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明細書 :アスファルト含有廃棄物の処理方法およびアスファルト含有廃棄物処理装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5979532号 (P5979532)
公開番号 特開2013-163921 (P2013-163921A)
登録日 平成28年8月5日(2016.8.5)
発行日 平成28年8月24日(2016.8.24)
公開日 平成25年8月22日(2013.8.22)
発明の名称または考案の名称 アスファルト含有廃棄物の処理方法およびアスファルト含有廃棄物処理装置
国際特許分類 E01C  19/10        (2006.01)
FI E01C 19/10 A
請求項の数または発明の数 10
全頁数 14
出願番号 特願2012-027593 (P2012-027593)
出願日 平成24年2月10日(2012.2.10)
審査請求日 平成27年2月6日(2015.2.6)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】899000057
【氏名又は名称】学校法人日本大学
発明者または考案者 【氏名】加納 陽輔
【氏名】秋葉 正一
個別代理人の代理人 【識別番号】100066980、【弁理士】、【氏名又は名称】森 哲也
【識別番号】100109380、【弁理士】、【氏名又は名称】小西 恵
【識別番号】100103850、【弁理士】、【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
【識別番号】100116012、【弁理士】、【氏名又は名称】宮坂 徹
審査官 【審査官】須永 聡
参考文献・文献 実開昭62-072305(JP,U)
特開2009-275466(JP,A)
特開昭62-017201(JP,A)
特開平04-298279(JP,A)
特開昭52-138516(JP,A)
調査した分野 E01C 19/10
特許請求の範囲 【請求項1】
アスファルト含有廃棄物を処理して再利用可能な骨材を回収するアスファルト含有廃棄物の処理方法であって、
前記アスファルト含有廃棄物を温度が100℃未満の熱水中で攪拌することで、前記アスファルト含有廃棄物に含まれる骨材のうち粗粒骨材の表面からアスファルトを分離すると共に前記アスファルト含有廃棄物に含まれる骨材を前記粗粒骨材と該粗粒骨材より粒径の小さい細粒骨材とに選別する一次処理工程と、
前記一次処理工程で前記粗粒骨材と選別された前記細粒骨材および前記粗粒骨材の表面から分離したアスファルトを前記熱水中で攪拌することで、前記細粒骨材の表面からアスファルトを分離すると共に記細粒骨材と細粒骨材より粒径の小さい微粒骨材と選別する二次処理工程と、を有することを特徴とするアスファルト含有廃棄物の処理方法。
【請求項2】
前記一次処理工程で前記アスファルト含有廃棄物を温度が60℃以上の熱水中で攪拌することを特徴とする請求項1に記載のアスファルト含有廃棄物の処理方法。
【請求項3】
前記一次処理工程で前記粗粒骨材と選別された前記細粒骨材および前記粗粒骨材の表面から分離したアスファルトを前記二次処理工程で温度が60℃以上の熱水中で攪拌することを特徴とする請求項1または2に記載のアスファルト含有廃棄物の処理方法。
【請求項4】
前記二次処理工程で前記細粒骨材と選別された前記微粒骨材を温度が100℃以上の加圧熱水中で攪拌することで、前記微粒骨材の表面からアスファルトを分離すると共に前記微粒骨材の表面から分離したアスファルトと前記微粒骨材とを比重差により選別する三次処理工程を有することを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載のアスファルト含有廃棄物の処理方法。
【請求項5】
アスファルト含有廃棄物を処理して再利用可能な骨材を回収する装置であって、
前記アスファルト含有廃棄物を温度が100℃未満の熱水中で攪拌することで、前記アスファルト含有廃棄物に含まれる骨材のうち粗粒骨材の表面からアスファルトを分離すると共に前記アスファルト含有廃棄物に含まれる骨材を前記粗粒骨材と該粗粒骨材より粒径の小さい細粒骨材とに選別する一次処理装置と、
前記一次処理装置で前記粗粒骨材と選別された前記細粒骨材および前記粗粒骨材の表面から分離したアスファルトを前記熱水中で攪拌することで、前記細粒骨材の表面からアスファルトを分離すると共に、前記細粒骨材と細粒骨材より粒径の小さい微粒骨材と選別する二次処理装置とを備えることを特徴とするアスファルト含有廃棄物処理装置。
【請求項6】
前記二次処理装置で前記細粒骨材と選別された前記微粒骨材を温度が100℃以上の加圧熱水中で攪拌することで、前記微粒骨材の表面からアスファルトを分離すると共に前記微粒骨材の表面から分離したアスファルトと前記微粒骨材とを比重差により選別する三次処理装置を備えたことを特徴とする請求項5に記載のアスファルト含有廃棄物処理装置。
【請求項7】
前記粗粒骨材の表面からアスファルトを分離するための攪拌槽を前記一次処理装置が有し、前記攪拌槽が保温性を有していることを特徴とする請求項5または6に記載のアスファルト含有廃棄物処理装置。
【請求項8】
前記粗粒骨材を回収するメッシュ状の回収バスケットを、前記一次処理装置が有することを特徴とする請求項5~7のいずれか一項に記載のアスファルト含有廃棄物処理装置。
【請求項9】
前記細粒骨材の表面からアスファルトを分離するための攪拌槽を前記二次処理装置が有し、前記攪拌槽が保温性を有していることを特徴とする請求項5~8のいずれか一項に記載のアスファルト含有廃棄物処理装置。
【請求項10】
前記細粒骨材を回収する回収ネットを、前記二次処理装置が有することを特徴とする請求項5~9のいずれか一項に記載のアスファルト含有廃棄物処理装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、アスファルト舗装路の道路工事などで発生するアスファルト含有廃棄物の処理方法と処理装置に関し、特に、アスファルト含有廃棄物から再利用可能な骨材を回収する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、アスファルト舗装路の道路工事などで発生するアスファルト含有廃棄物はアスファルトの他に砂利などの骨材を含んでいることから、近年では、アスファルト含有廃棄物から骨材を回収し、回収された骨材を再利用する研究・開発が進められている。
アスファルト含有廃棄物から骨材を回収する方法としては、アスファルト含有廃棄物を機械的に破砕した後、振動ふるい機にかけて骨材を回収する方法(以下、機械破砕方式という)や、アスファルト含有廃棄物をスチーム、温水、熱風等により加熱した後、振動ふるい機にかけて骨材を回収する方法(以下、熱破砕方式という)が特許文献1に記載されている。
【0003】
しかし、機械破砕方式はアスファルト含有廃棄物に加わる機械的な破砕力により骨材に割れ等が生じたりすることによって骨材が細粒化し、細かな骨材が団粒化したままの場合もあり、さらに骨材にアスファルトが付着したままの状態であるため再利用時の厳密な品質管理は難しい。
熱破砕方式はアスファルト含有廃棄物の破砕時に骨材が細粒化することはほとんどないが、機械破砕方式と同様に骨材の表面からアスファルトを完全に除去することができないため、品質管理が難しく、再生した骨材の品質はアスファルトの性状や残留の度合いによって大きく左右される。
【0004】
このような問題を解消するため、特許文献2には、アスファルト含有廃棄物を加熱する媒体として温度が100℃~300℃の加圧熱水を用い、この加圧熱水によりアスファルト含有廃棄物を100℃以上に加熱しながら攪拌することによって骨材の表面からアスファルトを分離させて骨材を回収する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【0005】

