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明細書 :予混合燃焼装置、及び、その火炎制御方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5812388号 (P5812388)
公開番号 特開2012-225515 (P2012-225515A)
登録日 平成27年10月2日(2015.10.2)
発行日 平成27年11月11日(2015.11.11)
公開日 平成24年11月15日(2012.11.15)
発明の名称または考案の名称 予混合燃焼装置、及び、その火炎制御方法
国際特許分類 F23D  14/84        (2006.01)
F23R   3/30        (2006.01)
F23R   3/18        (2006.01)
FI F23D 14/84 Z
F23R 3/30
F23R 3/18
請求項の数または発明の数 4
全頁数 10
出願番号 特願2011-090393 (P2011-090393)
出願日 平成23年4月14日(2011.4.14)
新規性喪失の例外の表示 特許法第30条第1項適用 平成22年11月20日 第48回燃焼シンポジウム 講演論文集において発表 平成22年11月27日 第54回日本大学理工学部 学術講演会予稿集において発表
審査請求日 平成26年3月14日(2014.3.14)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】899000057
【氏名又は名称】学校法人日本大学
発明者または考案者 【氏名】田辺 光昭
【氏名】桑原 卓雄
【氏名】齊藤 允教
【氏名】井ノ上 貴明
【氏名】大鐘 主丸
【氏名】松山 明憲
個別代理人の代理人 【識別番号】100067736、【弁理士】、【氏名又は名称】小池 晃
【識別番号】100096677、【弁理士】、【氏名又は名称】伊賀 誠司
【識別番号】100106781、【弁理士】、【氏名又は名称】藤井 稔也
【識別番号】100113424、【弁理士】、【氏名又は名称】野口 信博
【識別番号】100150898、【弁理士】、【氏名又は名称】祐成 篤哉
審査官 【審査官】藤原 弘
参考文献・文献 特開2008-281314(JP,A)
特開2005-030639(JP,A)
特開平05-113213(JP,A)
特開平05-280717(JP,A)
特開平06-313539(JP,A)
米国特許第05428951(US,A)
国際公開第01/084053(WO,A1)
米国特許第04770626(US,A)
米国特許出願公開第2010/0203460(US,A1)
調査した分野 F23C 15/00
F23D 14/00
F23D 14/70
F23D 14/74
F23D 14/84
F23R 3/18
特許請求の範囲 【請求項1】
空気と燃料とを予め混合して得た予混合気を燃焼する予混合燃焼装置であって、
共鳴管により囲まれた上記予混合気の燃焼空間に火炎を挟んで対称の定在音場を形成する定在音場形成手段を備え、
上記燃焼空間において火炎に対して上記定在音場を印加することにより、上記定在音場の速度振動の腹において発生する圧力波の進行方向に対して垂直方向への二次流れと、火炎に形成される皺を用いて、火炎の保炎を行うことを特徴とする予混合燃焼装置。
【請求項2】
上記定在音場形成手段は、正対する二台のスピーカから互いに逆位相の正弦波を発生し、
上記正弦波の1/2波長で共鳴させることにより、上記共鳴管により囲まれた上記予混合気の燃焼空間に定在音場を形成することを特徴とする請求項記載の予混合燃焼装置。
【請求項3】
プロパンガスの希薄予混合気を上記共鳴管により囲まれた燃焼空間において燃焼し、155dB以上の定在音場により保炎を行うことを特徴とする請求項記載の予混合燃焼装置。
【請求項4】
空気と燃料とを予め混合して得た予混合気を燃焼する予混合燃焼装置における火炎制御方法であって、
共鳴管により囲まれた上記予混合気の燃焼空間に火炎を挟んで対称の定在音場を形成し、上記燃焼空間において火炎に対して上記定在音場を印加することにより、上記定在音場の速度振動の腹において発生する圧力波の進行方向に対して垂直方向への二次流れと、火炎に形成される皺を用いて、火炎の保炎を行うことを特徴とする火炎制御方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明はロケットエンジンやガスタービンエンジンなどの連続燃焼を行う予混合燃焼装置及び、その火炎制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ロケットエンジンやガスタービンエンジンなどでは、排出される窒素酸化物(NOx)が酸性雨や光化学スモッグ等の原因となるので、NOxを低減するために、予混合燃焼方式が採用されている。
【0003】
予混合燃焼方式は、火炎温度を抑えながら燃焼が可能なためNOxを低減できるのであるが、燃焼の安定範囲の幅が狭く、失火や逆火など不安定な燃焼が問題となる。
【0004】
火炎の吹き飛びは、予混合気の流速が燃焼速度を上回り、火炎が伝播できないために発生する現象である。したがって、吹き飛びを抑制するためには、予混合気に対し、低速の領域を形成させることが必要不可欠である。
【0005】
そこで、従来の燃焼器では、例えば、燃料と酸化剤の予混合気にスワーラで強旋回を加えることで生じる逆流領域で保炎している(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
また、アフターバーナ等では保炎器を用いて、保炎器の下流側で生じる再循環領域内で保炎をしている。
【0007】
また、火炎上流の流れ場に振動励起を与えることにより、浮き上がり噴流火炎を変化させ、噴流型燃焼器における燃焼制御を行うことが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【0008】

