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明細書 :超分子ファイバーの製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5654499号 (P5654499)
登録日 平成26年11月28日(2014.11.28)
発行日 平成27年1月14日(2015.1.14)
発明の名称または考案の名称 超分子ファイバーの製造方法
国際特許分類 D01F   6/00        (2006.01)
D01F   8/18        (2006.01)
B82Y  40/00        (2011.01)
FI D01F 6/00 A
D01F 8/18
B82Y 40/00
請求項の数または発明の数 6
全頁数 17
出願番号 特願2011-550788 (P2011-550788)
出願日 平成22年9月17日(2010.9.17)
新規性喪失の例外の表示 特許法第30条第1項適用 平成21年9月20日「生物物理 第47回年会講演予稿集」にて発表
特許法第30条第1項適用 平成21年10月2日http://www.biophys.jp/annual-meeting/biophys2009//を通じて発表
特許法第30条第1項適用 平成22年1月20日http://www.conferences.jp/mems2010/を通じて発表
国際出願番号 PCT/JP2010/066131
国際公開番号 WO2011/089753
国際公開日 平成23年7月28日(2011.7.28)
優先権出願番号 2010009728
優先日 平成22年1月20日(2010.1.20)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成25年6月24日(2013.6.24)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】503360115
【氏名又は名称】独立行政法人科学技術振興機構
発明者または考案者 【氏名】竹内 昌治
【氏名】尾上 弘晃
【氏名】桐谷 乃輔
【氏名】浜地 格
【氏名】池田 将
個別代理人の代理人 【識別番号】110000109、【氏名又は名称】特許業務法人特許事務所サイクス
審査官 【審査官】平井 裕彰
参考文献・文献 国際公開第2009/005152(WO,A1)
日本化学会講演予稿集,2007,Vol.87th,No.2.p.1341(1 K2-15)
Macromolecular Bioscience,2008,Vol.8,No.11,p.1019-1025
調査した分野 D01F 1/00~13/04
B82B 1/00
3/00
C09K 3/00~ 3/32
A61L15/00~33/18
B82Y 5/00~99/00
Science Direct
JSTPlus/JST7580/JSTChina(JDreamIII)
CAplus(STN)
特許請求の範囲 【請求項1】
直線状の超分子ファイバーを製造する方法であって、マイクロ流路中で超分子モノマーを自己集合させる工程を含む方法。
【請求項2】
直線状に整列した複数の超分子ファイバーを含むファイバー束を製造する方法であって、マイクロ流路中で超分子モノマーを自己集合させる工程を含む方法。
【請求項3】
直線状の超分子ファイバーをヒドロゲルで被覆したゲルファイバーを製造する方法であって、マイクロ流路中で超分子モノマーを自己集合させることにより得ることができる直線状の超分子ファイバーをマイクロ流路中でヒドロゲルにより被覆する工程を含む方法。
【請求項4】
直線状に整列した複数の超分子ファイバーを含むファイバー束をヒドロゲルで被覆したゲルファイバーを製造する方法であって、マイクロ流路中で超分子モノマーを自己集合させることにより得ることができる直線状に整列した複数の超分子ファイバーを含むファイバー束をマイクロ流路中でヒドロゲルにより被覆する工程を含む方法。
【請求項5】
直線状に整列した複数の超分子ファイバーを含むファイバー束をヒドロゲルで被覆したゲルファイバー。
【請求項6】
直線状の有機高分子を製造する方法であって、下記の工程:
(a)マイクロ流路中で超分子モノマーを自己集合させて直線状の超分子ファイバー又は直線状に整列した複数の超分子ファイバーを含むファイバー束を製造する工程;
(b)該超分子ファイバーの内部でモノマーを重合させて有機高分子をコア部に有するコア・シェル型の超分子ファイバー又はファイバー束を製造する工程;及び
(c)シェル部の超分子ファイバーを除去する工程
を含む方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は直線状に伸長した超分子ファイバーを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
超分子ヒドロゲルは超分子ヒドロゲル化剤である分子が自己集合した非共有結合性のヒドロゲルであり、例えばDojin News, 118, pp.1-17, 2006に具体的に説明されている。超分子ゲルを構成する分子(便宜上、この分子を「超分子モノマー」と呼ぶ場合がある)は一般的には疎水性部分及び親水性部分を有しており、この超分子モノマーが自己集合して熱力学的に安定なミセル状のファイバーを形成する。このファイバーが三次元的に形成されてからみあうことで超分子ヒドロゲルが形成される(図1の中央のミセル状ファイバーを本明細書において「超分子ファイバー」と呼ぶ)。
【0003】
超分子ヒドロゲルは外界の刺激に応答して機能するスマートバイオマテリアルとして優れた機能を発揮する可能性が示されており(Nat. Biotechnol., 21, pp.1171, 2003)、理論的にもモノマー分子の設計に応じて超分子ヒドロゲルの構造及び機能制御が可能であることから近年注目を集めているが(Dojin News, 118, pp.1-17, 2006)、超分子ヒドロゲルを構成する超分子ファイバーもバイオマテリアルとしての有用性が期待されている。例えば、超分子モノマーが非共有結合による弱い相互作用により結合していることからファイバー構造中に他の物質を取り込むことが可能であり、ゲル軸方向に物質を移動させることも可能になる。従って、超分子ファイバーは分子センサーや分子トランスポーターとしての有用性が期待されている。
【0004】
超分子ファイバーをバイオマテリアルとして利用するためには、超分子ファイバーを所望の方向に直線的に伸長させる手法や、複数の超分子ファイバーを整列させる手法の開発が必須である。しかしながら、超分子モノマーから自己集合により超分子ファイバーを形成させると、一般的には自然に三次元的なからみあいが生じてヒドロゲルが形成されることから、直線的に伸長した状態の超分子ファイバーを単離することは困難である。
【0005】
また、超分子ファイバーは超分子モノマーが自己集合してミセル状態となった構築物であることから物理的な刺激に対して極めて脆いという問題があり、超分子ファイバーを単離したり、外力を加えてファイバーの方向を調節することは非常に困難である。このような理由から、複数の超分子ファイバーを一定方向に整列させる技術は従来全く開発されていない。
【先行技術文献】
【0006】

