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明細書 :構造物の制振装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4487087号 (P4487087)
登録日 平成22年4月9日(2010.4.9)
発行日 平成22年6月23日(2010.6.23)
発明の名称または考案の名称 構造物の制振装置
国際特許分類 F16F  15/04        (2006.01)
E01D   1/00        (2006.01)
F16F  15/02        (2006.01)
FI F16F 15/04 L
E01D 1/00 Z
F16F 15/02 A
F16F 15/02 Z
請求項の数または発明の数 13
全頁数 15
出願番号 特願2003-556610 (P2003-556610)
出願日 平成14年12月26日(2002.12.26)
国際出願番号 PCT/JP2002/013630
国際公開番号 WO2003/056105
国際公開日 平成15年7月10日(2003.7.10)
優先権出願番号 2001394435
優先日 平成13年12月26日(2001.12.26)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成17年11月15日(2005.11.15)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】899000057
【氏名又は名称】学校法人日本大学
発明者または考案者 【氏名】石丸 辰治
【氏名】石垣 秀典
【氏名】秦 一平
個別代理人の代理人 【識別番号】100097113、【弁理士】、【氏名又は名称】堀 城之
審査官 【審査官】間中 耕治
参考文献・文献 米国特許第04577826(US,A)
特開2002-364205(JP,A)
調査した分野 F16F 15/00 - 15/08
E01D 1/00
特許請求の範囲 【請求項1】
構造物を構成する構造体の面外方向の振動を抑制するようにした構造物の制振装置であって、
前記構造体に所定間隔をおいて設けられた支持点間に、これらの支持点間の間隔よりも長い全長を有する張力部材を配設し、
この張力部材の途中に、一対の第1のリンク片を直接または剛部材を介して回動自在に連結するとともに、
前記第1のリンク片毎に設けられた第2のリンク片を前記構造体に回動自在に連結し、対になる前記第1のリンク片の他端部と前記第2のリンク片の他端部とを回動自在に連結し、
前記第1のリンク片と前記第2のリンク片とを連結する両連結部間に掛け渡されて、前記第1のリンク片と前記第2のリンク片と付勢することにより、前記張力部材に張力を与える付勢部材と、
記連結部間に掛け渡されて、前記第1のリンク片と前記第2のリンク片の回動によって作動させられる緩衝部材とを設けてなることを特徴とする構造物の制振装置。
【請求項2】
構造物を構成する構造体の面外方向の振動を抑制するようにした構造物の制振装置であって、
前記構造体に所定間隔をおいて設けられた一組の支持点に一対の張力部材の一端を固定して、両張力部材の他端を枠体又はリンク片からなる連結体に連結し、前記連結体を挟んで両前記一端間に延びる両前記張力部材の全長が前記支持点間の間隔よりも長くなるようにして、両前記張力部材を前記支持点間に配設して前記連結体を前記支持点間に支持し、
前記連結体に、一対の第1のリンク片を回動自在に連結するとともに、
前記第1のリンク片毎に設けられた第2のリンク片を前記構造体に回動自在に連結し、対になる前記第1のリンク片の他端部と前記第2のリンク片の他端部とを連結部で回動自在に連結し、
前記連結体若しくは前記構造体と各前記連結部との間、又は、前記連結部間に掛け渡されて、前記第1のリンク片と前記第2のリンク片と付勢することにより、前記張力部材に張力を与える付勢部材と、
前記連結体若しくは前記構造体と各前記連結部との間、又は、前記連結部間に前記付勢部材と共に掛け渡され、前記第1のリンク片と前記第2のリンク片の回動によって作動させられる緩衝部材とを設けてなることを特徴とする構造物の制振装置。
【請求項3】
構造物を構成する構造体の面外方向の振動を抑制するようにした構造物の制振装置であって、
前記構造体に所定間隔をおいて設けられた支持点間に、これらの支持点間の間隔よりも長い全長を有する張力部材を配設し、
この張力部材の途中に、一対の第1のリンク片を直接または剛部材を介して回動自在に連結するとともに、
