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明細書 :カニューラ

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5007967号 (P5007967)
公開番号 特開2007-014368 (P2007-014368A)
登録日 平成24年6月8日(2012.6.8)
発行日 平成24年8月22日(2012.8.22)
公開日 平成19年1月25日(2007.1.25)
発明の名称または考案の名称 カニューラ
国際特許分類 A61M  25/00        (2006.01)
FI A61M 25/00 306Z
A61M 25/00 405H
請求項の数または発明の数 2
全頁数 12
出願番号 特願2005-195871 (P2005-195871)
出願日 平成17年7月5日(2005.7.5)
審査請求日 平成20年5月29日(2008.5.29)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】899000057
【氏名又は名称】学校法人日本大学
発明者または考案者 【氏名】洞 口 敬
個別代理人の代理人 【識別番号】100071696、【弁理士】、【氏名又は名称】高橋 敏忠
【識別番号】100090000、【弁理士】、【氏名又は名称】高橋 敏邦
審査官 【審査官】安田 昌司
参考文献・文献 実公昭61-010698(JP,Y2)
特開2005-130875(JP,A)
特開昭63-049125(JP,A)
米国特許出願公開第2004/0153098(US,A1)
特開平10-165413(JP,A)
米国特許第03742958(US,A)
調査した分野 A61M 25/00
A61L 31/00
特許請求の範囲 【請求項1】
細長いロッドの先端に固定されて鋭利な刃(11)と反対側の部分(12)とで構成される手術用器具(10)を関節鏡視下で患者の施術領域まで挿入するために、可撓性の円筒形状部材(2、2B)より成るカニューラにおいて、前記円筒形状部材(2、2B)には中心軸と平行なスリット(3、3B)が形成され、該スリット(3、3B)を構成する周方向の端部(4、4B、5、5B)には円筒形状部材(2、2B)の患者側となる第1の端部(ed)の反対側の第2の端部(eu)に第1の端部(ed)に向けてV字状の切り込みが形成され、前記第1の端部(ed)は僅かに切り込んだ形状に構成されているか或いは切り込んだ形状に構成されておらず、前記円筒形状部材(2、2B)は前記スリット(3、3B)を閉鎖な方向に常時付勢されており、そして前記円筒形状部材(2、2B)は手術用器具(10)の鋭利な刃(11)側が円筒形状部材(2、2B)の内部に接触するように挿入されたときに、手術用器具(10)の反対側(12)がスリット(3、3B)から外部に位置でき、そして前記円筒形状部材(2C、2D)のスリット(3C、3D)の端部(4C、4D、5C、5D)は係合可能に構成され、端部(4C、4D、5C、5D)同士を係合させたスリット(3C、3D)が閉じた状態にすることができるように構成されていることを特徴とするカニューラ。
【請求項2】
細長いロッドの先端に固定された鋭利な刃(11)と反対側の部分(12)とで構成される手術用器具(10)を関節鏡視下で患者の施術領域まで挿入するために、剛性を有する円筒形状部材より成るカニューラにおいて、前記円筒形状部材は内筒(21E)及び外筒(22E)とを有する二重管構造となっており、それらの内筒(21E)及び外筒(22E)の各々には一端部から他端部へ亘って連続して内筒(21E)及び外筒(22E)の中心軸と平行な直線のスリット(213E、223E)が形成され、前記内筒(21E)は前記手術用器具(10)を挿入できるものであり、手術用器具(10)を挿入する際には内筒(21E)のスリット(213E)と外筒(22E)のスリット(223E)とを整合させ、手術用器具(10)を挿入した後に内筒(21E)のスリット(213E)と外筒(22E)のスリット(223E)との位置を円周方向について相違せしめるように構成されていることを特徴とするカニューラ。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、関節鏡視下の手術一般において、切開箇所の保持を行うカニューラに関する。