【非特許文献1】Dojin News, 118, pp.1-17, 2006
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、直線状に伸長した超分子ファイバーを製造する手段を提供することにある。
また、本発明の別の課題は、一定方向に直線状に整列した複数の超分子ファイバーを製造する方法を提供することにあり、より具体的には、複数の超分子ファイバーを一定方向に直線状に整列させながら同時に伸長させる方法を提供することが本発明の課題である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは上記の課題を解決すべく鋭意研究を行った結果、マイクロ流路中で超分子モノマーを自己集合させると流体中で流れの方向に配向した直線状の超分子ファイバーを製造することができること、及び超分子モノマーの濃度及び/又はマイクロ流路の流速を適宜調節することにより、複数の超分子ファイバーが直線状に整列した状態で伸長することを見出した。また、マイクロ流路中で伸長させた直線状の超分子ファイバーをアルギン酸ゲルなどのヒドロゲルで被覆したコア・シェル型のファイバーを容易に調製できることも見出した。本発明はこれらの知見を基にして完成されたものである。
【0009】
すなわち、本発明により、直線状の超分子ファイバーを製造する方法であって、マイクロ流路中で超分子モノマーを自己集合させる工程を含む方法が提供される。
また、本発明により、直線状に整列した複数の超分子ファイバーを含むファイバー束を製造する方法であって、マイクロ流路中で超分子モノマーを自己集合させる工程を含む方法が提供される。
【0010】
別の観点からは、本発明により、直線状の超分子ファイバーをヒドロゲルで被覆したゲルファイバーを製造する方法であって、マイクロ流路中で超分子モノマーを自己集合させることにより得ることができる直線状の超分子ファイバーをマイクロ流路中でヒドロゲルにより被覆する工程を含む方法が提供される。
また、本発明により、直線状に整列した複数の超分子ファイバーを含むファイバー束をヒドロゲルで被覆したゲルファイバーを製造する方法であって、マイクロ流路中で超分子モノマーを自己集合させることにより得ることができる直線状に整列した複数の超分子ファイバーを含むファイバー束をマイクロ流路中でヒドロゲルにより被覆する工程を含む方法が提供される。
【0011】
さらに、本発明により、直線状の有機高分子を製造する方法であって、下記の工程:(a)マイクロ流路中で超分子モノマーを自己集合させて直線状の超分子ファイバー又は直線状に整列した複数の超分子ファイバーを含むファイバー束を製造する工程;(b)該超分子ファイバーの内部でモノマーを重合させて有機高分子をコア部に有するコア・シェル型の超分子ファイバー又はファイバー束を製造する工程;及び(c)シェル部の超分子ファイバーを除去する工程を含む方法が提供される。好ましい態様によれば、上記工程(a)において、さらにアルギン酸ゲルにより超分子ファイバーを被覆する工程を含む方法が提供される。
【0012】
さらに別の観点からは、直線状の超分子ファイバー、及びヒドロゲルで被覆された直線状の超分子ファイバーを含むゲルファイバー、並びに直線状に整列した複数の超分子ファイバーを含むファイバー束、及びヒドロゲルで被覆された該ファイバー束を含むゲルファイバーが本発明により提供される。
【発明の効果】
【0013】