前記第1のリンク片毎に設けられた第2のリンク片を前記構造体に回動自在に連結し、対になる前記第1のリンク片の他端部と前記第2のリンク片の他端部とを連結部で回動自在に連結し、
前記第1のリンク片と前記剛部材との連結部又は前記第1のリンク片と前記構造体との間に掛け渡され、前記第1のリンク片付勢することにより、前記張力部材に張力を与える付勢部材と、
前記第1のリンク片の他端部と前記第2のリンク片の他端部との前記連結部間に掛け渡されて、前記第1のリンク片と前記第2のリンク片の回動によって作動させられる緩衝部材とを設けてなることを特徴とする構造物の制振装置。
【請求項4】
構造物を構成する構造体の面外方向の振動を抑制するようにした構造物の制振装置であって、
前記構造体に所定間隔をおいて設けられた支持点間に、これらの支持点間の間隔よりも長い全長を有する張力部材を配設し、
この張力部材の途中に、一対の第1のリンク片を直接または剛部材を介して回動自在に連結するとともに、
前記第1のリンク片毎に設けられた第2のリンク片を前記構造体に回動自在に連結し、対になる前記第1のリンク片の他端部と前記第2のリンク片の他端部とを連結部で回動自在に連結し、
前記連結部間に掛け渡されて、前記第1のリンク片と前記第2のリンク片と付勢することにより、前記張力部材に張力を与える付勢部材と、
前記第1のリンク片と前記剛部材との連結部と前記構造体との間に掛け渡され、前記第1のリンク片と前記第2のリンク片の回動によって作動させられる緩衝部材とを設けてなることを特徴とする構造物の制振装置。
【請求項5】
記連結部に、付加質量を設けてなることを特徴とする請求項1ないし4の何れかに記載の構造物の制振装置。
【請求項6】
前記張力部材をロープによって構成したことを特徴とする請求項1ないし5の何れかに記載の構造物の制振装置。
【請求項7】
前記張力部材を、相互に回動自在に連結された複数の鋼棒によって構成したことを特徴とする請求項1ないし5の何れかに記載の構造物の制振装置。
【請求項8】
前記緩衝部材が、オイルダンパであることを特徴とする請求項1ないし7の何れかに記載の構造物の制振装置。
【請求項9】
前記緩衝部材が、アクティブダンパであり、前記構造体に、その揺れを検出するセンサを設けるとともに、このセンサからの検出信号に基づき、前記アクティブダンパの増減の調整を行うコントローラを設けてなることを特徴とする請求項1ないし7の何れかに記載
の構造物の制振装置。
【請求項10】
前記センサが、加速度センサであることを特徴とする請求項9に記載の構造物の制振装置。
【請求項11】
前記センサが、変位センサであることを特徴とする請求項9に記載の構造物の制振装置。
【請求項12】
前記センサが、速度センサであることを特徴とする請求項9に記載の構造物の制振装置。
【請求項13】
前記緩衝部材が、粘弾性体あるいは弾塑性体であることを特徴とする請求項1ないし7の何れかに記載の構造物の制振装置。
発明の詳細な説明 【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は構造物の制振装置に係わり、特に、高架式の高速道路や鉄道軌道、あるいは、橋梁を構成する床版といった構造体を有する構造物に適用されて、前記構造体の面外方向の振動を抑制するようにした構造物の制振装置に関するものである。
【0002】
そして、勾配を有する屋根を構成する構造体や、鉛直に設置されたガラスカーテンウォールの支持構造体の面外方向の振動を抑制する制振装置への適用も可能である。
【従来技術】
【0003】
近年、高架式の高速道路や鉄道軌道、あるいは、橋梁を構成する床版といった構造体を備えた構造物にあっては、交通振動や地震時等における前記構造体の上下振動による落下や破損等の被害を抑えるために種々の対策が施されており、その一つとして、第5図に示す制振装置が提案されている。
【0004】
この図において符号1で示す制振装置は、たとえば、複数の橋脚2によって支持された構造体として水平に設置された床版3に適用したものであって、前記床版3の下部で、前記橋脚2間の略中央部に、バネ等からなる弾性部材4と、オイルダンパ等からなる緩衝部材5とを平行に吊設するとともに、これらの弾性部材4と緩衝部材5との下端部に、重量部材6を取り付けた構成となっている。
【0005】
このように構成された従来の制振装置1では、前記床版3に、面外方向(図示例においては上下方向)の振動が発生した際に、前記弾性部材4および緩衝部材5とによって、前記床版3と重量部材6との相対運動を減衰させることにより、前記床版3の上下振動を抑制するようになっている。
【0006】
