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明細書 :ホタテ貝由来の機能性組成物及びその製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第6149225号 (P6149225)
公開番号 特開2013-189431 (P2013-189431A)
登録日 平成29年6月2日(2017.6.2)
発行日 平成29年6月21日(2017.6.21)
公開日 平成25年9月26日(2013.9.26)
発明の名称または考案の名称 ホタテ貝由来の機能性組成物及びその製造方法
国際特許分類 A61K  35/616       (2015.01)
A23L  33/10        (2016.01)
A23L  17/40        (2016.01)
A61P   3/06        (2006.01)
FI A61K 35/616
A23L 33/10
A23L 17/40 C
A61P 3/06
請求項の数または発明の数 7
全頁数 18
出願番号 特願2013-028768 (P2013-028768)
出願日 平成25年2月18日(2013.2.18)
優先権出願番号 2012031536
優先日 平成24年2月16日(2012.2.16)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成28年2月5日(2016.2.5)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】598096991
【氏名又は名称】学校法人東京農業大学
発明者または考案者 【氏名】山▲崎▼ 雅夫
【氏名】大石 祐一
個別代理人の代理人 【識別番号】100122574、【弁理士】、【氏名又は名称】吉永 貴大
審査官 【審査官】佐々木 大輔
参考文献・文献 特開2004-089015(JP,A)
特開2003-235504(JP,A)
特開2011-012030(JP,A)
特表2008-523113(JP,A)
中島 將次,食理の散文-食の偉効を思う-食品の機能と中国古典の食理(I),ニューフードインダストリー Vol.47 No.1,宇田 守孝 株式会社食品資材研究会,第47巻
調査した分野 A61K 35/00-35/768
A23L 5/40- 5/49
A23L 33/00-33/29
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
特許請求の範囲 【請求項1】
ホタテ原貝を水煮以外の処理によって開殻し貝柱を摘出する開殻・摘出工程と、摘出した貝柱を水煮する水煮工程と、水煮した貝柱を塩化ナトリウム含有水溶液に浸漬する塩水浸漬工程と、塩水浸漬後の貝柱を過熱水蒸気によって焙乾する焙乾工程と、焙乾した貝柱を乾燥及びあん蒸する乾燥及びあん蒸工程と、を有するホタテ干し貝柱又はソフト貝柱の製造工程において、
前記開殻・摘出工程が、水蒸気による加熱処理によって行われ、
前記開殻・摘出工程によって得られる溶出液、前記水煮工程によって得られる水煮液、前記塩水浸漬工程によって得られる塩水浸漬液又は前記焙乾工程によって得られる蒸煮液のうち少なくとも1つを回収して原料に用いることを特徴とする、
ホタテ貝由来の機能性組成物の製造方法。
【請求項2】
前記溶出液を濃縮する工程を有する、
請求項に記載のホタテ貝由来の機能性組成物の製造方法。
【請求項3】
前記水煮液を濃縮する工程を有する、
請求項に記載のホタテ貝由来の機能性組成物の製造方法。
【請求項4】
前記塩水浸漬液を濃縮する工程を有する、
請求項に記載のホタテ貝由来の機能性組成物の製造方法。
【請求項5】
前記蒸煮液を濃縮する工程を有する、
請求項に記載のホタテ貝由来の機能性組成物の製造方法。
【請求項6】
さらに、前記ホタテ貝由来の機能性組成物を粉末化する工程を有する、請求項のいずれか1項に記載のホタテ貝由来の機能性組成物の製造方法。
【請求項7】
前記水蒸気による加熱処理が、部分的にホタテ貝殻の外表面の貝柱接着部に対応する部位を加熱することによって行われる、
請求項1~6のいずれか1項に記載のホタテ貝由来の機能性組成物の製造方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、ホタテ貝由来の機能性組成物及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ホタテ干し貝柱は、オホーツク海沿岸地域の主要な水産加工産品の一つであり、該地域ではホタテ加工業が重要な基幹産業となっている。
【0003】
従来、ホタテ干し貝柱の製造は、特開平11-42051号公報(特許文献1)に記載されているように、「原貝洗浄」、「水煮(一番煮)」、「貝柱摘出」、「塩水煮(二番煮)」、「焙乾」、「乾燥及びあん蒸」、「選別」、「計量及び包装」の各工程によって行われている(以下「伝統製法」という。)。
【0004】
しかし、伝統製法では、一番煮及び二番煮によって、ホタテ貝柱に含まれる呈味成分の多くが煮汁に溶出してしまうといった問題があった。そこで、本発明者らは、二番煮することなくホタテ貝柱を特定の塩化ナトリウムを含む水溶液に浸漬した後、焙乾、乾燥及びあん蒸を行うことで旨味が多く、外観品質の一つである色調が優れたホタテ干し貝柱の生産方法を提案した(特許文献2)。
【0005】
また、伝統製法では、ホタテ干し貝柱の製造に長期間を必要とするが、本発明者らは、過熱水蒸気による焙乾(以下「SHS焙乾」という。)によって製造期間を短縮する方法を提案した(特許文献3)。
【0006】
さらに、伝統製法では、熟練技術者のノウハウによってホタテ干し貝柱の色調が適当に調整されるが、本発明者らは、乾燥及びあん蒸気において温度及び湿度を一定に調整することで熟練技術者のノウハウなしにホタテ干し貝柱の色調を簡便に調整できる方法を提案した(特許文献4)。
【先行技術文献】
【0007】