本発明の方法によれば、物理的な刺激に対して極めて脆い超分子ファイバーを直線的に伸長すること、及び複数の超分子ファイバーを直線状に整列させながらファイバー束として伸長することが可能になる。また、本発明の方法により製造されるゲルファイバーは超分子ファイバー又はファイバー束をヒドロゲルで被覆したコア・シェル構造を有しており、力学的強度に優れるという特徴がある。このゲルファイバーを単離し、又は外力を加えてゲルファイバーを二次元的又は三次元的構造体に成型した後にシェル部分のヒドロゲルを除去することにより、超分子ファイバー又は超分子ファイバー束からなる任意の構造体を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】超分子モノマーの自己集合により超分子ファイバーが形成され、さらに超分子ヒドロゲルが形成される過程を示した模式図である。
【図2】本発明の方法において使用可能な二重の同軸マイクロ流体装置の一例を示した図である。
【図3】例1の方法により得られたコアシェル構造のゲルファイバーを示した図である。図3(a)はコア・シェル構造を示す光強度プロファイルであり、図3(b)における上端部(Top view)は同軸のコア・シェル構造を示す。
【図4】ゲルファイバーにおけるコア部直径とシェル部被覆厚がコア部流体及びシェル部流体の流速比(Qcore/Qshell)に応じて変化する様子を示した図である。図中、a:コア部(超分子ファイバー)1μl/min、シェル部(アルギン酸ナトリウムゲル)19μl/min;b:コア部(超分子ファイバー)5μl/min、シェル部(アルギン酸ナトリウムゲル)15μl/min;c:コア部(超分子ファイバー)10μl/min、シェル部(アルギン酸ナトリウムゲル)10μl/min;d:コア部(超分子ファイバー)15μl/min、シェル部(アルギン酸ナトリウムゲル)5μl/minの結果を示し、それぞれ蛍光画像と明視野画像を示す。
【図5】コア・シェル構造のゲルファイバーのコア部分に取り込まれた蛍光リピッドによりコア部分を蛍光描写した図である。コア部の超分子ファイバに(a)ローダミンリピッド(赤)、(b)FITCリピッド(緑)、及びビオチン化リピッド(緑)が取り込まれている様子を示す。下側の図は取り込まれた蛍光リピッドの様子を概念的に示した図である。
【図6】直線的に整列した複数の超分子ファイバーを含むファイバー束を共焦点レーザー顕微鏡下において観察した結果を示した図である。(b)は(a)の拡大図である。(c)は対照としてフラスコ内で超分子ヒドロゲルを調製して透過型電子顕微鏡で観察した結果を示し、(d)は共焦点レーザー顕微鏡下においてアルギン酸ナトリウム(1.5 wt%)及び超分子モノマー(0.1 wt%)を二重の同軸マイクロ流路に流し作成したゲルファイバーの超分子ファイバーをローダミンBクロライドで染色して観察した結果を示す。
【図7】FITCリピッドを取り込んだコアシェル型の超分子ファイバーのコアの一部を488 nmのレーザーを用いて消光させ、消光後の蛍光強度の回復過程を調べた結果を示した図である。(a)は照射直後(0 sec)及び946秒後の共焦点レーザースキャン顕微鏡下におけるイメージであり、四角はレーザー照射部位を示す。(b)は照射部における蛍光強度を経時的に示した図である。
【図8】超分子ファイバを鋳型としてファイバ状の有機高分子を製造する方法を示した図である。方法の模式図((a)及び(b))、並びに超分子ファイバー及びアルギン酸ゲルにより被覆されたファイバー状高分子の顕微鏡写真(c)、超分子ファイバー及びアルギン酸ゲルを除去したファイバー状の有機高分子の顕微鏡写真(d)を示した。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本明細書において「超分子ファイバー」とは超分子モノマーが自己集合して熱力学的に安定なミセル状のファイバーを形成した構造体を意味しており(図1を参照)、通常は10 nm~50 nm程度の外径を有する直線状ファイバーである。一般的には、超分子ヒドロゲルの生成過程においてこの超分子ファイバーがからみあってゲルが形成されるが、本明細書において用いられる「超分子ファイバー」の用語には超分子ヒドロゲルは包含されないことに留意する必要がある。

