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明細書 :プラズマ光源及びプラズマ光発生方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5515040号 (P5515040)
登録日 平成26年4月11日(2014.4.11)
発行日 平成26年6月11日(2014.6.11)
発明の名称または考案の名称 プラズマ光源及びプラズマ光発生方法
国際特許分類 H05G   2/00        (2006.01)
H01L  21/027       (2006.01)
FI H05G 1/00 K
H01L 21/30 531S
請求項の数または発明の数 7
全頁数 11
出願番号 特願2011-501691 (P2011-501691)
出願日 平成22年3月1日(2010.3.1)
国際出願番号 PCT/JP2010/053213
国際公開番号 WO2010/098483
国際公開日 平成22年9月2日(2010.9.2)
優先権出願番号 2009047294
優先日 平成21年2月27日(2009.2.27)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成25年2月6日(2013.2.6)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】899000057
【氏名又は名称】学校法人日本大学
発明者または考案者 【氏名】浅井 朋彦
【氏名】岸 香織
【氏名】板垣 宏知
【氏名】沼澤 廣斗
【氏名】寺嶋 悠紀
個別代理人の代理人 【識別番号】100124257、【弁理士】、【氏名又は名称】生井 和平
審査官 【審査官】後藤 順也
参考文献・文献 特開昭63-211598(JP,A)
特開2006-310101(JP,A)
米国特許第4363776(US,A)
粟根毅他,スフェロマックプラズマ衝突時における真空紫外光強度分布,平成21年度日本大学理工学部学術講演予稿集,2010年 1月22日,第1268-1269頁
調査した分野 H05G 2/00
JSTPlus(JDreamIII)
特許請求の範囲 【請求項1】
光を放出するプラズマ光源であって、該プラズマ光源は、
内部導体と、内部導体に同軸状に配置され一端が開放される筒状の外部導体と、外部導体の周囲に巻かれるバイアスコイルと、内部導体と外部導体との間に電源を供給する電源回路と、をそれぞれ有するスフェロマックを生成する一対の磁化同軸ガンであって、一対の磁化同軸ガンの中心軸が一致し外部導体の開放端が対向するように配置される、一対の磁化同軸ガンと、
前記一対の磁化同軸ガンの外部導体の開放端がそれぞれ結合される対向する一対のガン結合開口部と、光を取り出す窓部とを有する磁束保持容器と、
を具備することを特徴とするプラズマ光源。
【請求項2】
請求項1に記載のプラズマ光源において、前記一対の磁化同軸ガンは、それぞれ生成されるスフェロマックのトロイダル方向の磁界の方向が逆になり、ポロイダル方向の磁界の方向が同じ又は逆になるように、バイアスコイルと電源回路により制御されることを特徴とするプラズマ光源。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のプラズマ光源において、前記一対の磁化同軸ガンの電源回路は、連続パルス信号を内部導体と外部導体との間に印加することを特徴とするプラズマ光源。
【請求項4】
中心軸が一致するように外部導体の開放端が対向配置される一対の磁化同軸ガンの開放端を、それぞれ磁束保持容器の一対のガン結合開口部に接続し、
一対の磁化同軸ガンによって生成されるスフェロマックをそれぞれ磁束保持容器内へ放出して衝突させて光を発生させる、
ことを特徴とするプラズマ光発生方法
【請求項5】
請求項4に記載のプラズマ光発生方法において、発生される光は紫外光であることを特徴とするプラズマ光発生方法。
【請求項6】
請求項4又は請求項5に記載のプラズマ光発生方法において、前記一対の磁化同軸ガンによってそれぞれ生成されるスフェロマックは、トロイダル方向の磁界は方向が逆でありポロイダル方向の磁界は方向が同じ又は逆であることを特徴とするプラズマ光発生方法。
【請求項7】
請求項4乃至請求項6の何れかに記載のプラズマ光発生方法において、前記一対の磁化同軸ガンは、連続パルス信号が印加されることを特徴とするプラズマ光発生方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、プラズマ光源及びプラズマ光発生方法に関し、特に、磁化同軸ガンを用いたプラズマ光源及びこれを用いたプラズマ光発生方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体集積回路の製造等に用いる縮小露光装置等の光源として、プラズマ光源が用いられている。プラズマ光源は、高温高密度のプラズマを生成して紫外光を発生させることができるが、高温になるため、装置内の部品等の蒸発によって発生するデブリ(有害塵)が、放射される光の透過の妨げになる等の問題がある。そのため、例えば特許文献1では、デブリ防止手段を施したプラズマ光源が提案されている。
