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明細書 :米粉パン用添加剤、米粉パン用米粉組成物、米粉パン用パン生地及び米粉パンの製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第6083730号 (P6083730)
公開番号 特開2014-033646 (P2014-033646A)
登録日 平成29年2月3日(2017.2.3)
発行日 平成29年2月22日(2017.2.22)
公開日 平成26年2月24日(2014.2.24)
発明の名称または考案の名称 米粉パン用添加剤、米粉パン用米粉組成物、米粉パン用パン生地及び米粉パンの製造方法
国際特許分類 A21D   8/04        (2006.01)
A21D   2/26        (2006.01)
A21D  13/04        (2017.01)
FI A21D 8/04
A21D 2/26
A21D 13/04
請求項の数または発明の数 8
全頁数 11
出願番号 特願2012-176690 (P2012-176690)
出願日 平成24年8月9日(2012.8.9)
審査請求日 平成27年7月7日(2015.7.7)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】511169999
【氏名又は名称】石川県公立大学法人
発明者または考案者 【氏名】小西 康子
【氏名】本多 裕司
個別代理人の代理人 【識別番号】100088904、【弁理士】、【氏名又は名称】庄司 隆
【識別番号】100124453、【弁理士】、【氏名又は名称】資延 由利子
【識別番号】100135208、【弁理士】、【氏名又は名称】大杉 卓也
【識別番号】100152319、【弁理士】、【氏名又は名称】曽我 亜紀
審査官 【審査官】鳥居 敬司
参考文献・文献 特開2009-148248(JP,A)
特開2011-062096(JP,A)
国際公開第2011/039324(WO,A1)
欧州特許出願公開第2047752(EP,A1)
Journal of Cereal Science, 2009, Vol.50, pp.22-28
北大水産彙報, 2003, Vol.54, No.1/2, pp.1-5
調査した分野 A21D 2/00-2/40
A21D 8/00-8/10
A21D 13/00-13/08
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
WPIDS/WPIX(STN)
FROSTI(STN)
FSTA(STN)
特許請求の範囲 【請求項1】
Bacillus stearothermophilus由来のプロテアーゼ及び米粉を含有する米粉パン用米粉組成物、ここで、該プロテアーゼは該米粉300g当たり10万~80万ユニットであることを特徴とする米粉パン用米粉組成物

【請求項2】
Bacillus stearothermophilus由来のプロテアーゼ、米粉、酵母及び水分を含有する米粉パン用パン生地、ここで、該プロテアーゼは該米粉300g当たり10万~80万ユニットであることを特徴とする米粉パン用パン生地
【請求項3】
以下の工程を含む米粉パンの製造方法、
(1)少なくともBacillus stearothermophilus由来のプロテアーゼ、米粉、酵母及び水分を混合してパン生地を製造するパン生地製造工程、
(2)前記生地を成形して成形生地とする成形生地製造工程、
(3)前記成形生地を発酵させるホイロ工程、
(4)前記ホイロ工程後の成形生地を焼成する焼成工程、及び
ここで、該プロテアーゼは該米粉300g当たり10万~80万ユニットであることを特徴とする米粉パンの製造方法。
【請求項4】
前記(1)~(4)のいずれの工程において、グルテン又はグルテンを含む成分を添加しないことを特徴とする請求項に記載の米粉パンの製造方法。
【請求項5】
前記(1)~(4)のいずれの工程において、食塩を添加しないことを特徴とする請求項又はに記載の米粉パンの製造方法。
【請求項6】
請求項の製造方法で得られたグルテンフリーの米粉パン。
【請求項7】
請求項の製造方法で得られた減塩米粉パン。
【請求項8】
前記減塩米粉パンの塩分は、米粉の含有量に対して1.0重量%以下である請求項に記載の減塩米粉パン。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、米粉パン用添加剤、米粉パン用米粉組成物、米粉パン用パン生地及び米粉パンの製造方法、並びに減塩パンに関する。