【特許文献1】特開2003-247208号公報
【特許文献2】特開2009-275466号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、アスファルト含有廃棄物を加熱する媒体として加圧熱水を用いると、骨材とアスファルトとを一度の処理でまとめて分離できるという利点はあるものの、骨材の表面からアスファルトを分離処理する攪拌槽として密閉構造のものを使用する必要があり、攪拌槽の大形化が難しくなる。このため、特許文献2に記載された技術では、攪拌槽に大量のアスファルト含有廃棄物を投入して骨材を効率的に回収することが技術的に難しいという問題がある。
【0007】
また、アスファルト含有廃棄物を加圧熱水により100℃以上に加熱しながら攪拌すると多くのエネルギーを消費することになり、その結果、回収コストの上昇につながるという問題もある。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、その目的は、アスファルト含有廃棄物から再利用可能な骨材を回収コストの上昇などを招くことなく効率的に回収することのできるアスファルト含有廃棄物の処理方法とアスファルト含有廃棄物処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、請求項1の発明は、アスファルト含有廃棄物を処理して再利用可能な骨材を回収するアスファルト含有廃棄物の処理方法であって、前記アスファルト含有廃棄物を温度が100℃未満の熱水中で攪拌することで、前記アスファルト含有廃棄物に含まれる骨材のうち粗粒骨材の表面からアスファルトを分離すると共に前記アスファルト含有廃棄物に含まれる骨材を前記粗粒骨材と該粗粒骨材より粒径の小さい細粒骨材とに選別する一次処理工程と、前記一次処理工程で前記粗粒骨材と選別された前記細粒骨材および前記粗粒骨材の表面から分離したアスファルトを前記熱水中で攪拌することで、前記細粒骨材の表面からアスファルトを分離すると共に記細粒骨材と細粒骨材より粒径の小さい微粒骨材と選別する二次処理工程と、を有することを特徴とする。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1に記載のアスファルト含有廃棄物の処理方法において、前記一次処理工程で前記アスファルト含有廃棄物を温度が60℃以上の熱水中で攪拌することを特徴とする。
請求項3の発明は、請求項1または2に記載のアスファルト含有廃棄物の処理方法において、前記一次処理工程で前記粗粒骨材と選別された前記細粒骨材および前記粗粒骨材の表面から分離したアスファルトを前記二次処理工程で温度が60℃以上の熱水中で攪拌することを特徴とする。
【0010】
請求項4の発明は、請求項1~3のいずれか一項に記載のアスファルト含有廃棄物の処理方法において、前記二次処理工程で前記細粒骨材と選別された前記微粒骨材を温度が100℃以上の加圧熱水中で攪拌することで、前記微粒骨材の表面からアスファルトを分離すると共に前記微粒骨材の表面から分離したアスファルトと前記微粒骨材とを比重差により選別する三次処理工程を有することを特徴とする。
【0011】
請求項5の発明は、アスファルト含有廃棄物を処理して再利用可能な骨材を回収する装置であって、前記アスファルト含有廃棄物を温度が100℃未満の熱水中で攪拌することで、前記アスファルト含有廃棄物に含まれる骨材のうち粗粒骨材の表面からアスファルトを分離すると共に前記アスファルト含有廃棄物に含まれる骨材を前記粗粒骨材と該粗粒骨材より粒径の小さい細粒骨材とに選別する一次処理装置と、前記一次処理装置で前記粗粒骨材と選別された前記細粒骨材および前記粗粒骨材の表面から分離したアスファルトを前記熱水中で攪拌することで、前記細粒骨材の表面からアスファルトを分離すると共に、前記細粒骨材と細粒骨材より粒径の小さい微粒骨材と選別する二次処理装置とを備えたことを特徴とする。
【0012】