【0003】
図1は、特許文献1に開示のプラズマ光源の構成を示す図であり、図1(a)はプラズマ光源の軸方向の断面図であり、図1(b)は図1(a)のb-b断面図である(外囲円筒54は省略してある)。図示の通り、特許文献1に開示のプラズマ光源は、キャピラリ構造体52、仕切り円筒53、外囲円筒54、電源55で主に構成されている。キャピラリ構造体52は、円筒状の構造体であり、仕切り円筒53内に配置されている。キャピラリ構造体52の同心円上に、キャピラリ(直径3mm程の貫通孔)521が多数形成されている。キャピラリ構造体52の軸は、モータ(図示せず)により駆動される回転軸522に取り付けられている。図示の通り、仕切り円筒53は、外囲円筒54内を仕切るように配置されている。仕切り円筒53には、1つの貫通孔が設けられている。また、仕切り円筒53内外には、キャピラリ構造体52を挟むように電極511及び電極512が設けられている。電極511及び電極512にも貫通孔が設けられている。仕切り円筒53、電極511及び電極512の貫通孔の中心は、任意のキャピラリ521の軸と略一致するように設けられている。外囲円筒54は、ガス導入口541及び排気口542が設けられている。ガス導入口541から仕切り円筒53内へプラズマ生成用ガスが導入され、排気口542から排気される。電源55は、電極511,512へ放電電圧を印加するものである。仕切り円筒53内に導入されたガスは、電極511,512の間のキャピラリ521内での放電により、プラズマが生成され紫外光を発生する。その際、キャピラリ構造体52は、例えば1回の放電毎に回転し、電極511,512の間には次のキャピラリ521が対向するように駆動される。キャピラリ構造体52は、放電毎に回転して放電に係わるキャピラリ521を変えるように構成されているため熱負荷を分散でき、キャピラリ521からデブリが発生するのを防止できる。
【0004】
このように構成された特許文献1に記載のプラズマ光源は、プラズマの生成にキャピラリ構造体を用い、デブリを防止するためにキャピラリ構造体を回転しなければなない。したがって、キャピラリ構造体の駆動装置やその制御装置が必要となり、構造が複雑になる。
【0005】
このような複雑な構造が不要なものとして、本願と同一出願人による特許文献2に記載の磁化同軸ガンがある。
【0006】
図2は、特許文献2の磁化同軸ガンを説明するための図であり、図2(a)は磁化同軸ガンの中心軸方向の断面図であり、図2(b)は図2(a)のb-b側面図であり、図2(c)はスフェロマックの概略斜視図である。図示の通り、磁化同軸ガンMGは、内部導体61、円筒状の外部導体62、バイアスコイルBMからなる。また、内部導体61と外部導体62は、同軸状に配置されている。内部導体61には、中空部611が形成されており、中空部611から外部導体62内にプラズマ生成用ガス(例えばヘリウムガス、アルゴンガス等)が導入される。外部導体62の内面には、リング状の凸部621が形成されている。バイアスコイルBMは、直流バイアス磁界を発生するソレノイドコイルであり、外部導体62の周囲に巻かれている。外部導体62の一端は、絶縁部材63によって仕切られ、他端は開放されている。内部導体61と外部導体62には、例えばクローバ回路からなる電源(放電電源)64が接続される。直流バイアスコイルBMは、直流電源(図示せず)により磁界Bが発生するように励磁される。内部導体61と外部導体62にクローバ回路から放電信号を印加すると、内部導体61と外部導体62の凸部621の間に放電電流が流れ、プラズマPが生成される。プラズマPは、自身の放電電流と、その電流により発生する磁界によって生じるローレンツ力とによって、開放端側へ加速される。その際、プラズマPは、自身の放電電流により発生させられる磁界とバイアスコイルBMにより発生させられる磁界Bとによって、トロイダル方向の磁界とポロイダル方向の磁界に閉じ込められた状態となる。この状態のプラズマPは、開放端まで進むとドーナツ状のスフェロマックSMとなって高速度で開放端から放出される。なお、外部導体62の凸部621を設けない場合であってもプラズマPは発生するが、凸部621を設けることにより、放電が凸部621の部分に集中して起こるため、プラズマPを安定的に発生させて開放端側へ送り出すことが可能である。
【0007】
図2(c)に示されるように、スフェロマックSMは、プラズマPがトロイダル方向の磁界Btとポロイダル方向の磁界Bpに閉じ込められた状態のプラズマ塊である。トロイダル方向の磁界Btとポロイダル方向の磁界Bpの方向は、内部導体61と外内部導体62に印加する電源の極性とバイアスコイルBMにより発生させられる磁界の極性によって決定される。
【先行技術文献】
【0008】