【0016】
本明細書において「超分子モノマー」の用語は、超分子ヒドロゲル及び超分子ファイバーを形成可能な低分子化合物を意味しているが、超分子ヒドロゲルをポリマーに相当するものと仮定した場合において使用される便宜的な用語であり、超分子ヒドロゲルの形成にあたり重合過程を要することを意味するものではない。超分子モノマーは「超分子ヒドロゲル剤」と呼ばれる場合もある。

【0017】
本発明において超分子モノマーの種類は特に限定されず、自己集合して熱力学的に安定なミセル状のファイバーを形成することができるものであればいかなるものを用いてもよい。超分子ヒドロゲルを形成可能な超分子モノマーは、典型的には疎水性部分及び親水性部分、並びに必要に応じてそれらを結合するリンカー部分を有しているが、このような両親媒性の超分子モノマーを好ましく用いることができる。

【0018】
超分子モノマーの部分構造としては、例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アミノ基、スルホン酸基、リン酸基、水酸基、オキソ基などの多様な官能基又はそれらの任意の組み合わせのほか、脂質化合物、糖化合物、ペプチド化合物、アミノ化合物、四級塩化合物、リン酸化合物若しくはそのエステル、カルボン酸化合物若しくはそのエステル、又はスルホン酸化合物若しくはそのエステルなど任意の化合物の残基又はそれらの組み合わせを有していてもよいが、これらに限定されることはない。

【0019】
超分子モノマーについては、例えば、Dojin News, 118, pp.1-17, 2006に具体的に説明されており、この刊行物及びそこに引用された刊行物などを参照することにより、当業者は目的に応じて適宜の超分子モノマーを選択することができる。

【0020】
超分子モノマーは通常は1種類を用いることができるが、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、超分子モノマーと任意の化合物の1種又は2種以上との混合物を用いて超分子ファイバーを形成させると、その化合物を取り込んて超分子ファイバーが伸長し、その超分子ファイバーが整列したファイバー束が得られる。

【0021】
超分子ファイバーに取り込まれる化合物の種類は特に限定されないが、その化合物の性質に応じて超分子ファイバーのミセル構造の親水性部分又は疎水性部分に保持される。例えば、両親媒性化合物を用いるとミセル構造の一部となって超分子モノマーと配向するようになる。このような化合物として一般的には低分子化合物を利用することができ、例えば、医薬化合物、神経伝達物質などの生理活性化合物、脂質化合物、ペプチド化合物、又は色素などを用いることができるが、これらに限定されることはない。超分子ファイバーに他の分子に対する認識能などの機能性を持たせるために、特異的相互作用を有する分子の組み合わせのうち片方の分子を超分子ファイバーに取り込んでもよい。このような分子の組み合わせの例としてビオチン-アビジンの特異的結合を利用することができ、例えば、ビオチン化リピッドを超分子ファイバーに取り込ませることにより、得られたファイバーはアビジンに対して特異的認識能を有するようになる。なお、本明細書において「ミセル構造」とは、超分子モノマーの疎水性部分が集合し、親水性部分が外側になるように会合した状態を意味しており、典型的なミセル構造を図1に示したが、この用語はいかなる意味においても限定的に解釈してはならず、最も広義に解釈する必要がある。

