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明細書 :布状の放射性物質吸着材及びその製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5733703号 (P5733703)
公開番号 特開2013-003050 (P2013-003050A)
登録日 平成27年4月24日(2015.4.24)
発行日 平成27年6月10日(2015.6.10)
公開日 平成25年1月7日(2013.1.7)
発明の名称または考案の名称 布状の放射性物質吸着材及びその製造方法
国際特許分類 G21F   9/12        (2006.01)
D06M  14/28        (2006.01)
FI G21F 9/12 501Z
G21F 9/12 511A
D06M 14/28
請求項の数または発明の数 8
全頁数 11
出願番号 特願2011-136558 (P2011-136558)
出願日 平成23年6月20日(2011.6.20)
審査請求日 平成26年3月12日(2014.3.12)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】505374783
【氏名又は名称】国立研究開発法人日本原子力研究開発機構
発明者または考案者 【氏名】岩撫 暁生
【氏名】瀬古 典明
【氏名】保科 宏行
【氏名】植木 悠二
【氏名】佐伯 誠一
個別代理人の代理人 【識別番号】100074631、【弁理士】、【氏名又は名称】高田 幸彦
審査官 【審査官】村川 雄一
参考文献・文献 特開2006-026588(JP,A)
特開昭54-061014(JP,A)
特開2005-206960(JP,A)
特開2000-093813(JP,A)
調査した分野 G21F 9/00 - 9/36
D06M 13/00 - 15/72
特許請求の範囲 【請求項1】
PE不織布またはポリエチレン(PE)/ポリプロピレン(PP)不織布に放射線を照射することによってラジカル化させた後、
前記不織布を、アクリロニトリル(AN)、AN用溶剤、及び界面活性剤と、リンモリブデン酸スズ,リンモリブデン酸チタン及びリンモリブデン酸アンモニウム・n水和物(AMP)のグループから選択された1つを、所定の重量比で混合して作製したモノマー溶液に接触させて、グラフト重合物を作製し、
該グラフト重合物をトルエン中に浸漬させ、前記不織布全体を洗浄し、
トルエン洗浄後、前記AMPが担持された状態の前記グラフト重合物を真空乾燥させることを特徴とするセシウム吸着材の製造方法。
【請求項2】
ポリエチレン(PE)/ポリプロピレン(PP)不織布に電子線を照射することによってラジカル化させた後、
前記不織布を、アクリロニトリル(AN)、AN用溶剤、界面活性剤、及びリンモリブデン酸アンモニウム・n水和物(AMP)を50:50:0.8:2.5の重量比で混合して作製したモノマー溶液に接触させて、グラフト重合物を作製し、
該グラフト重合物をトルエン中に浸漬させ、前記不織布全体を洗浄し、
トルエン洗浄後、前記AMPが担持された状態の前記グラフト重合物を真空乾燥させることを特徴とするセシウム吸着材の製造方法。
【請求項3】
請求項2に記載の製造方法において、前記AN用溶剤がジメチルスルホキシド(DMSO)であり、前記界面活性剤がポリオキシエチレンソルビダシモノオレアート(Tween80)であることを特徴とするセシウム吸着材の製造方法。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の製造方法において、前記グラフト重合物をトルエン中に浸漬させる時間が、前記グラフト重合物の黄緑色の色素が抜けない最大の時間であることを特徴とするセシウム吸着材の製造方法。
【請求項5】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の製造方法において、前記モノマー溶液を窒素ガスでバブリングした状態で、前記PE/PP不織布を前記モノマー溶液と接触させることを特徴とするセシウム吸着材の製造方法。
【請求項6】
PE不織布またはポリエチレン(PE)/ポリプロピレン(PP)不織布に、少なくとも、アクリロニトリル(AN)と、リンモリブデン酸スズ,リンモリブデン酸チタン及びリンモリブデン酸アンモニウム・n水和物(AMP)のグループから選択された1つがグラフト重合されているセシウム吸着材。
【請求項7】
ポリエチレン(PE)/ポリプロピレン(PP)不織布に、少なくともアクリロニトリル(AN)がグラフト重合され,グラフト重合されたANポリマー鎖にリンモリブデン酸アンモニウム・n水和物(AMP)が担持されているセシウム吸着材。
【請求項8】
請求項7に記載の吸着材において、前記ANと前記AMPの重量比が、50:2.5であることを特徴とするセシウム吸着材。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、原子力発電所や放射性物質取扱施設などの事故などによって発生する、セシウム、ストロンチウムなどの放射性物質を含む液体から、特定の放射性物質のみを吸着する吸着材及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、セシウム、ストロンチウムなどの放射性物質を含む液体から、特定の放射性物質を取り除くための吸着材が、幾つか提案されている(例えば、特許文献1を参照)。また、本発明と同様の手法を用いる技術として、ポリエチレン(PE)不織布またはポリエチレン(PE)/ポリプロピレン(PP)不織布に放射線を照射することによってグラフト鎖を形成し、そこにキレート形成基を導入し、温泉水などから特定の金属を吸着除去するための吸着材が知られている(例えば、特許文献2を参照)。さらにまた、海水に塩酸を加えて酸性にした後、リンモリブデン酸アンモニウム粉末を加えて撹拌することによって、海水中のセシウムを選択的に沈殿させる技術が知られている(例えば、非特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【0003】

