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明細書 :水中ロボット

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5791044号 (P5791044)
公開番号 特開2013-063702 (P2013-063702A)
登録日 平成27年8月14日(2015.8.14)
発行日 平成27年10月7日(2015.10.7)
公開日 平成25年4月11日(2013.4.11)
発明の名称または考案の名称 水中ロボット
国際特許分類 B63C  11/00        (2006.01)
B63C  11/48        (2006.01)
FI B63C 11/00 E
B63C 11/00 B
B63C 11/48 D
請求項の数または発明の数 8
全頁数 15
出願番号 特願2011-203667 (P2011-203667)
出願日 平成23年9月16日(2011.9.16)
審査請求日 平成26年9月3日(2014.9.3)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504196300
【氏名又は名称】国立大学法人東京海洋大学
発明者または考案者 【氏名】清 水 悦 郎
【氏名】小 澤 正 宜
個別代理人の代理人 【識別番号】100117787、【弁理士】、【氏名又は名称】勝沼 宏仁
【識別番号】100091982、【弁理士】、【氏名又は名称】永井 浩之
【識別番号】100107537、【弁理士】、【氏名又は名称】磯貝 克臣
【識別番号】100105795、【弁理士】、【氏名又は名称】名塚 聡
【識別番号】100096895、【弁理士】、【氏名又は名称】岡田 淳平
【識別番号】100106655、【弁理士】、【氏名又は名称】森 秀行
【識別番号】100127465、【弁理士】、【氏名又は名称】堀田 幸裕
審査官 【審査官】中村 泰二郎
参考文献・文献 米国特許出願公開第2008/0041293(US,A1)
特開2009-096396(JP,A)
特開2004-166459(JP,A)
特開2011-097578(JP,A)
米国特許出願公開第2011/0163926(US,A1)
米国特許出願公開第2002/0003584(US,A1)
中国特許出願公開第101557127(CN,A)
中国特許出願公開第101783430(CN,A)
中国特許出願公開第102052917(CN,A)
国際公開第2013/039222(WO,A1)
調査した分野 B63C 11/00,11/48
G05D 1/00
B25J 5/00- 5/06
H04B 5/00- 5/06,
13/00-13/02
特許請求の範囲 【請求項1】
少なくとも作業装置と制御装置を含む単機能モジュールをそれぞれ耐圧防水ケースに格納した複数の独立ユニットと、
前記独立ユニットを着脱可能に取り付けることができるシャシーと、
前記独立ユニットの耐圧防水ケースに穴を開けることなく、前記耐圧防水ケースの外側に接触固定させることにより複数の独立ユニットを接続する非導電性の伝達媒体と、を有し、
前記独立ユニットは、それぞれの単機能のモジュールの他に、送受信可能な通信手段と、電池とを内蔵し、
前記制御装置を格納した独立ユニットの通信手段と、他の単機能モジュールを格納した独立ユニットの通信手段とを介して通信をすることにより、制御装置が他の単機能モジュールを制御して水中ロボットとしての全体の作動を制御する、ことを特徴とする水中ロボット。
【請求項2】
電源装置を格納した独立ユニットを有し、
前記単機能モジュールを有する他の独立ユニットは、それぞれの単機能モジュールの他に、送受信可能な通信手段と、電力伝達レシーバーと、充電可能な電池とを内蔵し、