【背景技術】
【0002】
関節鏡視下の手術においては、「最小侵襲」という関節鏡を用いた施術における基本コンセプトに基づいて、切開箇所の最小化や、施術箇所に注入される手術用液体(乳酸化リンゲル液や生理食塩水等)の漏出防止等を目的として、図12に示すように、カニューラと呼ばれる器具1Jを患者40の切開箇所20に挿入し、当該切開個所20にて保持する場合が多い。
ここでカニューラ1Jは中空の円筒形状部材を有しており、円筒形状部材の一端1Jaが切開箇所20から患者の肉体中に挿入可能に構成され、他端部1Jbは患者の肉体側から体液や手術用薬液が逆流しない様に構成されていると共に、手術用器具30を挿入可能に構成されている。
【0003】
施術に際しては、細長いロッドの先端に固定された手術用器具30aを、前記他端部1Jbからカニューラ1Jの円筒形状部材内に挿入し、さらに、前記一端部1Jaから患者の肉体内を移動せしめて、関節鏡視下の施術領域まで挿入する。そして、挿入された手術用器具30aを用いて、図示しない関節鏡による目視の下に、必要な処理を行うのである。
なお、カニューラ1Jには、前記円筒形状部材が可撓性を有する材料(合成樹脂等)で構成されたソフトタイプと、金属その他の剛性部材で構成されたハードタイプとが存在する。
【0004】
しかし、上述したカニューラ1Jを用いて関節鏡視下で施術するに際して、細長いロッドの先端に固定された手術用器具30aの寸法がカニューラ1Jの円筒形状部材の内径寸法よりも大きい場合には、当該手術用器具30をカニューラ1Jの円筒形状部材内に挿入することが出来ない。これはハードタイプのみならず、ソフトタイプであっても同様である。
例えばソフトタイプの場合には、多少の可撓性があるとはいえ、ゴムのような伸縮性は有していないので、円筒形状部材の内径寸法よりも大きい手術用器具を挿入することは困難である。また、先端が鋭利な手術用器具であって、湾曲した形状のものを無理に挿入すると、手術用器具の先端がカニューラの円筒形状部材の途中で突き刺さってしまうという事態も予想される。
【0005】
従って、寸法が大きな手術用器具を使用する場合には円筒形状部材の内径寸法が大きいカニューラを使用する必要がある。しかしながら、円筒形状部材の内径寸法が大きいカニューラを使用することは、その分だけ患者の切開箇所を大きくしなければならず、「最小侵襲」という基本コンセプトに反してしまう。
【0006】
さらに、カニューラを使用した場合、手術用器具が接続された細長いロッドがカニューラの円筒形状部材を貫通した状態で、当該ロッドの末端部のグリップを操作することにより当該手術用器具による処理を行わなければならないが、カニューラの円筒形状部材を貫通したロッドは、その運動の自由度が制限されてしまうので、ロッド先端の手術用器具の動きも制限されてしまう、という問題を有している。
【0007】
なお、手術用器具を施術領域まで挿入した後に、ロッドに沿ってカニューラのみを引き抜くことは出来ない。手術用器具が接続された細長いロッドの末端部にはグリップが設けられているため、当該グリップが引っ掛かってしまうからである。
【0008】
その他の従来技術として、患者の血管内を流れる閉塞空気流を閉鎖し、患者の外側に流れる血液流を阻止するカニューラ(特許文献1、特許文献2)が存在する。しかし、係るカニューラは止血カニューラに関するものであり、上述した様な問題点を解消するものではない。
シリンジにより血管に穿刺する内套針に陰圧を加えて、内套針から吸入された血流により血管への穿刺を判断するものも存在するが(特許文献3)、やはり上述した問題点を解消することは出来ない。
【0009】
手術用器具を簡単に出し入れすることを目的とするカニューレも提案されているが(特許文献4)、係るカニューレは全体が円錐形状をしており、フラップ先端部がシールバルブ可動部に押し付けられてスリットが開くものであり、中空の円筒形状部材を有しているタイプのカニューラを対象とするものではない。

【特許文献1】特表平11-514903号公報