【背景技術】
【0002】
小麦に含まれるグルテンの摂取によるアレルギーやセリアック病などの疾患の存在からグルテンフリー米粉パンの開発が求められている。また、米の消費拡大、食料自給率向上への取り組みの一つとしても米粉パンは注目されている。
しかしながら、米粉はパンの骨格となるグルテンを含有していないため、イーストの発酵によって生じる炭酸ガスの保持が困難であることや、小麦パンと比較して焼成後のパンの老化が速い等の問題がある。
【0003】
米粉パンに関する報告は以下の通りである。
【0004】
特許文献1は、「米粉パン用米粉組成物は穀粉100重量部中、米粉75~85重量部、グルテン14~22重量部及びアルファ化小麦粉又はアルファ化コーンスターチ1~5重量部を含有する」を開示している。
しかしながら、特許文献1に開示の米粉パンは、本発明に関する米粉パンとは異なり、グルテンが含まれている。
【0005】
特許文献2は、「グルテン含有米粉を用いる製パンにおいて、細胞壁分解酵素類、アミラーゼ類、食品用乳化剤及びイーストの発酵促進剤の1種又は2種以上を適量添加することを特徴とする米粉パンの製造法」を開示している。
しかしながら、特許文献2に開示の米粉パンは、本発明に関する米粉パンとは異なり、グルテンが含まれている。
【0006】
特許文献3は、「(1)生米粒をアルカリ性水溶液とともに粉砕処理するか、または生米粒を粉砕した米粉をアルカリ性水溶液に浸漬処理し、処理後の米粉とアルカリ性水溶液とを分離する工程、(2)分離した米粉をアルカリ性水溶液に浸漬処理し、処理後の米粉とアルカリ性水溶液とを分離する工程、但し、この工程は、1回または2回以上行う、(3)得られた米粉を、任意に水洗及び/又は中和した後に、脱水及び/又は乾燥して米粉製品を得る工程を含む米粉製品の製造方法」を開示している。
しかしながら、段落「0046」は「米粉を25.5%含有する生地にもかかわらず、比容積が最も大きく総合的に最も良好な製パン性を示した。」を開示し、段落「0053」は「試験例6(アルカリ処理米粉C27%)は、米粉を27%含有する生地であるにもかかわらず、総合的に最も良好な製パン性を示した。」を開示している。
前記開示から明らかなように、特許文献3に開示の米粉パンは、本発明に関する米粉パンとは異なり、米粉100%を使用することができないと考えられる。
【0007】
特許文献4は、「米粉を用いたパンの製造において、酵母による発酵前に、Aspergillus属に属する微生物、及び/又はRhizopus属に属する微生物により前発酵をすることを特徴とする、米粉を用いたパン製造方法。」を開示している。
しかしながら、特許文献4に開示の米粉パンは、本発明に関する米粉パンとは異なり、麹等のカビによる前発酵工程を含んでいる。
【0008】
加えて、上記特許文献1~4は、本発明の特徴である「Bacillus stearothermophilus由来のプロテアーゼを米粉由来の生地に添加すること」を開示又は示唆をしていない。
【先行技術文献】
【0009】

【特許文献1】特開2011-113
【特許文献2】特開2004-208561
【特許文献3】特開2012-95535
【特許文献4】特開2012-115197
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、米粉パン、特にグリテンフリーな米粉パンの品質向上{ふんわりとしている(膨張率が高い)、柔らかい、老化が遅い、焼色が良い}を目的とし、品質に改善効果を与える可能性のある様々な食品成分の添加効果について検討した。さらに、近年の健康志向の上昇に伴う減塩米粉パンの製造についても検討した。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、上記課題を解決するために、Bacillus stearothermophilus由来のプロテアーゼをグルテンフリーである米粉由来の生地に添加することにより、製造したパンの焼き色が良く、ふんわりとしており、柔らかく、さらに老化が遅いことを確認した。さらに、食塩を添加することなく、該パンを製造することもできることを確認した。これにより、本発明を完成した。
【0012】
本発明は以下の通りである。
「1.Bacillus stearothermophilus由来のプロテアーゼを含有する米粉パン用添加剤。