請求項6の発明は、請求項5に記載のアスファルト含有廃棄物処理装置において、前記二次処理装置で前記細粒骨材と選別された前記微粒骨材を温度が100℃以上の加圧熱水中で攪拌することで、前記微粒骨材の表面からアスファルトを分離すると共に前記微粒骨材の表面から分離したアスファルトと前記微粒骨材とを比重差により選別する三次処理装置を備えたことを特徴とする。
【0013】
請求項7の発明は、請求項5または6に記載のアスファルト含有廃棄物処理装置において、前記粗粒骨材の表面からアスファルトを分離するための攪拌槽を前記一次処理装置が有し、前記攪拌槽が保温性を有していることを特徴とする。
請求項8の発明は、請求項5~7のいずれか一項に記載のアスファルト含有廃棄物処理装置において、前記粗粒骨材を回収するメッシュ状の回収バスケットを、前記一次処理装置が有することを特徴とする。
【0014】
請求項9の発明は、請求項5~8のいずれか一項に記載のアスファルト含有廃棄物処理装置において、前記細粒骨材の表面からアスファルトを分離するための攪拌槽を前記二次処理装置が有し、前記攪拌槽が保温性を有していることを特徴とする。
請求項10の発明は、請求項5~9のいずれか一項に記載のアスファルト含有廃棄物処理装置において、前記細粒骨材を回収する回収ネットを、前記二次処理装置が有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、アスファルト含有廃棄物に含まれる粗粒骨材や細粒骨材の表面からアスファルトが分離しやすくなり、一次処理装置や二次処理装置の攪拌槽として密閉構造のものを使用したりする必要がないので、アスファルト含有廃棄物から再利用可能な骨材を回収コストの上昇などを招くことなく効率的に回収することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態に係るアスファルト含有廃棄物処理装置の概略構成を示す図である。
【図2】従来技術によりアスファルト含有廃棄物から回収した粗粒骨材をふるい分け試験機により5mm未満と5mm以上にふるい分けした場合の試験結果を示す図である。
【図3】本発明によりアスファルト含有廃棄物から回収した粗粒骨材をふるい分け試験機により5mm未満と5mm以上にふるい分けした場合の試験結果を示す図である。
【図4】アスファルト含有廃棄物から回収した粗粒骨材の密度を調査した結果を示す図である。
【図5】アスファルト含有廃棄物から回収した粗粒骨材の吸水率を調査した結果を示す図である。
【図6】従来技術によりアスファルト含有廃棄物から回収した細粒骨材をふるい分け試験機により1mm未満と1mm以上にふるい分けした場合の試験結果を示す図である。
【図7】本発明によりアスファルト含有廃棄物から回収した細粒骨材をふるい分け試験機により1mm未満と1mm以上にふるい分けした場合の試験結果を示す図である。
【図8】アスファルト含有廃棄物から回収した細粒骨材の密度を調査した結果を示す図である。
【図9】アスファルト含有廃棄物から回収した細粒骨材の吸水率を調査した結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るアスファルト含有廃棄物処理装置の概略構成を示す図である。図1に示されるアスファルト含有廃棄物処理装置10はアスファルト含有廃棄物を処理して砂利等の骨材を回収するものであって、アスファルト含有廃棄物を加熱しながら適当な大きさに解砕する加熱・解砕装置11と、この加熱・解砕装置11で適当な大きさに解砕されたアスファルト含有廃棄物を処理して例えば粒径が5mm以上の粗粒骨材をアスファルト含有廃棄物から回収するための一次処理装置12と、この一次処理装置12で一次処理されたアスファルト含有廃棄物を処理して例えば粒径が1.2mm以上5mm未満の細粒骨材をアスファルト含有廃棄物から回収するための二次処理装置13と、この二次処理装置13で二次処理されたアスファルト含有廃棄物を処理して例えば粒径が1.2mm未満の微粒骨材をアスファルト含有廃棄物から回収するための三次処理装置14と備えている。

