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明細書 :脳活動状態解析装置、脳活動状態解析方法、及び脳活動状態解析プログラム

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第6008099号 (P6008099)
公開番号 特開2014-023866 (P2014-023866A)
登録日 平成28年9月23日(2016.9.23)
発行日 平成28年10月19日(2016.10.19)
公開日 平成26年2月6日(2014.2.6)
発明の名称または考案の名称 脳活動状態解析装置、脳活動状態解析方法、及び脳活動状態解析プログラム
国際特許分類 A61B  10/00        (2006.01)
FI A61B 10/00 E
A61B 10/00 H
請求項の数または発明の数 8
全頁数 17
出願番号 特願2012-168838 (P2012-168838)
出願日 平成24年7月30日(2012.7.30)
新規性喪失の例外の表示 特許法第30条第2項適用 2012年7月5日発行の第14回日本ヒト脳機能マッピング学会プログラム・抄録集(第58頁)にて公表
審査請求日 平成27年7月6日(2015.7.6)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】899000057
【氏名又は名称】学校法人日本大学
発明者または考案者 【氏名】綱島 均
【氏名】酒谷 薫
【氏名】柳沢 一機
個別代理人の代理人 【識別番号】100107766、【弁理士】、【氏名又は名称】伊東 忠重
【識別番号】100070150、【弁理士】、【氏名又は名称】伊東 忠彦
審査官 【審査官】福田 裕司
参考文献・文献 特許第5733117(JP,B2)
国際公開第2010/098284(WO,A1)
国際公開第03/068070(WO,A1)
特開2005-296231(JP,A)
浅賀 恭平 他,”近赤外分光法によるブレイン・コンピュータ・インターフェースを目的としたニューロフィードバックトレーニング”,日本大学生産工学部第44回学術講演会講演概要,2011年12月 3日,119~120頁
調査した分野 A61B 10/00
特許請求の範囲 【請求項1】
脳活動上のタスクが与えられた対象者の脳活動を測定した測定結果に基づき生成される指標データであって、前記タスクに対応付けられた指標データを、前記指標値と前記指標値の時間微分値とを二軸とする位相平面上のデータに変換する変換手段と、
前記変換された位相平面上のデータを前記タスクの状態毎にグループ分けし、該分けられたグループの分離程度を評価した評価値を算出する評価値算出手段と、
前記評価値算出手段により算出された評価値を確認可能な態様の画像を表示するための画像データを生成する画像データ生成手段と、
を備え
前記画像データ生成手段は、前記評価値に応じた色彩を有する画像と、前記評価値に応じた輝度を有する画像の少なくとも一方を表示するための画像データを生成する手段である脳活動状態解析装置。
【請求項2】
請求項1に記載の脳活動状態解析装置であって、
前記測定結果は、複数の測定ポイントで測定された複数の測定結果であり、
前記変換手段は、前記複数の測定結果に基づく複数の指標データのそれぞれに対して前記変換を行い、
前記評価値算出手段は、前記変換手段による複数の変換結果のそれぞれに対して前記評価値を算出し、
前記画像データ生成手段は、前記複数の測定ポイントと前記評価値との対応関係が確認可能な態様の画像を表示するための画像データを生成する、
脳活動状態解析装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の脳活動状態解析装置であって、
前記評価値は、前記グループ内のデータの散らばりが小さい程大きくなる傾向、及び/又は前記グループ間のデータの散らばりが大きい程大きくなる傾向を有する値である、
脳活動状態解析装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項記載の脳活動状態解析装置であって、
前記画像データ生成手段は、前記評価値を表すグラフ要素を含む画像を表示するための画像データを生成する手段である、
脳活動状態解析装置。
【請求項5】
請求項1ないし3のいずれか1項記載の脳活動状態解析装置であって、
前記画像データ生成手段は、前記評価値がテキスト表示された画像を表示するための画像データを生成する手段である、
脳活動状態解析装置。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか1項記載の脳活動状態解析装置であって、
前記測定データは、前記対象者の体に光を照射する光照射手段と、前記対象者の体から放出される光を受光する受光手段と、を備える送受光装置から入力される測定データである、
脳活動状態解析装置。
【請求項7】