【特許文献1】特開平6-213445号公報
【特許文献2】特開2008-281314号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、特許文献1の開示技術のように、燃料と酸化剤の予混合気にスワーラで強旋回を加えることで生じる逆流領域で保炎するのでは、燃焼安定性が向上する一方で、未燃ガスがスワーラを通過するために、圧力損失が生じるという問題がある。圧力損失は、ガスタービン機関にとって、効率に大きく影響するため、できる限り小さい方が望ましい。
【0010】
また、保炎器を用いる場合、保炎器が火炎にさらされるため、熱による強度の低下などの熱疲労が問題となる。
【0011】
また、特許文献2の開示技術では、逆流領域を作らず、また火炎制御を目的としており、流速が速いと保炎できない。
【0012】
そこで、本発明の目的は、上述の如き従来の実情に鑑み、圧力損失を低減するとともに安定した燃焼を行うことができる予混合燃焼装置及び、その火炎制御方法を提供することにある。
【0013】
本発明の更に他の目的、本発明によって得られる具体的な利点は、以下に説明される実施の形態の説明から一層明らかにされる。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明では、火炎に直接定在音場を作用させることによって、火炎に対し乱れを与えることによって吹き飛びを抑制することで、圧力損失を抑えた燃焼を行う。
【0015】
すなわち、本発明は、空気と燃料とを予め混合して得た予混合気を燃焼する予混合燃焼装置であって、共鳴管により囲まれた上記予混合気の燃焼空間に火炎を挟んで対称の定在音場を形成する定在音場形成手段を備え、上記燃焼空間において火炎に対して上記定在音場を印加することにより、上記定在音場の速度振動の腹において発生する圧力波の進行方向に対して垂直方向への二次流れと、火炎に形成される皺を用いて、火炎の保炎を行うことを特徴とする。
【0017】
また、本発明に係る予混合燃焼装置において、上記定在音場形成手段は、例えば、正対する二台のスピーカから互いに逆位相の正弦波を発生し、上記正弦波の1/2波長で共鳴させることにより、上記共鳴管により囲まれた上記予混合気の燃焼空間に定在音場を形成する。
【0018】
さらに、本発明に係る予混合燃焼装置では、例えば、プロパンガスの希薄予混合気を上記共鳴管により囲まれた燃焼空間において燃焼し、155dB以上の定在音場により保炎を行う。
【0019】
本発明は、空気と燃料とを予め混合して得た予混合気を燃焼する予混合燃焼装置における火炎制御方法であって、共鳴管により囲まれた上記予混合気の燃焼空間に火炎を挟んで対称の定在音場を形成し、上記燃焼空間において火炎に対して上記定在音場を印加することにより、上記定在音場の速度振動の腹において発生する圧力波の進行方向に対して垂直方向への二次流れと、火炎に形成される皺を用いて、火炎の保炎を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、空気と燃料とを予め混合して得た予混合気を燃焼する予混合燃焼装置において、共鳴管により囲まれた上記予混合気の燃焼空間に火炎を挟んで対称の定在音場を形成し、火炎に直接定在音場を作用させて火炎に対し乱れを与えることによって吹き飛びを抑制することで、圧力損失を低減するとともに安定した燃焼を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明を適用した予混合燃焼装置の概略構成を示す模式図である。
【図2】定在音場の速度振動の腹に密度変化を与えることにより、圧力波の進行方向に対して垂直方向に発生する二次流れを模式的に示す図である。
【図3】上記予混合燃焼装置における火炎の浮き上がり高さ、火炎形状の変化を観測した結果を示す図である。
【図4】上記予混合燃焼装置における各周波数及び音圧での、バーナーノズル出口流速と吹き飛び時の当量比の関係を示す図である。
【図5】上記予混合燃焼装置において音圧を変えたときに保炎できる最大のバーナーノズル出口流速の観測結果を図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。