【特許文献2】特開2004-290684号公報
【特許文献3】特開2000-14791号公報
【特許文献4】特開2002-209904号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は上述した従来技術の問題点に鑑みて提案されたものであり、円筒形状部材の内径寸法を大きくすることなく、手術用器具等のロッドの自由度を制限せず、手術用器具等のロッド先端の手術用器具の動きも制限しないカニューラの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明によれば、細長いロッドの先端に固定されて鋭利な刃(11)と反対側の部分(12)とで構成される手術用器具(10)を関節鏡視下で患者の施術領域まで挿入するために、可撓性の円筒形状部材(2、2B)より成るカニューラにおいて、前記円筒形状部材(2、2B)には中心軸と平行なスリット(3、3B)が形成され、該スリット(3、3B)を構成する周方向の端部(4、4B、5、5B)には円筒形状部材(2、2B)の患者側となる第1の端部(ed)の反対側の第2の端部(eu)に第1の端部(ed)に向けてV字状の切り込みが形成され、前記第1の端部(ed)は僅かに切り込んだ形状に構成されているか或いは切り込んだ形状に構成されておらず、前記円筒形状部材(2、2B)は前記スリット(3、3B)を閉鎖な方向に常時付勢されており、そして前記円筒形状部材(2、2B)は手術用器具(10)の鋭利な刃(11)側が円筒形状部材(2、2B)の内部に接触するように挿入されたときに、手術用器具(10)の反対側(12)がスリット(3、3B)から外部に位置でき、そして前記円筒形状部材(2C、2D)のスリット(3C、3D)の端部(4C、4D、5C、5D)は係合可能に構成され、端部(4C、4D、5C、5D)同士を係合させたスリット(3C、3D)が閉じた状態にすることができるように構成されている。
【0014】
さらに、本発明によれば、細長いロッドの先端に固定された鋭利な刃(11)と反対側の部分(12)とで構成される手術用器具(10)を関節鏡視下で患者の施術領域まで挿入するために、剛性を有する円筒形状部材より成るカニューラにおいて、前記円筒形状部材は内筒(21E)及び外筒(22E)とを有する二重管構造となっており、それらの内筒(21E)及び外筒(22E)の各々には一端部から他端部へ亘って連続して内筒(21E)及び外筒(22E)の中心軸と平行な直線のスリット(213E、223E)が形成され、前記内筒(21E)は前記手術用器具(10)を挿入できるものであり、手術用器具(10)を挿入する際には内筒(21E)のスリット(213E)と外筒(22E)のスリット(223E)とを整合させ、手術用器具(10)を挿入した後に内筒(21E)のスリット(213E)と外筒(22E)のスリット(223E)との位置を円周方向について相違せしめるように構成されている。
【発明の効果】
【0015】
上述する構成を具備する本発明によれば、円筒形状部材(2)の一端部から他端部へ亘って連続したスリット(3)を形成したので、寸法の大きな手術用器具(10)がカニューラ(1)の円筒形状部材(2)を通過する際に、鋭利な箇所は(11)円筒形状部材(2)内を通過するが、それ以外の部材はスリット(3)或いはその外側を通過する様にせしめることで、寸法の大きな手術用器具(10)を用いる場合に従来よりも小さなカニューラ(1)を用いることが可能となる。
そして、手術用器具(10)を操作する際に、ロッドがスリット(3)或いはその外側の領域に移動することが可能となるため、手術用器具(10)の動き(運動)の自由度が高くなる。
【0016】
これに加えて、手術用器具(10)が例えばハンドルの様な大きな部材を有する場合に、当該手術用器具を本発明のカニューラに挿入して必要な処置を行った後に取り外す際に、円筒形状部材(2)のスリット(3)を広げて、そこから手術用器具(10)を取り外すことが出来る。すなわち、従来のカニューラのように、挿入した手術用器具(10)を円筒形状部材(2)の長手方向全長に亘って引き戻す必要が無い。
