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明細書 :乳酸エステルの合成方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5780513号 (P5780513)
公開番号 特開2012-229189 (P2012-229189A)
登録日 平成27年7月24日(2015.7.24)
発行日 平成27年9月16日(2015.9.16)
公開日 平成24年11月22日(2012.11.22)
発明の名称または考案の名称 乳酸エステルの合成方法
国際特許分類 C07C  67/00        (2006.01)
C07C  69/68        (2006.01)
B01J  23/02        (2006.01)
C07B  61/00        (2006.01)
FI C07C 67/00
C07C 69/68
B01J 23/02 Z
C07B 61/00 300
請求項の数または発明の数 5
全頁数 12
出願番号 特願2011-099962 (P2011-099962)
出願日 平成23年4月27日(2011.4.27)
新規性喪失の例外の表示 特許法第30条第1項適用 「第43回(平成22年度)日本大学生産工学部学術講演会 講演概要」(平成22年12月4日 日本大学生産工学部生産工学研究所 発行)
審査請求日 平成26年3月12日(2014.3.12)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】899000057
【氏名又は名称】学校法人日本大学
発明者または考案者 【氏名】八嶋 建明
【氏名】日秋 俊彦
【氏名】星 琢麿
個別代理人の代理人 【識別番号】110000774、【氏名又は名称】特許業務法人 もえぎ特許事務所
審査官 【審査官】土橋 敬介
参考文献・文献 特開2001-302584(JP,A)
国際公開第07/001043(WO,A1)
特開平04-077705(JP,A)
特開2004-250414(JP,A)
調査した分野 C07C 67/00
B01J 23/02
C07C 69/68
C07B 61/00
CAplus/REGISTRY(STN)
特許請求の範囲 【請求項1】
グリセリンを固体塩基触媒の存在下で、温度150~600℃、圧力2.0~200MPaの高温高圧状態のアルコールを反応媒体として乳酸エステルを合成する方法。
【請求項2】
前記グリセリンが、バイオディーゼル燃料の製造の際に副生するグリセリンであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記固体塩基触媒が、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、酸化ストロンチウムおよび酸化バリウムからなる群から選ばれる1種以上を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記アルコールが、メタノール、エタノール、イソプロパノールのうちいずれかであることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記高温高圧状態が、超臨界状態又は亜臨界状態であることを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、グリセリンを原料とする乳酸エステルの合成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、植物油を原料としたディーゼル燃料(バイオディーゼル燃料:BDF)が盛んに製造されている。これは、グリセリンのトリエステル体である油脂とアルコールとをエステル交換させることにより油脂から脂肪酸エステルを取り出し、これをディーゼル燃料とするものである。しかし、この技術によれば油脂から取り出される脂肪酸エステルをバイオディーゼル燃料として有効利用できる反面、その製造に際して副生物としてグリセリンが原料の約10%程度の重量で生成する。副生物としてのグリセリンには、触媒や未変換の脂肪酸などが混入されているため、これを有効に活用する方法は見出されていない。多くは燃料として焼却されたり、そのまま廃棄されているのが現状である。
【0003】
バイオディーゼル燃料の製造が増大するにつれて、副生するグリセリンの量も増大している。又グリセリンは、植物油脂、動物油脂等の油脂の構成物質であり自然界に豊富に含まれており、食品工業、油脂工業分野等において、各種の油脂から分離・生成され、大量に安価に入手することができる。したがって、副生物としてのグリセリンのみならず、安価に入手可能な材料であるグリセリンを有効利用することが求められている。
【0004】
従来、グリセリンの活用方法として次のような方法が提案されている。酸性油脂類及び劣化油脂類等を原料とするバイオディーゼル燃料の製造方法として、副生するグリセリン及びグリセリン誘導体を酸で中和し更に蒸留、比重分離操作等により精製する方法(特許文献1)が提案されている。
【0005】
油脂からアルカリ触媒の存在下にエステル交換してバイオディーゼル燃料を製造する際に副生するグリセリン、又は植物油脂、動物油脂から化学的に合成されたグリセリンを、アルカリ性条件下で、水熱反応させて乳酸を製造する方法(特許文献2、非特許文献1)が提案されている。
【0006】
更に、動植物油脂廃棄物からアルカリ触媒を用いてバイオディーゼル燃料を製造する際に副生するグリセリンを、酸を用いて酸性としたのち超臨界水を作用させ、グリセリンを脱水反応させアクロレインを製造する方法(特許文献3)も検討されている。
【0007】
しかし、特許文献1のグリセンリンの精製方法では、精製するのに費用がかかり、又得られるグリセリンの純度が必ずしも高くできないため商用に適さないという問題があった。特許文献2、非特許文献1のアルカリ水熱法では過剰量のアルカリを必要とするため、反応装置の腐食や廃液処理などの問題があった。更に、特許文献3の方法は、原料グリセリンを酸性下で超臨界水を媒体として反応を行うもので、反応装置の腐食や廃液処理などの問題があった。
【0008】
一方、乳酸は、カーボンニュートラルな生分解性プラスチック材料であるポリ乳酸の原料モノマーとして使用されている。ポリ乳酸は、生分解性プラスチック材料であるため、廃棄物処理問題の解決策の一つとして、又生物由来であるため、石油資源の節約およびCO2発生量の削減等の効果が注目され、使用量も増大しており今後も需要の増大が見込まれる。ここで、ポリ乳酸の原料モノマーとなる乳酸の形態でなく乳酸エステルの形態であっても、乳酸エステルを加水分解反応により簡単に乳酸へと転化できるので、乳酸エステルが製造できても、実質的に乳酸の製造と同等であるので有意義である。
【0009】
このため、バイオディーゼル燃料の製造の際に副生するグリセリンを始めとし、各種の油脂から分離・生成されるグリセリンから、ポリ乳酸の原料モノマーとなる乳酸エステルを反応装置の腐食や廃液処理の問題なく簡便に製造することができれば、バイオディーゼル燃料の製造プロセスを評価する上でも、副生グリセリンの有効活用策として有用であり、製造技術の確立が望まれている。
【先行技術文献】
【0010】