【特許文献1】特開2007-271306号公報
【特許文献2】特開2006-26588号公報
【0004】

【非特許文献1】財団法人日本分析センター「海水中の放射能の分析」ガンマ線核種の分析(電気通信回線を通して公開された文献)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記特許文献1に記載の吸着材は、特殊な微生物を用いてセシウム、ストロンチウムを除去するもので、生物反応塔などの大掛りな装置を必要とする上、一度使用した吸着材は回収が困難である上,再生できないなどの欠点がある。また、上記特許文献2に記載された吸着材は、再生可能な吸着材であるが、もともと放射性物質のみを吸着除去することを目的としたものではないため、セシウム言った放射性物質の選択的な吸着材としては、吸着率が悪く適していない。さらに、上記非特許文献1に記載の吸着材は、海水中のセシウムを選択的に吸着できるものの、再生可能な吸着材ではないし、あくまでサンプル試料の分析用に開発されたもので、その形状からプールや田畑などに導入される水の浄化には適用ができない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の目的は、例えば、原子力発電所や放射性物質取扱施設等の事故時に放出される、主要な放射性物質であるセシウムを選択的にかつ効率良く吸着できると共に、吸着したセシウムを溶出させることができる、再生可能で,廃棄物の減容を可能にする吸着材及びその製造方法を提供することにある。
【0007】
本発明の1つの観点に係る布状の放射性物質吸着材の製造方法では、ポリエチレン(PE)不織布またはポリエチレン(PE)/ポリプロピレン(PP)不織布に放射線を照射することによってラジカル化させた後、前記不織布を、アクリロニトリル(AN)、AN用溶剤、及び界面活性剤と、リンモリブデン酸スズ,リンモリブデン酸チタン及びリンモリブデン酸アンモニウム・n水和物(AMP)のグループから選択された1つを、所定の重量比で混合して作製したモノマー溶液に接触させ、グラフト重合物を作製し、該グラフト重合物をトルエン中に浸漬させ、前記不織布全体を洗浄し、トルエン洗浄後、前記AMPが担持された状態の前記グラフト重合物を真空乾燥させる段階が含まれている。
特に、前記AN用溶剤がジメチルスルホキシド(DMSO)であり、前記界面活性剤がポリオキシエチレンソルビダシモノオレアート(Tween80)であることが好ましい。また、界面活性剤は溶媒中へのリンモリブデン酸アンモニムの分散を促進させるものであり、吸着材の製造に必ずしも必要なものではない。
【0008】
また、本発明の他の観点に係る布状の放射性物質吸着材では、ポリエチレン(PE)不織布またはポリエチレン(PE)/ポリプロピレン(PP)不織布に少なくとも、アクリロニトリル(AN)と、プルシアンブルー,リンモリブデン酸スズ,リンモリブデン酸チタン及びリンモリブデン酸アンモニウム・n水和物(AMP)のグループから選択された1つがグラフト重合されている。ANと、例えばAMPを同時に使用することによって、重合、中でもグラフト重合されたANポリマー鎖の層に, AMPが高密度に担持されるようになり、より多くのセシウムの吸着が可能となる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の吸着材は、織布、不織布へのグラフト重合技術と、AMPを含むANモノマーを採用しているため、原子力発電所や放射性物質取扱施設等の事故時に放出される、主要な放射性物質であるセシウムを選択的にかつ効率良く吸着できる。また、吸着したセシウムを選択的に溶出させることができるので、再生可能である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実験例1の説明図である。
【図2】本発明の実験例6の説明図である。
【図3】本発明の製造方法によって作製された布状のセシウム吸着材の写真である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る布状の放射性物質吸着材及びその製造方法について具体的に説明する。図3に示された本発明の吸着材は、ポリエチレン(PE)不織布またはポリエチレン(PE)/ポリプロピレン(PP)不織布に少なくとも、アクリロニトリル(AN) がグラフト重合され,リンモリブデン酸アンモニウム・n水和物(AMP)がANポリマー鎖に担持されている構造を有する。