【特許文献1】特開平11-42051号公報
【特許文献2】特開2010-004883号公報
【特許文献3】特許第4378747号公報
【特許文献4】特開2009-005701号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
図3に示した伝統製法におけるホタテ干し貝柱の製造方法では、ホタテ原貝を100℃5~7分間の煮熟又は蒸煮(一番煮)を行うことで開殻させ、該ホタテ原貝から貝柱を摘出した後、該摘出貝柱を塩化ナトリウム9~14重量%水溶液(塩水)にて100℃、11~16分間の塩水煮(二番煮)を行う。しかしながら、先述のとおり、伝統製法における一番煮及び二番煮によって貝柱に含まれる呈味成分の多くが煮汁中に溶出してしまい、製品であるホタテ干し貝柱のエキス分及び歩留まりが低下するといった問題がある。特に、一番煮では、ホタテ原貝から貝柱を摘出する際に滑らかな貝柱表面を得る及び褐変等の色調に関与する貝柱に内在する酵素類を失活させる等の理由によって十分な加熱処理を行うため、一番煮によるエキス分の損失は大きい。このため、干し貝柱のエキス分の損失を防ぎ、生産性の向上を図るには、伝統製法における煮熟工程とは異なる新たな製法の開発が求められている。
【0009】
一方、一番煮によって産出される煮汁は、ホタテ貝柱又は貝柱以外の軟体部(内臓や生殖腺など)由来の呈味成分を多く含んでいるが、原貝をそのまま煮熟又は蒸煮によって開殻するために、貝殻の付着物から溶出する成分等、ホタテ貝又は軟体部由来成分以外の不純物が多く含まれているために利用することが出来ず、廃液として処理されている。また、二番煮によって産出される塩水煮汁は、塩濃度が高いために該塩水煮汁を利用するには高度な脱塩技術が必要であり、生産現場において塩水煮汁を容易に利用することが困難といった問題がある。
【0010】
他方、伝統製法における乾燥は、天日及び遠赤外線照射や送風機械乾燥によって行われるが、先述のとおり、天日乾燥では貝柱を乾燥させるのに長時間費やし、また、屋外で行われるために衛生面においても問題がある。なお、天日乾燥において、貝柱からドリップは溶出しない。
【0011】
そこで、本発明の目的は、ホタテ貝柱又は軟体部由来の有効成分を付加価値が高い形で利用することができるホタテ貝由来の機能性組成物及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、特定の条件でホタテ干し貝柱を製造する際に産出する副産物から付加価値の高いホタテ貝由来の機能性組成物を製造できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0013】
すなわち、本発明は、ホタテ貝由来の機能性組成物を提供するものである。具体的には、ホタテ原貝を水煮以外の処理によって開殻し貝柱を摘出する開殻・摘出工程と、摘出した貝柱を水煮する水煮工程と、水煮した貝柱を塩化ナトリウム含有水溶液に浸漬する塩水浸漬工程と、塩水浸漬後の貝柱を焙乾する焙乾工程と、焙乾した貝柱を乾燥及びあん蒸する乾燥及びあん蒸工程と、を有するホタテの干し貝柱の製造工程によって得られるホタテ貝由来の機能性組成物であって、前記開殻・摘出工程によって得られる溶出液、前記水煮工程によって得られる水煮液、前記塩水浸漬工程によって得られる塩水浸漬液又は前記焙乾工程によって得られる蒸煮液のうち少なくとも1つを含有することを特徴とする、ホタテ貝由来の機能性組成物を提供するものである。
【0014】
また、本発明は、ホタテ原貝を水煮以外の処理によって開殻し貝柱を摘出する開殻・摘出工程と、摘出した貝柱を水煮する水煮工程と、水煮した貝柱を塩化ナトリウム含有水溶液に浸漬する塩水浸漬工程と、塩水浸漬後の貝柱を焙乾する焙乾工程と、焙乾した貝柱を乾燥及びあん蒸する乾燥及びあん蒸工程と、を有するホタテの干し貝柱の製造工程において、前記貝殻・摘出工程によって得られる溶出液、前記水煮工程によって得られる水煮液、前記塩水浸漬工程によって得られる塩水浸漬液又は前記焙乾工程によって得られる蒸煮液のうち少なくとも1つを回収して原料に用いることを特徴とする、ホタテ貝由来の機能性組成物の製造方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係るホタテ貝由来の機能性組成物及び該機能性組成物の製造方法によれば、干し貝柱を製造する際の副産物として不純物を含まない煮汁が得られるため、産出される副産物から付加価値の高いホタテ貝由来の機能性組成物を得ることができる。この機能性組成物は、濃縮液又は粉末の状態で使用でき、調味料や健康食品あるいはそれらの原料として有効である。また、主産物である干し貝柱は、エキス分が多く、色調に優れ、高い歩留まりで短期間に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本実施形態に係るホタテ貝由来の機能性組成物の製造方法を説明した図である。
【図2】飽和蒸気によってホタテ貝殻の外表面の貝柱接着部に対応する部位を部分的に加熱することで貝柱を摘出する方法を説明した図である。
【図3】伝統製法によるホタテ干し貝柱の製造方法を説明した図である。
【図4】実施例7の機能性組成物を添加した餌を摂取したラットの血清中の総コレステロール値を測定した結果を示す図である。
【図5】実施例7の機能性組成物を添加した餌を摂取したラットの血清中の低密度リポタンパクコレステロール値を測定した結果を示す図である。
【図6】実施例7の機能性組成物を添加した餌を摂取したラットの肝臓コレステロール7-アルファ-モノオキシゲナーゼmRNA量を測定した結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施形態におけるホタテ貝由来の機能性組成物(以下、「機能性組成物」と略称することがある)の製造方法について説明する。図1は、本実施形態に係る機能性組成物の製造方法を説明した図である。