前記電源装置が変動磁界を生成し、前記独立ユニットの電力伝達レシーバーが前記変動磁界を電力に変換し、直接あるいは前記電池を介して各単機能モジュールに電力を供給することを特徴とする請求項1記載の水中ロボット。
【請求項3】
前記電源装置は、水中ロボットの作業時間や負荷に応じて積み増し可能に複数のユニットに構成されている、請求項2に記載の水中ロボット。
【請求項4】
前記シャシー自体が非導電性材料からなり、前記伝達媒体の機能を兼ねて各独立ユニット間の電気信号を伝達する、請求項1~3のいずれかに記載の水中ロボット。
【請求項5】
前記シャシーは、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレンを含む樹脂またはゴムからなることを特徴とする、請求項4記載の水中ロボット。
【請求項6】
前記制御装置を格納した独立ユニットは、異なる作業目的のための制御プログラムを搭載した他の独立ユニットに交換可能であり、該作業目的に応じて他の単機能モジュールが交換可能である、請求項1~5のいずれかに記載の水中ロボット。
【請求項7】
前記伝達媒体または前記シャシーは、電気信号を受信し増幅して送信する中継手段を有している、請求項1~6のいずれかに記載の水中ロボット。
【請求項8】
前記伝達媒体は天然ゴム、スチレン・ブタジエン・ラバー、アクリロニトル・ブタジエン・ラバー、クロロブレン・ラバー、エチレン・プロピレン・ラバー、メチル・ビニル・シリコーン・ラバー、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレンのいずれかまたはそれらの組み合わせからなる、請求項1~7のいずれかに記載の水中ロボット。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、水中ロボットに関する。特に水中ロボットの作業装置と電源装置と制御装置などの単機能モジュールをそれぞれ独立のユニットとして共通のシャシーに取り付け、各独立ユニットの非耐水部分は耐圧防水ケース内に格納し、各独立ユニット間は無線によって通信を行うようにし、各独立ユニットの作動を制御装置によって制御する水中ロボットに関する。
【背景技術】
【0002】
水中で種々の作業を行う無人の自律型水中ロボットは従来から種々提案されている。
【0003】
一般的に、電池や制御装置やカメラ等の機器は、水に濡れると機能障害をきたす性質(非耐水性)を有しているため、初期の頃の水中ロボットは、共通の耐圧耐水の容器内(船体内)に全部の非耐水性の機器を収納し、必要な所から作業用のアームや推進装置を突出させる構造としていた。
【0004】
しかし、推進装置などは複数個距離をおいて配置することが必要であるため、全部の機器を収納する共通の耐圧耐水容器は大型化せざるを得ず、容器内に無駄な空間を含まざるを得ないという問題があった。
【0005】
そこで、次に開発・提案されたのがモジュール化された水中ロボットである。
【0006】
このモジュール化された水中ロボットは、作業装置と電源装置と制御装置などの単機能モジュールを可能な限り独立のユニットとして構成し、制御装置によって水中ロボットとしての全体の作動を統制・制御するというものであった。
【0007】
独立ユニットの構造はそれぞれの単機能モジュールを小型の耐圧耐水ケースに格納し、必要な所に配置し、各耐圧耐水ケース同士は耐圧防水ケースに設けられたコネクタにケーブルを接続することによって通信可能なように構成していた。ケーブルによって各単機能モジュールが通信し合うことにより、各独立ユニットが機能的に連携して作動するようにしていた。
【先行技術文献】
【0008】