脳活動状態解析装置が、
脳活動上のタスクが与えられた対象者の脳活動を測定した測定結果に基づき生成される指標データであって、前記タスクに対応付けられた指標データを、前記指標値と前記指標値の時間微分値とを二軸とする位相平面上のデータに変換し、
前記変換された位相平面上のデータを前記タスクの状態毎にグループ分けし、該分けられたグループの分離程度を評価した評価値を算出し、
前記評価値算出手段により算出された評価値に応じた色彩を有する画像と、前記評価値に応じた輝度を有する画像の少なくとも一方を表示するための画像データを生成する、
脳活動状態解析方法。
【請求項8】
脳活動状態解析装置に、
脳活動上のタスクが与えられた対象者の脳活動を測定した測定結果に基づき生成される指標データであって、前記タスクに対応付けられた指標データを、前記指標値と前記指標値の時間微分値とを二軸とする位相平面上のデータに変換させ、
前記変換された位相平面上のデータを前記タスクの状態毎にグループ分けし、該分けられたグループの分離程度を評価した評価値を算出させ、
前記評価値算出手段により算出された評価値に応じた色彩を有する画像と、前記評価値に応じた輝度を有する画像の少なくとも一方を表示するための画像データを生成させる、
脳活動状態解析プログラム。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、NIRS(Near Infra-Red Spectroscopy)を利用して脳の活動を解析する脳活動状態解析装置、脳活動状態解析方法、及び脳活動状態解析プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、BCI(Brain Computer Interface)についての研究が進められている。BCIとは、人間が脳で考えることを脳神経情報として取り出し、機械に入力することにより機器を制御するシステムである。手足を動かすことなく脳神経情報から直接機器の操作をすることができれば、例えば身体障害者など、体を動かせない患者に対する介護ロボットへの応用などが期待できる。
【0003】
BCIを実現するために、例えばNIRSが用いられる。人の血中に含まれるヘモグロビンは、酸素と結合して酸素化ヘモグロビン(oxy-Hb)となったり、酸素と離れて脱酸素化ヘモグロビン(deoxy-Hb)となることにより、血液中で酸素を運搬する役割を果たしている。また、人の脳内では、血流再配分作用によって活性化している部位には酸素供給が行われ、酸素と結合したオキシヘモグロビンの量が増加している。酸素化ヘモグロビンと脱酸素化ヘモグロビンは、可視光から近赤外領域にかけて異なる分光吸収スペクトル特性を有しているので、近赤外光を用いて酸素化ヘモグロビン濃度及び脱酸素化ヘモグロビン濃度を推定することができる。従って、NIRSを人の頭部に装着して測定データを解析することにより、人の脳活動の状態を解析することができる。
【0004】
特許文献1には、送光プローブ(光照射部)と受光プローブ(受光部)が行方向及び列方向に交互となるように正方格子状に配置されたNIRSについて記載されている。近赤外光は、皮膚組織や骨組織を透過し、血液中のオキシヘモグロビン、デオキシヘモグロビンにより吸収される。
【0005】
また、ニューロフィードバックという技術についても研究が進められている。ニューロフィードバックとは、BCIを利用する対象者が、自身の脳活動状態を知覚できるように提示することで、自身の脳活動を随意制御できるように訓練する技術である。ニューロフィードバックには、うつ病などの精神疾患の治療・予防への応用の可能性が期待されている。
【0006】
ところで、ニューロフィードバックによる訓練を行った効果を知るために、例えば、対象者がBCIを利用し、利用期間における脳活動の状態を調べるといった検証が行われる。
【0007】
特許文献2には、タスクを与えた際の酸化ヘモグロビン濃度を、チャネル毎に表示する技術について記載されている。また、特許文献3には、測定位置に関連付けて酸化ヘモグロビンの濃度を表示する技術について記載されている。
【先行技術文献】
【0008】

【特許文献1】特開2008-64675号公報
【特許文献2】特開2009-285000号公報
【特許文献3】特開2009-172177号公報
【特許文献4】特願2005-244370
【特許文献5】特開2007-54376
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、脳活動上のタスクを与えた際にNIRSにより測定される酸化ヘモグロビンの濃度には、対象者の頭部の形状、頭蓋骨の厚さ、脳血管の太さ、髪の生え具合等に起因する個人差があり、これを単に評価者に提示したとしても、評価者が脳活動状態を適正に把握することができない場合がある。
【0010】
本発明はこのような課題を解決するためのものであり、脳活動状態を適正に把握するための情報提供を行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するための一態様は、