ところで、このような従来の技術においては、つぎのような改善すべき問題点が残されている。
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
すなわち、前述した従来の技術にあっては、前記床版3の上下振動を効率よく抑制するためには、前記弾性部材4の弾性係数および緩衝部材5の減衰係数を、前記床版3の固有振動数に対して適切に設定する必要があるが、このために、効果的な制振機能が得られる範囲が狭く、また、その設定が煩雑であるといった問題点である。
【0008】
さらに、重量部材6は重いほど効果があるが、現実の構造物においては本体構造物の1割相当の重量を付加するのは難しかった。
【0009】
さらに、勾配を有する屋根を構成する構造体や、鉛直に設置されるガラスカーテンウォールの支持構造体に従来の制振装置を設けることは、重量部材6が重力加速度方向にのみ働くために不可能であった。
【0010】
本発明は、このような従来の問題点に鑑みてなされたもので、構造物を構成する構造体の面外方向の振動を効率よくかつ効果的に抑制することの可能な構造物の制振装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の請求項1に記載の構造物の制振装置は、前述した目的を達成するために、構造物を構成する構造体の面外方向の振動を抑制するようにした構造物の制振装置であって、前記構造体に所定間隔をおいて設けられた支持点間に、これらの支持点間の間隔よりも長い全長を有する張力部材を配設し、この張力部材の途中に、一対の第1のリンク片を直接または剛部材を介して回動自在に連結するとともに、前記第1のリンク片毎に設けられた第2のリンク片を前記構造体に回動自在に連結し、対になる前記第1のリンク片の他端部と前記第2のリンク片の他端部とを回動自在に連結し、前記第1のリンク片と前記第2のリンク片とを連結する両連結部間に掛け渡されて、前記第1のリンク片と前記第2のリンク片と付勢することにより、前記張力部材に張力を与える付勢部材と、前記連結部間に掛け渡されて、前記第1のリンク片と前記第2のリンク片の回動によって作動させられる緩衝部材とを設けてなることを特徴とする。
本発明の請求項2に記載の構造物の制振装置は、構造物を構成する構造体の面外方向の振動を抑制するようにした構造物の制振装置であって、前記構造体に所定間隔をおいて設けられた一組の支持点に一対の張力部材の一端を固定して、両張力部材の他端を枠体又はリンク片からなる連結体に連結し、前記連結体を挟んで両前記一端間に延びる両前記張力部材の全長が前記支持点間の間隔よりも長くなるようにして、両前記張力部材を前記支持点間に配設して前記連結体を前記支持点間に支持し、前記連結体に、一対の第1のリンク片を回動自在に連結するとともに、前記第1のリンク片毎に設けられた第2のリンク片を前記構造体に回動自在に連結し、対になる前記第1のリンク片の他端部と前記第2のリンク片の他端部とを連結部で回動自在に連結し、前記連結体若しくは前記構造体と各前記連結部との間、又は、前記連結部間に掛け渡されて、前記第1のリンク片と前記第2のリンク片と付勢することにより、前記張力部材に張力を与える付勢部材と、前記連結体若しくは前記構造体と各前記連結部との間、又は、前記連結部間に前記付勢部材と共に掛け渡され、前記第1のリンク片と前記第2のリンク片の回動によって作動させられる緩衝部材とを設けてなることを特徴とする。
本発明の請求項3に記載の構造物の制振装置は、構造物を構成する構造体の面外方向の振動を抑制するようにした構造物の制振装置であって、前記構造体に所定間隔をおいて設けられた支持点間に、これらの支持点間の間隔よりも長い全長を有する張力部材を配設し、この張力部材の途中に、一対の第1のリンク片を直接または剛部材を介して回動自在に連結するとともに、前記第1のリンク片毎に設けられた第2のリンク片を前記構造体に回動自在に連結し、対になる前記第1のリンク片の他端部と前記第2のリンク片の他端部とを連結部で回動自在に連結し、前記第1のリンク片と前記剛部材との連結部又は前記第1のリンク片と前記構造体との間に掛け渡され、前記第1のリンク片付勢することにより、前記張力部材に張力を与える付勢部材と、前記第1のリンク片の他端部と前記第2のリンク片の他端部との前記連結部間に掛け渡されて、前記第1のリンク片と前記第2のリンク片の回動によって作動させられる緩衝部材とを設けてなることを特徴とする。