【特許文献1】特開平8-202445号公報
【特許文献2】特開平11-249734号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述した従来のモジュール化された水中ロボットは、耐圧耐水ケース同士は耐圧防水ケースに設けられたコネクタを介してケーブルで接続されていたが、ケーブルによる接続には種々の問題があった。
【0010】
まず、耐圧防水ケースにコネクタを設けるということは、耐圧防水ケースに穴を開けざるを得ないということであり、耐圧や耐水を求める耐圧防水ケースにとって本質的な短所になっていた。
【0011】
コネクタを設ける場合、耐圧防水ケースが構造的な継ぎ目を有するようになるため、耐圧性能や耐水性能の低下を防止する対策をとらざるを得なかった。コネクタを設けずにケーブルを貫通させる場合も同様である。継ぎ目の耐圧耐水の構造は複雑でありそれらの加工の手間も煩雑であった。
【0012】
また、従来のモジュール化された水中ロボットは、各独立ユニットをケーブルで接続するため、単機能モジュールを交換することが困難であった。単機能モジュールを交換する必要性は以下の理由による。
【0013】
水中ロボットは、一つの水中ロボットで種々の作業をこなせる方が好ましい。
【0014】
なお、本明細書にいう水中ロボットの「作業」とは、他のものに外的な作用を及ぼしてその状態を変化させる場合のみならず、他のものに外的な作用を及ぼさずにデータのみを収集する場合の双方を含む。
【0015】
一つの水中ロボットに種々の作業をこなす種々のツールを恒久的に搭載すると、水中ロボットが大型化したり、運動性能が低下したりする。
【0016】
そこで、モジュール化された水中ロボットでは、モジュール化されているという利点を生かして作業目的に応じてツールを交換し、大型化や運動性能低下を防止することが考えられる。
【0017】
しかし、従来のモジュール化された水中ロボットでは、独立ユニット同士がケーブルによって接続されているため、交換のための作業が繁雑であり、迅速なユニット交換、たとえばツール等の交換が困難であった。
【0018】
電源装置についても、従来は電源装置はパワーケーブルで各独立ユニットに接続されているため、電源装置の交換が困難であった。
【0019】
電源装置は水中ロボットの水中での作業時間に応じて積み替えたり、充電のために積み替えたりすることが比較的頻繁である。このため、電源装置は簡単に交換できることが好ましい。むろん、交換が容易になるように電源装置の配線は配慮されているが、水分を嫌うこともあって、交換が困難であり、さらなる改良が待たれていた。
【0020】
一方、上記ケーブルによる接続の欠点を考え、無線によるモジュール間の通信が考えられる。
【0021】
しかし、電波は水中で著しく減衰する性質を有している。発明者らの実験によれば、30mm程度の距離を離すと、モジュール間で無線による通信は不能になってしまう。
【0022】
このため、水中では電波に代えて超音波や光を利用した通信システムが多く提案されていた。しかし、制御は一般的には電気信号によって行うため、メディアの変換を伴わない電気通信が好ましい。
【0023】
そこで、本願発明の目的は上記従来の水中ロボットが有する課題を解決し、無線による通信を実現することにより、結線のない完全な独立ユニットを構成することができるようにし、耐圧・耐水に優れ、且つ、各モジュールの交換が容易な水中ロボットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0024】
本発明の水中ロボットは、
少なくとも作業装置と制御装置を含む単機能モジュールをそれぞれ耐圧防水ケースに格納した複数の独立ユニットと、
前記独立ユニットを着脱可能に取り付けることができるシャシーと、
前記独立ユニットの耐圧防水ケースに穴を開けることなく、前記耐圧防水ケースの外側に接触固定させることにより複数の独立ユニットを接続する非導電性の伝達媒体と、を有し、
前記独立ユニットは、それぞれの単機能モジュールの他に、送受信可能な通信手段と、電池とを内蔵し、
前記制御装置を格納した独立ユニットの通信手段と、他の単機能モジュールを格納した独立ユニットの通信手段とを介して通信をすることにより、制御装置が他の単機能モジュールを制御して水中ロボットとしての全体の作動を制御する、ことを特徴とする。
【0025】
本発明の他の水中ロボットは、
電源装置を格納した独立ユニットを有し、
前記各独立ユニットは、それぞれの単機能のモジュールの他に、送受信可能な通信手段と、電力伝達レシーバーと、充電可能な電池とを内蔵し、
前記電源装置が変動磁界を生成し、前記独立ユニットの電力伝達レシーバーが前記変動磁界を電力に変換し、直接あるいは前記電池を介して各単機能モジュールに電力を供給するようにすることができる。
【0026】
前記電源装置は、水中ロボットの作業時間や負荷に応じて積み増し可能に複数のユニットに構成されているようにすることができる。
【0027】
前記シャシー自体が非導電性材料からなり、前記伝達媒体の機能を兼ねて各独立ユニット間の電気信号を伝達するようにすることができる。
【0028】
前記シャシーは、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレンを含む樹脂またはゴムからなるようにすることができる。
【0029】
前記制御装置を格納した独立ユニットは、異なる作業目的のための制御プログラムを搭載した他の独立ユニットに交換可能であり、該作業目的に応じて他の単機能モジュールが交換可能であるようにすることができる。
【0030】