【特許文献1】特開2003-288998号公報
【特許文献2】特開2006-310101号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献2の磁化同軸ガンでは、紫外光域の光の放出が十分でなかった。したがって、半導体の製造工程において今後利用され得るEUV(極端紫外線)光源として磁化同軸ガンを用いることは難しかった。このため、紫外光域においても輝度の高い光を放出するプラズマ光源の開発が望まれていた。
【0010】
本発明は、斯かる実情に鑑み、特に紫外光域においても高輝度な光を発生可能なプラズマ光源及びプラズマ光発生方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した本発明の目的を達成するために、本発明のプラズマ光源は、内部導体と、内部導体に同軸状に配置され一端が開放される筒状の外部導体と、外部導体の周囲に巻かれるバイアスコイルと、内部導体と外部導体との間に電源を供給する電源回路と、をそれぞれ有するスフェロマックを生成する一対の磁化同軸ガンであって、一対の磁化同軸ガンの中心軸が一致し外部導体の開放端が対向するように配置される、一対の磁化同軸ガンと、一対の磁化同軸ガンの外部導体の開放端がそれぞれ結合される対向する一対のガン結合開口部と、光を取り出す窓部とを有する磁束保持容器と、を具備するものである。
【0012】
ここで、一対の磁化同軸ガンは、それぞれ生成されるスフェロマックのトロイダル方向の磁界の方向が逆になり、ポロイダル方向の磁界の方向が同じ又は逆になるように、バイアスコイルと電源回路により制御されれば良い。
【0013】
また、一対の磁化同軸ガンの電源回路は、連続パルス信号を内部導体と外部導体との間に印加するようにしても良い。
【0014】
また、本発明のプラズマ光発生方法は、中心軸が一致するように外部導体の開放端が対向配置される一対の磁化同軸ガンの開放端を、それぞれ磁束保持容器の一対のガン結合開口部に接続し、一対の磁化同軸ガンによって生成されるスフェロマックをそれぞれ磁束保持容器内へ放出して衝突させて光を発生させるものである。
【0015】
ここで、発生される光は紫外光であっても良い。
【発明の効果】
【0016】
本発明のプラズマ光源及びプラズマ光発生方法には、特に紫外光域においても高輝度な光を発生可能であるという利点がある。また、デブリについても低減可能であるという利点もある。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、従来のプラズマ光源の構成を説明するための図である。
【図2】図2は、従来の磁化同軸ガンの構成を説明するための図である。
【図3】図3は、本発明のプラズマ光源の構成を説明するための図である。
【図4】図4は、本発明のプラズマ光源と、単体の磁化同軸ガンを用いたプラズマ光源とを比較した発光波長分布特性を表すグラフである。
【図5】図5は、本発明のプラズマ光源の電源回路の連続パルス信号のデューティ比を変えたときの電源回路の放電電流出力の時間変化を表すグラフである。
【図6】図6は、本発明のプラズマ光源において、電源回路の出力のデューティ比を変化させたときの発光強度の時間変化特性を表すグラフである。
【図7】図7は、本発明のプラズマ光源の一対の同軸磁化ガンのポロイダル方向の磁界の方向の違いによる発光特性を説明するためのグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を実施するための形態を図示例と共に説明する。図3は、本発明のプラズマ光源の構成を説明するための図であり、図3(a)はプラズマ光源の中心軸方向の断面図であり、図3(b)は図3(a)のb-b断面図であり、図3(c)はスフェロマックの概略斜視図である。図示の通り、本発明のプラズマ光源は、一対の磁化同軸ガンMG1,MG2と、磁束保持容器3とから主に構成されている。

