TOP > 国内特許検索 > 石油代替液体燃料の製造方法 > 明細書

明細書 :石油代替液体燃料の製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2013-170224 (P2013-170224A)
公開日 平成25年9月2日(2013.9.2)
発明の名称または考案の名称 石油代替液体燃料の製造方法
国際特許分類 C10G   1/00        (2006.01)
C10G   1/10        (2006.01)
B09B   3/00        (2006.01)
C08J  11/12        (2006.01)
FI C10G 1/00 ZABC
C10G 1/10
B09B 3/00 302A
B09B 3/00 302Z
C08J 11/12
請求項の数または発明の数 5
出願形態 OL
全頁数 16
出願番号 特願2012-035126 (P2012-035126)
出願日 平成24年2月21日(2012.2.21)
発明者または考案者 【氏名】平野 勝巳
【氏名】伊藤 拓哉
【氏名】角田 雄亮
【氏名】菅野 元行
出願人 【識別番号】899000057
【氏名又は名称】学校法人日本大学
個別代理人の代理人 【識別番号】110000774、【氏名又は名称】特許業務法人 もえぎ特許事務所
審査請求 未請求
テーマコード 4D004
4F401
4H129
Fターム 4D004AA07
4D004AA12
4D004AA31
4D004AC04
4D004BA03
4D004CA04
4D004CA24
4D004CB04
4D004CB31
4D004DA03
4D004DA06
4D004DA10
4F401AA09
4F401AA10
4F401AA11
4F401BA02
4F401CA70
4F401CB15
4F401FA01Z
4F401FA07Z
4H129AA01
4H129BA03
4H129BA04
4H129BB03
4H129BC12
4H129NA21
4H129NA45
要約 【課題】木質バイオマス等から、従来の方法に比べてより高い効率で、石油代替液体燃料を製造する方法の提供。該方法によって製造される石油代替液体燃料の提供。
【解決手段】木質バイオマスとプラスチックを共熱分解する工程を含む製造方法により、低い温度で燃料物性の高い石油代替液体燃料を従来の方法に比べてより高い効率で製造する。また、該方法によって製造される石油代替液体燃料を提供する。
【選択図】なし
特許請求の範囲 【請求項1】
木質バイオマスとプラスチックを300℃以上450℃以下で共熱分解する工程を含む石油代替液体燃料の製造方法。
【請求項2】
木質バイオマスとプラスチックを重量比2:8~8:2に混合して行う請求項1に記載の石油代替液体燃料の製造方法。
【請求項3】
プラスチックが、ポリエチレン、ポリスチレンまたはポリプロピレンのいずれか一種以上を原料として含むプラスチックである、請求項1または2に記載の石油代替液体燃料の製造方法。
【請求項4】
木質バイオマスがスギ、アカマツ、イエローポプラ、ヒノキ、ホワイトパインまたはレッドオークのいずれか一種以上を含む木質バイオマスである請求項1~3のいずれかに記載の石油代替液体燃料の製造方法。
【請求項5】
請求項1~4のいずれかに記載の製造方法によって製造される石油代替液体燃料。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は石油代替液体燃料の製造方法に関する。さらに詳しくは、木質バイオマスとプラスチックを共熱分解する工程を含む、石油代替液体燃料の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、石油等の化石燃料に変わり得る燃料として、廃材、木材チップ等の木質バイオマスを原料とする石油代替液体燃料が製造されている。しかし、従来の製造方法では、木質バイオマスのみを溶媒存在下で加熱し熱分解するため、分解反応中に未分解物や分解物同士が重縮合して残渣が形成されてしまい、低い収率でしか石油代替液体燃料が製造できないという問題があった。
また、得られた石油代替燃料も芳香族化合物や含酸素化合物を多く含むため、燃料としての物性が低く、高極性化合物も多く含むため、既存の石油由来燃料と混合して利用できるのは一部のみであるという問題もあった。そこで、木質バイオマスを原料とし、より高い効率で石油代替液体燃料が製造できる方法の提供が望まれている。
【0003】
このような問題を鑑み、本発明者らは本発明において、木質バイオマスとプラスチックを共熱分解することにより、石油代替液体燃料を製造することを検討した。