【0018】
本実施形態における原料となるホタテ原貝2は、生鮮貝(生きたままの貝)又は生鮮貝を冷凍した冷凍貝のどちらでも使用することができる。

【0019】
まず、ホタテ原貝2を開殻し貝柱4の摘出を行う(S1)。本実施形態におけるホタテ原貝からの貝柱の摘出は、手作業によって行うことができるが、作業効率の観点から、水煮(一番煮)以外の加熱処理によって貝柱を摘出することが好ましい。なお、伝統製法における一番煮によって開殻した場合、一番煮で産出する煮汁には、貝殻の付着物から溶出する成分等、ホタテ貝柱由来成分以外の不純物が多く含まれるため、該煮汁を利用することができない。

【0020】
前記加熱処理における加熱方法は、蒸気加熱やジュール加熱などによって行うことができる。

【0021】
前記加熱処理において、ホタテ原貝2全体を加熱してもよく、ホタテ原貝2を部分的に加熱してもよい。例えば、ホタテ原貝2全体を加熱する方法として、特許第4543215号に記載されている加圧過熱水蒸気を接触させる方法を用いることができる。一方、部分的に加熱する方法として、特許第4436009号公報に記載されているホタテ貝殻の外表面の貝柱接着部に対応する部位を加熱する方法を用いることができる。

【0022】
前記水蒸気加熱は、干し貝柱の生産性及び品質の観点から80~120℃で1~300秒間行うことが好ましい。

【0023】
前記開殻・摘出工程(S1)によって産出する溶出液を回収することができる。該溶出液は、貝柱を摘出するときに溶出したホタテ貝柱や貝柱以外の軟体部(内臓や生殖腺など)由来のアミノ酸等の呈味成分を有している。

【0024】
本実施形態の貝由来の機能性組成物溶液A40は、前記溶出液をそのまま又は他のアミノ酸、糖、有機酸等の食品素材を添加して得ることができる。また、前記溶液A40を濃縮(S40)することで貝由来(貝柱及び軟体部由来)の機能性組成物濃縮液A41を得ることができる。

【0025】
さらに、前記溶液A40又は前記濃縮液A41を凍結乾燥や噴霧乾燥などの従来から知られている方法で粉末化(S41)することで貝由来(貝柱及び軟体部由来)の機能性組成物粉末A42を得ることができる。

【0026】
本実施形態において、ホタテ原貝2から摘出した貝柱4は、そのまま使用することができる。また、摘出した貝柱4を凍結した冷凍貝柱を用いることもできる。

【0027】
本実施形態における貝柱4の形状は、特に限定されない。すなわち、摘出した貝柱4の形状は、そのままでもよく、適当な大きさに切断した小片としてもよい。

【0028】
なお、ホタテ原貝2から摘出した貝柱4をボイルホタテの製造に使用することもできる。

【0029】
次いで、摘出した貝柱4を水煮する(S2)。本実施形態における水煮処理は、摘出した貝柱4を水に浸漬させ、50~100℃、好ましくは60~90℃で1~60分間好ましくは0.5~40分間、さらに好ましくは1~20分間行うことができる。なお、水煮処理する際は、煮液に食塩を添加しないため、伝統製法における塩水煮(二番煮)とは相違する。

【0030】
前記水煮処理において、貝柱に塩味以外の風味を付与するために、水煮液中に他の呈味成分となるアミノ酸や糖などの添加物を添加してもよい。

【0031】
前記水煮処理によって産出する水煮液を回収することができる。該水煮液は、貝柱を水煮することで溶出した貝柱由来のグリシン、タウリン等の機能性成分を含有しており、伝統製法における一番煮の煮汁に含まれる貝殻の付着物やホタテ貝の内臓から溶出する成分等のホタテ貝柱由来成分以外の不純物は含まず、伝統製法における二番煮の煮汁に含まれる塩分も含まない。

【0032】
本実施形態の貝柱由来の機能性組成物溶液B10は、前記水煮液をそのまま又はアミノ酸、糖、有機酸等の食品素材を添加して得ることができる。また、前記溶液B10を濃縮(S10)することで実質的に塩分を含まない貝柱由来の機能性組成物濃縮液B11を得ることができる。

【0033】
さらに、これらの溶液B10又は濃縮液B11を凍結乾燥や噴霧乾燥などの従来から知られている方法で粉末化(S11)することで、実質的に塩分を含まない貝柱由来の機能性組成物粉末B12を得ることができる。

【0034】
次いで、前記水煮した貝柱を塩化ナトリウム含有水溶液(塩水)に浸漬する(S3)。本実施形態における塩水浸漬は、前記水煮処理した貝柱を塩化ナトリウムを含む水溶液に1時間以上、好ましくは6~60時間浸漬することによって行うことができる。