【特許文献1】特開2005-350631号公報
【特許文献2】国際公開第2007/001043号パンフレット
【特許文献3】特開2011-12007号公報
【0011】

【非特許文献1】岸田央範外,化学工学論文集,Vol.32,No.6,pp.535-541(2006)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、バイオディーゼル燃料の製造の際に副生するグリセリンを始めとし、各種の油脂から分離・生成されるグリセリンを用いて、安価で工業的な需要が見込まれる乳酸エステルを反応装置の腐食や廃液処理の問題なく簡便に製造する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、従来用いられていたアルカリや酸を用いることなく、固体塩基触媒を用いることとし、更にグリセリンの粘性が高く、触媒表面の物質拡散係数が小さいため反応性が低下するのを、高温高圧状態のアルコールを反応媒体として用いることで緩和し、上記課題を解決できることを見出した。
【0014】
そして、本発明者らは、高温高圧状態のアルコールを反応媒体として用いることで、グリセリンから固体塩基触媒の作用を利用して一段で乳酸エステルを合成する方法を発明するに至った。
【0015】
即ち、本発明は、
[1] グリセリンを固体塩基触媒の存在下で、高温高圧状態のアルコールを反応媒体として乳酸エステルを合成する方法。
[2] 前記グリセリンが、バイオディーゼル燃料の製造の際に副生するグリセリンであることを特徴とする上記[1]に記載の方法。
[3] 前記固体塩基触媒が、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、酸化ストロンチウムおよび酸化バリウムからなる群から選ばれる1種以上を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
[4] 前記アルコールが、メタノール、エタノール、イソプロパノールのうちいずれかであることを特徴とする上記[1]~[3]のいずれかに記載の方法。
[5] 前記高温高圧状態が、超臨界状態又は亜臨界状態であることを特徴とする上記[1]~[4]のいづれかに記載の方法。
【発明の効果】
【0016】
本発明により、バイオディーゼル燃料の製造の際の副生物、及び食品工業、油脂工業分野等から廃棄されるグリセリンを原料として、乳酸エステルをグリーンプロセスにより、アルカリ、酸を用いることなく製造することができる。また、高温高圧状態のアルコールを用いることで、反応装置の腐食などを防止でき、安価な反応装置とすることができ、又固体塩基触媒を用いることで、生成物、触媒の後処理が容易にできる。反応として、グリセリンから乳酸エステルへの転換反応に要する時間は短時間であり、又反応副生成物が極めて少ない。生成物としての乳酸エステルを加水分解反応により乳酸を簡単に製造できるので有用なポリ乳酸の原料とでき、更に溶剤、工業用原材料とすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】実施例1の反応時間60分での生成物を示すガスクロマトグラムである。
【図2】実施例1の反応時間60分での生成物である乳酸メチルと標準物質が示すマススペクトルである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明において原料として用いるグリセリンは、いかなる由来、方法により製造されたものでも用いることができる。なかでもバイオディーゼル燃料の製造の際に副生するグリセリン、植物油脂、動物油脂等から製造されたものを出発原料とすることが好ましい。特に、副生物の有効利用の観点から、バイオディーゼル燃料の製造の際に生じたグリセリン含有廃液を原料とすることがより好ましい。