【0018】
加熱・解砕装置11は、アスファルト含有廃棄物を水中で加熱するための貯水槽11aと、この貯水槽11aに貯留された水を100℃程度まで加熱して熱水を得るためのヒータ11bとを有している。また、加熱・解砕装置11は、アスファルト含有廃棄物を適当な大きさに解体するための2つの回転式攪拌機11cをさらに有し、これらの回転式攪拌機11cは貯水槽11aの内側に配置されている。

【0019】
また、加熱・解砕装置11は、貯水槽11aからアスファルト含有廃棄物を熱水と共に排出する排出弁11dを有し、この排出弁11dから排出されたアスファルト含有廃棄物と熱水は配管15を流通して一次処理装置12へ送られるようになっている。
一次処理装置12は、攪拌槽12aと、この攪拌槽12aに供給されたアスファルト含有廃棄物を攪拌する回転式攪拌機12bとを有している。

【0020】
さらに、一次処理装置12は、アスファルト含有廃棄物に含まれる骨材を粒径が5mm以上の粗粒骨材と粗粒骨材より粒径の小さい骨材とに選別して粗粒骨材を回収するための回収バスケット12cを有し、この回収バスケット12cは例えば目開きが5mm程度の金網により有底円筒状に形成されているとともに、攪拌槽12aの内側に配置されている。

【0021】
また、一次処理装置12は、回収バスケット12cにより粗粒骨材と選別された骨材(細粒骨材や微粒骨材)及び粗粒骨材の表面から分離したアスファルトを含むアスファルト含有廃棄物を、熱水と共に攪拌槽12aの下部から排出する排出弁12dを有し、この排出弁12dから排出されたアスファルト含有廃棄物と熱水は配管16を流通して二次処理装置13へ送られるようになっている。なお、攪拌槽12aとしては、アスファルト含有廃棄物の温度を60℃以上、好ましくは70℃以上、より好ましくは80℃以上に保つために保温性を有するものを用いることが好ましい。

【0022】
二次処理装置13は、攪拌槽13aと、この攪拌槽13aに供給されたアスファルト含有廃棄物を攪拌する回転式攪拌機13bとを有し、攪拌槽13aはアスファルト含有廃棄物の温度を60℃以上、好ましくは70℃以上、より好ましくは80℃以上に保温可能な保温性を有した構造となっている。さらに、二次処理装置13は、アスファルト含有廃棄物に含まれる骨材を細粒骨材と微粒骨材とに選別して細粒骨材を回収するための回収ネット13cを有し、この回収ネット13cは例えば目開きが1.2mm程度の金網から形成されているとともに、攪拌槽13aの内部に配置されている。