【0035】
前記塩化ナトリウムを含む水溶液の塩化ナトリウム濃度は、製品となるホタテ干し貝柱6に必要な塩味付与及び後述の焙乾のための予備脱水の観点から0.5重量%~飽和濃度が好ましく、3.5~20.0重量%がより好ましい。

【0036】
前記塩水浸漬における温度は、浸漬中に貝柱に含まれる呈味成分の溶出を抑えるために、-5℃以上40℃未満が好ましく、-1℃~10℃がより好ましい。

【0037】
なお、塩水浸漬処理した貝柱をソフト貝柱の製造に使用することもできる。ここでソフト貝柱とは、加熱処理とともにホタテ貝柱を塩等で味付けしたものをいう。

【0038】
前記塩水浸漬によって産出する塩水浸漬液を回収することができる。該塩水浸漬液は、該浸漬液を調製するために用いた塩化ナトリウムと貝柱を浸漬することで溶出した貝柱由来のグリシン及びタウリンやアミノ酸類等からなる機能性成分とを含有している。

【0039】
本実施形態の食塩を含む貝柱由来の機能性組成物溶液C20は、前記塩水浸漬液をそのまま又はアミノ酸、糖、有機酸等の食品素材を添加して得ることができる。また、この溶液C20を濃縮(S20)することで食塩を含む貝柱由来の機能性組成物濃縮液C21を得ることができる。

【0040】
さらに、これらの溶液C20又は濃縮液C21を凍結乾燥や噴霧乾燥などの従来から知られている方法で粉末化(S21)することで、特に調味料に適した貝柱由来の機能性組成物粉末C22を得ることができる。

【0041】
次いで、前記塩水浸漬後の貝柱を過熱水蒸気によって焙乾(SHS焙乾)する(S4)。本実施形態における過熱水蒸気の温度は、貝柱の乾燥及び褐変の観点から110~250℃が好ましく、120~180℃がより好ましい。

【0042】
また、前記SHS焙乾における処理時間は、1~30分間行うことができる。

【0043】
本実施形態におけるSHS焙乾は、1回又は数回に分けて行うことができる。例えば、SHS焙乾の処理時間を20分間とした場合、20分間連続(1回)で焙乾処理を行うことができ、5分間の焙乾処理を4回に分割して行うこともできる。

【0044】
この焙乾工程では、前記SHS焙乾処理によって産出する蒸煮液(焙乾ドリップ)を回収することができる。該蒸煮液は、貝柱を焙乾することで溶出した貝柱由来のアミノ酸等の呈味成分と焙乾時に付与されたホタテ干し貝柱様の独特の風味を有している。

【0045】
本実施形態の貝柱由来の機能性組成物の溶液D30は、前記蒸煮液をそのまま又はアミノ酸、糖、有機酸等の食品素材を添加して得ることができる。また、前記溶液D30を濃縮(S30)することで貝柱由来の機能性組成物濃縮液D31を得ることができる。

【0046】
さらに、前記溶液D30又は前記濃縮液D31を凍結乾燥や噴霧乾燥などの従来から知られている方法で粉末化(S31)することで貝柱由来の機能性組成物粉末D32を得ることができる。

【0047】
次いで、前記焙乾した貝柱を乾燥及びあん蒸する(S5)。本実施形態における乾燥及びあん蒸は、天日乾燥、通風乾燥、減圧乾燥などの方法で行うことができるが、干し貝柱が目的に適う色調となるように制御する観点から、前記SHS焙乾した貝柱を温度及び湿度が調節できる恒温恒湿器内に保持することによって行うことが好ましい。

【0048】
前記恒温恒湿器による乾燥及びあん蒸は、温度及び湿度を適宜設定することによって仕上がり時の干し貝柱の色調を簡単に調整することができ、干し貝柱の色調として非常に高く評価されるアメ色(a値2.0付近)となるように製造することができる。

【0049】
前記恒温恒湿器による乾燥及びあん蒸における温度及び湿度条件は、例えば、5~50℃及び20~80%RH一定又はあん蒸開始時は室温で行い、あん蒸開始から2~7日後に温度40~70℃及び湿度20~80%RH一定若しくはプログラムに基づいて温度及び湿度を自動的に調整することが可能な恒温恒湿器を用いて温度5℃~70℃及び湿度40~90%RHの範囲内で変化するように温度及び湿度を制御する等の条件を挙げることができる。なお、プログラムに基づいて温度及び湿度を変化するように制御する条件は、目的に適う色調の干し貝柱が得られればよく、例えば、乾燥及びあん蒸開始から終了時までに庫内の温度を40℃から20℃及び湿度を90%RH、85%RH又は80%RHから60~20%RHに漸減させる等の条件を挙げることができる。

【0050】
前記恒温恒湿器による乾燥及びあん蒸は、貝柱の水分率が16重量%以下になるまで何回でも行うことができる。また、乾燥及びあん蒸中に雑菌繁殖を抑える目的で紫外線(UV)を照射しながら行うこともできる。