2.Bacillus stearothermophilus由来のプロテアーゼ及び米粉を含有する米粉パン用米粉組成物。
3.Bacillus stearothermophilus由来のプロテアーゼ、米粉、酵母及び水分を含有する米粉パン用パン生地。
4.以下の工程を含む米粉パンの製造方法、
(1)少なくともBacillus stearothermophilus由来のプロテアーゼ、米粉、酵母及び水分を混合してパン生地を製造するパン生地製造工程、
(2)前記生地を成形して成形生地とする成形生地製造工程、
(3)前記成形生地を発酵させるホイロ工程、
(4)前記ホイロ工程後の成形生地を焼成する焼成工程。
5.前記(1)~(4)のいずれの工程において、グルテン又はグルテンを含む成分を添加しないことを特徴とする前項4に記載の米粉パンの製造方法。
6.前記(1)~(4)のいずれの工程において、食塩を添加しないことを特徴とする前項4又は5に記載の米粉パンの製造方法。
7.前項5の製造方法で得られたグルテンフリーの米粉パン。
8.前項6の製造方法で得られた減塩米粉パン。
9.前記減塩米粉パンの塩分は、米粉の含有量に対して1.0重量%以下である前項8に記載の減塩米粉パン。」
【発明の効果】
【0013】
本発明で得られる米粉由来の米粉パンが、従来の米粉パンと比較して、焼き色が良く、ふんわりとしており、柔らかく、さらに老化が遅い。加えて、食塩を添加することなく、該パンを製造できる。
加えて、本発明で得られる米粉由来の米粉パンが、市販の小麦パンより柔らかくすることができた。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】米粉パンの製造工程及び基本材料
【図2】各プロテアーゼ添加後のインキュベートをしていない米粉パンの特性の確認(図中のカラーは、各パンの色を比較するために置いてある)
【図3】各プロテアーゼ添加後のインキュベートをした米粉パンの特性の確認
【図4】サモアーゼ(登録商標)添加後のインキュベートの有無による米粉パンの特性の確認
【図5】様々な濃度のサモアーゼ(登録商標)添加による米粉パンの膨張率及び硬さの確認
【図6】米粉パンの老化速度の確認(図中の「control」はサモアーゼ(登録商標)未添加及び未解凍の米粉パン、「解凍control」はサモアーゼ(登録商標)未添加及び解凍後の米粉パン、「サモアーゼ」はサモアーゼ(登録商標)添加及び未解凍の米粉パン、及び「解凍サモアーゼ」はサモアーゼ(登録商標)添加及び解凍後の米粉パン、を意味する)
【図7】市販の小麦パンとの柔らかさの比較の確認(図中において、サモアーゼ(登録商標)未添加により製造した米粉パンの柔らかさを100%に設定した)
【図8】様々な濃度の塩分添加による米粉パンの膨張率の確認
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明を詳細に説明する。

【0016】
(本発明の米粉パン用添加剤)
本発明の米粉パン用添加剤は、少なくともBacillus stearothermophilus由来のプロテアーゼを含有する。
Bacillus stearothermophilus由来のプロテアーゼの好ましい例として、サモアーゼ(登録商標)PC10F(天野エンザイム株式会社製品)が挙げられる。
また、Bacillus stearothermophilus由来のプロテアーゼは、下記実施例2の結果より、米粉300g当たり、5万~100万ユニット、好ましくは10万~80万ユニット、より好ましくは15万~50万ユニット、最も好ましくは18万~25万ユニットである。
加えて、本発明の米粉パン用添加剤は、好ましくは、基本材料(例、米粉、砂糖、塩、オリーブオイル、ドライイースト、水)に添加して、15~30℃で5時間~30時間インキュベートする。

【0017】
(本発明の米粉パン用米粉組成物)
本発明の米粉パン用米粉組成物は、少なくともBacillus stearothermophilus由来のプロテアーゼ及び米粉を含有する。

【0018】
(本発明の米粉パン用パン生地)
本発明の米粉パン用パン生地は、少なくとも、Bacillus stearothermophilus由来のプロテアーゼ、米粉、酵母及び水分を含む。各成分量は、米粉100重量部に対して、糖類1~15重量部、塩1~10重量部、オイル2~20重量部、酵母(ドライイースト)2~10重量部、水分50~350重量部である。より好ましい成分量は、米粉300重量部に対して、糖類6~12重量部、塩2~8重量部、オイル5~15重量部、酵母(ドライイースト)2.1~6.3重量部、水分200~260重量部である。
