用の超音波プローブが取り付けられる構造がある。その場合は、前記固体カプラントと前記対象物との間に、軟質で且つ対象物の構成元素の拡散バリアとなる箔材を介装する。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る超音波プローブの取付構造では、固体カプラントは、その対象物との対向面が、膨出する曲面状に整形され焼鈍処理によって軟質化した金属材料からなるので、取り付けの際に超音波プローブを対象物に押し付けたときに、押し付け方向が多少傾いていても、また小さな押し付け力でも、固体カプラントの対象物対向面が対象物の表面に倣って中心から押し潰され(塑性変形し)て音響伝播界面が形成され、そのため音響伝搬性能が格段に向上する。このように固体カプラントの対象物対向面を曲面形状としたことで、固体カプラントの対象物に対する僅かな傾きは許容されるようになり、交換機などによる遠隔操作での取り付け作業が可能となる。因みに、固体カプラントの対象物対向面が平面形状の場合には、接触界面の形成が一様とならず、取り付け角度が僅かでもずれると音響伝搬性能が大幅に低下してしまう。
【0015】
また、固体カプラントと対象物との間に、対象物の構成元素の拡散バリアとなる箔材を介装すると、超音波プローブが高温状態で長時間にわたって対象物に押し付けられていても、固体カプラントと対象物との間での構成元素の拡散現象が抑制されるため相互の固着を防止できる。その結果、超音波プローブを取り外す際に、大きな引き剥がし力を必要とせず、また固着に伴う残存物がないために、再取り付けの際に対象物から残存物を除去するという煩瑣な作業が不要となる。これによって作業効率は格段に向上する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明と従来技術との対比説明図。
【図2】本発明に係る超音波プローブの取付状態の例を示す説明図。
【図3】曲面形状と箔挿入の効果を示すグラフ。
【図4】本発明の一実施例を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1により、本発明を従来技術と対比して説明する。ここで、Aは本発明を表し、Bは従来技術を表している。超音波の送信及び/又は受信を行う超音波プローブ10は、固体カプラント12,13を介して対象物14(配管や容器、構造物など)の壁面にクランプされ、押し付け力が付与される。図1は、交換機を遠隔操作した場合のように、超音波プローブ10が対象物14に対して僅かに傾いて押し付けられた状況を示している。図1のB(従来技術)に示すように、対象物14との対向面が平坦な従来の固体カプラント13の場合には、対象物との接触は端部から始まり順次中心付近へと及ぶ。しかし、固体カプラントの中心付近を十分に押し潰せないと、透過音圧が低下する。また、中心付近を含めてほぼ全体が接するまで固体カプラントを押し潰すには極めて大きな押し付け力(面圧)が必要となる。それに対して、図1のA(本発明)に示すように、固体カプラント12の対象物との対向面が膨出した曲面であれば、固体カプラント12の対象物14との接触面積が小さく、固体カプラント12が傾いていても、その傾きが僅かであれば、小さな押し付け力(面圧)で中心付近から押し潰すことが可能となり、透過音圧が低下する恐れはない。更に本発明では、固体カプラントを焼鈍処理しているので硬度が低下し、より一層小さな押し付け力(面圧)で固体カプラントを押し潰すことが可能となり、音響伝搬性能は格段に向上する。

【0018】
本発明に係る超音波プローブの取付状態のより好ましい例を図2に示す。Aは取り付け前の状態を、Bは取り付け後の状態を、模式的に示している。超音波の送信及び/又は受信を行う超音波プローブ10は、固体カプラント12を介して対象物14(配管や容器、構造物など)の壁面にクランプされ、押し付け力が付与される。前記固体カプラント12は、その対象物14との対向面が、膨出する曲面状に整形され且つ焼鈍処理によって軟質化した金属材料からなる。しかも該固体カプラント12と前記対象物14との間に、軟質で且つ対象物の構成元素の拡散バリアとなる箔材16が介装される。