【0051】
以上のような工程を経て、ホタテ干し貝柱を製造する際に産出する副産物から付加価値の高いホタテ貝由来の機能性組成物を得ることができる。なお、この機能性組成物は、前記溶出液、前記水煮液、前記塩水浸漬液又は前記蒸煮液のうち少なくとも1つを含有していればよく、これらを単独で又は混合して得ることができる。また、エキス分が多く、色調に優れ、高い歩留まりで短期間に主産物であるホタテ干し貝柱を得ることができる。

【0052】
本実施形態において、「機能性組成物」とは、調味機能及び/又は血中コレステロール低下機能を有する液体状又は固体状の組成物を意味する。

【0053】
前記機能性組成物の調味機能としては、液体調味料又は粉末調味料としての用途を挙げることができる。本実施形態に係る機能性組成物は、いずれも遊離アミノ酸及びタウリン量はそれぞれ異なるが、それらに含まれる遊離アミノ酸組成及びその比率には大きな差異がなく、グリシン及びタウリンが全体の約8割を占める。そのため、本実施形態に係る機能性組成物はグリシン及びタウリンを高濃度に含有する風味豊かな液体調味料として利用することができる。

【0054】
開殻・摘出工程S1で得られる貝由来(貝柱や軟体部由来)の機能性組成物溶液A40、機能性組成物濃縮液A41及び機能性組成物粉末A42に含まれる成分は、ホタテ原貝と原貝内に貯留した海水の成分のみである。そのため、これまでに利用がなされなかった貝柱を摘出するときに溶出する溶出液からホタテ貝と磯の風味に富んだ新しいホタテ貝の貝殻エキスを創出することができる。

【0055】
水煮工程S2で得られる水煮液から製造した貝柱由来の機能性組成物溶液B10、機能性組成物濃縮液B11及び機能性組成物粉末B12は、実質的にホタテ貝柱由来の成分のみである。そのため、塩味をほとんど感じず自然な貝柱風味が楽しめるこれまでにない新しい調味料とすることができる。

【0056】
塩水浸漬工程S3で得られる貝柱由来の機能性組成物溶液C20、機能性組成物濃縮液C21及び機能性組成物粉末C22に含まれる成分は、浸漬液を調製するために用いた食塩とホタテ貝柱由来の成分のみである。そのため、塩味とホタテ貝柱由来の風味を有する調味料とすることができる。この機能性組成物濃縮液C21及び機能性組成物粉末C22はほとんどが食塩であり、ほどよい貝柱の風味と呈味を兼ね備えたものとなる。

【0057】
焙煎工程S4で得られる貝柱由来の機能性組成物溶液D30、機能性組成物濃縮液D31及び機能性組成物粉末D32は、食塩を約4重量%(粉末中)含有し、焙乾時に付与されたホタテ干し貝柱様の独特の風味と適度な塩味を有しているため、ロースト香味豊かな調味料とすることができる。