脳活動上のタスクが与えられた対象者の脳活動を測定した測定結果に基づき生成される指標データであって、前記タスクに対応付けられた指標データを、前記指標値と前記指標値の時間微分値とを二軸とする位相平面上のデータに変換する変換手段と、
前記変換された位相平面上のデータを前記タスクの状態毎にグループ分けし、該分けられたグループの分離程度を評価した評価値を算出する評価値算出手段と、
前記評価値算出手段により算出された評価値を確認可能な態様の画像を表示するための画像データを生成する画像データ生成手段と、
を備え
前記画像データ生成手段は、前記評価値に応じた色彩を有する画像と、前記評価値に応じた輝度を有する画像の少なくとも一方を表示するための画像データを生成する手段である脳活動状態解析装置である。

【発明の効果】
【0012】
一態様によれば、脳活動状態を適正に把握するための情報提供を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】ニューロフィードバックトレーニングが行われる様子を模式的に示す図である。
【図2】NIRS100の構成を例示した図である。
【図3】脳活動状態解析装置1のハードウエア構成例である。
【図4】脳活動状態解析装置1がニューロフィードバックトレーニングを行うために機能させる機能部の機能構成例である。
【図5】酸素化ヘモグロビン(oxy-Hb)の濃度と表示色の関係を例示した図である。
【図6】対象者200に与えられる脳活動上のタスクの状態変化を例示した図である。
【図7】脳活動状態解析装置1が解析処理を行うために機能させる機能部の機能構成例である。
【図8】入力された[oxy-Hb]からノイズ除去後のデータ[oxy-Hb*]を得る様子を示す図である。
【図9】指標値(oxy-Hb*)と微分値d(oxy-Hb*)/dtの時間変化を示す図である。
【図10】指標値(oxy-Hb*)と、その微分値d(oxy-Hb*)/dtを位相平面上に展開したデータを示す図である。
【図11】分離度Jσを概念的に示す図である。
【図12】グループ内分散σ2Wを概念的に示す図である。
【図13】グループ間分散σ2Bを概念的に示す図である。
【図14】ある対象者200がニューロフィードバックトレーニングを行った前後において測定された測定データから得られた、位相平面上に展開したデータと分離度Jσを並べて示す図である。
【図15】表示装置24に表示される画像24Aの一例である。
【図16】トレーニングの前後においてA群の参加者から測定された測定データから得られた、最も分離度Jσが大きい測定ポイントについての位相平面上に展開したデータと、分離度Jσの参加者平均、測定ポイント毎の分離度Jσを確認可能な画像を並べて示す図である。
【図17】トレーニングの前後においてB群の参加者から測定された測定データから得られた、最も分離度Jσが大きい測定ポイントについての位相平面上に展開したデータと、分離度Jσの参加者平均、測定ポイント毎の分離度Jσを確認可能な画像を並べて示す図である。
【図18】トレーニングの前後においてC群の参加者から測定された測定データから得られた、最も分離度Jσが大きい測定ポイントについての位相平面上に展開したデータと、分離度Jσの参加者平均、測定ポイント毎の分離度Jσを確認可能な画像を並べて示す図である。
【図19】脳活動状態解析装置1の他の利用態様を示す図である。
【図20】酸素化ヘモグロビンの濃度に応じて気球が上下し、向かってくるカラスを避けるというゲームの画面例である。
【図21】NIRS100よりも測定ポイント数が少ない簡易なNIRSの外観構成例である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための形態について、添付図面を参照しながら実施例を挙げて説明する。
【実施例】
【0015】
以下、図面を参照し、本発明の一実施例に係る脳活動状態解析装置、脳活動状態解析方法、及び脳活動状態解析プログラムについて説明する。
【実施例】
【0016】
[ニューロフィードバックトレーニング]
まず、ニューロフィードバックトレーニングについて説明する。図1はニューロフィードバックトレーニングが行われる様子を模式的に示す図である。ニューロフィードバックトレーニングを行う対象者200の頭部には、例えば、NIRS100が装着される。
【実施例】
【0017】
図2は、NIRS100の構成を例示した図である。NIRS100は、対象者200の頭部に被せられるホルダ102と、複数の送光ファイバ104と、複数の受光ファイバ106と、受光装置110と、近赤外光発生装置112と、処理装置114と、を備える。
【実施例】
【0018】
ホルダ102には、複数の送光ファイバ104及び複数の受光ファイバ106の先端が装着される。ホルダ102は、対象者200の頭部に被せられることにより、複数の送光ファイバ104及び複数の受光ファイバ106の先端を対象者200の頭部に密着させる。