【0023】
本発明は、例えば図1に示すような構成の燃焼装置100に適用される。

【0024】
この燃焼装置100は、図1の(A)に示すように、空気と燃料とを予め混合して得た予混合気を燃焼する予混合燃焼装置であり、燃焼用空気と燃料を混合する予混合室10と、この予混合室10において燃焼用空気と燃料とを混合した予混合気を噴射するバーナーノズル20と、上記バーナーノズル20から噴射された予混合気を燃焼させる円筒状の燃焼室30を備える。

【0025】
上記予混合室10に供給される燃焼用空気と燃料の各供給路には、上記燃焼用空気と燃料の各流量を計測する流量計11,12が設けられている。

【0026】
なお、燃料用空気は、サージタンク13を介して上記予混合室10に供給されるようになっている。

【0027】
上記燃焼室30には、上記バーナーノズル20から噴射された予混合気を室内に入射させるための開口32が、その周壁31の中央底部に設けられているとともに、燃焼ガスを外部に排出させるための排気口33が、上記周壁31の中央天部に設けられている。

【0028】
ここで、図1の(A)には、上記燃焼室30の一部を長手方向に縦断して示し、また、図1の(A)における上記燃焼室30のA-A線断面図を図1の(B)に示してある。

【0029】
さらに、この予混合燃焼装置100には、上記円筒状の燃焼室30の両端に二台のスピーカ41,42が正対するように設けられている。

【0030】
上記正対する二台のスピーカ41,42は、正弦波信号発生器43から出力される正弦波信号を増幅する増幅器44を介して供給される互いに逆位相の正弦波信号によって駆動され、互いに逆位相の正弦波音響出力を発生し、上記正弦波の1/2波長で共鳴させることにより、上記円筒状の燃焼室30内に定在音場を形成する定在音場形成手段として機能する。

【0031】
すなわち、この予混合燃焼装置100において、上記定在音場形成手段は、正対する二台のスピーカ41,42から互いに逆位相の正弦波を発生し、上記正弦波の1/2波長で共鳴させることにより、上記共鳴管により囲まれた上記予混合気の燃焼空間に定在音場を形成している。また、上記円筒状の燃焼室30は、上記燃焼用空気と燃料とを混合した予混合気の燃焼空間を囲む共鳴管として機能している。

【0032】
定在音場の速度振動の腹に密度変化を与えると、図2に示すように、圧力波の進行方向に対して垂直方向に二次流れが発生する。また、強い音圧の下では音響振動により火炎に皺が形成される。

【0033】
この予混合燃焼装置100では、上記バーナーノズル20から噴射された予混合気を燃焼させる上記円筒状の燃焼室30内で火炎に対して上記定在音場を印加することにより、上記定在音場の速度振動の腹において発生する圧力波の進行方向に対して垂直方向への二次流れと、火炎に形成される皺を用いて、火炎の保炎を行うことにより、予混合火炎の吹き飛び等の不安定な燃焼を解消し、安定燃焼を実現する。

【0034】
すなわち、この予混合燃焼装置100では、二つの正対させたスピーカ41,42より正弦波を生じさせ、共鳴させることで上記燃焼室30内に定在波を生成し、この定在波を火炎に対して直接印加することで生じる二次流れによる逆流領域、及び、それに伴うしわによって火炎の吹き飛びを抑制する。

【0035】
ここで、上記予混合燃焼装置100において、燃焼用空気とプロパンガスの流量を流量計11,12で測定し、予混合室10において所定の比率で燃焼用空気と燃料とを混合した予混合気を得て、上記バーナーノズル20から噴射された予混合気を上記円筒状の燃焼室30内で燃焼させ、火炎に対して上記定在音場を印加する実験を行ったところ、次のような結果が得られた。