本発明の請求項4に記載の構造物の制振装置は、構造物を構成する構造体の面外方向の振動を抑制するようにした構造物の制振装置であって、前記構造体に所定間隔をおいて設けられた支持点間に、これらの支持点間の間隔よりも長い全長を有する張力部材を配設し、この張力部材の途中に、一対の第1のリンク片を直接または剛部材を介して回動自在に連結するとともに、前記第1のリンク片毎に設けられた第2のリンク片を前記構造体に回動自在に連結し、対になる前記第1のリンク片の他端部と前記第2のリンク片の他端部とを連結部で回動自在に連結し、前記連結部間に掛け渡されて、前記第1のリンク片と前記第2のリンク片と付勢することにより、前記張力部材に張力を与える付勢部材と、前記第1のリンク片と前記剛部材との連結部と前記構造体との間に掛け渡され、前記第1のリンク片と前記第2のリンク片の回動によって作動させられる緩衝部材とを設けてなることを特徴とする。
本発明の請求項5に記載の構造物の制振装置は、請求項1ないし4の何れかに記載の前記連結部に、付加質量を設けてなることを特徴とする。
本発明の請求項6に記載の構造物の制振装置は、請求項1ないし5の何れかに記載の前記張力部材をロープによって構成したことを特徴とする。
本発明の請求項7に記載の構造物の制振装置は、請求項1ないし5の何れかに記載の前記張力部材を、相互に回動自在に連結された複数の鋼棒によって構成したことを特徴とする。
本発明の請求項8に記載の構造物の制振装置は、請求項1ないし7の何れかに記載の前記緩衝部材が、オイルダンパであることを特徴とする。
本発明の請求項9に記載の構造物の制振装置は、請求項1ないし7の何れかに記載の前記緩衝部材が、アクティブダンパであり、前記構造体に、その揺れを検出するセンサを設けるとともに、このセンサからの検出信号に基づき、前記アクティブダンパの動作の調整を行うコントローラを設けてなることを特徴とする。
本発明の請求項10に記載の構造物の制振装置は、請求項9に記載の前記センサが、加速度センサであることを特徴とする。
本発明の請求項11に記載の構造物の制振装置は、請求項9に記載の前記センサが、変位センサであることを特徴とする。
本発明の請求項12に記載の構造物の制振装置は、請求項9に記載の前記センサが、速度センサであることを特徴とする。
本発明の請求項13に記載の構造物の制振装置は、請求項1ないし7の何れかに記載の前記緩衝部材が、粘弾性体あるいは弾塑性体であることを特徴とする。
【0012】
以下、本発明の一実施形態について、第1図ないし第3図を参照して説明する。
【0013】
第1図において符号10で示す本実施形態に係わる構造物の制振装置10は、複数の橋脚11によって支持された構造体としての床版12に適用したもので、前記床版12の下部に所定間隔をおいて支持点13(本実施形態においては、隣接する橋脚11のそれぞれに設けてある)を設け、これらの支持点13間に、これらの支持点13間の間隔よりも長い全長を有する張力部材14を配設し、この張力部材14の途中に第1のリンク片15を回動自在に連結するとともに、この第1のリンク片15と前記床版12との間に第2のリンク片16を回動自在に連結し、前記第1のリンク片15と第2のリンク片16との連結部と、前記構造物を構成する構造体(本実施形態においては前記床版12)との間に、これらの第1のリンク片15と第2のリンク片16を付勢することにより、前記張力部材14に張力を与える付勢部材17と、前記第1のリンク片15と第2のリンク片16の回動によって作動させられる緩衝部材18とを設けた基本構成となっている。
【0014】
また、前記第1のリンク片15と第2のリンク片16の連結部21には、付加質量25が設けられている。
【0015】
ついでこれらの詳細について説明すれば、前記張力部材14は、本実施形態においてはロープが用いられており、その両端部が、前記橋脚11に設けられている前記支持点13にそれぞれ固定されている。
【0016】
前記第1のリンク片15および第2のリンク片16は、本実施形態においては、前記床版12の下方で、かつ、前記隣接する橋脚11間の略中央部に、前記張力部材14の長さ方向に間隔をおいて2箇所に配設されており、各第1のリンク片15の一端部が、前記張力部材14に、ピン19を介して回転可能に連結され、また、前記各第2のリンク片16の一端部が、前記床版12の下部に、ピン20を介して回動自在に連結されている。
【0017】
また、前記各第1のリンク片15と各第2のリンク片16の他端部が、相互に、ピン21を介して回動自在に連結されるとともに付加質量25が設けられ、さらに、前記各第1のリンク片15は、第2のリンク片16よりも短く形成されているとともに、前記各第1のリンク片15と第2のリンク片16との連結部を構成する各ピン21が、前記両第1のリンク片15と前記張力部材14との連結部である両ピン19の内側に位置させられている。