【0023】
また、二次処理装置13は、回収ネット13cにより細粒骨材と選別された微粒骨材及び粗粒骨材、細粒骨材の表面から分離したアスファルトを含むアスファルト含有廃棄物を熱水と共に攪拌槽13aの下部から排出する排出弁13dを有し、この排出弁13dから排出されたアスファルト含有廃棄物と熱水は配管17を流通して三次処理装置14へ送られるようになっている。

【0024】
三次処理装置14は、密封構造で耐高温性及び耐高圧性の攪拌槽14aと、この攪拌槽14aに供給されたアスファルト含有廃棄物を攪拌する回転式攪拌機14bと、この回転式攪拌機14bによりアスファルト含有廃棄物と共に攪拌される水を100℃~300℃に加熱して加圧熱水を得るためのヒータ14cとを有している。
また、三次処理装置14は、攪拌槽14aから水を排出する排出弁14dを有し、この排出弁14dから排出された水は配管18を流通してアスファルト回収装置19に供給されるようになっている。

【0025】
アスファルト回収装置19は骨材の表面から分離したアスファルトを回収するものであって、このアスファルト回収装置19でアスファルトが除去された水は配管20を流通して加熱・解砕装置11の貯水槽11aに戻されるようになっている。
このようなアスファルト含有廃棄物処理装置10を用いてアスファルト含有廃棄物から砂利等の骨材を回収する場合は、まず、道路工事などで発生したアスファルト含有廃棄物を加熱・解砕装置11の貯水槽11aに投入すると共に、貯水槽11aに貯留された水をヒータ11bにより加熱して熱水とする。そして、貯水槽11aに投入されたアスファルト含有廃棄物を熱水により60℃以上、好ましくは70℃以上、より好ましくは80℃以上に加熱する。また、これと同時に回転式攪拌機11cを作動させ、貯水槽11aに投入されたアスファルト含有廃棄物が適当な大きさになるまでアスファルト含有廃棄物を攪拌する。

【0026】
貯水槽11aに投入されたアスファルト含有廃棄物が熱水により60℃以上に熱せられた後、加熱・解砕装置11の排出弁11dを開くと、貯水槽11aに投入されたアスファルト含有廃棄物が熱水と共に貯水槽11aから排出され、配管15を経て一次処理装置12の回収バスケット12cに供給される。なお、回収バスケット12c内はアスファルト含有物でほぼ満杯となり、かつアスファルト含有物全体が熱水に浸漬する状態となる。

【0027】
このとき、一次処理装置12の回転式攪拌機12bを作動させ、回収バスケット12cに供給されたアスファルト含有廃棄物と熱水を回転式攪拌機12bにより攪拌し続けると、アスファルト含有廃棄物に含まれる骨材同士が揉み合うことによって粗粒骨材の表面に付着していたアスファルトが粗粒骨材から分離する。粗粒骨材の表面から分離したアスファルトは、熱水中を浮遊する浮遊物となる。

【0028】
また、回転式攪拌機12bによりアスファルト含有廃棄物を熱水と共に攪拌すると、アスファルト含有廃棄物に含まれる骨材のうち細粒骨材と微粒骨材が回収バスケット12cを通過し、攪拌槽12aの底部に堆積する。これにより、アスファルト含有廃棄物に含まれる骨材のうち粗粒骨材のみが回収バスケット12cに残留し、表面にアスファルトがほとんど残留しない粗粒骨材として回収することが可能となる。

【0029】
アスファルト含有廃棄物を熱水により加熱しながら回転式攪拌機12bにより攪拌した後、一次処理装置12の排出弁12dを開くと、回収バスケット12cを通過した細粒骨材や微粒骨材が熱水と共に攪拌槽12aから排出され、配管16を経て二次処理装置13の攪拌槽13aに供給される。このとき、粗粒骨材の表面から分離して熱水中を浮遊する浮遊物となっているアスファルトは熱水と共に攪拌槽12aから排出される。