前記伝達媒体または前記シャシーは、電気信号を受信し増幅して送信する中継手段を有しているようにすることができる。
【0031】
前記伝達媒体は天然ゴム、スチレン・ブタジエン・ラバー、アクリロニトル・ブタジエン・ラバー、クロロブレン・ラバー、エチレン・プロピレン・ラバー、メチル・ビニル・シリコーン・ラバー、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレンのいずれかまたはそれらの組み合わせからなるようにすることができる。
【発明の効果】
【0032】
本願発明の水中ロボットによれば、各単機能モジュールが耐圧防水ケースに格納されて複数の独立ユニットが形成されている。各独立ユニットは共通のシャシーに着脱可能に取り付けられている。各独立ユニットは、耐圧防水ケースの壁体に穴を開けることなく耐圧防水ケースの外側に接触固定された非導電性の伝達媒体によって、他の独立ユニットに接続されている。
【0033】
さらに、独立ユニットは送受信可能な通信手段と電池を有し、制御装置が前記通信手段により他の単機能モジュールと無線で通信し、全体として水中ロボットとして作動するように制御を行う。
【0034】
このように、本願発明の水中ロボットによれば、伝達媒体により各単機能モジュールが無線によって他の単機能モジュールと通信できるようになる。このため、単機能モジュールを格納する耐圧防水ケースは電気通信ケーブルのために穴を開けることなく、無線によって単機能モジュール間の通信を実現できる。
【0035】
耐圧防水ケースは電気通信ケーブルのための構造的な継ぎ目を設ける必要がない。このため、本願発明によれば、各独立ユニットは耐圧性能や耐水性能を高く維持することができる。非耐水性の機器を保持して水面下で活動するように設計された水中ロボットにとって、好適な機能・特質を得ることができる。
【0036】
また、本願発明は、無線によって通信を行うことにより、各独立ユニットの交換可能性が著しく改善される。
【0037】
本発明の水中ロボットによれば、各独立ユニットが電気通信ケーブルによって結線されていないため、各独立ユニットの交換に際して、ケーブルの接続解除や再接続がなく、独立ユニットの交換がきわめて容易になる。
【0038】
この場合、各独立ユニットに動力用の電池を内蔵する場合は交換容易であることは言うまでもない。各独立ユニットに充電可能な電池を内蔵している場合も、本発明の一態様によれば、電源装置と各独立ユニットの間を無線によって電力を供給することができる。
【0039】
この態様の水中ロボットは、電源装置を格納した独立ユニットを有し、各独立ユニットは、それぞれの単機能モジュールと通信手段の他に、電力伝達レシーバーと、充電可能な電池とを内蔵している。
【0040】
上記構成において、電源装置が変動磁界を生成することにより、他の独立ユニットの電力伝達レシーバーがその変動磁界を電力に変換し、電池を充電し、あるいは直接的に各単機能モジュールに電力を供給する。
【0041】
従来においては、電源装置はパワーケーブルで各独立ユニットに接続されていたため、電源装置や独立ユニットの交換が困難であった。
【0042】
無線で電力を供給する本発明の態様によれば、パワーケーブルで接続されていないことにより独立ユニットの交換が容易であることは言うに及ばず、電源装置を格納する独立ユニットの交換もきわめて容易である。
【0043】
本発明この態様によれば、水中ロボットの水中での作業時間や作業負荷に応じて電源装置の独立ユニットを簡単に積み替えて対応することができる。
【0044】
また、一定時間電力を供給することができる電源装置を複数ユニット備えることにより、水中ロボットの作業時間や負荷に応じて電源装置を積み増し可能になる。
【0045】
電源装置は水分を嫌うため、完全に密閉された耐圧防水ケースに格納することにより、電源装置の取り扱いがきわめて容易な水中ロボットを得ることができる。
【0046】
さらに、本発明によれば、モジュール化された水中ロボットにおいて、各独立ユニットが容易に交換できるため、作業目的に応じて異なる制御プログラムを搭載した制御装置に交換し、その作業目的に応じて他の単機能モジュールを交換することができる。これにより、一機の水中ロボットを全く異なる作業目的の水中ロボットとして使用することができる。
【0047】
また、本願発明は、非導電性材料でシャシーを構成することにより、シャシーが伝達媒体を兼ねることができる。
【0048】
この場合、電気信号が水の減衰を著しく受けることなく、シャシーを通じて各単機能モジュール間で電気信号がやり取りされ、きわめて構造が単純な水中ロボットを得ることができる。
【0049】
シャシーや伝達媒体のところどころに電気信号を受信し増幅して送信する中継手段を設けることにより、各単機能モジュールの通信機能がより確実になる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の一実施形態による水中ロボットの斜視図。
【図2】図1の水中ロボットを分解して示した斜視図。
【図3】本発明の一実施形態による水中ロボットのブロック構成図。
【図4】伝達媒体の接続例を示した説明図。
【図5】非導電性の伝達媒体により水中において受信電波強度が改善される実験結果を示す説明図。
【図6】無線で電力を供給する電源装置を有する水中ロボットのブロック構成図。
【図7】シャシーが伝達媒体として作用する水中ロボットのブロック構成図。
【発明を実施するための形態】
【0051】
以下に添付図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。