【0018】
さらに、本実施形態においては、第2図に示すように、前記制振装置10が、前記床版12の面方向に平行に設置されている2組の橋脚11間に装着されており、各制振装置10の各第1のリンク片15と第2のリンク片16とを連結する2つのピン21が共用され、かつ、付加質量25の役割を担うよう十分重く構成されるとともに、これらのピン21間に、前記付勢部材17が、一対平行に設けられ、かつ、これらの付勢部材17間に、前記緩衝部材18が、前記両ピン21に連結された状態で配設されている。
【0019】
そして、前記両付勢部材17は引っ張りスプリングによって構成され、前記両ピン21を互いに接近する方向に付勢することにより、前記各第1のリンク片15と張力部材14との連結部である両ピン19を前記床版12から離間する方向に付勢することにより、前記張力部材14に張力を与えて、この張力部材14を緊張状態に保持するようになっている。
【0020】
ついで、このように構成された本実施形態に係わる制振装置10の作用について説明する。
【0021】
地震等が発生した場合、前記床版12は、前記橋脚11による支持部を固定端として、その中間部が撓むように、床版12の面外方向である上下方向に振動する。
【0022】
そして、たとえば、前記床版12が、第3図に示すように、一点鎖線で示す通常状態から二点差線で示すように下方へ向けて撓むと、これに伴って、前記各ピン20が前記床版12とともに下方へ移動するとともに、これらのピン20に連結されている前記各第2のリンク片16も同様に下方へ移動させられるような力を受ける。
【0023】
しかしながら、前記各第1のリンク片15の一方の連結部である各ピン19は、前記張力部材14が緊張状態に保持されていることによって、その位置が拘束されていることから、前述した各第2のリンク片16の下降に伴い、前記各第2のリンク片16が、前記各ピン19を中心として回動させられる。
【0024】
これらの第1のリンク片15の回動方向は、前記各第2のリンク片16との連結部である各ピン21が離れる方向であり、ピン21に直結されている付加質量25は、その重力に伴った慣性力が働くことになる。
【0025】
この結果、前記両ピン21間に設けられている両付勢部材17が延びて、前記張力部材14が緊張状態に保持されるとともに、前記緩衝部材18が伸張するように作動させられて減衰機能が発生する。
【0026】
これによって、前述した床版12の上下振動を、付加質量25の運動に変換するとともに、減衰機能の発生により、床版12の上下振動が抑制されることとなる。
【0027】
一方、第3図に示すように、前記床版12の撓み量をXとし、前記ピン21の横方向への変位量βXとした場合、前記第1のリンク片15と第2のリンク片16とによって増幅機構が構成されていることにより、「β≫1」となり、この結果、前記緩衝部材18の作動量が大きくなり、また、付加質量25の質量をm'とすると、その動きは、βm'・・Xであり、床版12に働く慣性力は、梃子の原理により、β2m'・・Xとなり、付加質量25は実動m' β2を有することとなるので、その質量効果が高められる。
【0028】
また、前記床版12が上方へ向けて振動した場合、前記張力部材14の緊張状態を解く方向への移動となるが、前記両ピン21が、前記両付勢部材17によって常時接近する方向に付勢されていることにより、前述した張力部材14が緊張状態に保持される。
【0029】
したがって、前記第1のリンク片15や緩衝部材18の動きが前述した方向と逆方向となり、同様の増幅機構により減衰効果が高められる。
【0030】
この結果、前記床版12の面外方向である上下の振動に対して効果的な減衰機能が得られ、高い制振機能を得ることができる。
【0031】
なお、前記実施形態において示した各構成部材の諸形状や寸法等は一例であって、設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0032】
たとえば、前記実施形態においては、前記張力部材14をロープによって構成した例について示したが、これに代えて、第4図に示すように、複数の鋼棒14a・14b・14cによって構成することも可能である。
【0033】
また、前記緩衝部材18としてオイルダンパを例示したが、これに代えて、粘弾性体あるいは弾塑性体を用いることも可能である。
【0034】
また、第6図に示すように、前記張力部材14に連結脚22を取り付け、この連結脚22に、前記第1のリンク片15の端部をピン19を介して回動自在に連結するようにしてもよく、また、錘23を、たとえば前記ピン21に取り付けて、制振装置10の可動部の慣性質量を大きくするようにしてもよい。