【0030】
攪拌槽12aから熱水が排出されると、回収バスケット12c内に残っている粗粒骨材は、攪拌槽12aから排出された熱水の残留熱により乾燥処理され、乾燥処理の途中または乾燥処理後に回収される。
アスファルト含有廃棄物の細粒骨材や微粒骨材が、60℃以上(好ましくは70℃以上、より好ましくは80℃以上)の熱水および粗粒骨材の表面から分離したアスファルトと共に、一次処理装置12の攪拌槽12aから二次処理装置13の攪拌槽13aに供給される。このとき、攪拌槽13a内には、回転式攪拌機13bの全体が隠れる程度にアスファルト含有廃棄物の細粒骨材や微粒骨材が供給される。そして、二次処理装置13の回転式攪拌機13bを作動させ、攪拌槽13aに供給された骨材を回転式攪拌機13bにより攪拌し続けると、骨材同士が揉み合うことによって細粒骨材の表面に付着していたアスファルトが細粒骨材から分離する。このとき、攪拌槽13aに供給された微粒骨材は回収ネット13cを通過し、攪拌槽13aの底部に堆積する。これにより、アスファルト含有廃棄物に含まれる骨材のうち細粒骨材のみが回収ネット13cに残留し、表面にアスファルトがほとんど残留しない細粒骨材として回収することが可能となる。

【0031】
攪拌槽13aに供給された骨材を回転式攪拌機13bにより攪拌した後、二次処理装置13の排出弁13dを開くと、回収ネット13cを通過した微粒骨材が熱水および粗粒骨材や細粒骨材の表面から分離したアスファルトと共に攪拌槽13aから排出され、配管17を経て三次処理装置14の攪拌槽14aに供給される。このとき、細粒骨材の表面から分離して熱水中を浮遊する浮遊物となっているアスファルトは熱水と共に攪拌槽13aから排出される。

【0032】
攪拌槽13aから熱水が排出されると、回収ネット13c上に残っている細粒骨材は、攪拌槽13aから排出された熱水の残留熱により乾燥処理され、乾燥処理の途中または乾燥処理後に回収される。そして、配管17から攪拌槽14aに供給された水を三次処理装置14のヒータ14cにより加熱して加圧熱水とし、攪拌槽14aに供給された微粒骨材を加圧熱水により100℃以上に加熱しながら回転式攪拌機14cにより攪拌し続けると、骨材同士が揉み合うことによって微粒骨材の表面に付着していたアスファルトが微粒骨材から分離する。

【0033】
回転式攪拌機14cの作動を停止すると、微粒骨材は自重によって攪拌槽14aの下部に堆積する。これにより、表面にアスファルトがほとんど残留しない微粒骨材として回収することが可能となる。
また、微粒骨材の表面からアスファルトを分離させた後、三次処理装置14の排出弁14dを開くと、攪拌槽14aに供給された水が配管18を流通して加熱・解砕装置11の貯水槽11aに戻される。

【0034】
このように、アスファルト含有廃棄物に含まれる粗粒骨材や細粒骨材を再生骨材として回収する際に、アスファルト含有廃棄物を加熱する媒体として温度が100℃未満の熱水を用い、この熱水によりアスファルト含有廃棄物を70℃以上に加熱しながら攪拌することで、アスファルト含有廃棄物に含まれる粗粒骨材や細粒骨材の表面からアスファルトを分離することができる。これにより、アスファルト含有廃棄物を加熱する媒体として加圧熱水を用いたり、一次処理装置や二次処理装置の攪拌槽を密閉構造としたりすることなく骨材を回収することが可能となるので、アスファルト含有廃棄物から再利用可能な骨材を回収コストの上昇などを招くことなく効率的に回収することができる。

【0035】
また、上述した本発明の一実施形態では、一次処理装置12の攪拌槽12aや二次処理装置13の攪拌槽13aとして保温性を有するものを使用したことで、攪拌槽12a,13aから排出された熱水の残留熱によって回収骨材を乾燥させることでき、これにより、回収骨材の乾燥処理に要するコストを低減することができる。
なお、上述した本発明の一実施形態では、一次処理装置と二次処理装置が配管で接続されたものを例示したが、これに限られるものではない。たとえば、一次処理装置の攪拌槽の外周に二次処理装置の攪拌槽を配置し、攪拌槽を二重構造としたものを使用しても良い。

【0036】
また、三次処理装置14を省略し、アスファルト含有廃棄物から粗粒骨材と細粒骨材のみを回収するようにしても良い。さらに、加熱・解砕装置11を省略し、適当な大きさに砕かれたアスファルト含有廃棄物を一次処理装置12の攪拌槽12aに直接投入するようにしても良い。この場合、二次処理装置13の攪拌槽13aまたは三次処理装置14の攪拌槽14aから排出された水を、アスファルトを除去した後に一次処理装置12の攪拌槽12aへ戻すようにしてもよい。