【0036】
実験では、上記バーナーノズル20として、内径10mm、リム厚1mmのステンレス製円管バーナを用い、常温、大気圧の下で火炎を形成させ、上記円筒状の燃焼室30として、直径267mmのステンレス製で長さ300mmと400mmの円管を用いた。二つの正対させたスピーカ41,42から、互いに逆位相となる正弦波を生じさせ、円管内で共鳴させることで定在音場を形成した。周波数は、1/2波長で共鳴するように長さ300mmの円管では約620Hz、長さ400mmの円管では約480Hzとした。燃焼中は、円管内温度が変化し音速の変化による共鳴周波数の変化が生じるので、その都度周波数を微調整した。

【0037】
そして、火炎の形成に際して、バーナリムでの保炎をさけるためにバーナーノズル出口流速を高くした。この状態では火炎が吹き飛ぶため、図1に破線で示すように直径12mmの保炎器50を用いて火炎を保炎し、次に、火炎位置と速度振動の腹が一致するように定在音場を形成し、その状態で保炎器50を外し、音場のみで保炎する状態をつくり、音圧一定の下でプロパンガスの流量を減少させ、吹き飛びが生じた時点での流量から、保炎限界の当量比を算出した。

【0038】
また、音圧はピエゾ抵抗型差圧センサ(KELLER 社製PR-10)60によって圧力振動の腹の位置で測定結果をオシロスコープ70で観測し、火炎が音場で保炎されている状態から、当量比一定の下音圧を下げていき、吹き飛びが生じた時点での音圧をオシロスコープ70を用いて読み取った。また、火炎は、図示しない高速度ビデオカメラ(株式会社ナックイメージテクノロジー社製MEMRECAM GX-8)およびスチルカメラにより撮影した。

【0039】
当量比φ=0.7、バーナーノズル出口流速Uu=36m/s、および周波数f=640Hzが一定の条件下での音圧Psの違いによる火炎の浮き上がり高さ、火炎形状の変化を観測した結果を図3に示す。図中の白線はバーナーノズル出口、白点線は共鳴管入り口、ハッチング部分は保炎器50を示している。

【0040】
音無しでは図3の(A)に示すように保炎器50がないと火炎は吹き飛ぶが、保炎器50なしで、Ps=0.8kPaの火炎では図3の(B)に示すように音圧レベルSPL=153dBの音で保炎でき、Ps=1.1kPaの火炎では図3の(C)に示すように、音圧レベルSPL=155dBの音とすることにより保炎位置はよりバーナリムへ近づき、さらに、Ps=2.0kPaの火炎は図3の(D)に示すように、音圧レベルSPL=160dBの音でバーナリムに付着した。

【0041】
したがって、音圧が高いほど、火炎基部はより上流へと移動し、より高いバーナーノズル出口流速に対しても保炎可能である。

【0042】
また、火炎形状に着目すると、Ps=0.8kPaからPs=1.1kPaまでは顕著な変化は確認できなかったが、Ps=2.0kPaの火炎は、Ps=0.8からPs=1.1kPaの火炎で確認できた下流側の輝度の低い火炎が確認できなかった。また、全ての火炎において皺が確認された。

【0043】
次に、各周波数及び音圧での、バーナーノズル出口流速と吹き飛び時の当量比の関係を図4に示す。

【0044】
流速がおよそ35m/s以下の低流量域では、高い音圧時には火炎基部がバーナノズルリムに付着した。この場合、音だけでなくリムの保炎機構が無視できなくなる可能性があるため測定対象にしていない。音圧0.8kPaに比べて1.8kPaの方が高い流速に対しても希薄燃焼が可能となった。また、f=480Hz、PS=1.8kPaにおいては、直径12mmの保炎器50と同等の吹き飛び限界が確認された。

【0045】
定在音場中の予混合火炎に皺を形成する原因はバロクリニックトルクと考えられ、次の(1)式の渦度方程式の右辺に現れる項である。

【0046】
【数1】
JP0005812388B2_000002t.gif

【0047】
ここで、ωは渦度ベクトル、ρは密度、pは圧力である。密度勾配∇ρは、周波数によらず一定と仮定し、圧力勾配∇pは以下で述べる音による圧力勾配とする。定在音場内での圧力振動は次の(2)式で表わされる。

【0048】
【数2】
JP0005812388B2_000003t.gif

【0049】
ここで,P0は圧力振幅、fは周波数、cは音速、tは時間であり、x軸はスピーカの振動面をOとして圧力波の伝播方向にとった。したがって、速度振動の腹での圧力勾配は、(2)式のPの空間勾配を取り、次の(3)式で表わされる。