【0058】
本発明の機能性組成物の血中コレステロール低下機能としては、血清中の総コレステロール(TC)及び低密度リポタンパクコレステロール(LDL-C)を低下させる機能を挙げることができる。この機能は、本発明の貝柱由来の機能性組成物をコレステロール低下剤(コレステロール治療剤、コレステロール降下剤、抗コレステロール剤、コレステロール改善剤ともいう)として服用する場合のほか、上述した調味料として使用する場合においても同様の効果を期待できる。ホタテ貝柱は古くから食されてきたものであるため、その安全性は高く、副作用のリスクが極めて低い。
【実施例】
【0059】
1.ホタテ貝柱由来の機能性組成物の製造
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はそれらに限定されるものではない。
【実施例】
【0060】
原料となるホタテ原貝は、北海道常呂漁業協同組から入手したものを用いた。また、原貝は5Sサイズのものを使用した。
【実施例】
【0061】
原貝からの貝柱の摘出は、図2に示した飽和蒸気によってホタテ貝殻の外表面の貝柱接着部に対応する部位を部分的に加熱することで開殻及び脱殻することができるホタテシェラーラボ用装置(株式会社ニッコー社製)を用いて行った。すなわち、ホタテ貝殻の外表面の貝柱接着部に対応する部位に飽和蒸気(99℃)で10秒間の蒸気加熱処理を行うことで該原貝の片貝だけを開殻させた後、殻内の軟体部(貝柱を除く)を治具を用いて除去した。なお、軟体部の除去は治具によって簡単に行うことができる。また、軟体部を除去した後、貝柱だけが付着した貝殻の外表面に、再度、飽和蒸気(99℃)で10秒間処理することで貝柱を摘出した。また、開殻及び貝柱を摘出するときに溶出した溶出液を回収し、該溶出液をそのまま貝由来(貝柱を含む軟体部由来)の機能性組成物溶液Aとした(実施例1)。また、この貝由来の機能性組成物溶液を真空凍結乾燥することで貝由来の機能性組成物粉末Aを得た(実施例6)。
【実施例】
【0062】
前記摘出貝柱を水に浸漬させ、70℃、25分間の水煮処理を行った後、この水煮液を回収し、該水煮液をそのまま貝柱由来の機能性組成物溶液Bとした(実施例2)。また、この貝柱由来の機能性組成物溶液Bを真空凍結乾燥することで貝柱由来の機能性組成物粉末Bを得た(実施例7)。
【実施例】
【0063】
次いで、前記水煮処理した貝柱を3.5又は20重量%塩化ナトリウム水溶液にそれぞれ浸漬させ、4℃で1日又は2日間の塩水浸漬処理を行った後、これらの塩水浸漬液をそれぞれ回収し、該塩水浸漬液をそのまま食塩を含む貝柱由来の機能性組成物溶液Cとした(実施例3及び4)。また、これら食塩を含む貝柱由来の機能性組成物溶液Cを真空凍結乾燥することで食塩を含むホタテ貝柱由来アミノ酸含有調味食塩をそれぞれ得た(実施例8及び9)。なお、塩水浸漬時に用いた塩化ナトリウム水溶液が3.5重量%の場合を実施例3又は8、20重量%の場合を実施例4又は9とした。
【実施例】
【0064】
さらに、前記塩水浸漬した貝柱を120℃で4分間の過熱水蒸気によって4回焙乾することで産出した蒸煮液(焙乾ドリップ)を回収し、該蒸煮液をそのまま貝柱由来の機能性組成物溶液Dとした(実施例5)。なお、焙乾と焙乾の間は、室温で5分間放冷した。また、この培乾した貝柱由来の機能性組成物溶液Dを凍結乾燥することでホタテ貝柱由来の機能性組成物粉末Dを得た(実施例10)。なお、この時に用いた塩水浸漬した貝柱は、塩水浸漬時において塩化ナトリウム水溶液3.5重量%に浸漬して得たものである。
【実施例】
【0065】
一方、前記過熱水蒸気による焙乾後、ホタテ貝柱の水分が16重量%以下になるようにプログラムに基づいて温度及び湿度を自動的に調整することが可能な環境試験器(東京理化社製KCL-2000A)を用いて、乾燥及びあん蒸開始から終了時までに庫内の温度を40℃から20℃及び湿度を80%RH又は85%RHから60~20%RHに漸減させた該環境試験器内で10日間乾燥及びあん蒸を行うことでホタテ干し貝柱を得た(実施例11及び12)。なお、塩水浸漬時に用いた塩化ナトリウム水溶液が3.5重量%の場合を実施例11、20重量%の場合を実施例12とした。
【実施例】
【0066】
2.試験例
(1)各種機能性組成物溶液
ホタテの開殻・貝柱摘出工程により得られた貝柱由来の機能性組成物溶液A(実施例1)、水煮工程により得られた貝柱由来の機能性組成物B(実施例2)、塩水浸漬工程により得られた食塩3.5%を含む貝柱由来の機能性組成物溶液C(実施例3)、同じく塩水浸漬工程により得られた食塩10%を含む貝柱由来の機能性組成物溶液C(実施例4)及び培乾した貝柱由来の機能性組成物溶液D(実施例5)に含まれる遊離アミノ酸及びタウリン量を求めた。なお、遊離アミノ酸及びタウリンの定量は、HPLC(ポストカラム法)を用いて行った。また、アミノ酸組成(mg/kg原貝)及びその構成割合(%)の結果を表1に示した。
【実施例】
【0067】