【0012】
このような吸着材は、例えば、次のようにして作製される。初めに、基材であるポリエチレン(PE)/ポリプロピレン(PP)不織布をPP製の袋に入れて窒素ガス(N2)で袋内を置換する。PP製の袋に入れたPE/PP不織布にドライアイス温度条件下で電子線200 kGyを照射する。

【0013】
一方、アクリロニトリル(AN)、AN用溶剤としてのジメチルスルホキシド(DMSO)、界面活性剤としてのポリオキシエチレンソルビダシモノオレアート(Tween80)、及びセシウムを選択的に吸着させるためのリンモリブデン酸アンモニウム・n水和物(AMP)を所定の重量で混合し、モノマー溶液とする。ここで、AMPはDMSOに完全には溶解しないため、以後のモノマー溶液調製時、脱気ビンヘの溶液の移送時、および反応アンプルヘのモノマー溶液の流通時はよく容器を撹拌し、AMPをDMSO中へ分散させ、なるべく次の容器にAMPが移動するようにする。

【0014】
反応アンプルに電子線を照射したPE/PP不織布を入れて、N2ガスをバブリングしたモノマー溶液と接触させる。50℃、3時間反応させた後、グラフト重合物をトルエン中に浸漬させ、なるべく短い時間で洗浄する。グラフト重合後の洗浄工程において、トルエンを使用することによって、リンモリブデン酸アンモニウム・n水和物(AMP)の脱離を防ぐことができる。水、アルコール、および炭化水素系溶媒ではAMPを保持することはできない。洗浄時に,繊維から黄緑色の色素が抜けたら、失敗であるため注意する。トルエン洗浄後、ドラフト内で繊維を風乾してから真空乾燥機で乾燥させる。作製された吸着材の写真を図3に示す。

【0015】
本発明の吸着材は、後述するように、純水、pH3、および海水中でセシウムの吸着が可能である(表1および表2を参照)。しかしながら、吸着に伴いモリブデンの溶出が認められる。なお、表1と表2は併せて1枚の表であり、表1の右欄と表2の左欄は、わかり易いようにダブって記載されている。