【0052】
図1に本発明の一実施形態による水中ロボットを示す。

【0053】
本実施形態の水中ロボット1は、作業装置の独立ユニット2と、水平方向推進装置の独立ユニット3と、垂直方向推進装置の独立ユニット4と、これらの独立ユニットを着脱可能に取り付けることができるシャシーとを有している。本実施形態ではシャシーは下部シャシー5と上部シャシー6に分割可能に構成されている。

【0054】
作業装置の「作業」とは、既述したように、他のものに外的な作用を及ぼしてその状態を変化させる場合と、他のものに外的な作用を及ぼさずにデータのみを収集する場合の双方を含む。このため、作業装置の独立ユニット2は、例えば視覚的映像を得る目的であればカメラを搭載し、特定のデータを取得する目的であれば各種センサーを搭載し、ものを採取する目的であればマニピュレータを搭載することができる。

【0055】
水平方向推進装置の独立ユニット3は、4つのユニットを有し、水平方向の推進を行い、かつ、角度をつけて推進できるように左右にも上下にも分割して備えられている。

【0056】
水平方向推進装置の独立ユニット3はそれぞれ円柱状に形成され、下部シャシー5後部の円筒形部分に嵌着できるように形成されている。

【0057】
垂直方向推進装置の独立ユニット4は、円筒状ケーシング内にスクリューを設けたものからなり、上部シャシー6の円筒形部分の内側に嵌着できるように形成されている。

【0058】
推進装置はその上位概念の移動手段に含まれ、移動手段は必要に応じてスクリューに代えて車輪やキャタピラー等でもよいが、定置型の水中ロボット等のように省略することもできる。

【0059】
図2は、図1の水中ロボット1を分解して示している。図2において、上部シャシー6は分解して上方に位置するように示している。

【0060】
図2に示すように、上部シャシー6も一部において、垂直方向推進装置の独立ユニット4を連結しているが、下部シャシー5は全部の独立ユニットを連結している。