【表1】
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【実施例】
【0068】
表1に示したように、ホタテの開殻・摘出工程により得られたホタテ貝由来の機能性組成物溶液A(実施例1)、水煮工程により得られた貝柱由来の機能性組成物得溶液B(実施例2)、塩水浸漬工程により得られた食塩3.5%を含む貝柱由来の機能性組成物溶液(実施例3)、同じく塩水浸漬工程により得られた食塩10%を含む貝柱由来の機能性組成物溶液C(実施例4)及び培乾工程により得られた貝柱由来の機能性組成物得溶液(実施例5)に含まれている遊離アミノ酸及びタウリン量は、それぞれ異なっていたが、それらに含まれる遊離アミノ酸組成及びその比率には大きな差異がなく、グリシン及びタウリンが全体の約8割を占めていた。そのため、これら機能性組成物溶液は、グリシン及びタウリンを高濃度に含有する風味豊かな液体調味料として利用できることが明らかとなった。
【実施例】
【0069】
(2)各種貝柱由来の機能性組成物粉末
実施例1の機能性組成物溶液Aを粉末化して得られたホタテ貝由来の機能性組成物粉末A(実施例6)、実施例2の機能性組成物溶液Bを粉末化して得られた貝柱由来の機能性組成物粉末B(実施例7)、実施例3又は4の機能性組成物溶液Cを粉末化して得られた食塩含有の貝柱由来の機能性組成物粉末C(実施例8及び9)及び実施例5の機能性組成物溶液Dを粉末化して得られた貝柱由来の機能性組成物粉末D(実施例10)の歩留まり(エキス換算)を求めた。なお、歩留まりは、原貝重量に対する回収した乾燥粉末重量の百分率を求めることによって行った(表2)。
【実施例】
【0070】
【表2】
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【実施例】
【0071】
表2に示すように、溶出液から製造したホタテ貝由来の機能性組成物粉末A(実施例6)は、歩留まりが0.40重量%であった。また、該機能性組成物粉末Aの塩量についてデジタル塩分計(アタゴ社製ES-421)を用いて測定したところ、塩が粉末中5.6重量%の値を示した。なお、該機能性組成物粉末Aに含まれる成分は、ホタテ原貝と原貝内に貯留した海水の成分のみである。そのため、これまでに利用がなされなかった貝柱を摘出するときに溶出する溶出液からホタテ貝と磯の風味に富んだ新しいホタテ貝の貝殻エキスを創出することができた。
【実施例】
【0072】
一方、水煮液から製造した貝柱由来の機能性組成物粉末B(実施例7)の原貝からの歩留まりは0.83重量%であった。また、該機能性組成物粉末B中の塩についてデジタル塩分計(アタゴ社製ES-421)を用いて測定したところ、塩が0.8重量%の値を示し、該機能性組成物粉末Bは塩味をほとんど感じず自然な貝柱風味が認められるこれまでにない新しい粉末調味料を得た。なお、該機能性組成物粉末Bに含まれる成分は、ホタテ貝柱由来の成分のみである。
【実施例】
【0073】
他方、塩水浸漬液から製造した貝柱由来の機能性組成物粉末C(実施例8及び9)は、浸漬する時に用いた塩水の塩化ナトリウム濃度と浸漬時間の違いによって歩留まりが異なり、原貝からの歩留まりは、食塩3.5重量%の場合では1.00重量%、(実施例8)、食塩20重量%の場合では2.65重量%(実施例9)であり、ホタテ貝柱の風味を具備した今までに無い新しい塩味調味料を得た。なお、これら貝柱由来の機能性組成物粉末Cに含まれる成分は、浸漬液を調製するために用いた食塩とホタテ貝柱由来の成分のみである。
【実施例】
【0074】
さらに、培乾工程から製造した貝柱由来の機能性組成物粉末D(実施例10)は、原貝からの歩留まりは0.11重量%であった。また、該機能性組成物粉末の塩量についてデジタル塩分計(アタゴ社製ES-421)を用いて測定したところ、塩の割合が3.8重量%の値を示し、焙乾時に付与されたホタテ干し貝柱様の独特の風味と適度な塩味を有していたため、他の機能性組成物粉末とは異なる調味料が得られることが判明した。
【実施例】
【0075】
ところで、前記の機能性組成物粉末A(実施例6)、機能性組成物粉末B(実施例7)、食塩含有の機能性組成物C(実施例8及び9)及び機能性組成物粉末D(実施例10)をそれぞれ水に再度溶解し、噴霧乾燥したところ、低固形分濃度(5重量%)においてもデキストリンや賦形剤を添加することなく粉末化が可能であった。
【実施例】
【0076】
(3)ホタテ干し貝柱
ホタテ干し貝柱(実施例11及び12)について、これら干し貝柱の製品歩留まり、エキス分及び色調を調べた。なお、伝統製法で製造した場合を比較例1とした。
【実施例】
【0077】
製品歩留まりの算出は、原貝重量に対する製品重量(出来高)の百分率を求めることによって行った。また、エキス分は、製品に含まれる成分を水で抽出した抽出液中のエキス分を屈折糖度計によってBrix値を測定することで算出した。一方、色調は、色彩色差計(コニカミノルタ社製CR400)を用いて測定し、得られたa値を求めることで評価した。また、その結果を表3に示した。
【実施例】
【0078】
【表3】
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【実施例】
【0079】
表3に示したように、製品歩留まりは、塩化ナトリウム3.5重量%水溶液で浸漬した場合(実施例11)が2.7重量%、塩化ナトリウム20重量%水溶液で浸漬した場合(実施例12)が3.0重量%と、どちらも伝統製法の場合(比較例1)の1.9~2.2重量%と比べて1.2~1.6倍増加した。また、実施例9及び10の製造日数は、12又は13日間と、伝統製法の場合の30~40日間と比べて短縮された。
【実施例】
【0080】
(4)血中コレステロール低下作用の検証
実施例7の貝柱由来の機能性組成物粉末を水に溶解したもの(10%濃度のホタテエキス)をサンプルとして、以下の要領で血中コレステロールの低下作用について検証を行った。なお、対照として、市販の二番煮液((株)しんや社製、ホタテ貝柱抽出物:デキストリン=2:1)を噴霧乾燥した粉末を用いた。
【実施例】
【0081】
a)実験動物
実験動物には、4週齢のWistar系雄性ラット(日本クレア社製)を用いた。飼育環境は、温度22±2℃、湿度50±10%、12時間の明暗サイクル(明期8:00~20:00)とした。1週間の訓化飼育後に、表4に示すように、実施例7のホタテエキスを飼料に混入した群と対照群に分けた。対照群は、実施例7のホタテエキス10%中に含まれるタウリンの量に合わせてタウリン添加量を調整した市販の二番煮液を、飼料に混入したものを用いた。いずれの群もAIN-76配合組成に準じた飼料を2日間給餌した。なお、1群は6匹とした。
【実施例】
【0082】