【0016】
なお、前述の製造プロセスにおいては、界面活性剤(Tween80)を用いているが、これを省略しても実用的な吸着性能を確保することは可能である(後述の表1及び表2を参照)。また、不織布とモノマーからグラフト重合物を作製するため、50℃で、3時間反応させているが、さらに長い時間(例えば6時間)反応させることにより、より多くのグラフト重合物を得ることができる(後述の表1及び表2のNo,11及びNo.12を参照)。さらに、前述の製造プロセスにおいては、PE不織布又はPE/PP不織布に電子線を照射してラジカル化しているが、当然ガンマ線などの他の放射線を使用することもできる。さらにまた、前述の製造プロセスでは、セシウムを吸着させるため、AMPを用いているが、AMPの代わりに、リンモリブデン酸スズ,リンモリブデン酸チタンを使用しても良い。

【0017】
本発明の放射性物質吸着材に吸着されたセシウムは、次のようにして溶出させられ、吸着材が再生される。50 mLのl ppmセシウム溶液に作製したセシウム吸着材を24時間浸漬させ、97%のセシウムを除去した。この吸着に使ったセシウム吸着材を5 mLの5M硝酸アンモニウム溶液に24時間浸漬させた。その結果、硝酸アンモニウム中ヘセシウムが溶出され、6 ppmセシウム濃度が得られ、溶出率は100%であった。

【0018】
本発明の製造方法の基本プロセスは、前述の通りであるが、この製造プロセスの有効性を確認するために、温度、物質などの各種条件を変更し様々な実験を行った。その代表的な実験例の結果を表1及び表2に示す。

【0019】
【表1】
JP0005733703B2_000002t.gif

【0020】
【表2】
JP0005733703B2_000003t.gif
<実験例1>

【0021】
セルロース製不織布に窒素雰囲気下,ドライアイス温度条件下で電子線を20 kGy照射した。電子線を照射したセルロース不織布に,窒素ガスバブリングした5wt%リン酸基含有モノマー水溶液と接触させ40℃,1時間反応させた。ここで,リン酸基含有モノマーとして,共栄化学(株)製のライトエステルP-2Mを使用した。グラフト重合反応後,メタノールを用いて不織布を洗浄した。このようにして,リン酸基をもつポリマー鎖をセルロース製不織布へグラフト重合した。得られたリン酸基を付与したセルロース不織布を0.6wt%のモリブデン酸ナトリム-1 M硫酸溶液に浸漬させ,40℃,10分反応させ,リン酸基からリンモリブデン酸基へと転化した。反応後,蒸留水で洗浄した。この実験例1の反応プロセスを、図1に模式図で示す。
<実験例2>

【0022】
PE/PP製不織布に窒素雰囲気下,ドライアイス温度条件下で電子線を200 kGy照射した。電子線を照射したPE/PP不織布に,窒素ガスバブリングした20wt%リン酸基含有モノマー/メタノール溶液(10 wt%メタノール水溶液)と接触させ60℃,8時間反応させた。ここで,リン酸基含有モノマーとして,共栄化学(株)製のライトエステルP-2Mを使用した。グラフト重合反応後,メタノールを用いて不織布を洗浄した。このようにして,リン酸基をもつポリマー鎖をPE/PP製不織布へグラフト重合した。得られたリン酸基を付与したPE/PP製不織布を0.6wt%のモリブデン酸ナトリム-1 M硫酸溶液に浸漬させ,60℃,24時間反応させ,リン酸基からリンモリブデン酸基へと転化した。反応後,蒸留水で洗浄した。
<実験例3>

【0023】
セルロース製不織布に窒素雰囲気下,ドライアイス温度条件下で電子線を20 kGy照射した。電子線を照射したセルロース不織布に,窒素ガスバブリングした5wt%リン酸基含有モノマー水溶液と接触させ40℃,1時間反応させた。ここで,リン酸基含有モノマーとして,共栄化学(株)製のライトエステルP-2Mを使用した。グラフト重合反応後,メタノールを用いて不織布を洗浄した。このようにして,リン酸基をもつポリマー鎖をセルロース製不織布へグラフト重合した。得られたリン酸基を付与したセルロース不織布を0.6wt%のモリブデン酸ナトリム-1 M塩酸溶液に浸漬させ,60℃,24時間反応させ,リン酸基からリンモリブデン酸基へと転化した。反応後,蒸留水で洗浄した。
<実験例4>