同様に、手術の最中にカニューラを外した状態で手術用器具を使用したい場合が存在するが、従来のカニューラでは、例えばハンドル等が大きい場合にはカニューラを取り外すことが困難である。これに対して、本発明のカニューラを使用すれば、円筒形状部材(2)のスリット(3)を広げることにより、手術用器具からカニューラを容易に取り外すことが出来る。
【0017】
さらに、スリット(3)を介して円筒形状部材(2)の内部を清掃することが可能であるため、器具の清潔な状態を保つことが出来る。
【0018】
ここで、前記スリット(3)は円筒形状部材(2)の中心軸と平行な直線を構成しているので、円筒形状部材(2)にスリット(3)を形成することが容易となる。
また、前記円筒形状部材(2)の一端部(使用の際に、患者から離隔した側の端部eu)における前記スリット(3)が形成されている部分は、反対側の端部(使用の際に、患者側となる端部ed)に向って切れ込んだ形状(4e、5e)に構成されているので、スリット(3)を形成する際における位置決めが容易となる。換言すれば、円筒形状の素材に本発明のスリット(3)を形成する製造上の労力を低減することが出来る。
一方、前記円筒形状部材(2)の反対側の端部、すなわち、使用に際して、患者側となる端部(ed)には、前記一端部(使用の際に、患者から離隔した側の端部eu)側に向って僅かに切れ込んだ形状に構成されているか、或いは、切れ込んだ形状には構成されていないので、使用に際して、当該端部(患者側の端部ed)が患者の肉体に引っ掛かってしまうことが防止される。
【0019】
本発明において、いわゆる「ソフトタイプ」のカニューラ(1B,1C,1D)として構成した場合に、前記円筒形状部材(2B)がスリット(3B)を閉鎖する方向へ常時付勢される様に構成する(1Bの場合)か、或いは、スリット(3C、3D)の相対する端面を係合可能に構成(4C、5C;4D、5D)することにより、手術用器具を操作している際に、施術領域へ注入した手術用液体(乳酸化リンゲル液や生理食塩水等)がスリット(3C,3D)を介して漏出するのを最小限度に防止することが出来る。
【0020】
或いは本発明において、いわゆる「ハードタイプ」のカニューラ(1E)として構成した場合に、内筒(21E)と外筒(22E)とを有する二重管構造に構成して、内筒(21E)及び外筒(22E)にスリット(213E,223E)を形成すれば、内筒のスリット(213E)と外筒のスリット(223E)との位置を円周方向について相違せしめることにより、内筒(21E)内部から外筒(22E)外部へはラビリンスシールが構成されたのと同様な状態となるので、手術用液体がスリット(213E,223E)を介して漏出してしまうことが最小限度に防止される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
先ず、図1~図3に基づいて、第1実施形態を説明する。
図1は、第1実施形態のカニューラ1を前方斜め上方から見た斜視図である。図1において、カニューラ1は、例えば、樹脂製の円筒状部材2に、該円筒状部材2の図示しない中心軸と平行なスリット3が形成されている。
【0022】
図1において、スリット3を挟んで周方向の端部、すなわちスリット3を構成する周方向の端部4,5は、円筒状部材2の図1において上方(矢印U方向)の端部(長手方向の端部)eu(使用の際に、患者から離隔した側となる端部)においては、符号4e,5eで示す様に、円筒状部材2の下方(矢印D方向)端部(或いは反対側の端部)ed側に向って、部分的に円弧部を有する切れ込み(図1におけるA部)となっている。
【0023】
これに対して、円筒状部材2の下方(矢印D方向)端部(或いは反対側の端部)ed(使用の際に、患者側となる端部)は、上方端部euにおけるA部の様に大きな切れ込みは形成されていない。円筒状部材2の下方(矢印D方向)端部edでは、図1で示す様に、反対側の端部eu側に向って僅かに切れ込んだ形状に構成されているか、或いは、切れ込んだ形状には構成されていない。
カニューラ使用に際して、患者側の端部edが患者の肉体に引っ掛かってしまうことを防止するためである。
【0024】