【0019】
本発明において用いる固体塩基触媒とは、金属酸化物、金属塩、担持塩基、複合酸化物、ゼオライトなどのうちで表面塩基性を示す固体である。例えば、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、酸化バリウム、酸化ランタン、酸化セリウム、水酸化カルシウム、水酸化ストロンチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸水素カリウム、酸化ケイ素-酸化マグネシウム複合酸化物、酸化ケイ素-酸化カルシウム複合酸化物、酸化ケイ素-酸化ストロンチウム複合酸化物、Naイオン交換X型ゼオライト、Kイオン交換Y型ゼオライトが挙げられる。

【0020】
この中でも、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、酸化ストロンチウムおよび酸化バリウムからなる群から選ばれる1種以上を含む触媒が好ましい。なかでもアルカリ土類金属酸化物を用いることがより好ましい。更に、層状複水酸化物(ハイドロタルサイト)、ゼオライト(K-Y)や、通常用いられる担体に酸化カルシウム、酸化マグネシウム等を担持させてもよい。担体としては無機多孔質坦体で中性または塩基性のものであれば用いることができる。例えば、アルミナ、珪藻土等が例示できる。

【0021】
層状複水酸化物の代表例としてハイドロタルサイト類がある。ハイドロタルサイト類の一般式は[M2 +1-X 3+X(OH)2] [An-X /n・mH2O] で表わされる。
(ただし、M2+は2価の金属イオン、M3+は3価の金属イオン、An-X /nは層間陰イオンである。)
ハイドロタルサイト類化合物は、層状粘土鉱物であり全体としては正の電荷を有するが層間および表面にアニオンが吸着する特質を持っており、表面のOH-、CO32-が塩基として機能する。

【0022】
固体塩基触媒は、従来から公知の合成法により製造することができる。例えば、ゾル・ゲル法、共沈法、含浸法、尿素法等が例示される。固体塩基触媒の使用量は、グリセリン1重量部に対して0.001重量部から1重量部が好ましく、さらに0.1重量部から1重量部がより好ましい。

【0023】
本発明においては、固体塩基触媒を用いているので、反応系から触媒を分離する後処理が容易である。即ち、固体触媒であるため濾過により容易に回収でき、また触媒活性の低下が少なく再使用が可能である。本固体塩基触媒には有害な金属等を用いておらず、安全で安価で高選択性を有する触媒系である。