【0019】
以下、一対の磁化同軸ガンMG1,MG2の説明をするにあたり、基本的な構成は共通であるため、参照符号は磁化同軸ガンMG1のものを用いて説明し、磁化同軸ガンMG2のものは括弧書きで示す。スフェロマックを生成する磁化同軸ガンMG1(MG2)は、内部導体11(21)と、外部導体12(22)と、バイアスコイルBM1(BM2)と、電源回路14(24)とから主に構成されている。外部導体12(22)は、内部導体11(21)に同軸状に配置されるものであり、一端が開放される筒状のものである。なお、開放端の他端は、絶縁部材13(23)で仕切られている。また、バイアスコイルBM1(BM2)は、外部導体12(22)の周囲に巻かれるものである。バイアスコイルBM1(BM2)は、直流バイアス磁界を外部導体12(22)の内部に提供するものである。電源回路14(24)は、内部導体11(21)と外部導体12(22)との間に電源を供給するものである。ここで、電源回路14(24)は、例えばコンデンサを用いて構成されるものであり、電源回路14(24)の出力は、例えばコンデンサの直流的な放電電圧やそのときに導体間に流れる放電電流である。

【0020】
また、このようにそれぞれ構成された一対の磁化同軸ガンMG1,MG2を、一対の磁化同軸ガンMG1,MG2の中心軸が一致し、外部導体12,22の開放端が対向するように配置されている。

【0021】
そして、磁束保持容器3は、対向する一対のガン結合開口部31,32と、窓部33とを有するものである。より具体的には、図示例の磁束保持容器3は、例えば円筒状の金属容器であり、一対のガン結合開口部31,32が円筒の側面部に設けられ、窓部33が円筒の頂部に設けられている。また、対向する一対のガン結合開口部31,32の中心軸は、磁束保持容器3の中心軸と一致していることが好ましい。一対のガン結合開口部31,32には、一対の磁化同軸ガンMG1,MG2の外部導体12,22の開放端がそれぞれ結合される。窓部33は、発生する光を取り出す部分である。なお、図示例では窓部33は1個のものを示したが、本発明はこれに限定されず、窓部は複数設けられても良い。また、磁束保持容器3についても、円筒状のものに限定されるものではなく、例えば4角形、6角形等の筒状体であっても良いし、円球状体、楕円球状体等の球体であっても良い。また、ガン結合開口部31,32についても、図示例のようにスリーブ状のものには限定されず、単に磁束保持容器の側面部に開口が開けられたものであっても良い。

【0022】
ガン結合開口部31,32には、一対の磁化同軸ガンMG1,MG2の外部導体12,22の開放端がそれぞれ結合されている。即ち、一対の磁化同軸ガンMG1,MG2は、磁束保持容器3を挟んで対向する位置関係にある。

【0023】
このように構成された本発明のプラズマ光源を用いて、プラズマ光を発生させる過程を説明する。まず、プラズマ生成ガス(例えばヘリウムガス、アルゴンガス等)が、内部導体11(21)の例えば中空部111(211)から外部導体12(22)内に導入される。電源回路14(24)により内部導体11(21)と外部導体12(22)との間に電源が供給される。そして、バイアスコイルBM1,BM2は、直流電源(図示せず)により、例えば図示のように同方向の磁場B1,B2を発生するように励磁される。

【0024】
磁化同軸ガンMG1(MG2)の内部導体11(21)と外部導体12(22)に、電源回路14(24)のコンデンサの放電電圧を印加すると、内部導体11(21)と外部導体12(22)の間に放電電流が流れ、プラズマP1(P2)が生成される。プラズマP1(P2)は、自身の電流と、その電流により発生する磁界によって、外部導体12(22)の開放端側へローレンツ力により加速される。その際、プラズマP1(P2)は、プラズマP1(P2)の放電電流による磁界と、バイアスコイルBM1(BM2)による磁場B1(B2)とによって、トロイダル方向の磁界とポロイダル方向の磁界に閉じ込められた状態となる。したがって、プラズマP1(P2)は、開放端まで進むとドーナツ状のスフェロマックSM1(SM2)となって磁束保持容器3内へ高速度で放出される。図3(c)に示されるように、放出されたスフェロマックSM1(SM2)は、プラズマP1(P2)がトロイダル方向の磁界Bt1(Bt2)とポロイダル方向の磁界Bp1(Bp2)に閉じ込められた状態のプラズマ塊である。

【0025】
ここで、図3(c)に示されるように、スフェロマックSM1とスフェロマックSM2について見ると、トロイダル方向の磁界Bt1,Bt2は方向が逆になるが、ポロイダル方向の磁界Bp1,Bp2は、バイアスコイルBM1,BM2により同方向の磁場B1,B2が与えられると、方向が同じになる。即ち、本発明のプラズマ光源において、磁化同軸ガンMG1,MG2は、例えばトロイダル方向の磁界は方向が逆でありポロイダル方向の磁界は方向が同じであるスフェロマックを生成するように構成する場合には、内部導体11,21と外部導体12,22間には逆方向の電源を供給し、バイアスコイルBM1,BM2には同方向の電源を供給するように制御されれば良い。また、磁化同軸ガンMG1,MG2は、トロイダル方向の磁界は方向が逆でありポロイダル方向の磁界も方向が逆であるスフェロマックを生成するように構成する場合には、内部導体11,21と外部導体12,22間には逆方向の電源を供給し、バイアスコイルBM1,BM2にも逆方向の電源を供給するように制御されれば良い。これらは、磁束保持容器3の壁面との相互作用や使用する波長域、用途等に応じて、種々選択されれば良い。

