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明細書 :2重グラジオメータおよび脳磁場測定装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B1)
特許番号 特許第5224486号 (P5224486)
登録日 平成25年3月22日(2013.3.22)
発行日 平成25年7月3日(2013.7.3)
発明の名称または考案の名称 2重グラジオメータおよび脳磁場測定装置
国際特許分類 A61B   5/05        (2006.01)
G01R  33/035       (2006.01)
FI A61B 5/05 A
G01R 33/035
請求項の数または発明の数 4
全頁数 9
出願番号 特願2012-051260 (P2012-051260)
出願日 平成24年3月8日(2012.3.8)
審査請求日 平成24年11月5日(2012.11.5)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】593165487
【氏名又は名称】学校法人金沢工業大学
発明者または考案者 【氏名】樋口 正法
【氏名】河合 淳
【氏名】小山 大介
早期審査対象出願または早期審理対象出願 早期審査対象出願
個別代理人の代理人 【識別番号】100095511、【弁理士】、【氏名又は名称】有近 紳志郎
審査官 【審査官】湯本 照基
参考文献・文献 特開2001-51035(JP,A)
調査した分野 A61B 5/05
G01R 33/035
要約 【課題】人工内耳装置を装着した被験者の脳磁場を測定する。
【解決手段】人工内耳装置の磁石D,Iに対する磁場検出感度が極小である信号検出用グラジオメータ1と、聴覚に起因する脳内の電流源Cに対する磁場検出感度が極小であるレファレンス用グラジオメータ2とを、同一のコイルボビンに装着した2重グラジオメータ10と、信号検出用グラジオメータ1で得た信号検出用データとレファレンス用グラジオメータ2で得たレファレンス用データとを加重加算して信号データを求める演算手段24を具備する。
【効果】人工内耳装置を装着した被験者における聞こえ状態を客観的に検査できる。
【選択図】図7
特許請求の範囲 【請求項1】
第1信号検出用コイル(1a)と補償用コイル(1b)と第2信号検出用コイル(1c)とをこの順に並べた2次微分型グラジオメータであって前記各コイル(1a,1b、1c)の各磁場検出感度を調整することにより測定対象磁場源(C)の近くに存在する非測定対象磁場源(D,I)に対する磁場感度極小にした信号検出用グラジオメータ(1)と、第1信号検出用コイル(2a)と補償用コイル(2b)と第2信号検出用コイル(2c)とをこの順に並べた2次微分型グラジオメータであって前記各コイル(2a,2b、2c)の各磁場検出感度を調整することにより前記測定対象磁場源(C)に対する磁場感度極小にしたレファレンス用グラジオメータ(2)とを、同一のコイルボビン(3)に装着したことを特徴とする2重グラジオメータ(10)。
【請求項2】
請求項1に記載の2重グラジオメータ(10)において、前記信号検出用グラジオメータ(1)における第1信号検出用コイル(1a)から補償用コイル(1b)までの間隔(a1)と補償用コイル(1b)から第2信号検出用コイル(1c)までの間隔(b1)の比を調整して前記非測定対象磁場源(D,I)に対する磁場感度を極小にし、前記レファレンス用グラジオメータ(2)における第1信号検出用コイル(2a)から補償用コイル(2b)までの間隔(a2)と補償用コイル(2b)から第2信号検出用コイル(2c)までの間隔(b2)の比を調整して前記測定対象磁場源(C)に対する磁場感度を極小にしたことを特徴とする2重グラジオメータ(10)。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の2重グラジオメータ(10)と、前記信号検出用グラジオメータ(1)で得た信号検出用データと前記レファレンス用グラジオメータ(2)で得たレファレンス用データとを加重加算して信号データを求める演算手段を具備したことを特徴とする脳磁場測定装置(100)。
【請求項4】