【0050】
【数3】
JP0005812388B2_000004t.gif

【0051】
したがって、(1)式及び(3)式より、音圧と周波数にバロクリニックトルクは正比例する。しかし、バロクリニックトルクが火炎面に作用する時間は、周波数に反比例することより、火炎面の変形に要する時間は短くなる。そのため火炎面の変形の度合いは周波数の影響を受けないと考えられるので、吹き飛び限界は音圧P0またはその実効値PSをパラメータとすることで整理することが妥当である。

【0052】
音圧を変えたときに保炎できる最大のバーナーノズル出口流速の観測結果を図5に示す。図5に示すように、吹き飛び限界でのバーナーノズル出口流速の向上を達成するためには、より高い音圧でなければならず、その関係はほぼ比例であった。これは、図3で示した火炎の浮き上がり高さや前分析からの推定と一致する。また、周波数の違いによる吹き飛び限界時の音圧に若干の差異が確認され、620Hzに比べ480Hzの方が全体的に高い音圧でないと保炎できなかった。

【0053】
以上の実験結果からも明らかなように、この予混合燃焼装置100では、上記バーナーノズル20から噴射された予混合気を燃焼させる上記円筒状の燃焼室30内で火炎に対して上記定在音場を印加することにより、上記定在音場の速度振動の腹において発生する圧力波の進行方向に対して垂直方向への二次流れと、音による圧力勾配と燃焼による密度勾配によって生じるバロクリニックトルクに起因して火炎に形成される皺を用いて、火炎の保炎を行い、予混合火炎の吹き飛び等の不安定な燃焼を解消し、安定燃焼を実現することができる。

【0054】
すなわち、上記予混合燃焼装置100では、プロパンガスの予混合気を燃焼し、155dB以上の定在音場により保炎を行うことにより、吹き飛び限界が改善できる。具体的には、上記予混合燃焼装置100では、周波数480Hz、実効音圧1.8Kpa(SPL=159dB)の条件の下で、予混合気流速が50m/s程度の流速まで、プロパンの可燃限界付近(当量比0.5付近)まで、保炎器50なしで火炎の吹き飛びを生じさせずに保炎することができた。

【0055】
したがって、上記予混合燃焼装置100では、プロパンガスの希薄予混合気を共鳴管により囲まれた燃焼空間において燃焼し、155dB以上の定在音場により保炎を行うことにより、「低NOx化」と「安定燃焼」の両特性を確保できる。

【0056】
このように、本発明では、空気と燃料とを予め混合して得た予混合気を燃焼する予混合燃焼装置100において、共鳴管により囲まれた予混合気の燃焼空間に定在音場形成手段により定在音場を形成し、上記燃焼空間において火炎に対して上記定在音場を印加することにより、上記定在音場の速度振動の腹において発生する圧力波の進行方向に対して垂直方向への二次流れと、火炎に形成される皺を用いて、火炎の保炎を行い、圧力損失を低減するとともに安定した燃焼を行うことができる。

【0057】
なお、上記予混合燃焼装置100では、1/2波長で共鳴する共鳴管として機能する円筒状の燃焼室30内に定在音場形成手段により定在音場を形成しているが、上記燃焼室30は、円筒状である必要はなく、また、1波長や2波長で共鳴する共鳴管として機能するものであってもよい。また、上記予混合燃焼装置100では、二台のスピーカ41,42によって燃焼室30内に定在音場を生成しているが、燃焼器自身の自励振動などによって燃焼室30内に定在音場を生成する構造とすることもできる。また、音源を2つでなく多数組み合わせ、それらの配置を最適化することにより、予混合気の流速をより高速しても吹き飛び抑えることができる。また、本発明は、ガスタービンエンジン、ラムジェットエンジン、スクラムジェットエンシン等の定在火炎を用いるエンジンの燃焼器内における火炎の吹き飛びの抑制、ジェットエンジンのアフターバーナの保炎、ボイラー類、ガスコンロ等定在火炎を用いる燃焼装置全般に適用することができる。
【符号の説明】
【0058】
10 予混合室、11,12 流量計、13 サージタンク、20 バーナーノズル、30 燃焼室、31 周壁、32 開口、33 排気口、41,42 スピーカ、43 正弦波信号発生器、44 増幅器、50 保炎器、60 ピエゾ抵抗型差圧センサ、70 オシロスコープ、100 予混合燃焼装置
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4