【0024】
PE/PP製不織布に窒素雰囲気下,ドライアイス温度条件下で電子線を200 kGy照射した。電子線を照射したPE/PP製不織布に,窒素ガスバブリングした20wt%リン酸基含有モノマー/メタノール溶液(10 wt%メタノール水溶液)と接触させ60℃,8時間反応させた。ここで,リン酸基含有モノマーとして,共栄化学(株)製のライトエステルP-2Mを使用した。グラフト重合反応後,メタノールを用いて不織布を洗浄した。このようにして,リン酸基をもつポリマー鎖をPE/PP製不織布へグラフト重合した。得られたリン酸基を付与したPE/PP製不織布を6wt%のモリブデン酸アンモニウム-1 M硫酸溶液に浸漬させ,60℃,24時間反応させ,リン酸基からリンモリブデン酸基へと転化した。反応後,蒸留水で洗浄した。
<実験例5>

【0025】
PE/PP製不織布に窒素雰囲気下,ドライアイス温度条件下で電子線を20 kGy照射した。電子線を照射したPE/PP製不織布に,窒素ガスバブリングしたメタクリル酸グリシジルと水の乳濁液(メタクリル酸グリシジル:5wt%,Tween20:0.5wt%)と接触させ40℃,3時間反応させた。グラフト重合反応後,メタノールを用いて不織布を洗浄した。次に,PE/PP製不織布にグラフトしたメタクリル酸グリシジルのエポキシ基と85%リン酸水溶液とを80℃で24時間反応させ,エポキシ基からリン酸基へと転化した。得られたリン酸基を付与したPE/PP製不織布を6wt%のモリブデン酸アンモニウム-1 M硫酸溶液に浸漬させ,60℃,24時間反応させ,リン酸基からリンモリブデン酸基へと転化した。反応後,蒸留水で洗浄した。

【0026】
PE/PP製不織布に窒素雰囲気下,ドライアイス温度条件下で電子線を200 kGy照射した。アクリロニトリル,DMSO,Tween80,およびリンモリブデン酸アンモニウムを50:50:0.8:5の重量比で混合し,モノマー溶液とした。ここで,リンモリブデン酸アンモニウムはDMSOに完全には溶解しないため,以後の操作では容器をよく撹拌し,リンモリブデン酸アンモニウムをDMSO中へ分散させ,なるべく次の容器にリンモリブデン酸アンモニウムが移動するようにした。電子線を照射したPE/PP不織布と窒素ガスをバブリングしたモノマー溶液と接触させ,60℃,24時間反応させた。得られたリンモリブデン酸アンモニウムを担持した不織布をトルエン中に浸漬させ,洗浄した。トルエン洗浄後,ドラフト内でリンモリブデン酸アンモニウムを担持した不織布を風乾してから真空乾燥機で乾燥させた。この実験例6の反応プロセスを、図2に模式図で示す。以下の実験例7以降についての反応プロセスもこれと類似の模式図となる。
<実験例7>

【0027】
PE/PP製不織布に窒素雰囲気下,ドライアイス温度条件下で電子線を200 kGy照射した。アクリロニトリル,DMSO,Tween80,およびリンモリブデン酸アンモニウムを50:50:0.8:0.1の重量比で混合し,モノマー溶液とした。ここで,リンモリブデン酸アンモニウムはDMSOに完全には溶解しないため,以後の操作では容器をよく撹拌し,リンモリブデン酸アンモニウムをDMSO中へ分散させ,なるべく次の容器にリンモリブデン酸アンモニウムが移動するようにした。電子線を照射したPE/PP不織布と窒素ガスをバブリングしたモノマー溶液と接触させ,60℃,24時間反応させた。得られたリンモリブデン酸アンモニウムを担持した不織布をトルエン中に浸漬させ,洗浄した。トルエン洗浄後,ドラフト内でリンモリブデン酸アンモニウムを担持した不織布を風乾してから真空乾燥機で乾燥させた。
<実験例8>