【0022】
本発明の方法は、直線状の超分子ファイバーを製造する方法であって、マイクロ流路中で超分子モノマーを自己集合させる工程を含むことを特徴としている。本明細書において「直線状」の用語は超分子ファイバーが概ね直線的に伸長していることを意味しているが、完全な直線状にあることを意味するものではなく、超分子ファイバーが一次元的に伸長した状態として解釈しなければならない。例えば、超分子ファイバーが全体又は部分的に湾曲している場合や、部分的なゆがみ又はねじれなどを含んでいてもよい。

【0023】
超分子ファイバーの外径は特に限定されないが、一般的には10 nm~50 nm程度である。超分子ファイバーの断面は概ね円形であるが、用いる超分子モノマーの種類などに応じて円形以外の断面を与える場合もある。超分子ファイバーの長さも特に限定されないが、数マイクロメートル以上、好ましくは数ミリメートル以上であり、数センチメートル程度の長さを有する場合もある。

【0024】
また、本発明の方法は、直線状に整列した複数の超分子ファイバーを含むファイバー束を製造する方法であって、マイクロ流路中で超分子モノマーを自己集合させる工程を含むことを特徴としている。本明細書において「整列」の用語は、複数の超分子ファイバーが全体として概ね平行関係を維持していることを意味しているが、2以上の超分子ファイバーにおいて部分的に平行関係が失われている場合や、複数の超分子ファイバーの一部又は全体がねじれて重なり合う場合なども含めて、この用語は最も広義に解釈すべきであり、いかなる意味においても限定的に解釈してはならない。

【0025】
本明細書において「ファイバー束」の用語は、整列した2以上の超分子ファイバーを含む集合体を意味している。ファイバー束に含まれる超分子ファイバーの数は2以上であれば特に限定されないが、一般的には5以上、好ましくは10以上、さらに好ましくは20以上である。上限も特に限定されないが、好ましくは1,000以下、より好ましくは100以下、さらに好ましくは50以下である。

【0026】
ファイバー束の長さは特に限定されないが、数センチメートル以上、好ましくは数十センチメートル以上であり、数メートル程度の長さを有する場合もある。ファイバー束に含まれる超分子ファイバーの外径も特に限定されないが、一般的には10 nm~50 nm程度である。複数の超分子ファイバーは一般的には概ね同一の外径を有するが、それぞれ異なった外径を有していてもよい。ファイバー束の断面形状としては、円形、楕円系、又は四角形や五角形などの多角形など多様な形状であってもよいが、断面形状としては円形が好ましい。ファイバー束の外径も特に限定されず、ファイバーの本数に応じて適宜選択することができ、例えば20 nm~100 μm程度を例示することができるが、外径は用途によって適宜選択可能である。

【0027】
本発明の方法で用いるマイクロ流路は特に限定されないが、例えば、射出口の口径が 130 μm程度であり、1~20 μl/min程度の速度で超分子モノマーの溶液をマイクロ流路中に射出できる装置を用いることが好ましい。マイクロ流路の内径は、例えば、600μm程度であるが、これに限定されるわけではない。マイクロ流路としては、例えばLab. Chip, 4, pp.576-580, 2004に記載されたものを用いることができる。

【0028】
マイクロ流路中に超分子モノマーの溶液を射出すると、流路中の流体の流れに沿ってモノマーが移動しつつ自己集合して超分子ファイバーを形成するが、射出するモノマー濃度及び/又はマイクロ流路の流速などの条件、好ましくはマイクロ流路の流速に応じて、単一の超分子ファイバー又は複数の超分子ファイバーが形成される。形成された超分子ファイバーはマイクロ流路の流れの方向に配向して伸長し、直線状の超分子ファイバーを与える。マイクロ流路中で2本以上の超分子ファイバーが形成される場合には、流体の流れの方向に配向しながら複数の超分子ファイバーが直線的に伸長しつつ流れの方向に整列し、複数の超分子ファイバーを含むファイバー束が形成される。