【0019】
固体カプラント12は、計測に必要な超音波伝搬速度などによって材質が選ばれる。固体カプラント12の膨出する曲面は、使用状態にもよるが、典型的には曲率が250~500mm程度の円柱面あるいは球面などとする。また、必ずしも厳密な円柱面や球面である必要はなく、楕円柱面や非球面でもよいが、比較的緩やかに膨出した形状とする。曲率が小さいと、当初は変形し易く小さな押し付け力でよいが、必要な音響伝播界面を実現するために平坦になるまで大きく塑性変形させるには、最終的に大きな押し付け力が必要となるからである。そのような観点から、上記のような250~500mm程度の曲率が好ましい。焼鈍処理は、金属材料の融点近くまで一旦昇温し、その後急冷する処理であり、それによって固体カプラントは軟質化し変形し易くなる。

【0020】
固体カプラント12と対象物14との間に介装する箔材16としては、安定な酸化皮膜を形成する材料もしくは高融点(融点が使用温度の2倍以上)の材料であって、アルミニウム、チタン、ニッケルのいずれかからなるものが好ましい。箔の厚さは、典型的には5~50μm程度でよい。厚くなりすぎると、硬くなり変形し難くなるため不適である。なお、箔材16は、1枚の箔を用いてもよいし、複数枚の箔を積層したものでもよい。積層する場合には、同種の材料を重ねてもよいし、異種の材料の組み合わせでもよく、全体で50μm程度以下となるようにするのがよい。本発明において、箔材は、対象物の構成元素の拡散バリアとして機能する。

【0021】
図2のAに示すように、対象物14に箔材16を載せ、その上から超音波プローブ10の固体カプラント12を押し当てる。超音波プローブ10は、「シュー」と呼ばれるベース部材20の上に振動子22を固着し、その周囲をケース24で覆った構造であり、前記ベース部材20の下面に固体カプラント12が結合している。ここでベース部材20と固体カプラント12とは、別体構成でもよいし、一体構成でもよい。

【0022】
この状態で、固体カプラント12を対象物14に押し付ける。本発明では、前述のように、固体カプラント12は、その対象物14との対向面が、膨出する曲面状に整形され全体が焼鈍処理によって軟質化した金属材料からなるので、小さな押し付け力でも、図2のBに示すように、対象物表面の形状に倣って密着するように塑性変形する。また、拡大して示すように、間に介在する箔材16も加圧されて変形し、固体カプラント12と対象物14の表面に存在する微細な凹凸を埋め、密着性をより一層向上させる。これによって、超音波の透過音圧特性は良好なものとなる。計測の期間中、この状態がクランプ部材(図示するのを省略する)によって維持される。

【0023】
箔材16は、安定な酸化皮膜を形成する材料もしくは高融点の材料からなるので、対象物14との固着が防止され、超音波プローブ10を固体カプラント12と共に取り外す際の引き剥がし力を低減できる。これは、箔材16が、対象物14の構成元素の拡散バリアとなることによる。固体カプラント12から対象物14へ、もしくは逆に対象物14から固体カプラント12への材料元素の拡散が抑制されるため相互の固着は生じず、また箔材16と対象物14との固着も殆ど生じない。従って、引き剥がし力を低減できるばかりでなく、該箔材16が対象物14の表面に固着して残ることはなので、超音波プローブの再取り付け時も、残存物の除去が不要となり、容易に作業を行うことができる。