【0061】
図に示されているように、水中ロボット1は内部に制御装置の独立ユニット7を有している。

【0062】
作業装置の独立ユニット2は、全体として円柱状に形成され、下部シャシー5の前部のリング8内に着脱可能に嵌着されている。

【0063】
制御装置の独立ユニット7は、全体として扁平な円柱状に形成され、下部シャシー5の中心部分の凹部9に着脱可能に嵌着される。

【0064】
上述した作業装置や推進装置や制御装置はそれぞれ特定の機能を発揮する部品装置であり、一つの部品にまとめられており、本明細書では「単機能モジュール」という。

【0065】
単機能モジュールは耐圧防水ケースに格納され、物理的に独立したユニットに構成されている。本明細書ではこの物理的に独立なユニットを「独立ユニット」という。

【0066】
図3に水中ロボット1のブロック構成を示す。図3において、推進装置の独立ユニット3,4は、概念的に示すため、2つのブロックで示す。

【0067】
図3に示すように、作業装置の独立ユニット2は、耐圧防水ケース2a内に、作業装置2bの他、送受信可能な通信手段2cと、電池2dを格納している。

【0068】
同様に推進装置の独立ユニット3,4は、耐圧防水ケース3a,4a内に、推進装置3b,4bの他、送受信可能な通信手段3c,4cと、電池3d,4dを格納している。

【0069】
また同様に、制御装置の独立ユニット7は、耐圧防水ケース7a内に、制御装置7bの他、通信手段7cと、電池7dを格納している。

【0070】
これらの独立ユニット2,3,4,7は、下部シャシー5と上部シャシー6に取り付けられ、各独立ユニット2,3,4,7は非導電性の伝達媒体10によって接続されている。

【0071】
伝達媒体10は下部シャシー5と上部シャシー6上に適宜敷設することができる。

【0072】
伝達媒体10の材質としては、天然ゴム、スチレン・ブタジエン・ラバー、アクリロニトル・ブタジエン・ラバー、クロロブレン・ラバー、エチレン・プロピレン・ラバー、メチル・ビニル・シリコーン・ラバー、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレンのいずれかまたはそれらの組み合わせからなる。

【0073】
伝達媒体10の接続は、耐圧防水ケース2a,3a,4a,7aに穴を開けることなく、耐圧防水ケース2a,3a,4a,7aの外側に接触固定させるようにする。

【0074】
図4に伝達媒体10の固定の一例を示す。

【0075】
図4の例では、伝達媒体10の一端部を吸盤10aに形成し、耐圧防水ケース2a,3a,4a,7aに対してその外側から吸盤10aを吸着させるようにして固定する。

【0076】
このような固定方法によれば、耐圧防水ケース2a,3a,4a,7aに穴を開けることがない。すなわち、伝達媒体10の接続部において、耐圧防水ケース2a,3a,4a,7aは構造的な継ぎ目を有しないようにすることができる。

【0077】
なお、通信手段2c,3c,4c,7cは図2に示すように耐圧防水ケース2a,3a,4a,7aに接触していなくてもよい。

【0078】
使用時において、水中ロボット1は全体として水中に配置され、独立ユニットの内部の通信手段2c,3c,4c,7cから無線で電気信号が送受信され、該電気信号は耐圧防水ケース2a,3a,4a,7aと伝達媒体10によって伝達され、他の独立ユニットの耐圧防水ケース2a,3a,4a,7aに伝達して内部に無線送信され、他の独立ユニットの通信手段2c,3c,4c,7cによって傍受される。

【0079】
ここで、本発明によった場合の電波強度の減衰を水中の電波強度の減衰と比較する。

【0080】
図5は、海水中で発信された無線の電波強度が非導電性材料からなる伝達媒体によってどのように減衰が改善されるかの実験結果を示している。

【0081】
発信源として小型のパーソナルコンピュータを使用し、耐圧防水ケースとして樹脂製の防水ケースを使用し、コンピュータに付属の無線LANの通信手段を使用して一定の強度の電波を発信させ、耐圧防水ケース内にコンピュータを格納した。