プラスチックやこれを形成するポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン等の成分を原料として用いて、石油代替液体燃料を製造する技術として、例えば、特許文献1において、炭化水素含有残渣のひとつとしてプラスチックを挙げ、アルカリ金属をドープしたケイ酸アルミニウムを触媒として、温度300~400℃で接触分解することにより、ディーゼル油を製造する方法が開示されている。
また、特許文献2では、紙、木屑、生ゴミ等の油化不適物が混入した廃プラスチックを油化する方法として、まずプラスチックの分解反応温度より低い温度で、水を添加して廃プラスチックから異物(油化不適物)を除去し、その後溶融状態で残っている油化に適したプラスチックを、油分を回収するのに適した分解温度で処理する技術が開示されている。
しかし、これらの方法は、あくまでもプラスチックやプラスチックを形成する成分を油化することを目的とするものであり、木質バイオマスと廃プラスチックを共熱分解することにより、石油代替液体燃料を得ることを目的とするものではなかった。
【0004】
木質バイオマスとプラスチックを組み合わせて用いる方法としては、例えば、特許文献3において、発泡ポリスチレンを主成分とする発泡プラスチック成形品を材料とした燃料において、これに木質チップを混合しても良好な燃料とできることも開示されている。しかし、この文献では、これらを原料として、石油代替液体燃料を得ることは示唆も検討もされていない。
【先行技術文献】
【0005】

【特許文献1】特開2005-163013号公報
【特許文献2】特開平9-78072号公報
【特許文献3】特開平6-1987号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は木質バイオマス等から、従来の方法に比べてより高い効率で、石油代替液体燃料を製造する方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討を行ったところ、木質バイオマスとプラスチックを共熱分解することにより、従来の方法に比べて低い温度で、燃料物性の高い石油代替液体燃料をより高い効率で製造できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明で完成された製造方法では、木質バイオマスとプラスチックとを共熱分解することにより、生じた木材分解物とプラスチック分解物とが化合するため、木材分解物同士や未分解物が重縮合して起こる残渣の形成が抑制され、石油代替液体燃料の収率が向上する。また、得られる燃料の物性も向上し、芳香族化合物、含酸素化合物が少なく、脂肪族性が増して極性が低下したものであるため、石油由来燃料と混合しても相分離せず、全てを利用できるという利点がある。
また、木材分解物から生成するラジカルによって、廃プラスチックの分解が促進されるため、従来検討されているプラスチックの液化温度よりも低い温度で石油代替液体燃料を製造することが可能となる。さらに、本発明の製造方法では触媒を必要としないため、回収のための機構が不要という利点もある。
【0008】
すなわち、本発明は、次の(1)~(5)で示される、石油代替液体燃料の製造方法等に関する。
(1)木質バイオマスとプラスチックを300℃以上450℃以下で共熱分解する工程を含む石油代替液体燃料の製造方法。
(2)木質バイオマスとプラスチックを重量比2:8~8:2に混合して行う上記(1)に記載の石油代替液体燃料の製造方法。
(3)プラスチックが、ポリエチレン、ポリスチレンまたはポリプロピレンのいずれか一種以上を原料として含むプラスチックである、上記(1)または(2)に記載の石油代替液体燃料の製造方法。
(4)木質バイオマスがスギ、アカマツ、イエローポプラ、ヒノキ、ホワイトパインまたはレッドオークのいずれか一種以上を含む木質バイオマスである上記(1)~(3)のいずれかに記載の石油代替液体燃料の製造方法。
(5)上記(1)~(4)のいずれかに記載の製造方法によって製造される石油代替液体燃料。
【発明の効果】
【0009】
本発明の製造方法により、間伐材、建築廃材、廃プラスチックおよびこれらの混合廃棄物を主原料として、高質な石油代替液体燃料を効率的に製造することが可能となる。本発明の製造方法では、溶媒や触媒を回収する必要がなく、低い温度で反応を行うことが可能なため、専用の工場等を必須とせず、排出された場所でこれらの原料を直接現地処理することにより、簡便に石油代替液体燃料を製造することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】木質バイオマスとプラスチックの混合比による生成物収率の変化(反応条件:350[℃]/60[min.]/触媒なし)を示した図である(試験例1)。