【0037】
また、回収バスケット12cや回収ネット13cの目開きの大きさは任意に設定しても良い。
また、熱水の温度が低いほど加熱コストの低減に寄与するが、その分、攪拌によるアスファルトの分離に時間を要することになり、逆に、熱水の温度が高いほど加熱コストは嵩むものの、処理時間を短くすることが可能となるので、熱水の温度は60℃以上、好ましくは70℃以上、より好ましくは80℃以上とすることが望ましい。
【実施例】
【0038】
表1に、従来から用いられている方法としての機械解砕方式で粒径が5mm~13mmの粗粒骨材をアスファルト含有廃棄物から回収した場合と、粒径が5mm~13mmの粗粒骨材を本発明によりアスファルト含有廃棄物から回収した場合のアスファルト含有量をソックスレー抽出試験にて調査した結果を示す。なお、表1の再生骨材A1は従来から用いられている方法で粗粒骨材を回収した場合を示し、表1の回収骨材A2は本発明により粗粒骨材を回収した場合を示している。また、本発明により粗粒骨材を回収したときの熱水は温度が80℃の熱水を使用した。
【実施例】
【0039】
【表1】
JP0005979532B2_000002t.gif
【実施例】
【0040】
表1の再生骨材A1と回収骨材A2とを比較すると、再生骨材A1の場合はアスファルト含有量が4.0質量%であった。これに対し、回収骨材A2の場合はアスファルト含有量が1.1質量%となり、その結果、再生骨材A1よりもアスファルト含有量が低い粗粒骨材を回収することができるという知見が得られた。
【実施例】
【0041】
図2及び図3に、ソックスレー抽出試験前と試験後の再生骨材A1と回収骨材A2の粒度について、ふるい分け試験機を用いて調査した結果を示す。なお、ふるい分け試験機としては、骨材を5.0mm以上と5.0mm未満とに分離できるものを使用した。
図2の▲はソックスレー抽出試験前の再生骨材A1(アスファルト含有量:4.0質量%)の粒度を示し、図2の●はソックスレー抽出試験後の再生骨材A1(アスファルト含有量:0.0質量%)の粒度を示している。また、図3の▲はソックスレー抽出試験前の回収骨材A2(アスファルト含有量:1.1質量%)の粒度を示し、図3の●はソックスレー抽出試験後の回収骨材A2(アスファルト含有量:0.0質量%)の粒度を示している。
【実施例】
【0042】
再生骨材A1では、ソックスレー抽出試験前と試験後の粒度が大きく変化することが図2からわかる。これは、見かけ上の粒径は5mm以上となっているものの、5mm未満の骨材同士がアスファルトをバインダーとして結合したものも粗粒骨材として含まれているためである。これに対し、回収骨材A2では、ソックスレー抽出試験前と試験後の粒度がほとんど変化しないことが図3からわかる。
【実施例】
【0043】
回収骨材A2の密度について調査したところ、図4に示されるように、ソックスレー抽出試験前は約2.6g/cm、ソックスレー抽出試験後は約2.7g/cmとなり、ソックスレー抽出試験前と試験後で密度が大きく変化しないという知見が得られた。因みに、ソックスレー抽出試験後の再生骨材A1の密度についても調査したところ、約2.7g/cmであった。再生骨材A1の密度が高めになる理由は、細粒骨材や微粒骨材がアスファルトをバインダーとして結合したものも粗粒骨材として含まれ、再生骨材A1の中に細粒骨材や微粒骨材が混じっているからであると思われる。
【実施例】
【0044】
また、回収骨材A2の吸水率について調査したところ、図5に示されるように、ソックスレー抽出試験前は約0.6%、ソックスレー抽出試験後は約0.8%となり、ソックスレー抽出試験前と試験後で吸水率が大きく変化しないという知見が得られた。因みに、ソックスレー抽出試験後の再生骨材A1の吸水率についても調査したところ、約1%であった。再生骨材A1の吸水率が高めになる理由は、細粒骨材や微粒骨材がアスファルトをバインダーとして結合したものも粗粒骨材として含まれ、これにより、再生骨材全体の表面面積が大きくなるためと思われる。
【実施例】
【0045】
表2に、従来から用いられている方法で粒径が1.2mm~5mmの細粒骨材をアスファルト含有廃棄物から回収した場合と粒径が1.2mm~5mmの細粒骨材を本発明によりアスファルト含有廃棄物から回収した場合のアスファルト含有量をソックスレー抽出試験にて調査した結果を示す。なお、表2の再生骨材B1は従来から用いられている方法で細粒骨材を回収した場合を示し、表2の回収骨材B2は本発明により細粒粒骨材を回収した場合を示している。また、本発明により細粒骨材を回収したときの熱水は温度が80℃の熱水を使用した。