尚、当該切れ込み(A部)は、カニューラ1を量産する際に、長い素材のチューブを裁断して個々のカニューラ1の長さに切り揃える場合に、図示しない裁断機によって裁断と同時に形成される。そして、個々のカニューラ1のスリット形成時に、この切込み(A部)を位置決めにすると共に、この切込(A部)から、スリット3の成形が始まる。
【0025】
図示はしないが、当該切れ込みは、円弧部のない単なるV字のノッチ形状であっても良い。
【0026】
図2は、カニューラ1のスリット3を利用して、鋭利な刃を有する手術用器具10を挿入する状態を断面方向から見た図である。
【0027】
図2において、任意の断面が、鋭利な刃11と該鋭利な刃11の反対側の部分12とで構成される手術用器具10の、該鋭利な刃11側が、カニューラ1内部に接触する様に挿入されている。このように手術用器具10をカニューラ1内部に挿入することによって、挿入途中で人体組織を傷付けてしまう事が回避される。
【0028】
しかし、図3に示すように手術用器具10の鋭利な刃11をスリット1の外部へ露出するように手術用器具10を挿入すると、手術用器具10の鋭利な刃11が人体組織を傷つけてしまうので、この様な挿入方法が採られないように、十分な注意を払う必要がある。
【0029】
ここで、カニューラの材料として、柔軟性に富んだ樹脂製でもよく、或いは、硬質の樹脂や、錆に強い金属を用いることも可能である。
【0030】
上述した構成の第1実施形態によれば、円筒形状部材2の一端部から他端部へ亘って連続したスリット3を形成したので、寸法の大きな手術用器具10がカニューラ1の円筒形状部材2を通過する際に、例えば、手術器具に鋭利な刃11があれば、その刃11は円筒形状部材2内を通過させ、それ以外の部材はスリット3或いはその外側を通過する様に挿入することで、寸法の大きな手術用器具10を用いる場合に従来よりも小さなカニューラ1を用いることが可能となる。
【0031】
そして図2で示す様に、手術用器具10を操作する際に、手術用器具10の先端のロッドがスリット3の外側、或いは、円筒形状部材2の半径方向外側の領域に移動することが可能となるため、手術用器具10の動きの自由度が高くなる。
これに加えて、手術用器具10が例えばハンドルの様な大きな部材を有する場合に、当該手術用器具10をカニューラから取り外す際には、円筒形状部材2の長手方向全長に亘って手術用器具10を引き戻す必要が無く、スリット3を広げて、そこから手術用器具10を取り外せば良い。同様に、カニューラ1を外した状態で手術用器具10を使用したい場合には、円筒形状部材2のスリット3を広げて、手術用器具10からカニューラ1を容易に取り外すことが出来る。
【0032】
さらに、スリット3を介して円筒形状部材2の内部を清掃することも可能であるため、手術用器具を清潔な状態を保つことが出来る。
【0033】
スリット3は円筒形状部材2の中心軸と平行な直線を構成しているので、円筒形状部材2にスリット3を形成することが容易となる。
そして、カニューラ1の円筒形状部材2における両端部において、スリット3が形成されている部分は反対側の端部に向って切れ込んだ形状(4e,5e)に構成されているので、スリット3を形成する際における位置決めが容易となる。
換言すれば、円筒形状の素材に本実施形態のスリット3を形成する製造上の労力を低減することが出来る。
【0034】
次に、図4~図6に基づいて第2実施形態を説明する。
【0035】
図4~図6の第2実施形態(カニューラは符号1Bで示す)は、材料がソフトタイプの場合に、円筒形状部材を構成する材料2Bの弾性反撥力により、スリット3Bを閉鎖する方向(図4のY4、Y5)へ常時付勢されるように構成した実施形態である。
【0036】
即ち、図4に示すように、図示しない外力でスリット3Bが開いた場合でも、スリット3Bを構成するスリット縁部4B、5Bは、矢印Y4、Y5の方向に材料自身の付勢によって閉じようとし、図5に示すようにスリット3Bは閉じられる。
【0037】
従って、器具が無い場合は、図5で示す様に、スリット3Bの縁部4B、5B同士が接合して、スリット2Bが閉鎖する。一方、器具10を挿入した場合には、図6で示すように、器具10とスリット縁部4B、5Bとの隙間が無くなる。即ち、図5、図6の何れの場合でも、縁部4B、5B同士、或いは、縁部4B、5Bと器具10には隙間が生じないので、カニューラ1B内部からの患者の体液や、薬液の漏洩が最小限度に防止出来る。