【図2】木質バイオマスとプラスチックの混合比による生成物収率の変化(反応条件:350[℃]/60[min.]/触媒あり)を示した図である(試験例1)。
【図3】木質バイオマスとプラスチックの混合比による生成物収率の変化(反応条件:400[℃]/0[min.]/触媒なし)を示した図である(試験例1)。
【図4】HI(反応条件:400[℃]/0[min.]/触媒なし)のIRスペクトルの変化を示した図である(試験例1)。
【図5】木質バイオマスとプラスチックの混合比による生成物収率の変化(反応条件:400[℃]/60[min.]/触媒なし)を示した図である(試験例1)。
【図6】HI(反応条件:400[℃]/60[min.]/触媒なし)のIRスペクトルの変化を示した図である(試験例1)。
【図7】HS(反応条件:400[℃]/60[min.]/触媒なし)の沸点分布の変化を示した図である(試験例1)。
【図8】木質バイオマスとプラスチックの混合比による生成物収率の変化(反応条件:400[℃]/60[min.]/触媒あり)を示した図である(試験例2)。
【図9】軽油留分(反応条件:400[℃]/0[min.]/触媒あり)のGC-MS TICの変化を示した図である(試験例2)。
【図10】重油留分(反応条件:400[℃]/0[min.]/触媒あり)のIRスペクトルの変化を示した図である(試験例2)。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の「石油代替液体燃料」とは、既存の石油を燃料とする内燃機関にそのまま利用でき、石油と同等の用途に利用できる、石油に代わり得る液状の燃料のことをいう。
本発明の「石油代替液体燃料」は、木質バイオマスとプラスチックとを混合したものを、共に熱分解することによって得られる「石油代替液体燃料」であればいずれのものも含まれる。本発明の「石油代替液体燃料」は、主原料が木質バイオマスかプラスチックであれば、その他の成分を含む原料から得られるものであっても良い。その他の成分は、本発明の「石油代替液体燃料」の製造を阻害しない物質であることが好ましい。

【0012】
本発明の「石油代替液体燃料の製造方法」は、木質バイオマスとプラスチックとを、従来知られているプラスチックの液化温度よりも低い温度であって、本発明の「石油代替液体燃料」が製造できる温度で共熱分解する工程を含む製造方法であればよい。
従来知られているプラスチックの液化温度よりも低い温度であって、本発明の「石油代替液体燃料」が製造できる温度としては、例えば300℃以上450℃以下であれば良く、より好ましくは300℃以上400℃以下、さらに好ましくは350℃以上400℃以下であれば良い。温度が低ければ低いほど、本発明の「石油代替液体燃料」の製造において利用する熱量が少なくてすみ、製造におけるコストを下げることが可能となる。
また、本発明の共熱分解は、電磁誘導撹拌式オートクレーブ(株式会社鈴木理化学製作所製)等で行うことができるが、必要な資材等を封入し、窒素ガスを充填した後、液化のために所定の温度まで加熱し、一定時間その温度を保つことで行うことができる。所定温度の保持時間は、共熱分解が行える時間であればよく、60分以内であれば十分である。所定温度まで加熱する段階で共熱分解が行われるのであれば、保持時間は0分であってもよい。

【0013】
本発明の「石油代替液体燃料の製造方法」では、木質バイオマスかプラスチックを主原料として用い、木質バイオマスとプラスチックの重量比2:8~8:2となるように混合して、共熱分解することが好ましい。木質バイオマスとプラスチックの重量比は、反応条件に応じて適宜選択すればよく、例えば、2:8としても良く、5:5としても良く、8:2としても良い。
本発明の「石油代替液体燃料の製造方法」において使用される木質バイオマスは、本発明の「石油代替液体燃料」が製造できるものであればいずれのものであっても良く、例えば、スギ等の間伐材や建築廃材、ワラ、バカス等の農業において得られる廃棄物等が挙げられる。また、スギ、アカマツ、イエローポプラ、ヒノキ、ホワイトパインまたはレッドオークのいずれか一種以上を含む木質バイオマス等も、本発明の木質バイオマスとして用いることができる。
これらの木質バイオマスは、原料として得られた物をそのまま共熱分解のための機械に導入しても良いが、機械に合わせて木質バイオマスの大きさを適宜調整して用いてもよい。木質バイオマスの大きさの調整にどのような機械、道具を用いてもよく、例えば、タワーミル等を用いてもよい。

【0014】