【0029】
マイクロ流路内に射出する超分子モノマー濃度は使用する超分子モノマーの種類、マイクロ流路における流速、及びマイクロ流路内で形成すべき超分子ファイバーの本数などに応じて適宜選択でき、特に限定されるものではないが、例えば、本明細書の実施例に具体的に記載された条件などを参照することにより容易にに選択することができる。超分子モノマーの濃度が低い場合には、自己集合を促進するためにマイクロ流路中に金属イオンなどを添加することもできる。例えば、カルシウムイオンなどをマイクロ流路中に添加することにより、超分子モノマーの自己集合を促進することができる場合があり、この態様は本発明において好ましい態様である。

【0030】
本発明の方法により、一本の超分子ファイバー、又は複数の超分子ファイバーを含むファイバー束をヒドロゲルで被覆したゲルファイバーを製造することができるが、この場合には、同軸の二重の流体を形成可能な同軸マイクロ流体装置(coaxial microfluidic device)を用いることが好ましい。この装置を用いると、2つの流体を同軸となるようにコア部及びシェル部に分けて射出することができ、内側(コア部)の流体として超分子モノマー溶液、外側(シェル部)の流体としてヒドロゲルを形成可能なゲル化剤溶液を射出することにより、ヒドロゲルで被覆された超分子ファイバー又はヒドロゲルで被覆されたファイバー束を調製することができる。二重のマイクロ流体装置は、例えば、Lab Chip, 4, pp.576-580, 2004のFig.1に具体的に説明されている。また、本発明の方法において好ましく使用される同軸マイクロ流体装置を図2に示した。

【0031】
ヒドロゲルとしては、例えば、キトサンゲル、コラーゲンゲル、ゼラチン、ペプチドゲル、又はフィブリンゲル、あるいはそれらの混合物などを基材とするヒドロゲルを用いることができる。市販されている製品として、例えばマトリゲル(日本ベクトン・ディッキンソン株式会社)などを用いてもよい。また、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキサイド、又はポリビニルピロリドンなどの水溶性ポリマーに紫外線や放射線を照射して形成することができるヒドロゲルなどを用いてもよい。

【0032】
また、ヒドロゲルとして、機械的強度に優れた高強度ヒドロゲルを用いることも好ましい。高強度ヒドロゲルの種類は特に限定されないが、例えばコラーゲンゲルやポリビニルアルコールヒドロゲルと比べて実質的に同一又はより高い機械的強度を有するヒドロゲルを用いることが好ましい。このようなゲルとしては、例えばアルギン酸ゲルやアガロースゲルを挙げることができるが、これらに限定されることはない。また、高強度ヒドロゲルとしては、カルシウムイオンなどの金属イオンの存在下でゲル化する性質を有するヒドロゲルを好ましく用いることができる。このような観点からはアルギン酸ゲルが好ましい。また、アガロースゲルやUV照射などにより硬化する光硬化性ゲルなどを用いることもできる。ゲルの機械的強度については、当業者に周知の方法に従って、引っ張り試験機を水中で用いる方法などにより引っ張り強度や荷重強度などを測定することができる。

【0033】
一本の超分子ファイバー、又は複数の超分子ファイバーを含むファイバー束をヒドロゲルで被覆したゲルファイバーは単一のヒドロゲルで被覆されていてもよいが、例えば2種類以上の異なるヒドロゲルで多層被覆されていてもよい。例えば、2種類以上の異なる強度を有するヒドロゲル、例えばポリビニルアルコールヒドロゲルによる被覆とその外側に形成されるアルギン酸ゲルによる被覆を含んでいてもよい。コア・シェル構造のゲルファイバーの外径は特に限定されないが、例えば200 nm~2,000μmの範囲であり、好ましくは50~1,000μmの範囲である。