【実施例】
【0019】
図示するように、送光ファイバ104と受光ファイバ106は、行方向及び列方向に交互となるように正方格子状に配置される。送光ファイバ104の他端には、近赤外光発生装置112が接続され、近赤外光発生装置112から近赤外光が供給される。送光ファイバ104は、近赤外光発生装置112により供給された近赤外光を被験者側の先端から送出し、対象者200の頭部に照射する。送光ファイバ104から送出された近赤外光は、対象者200の頭部内に入射する。対象者200の頭部内に入射した近赤外光は、受光ファイバ106の先端に入射して受光装置110に入力される。受光装置110は、受光ファイバ106から供給される近赤外光を電気信号に変換して処理装置114に出力する。
【実施例】
【0020】
処理装置114は、受光装置110から入力された電気信号を解析し、酸素化ヘモグロビン(oxy-Hb)と脱酸素化ヘモグロビン(deoxy-Hb)の濃度を測定する。処理装置には、操作パネル116、表示装置118が取り付けられており、種々の操作及び状態表示が可能となっている。また、処理装置114により測定された酸素化ヘモグロビンと脱酸素化ヘモグロビンの濃度は、インタフェース120を介して脳活動状態解析装置1に出力される。
【実施例】
【0021】
ここで、対象者200の頭部において酸素化ヘモグロビンの濃度等が測定された箇所(図中、□で示す複数の測定ポイント108)は、送光ファイバ104と受光ファイバ106の中点と仮想的に見なすことができる。送光ファイバ104と受光ファイバ106は複数存在するため、測定ポイント108も複数存在することになる。図2における□内の数字(1~42)は、測定ポイント108の識別ナンバーである。
【実施例】
【0022】
NIRS100は、こうした複数の測定ポイント108のそれぞれについての酸素化ヘモグロビンの濃度等を、同時に又は順次測定し、測定ポイント108に付随するリアルタイムデータとして脳活動状態解析装置1に出力する。なお、NIRS100の態様は上記説明したものに限らず、如何なる態様であってもよい。
【実施例】
【0023】
本実施例では、ニューロフィードバックトレーニングの際に用いられる脳活動状態解析装置1とトレーニング結果の解析に用いられる脳活動状態解析装置1が同体であるものとして説明するが、ニューロフィードバックトレーニングの際に用いられる脳活動状態解析装置1とトレーニング結果の解析に用いられる脳活動状態解析装置1は別体であってもよい。また、後述するように、ニューロフィードバックトレーニングの際に用いられるNIRS100とトレーニング結果の解析に用いられるNIRS100は異なるものであってもよい。
【実施例】
【0024】
図3は、脳活動状態解析装置1のハードウエア構成例である。脳活動状態解析装置1は、例えば、CPU(Central Processing Unit)10と、ドライブ装置12と、補助記憶装置16と、メモリ装置18と、インタフェース装置20と、入力装置22と、表示装置24と、を備える。これらの構成要素は、バスやシリアル回線等を介して接続されている。
【実施例】
【0025】
CPU10は、例えば、プログラムカウンタや命令デコーダ、各種演算器、LSU(Load Store Unit)、汎用レジスタ等を有するプロセッサである。ドライブ装置12は、記憶媒体14からプログラムやデータを読み込み可能な装置である。プログラムを記録した記録媒体14がドライブ装置12に装着されると、プログラムが記録媒体14からドライブ装置12を介して補助記憶装置16にインストールされる。記録媒体14は、例えば、CD-ROM、DVDディスク、USBメモリ等の可搬型の記録媒体である。また、補助記憶装置16は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリである。
【実施例】
【0026】
プログラムのインストールは、上記のように記憶媒体14を用いる他、インタフェース装置20がネットワークを介して他のコンピュータよりダウンロードし、補助記憶装置16にインストールすることによって行うこともできる。また、脳活動状態解析装置1の出荷時に、予め補助記憶装置16やROM(Read Only Memory)等に格納されていてもよい。このようにしてインストール又は予め格納されたプログラムをCPU10が実行することにより、図1に示す態様の情報処理装置が、本実施例の脳活動状態解析装置1として機能することができる。
【実施例】
【0027】
メモリ装置18は、例えば、RAM(Random Access Memory)やEEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)である。インタフェース装置20は、上記ネットワークとの接続等を制御する。入力装置22は、例えば、キーボードやマウス、タッチパッド、タッチパネル、マイク等である。また、表示装置24は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)やCRT(Cathode Ray Tube)等の表示装置である。