なお、以下の実施例4の結果より、本発明の米粉パン用パン生地は食塩を含有しなくても、優れた品質の米粉パンを製造することができる。
さらに、本発明の米粉パン用パン生地は、冷凍が可能であり、解凍後はそのまま使用することができる。さらに、解凍後の米粉パン用パン生地は、未冷凍の米粉パン用パン生地と同様な品質の米粉パンを製造することができる。
加えて、自体公知の風味成分を本発明の米粉パン用パン生地に添加しても良い。

【0019】
(各成分)
本発明の米粉、酵母、水分、オイル及び糖類は自体公知(特に、市販品)を利用することができる。例えば、以下の通りである。
米粉は、生米を粉末化して製造する。米の種類としては、特に限定されないが、精白米、玄米、屑米、古米等を挙げられるが、精白米であることが好ましい。
酵母は、天然酵母、ドライイースト、生イーストのいずれも使用することができる。
水分は、純粋な水に限定されず、牛乳等も使用することができる。
オイルは、食用オイルであれば特に限定されず、オリーブオイル、サラダオイル等を挙げられるが、オリーブオイルが好ましい。
糖類は、特に限定されないが、砂糖、マルトース、トレハロース、フルクトース、マルチトール、ソルビト-ル、キシリトール、及びそれらの併用が挙げられるが、砂糖であることが好ましい。

【0020】
(米粉パンの製造方法)
本発明の米粉パンは、少なくとも以下の工程を含む。なお、製造するパンの種類によって、下記工程中に、パン生地を休ませるためのベンチ工程、生地を冷やすための生地冷却工程、パンの形状を作成するための分割工程を含んでも良い。加えて、米粉パンを製造可能な市販のホームベーカリーを使用する場合には、添付のマニュアルに従って製造すれば良い。
(1)少なくともBacillus stearothermophilus由来のプロテアーゼ、米粉、酵母及び水分を混合してパン生地を製造するパン生地製造工程、
(2)前記生地を成形して成形生地とする成形生地製造工程、
(3)前記成形生地を発酵させるホイロ工程、
(4)前記ホイロ工程後の成形生地を焼成する焼成工程。
なお、好ましくは、上記(1)の工程中において、Bacillus stearothermophilus由来のプロテアーゼを添加した後に、15~30℃で5時間~30時間インキュベートする。
さらに、好ましくは、前記(1)~(4)のいずれの工程において、グルテン又はグルテンを含む成分を添加しないことによりグルテンフリーな米粉パンを製造することができる。
さらに、好ましくは、前記(1)~(4)のいずれの工程において、食塩を添加しないことにより減塩米粉パンを製造することができる。
加えて、自体公知の風味成分を前記(1)~(4)のいずれかの工程で添加しても良い。

【0021】
(米粉パン)
本発明の米粉パンは、特に限定されずに、食パン、フランスパン、クロッワッサン、ロールパン、ベーグル、イングリッシュマフィン、菓子パン等が挙げられる。

【0022】
(本発明の米粉パン)
本発明の米粉パンは、下記実施例1~4から明らかなように、従来の米粉パンと比較して、焼き色が良く、ふんわりとしており、柔らかく、さらに老化が遅い。
さらに、食塩を添加することなく、該パンを製造できる。すなわち、本発明の米粉パンは、健康志向である減塩米粉パンも含む。なお、減塩米粉パンの塩分濃度は、米粉の含有量に対して1.0重量%以下、好ましくは0.5重量%以下、より好ましくは0.4重量%以下、最も好ましくは0.3重量%以下である。
加えて、本発明で得られるグルテンフリーである米粉由来の米粉パンが、市販の小麦パンより柔らかいことも確認した。

【0023】
以下、実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。
【実施例1】
【0024】
(各プロテアーゼ添加による米粉パンの特性の確認)
本実施例では、各プロテアーゼを生地に添加することによって製造した米粉パンの特性を確認した。詳細は、以下の通りである。
【実施例1】
【0025】
(米粉パンの製造方法)
米粉パンの製造には、米粉パンを製造可能な市販のホームベーカリー(Panasonic SD-BH103)を使用した。製造工程は、以下の通りである(参照:図1)。