【0026】
磁束保持容器3内へ放出されたスフェロマックSM1とスフェロマックSM2は、磁束保持容器3内において高速度で衝突する。図3(c)に示されるようなスフェロマックSM1,SM2は、その衝突の際、スフェロマックSM1,SM2のトロイダル方向の磁界Bt1,Bt2は方向が逆であるから互いに打消し合うが、ポロイダル方向の磁界Bp1,Bp2は方向が同じであるから打消し合うことはない。また、ポロイダル方向の磁界Bp1,Bp2も方向が逆となるように制御した場合には、ポロイダル方向の磁界Bp1,Bp2も互いに打消し合うことになる。そして、スフェロマックSM1,SM2は、衝突により磁気エネルギの一部が熱エネルギに変わって高温となり、高輝度な光を発生する。なお、磁束保持容器3内のスフェロマックSM1とスフェロマックSM2は、衝突により磁気再結合が生じているものと思われる。

【0027】
このように、中心軸が一致するように外部導体の開放端が対向配置される一対の磁化同軸ガンの開放端を、それぞれ磁束保持容器の一対のガン結合開口部に接続し、一対の磁化同軸ガンによって生成されるスフェロマックをそれぞれ磁束保持容器内へ放出して衝突させて光を発生させることにより、高輝度な光を発生させることが可能となる。

【0028】
本発明のプラズマ光源は、従来のプラズマ光源のように、プラズマの生成時に発生する光を取り出すのではなく、プラズマ(スフェロマック)が衝突したときに発生する光を取り出して利用するため、プラズマ光源から直接光を取り出した場合に比べて高輝度の、即ち、発光強度の高い光を取り出すことが可能である。

【0029】
また、本発明のプラズマ光源は、磁化同軸ガンにおいてプラズマを生成させ、磁束保持容器において光を発生させるため、プラズマの生成場所と光の発生場所が分離されている。したがって、磁化同軸ガンにおいてデブリが生じたとしても、デブリは大部分が電離していないためプラズマのように磁束保持容器内へ運ばれ難く、デブリの影響が低減される。また、磁化同軸ガンにおけるデブリの飛散方向、即ち、磁化同軸ガンの軸方向と、放射光の取り出し方向、即ち、磁束保持容器の窓部の軸方向とが、直交する関係にあることによっても、デブリの影響が低減される。

【0030】
また、本発明のプラズマ光源は、主に磁化同軸ガンと磁束保持容器によって構成されるものであるため、その構造は、従来技術で挙げた特許文献1のような、キャピラリ構造体等を用いたものと比べて簡単なものである。

【0031】
ここで、本発明のプラズマ光源のように、磁化同軸ガンを対向配置させたものと、単体の磁化同軸ガンによる発光波長分布特性を比較する。図4は、本発明のプラズマ光源と、単体の磁化同軸ガンを用いたプラズマ光源とを比較した発光波長分布特性を表すグラフであり、図4(a)は単体の磁化同軸ガンを用いたプラズマ光源のグラフであり、図4(b)は対向配置させた磁化同軸ガンを用いた本発明のプラズマ光源のグラフである。

【0032】
図4(a)と図4(b)を比較すると、磁化同軸ガンを対向配置させた本発明のプラズマ光源のほうが、全体的に発光強度が高いことが分かる。1つの磁化同軸ガンと2つの磁化同軸ガンを用いている差だけであれば、2倍程度の発光強度の差になるはずだが、図示の通り、2倍以上の発光強度が得られている波長が多数存在している。特に、紫外光域においては、本発明のプラズマ光源のほうが6倍以上の発光強度が得られている波長も存在している。したがって、本発明のプラズマ光源が、高輝度な光を放射可能であり、さらに紫外光域ではこの傾向がより顕著であることが分かる。