【0024】
上記のように、固体カプラント12を、その対象物14との対向面が、膨出する曲面状に整形され且つ焼鈍処理によって軟質化した金属材料で構成し、しかも該固体カプラント12と前記対象物14との間に、軟質で且つ対象物の構成元素の拡散バリアとなる箔材16を介装すると、超音波プローブの取り付け時には固体カプラントと対象物との間の密着性を良好にでき、取り外し時には固体カプラントの対象物への固着が生じないという相反する要求を同時に満たすことができる。しかも、交換機などを用いた遠隔操作でも作業できる利点が生じる。
【実施例】
【0025】
固体カプラントの曲面形状と箔挿入の効果について測定した結果の一例を図3により説明する。測定は、Aに示すように、基台30上に、第1の超音波プローブ32、対象物を模した部材34、固体カプラントを模した部材36、第2の超音波プローブ38の順に積み重ね、超音波の透過音圧を測定したものである。
【実施例】
【0026】
固体カプラントを模した銀製の部材36について、対象物を模した部材34との対向面が平面形状の場合と曲面形状の場合(いずれも焼鈍処理を施し軟質化してある)についての比較結果を、図3のBに示す。縦軸は押し付け力、横軸は透過音圧であり、いずれも相対値で表してある。対象物を模した部材34には高クロム鋼を用いた。同じ透過音圧を得るという条件の下で、平面形状(従来技術)に比べて曲面形状(本発明)にすると、必要な押し付け力が低下した。例えば曲率280mmの場合は、図3のBに示すように、必要な押し付け力が約40%低下した。
【実施例】
【0027】
固体カプラントを模した銀製の部材36と対象物を模したSUS鋼製の部材34との間に、箔材を介装した場合(本発明)と箔材を設けていない場合(従来技術)についての比較結果を、図3のCに示す。縦軸は透過音圧、横軸は押し付け力であり、いずれも相対値で表してある。同じ透過音圧を得るという条件の下で、箔材の無い場合に比べて箔を挿入すると、必要な押し付け力が約20%低下した。ここでは箔材として厚さ10μmのアルミニウムを用いた。
【実施例】
【0028】
箔材の存在は、超音波プローブを取り外す際の対象物からの引き剥がし力の低減にも有効であった。厚さ10~50μmのアルミニウム、チタン、ニッケルの箔材を介在させると、殆どの場合、箔材は固体カプラントを模した銀製の部材に付着しており、対象物を模した部材への付着は見られなかった。対象物からの引き剥がし面圧は2.7MPa以下であり、箔材無しの場合に比べて半分以下に低減できた。
【実施例】
【0029】
次に典型的な例として、配管内を流動する液体ナトリウムの超音波による流量測定について、図4により説明する。Aは取り付け後の状態を管軸に平行な方向から見た断面を表し、Bは取り付け前の状態を管軸方向に見た断面を表している。
【実施例】
【0030】
対象物は、内部を液体ナトリウムが流通する高クロム鋼製の大口径の高温配管40である。配管40を管軸方向に見たときに180度対称の位置で、且つ管軸中心線を含む面内で管軸方向にずれた斜めの位置に、超音波プローブ42が取り付けられる。ここでは、図4のBに示すように、管軸方向に見たときに90度角度を変えて4組の超音波プローブ42を取り付ける例を示している。これは超音波伝搬時間差多測線方式の計測技術であり、測線数を増やし、流量値を平均化することで、偏流の影響や流量の変動値を低減するために行われている。なお、配管40の超音波プローブ取付箇所40aは、研磨により平坦化されている。
【実施例】
【0031】
超音波の送信及び/又は受信を行う超音波プローブ42は、クランプ部材(図示するのを省略する)により押し付け力を付与する形で固体カプラント44及び箔材46を介して配管40に取り付けられる。ここで超音波プローブ42は、必要な傾斜角を備えた楔形のベース部材50の斜面に振動子52を固着し、それをケース54で覆った構造であり、前記楔形のベース部材50の下面に固体カプラント44が位置する。該固体カプラント44は銀製で、その対象物との対向面が、膨出する曲面状(円柱面状)に整形され、且つ全体を焼鈍することによって軟質化処理されている。固体カプラント44に銀を用いているのは、超音波伝搬速度が低い材料が必要だからである。この固体カプラント44と楔形のベース部材50とは、別体構成でもよいし、一体構成でもよい。取り付け時には、固体カプラント44の円柱面の中心軸が配管40の管軸に平行になる。
【実施例】
【0032】
固体カプラント44と前記配管40との間に、軟質で且つ配管の構成元素の拡散バリアとなる箔材(アルミニウム、チタン、もしくはニッケル)46を介装する。箔の厚さは、50μm程度以下とする。
【実施例】
【0033】
このような超音波プローブの取付構造を採用することによって、取り付けの際に、必要な透過音圧を得るための固体カプラント押し付け力が小さくて済み、また取り外しの際には、固体カプラントの引き剥がし力が小さく、対象物への不要な付着が生じ難くすることができた。
【産業上の利用可能性】
【0034】
上記の実施例は、超音波流量計に適用した例であるが、本発明は、超音波探傷で用いる超音波プローブの取り付けにも適用できることは言うまでも無い。
【符号の説明】
【0035】
10 超音波プローブ
12 固体カプラント
14 対象物
16 箔材
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3