【実施例】
【0028】
図4は、脳活動状態解析装置1がニューロフィードバックトレーニングを行うために機能させる機能部の機能構成例である。脳活動状態解析装置1は、トレーニングタスク制御部26と、表示色制御部28とを備える。これらの機能部は、補助記憶装置16等に格納されたプログラム・ソフトウエアをCPU10が実行することにより機能する。なお、各機能部が明確に別のプログラムにより実現される必要はなく、いずれかの機能部が、サブルーチン等として他の機能部により呼び出されるものであっても構わない。また、このようなソフトウエアブロックに限らず、IC(Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウエアによって、これらの機能部のうち一部が実現されてもよい。
【実施例】
【0029】
トレーニングタスク制御部26は、対象者200に与えられる脳活動上のタスクの開始と終了の合図を送るための表示を表示装置24に行わせたり、図示しないスピーカー、ブザー、バイブレータ等を駆動したりする。
【実施例】
【0030】
表示色制御部28は、例えば、上記説明した複数の測定ポイント108のうち、酸素化ヘモグロビンの濃度変動が顕著なチャンネルを選択し、その濃度変動を色の変化として表示装置24に表示させる。表示色制御部28は、例えば、酸素化ヘモグロビンの濃度が最も高い領域では赤を表示させ、酸素化ヘモグロビンの濃度が中程度の領域で緑を表示させ、酸素化ヘモグロビンの濃度が最も低い領域では青を表示させる。表示色は、例えば、数十段階で変化させる。図5は、酸素化ヘモグロビン(oxy-Hb)の濃度と表示色の関係を例示した図である。
【実施例】
【0031】
そして、対象者に与えられる脳活動上のタスクは、例えば、「表示装置24に表示される表示色が赤に変化するように念ずる」というものである。
【実施例】
【0032】
トレーニングタスク制御部26は、例えば、レスト期間(何も思念せずに休憩する期間)15秒、タスク期間(表示装置24に表示される表示色が赤に変化するように念ずる期間)30秒、レスト期間15秒を1セットとして、複数セットを繰り返すように、表示装置24等を制御する。図6は、対象者200に与えられる脳活動上のタスクの状態変化を例示した図である。
【実施例】
【0033】
このようなニューロフィードバックトレーニングには、うつ病などの精神疾患の治療・予防への応用の可能性が期待されている。
【実施例】
【0034】
[トレーニング結果の解析]
ニューロフィードバックトレーニングを行う際には、その効果が十分に生じたか否かを判定するニーズが生じる。脳活動状態解析装置1は、トレーニング前後において、操作者の操作に応じて、以下に説明するような解析処理を行う。
【実施例】
【0035】
図7は、脳活動状態解析装置1が解析処理を行うために機能させる機能部の機能構成例である。脳活動状態解析装置1は、タスク制御部30と、指標データ生成部32と、データ変換部34と、評価値算出部36と、画像データ生成部38と、を備える。これらの機能部は、補助記憶装置16等に格納されたプログラム・ソフトウエアをCPU10が実行することにより機能する。なお、各機能部が明確に別のプログラムにより実現される必要はなく、いずれかの機能部が、サブルーチン等として他の機能部により呼び出されるものであっても構わない。また、このようなソフトウエアブロックに限らず、ICやFPGA等のハードウエアによって、これらの機能部のうち一部が実現されてもよい。
【実施例】
【0036】
以下、解析処理において機能する各機能部について説明する。以下、NIRS100から入力される各時点の酸素化ヘモグロビンの濃度を、(oxy-Hb)と表記する。また、(oxy-Hb)が時刻に応じて変動する時系列データを[oxy-Hb]と表記する。
【実施例】
【0037】
タスク制御部30は、トレーニングタスク制御部26と同様に、対象者200に与えられる脳活動上のタスクの開始と終了の合図を送るための表示を表示装置24に行わせたり、図示しないスピーカー、ブザー、バイブレータ等を駆動したりする。解析処理時に対象者に与えられる脳活動上のタスクは、トレーニング時と同じ内容であってもよいし、異なる内容であってもよい。また、タスク期間とレスト期間の関係も、トレーニング時と同じであってもよいし、異なってもよい。また、タスク制御部30は、レスト期間とタスク期間の切り替わりのタイミング及びどちらの期間に切り替わったかを、指標データ生成部32に通知する。
【実施例】
【0038】
指標データ生成部32は、NIRS100から入力された[oxy-Hb]に対してノイズ除去処理を行い、ノイズ除去後のデータ[oxy-Hb*](特許請求の範囲における「指標データ」に相当する)を生成する。ノイズ除去処理は、例えば離散ウェーブレット変換による多重解像度解析によって行われる。