また、本発明の「石油代替液体燃料の製造方法」において使用されるプラスチックは、本発明の「石油代替液体燃料」が製造できるものであればいずれのものであっても良く、ポリエチレン、ポリスチレンまたはポリプロピレンの一種以上を含むプラスチックのうち、廃プラスチック等が挙げられる。

【0015】
以下、実施例、試験例によって本発明を詳細に説明するが、本発明はそれに限定されるものではない。
【実施例1】
【0016】
石油代替液体燃料の製造方法
木質バイオマスとプラスチックとを混合し、300℃以上450℃以下で共熱分解することで石油代替液体燃料を製造した。
【実施例1】
【0017】
[試験例1]
実施例1の製造方法に従い、石油代替液体燃料の製造を行った。
1.供試材の調整
1)木質バイオマス
スギをタワーミルによって粒径が150μm以下まで粉砕したものを用いた。
2)プラスチック
汎用プラスチックの排出割合(排出割合:廃プラスチックとして排出されるプラスチックに含まれる各成分の割合)に準拠し、重量比がポリエチレンは20.8、ポリプロピレンは8.9、ポリスチレンは9.1となるように混合したもの(以下、3Pと示す場合がある)を用いた。
3)供試材
上記1)の木質バイオマスと、上記2)のプラスチックの重量比が、8:2、5:5、または2:8となるように、上記1)および2)を混合したものを供試材とした。また、木質バイオマスのみのもの(重量比10:0)またはプラスチックのみのもの(重量比0:10)も比較として用いた。
【実施例1】
【0018】
2.熱分解反応
次の1)~4)の工程により、熱分解反応、反応後得られたものの分離、解析等を行った。
1)上記1、3)の供試材を各20g、溶媒として反応に関与しないと考えられる無極性の鉱油60gを内容積200mlの電磁誘導撹拌式オートクレーブ(株式会社鈴木理化学製作所製)に封入した。また、必要に応じて触媒としてNaY型ゼオライト4gを共に封入した。その後、窒素ガスを0.5MPa充填した。
2)上記1)で充填した内容物に対して200rpmで水平撹拌を行いながら外部電気炉によって所定温度まで加熱し、所定の保持時間、温度を保持して反応を行わせた。各反応の反応条件(所定温度、保持時間および触媒の有無)を表1、表2に示した。
3)上記2)の反応終了後、直ちに室温まで空冷した。熱分解反応によって生じたガス(Gas)はテドラーバックに全量捕集してガスクロマトグラフィー(GC-TCD)による組成分析を行った。また、内容物は直接回収後、ヘキサンを用いた抽出操作を行ってヘキサン可溶分(以下、HSと示す場合がある)とヘキサン不溶分(以下、HIと示す場合がある)に分離した。これによって得られたHSが、本発明の「石油代替液体燃料」に該当するものとなる。
4)上記3)によって得られたHSおよびHIについてはフーリエ変換型赤外分光(FT-IR)を用いた官能基分析およびCHNコーダーを用いた元素組成分析を行った。HSについては、さらに、ガスクロマトグラフ質量分析(GC-MS)を用いた化合物の定性および蒸留ガスクロマトグラフィー(DGC-FID)を用いた沸点分布測定も行った。
【実施例1】
【0019】
3.結果
1)反応条件が反応温度350℃、保持時間60分、触媒あり(反応条件:350[℃]/60[min.]/触媒あり、と示す場合がある)、または、反応温度350℃、保持時間60分、触媒なし(反応条件:350[℃]/60[min.]/触媒なし、と示す場合がある)の場合
反応条件:350[℃]/60[min.]/触媒なし、の場合の収率を表1、図1に示した。また、反応条件:350[℃]/60[min.]/触媒あり、の場合の収率を表1、図2に示した。これらに示されるように、触媒の有無に関わらず、いずれの反応条件においても、木質バイオマスとプラスチックを混合して反応させた場合、予測された計算値に比べてHSの収率が向上することが確認できた。
なお、計算値は、木質バイオマスのみのもの(重量比10:0)またはプラスチックのみのもの(重量比0:10)を同じ反応条件で反応させた場合の各成分(Gas、HS、HI)の収率について、加成則が成り立つと仮定して、それぞれの添加割合で相加平均を取った値である。
この計算値に比べて、木質バイオマスとプラスチックを混合して反応させた場合のHSの収率が向上していることから、木質バイオマスとプラスチックを混合したことにより、石油代替液体燃料の製造において、相加的ではなく、相乗的な効果が得られることが示唆された。
【実施例1】
【0020】
【表1】
JP2013170224A_000002t.gif
【実施例1】
【0021】
2)反応条件が、反応温度400℃、保持時間0分、触媒なし(反応条件:400[℃]/0[min.]/触媒なし、と示す場合がある)の場合