【0024】
本発明でいう高温高圧状態のアルコールとは、アルコールの超臨界状態、亜臨界状態にあることをいう。即ち、超臨界状態のアルコールとは、反応系内の温度が臨界温度(Tc)以上でかつ圧力が臨界圧力(Pc)以上の状態をいい、亜臨界状態とは、臨界点の近傍であって、臨界点より低い温度および圧力にあり、かつ臨界状態に準じる性質を有する状態である。具体的には、亜臨界状態アルコールとは、反応系内の温度がアルコールの沸点以上で、かつ概ね150℃以上であり、かつ圧力が反応温度におけるアルコールの蒸気圧以上で、かつ概ね2.0MPa以上の状態をいう。

【0025】
本発明において高温高圧状態のアルコール、即ち超臨界状態、亜臨界状態のアルコールとするには、少なくとも温度150~600℃、圧力2.0~200MPaの範囲の温度、圧力で適切な範囲に調節すればよい。温度は好ましくは、200~400℃、圧力は10~20MPaとするのがよい。

【0026】
本発明において反応媒体として用いるアルコールは、1価アルコールならば特に限定されない。例えば、メタノール、エタノール、n-プロピルアルコール、イソプロパノール、n-ブタノール、イソブタノール、t-ブタノールなどが挙げられる。なかでも、メタノール、エタノール、イソプロパノール、イソブタノールが好ましく、より好ましくは、メタノール、エタノール、イソプロパノールである。これらアルコールの臨界温度(Tc)、臨界圧力(Pc)を表1に示す。

【0027】
【表1】
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【0028】
本発明において高温高圧状態のアルコールを反応媒体として用いることで、原料グリセリンの粘性が高く、触媒表面の物質拡散係数が小さくても、反応性の低下がなく反応を行うことができる。また、反応媒体としてのアルコール類は腐食性が低く、また固体塩基触媒を用いることにより、従来高温高圧の水を反応媒体として用いる際に必要であったアルカリ、酸を用いることなく、反応を進めることができる。これにより、反応装置としての反応器および周辺機器の材料に耐腐食性の高い材料を用いる必要がなく、安価なものとすることができる。

【0029】
本発明におけるグリセリンから乳酸エステルを形成する反応機構は、高温高圧状態下でのアルコールを反応媒体としたグリセリンの脱水素反応および生成した乳酸とアルコールとのエステル化反応である。例えば、メタノールを反応媒体としたときには、次に示す反応が一段で起こる。

【0030】
【化1】
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【0031】
本発明における反応装置は、回分式反応装置または連続式反応装置を用いることができる。連続式では、例えば固定床流通式反応装置、流動床式反応装置などを用いることができる。

【0032】
本発明において、反応生成物の乳酸エステルは生成系からの分離精製として従来から存在している分離技術を用いて簡単に分離することができる。例えば、蒸留法を用い分離することができる。又分離回収された乳酸エステルは、加水分解反応により容易に乳酸へと転換でき、同時にアルコールも回収することができる。回収されたアルコールは繰り返し反応媒体として用いることができる。