請求項3に記載の脳磁場測定装置(100)において、前記信号検出用グラジオメータ(1)は、人工内耳装置の磁石(D,I)に対する磁場感度が極小であり、前記レファレンス用グラジオメータ(2)は、聴覚に起因して脳で生じる電流源(C)に対する磁場感度が極小であることを特徴とする脳磁場測定装置(100)。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、2重グラジオメータおよび脳磁場測定装置に関し、さらに詳しくは、測定対象磁場源の近くに非測定対象磁場源が存在する場合でも測定対象磁場源からの磁場を好適に検出することが出来る2重グラジオメータおよびその2重グラジオメータを用いた脳磁場測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、1次微分型グラジオメータの信号検出用コイルと補償用コイルの磁場検出感度を異ならせることにより、特定距離にある電流源からの磁場が検出されなくなることが記載されている(特許文献1[0017]参照)。また、信号検出用コイルと補償用コイルの磁場検出感度の違いに起因する環境磁場の影響を打ち消すために、2次微分型グラジオメータを用いることが記載されている(特許文献1[0111]参照)。
特許文献2には、人工内耳装置においては、耳のそばに、外部位置決め磁石および内部位置決め磁石が配置されることが記載されている(特許文献2[0015]参照)。
【先行技術文献】
【0003】

【特許文献1】特開平11-89810号公報
【特許文献2】特表2009-539503号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
人工内耳装置を装着した被験者における聞こえ状態は、これまで被験者の意思伝達によっての測定されてきたが、被験者の意思伝達能力(例えば子供は大人よりも低い)に左右されてしまうため、脳磁場測定装置を用いた客観的な測定が要望されていた。
しかし、被験者の耳のそばに配置される磁石に起因する強力な磁場雑音が生じるため、被験者の脳内の微弱な電流源による微弱な磁場を脳磁場測定装置で検出するのが困難であった。
特許文献1の電流源推定装置は、このような課題を解決するに至っていなかった。
そこで、本発明の目的は、測定対象磁場源の近くに非測定対象磁場源が存在する場合でも測定対象磁場源からの磁場を好適に検出することが出来る2重グラジオメータおよびその2重グラジオメータを用いた脳磁場測定装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の観点では、本発明は、測定対象磁場源(C)の近くに存在する非測定対象磁場源(D,I)に対する磁場感度が極小である信号検出用グラジオメータ(1)と、前記測定対象磁場源(C)に対する磁場感度が極小であるレファレンス用グラジオメータ(2)とを、同一のコイルボビン(3)に装着したことを特徴とする2重グラジオメータ(10)を提供する。
上記第1の観点による2重グラジオメータ(10)において、信号検出用グラジオメータ(1)では、非測定対象磁場源(D,I)からの磁場の影響を極小にして測定対象磁場源(C)の磁場を検出できる。一方、レファレンス用グラジオメータ(2)では、測定対象磁場源(C)からの磁場の影響を極小にして非測定対象磁場源(D,I)の磁場を検出できる。そこで、信号検出用グラジオメータ(1)で得た信号検出用データとレファレンス用グラジオメータ(2)で得たレファレンス用データとを加重加算すれば、測定対象磁場源(C)の近くに非測定対象磁場源(D,I)が存在する場合でも、非測定対象磁場源(D,I)からの磁場の影響を抑制でき、測定対象磁場源(C)からの磁場を好適に検出することが出来る。
そして、信号検出用グラジオメータ(1)とレファレンス用グラジオメータ(2)とを別体にすると相対位置の変動による特性変動が生じかねないが、両グラジオメータ(1,2)を同一のコイルボビン(3)に装着したので、両グラジオメータ(1,2)の相対位置を固定でき、相対位置の変動による特性変動を回避できる。また、2重グラジオメータ(10)による占有空間を小さくでき、これを収容する極低温容器の小型化に資する。
【0006】
第2の観点では、本発明は、前記第1の観点による2重グラジオメータ(10)において、前記信号検出用グラジオメータ(1)が第1信号検出用コイル(1a)と補償用コイル(1b)と第2信号検出用コイル(1c)とをこの順に並べた2次微分型グラジオメータであり、前記レファレンス用グラジオメータ(2)が第1信号検出用コイル(2a)と補償用コイル(2b)と第2信号検出用コイル(2c)とをこの順に並べた2次微分型グラジオメータであり、前記信号検出用グラジオメータ(1)における第1信号検出用コイル(1a)から補償用コイル(1b)までの間隔(a1)と前記レファレンス用グラジオメータ(2)における第1信号検出用コイル(2a)から補償用コイル(2b)までの間隔(a2)とが異なることを特徴とする2重グラジオメータ(10)を提供する。
上記第2の観点による2重グラジオメータ(10)では、信号検出用グラジオメータ(1)とレファレンス用グラジオメータ(2)の違いを示すパラメータが補償用コイル(1b,2b)の位置だけなので、設計が容易になる。