反応条件:400[℃]/0[min.]/触媒なし、の場合の収率を表2、図3に示した。これらに示されるように、木質バイオマスとプラスチックを混合して反応させた場合、重量比が8:2となるように混合した場合でも、重量比が5:5となるように混合した場合でも、いずれも予測された計算値に比べてHSの収率が向上することが確認できた。従って、この結果より、木質バイオマスとプラスチックを混合したことにより、石油代替液体燃料の製造において相乗的な効果が得られることが示唆された。
【実施例1】
【0022】
また、官能基分析の結果、図4に示した。その結果、木質バイオマスとプラスチックを混合して反応させた場合(重量比8:2)のHIのピークは、木質バイオマスのみのもの(重量比10:0)を反応させた場合と類似していることが確認できた。一方で、プラスチックのみのもの(重量比0:10)を反応させた場合のHIのピークはほとんど存在しておらず、この結果から、木質バイオマスがプラスチックの分解を促進しているものと示唆された。
従って、この結果より、木質バイオマスとプラスチックを混合することによって、プラスチックの液化が進み、より効率的に石油代替液体燃料が製造できることが示唆された。
【実施例1】
【0023】
【表2】
JP2013170224A_000003t.gif
【実施例1】
【0024】
3)反応条件が、反応温度400℃、保持時間60分、触媒なし(反応条件:400[℃]/60[min.]/触媒なし、と示す場合がある)の場合
反応条件:400[℃]/60[min.]/触媒なし、の場合の収率を図5に示した。図5に示されるように、木質バイオマスとプラスチックを混合して反応させた場合、重量比が8:2となるように混合した場合でも、重量比が5:5となるように混合した場合でも、いずれも予測された計算値に比べてHSの収率が向上することが確認できた。従って、この結果より、木質バイオマスとプラスチックを混合したことにより、石油代替液体燃料の製造において相乗的な効果が得られることが示唆された。
【実施例1】
【0025】
また、官能基分析の結果を図6に示した。その結果、木質バイオマスとプラスチックを混合して反応させた場合(重量比8:2または5:5)のHIのピークは、木質バイオマスのみのもの(重量比10:0)を反応させた場合と類似していることが確認できた。一方で、プラスチックのみのもの(重量比0:10)を反応させた場合のHIのピークはほとんど存在しておらず、この結果から、木質バイオマスがプラスチックの分解を促進しているものと示唆された。
【実施例1】
【0026】
さらに、ガスクロマトグラフィー(DGC-FID)による沸点分布測定の結果を図7に示した。その結果、木質バイオマスとプラスチックを混合して反応させたも場合(重量比8:2または5:5)のHSは、木質バイオマスのみのもの(重量比10:0)を反応させた場合のHS、および、プラスチックのみのもの(重量比0:10)を反応させた場合のHSに比べて高沸点留分がわずかに増加することが確認できた。
従って、この結果より、木質バイオマスとプラスチックを混合して反応させることで、木質バイオマス分解物とプラスチック分解物の分解物同士が反応し、木質バイオマス分解物同士の縮合によるHI生成を抑制するとともに、高沸点の成分が新たに生成していることが示唆された。
【実施例1】
【0027】
[試験例2]
実施例1の製造方法に従い、試験例1と同様に調整した供試材を用いて、石油代替液体燃料の製造を行った。
【実施例1】
【0028】
1.熱分解反応
表3に示した重量比で混合した各供試材を、反応条件を反応温度400℃、保持時間60分、触媒あり(反応条件: 400[℃]/60[min.]/触媒あり、と示す場合がある)として、上記2.の工程1)および2)と同様に熱分解反応し、反応終了後、直ちに室温まで空冷した。熱分解反応によって生じたガス(Gas)はテドラーバックに全量捕集してガスクロマトグラフィー(GC-TCD)による組成分析を行った。
反応によって、得られたガス(Gas)以外の内容物を直接回収した後、以下の手順によって分離した。
【実施例1】
【0029】
1)単蒸留装置の作成