【実施例】
【0039】
図8は、入力された[oxy-Hb]からノイズ除去後のデータ[oxy-Hb*]を得る様子を示す図である。図中、右上の信号がNIRS100から入力された[oxy-Hb](原信号)である。また、左側の各図は、[oxy-Hb]を周波数別に10段階に分解したデータ(d~d10)を示している。図中、括弧内の数値は周期を示す。周期が最も短いd、dは、NIRS100のノイズを示し、d、dは、呼吸による影響と考えられる。また、d、dは、血圧変動・体温調整による影響などが含まれていると考えられる。指標データ生成部32は、例えば、タスクとレストの周期が50秒であるため、それと同様の周期を有するdと、その前後のd、dを必要なデータとして扱い、更に長い周期のd10はトレンド成分として無視できるものとする。そして、d~dに対して加重和を求めたり、加算を行ったりすることにより、ノイズ除去後のデータ[oxy-Hb*]を生成する。なお、離散ウェーブレット変換による多重解像度解析については、<特願2005-244370/特開2007-54376>において、より詳細に説明されている。
【実施例】
【0040】
ノイズ除去後のデータ[oxy-Hb*]は、指標値(oxy-Hb*)が変動するリアルタイムデータとして逐次、データ変換部34に供給され、或いは一定期間のデータセット[oxy-Hb*]としてメモリ装置18に格納される。また、指標値(oxy-Hb*)には、時刻に応じて変動する値であると共に、タスク制御部30から入力されたデータに基づき判別されるタスクの状態が付与されている。すなわち、指標値(oxy-Hb*)には、NIRS100により計測された時刻において、タスクの状態がレストであったか、タスクであったかを判別するための情報が付与されている。
【実施例】
【0041】
なお、ノイズ除去処理として離散ウェーブレット変換による多重解像度解析を採用するのはあくまで一例であり、移動平均を求める等、他の手法を用いても構わない。また、精度上の問題は生じるが、「指標データ」はノイズ除去を行わない生データ[oxy-Hb]であっても構わない(この場合、指標データ生成部32は、NIRS100から入力された(oxy-Hb)をそのままメモリ装置18に格納したり、データ変換部34に供給したりする)。
【実施例】
【0042】
データ変換部34はまず、指標データ生成部32により生成されたノイズ除去後の指標値(oxy-Hb*)の時間微分値d(oxy-Hb*)/dtを求める(以下、単に微分値と表記する)。ノイズ除去後の指標値(oxy-Hb*)と、その時間微分値d(oxy-Hb*)/dtは、例えば、所定時間毎にサンプリングされたデータの集合である。図9は、指標値(oxy-Hb*)と微分値d(oxy-Hb*)/dtの時間変化を示す図である。図中、実線は指標値(oxy-Hb*)の時間変化を示し、破線は微分値d(oxy-Hb*)/dtの時間変化を示している。
【実施例】
【0043】
データ変換部34は、更に、指標値(oxy-Hb*)と、その微分値d(oxy-Hb*)/dtを二軸とする位相平面上に、指標値(oxy-Hb*)と微分値d(oxy-Hb*)/dtを成分とする各座標、すなわち、所定時間毎にサンプリングされた指標値(oxy-Hb*)と微分値d(oxy-Hb*)/dtの組に相当する座標をプロットする。プロットされる各座標には、タスクの状態が付与されている。図10は、指標値(oxy-Hb*)と、その微分値d(oxy-Hb*)/dtを位相平面上に展開したデータを示す図である。図中、矢印は、指標値(oxy-Hb*)に対応する元データ(oxy-Hb)が測定された時刻の経過を示している。また、図中、実線はタスク期間に測定された(oxy-Hb)に相当する座標の軌跡であることを示し、破線はレスト期間に測定された(oxy-Hb)に相当する座標の軌跡であることを示している。このように、指標値(oxy-Hb*)と、その微分値d(oxy-Hb*)/dtを二軸とする位相平面上では、タスク期間に相当する座標群と、レスト期間に相当する座標群は、それぞれが、ある程度のまとまりをもって出現する傾向を示す。大まかにいうと、タスク期間に相当する座標は、位相平面における上半分の領域((oxy-Hb*)が高い領域)に出現し、レスト期間に相当する座標は、位相平面における下半分の領域((oxy-Hb*)が低い領域)に出現する傾向を示す。
【実施例】
【0044】
位相平面上に展開されたデータは、複数の測定ポイント毎に得られたデータに基づいている。従って、複数の測定ポイント毎に、位相平面上に展開されたデータが存在することになる。
【実施例】
【0045】
評価値算出部36は、複数の測定ポイント毎に、タスク期間に相当する座標の軌跡と、レスト期間に相当する座標の軌跡が明確に分離しているか否か(分離程度)を表す指標値である分離度を算出する。
【実施例】
【0046】