【0033】
また、本願と同一出願人は、特願2008-189468、特願2009-171864において、電源回路の出力を、直流的な放電電流ではなく、連続パルス状の放電電流とすることにより、より発光強度が高く、デブリを制御することが可能な磁化同軸ガンを発明している。この発明は、本発明のプラズマ光源の磁化同軸ガンにも適用可能である。即ち、連続パルス信号を内部導体と外部導体との間に印加するように電源回路を構成することにより、磁化同軸ガン自体の発光強度を高めることが可能となる。したがって、発光強度が高められた一対の磁化同軸ガンを用いれば、より高輝度な光を発生させることが可能となる。

【0034】
ここで、電源回路の出力の連続パルス信号のデューティ比を変えることによりデブリを制御可能なことを、電極材料のスペクトル線の波長における発光強度の、デューティ比の違いによる時間変化特性を用いて説明する。なお、電源回路の出力の連続パルス信号とは、外部導体と内部導体間に印加した連続パルス電圧、又はそのときに流れる連続パルス電流を意味する。図5に、本発明のプラズマ光源の電源回路の連続パルス信号のデューティ比を変えたときの電源回路の放電電流の時間変化を表す。同図において、太い実線はデューティ比を変えない直流的な放電電流特性であり、細い実線はデューティ比が1;1の連続パルス状の放電電流特性であり、破線はデューティ比が1:4の連続パルス状の放電電流特性である。なお、本明細書中において、デューティ比1:1とは、出力のHiとLowの比が1:1であるという意味であり、デューティ比1:4とは、出力のHiとLowの比が1:4であるという意味である。

【0035】
このような電源回路を用いてプラズマ光を発光させる。図6は、本発明のプラズマ光源において、電源回路の出力のデューティ比を変化させたときの発光強度の時間変化特性を表すグラフであり、図6(a)は電源回路の出力を直流的な放電電流とした場合、図6(b)はデューティ比1:1の連続パルス状の放電電流とした場合、図6(c)はデューティ比1:4の連続パルス状の放電電流とした場合のグラフである。ここで、図6の発光強度特性は、電極材料由来の鉄のスペクトル線である158.1nmという真空紫外域の特性である。

【0036】
図6(a)を参照すると、電極材料由来の鉄のスペクトル線の光が存在していることから、電極材料が熱負荷により電極材料が削り取られ、電極材料由来のデブリが発生していることが分かる。そして、図6(a)と図6(b)を比較すると、発光強度のピーク値については、デューティ比1:1の特性のほうが若干高くなる。なお、発光時間としては、図6(b)の例のほうが、同一経過時間でみると若干高くなっていることが分かる。そして、図6(c)を参照すると、デューティ比1:4の場合には、発光強度が半分程度減少していることが分かる。即ち、デューティ比をコントロールすることにより、電極の熱負荷による不純物の混入を制御できることが分かる。

【0037】
次に、本発明のプラズマ光源において、一対の同軸磁化ガンのポロイダル方向の磁界の方向を同じにした場合と逆にした場合の発光特性の違いについて説明する。図7は、本発明のプラズマ光源の一対の同軸磁化ガンのポロイダル方向の磁界の方向の違いによる発光特性を説明するためのグラフであり、図7(a)はヘリウム原子の発光強度の時間変化であり、図7(b)は一価のヘリウムイオンの発光強度の時間変化である。図中、Case1がポロイダル方向の磁界の方向が同じ場合の特性であり、Case2がポロイダル方向の磁界の方向が逆の場合の特性である。なお、何れもトロイダル方向の磁界は逆方向であり、また、放電に用いた入力パワーは同等である。図7から、総発光量はCase1のほうが高いことが分かる。また、Case2では衝突直後はイオンのスペクトルにおいて5割程度強い発光が見られることから、衝突による高い加熱効果が推定されるものの、封じ込め配位が無いため温度の低下が早く、最終的には高温領域においても同程度の発光レベルになっているものと思われる。したがって、衝突時の放電初期の高いエネルギのプラズマのみを用いるような場合には、例えばCase2のようにポロイダル方向の磁界の方向を逆にすれば良い。このとき、上述のような連続パルス信号による放電を行えば、高いエネルギのプラズマを効率良く利用可能となる。

【0038】
以上説明したように、本発明によれば、特に紫外光域においても高輝度な光を発生可能となる。

【0039】
なお、本発明のプラズマ光源及びプラズマ光発生方法は、上述の図示例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0040】
11,21 内部導体
12,22 外部導体
13 絶縁部材
14,24 電源回路
3 磁束保持容器
31,32 ガン結合開口部
33 窓部
BM1,BM2 バイアスコイル
MG1,MG2 磁化同軸ガン
SM1,SM2 スフェロマック
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6