【0033】
本発明において生成するアルキル乳酸エステルは、加水分解反応により乳酸へと転換でき、ポリ乳酸の原料モノマーとして有用であるだけでなく、そのままで高沸点溶剤、洗浄剤、合成原料としても利用できる。
【実施例】
【0034】
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はそれに限定されるものではない。
【実施例】
【0035】
<反応手順>
実験に用いた回分式反応管は、SUS316製、内容積10cm3、最高使用条件は、温度537 ℃、圧力35MPaである。反応管にグリセリン約0.1~3gとアルコール約1~6gを重量比で約1:30で、触媒0.10gを仕込み、密閉した後、所定温度に設定した金属溶融塩浴に投入することで反応を開始させた。温度は250~400℃、圧力は4~30 MPa、反応時間は0.5~24時間(昇温時間約1分を含む)に設定した。所定時間経過後、金属溶融塩浴から反応管を引き上げ、冷水浴で急冷し、反応を停止させた。その後回収液中に内部標準物質として1,4-ジオキサンを添加したのち、生成物について下記分析手段により定性・定量分析を行った。
【実施例】
【0036】
<分析手段(GC/MS)>
島津製作所社製ガスクロマトグラフ/質量分析装置GC/MS(GCMS-QP2010)、同ガスクロマトグラフ/水素炎イオン化検出器GC/FID(GC-2010)により生成物の定性、定量分析を行なった。カラムは島津ジーエルシー株式会社製DB-5を用い、注入量は、1.0μL、気化室温度を250℃、カラムオーブン温度を40℃に設定し、カラム温度は40℃で5minホールドし、10℃/minの速度で150℃まで昇温させ5minホールドし分析した。目的生成物と思われるピークの保持時間と標準物質のものとが一致することを確かめたのち、当該ピーク部分をマススペクトルで分析し、主たる部分の分子量および分解物のパターンが、標準物質のものと一致することで定性分析を行った。定量分析には、1,4-ジオキサンを内部標準物質とする内部標準法を用いた。
【実施例】
【0037】
[実施例1]
反応管に、グリセリン0.12gと溶媒としてメタノール3.57gを、触媒としてCaO/Al23(担持率80wt%、アルミニウムトリイソプロキシド(和光純薬工業製)および硝酸カルシウム(和光純薬工業製)を用い硝酸(和光純薬工業製)でpHを調整し、ゾル・ゲル法により調製)0.10gを充填し、反応管内の空気を窒素ガスで置換した後、反応管を密封した。反応条件は、反応温度300℃、反応圧力20MPa、反応時間30分~150分で行った。反応時間とその時の収率を表2に示す。反応生成物を定性分析、定量分析したクロマトグラムおよびマススペクトルの結果を図1、2に示す。図1は、反応時間60分の生成物資料のGCクロマトグラムであり、横軸は保持時間である。図2は、生成物試料(上段)と標準物質としての純物質乳酸メチルエステル(下段)についてのマススペクトルであり、横軸は分子量を示している。以上の結果から乳酸メチルエステルが生成しているのが確認できた。
【実施例】
【0038】
収率の算出は、次の式による。
乳酸エステルの収率(mol%)
=反応生成物の量(mol)/仕込みグリセリン量(mol)×100