評価値算出部36は、上記明確に分離していることを示す評価値として、位相平面上の座標群におけるグループ内分散σ2Wで、グループ間分散σ2Bを除算して分離度Jσを算出する(次式(1))参照)。ここで、グループは、タスク期間とレスト期間のいずれにおいて測定されたデータによるものであるかによって決定される。なお、「何回目の」タスク期間/レスト期間であるか、については考慮しない。図11は、分離度Jσを概念的に示す図である。
【実施例】
【0047】
σ=σ2B/σ2W …(1)
【実施例】
【0048】
グループ内分散σ2Wとは、位相平面上における、タスク期間とレスト期間のそれぞれのグループに属する座標群内の分散であり、次式(2)で表される。式中、nは総座標数であり、iはグループ(タスク期間/レスト期間)を示す識別子であり、cはグループ数(本実施例では2)である。また、xkは順番にサンプリングされる座標であり、niは各グループに属する座標数であり、miはグループ内の全座標の重心である。式(2)から分かるように、グループ内分散σ2Wは、グループ内のデータの散らばりを表す値である。グループ内分散σ2Wが小さい程、同じ傾向を有する座標群の特徴が精度よく表れていると考えられる。図12は、グループ内分散σ2Wを概念的に示す図である。
【実施例】
【0049】
【数1】
JP0006008099B2_000002t.gif
【実施例】
【0050】
一方、グループ間分散σ2Bとは、位相平面上における、タスク期間のグループとレスト期間のグループとの分散であり、次式(3)で表される。式中、mはグループを問わない全ての座標の重心である。式(3)から分かるように、グループ間分散σ2Bは、グループ同士の散らばり(距離)を表す値である。グループ間分散σ2Bが大きい程、異なる傾向を有する座標群が明確に分離していることになる。図13は、グループ間分散σ2Bを概念的に示す図である。
【実施例】
【0051】
【数2】
JP0006008099B2_000003t.gif
【実施例】
【0052】
これらより、グループ内分散σ2Wが小さい程、そしてグループ間分散σ2Bが大きい程、タスク期間とレスト期間の座標群が明確に分離し、且つそれぞれがまとまっているため、対象者200の脳活動状態が、タスク期間とレスト期間で明確に異なっていると考えられる。
【実施例】
【0053】
図14は、ある対象者200がニューロフィードバックトレーニングを行った前後において測定された測定データから得られた、位相平面上に展開したデータと分離度Jσを並べて示す図である。トレーニング後のデータは、タスク期間に相当する座標の軌跡と、レスト期間に相当する座標の軌跡が明確に分離しているため、分離度Jσがトレーニング前に比して上昇している。これにより、ニューロフィードバックトレーニングによって、脳活動がタスクに応じて活発になることが把握される。
【実施例】
【0054】
このような手法で算出される分離度Jσは、単なる酸素化ヘモグロビンの濃度(oxy-Hb)よりも、脳活動が活発になった度合いを客観的に示す指標値である。前述したように、脳活動上のタスクを与えた際にNIRSにより測定される酸化ヘモグロビンの濃度には、対象者の頭部の形状、頭蓋骨の厚さ、脳血管の太さ、髪の生え具合等に起因する個人差があり、これを単に評価者に提示したとしても、評価者が脳活動状態を適正に把握することができないからである。
【実施例】
【0055】
従って、本実施例の脳活動状態解析装置1は、画像データ生成部38が、分離度Jσを確認可能な態様の画像を提示することにより、脳活動状態を適正に把握するための情報提供を行うことができる。
【実施例】
【0056】
なお、評価値算出部36が算出する評価値は、上式(1)で示される分離度Jσを採用することが好ましいが、次式(4)~(6)で例示されるように、分離度Jσと同様の性質を示す値であれば、これらを採用しても構わない。また、式(4)の各項に係数を乗じたり、定数を加減したり、対数や指数を求める等、適合性向上のための変形等は許容される。
【実施例】
【0057】
(評価値*)=σ2B-σ2W …(4)
(評価値**)=σ2B …(5)
(評価値***)=1/σ2W …(6)
【実施例】
【0058】
画像データ生成部38は、例えば、矩形の表示領域における測定ポイントに対応する複数の箇所の色彩を、分離度Jσに応じた色彩とした画像を表示装置24に表示させる。画像データ生成部38は、当該画像を表示するための画像データを生成して表示装置24に出力する。
【実施例】
【0059】
図15は、表示装置24に表示される画像24Aの一例である。画像データ生成部38は、例えば、分離度Jσが最も高い領域にある測定ポイントに対応する箇所を赤で表示させ、分離度Jσが中程度の領域にある測定ポイントに対応する箇所を緑で表示させ、分離度Jσが最も低い領域にある測定ポイントに対応する箇所を青で表示させる。なお、画像24Aでは、測定ポイント間の中間領域について補間を行い、分離度Jσが連続的に変化するかのように見せてもよい。