【表4】
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【実施例】
【0083】
b)飼料組成
試験飼育期間の飼料組成は表5に示した通りである。
【実施例】
【0084】
【表5】
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【実施例】
【0085】
c)解剖
血清は、試験飼育終了後、ソムノペンチル麻酔科にて心臓採血により採取し、遠心分離(3000rpm、15分、4℃)して得た。血清値として、総コレステロール(TC)、低密度リポタンパクコレステロール(LDL-C)を測定した。
【実施例】
【0086】
d)測定方法
血清中のTC及びLDL-C濃度は生化学自動分析装置(日立メディコ社製)で分析した。
【実施例】
【0087】
e)統計処理方法
得られたデータは、Thompson棄却検定で棄却後、統計ソフトSPSS 15.0J for Windows(登録商標)を用いてTukey多重比較検定(p<0.05)により各群間の平均値の有意差検定を行った。
【実施例】
【0088】
f)結果
結果を表6並びに図4及び図5に示す。血清中の総コレステロール値(図4中、「Serum TC」と表記する)については、実施例7の機能性組成物を添加した餌を摂取したラットは、対照(市販品)と比較して約42%もの総コレステロール値の減少が認められた。また、血清中の低密度リポタンパクコレステロール値(図5中、「Serum LDL-C」と表記する)についても、実施例7の機能性組成物を添加した餌を摂取したラットは、対照(市販品)と比較して約48%もの低密度リポタンパクコレステロール値の減少が認められた。これらの結果から、本発明の機能性組成物が血清中のコレステロールを低下させる効果があることが判明した。
【実施例】
【0089】
【表6】
JP0006149225B2_000007t.gif
【実施例】
【0090】
(5)CYP7A1mRNA量の測定
コレステロール低下作用と遺伝子発現との関連を検討するため、実施例7の貝柱由来の機能性組成物粉末を水で溶解したもの(以下、「ホタテエキス」という)をサンプルとして、以下の要領で胆汁酸の合成酵素である肝臓コレステロール7-アルファ-モノオキシゲナーゼ(CYP7A1)mRNA量を測定した。
【実施例】
【0091】
a)実験動物
実験動物は、4週齢のWistar系雄性ラット(日本クレア社製)を用いた。飼育環境は、温度22±2℃、湿度50±10%、12時間の明暗サイクル(明期8:00~20:00)とした。1週間の訓化飼育後に、表に示すように7群に分けた。タウリン群は、ホタテエキス10%中に含まれるタウリンの量に合わせてタウリン添加量を調整し、すべての群はAIN-76配合組成に準じた飼料を4週間給餌した。なお、1群は6匹とした。
【実施例】
【0092】
【表7】
JP0006149225B2_000008t.gif
【実施例】
【0093】
b)飼料組成
試験飼育期間の飼料組成は表8に示した通りとした。
【実施例】
【0094】
【表8】
JP0006149225B2_000009t.gif
【実施例】
【0095】
c)解剖
試験飼育終了後、ラットを解剖して肝臓を摘出し、コレステロールに関与する遺伝子のmRNA量の測定に供試した。
【実施例】
【0096】
d)測定方法
mRNA発現量は、肝臓からAcid guanidium phenol chloroform(AGPC)法によりTotal RNAを抽出し、TaqMan Reverse Transcription Reagents(旧Applied Biosystames社、現Life Technology社。以下同じ)を用い、Real-time PCR測定は、ABI Prism 7000 Sequence Detection System(Applied Biosystems社)を用い、50℃、2分、1サイクル、90℃、10分、1サイクルの後、95℃、15分、50℃、1分、50サイクルの条件で増幅をおこなった。遺伝子の特異的増幅は、TecMan Universal PCR Master MIX(Applied Biosystems社)、Assays-on-Demand(商標)、TaqMan Gene Expression Kits(HMG-CoA-R:forward primer、5’-AGA GAA AGG TGC GAA GTT CCT TAG T-3’;reverse primer、5’-CCA TGA GGG TTT CCA GTT TGT AG-3’;TaqMan probe、5’-FAM-CAG TTG GTC AAT GT AAG CAC ATC CCA G-TAMRA-3’)および、TaqMan Gene Expression Kit(Rn00564065_m1:CYP7A1)を用いて検出した。
【実施例】
【0097】
e)統計処理方法
得られたデータは、Thompson棄却検定で棄却後、統計ソフトSPSS 15.0J for Windows(登録商標)を用いてTukey多重比較検定(p<0.05)により各群間の平均値の有意差検定を行った。
【実施例】
【0098】
f)結果
結果を図6に示す。図6に示すように、HC群に比してホタテ0.3群で増加傾向が認められ、ホタテ1、3、10、タウリン群で有意な増加が認められた。タウリンには胆汁酸の合成酵素であるCYP7A1のmRNA量を増加させる作用が知られている。従って、タウリンは、胆汁酸代謝を介して生体内のコレステロールプール量を減少させる可能性が高いと考えられる。本発明の機能性組成物は、CYP7A1の発現量を増加させている結果を踏まえれば、本発明の機能性組成物がタウリンと同様に濃度依存的に血中コレステロール濃度を低下させる作用を有すると考えられる。なお、各投与群に含まれるタウリン量はタウリン群と同様であるため、ホタテエキスに含まれる物質がCYP7A1のmRNAの発現に関与していると考えられる。
【符号の説明】
【0099】
2…ホタテ原貝
4…摘出した貝柱
6…ホタテ干し貝柱
10…貝柱由来の機能性組成物溶液B
11…貝柱由来の機能性組成物濃縮液B
12…貝柱由来の機能性組成物粉末B
20…食塩を含む貝柱由来の機能性組成物溶液C
21…食塩を含む貝柱由来の機能性組成物濃縮液C
22…食塩を含む貝柱由来の機能性組成物粉末C
30…貝柱由来の機能性組成物溶液D
31…貝柱由来の機能性組成物濃縮液D
32…貝柱由来の機能性組成物粉末D
40…貝由来の機能性組成物溶液A
41…貝由来の機能性組成物濃縮液A
42…貝由来の機能性組成物粉末A
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5