【0007】
第3の観点では、本発明は、前記第1または第2の観点による2重グラジオメータ(10)と、前記信号検出用グラジオメータ(1)で得た信号検出用データと前記レファレンス用グラジオメータ(2)で得たレファレンス用データとを加重加算して信号データを求める演算手段を具備したことを特徴とする脳磁場測定装置(100)を提供する。
上記第3の観点による脳磁場測定装置(100)では、測定対象磁場源(C)の近くに非測定対象磁場源(D,I)が存在する場合でも、非測定対象磁場源(D,I)からの磁場の影響を抑制でき、測定対象磁場源(C)からの磁場を好適に検出できる。
【0008】
第4の観点では、本発明は、前記第3の観点による脳磁場測定装置(100)において、前記信号検出用グラジオメータ(1)は、人工内耳装置の磁石(D,I)に対する磁場感度が極小であり、前記レファレンス用グラジオメータ(2)は、聴覚に起因して脳で生じる電流源(C)に対する磁場感度が極小であることを特徴とする脳磁場測定装置(100)を提供する。
上記第4の観点による脳磁場測定装置(100)では、人工内耳装置を装着した被験者における聞こえ状態を、被験者の意思伝達能力に左右されずに、客観的に測定可能となる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の2重グラジオメータおよび脳磁場測定装置によれば、聴覚に起因して脳で生じる電流源(C)の近くに人工内耳装置の磁石(D,I)が存在する場合でも、磁石(D,I)からの磁場の影響を抑制でき、電流源(C)からの磁場を好適に検出できる。これにより、人工内耳装置を装着した被験者における聞こえ状態を、被験者の意思伝達能力(例えば子供は大人よりも低い)に左右されずに、客観的に測定可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施例1に係る2重グラジオメータを示す構成説明図である。
【図2】信号検出用グラジオメータとレファレンス用グラジオメータとを示す構成説明図である。
【図3】信号検出用グラジオメータの設計方法を示す説明図である。
【図4】信号検出用グラジオメータの相対検出感度を示す特性図である。
【図5】レファレンス用グラジオメータの設計方法を示す説明図である。
【図6】レファレンス用グラジオメータの相対検出感度を示す特性図である。
【図7】実施例1に係る脳磁場測定装置を示す構成説明図である。
【図8】信号検出用グラジオメータの相対検出感度とレファレンス用グラジオメータの相対検出感度を示す特性図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図に示す実施の形態により本発明をさらに詳細に説明する。なお、これにより本発明が限定されるものではない。
【実施例】
【0012】
-実施例1-
図1は、2重グラジオメータ10を示す構成説明図である。
この2重グラジオメータ10は、信号検出用グラジオメータ1と、レファレンス用グラジオメータ2とを、同一のコイルボビン3に装着した構成である。
【実施例】
【0013】
図2の(a)に、信号検出用グラジオメータ1を示す。
この信号検出用グラジオメータ1は、第1信号検出用コイル1aと、補償用コイル1bと、第2信号検出用コイル1cとを、この順に並べた2次微分型グラジオメータである。第1信号検出用コイル1aと補償用コイル1bの間隔a1は例えば1.6cmであり、補償用コイル1bと第2信号検出用コイル1cの間隔b1は例えば3.4cmである。
【実施例】
【0014】
図2の(b)に、レファレンス用グラジオメータ2を示す。
このレファレンス用グラジオメータ2は、第1信号検出用コイル2aと、補償用コイル2bと、第2信号検出用コイル2cとを、この順に並べた2次微分型グラジオメータである。第1信号検出用コイル2aと補償用コイル2bの間隔a2は、例えば0.9cmである。補償用コイル2bと第2信号検出用コイル2cの間隔b2は、例えば4.1cmである。
【実施例】
【0015】
図3は、信号検出用グラジオメータ1の設計方法を示す説明図である。
信号検出用グラジオメータ1の第1信号検出用コイル1aから距離15cmの位置に、人工内耳装置の磁石D,Iが存在するものとする。なお、Mは人工内耳装置のマイクを表し、Hは人工内耳装置を装着した被験者を表している。
そして、第1信号検出用コイル1aと第2信号検出用コイル1cの間隔を5cmに固定し、第1信号検出用コイル1aと補償用コイル1bの間隔aを変えて、磁石D,Iからの磁場に対する相対検出感度を算出する。
【実施例】
【0016】
図4に、信号検出用グラジオメータ1の相対検出感度を示す。