【実施例】
【0060】
係る画像を表示することによって、画像を見た評価者(対象者200と同一人であっても構わない)は、対象者200の脳のどの部分の活動が活発化されたかを明確に把握することができる。すなわち、評価者が、脳活動状態の変化を適正に把握することができる。
【実施例】
【0061】
[実験結果]
なお、本出願の発明者は、分離度Jσが脳活動状態の変化を適正に示す指標値であることを確認するために、以下の実験を行った。まず、複数の実験参加者を、それぞれ複数人を含むA群、B群、C群の三群に分けた。A群の実験参加者に対しては、数日間、前述のように酸素化ヘモグロビンの濃度に応じて表示色を変化させつつニューロフィードバックトレーニングを行わせた。B群の参加者に対しては、数日間、酸素化ヘモグロビンの濃度に応じた表示を行わずに思念トレーニングのみを行わせた(例えば、青色表示を赤に変化させるように念じさせるが、表示色は青色のままに維持した)。そして、C群の参加者に対しては、数日間、何もトレーニングを行わずに経過させた。なお、NIRS100としては、図2で例示したものを用いた。
【実施例】
【0062】
図16は、トレーニングの前後においてA群の参加者から測定された測定データから得られた、最も分離度Jσが大きい測定ポイントについての位相平面上に展開したデータと、分離度Jσの参加者平均、測定ポイント毎の分離度Jσを確認可能な画像を並べて示す図である。図17は、トレーニングの前後においてB群の参加者から測定された測定データから得られた、最も分離度Jσが大きい測定ポイントについての位相平面上に展開したデータと、分離度Jσの参加者平均、測定ポイント毎の分離度Jσを確認可能な画像を並べて示す図である。図18は、トレーニングの前後において(実際は何もしていないが)C群の参加者から測定された測定データから得られた、最も分離度Jσが大きい測定ポイントについての位相平面上に展開したデータと、分離度Jσの参加者平均、測定ポイント毎の分離度Jσを確認可能な画像を並べて示す図である。
【実施例】
【0063】
図16~18に示すように、トレーニングの効果が最も大きいであろうA群の実験参加者について、分離度Jσの上昇が2ポイントを超え、最も大きくなることが確認された。
【実施例】
【0064】
[まとめ]
以上説明した本実施例の脳活動状態解析装置1によれば、脳活動状態を適正に把握するための情報提供を行うことができる。
【実施例】
【0065】
以上、本発明を実施するための最良の形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。
【実施例】
【0066】
例えば、上記実施例では、脳活動状態解析装置1に付随する表示装置24が、分離度Jσを確認可能な画像を表示するものとしたが、これに限られない。例えば、図19に示すように、脳活動状態解析装置1が遠隔地に存在する端末300に画像を表示するための画像データを送信し、端末300の表示装置310が画像データに基づき表示を行い、評価者320が表示装置310により表示された画像を見てトレーニングの効果を評価するといった態様で利用されてもよい。
【実施例】
【0067】
また、分離度Jσを確認可能な画像は、色彩によって測定ポイント毎の分離度Jσを表現するのに限られず、輝度、棒グラフ、円グラフ、テキスト表示を測定ポイントに対応する箇所に表示するものであってもよい。
【実施例】
【0068】
同様に、ニューロフィードバックトレーニングにおいて、酸素化ヘモグロビンの濃度に応じた色彩を提示するのに限らず、酸素化ヘモグロビンの濃度に応じた輝度や棒グラフ、円グラフ、テキスト表示等を提示してもよい。
【実施例】
【0069】
また、ニューロフィードバックトレーニングにおいて、例えば酸素化ヘモグロビンの濃度に応じてキャラクターが移動するゲームを対象者200に行わせてもよい。図20は、酸素化ヘモグロビンの濃度に応じて気球が上下し、向かってくるカラスを避けるというゲームの画面例である。
【実施例】
【0070】
また、ニューロフィードバックトレーニングを行う際に用いられるNIRSは、トレーニング結果の解析に用いられるNIRS100よりも測定ポイント数が少ない簡易なものであってよい。図21は、NIRS100よりも測定ポイント数が少ない簡易なNIRSの外観構成例である。
【符号の説明】
【0071】
1 脳活動状態解析装置
26 トレーニングタスク制御部
28 表示色制御部
30 タスク制御部
32 指標データ生成部
34 データ変換部
36 評価値算出部
38 画像データ生成部
100 NIRS
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図9】
7
【図10】
8
【図11】
9
【図12】
10
【図13】
11
【図14】
12
【図19】
13
【図20】
14
【図21】
15
【図8】
16
【図15】
17
【図16】
18
【図17】
19
【図18】
20