【0028】
PE/PP製不織布に窒素雰囲気下,ドライアイス温度条件下で電子線を200 kGy照射した。アクリロニトリル,DMSO,Tween80,およびリンモリブデン酸アンモニウムを50:50:0.8:1の重量比で混合し,モノマー溶液とした。ここで,リンモリブデン酸アンモニウムはDMSOに完全には溶解しないため,以後の操作では容器をよく撹拌し,リンモリブデン酸アンモニウムをDMSO中へ分散させ,なるべく次の容器にリンモリブデン酸アンモニウムが移動するようにした。電子線を照射したPE/PP不織布と窒素ガスをバブリングしたモノマー溶液と接触させ,60℃,24時間反応させた。得られたリンモリブデン酸アンモニウムを担持した不織布をトルエン中に浸漬させ,洗浄した。トルエン洗浄後,ドラフト内でリンモリブデン酸アンモニウムを担持した不織布を風乾してから真空乾燥機で乾燥させた。

【0029】
PE/PP製不織布に窒素雰囲気下,ドライアイス温度条件下で電子線を200 kGy照射した。アクリロニトリル,DMSO,Tween80,およびリンモリブデン酸アンモニウムを50:50:0.8:2.5の重量比で混合し,モノマー溶液とした。ここで,リンモリブデン酸アンモニウムはDMSOに完全には溶解しないため,以後の操作では容器をよく撹拌し,リンモリブデン酸アンモニウムをDMSO中へ分散させ,なるべく次の容器にリンモリブデン酸アンモニウムが移動するようにした。電子線を照射したPE/PP不織布と窒素ガスをバブリングしたモノマー溶液と接触させ,60℃,24時間反応させた。得られたリンモリブデン酸アンモニウムを担持した不織布をトルエン中に浸漬させ,洗浄した。トルエン洗浄後,ドラフト内でリンモリブデン酸アンモニウムを担持した不織布を風乾してから真空乾燥機で乾燥させた。
<実験例10>

【0030】
PE/PP製不織布に窒素雰囲気下,ドライアイス温度条件下で電子線を200 kGy照射した。アクリロニトリル,DMSO,Tween80,およびリンモリブデン酸アンモニウムを50:50:0.8:2.5の重量比で混合し,モノマー溶液とした。ここで,リンモリブデン酸アンモニウムはDMSOに完全には溶解しないため,以後の操作では容器をよく撹拌し,リンモリブデン酸アンモニウムをDMSO中へ分散させ,なるべく次の容器にリンモリブデン酸アンモニウムが移動するようにした。電子線を照射したPE/PP不織布と窒素ガスをバブリングしたモノマー溶液と接触させ,50℃,1時間反応させた。得られたリンモリブデン酸アンモニウムを担持した不織布をトルエン中に浸漬させ,洗浄した。トルエン洗浄後,ドラフト内でリンモリブデン酸アンモニウムを担持した不織布を風乾してから真空乾燥機で乾燥させた。
<実験例11>

【0031】
PE/PP製不織布に窒素雰囲気下,ドライアイス温度条件下で電子線を200 kGy照射した。アクリロニトリル,DMSO,Tween80,およびリンモリブデン酸アンモニウムを50:50:0.8:2.5の重量比で混合し,モノマー溶液とした。ここで,リンモリブデン酸アンモニウムはDMSOに完全には溶解しないため,以後の操作では容器をよく撹拌し,リンモリブデン酸アンモニウムをDMSO中へ分散させ,なるべく次の容器にリンモリブデン酸アンモニウムが移動するようにした。電子線を照射したPE/PP不織布と窒素ガスをバブリングしたモノマー溶液と接触させ,50℃,3時間反応させた。得られたリンモリブデン酸アンモニウムを担持した不織布をトルエン中に浸漬させ,洗浄した。トルエン洗浄後,ドラフト内でリンモリブデン酸アンモニウムを担持した不織布を風乾してから真空乾燥機で乾燥させた。
<実験例12>