【0082】
まず、伝達媒体を設けずに、空気中で500[mm]の距離で受信したところ、受信電波強度は -30[dB]であった。次に、伝達媒体を設けずに海水中に30[mm]浸漬したところ、電波を受信することができなかった。

【0083】
次に、種々の非導電性材料の伝達媒体を使用し、図5に示すように、水面下100[mm]に容器とコンピュータを沈め、水面上で受信電波強度を計測した。ここで、伝達媒体は断面積200[mm]*20[mm]の板状のものを使用した。

【0084】
図5に示すように、実験したところ、伝達媒体が天然ゴム、スチレン・ブタジエン・ラバー、アクリロニトル・ブタジエン・ラバー、クロロブレン・ラバー、エチレン・プロピレン・ラバー、メチル・ビニル・シリコーン・ラバーのいずれかである場合は、水面下100[mm]に容器とコンピュータを沈めたとき、いずれも-60[dB]程度の受信電波強度を計測することができた。ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレンの場合は、-77[dB]程度の受信電波強度を計測することができた。

【0085】
受信電波強度は-88[dB]程度までは受信成功率85%を超え、十分実用に耐えることが他の実験で確認されているため、本発明のように非導電性の伝達媒体を使用することにより、著しく減衰が少なくなることが分かる。

【0086】
図5の実験結果が示すように、本発明によれば、独立ユニット間の通信が伝達媒体10によって水による減衰を免れ、実用的な水中ロボットの大きさでは、独立ユニット間で通信を行うことができる。

【0087】
図3に示すように、本発明の水中ロボット1は、制御装置の独立ユニット7の通信手段7cと、他の独立ユニット2,3,4の通信手段2c,3c,4cが互いに通信することにより、制御装置7bが他の単機能モジュール2b,3b,4bを制御して水中ロボット1としての全体の作動を制御することができる。

【0088】
図3の水中ロボット1は、電気通信ケーブルがないため、各耐圧防水ケースがケーブルのための穴を有しておらず、耐圧耐水に優れている。また、吸盤10aによれば伝達媒体10の着脱が容易である利点を有する。

【0089】
しかし、本発明によれば、各独立ユニットを完全に独立にすることができる。「完全に独立」とは、伝達媒体の接続ケーブルもなく、電力を供給するパワーケーブルもないということである。

【0090】
図6は、各独立ユニットを完全に独立にした水中ロボットのブロック図を示している。

【0091】
図6において、理解を容易にするため、図3と同一の部分については同一の符号を付して重複する説明を省略する。

【0092】
図6に示す水中ロボット11は伝達媒体の接続ケーブル(図3における伝達媒体10)がない代わりに、シャシー5,6は非導電性材料、たとえば樹脂材料やゴムからなる。

【0093】
また、図6に示す水中ロボット11は、各独立ユニットが電池の代わりに充電池を有し、かつ、独立ユニットに電力を供給する電源装置の独立ユニット12を有している。

【0094】
水中ロボット11は大容量の電源装置を使用することにより、長時間活動でき、しかも、電力を供給するパワーケーブルを有していない。

【0095】
具体的には、電源装置の独立ユニット12は、耐圧防水ケース12aの内部に、電源装置12bと、通信手段12cと、変動磁界を生成する変動磁界生成手段12dとを格納している。

【0096】
これに対して、作業装置の独立ユニット2は、充電池2d’と、電力伝達レシーバー2eとを有している。

【0097】
また、推進装置の独立ユニット3,4は、充電池3d’,4d’と、電力伝達レシーバー3e,4eとを有している。

【0098】
制御装置の独立ユニット7は、充電池7d’と、電力伝達レシーバー7eとを有している。

【0099】
本実施形態の水中ロボット11によれば、各独立ユニットの通信手段2c,3c,4c,7c,12cの電気信号は、非導電性材料からなるシャシー5,6を介してやり取りされるため、伝達媒体の接続ケーブルを省略することができる。