【0038】
次に、図7に基づいて第3実施形態を説明する。
【0039】
図7の第3実施形態は、円筒形状部材2Cに形成されるスリット3Cの相対する端部が、図示の左側は円環5Cの一部が欠損5Caし、内部5Cbが円形断面の空間の、所謂「メス」50Cであり、右側は円形断面の玉縁状に形成された所謂「オス」4Cであり、「オス」4Cの玉縁が「メス」50Cの欠損箇所5Caから内部5Cbに嵌まり込んで係合される様に構成されている。
すなわち、必要に応じて端部4C,50C同士を係合してスリット3Cが閉じた状態にすることが出来る。
【0040】
図8は、第3実施形態の変形例を示す。オス-メス構造が図7の第3実施形態とは相違する。
図8において、円筒形状部材2Dに形成されるスリット3Dの相対する左右の端部は、円環の一部が欠損(4Da,5Da)した縁部4D,5Dが、互いに噛合うように配置されている。
【0041】
次に、図9~図11に基づいて第4実施形態を説明する。
図9~図11の第4実施形態のカニューラ1Eは、図9に全体の概要を示すように、内筒21Eと外筒22Eとを有する二重管構造となっている。
【0042】
内筒21E及び外筒22Eは、内筒21E及び外筒22Eの各々の一端部から他端部へ亘って連続したスリット213E,223Eを形成し、当該スリット213E,223Eは円筒形状部材21E,22Eの図示しない中心軸と平行な直線を構成している。
【0043】
内筒21Eは外筒22Eに対して回動自在であり、手術用器具10をカニューラ1Eに挿入する際には、図10に示すように、内筒21Eのスリット213Eと外筒22Eのスリット223Eとの円周方向位置を合わせる。
【0044】
手術用器具10を挿入した後には、図11に示すように、内筒21Eのスリット213Eと外筒22Eのスリット223Eとの位置を円周方向について相違させる。
【0045】
すなわち、図11は手術器具10を挿入していない状態、或いは、手術用器具10の挿入を完了した後の状態を示しており、内筒21Eのスリット213Eと外筒22Eのスリット223Eとの位置が、円周方向について相違した、いわゆる「ラビリンスシール」の状態となり、手術用液体(乳酸化リンゲル液や生理食塩水等)がスリット213E,223Eから漏れ出し難い構造としている。
【0047】
図示の実施形態はあくまでも例示であり、本発明の技術的範囲を限定する趣旨の記述ではない旨を付記する。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の第1実施形態のカニューラを立体的に示した斜視図。
【図2】第1実施形態に係り手術用器具を、鋭利な刃がカニューラ内部を向くように挿入した状態を示した断面図。
【図3】第1実施形態に係り手術用器具を、鋭利な刃がカニューラ外部を向くように挿入した状態を示した断面図。
【図4】第2実施形態のカニューラにおいて、カニューラに外力を作用させてスリットを押し広げた状態の断面図。
【図5】図4に対して、外力を除去して、スリットが閉じた状態の断面図。
【図6】第2実施形態において、器具がスリットからはみ出しても、スリットに作用するスリットを閉じる方向の付勢によって、器具とスリット端部とが密接に接触した状態を示した断面図。
【図7】第3実施形態のカニューラの断面図。
【図8】第3実施形態の変形例のカニューラの断面図。
【図9】第4実施形態のカニューラを立体的に示した斜視図。
【図10】第4実施形態において、内筒のスリットと外筒のスリットの位置をずらせた状態を示した断面図。
【図11】第4実施形態において、内筒のスリットと外筒のスリットの位置を一致させた状態を示した断面図。
【図12】従来技術のカニューラを用いた手術例を示した斜視図。
【符号の説明】
【0049】
1・・・カニューラ
2・・・円筒状部材
3・・・スリット
4,5・・・縁部
4e,5e・・・縁部のスリット端部
10・・・手術器具
11・・・手術器具の鋭利な刃
12・・・手術器具の鋭利な刃の反対側の部分
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10
【図12】
11