【0032】
PE/PP製不織布に窒素雰囲気下,ドライアイス温度条件下で電子線を200 kGy照射した。アクリロニトリル,DMSO,Tween80,およびリンモリブデン酸アンモニウムを50:50:0.8:2.5の重量比で混合し,モノマー溶液とした。ここで,リンモリブデン酸アンモニウムはDMSOに完全には溶解しないため,以後の操作では容器をよく撹拌し,リンモリブデン酸アンモニウムをDMSO中へ分散させ,なるべく次の容器にリンモリブデン酸アンモニウムが移動するようにした。電子線を照射したPE/PP不織布と窒素ガスをバブリングしたモノマー溶液と接触させ,50℃,6時間反応させた。得られたリンモリブデン酸アンモニウムを担持した不織布をトルエン中に浸漬させ,洗浄した。トルエン洗浄後,ドラフト内でリンモリブデン酸アンモニウムを担持した不織布を風乾してから真空乾燥機で乾燥させた。
<実験例13>

【0033】
PE/PP製不織布に窒素雰囲気下,ドライアイス温度条件下で電子線を200 kGy照射した。アクリロニトリル,DMSO,およびリンモリブデン酸アンモニウムを50:50:2.5の重量比で混合し,モノマー溶液とした。ここで,リンモリブデン酸アンモニウムはDMSOに完全には溶解しないため,以後の操作では容器をよく撹拌し,リンモリブデン酸アンモニウムをDMSO中へ分散させ,なるべく次の容器にリンモリブデン酸アンモニウムが移動するようにした。電子線を照射したPE/PP不織布と窒素ガスをバブリングしたモノマー溶液と接触させ,50℃,3時間反応させた。得られたリンモリブデン酸アンモニウムを担持した不織布をトルエン中に浸漬させ,洗浄した。トルエン洗浄後,ドラフト内でリンモリブデン酸アンモニウムを担持した不織布を風乾してから真空乾燥機で乾燥させた。
<実験例14>

【0034】
幅30 cm,長さ10 mのPE/PP製不織布に窒素雰囲気下,ドライアイス温度条件下でガンマ線を200 kGy照射した。アクリロニトリル,DMSO,およびリンモリブデン酸アンモニウムを50:50:2.5の重量比で混合し,モノマー溶液とした。ここで,リンモリブデン酸アンモニウムはDMSOに完全には溶解しないため,以後の操作では容器をよく撹拌し,リンモリブデン酸アンモニウムをDMSO中へ分散させ,なるべく次の容器にリンモリブデン酸アンモニウムが移動するようにした。ガンマ線を照射したPE/PP不織布と窒素ガスを30 Lの反応槽中にて,バブリングしたモノマー溶液と接触させ,50℃,3時間反応させた。得られたリンモリブデン酸アンモニウムを担持した不織布をトルエン中に浸漬させ,洗浄した。トルエン洗浄後,ドラフト内でリンモリブデン酸アンモニウムを担持した不織布を風乾してから乾燥機で乾燥させた。

【0035】
なお、以上セシウムの吸着について説明したが、リンモリブデン酸アンモニウムを用いて作製した吸着材は、スズイオンを含む溶液でコンディショニングすることによってストロンチウムに対する選択性を付与することができ、処理条件によってセシウムとストロンチウムと選択性をコントロールすることができる。

【0036】
本発明の吸着材を使用すれば、セシウムを多く含む放射能汚染水から、セシウムを高率で除去できるので、万一の事故により、原子力発電所などから放射線汚染水が漏れ出たとしても、極めて簡単な方法で放射線汚染水に含まれるセシウムを除去できる。したがって、万一、セシウムが大気中に放出されるような事故の際にも、プールや田畑へ供給される水を、所定の放射能濃度以下に容易にかつ低コストで除染することができる。
【符号の説明】
【0037】
特になし。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2