【0035】
さらに、前記緩衝部材18に、アクティブダンパを用いるとともに、第7図に示すように、前記床版12に、この床版12の揺れを検出するセンサ24を取り付け、さらに、前記センサ24からの検出信号に基づき、前記可変オリフィスの開度を調整するコントローラ25を設けておき、このコントローラ25において、前記センサ24によって検出される揺れの大きさに応じて、前記可変オリフィスの開度を調整することにより、前記緩衝部材18の減衰力を適切な値に調整するようにしてもよい。
【0036】
そして、前記センサ24は、振動時における前記床版12の振幅を検出する変位センサや、床版12の揺れの加速度を検出する加速度センサ等が用いられる。
【0037】
そして、前記構造体としては、前述した例の他に、歩道橋や跨線橋、立体駐車場、あるいは、高架式の歩道といった人工地盤が考えられる。
【0038】
なお、前記支持点13を橋脚11に設けた例について示したが、前記構造体としての床版12に設けるようにしてもよい。
【0039】
また、勾配を有する屋根を構成する構造体や、鉛直に設置されるガラスカーテンウォールの支持構造体の面外方向の振動を抑制する制振装置としても利用できる。
【0040】
一方、前記第1のリンク片15と第2のリンク片16、および、前記張力部材14との連結形態や、前記付勢部材17および緩衝部材18の設置位置等は適宜変更可能である。
【0041】
たとえば、第8図(a)に示すように、前記床版12の下方に、第9図に示すような矩形状の枠体26を配設し、この枠体26の各角部と前記橋脚11あるいは前記床版12との間に前記張力部材14をそれぞれ張設することによって、前記枠体26を支持させ、この枠体26の平行な一対の辺のそれぞれの両端部と、前記床版12とを、相互に回動自在に連結された第1のリンク片15と第2のリンク片16とによって連結し、さらに、これらの第1のリンク片15と第2のリンク片16との連結部を構成するピン21と、前記枠体26の平行な一対の辺の、前記ピン21間に設けられたピン27との間に、前記付勢部材17および緩衝部材18を介装した構成とすることも可能である。なお、第8図(b)に示すように上下を逆にすることも出来る。
【0042】
ここで、前記第1のリンク片15および第2のリンク片16とは、これらを連結するピン21が、前記ピン19とピン20とを結ぶ直線よりも、前記枠体26の内側に位置するようになされている。
【0043】
また、前記付勢部材17が圧縮スプリングによって構成されており、この付勢部材17によって前記両ピン21が相互に離間する方向に付勢されることによって、前記枠体26が下方へ付勢されるとともに、前記張力部材14に常時張力が作用するようになされている。
【0044】
さらに、第10図に示すように、前記床版12の下部に、所定間隔をおいてピン20を設け、これらのピン20に第2のリンク片16を回動自在に連結し、また、これらの第2のリンク片16の他端部に、ピン21を介して第1のリンク片15を回動自在に連結し、さらに、この第1のリンク片15の他端部を、前記両ピン20を結ぶ線と平行に配設された連結リンク片28の両端部に、ピン19によってそれぞれ連結し、前記付勢部材17および緩衝部材18を、前記ピン21間に介装し、前記連結リンク28の両端部と、前記床版12あるいは橋脚11との間に、前記張力部材14を張設した構成とすることも可能である。
【0045】
ここで、前記ピン21は、前記ピン19とピン20とを結ぶ線よりも外側に位置させられているとともに、前記付勢部材17が引っ張りスプリングによって構成されており、この付勢部材17によって前記各ピン21が相互に接近するように付勢されていることにより、前記連結リンク28が下方へ向けて付勢されるとともに、前記張力部材14に常時張力を与えるようになっている。
【0046】
また、第11図に示すように、前記各ピン21が、前記ピン19とピン20とを結ぶ線よりも外側に位置するようにして、かつ、前記付勢部材17を圧縮スプリングとして、前記両ピン21を相互に離間する方向に付勢するような構成とすることも可能である。
【0047】
また、第12図に示すように、第10図に示す変形例において示した一対の第2のリンク片16を一つのピン20によって連結し、さらに、これらの第2のリンク片16の他端部に回動自在に連結される前記一対の第1のリンク片15の他端部を、一つのピン19を介して前記張力部材14に連結した構成とすることも可能である。
【0048】