【実施例】
【0046】
【表2】
JP0005979532B2_000003t.gif
【実施例】
【0047】
表2の再生骨材B1と回収骨材B2とを比較すると、再生骨材B1の場合はアスファルト含有量が4.8質量%であった。これに対し、回収骨材B2の場合はアスファルト含有量が0.7質量%となり、その結果、再生骨材B1よりもアスファルト含有量が低い細粒骨材を回収することができるという知見が得られた。
【実施例】
【0048】
図6及び図7に、ソックスレー抽出試験前と試験後の再生骨材B1と回収骨材B2の粒度について、ふるい分け試験機を用いて調査した結果を示す。なお、ふるい分け試験機としては、骨材を1.0mm以上と1.0mm未満とに分離できるものを使用した。
図6の▲はソックスレー抽出試験前の再生骨材B1(アスファルト含有量:4.8質量%)の粒度を示し、図6の●はソックスレー抽出試験後の再生骨材B1(アスファルト含有量:0.0質量%)の粒度を示している。また、図7の▲はソックスレー抽出試験前の回収骨材B2(アスファルト含有量:0.7質量%)の粒度を示し、図7の●はソックスレー抽出試験後の回収骨材B2(アスファルト含有量:0.0質量%)の粒度を示している。
【実施例】
【0049】
再生骨材B1では、ソックスレー抽出試験前と試験後の粒度が大きく変化することが図6からわかる。これは、見かけ上の粒径は1.2mm以上となっているものの、1.2mm未満の骨材がアスファルトをバインダーとして結合したものも粗粒骨材として含まれているためである。これに対し、回収骨材B2では、ソックスレー抽出試験前と試験後の粒度がほとんど変化しないことが図7からわかる。
【実施例】
【0050】
回収骨材B2の密度について調査したところ、図8に示されるように、ソックスレー抽出試験前は約2.5g/cm、ソックスレー抽出試験後は約2.6g/cmとなり、ソックスレー抽出試験前と試験後で密度が大きく変化しないという知見が得られた。因みに、ソックスレー抽出試験後の再生骨材B1の密度についても調査したところ、約2.6g/cmであった。再生骨材B1の密度が高めになる理由は、細粒骨材や微粒骨材がアスファルトをバインダーとして結合したものも粗粒骨材として含まれ、再生骨材B1の中に細粒骨材や微粒骨材が混じっているからであると思われる。
【実施例】
【0051】
また、回収骨材B2の吸水率について調査したところ、図9に示されるように、ソックスレー抽出試験前は約0.8%、ソックスレー抽出試験後は約0.9%となり、ソックスレー抽出試験前と試験後で吸水率が大きく変化しないという知見が得られた。因みに、ソックスレー抽出試験後の再生骨材B1の吸水率についても調査したところ、約1%であった。再生骨材B1の吸水率が高めになる理由は、微粒骨材がアスファルトをバインダーとして結合したものも細粒骨材として含まれ、これにより、再生骨材全体の表面面積が大きくなるためと思われる。
【実施例】
【0052】
以上のことから、道路工事などで発生するアスファルト含有廃棄物を加熱する媒体として温度が100℃未満の熱水を用い、アスファルト含有廃棄物を熱水により70℃以上に加熱しながら攪拌することで、アスファルト含有廃棄物に含まれる粗粒骨材や細粒骨材の表面からアスファルトが分離しやすくなり、アスファルト含有廃棄物を加熱する媒体として加圧熱水を用いたり、一次処理装置や二次処理装置の攪拌槽として密閉構造のものを使用したりする必要がないので、アスファルト含有廃棄物から再利用可能な骨材を回収コストの上昇などを招くことなく効率的に回収することができる。
【符号の説明】
【0053】
10…アスファルト含有廃棄物処理装置
11…加熱・解砕装置
11a…貯水槽
11b…ヒータ
11c…回転式攪拌機
11d…排出弁
12…一次処理装置
12a…攪拌槽
12b…回転式攪拌機
12c…回収バスケット
12d…排出弁
13…二次処理装置
13a…攪拌槽
13b…回転式攪拌機
13c…回収ネット
13d…排出弁
14…三次処理装置
14a…攪拌槽
14b…回転式攪拌機
14c…ヒータ
14d…排出弁
15,16,17,18,20…配管
19…アスファルト回収装置
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8