内部標準法として、1,4-ジオキサンを内標準物質として標準試料に添加し、内標準物質と標準試料の面積比(標準試料のピーク面積/内標準物質のピーク面積)と濃度比(標準試料の濃度/内標準物質の濃度)との関係を検量線として作成した。検量線は原点を通る直線となり、その傾きから相対モル感度0.2857を得た。各実験終了後、精秤した1,4-ジオキサンを生成物中に加え、ガスクロマトグラフで得られたクロマトグラムにおける内標準物質と乳酸メチルのピーク面積比と相対モル感度より、乳酸メチルの生成量を求めた。
【実施例】
【0039】
【表2】
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【実施例】
【0040】
[実施例2]
実施例1において、触媒をCaO/Al23に変えてMgO/Al23(担持率80wt%、アルミニウムトリイソプロキシド(和光純薬工業製)および硝酸マグネシウム(和光純薬工業製)を用い硝酸(和光純薬工業製)でpHを調整し、ゾル・ゲル法により調製)を用い、反応条件は、反応時間20分~100分で行った。それ以外は、実施例1と同じ条件で行った。反応時間とその時の収率を表3に示す。
【実施例】
【0041】
【表3】
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【実施例】
【0042】
[実施例3]
実施例1において、触媒をCaO/Al23に変えてMgO(触媒学会参照触媒、JRC-MGO-500A)を用い、反応条件は、反応時間30分~90分で行った。それ以外は、実施例1と同じ条件で行った。反応時間とその時の収率を表4に示す。
【実施例】
【0043】
【表4】
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【実施例】
【0044】
[実施例4]
実施例1において、触媒をCaO/Al23に変えてMgO(和光純薬工業製)を用い、反応条件は、反応時間30分~90分で行った。それ以外は、実施例1と同じ条件で行った。反応時間とその時の収率を表5に示す。
【実施例】
【0045】
【表5】
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【実施例】
【0046】
[実施例5]
実施例1において、触媒をCaO/Al23に変えてMgO(和光純薬工業製)を用い、反応条件は、反応温度270℃、反応時間60分~90分で行った。それ以外は、実施例1と同じ条件で行った。反応時間とその時の収率を表6に示す。
【実施例】
【0047】
【表6】
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【実施例】
【0048】
[実施例6]
実施例1において、触媒をCaO/Al23に変えてCaO(和光純薬工業製)を用い、反応条件は、反応時間60分~180分で行った。それ以外は、実施例1と同じ条件で行った。反応時間とその時の収率を表7に示す。
【実施例】
【0049】
【表7】
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【実施例】
【0050】
[実施例7]
実施例1において、触媒をCaO/Al23に変えてBaO/Al23(担持率80wt%、アルミニウムトリイソプロキシド(和光純薬工業製)および硝酸バリウム(和光純薬工業製)を用い硝酸(和光純薬工業製)でpHを調整し、ゾル・ゲル法により調製)を用い、反応条件は、反応時間30分~90分で行った。それ以外は、実施例1と同じ条件で行った。反応時間とその時の収率を表8に示す。
【実施例】
【0051】
【表8】
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【実施例】
【0052】
[実施例8]
反応管に、グリセリン0.12gと溶媒としてメタノール3.57gを、触媒としてハイドロタルサイト(硝酸マグネシウム(和光純薬工業製)と硝酸アルミニウム(和光純薬工業製)のモル比3:1の水溶液中に、水酸化ナトリウム(和光純薬工業製)と炭酸ナトリウム(和光純薬工業製)を加える共沈法で調製)0.10gを充填し、反応管内の空気を窒素ガスで置換した後、反応管を密封した。反応条件は、反応温度300℃、反応時間90分で行った。その時の収率は、1.5mol%であった。
【実施例】
【0053】
[実施例9]
実施例8において、反応溶媒をメタノールに変えてエタノールを用いた以外は、実施例8と同じ条件で行った。この反応では乳酸エチルが2.37mol%の収率で得られた。
【実施例】
【0054】
[実施例10]
実施例8において、反応溶媒をメタノールに変えてイソプロパノールを用いた以外は、実施例8と同じ条件で行った。この反応では乳酸イソプロピルが2.35mol%の収率で得られた。
【実施例】
【0055】
[比較例1]
反応管に、グリセリン0.12gと溶媒として超純水3.57gを、触媒としてMgO(触媒学会参照触媒、JRC-MGO-500A)を0.10gを充填し、反応管内の空気を窒素ガスで置換した後、反応管を密封した。反応条件は、反応温度300℃、反応圧力8.59MPa、反応時間90分で行った。この反応では乳酸及びその誘導体の生成は確認できなかった。
【実施例】
【0056】
実施例1~8によれば、各種固体塩基触媒を用いて乳酸エステルの合成をすることができた。反応時間の経過とともに収率が高くなっていることが解る。また実施例9、10によれば、反応溶媒としてエタノール、イソプロパノールを用いて乳酸エステルの合成をすることができた。しかし、比較例1に示すとおり超臨界水を用いても乳酸及びその誘導体の生成は確認できなかった。
【産業上の利用可能性】
【0057】
バイオディーゼル燃料の製造の際の副生物、及び食品工業、油脂工業分野等から廃棄されるグリセリンを原料として、乳酸エステルをグリーンプロセスである固体塩基触媒の存在下で、高温高圧状態のアルコールを用い、アルカリ、酸を用いることなく製造することができる。生成物の乳酸エステルは化学的に安定であり、加水分解により容易に乳酸へ転化できるだけでなく、高沸点溶剤、洗浄剤などの各種原料といて用いることができる。
図面
【図1】
0
【図2】
1