【0034】
超分子ファイバー及びファイバー束、並びにゲルファイバーの調製は一般的には水を溶媒として行うことができるが、水と混じりあう性質を有する水性有機溶媒、例えばエタノール、アセトン、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ジメチルホルムアミド、又はジメチルスルホキシドなどを添加してもよい。超分子ファイバーやヒドロゲルの強度を高めるために適宜の成分や溶媒を配合することもできる。このような観点から、例えば、ポリビニルアルコールヒドロゲルの調製のために溶媒としてジメチルスルホキシドを添加することも可能である。

【0035】
図2に示した二重の同軸マイクロ流体装置を用いて超分子ファイバー又はファイバー束をアルギン酸などのヒドロゲルで被覆した直線状のゲルファイバーを製造するには、例えば、コア部を形成する超分子ファイバーを調製するための超分子モノマー溶液をinlet Aから注入して射出口から射出し、架橋前のアルギン酸ナトリウム溶液をinlet Bから注入して同軸となるように射出口から射出して、同軸のコア・シェル状態の流体を形成させ、その流体にinlet CからCaCl2を含む水溶液中を導入してシェル部分のアルギン酸をゲル化させるとともに、コア部分の超分子モノマーを自己集合させて超分子ファイバー又はファイバー束を形成させることにより、内側(コア部)に超分子ファイバー又はファイバー束、及び外側(被覆部であるシェル部)にアルギン酸ゲルを含むゲルファイバーを構築することができる。コア部及び/又はシェル部の射出速度を適宜調節することにより、コア部の直径及びシェル部の被覆厚みを適宜調節できる。カルシウムイオンを含む水溶液への導入速度も特に限定されないが、例えば1~10 ml/min程度とすることができる。

【0036】
本発明の方法により製造される超分子ファイバー束が十分な外径を有している場合、又はそのような超分子ファイバー束を被覆したゲルファイバー中のファイバー束及び/又はヒドロゲル部分には、例えば、細胞、タンパク質、脂質、糖類、核酸類、又は抗体などの生体成分の1種又は2種以上を添加することができる。細胞の種類は特に限定されないが、例えば、分化万能性を有するES細胞やiPS細胞、分化多能性を有する各種の幹細胞(造血幹細胞、神経幹細胞、間葉系幹細胞など)、分化単一性を有する幹細胞(肝幹細胞、生殖幹細胞など)などのほか、分化した各種の細胞、例えば骨格筋細胞や心筋細胞などの筋細胞、神経細胞、線維芽細胞、上皮細胞、肝細胞、膵β細胞、皮膚細胞などを挙げることができる。もっとも細胞や生体成分は上記に例示したものに限定されることはない。また、上記のファイバー束又はゲルファイバーには、例えば、カーボンナノファイバーなどの繊維類、触媒物質など無機物質類、抗体などで被覆されたビーズ類、又はマイクロチップなどの人工物を添加することも可能である。

【0037】
先に説明したように、超分子ファイバーには各種分子や生体高分子に対する認識能を付与することができるが、例えば金属に対する認識能を付与することにより、超分子ファイバーの表面に金属粒子(Au、Pt、又はPdなど)を一次元に配列させることができる。このようにして得られた超分子ファイバーの表面金属粒子を高濃度で凝集させ、金属で被覆された超分子ファイバーを製造することもでき、さらに金属で被覆された超分子ファイバーをコア部として有するゲルファイバーを製造することもできる。また、先に説明したように、超分子ファイバー内部に各種分子を取り込むことが可能であり、例えば有機高分子のモノマー(例えばチオフェンなど)を超分子ファイバー内部に取り込み、超分子ファイバーを鋳型として高度に配向したファイバー状の有機高分子を製造することもでき、さらにファイバー状の有機高分子束を含む超分子ファイバーをコア部として有するゲルファイバーを製造することもできる。有機高分子モノマーの種類は特に限定されないが、例えば導電性のπ共役分子を含めて各種のモノマーを利用することができる。