そして、前記第1のリンク片15と第2のリンク片16とを連結するピン21間に、前記緩衝部材18と付勢部材17とが介装され、かつ、この付勢部材17は、この例では、引っ張りスプリングによって構成される。
【0049】
さらに、第13図(a)に示すように、第12図において示した一対の第1のリンク片15の他端部を、前記一対の第2のリンク片16の内側で、前記両ピン21よりも上方においてピン19によって連結するとともに、このピン19に、下方へ向けて連結ロッド29を連結するとともに、この連結ロッド29を、前記張力部材14に連結した構成とすることもできる。
【0050】
また、第13図(b)に示すように、前記付勢部材17を、前記ピン20とピン19との間に介装するようにしてもよく、この付勢部材17と前記緩衝部材18とを入れ替えて設置することも可能である。
【0051】
また、第13図(c)に示すように、張力部材14を、第1のリンク片15,15に連結することも可能である。
【0052】
また、第14図に示すように、第13図において示した一対の第1のリンク片15の他端部を、それぞれ、前記第2のリンク片16よりも外側に位置させ、これらの第1のリンク片15の他端部と、前記張力部材14とを、第14図に鎖線で示す連結プレート30によって回動自在に連結した構成とすることも可能である。
【0053】
さらに、第15図に示すようにカーテンウォール等の壁構造に適用して、当該カーテンウォール等を制振することもできる。また、緩衝部材17を第16図に示すように設けることもできる。
【0054】
これらのいずれの変形例においても、前述した実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0055】
さらに、前記床版12が水平状態の場合について説明したが、勾配を有する屋根を構成する構造体や鉛直に設置されるガラスカーテンウォールの支持構造体の面外方向の振動を抑制する制振装置としても利用することができる。
【0056】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係わる構造物の制振装置によれば、床版等の構造体の面外方向の振動を直接緩衝部材へ伝達することにより、この緩衝部材の作動を確実に行わせ、また、前記構造体の面外方向の振動を拡大して緩衝部材へ伝達することにより、この緩衝部材の作動量を極力大きくして、前記構造体の振動に伴うエネルギを確実に吸収し、この構造体に対する制振機能を確実に確保することができる。
【0057】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示す要部の概略正面図である。
【図2】本発明の一実施形態を示す要部の概略平面図である。
【図3】本発明の一実施形態の動作を説明するための要部の拡大概略図である。
【図4】本発明の他の実施形態を示す概略正面図である。
【図5】一従来例を示す要部の正面図である。
【図6】本発明の他の実施形態を示す正面図である。
【図7】本発明の他の実施形態を示す正面図である。
【図8】(a)、(b)は、本発明の変形例を示す正面図である。
【図9】本発明の変形例を示す平面図である。
【図10】本発明の変形例を示す正面図である。
【図11】本発明の変形例を示す正面図である。
【図12】本発明の変形例を示す正面図である。
【図13】(a)、(b)、(c)は、本発明の変形例を示す正面図である。
【図14】本発明の変形例を示す正面図である。
【図15】本発明の変形例を示す正面図である。
【図16】本発明の変形例を示す正面図である。
【0058】
【符号の説明】
1 制振装置
2 橋脚
3 床版(構造体)
4 弾性部材
5 緩衝部材
6 重量部材
10 制振装置
11 橋脚
12 床版(構造体)
13 支持点
14 張力部材
14a 鋼棒
14b 鋼棒
14c 鋼棒
15 第1のリンク片
16 第2のリンク片
17 付勢部材
18 緩衝部材
19 ピン
20 ピン
21 ピン
22 支持脚
23 センサ
24 コントローラ
25 付加質量
26 枠体
27 ピン
28 連結リンク片
29 連結ロッド
30 連結プレート
図面
【図1】
0
【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
4
【図6】
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【図7】
6
【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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