(1)基本材料である300gの米粉(福盛シトギ2号)、9gの砂糖、5gの塩、10gのオリーブオイル、4.2gのドライイースト及び230gの水を前記ベーカリー内に添加した。
(2-1)1.9×105 UのBacillus stearothermophilus由来のプロテアーゼ{サモアーゼ(登録商標)PC10F(天野エンザイム株式会社製品)}をさらにベーカリー内に添加した。
(2-2)コントロールとして、市販のプロテアーゼA(1.9×105 U、天野エンザイム株式会社製品)をさらにベーカリー内に添加した。
(2-3)コントロールとして、市販のプロテアーゼM(1.9×105 U、天野エンザイム株式会社製品)をさらにベーカリー内に添加した。
(2-4)コントロールとして、市販のプロテアーゼP(1.9×105 U、天野エンザイム株式会社製品)をさらにベーカリー内に添加した。
(2-5)コントロールとして、プロテアーゼを添加していないものを用意した。
(3-1)上記(2-1)、(2-2)、(2-3)及び(2-4)において、25℃、16時間でインキュベートした。
(3-2)上記(2-1)、(2-2)、(2-3)、(2-4)及び(2-5)において、インキュベートしていないものを用意した。
(4)前記ベーカリーの米粉パン(小麦なし)モードで焼成まで行った。
(5)焼成終了後、室温、2時間で放冷して、米粉パンを得た。
(6)前記米粉パンの容積を菜種置換法により測定した。さらに、膨張率(容積/重量×100
)も測定した。
(7)最後に、前記米粉パンの硬さをレオメーター(CR-500DX、株式会社サン科学社製品を用いて測定した。
【実施例1】
【0026】
(プロテアーゼ添加後のインキュベートをしていない米粉パンの特性評価の結果)
プロテアーゼ添加後のインキュベートをしていない米粉パンの特性を図2に示す。なお、コントロールはプロテアーゼを添加しないで製造した米粉パンである。
図2から明らかなように、サモアーゼ(登録商標)を添加して製造した米粉パンは、膨らみ、さらにクラムの気泡が小さかった。一方、プロテアーゼA、M、Pを添加して製造した米粉パンは、空洞が生じた。
以上により、サモアーゼ(登録商標)を添加することにより、米粉パンを膨らませることができ、さらにクラムの気泡を小さくできることを確認した。
【実施例1】
【0027】
(プロテアーゼ添加後のインキュベートをした米粉パンの特性評価の結果)
プロテアーゼ添加後のインキュベートをした米粉パンの特性を図3に示す。なお、コントロールはプロテアーゼを添加しないで製造した米粉パンである。
上記段落「0026」の結果と同様に、サモアーゼ(登録商標)を添加して製造した米粉パンは、膨らみ、さらにクラムの気泡が小さかった。一方、プロテアーゼA、Pを添加して製造した米粉パンは、空洞が生じた。
さらに、サモアーゼ(登録商標)を添加して製造した米粉パンの外皮の色は、きれいな焼き色であった。一方、プロテアーゼMを添加して製造した米粉パンの外皮の色は、かなり黒くなり、焦げたようになった。
以上により、サモアーゼ(登録商標)を添加することにより、米粉パンの外皮の色をきれいな焼き色にできることを確認した。
【実施例1】
【0028】
(プロテアーゼ添加後のインキュベートの効果の確認)
プロテアーゼ添加後のインキュベートの有無による米粉パンの特性を図4に示す。
プロテアーゼ添加後のインキュベートをした米粉パンは、プロテアーゼ添加後のインキュベートをしていない米粉パンと比較して、硬さ(0.6N)は同じであるが、膨張率が向上した。
以上により、サモアーゼ(登録商標)を添加した後のインキュベートにより、米粉パンをふんわりさせる(膨張率を上げる)ことができることを確認した。
【実施例2】
【0029】
(最適なサモアーゼ(登録商標)添加量の確認)
上記実施例1より最適な条件として、サモアーゼ(登録商標)添加及び該添加後のインキュベートを行う条件を選択した。そして、該条件下での最適なサモアーゼ(登録商標)添加量を確認した。詳細は、以下の通りである。
【実施例2】
【0030】
(様々な濃度のサモアーゼ(登録商標)添加による米粉パンの製造)
サモアーゼ(登録商標)添加及び該添加後のインキュベートを行う条件を選択して上記実施例1と同様に、様々な濃度のサモアーゼ(登録商標)添加による米粉パンを製造した。
【実施例2】
【0031】
様々な濃度のサモアーゼ(登録商標)添加による米粉パンの膨張率及び硬さを図5に示した。
図5から明らかなように、添加量に順じて膨張率が増加し、硬さが減少した。さらに、10万ユニットのサモアーゼ(登録商標)添加により十分な膨張率及び柔らかさを得ることができた。