【0100】
また、電力は以下のようにパワーケーブルを要することなく各単機能モジュールに供給することができる。

【0101】
すなわち、電源装置の独立ユニット12は、通信手段12cを介して制御装置7bの指令により、変動磁界生成手段12dによって変動する磁界を生成する。

【0102】
一方、各独立ユニットの電力伝達レシーバー2e,3e,4e,7eは、前記変動磁界を電力に変換し、各単機能モジュールに直接的または間接的に電力を供給する。

【0103】
間接的に各単機能モジュールに電力を供給するとは電力伝達レシーバーで取得した電力で充電池2d’,3d’,4d’,7d’を充電し、充電池2d’,3d’,4d’,7d’によって各単機能モジュールに電力を供給することである。

【0104】
本実施形態の水中ロボット11によれば、各独立ユニットは単にシャシー5,6に嵌着されているだけで、通信をすることができ、かつ、電力の供給を受けることができる。

【0105】
このため、各独立ユニットの交換がきわめて容易になる。すなわち、各独立ユニットは電気通信ケーブルや伝達媒体の接続ケーブルやパワーケーブルによって結線されていないため、単に独立ユニットを取り替えればよい。

【0106】
また、電源装置についても、パワーケーブルで各独立ユニットに接続されていないため、容易に電源装置の独立ユニット12ものを交換することができる。

【0107】
これにより、水中ロボット11によれば、水中での作業時間や作業負荷に応じて電源装置の独立ユニット12単に積み替えて対応することができる。

【0108】
さらに、電源装置の独立ユニット12を、一定時間電力を供給することができるユニットにし、かかる電源装置を複数ユニット備えれば、水中ロボットの作業時間や負荷に応じて電源装置を積み増したり、減らしたりすることができる。

【0109】
また、各独立ユニットが、結線されておらず交換が容易であるため、本実施形態の水中ロボット11では、異なる作業目的のために、制御装置の独立ユニット7を交換することができる。

【0110】
すなわち、作業目的に応じて、制御装置の独立ユニット7を、異なる制御プログラムを搭載した他の制御装置の独立ユニットに簡単に交換することができる。むろん、その作業目的に応じて他の単機能モジュールの独立ユニットも簡単に交換することができる。

【0111】
これにより、一機の水中ロボットを複数の作業目的に適宜使用することができる。

【0112】
図7は、図6の水中ロボット11の変形例を示す。

【0113】
図7の水中ロボットは、中継手段13を有している点において図6の水中ロボット11と異なるのみである。

【0114】
中継手段13は、電気信号を受信し増幅して送信する機能を有している。

【0115】
この変形例の水中ロボット11によれば、シャシーのところどころに中継手段13を設けることにより、各単機能モジュールの通信機能がより確実になる。

【0116】
なお、図7の例では、中継手段13がシャシー5,6に設けられているが、伝達媒体の接続ケーブルを使用し、伝達媒体のところどころに中継手段13を設けるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0117】
1 水中ロボット
2 作業装置の独立ユニット
2a 耐圧防水ケース
2b 作業装置
2c 通信手段
2d 電池
2d’ 充電池
2e 電力伝達レシーバー
3 水平方向推進装置の独立ユニット
3a 耐圧防水ケース
3b 推進装置
3c 通信手段
3d 電池
3d’ 充電池
3e 電力伝達レシーバー
4 垂直方向推進装置の独立ユニット
4a 耐圧防水ケース
4b 推進装置
4c 通信手段
4d 電池
4d’ 充電池
4e 電力伝達レシーバー
5 下部シャシー
6 上部シャシー
7 制御装置の独立ユニット
7a 耐圧防水ケース
7b 制御装置
7c 通信手段
7d 電池
7d’ 充電池
7e 電力伝達レシーバー
8 リング
9 凹部
10 伝達媒体
10a 吸盤
11 水中ロボット
12 電源装置の独立ユニット
12a 耐圧防水ケース
12b 電源装置
12c 通信手段
12d 変動磁界生成手段
13 中継手段
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6