セパラブルフラスコ(内容積300ml)を二口セパラブルカバーにて覆った。二口セパラブルカバーの上部口(口径小)にはキャピラリー管を改造した釜内液相温度計測用の熱電対カバーに用いるガラス器具を装着した。セパラブルカバーの上部口(口径大)にはクライゼン管を連結し、クライゼン管の上部口(口径大)は共栓にて密封した。クライゼン管の上部口(口径小)にはキャピラリー管を改造した気相温度測定用の熱電対カバーに用いるガラス器具を装着した。クライゼン管の横部出口には50cmの冷却管を接続した。冷却管の先には三又分岐管を接続した。三又分岐管の各下方出口に対して凝縮液成分回収用のガラス器具と装置系密閉用のガラス器具を接続した。三又分岐管の上部出口についてはゴム管を用いて液体回収用のトラップに接続した。蒸留操作中のトラップについてはドライアイスを用いて冷却した。トラップについては分岐したゴム管を用いて真空ポンプおよびニードルバルブを接続した位牌型マノメーターに接続した。いずれの接続部分においても真空用グリースを用いて密封した。釜内および気相部分については熱電対を用いて温度測定を行った。これを単蒸留装置とした。
【実施例1】
【0030】
2)分離
反応によって得られた内容物を上記の単蒸留装置に仕込み、単蒸留装置をマントルヒータおよびリボンヒータを用いて加熱した。各温度留出分については冷却管を水およびドライアイスを用いて冷却し、凝縮させた。I.B.P~b.p.180℃留分の回収については常圧にて行った。b.p.180~350℃留分についてはJIS-K2254(石油製品—蒸留試験方法)に準拠した減圧蒸留操作を行い、温度および圧力を操作して回収した。詳細には、温度180℃、圧力760mmHgから温度230℃、圧力30mmHg条件までの留出凝縮物をb.p.180~350℃留分(軽油留分)とした。釜残分についてはヘキサン抽出を行い、ヘキサン可溶分を重油留分、ヘキサン不溶分を残渣とした。
I.B.P~b.p.180℃留分については静置分離を行い、水溶性成分とガソリン留分に分別した。このようにして分離した各留分の収率を表3に示した。これによって得られた重油留分、軽油留分、ガソリン留分等が、本発明の「石油代替液体燃料」に該当するものとなる。
なお、計算値として、木質バイオマスのみのもの(重量比10:0)またはプラスチックのみのもの(重量比0:10)を同じ反応条件で反応させた場合の各留分(残渣、重油留分、軽油留分、ガソリン留分、Gas)の収率について、加成則が成り立つと仮定して、それぞれの添加割合で相加平均を取った値も表3に示した。
【実施例1】
【0031】
【表3】
JP2013170224A_000004t.gif
【実施例1】
【0032】
2.結果
反応条件:400[℃]/60[min.]/触媒あり、の場合の収率を表3、図8に示した。
その結果、木質バイオマスのみのもの(重量比10:0)を反応させた場合は、重油留分は得られなかったが、木質バイオマスとプラスチックと混合して反応させた場合(重量比2:8)、プラスチックのみのもの(重量比0:10)を反応させた場合と同様に、重油留分が得られた。
また、木質バイオマスとプラスチックを混合して反応させた場合(重量比2:8)でも、木質バイオマスとプラスチックを同量混合して反応させた場合(重量比5:5)でも計算値と比べて、残渣があきらかに少なくなり、軽油留分、ガソリン留分等の収率が向上することが確認できた。従って、この結果より、木質バイオマスとプラスチックを混合したことにより、石油代替液体燃料の製造において相乗的な効果が得られることが示唆された。
【実施例1】
【0033】
軽油留分についてガスクロマトグラフ質量分析(GC-MS)を用いた化合物の定性を行った。その結果、図9に示したように、木質バイオマスとプラスチックと混合して反応させた場合(重量比2:8、5:5)、木質バイオマスのみのもの(重量比0:10)を反応させた場合、およびプラスチックのみのもの(重量比0:10)を反応させた場合と比べてそれぞれのピーク強度が高くなっていることが確認できた。従って、この結果から、木質バイオマスとプラスチックが相互に作用することで、分解が進行したことが示唆された。
【実施例1】
【0034】
また、重油留分および残渣について、フーリエ変換型赤外分光(FT-IR)を用いた官能基分析を行った。その結果、図10に示したように、木質バイオマスとプラスチックと混合して反応させた場合(重量比2:8)、木質バイオマスのみのもの(重量比0:10)を反応させた場合、およびプラスチックのみのもの(重量比0:10)を反応させた場合のいずれにおいても、溶媒である鉱油が含まれていると考えられる重油留分のピークが変化しないことから、溶媒は不活性であり、反応には関与せず熱媒体としてのみ作用することが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明の製造方法により、間伐材、建築廃材、廃プラスチックおよびこれらの混合廃棄物を主原料として、高質な石油代替液体燃料を効率的に製造することが可能となる。本発明によって得られる高質な石油代替液体燃料は、製造業等の分野において幅広く活用することができる。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9