第1信号検出用コイル1aと補償用コイル1bの間隔aが1.6cmの場合に、磁石D,Iからの磁場に対する相対検出感度Snが極小になる。そこで、信号検出用グラジオメータ1における第1信号検出用コイル1aと補償用コイル1bの間隔a1を、a1=1.6cmとする。
【実施例】
【0017】
図5は、レファレンス用グラジオメータ2の設計方法を示す説明図である。
レファレンス用グラジオメータ2の第1信号検出用コイル2aから角度13°で距離4.2cmの位置に聴覚に起因する電流源Cが存在するものとする。なお、Hは被験者を表している。
そして、第1信号検出用コイル2aと第2信号検出用コイル2cの間隔を5cmに固定し、第1信号検出用コイル2aと補償用コイル2bの間隔aを変えて、電流源Cからの磁場に対する相対検出感度を算出する。
【実施例】
【0018】
図6に、レファレンス用グラジオメータ2の相対検出感度を示す。
第1信号検出用コイル2aと補償用コイル2bの間隔aが0.9cmの場合に、電流源Cからの磁場に対する相対検出感度Ssが極小になる。そこで、レファレンス用グラジオメータ2の第1信号検出用コイル2aと補償用コイル2bの間隔a2=0.9cmとする。
【実施例】
【0019】
図7は、実施例1に係る脳磁場測定装置100を示す構成説明図である。
2重グラジオメータ10の信号検出用グラジオメータ1の出力は、入力コイル21sからセンサチップ22sへ伝達され、センサチップ22sからA/D変換器23sを介して、データ処理装置24に入力される。データ処理装置24は、フィードバックコイル25sにフィードバック信号をフィードバックする。
2重グラジオメータ10のレファレンス用グラジオメータ2の出力は、入力コイル21nからセンサチップ22nへ伝達され、センサチップ22nからA/D変換器23nを介して、データ処理装置24に入力される。データ処理装置24は、フィードバックコイル25nにフィードバック信号をフィードバックする。
2重グラジオメータ10と、入力コイル21s,21nと,センサチップ22s,22nと、フィードバックコイル25s,25nとは、極低温容器R中に収容されている。
【実施例】
【0020】
図8に、信号検出用グラジオメータ1の相対検出感度S1とレファレンス用グラジオメータ2の相対検出感度S2を示す。
信号検出用グラジオメータ1の相対検出感度S1は、磁石D,Iからの磁場に対する相対検出感度S1nが極小になり、それに比べて電流源Cからの磁場に対する相対検出感度S1sが大きくなっている。よって、磁石D,Iからの磁場の影響を抑制して電流源Cからの磁場を検出できる。
他方、レファレンス用グラジオメータ2の相対検出感度S2は、電流源Cからの磁場に対する相対検出感度S2sが極小になり、それに比べて磁石D,Iからの磁場に対する相対検出感度S2nが大きくなっている。よって、電流源Cからの磁場の影響を抑制して磁石D,Iからの磁場を検出できる。
【実施例】
【0021】
データ処理装置24は、信号検出用グラジオメータ1で得た信号検出用データとレファレンス用グラジオメータ2で得たレファレンス用データとを、重みを最適化して加重加算する。これにより、磁石D,Iからの磁場の影響を排除して、電流源Cからの磁場を測定できる。
【実施例】
【0022】
実施例1の2重グラジオメータ10および脳磁場測定装置100によれば次の効果が得られる。
(1)聴覚に起因する電流源Cの近くに人工内耳装置の磁石D,Iが存在する場合でも、磁石D,Iからの磁場の影響を抑制して、電流源Cからの磁場を検出することが出来る。従って、人工内耳装置を装着した被験者Hにおける聞こえ状態を、被験者Hの意思伝達能力に左右されずに、客観的に測定可能となる。
(2)信号検出用グラジオメータ1とレファレンス用グラジオメータ2とを同一のコイルボビン3に装着したので、信号検出用グラジオメータ1とレファレンス用グラジオメータ2の相対位置を固定でき、相対位置の変動による特性変動を回避できる。また、2重グラジオメータ10による占有空間を小さくでき、これを収容する極低温容器Rの小型化に資する。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本発明の2重グラジオメータおよび脳磁場測定装置は、例えば人工内耳装置を装着した被験者における聞こえ状態の測定に利用できる。
【符号の説明】
【0024】
1 信号検出用グラジオメータ
1a 第1信号検出用コイル
1b 補償用コイル
1c 第2信号検出用コイル
2 レファレンス用グラジオメータ
2a 第1信号検出用コイル
2b 補償用コイル
2c 第2信号検出用コイル
10 2重グラジオメータ
24 データ処理装置
100 脳磁場測定装置
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7