以上により、サモアーゼ(登録商標)添加量は、米粉300g当たり、5万~100万ユニット、好ましくは10万~80万ユニット、より好ましくは15万~50万ユニット、最も好ましくは18万~25万ユニットであることを確認した。
【実施例3】
【0032】
(老化速度及び市販の小麦パンとの品質比較の確認)
上記実施例2より最適なサモアーゼ(登録商標)添加量として、酵素添加量とパンの品質改善効果の関係から20万ユニットのサモアーゼ(登録商標)添加量の条件を選択した。そして、該条件下で製造した米粉パンの老化速度の確認及び市販の小麦パンとの品質比較を確認した。詳細は、以下の通りである。
【実施例3】
【0033】
(20万ユニットのサモアーゼ(登録商標)添加による米粉パンの製造)
20万ユニットのサモアーゼ(登録商標)添加及び該添加後のインキュベートを行う条件を選択して上記実施例1と同様に、様々な濃度のサモアーゼ(登録商標)添加による米粉パンを製造した。
【実施例3】
【0034】
(米粉パンの老化速度の測定)
従来の米粉パンは老化速度が速いという特徴があるため、米粉パンの老化速度について測定した。また、米粉パンを一度冷凍し、その後解凍した米粉パンの老化速度についても測定した。
上記段落「0033」で製造した米粉パンにおいて、冷凍していない米粉パン、一度冷凍した後解凍した米粉パン(0日、1日、2日目)を25℃の飽和水蒸気中で30分間インキュベートした後に、硬さを測定した。
なお、コントロールとして、サモアーゼ(登録商標)未添加によって製造した米粉パンでも同様な実験を行った。
【実施例3】
【0035】
(米粉パンの老化速度の測定結果)
米粉パンの老化速度を示す実験結果を図6に示す。
図6の結果から明らかなように、冷凍の有無にかかわらずサモアーゼ(登録商標)を添加して製造した米粉パンは、サモアーゼ(登録商標)未添加と比較して、時間を経過しても柔らかさを維持していた。
以上により、サモアーゼ(登録商標)を添加することにより、米粉パンの老化速度を抑えることができることを確認した。
【実施例3】
【0036】
(市販の小麦パンとの特性評価の結果)
上記段落「0033」で製造した米粉パンの柔らかさを、市販の小麦パンの柔らかさと比較した結果を図7に示す。
図7の結果から明らかなように、サモアーゼ(登録商標)を添加して製造した米粉パンは、市販の小麦パンと比較して、柔らかかった。
以上により、本発明で得られる米粉由来の米粉パンが、市販の小麦パンより柔らかくすることができることを確認した。
【実施例4】
【0037】
(減塩米粉パンの特性評価)
現在、健康志向により塩分を抑えた食品が多数開発されそして販売されている。
本実施例では、塩分未添加により製造した米粉パンが、ふんわりしている(膨張率が高い)かどうかを確認した。詳細は以下の通りである。
【実施例4】
【0038】
(減塩米粉パンの製造)
20万ユニットのサモアーゼ(登録商標)添加及び該添加後のインキュベートを行う条件を選択して、さらに食塩添加濃度(0g、2.5g、5.0g)の変更以外は、上記実施例1と同様に、米粉パンを製造した。
【実施例4】
【0039】
(減塩米粉パンの特性評価の結果)
様々な濃度の塩分添加による米粉パンの膨張率を図8に示した。
図8から明らかなように、サモアーゼ(登録商標)を添加して製造した米粉パンは、食塩添加量を減らしても、膨張率は低下しなかった。一方、サモアーゼ(登録商標)を添加せずに製造した米粉パン(コントロール)は、食塩添加量減少に伴い膨張率が減少した。
以上により、サモアーゼ(登録商標)を添加することにより、食塩を添加しなくても高い膨張率を維持できる米粉パンを製造できることを確認した。
【実施例4】
【0040】
(総論)
本発明の米粉パンは、従来の米粉パンと比較して、ふんわりしており(膨張率が高い)、柔らかく、外皮の色がきれいな焼き色であり、さらに老化速度が遅い。
本発明の米粉パンは、市販の小麦パンと比較しても、柔らかい。
本発明の米粉パンは、食塩を添加しなくてもふんわりしている。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明では、焼き色が良く、ふんわりとしており、柔らかく、さらに老化が遅い米粉由来の米粉パン、並びに食塩を添加しなくてもふんわりしている米粉パン、を提供することができる。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7