【0038】
また、このようにして得られたファイバー状の有機高分子をコア部に有するコア・シェル型の超分子ファイバーからシェル部の超分子を除去してファイバー状に形成されたコア部の有機高分子を単離することもできる。超分子ファイバーの除去は、例えばpHの調節や温度変化など適宜の物理化学的刺激を加えることにより超分子モノマーの自己集合状態を破壊することにより容易に行うことができる。このようにファイバー状の有機高分子を形成するための鋳型として超分子ファイバー又は超分子ファイバー束を利用する態様も本発明の好ましい態様である。超分子ファイバー又は超分子ファイバー束を鋳型として用いる場合には、強度を改善する目的で超分子ファイバー又は超分子ファイバー束の外側をアルギン酸ゲルなどの高強度ゲルで被覆しておくことも好ましい。この場合、例えば、アルギン酸ゲルを除去した後に超分子ファイバーを除去することにより、ファイバー状の有機高分子を単離することができる。

【0039】
本発明の方法により得られるコア・シェル構造のゲルファイバーから必要に応じてシェル部のヒドロゲルを除去して超分子ファイバー又は超分子ファイバー束を露出させることもできる。例えば、ヒドロゲルとしてアルギン酸ゲルを用いて超分子ファイバー又はファイバー束を被覆したコア・シェル構造のゲルファイバーを製造した後、EDTAなどのキレート剤を適宜の濃度で作用させてカルシウムイオンを除去することによりヒドロゲルのみを除去し、超分子ファイバー又は超分子ファイバー束を調製することができる。上記の除去操作はゲルファイバーを適宜成形した後に行ってもよい。

【0040】
この方法により、超分子ファイバー又は超分子ファイバー束により任意の二次元又は三次元構造体を調製することができる。例えば、コア・シェル構造のゲルファイバーを調製してから特定構造の三次元構造を構築した後にシェル部分を除去することにより、所望の微細構造を有する構造の超分子ヒドロゲルを調製することが可能になる。また、コア・シェル構造のゲルファイバーを用いて織布構造を調製した後にシェル部分を除去することにより織布構造の超分子ヒドロゲルを調製することも可能である。三次元構造体や織布構造の調製の際にアルギン酸ゲルファイバーやアガロースゲルファイバーなどを用いることにより、複合材料を含む三次元構造体や織布構造を調製することもできる。本発明の方法により調製される直線状の超分子ファイバー又は超分子ファイバー束、コア・シェル構造のゲルファイバーや、上記の二次元又は三次元構造体の用途は特に限定されないが、例えばバイオマテリアルとして各種のセンサーや各種物質のトランスポーター、細胞培養など多様な用途に利用できる。

【0041】
また、コア・シェル構造のゲルファイバーから必要に応じてコア部の超分子ファイバー又は超分子ファイバー束を除去し、ヒドロゲルからなる中空ファイバーを調製することも可能である。例えば、ヒドロゲルとしてアガロースゲルを用い、超分子ファイバー又は超分子ファイバー束を被覆してゲルファイバーを製造した後、pHの調節や温度変化など適宜の物理化学的刺激を加えることによりコア部における超分子モノマーの自己集合状態を破壊し、コア部を除去することができる。上記の除去操作はゲルファイバーを適宜成形した後に行ってもよい。
【実施例】
【0042】
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲は下記の実施例に限定されることはない。
例1
図2に示す二重の同軸の層流装置(Lab. Chip, 4, pp.576, 2004, Fig.1)を用いて80μmの直径を有するコア・シェル構造のゲルファイバーを製造した。コア用流体として0.1% w/vリン酸ヘッド型超分子モノマー水溶液(図1の左側に示す構造の化合物: J. Am. Chem. Soc., 131, pp.5580-5585, 2009)及びシェル用流体として1.5% w/vアルギン酸ナトリウム水溶液を用い、鞘部の流体として20 mM塩化カルシウム溶液(Qsheath=3.2 ml/min)を用いた。
【実施例】
【0043】
ファイバーを作成する際にシェル用流体である1.5% w/vアルギン酸ナトリウム中に蛍光ビーズ(カルボン酸修飾マイクロスフィア、赤φ200 nm)を添加してゲルファイバーを製造した。図3に得られたコアシェル構造のゲルファイバーを示す。図3(a)に示す光強度プロファイルによりアルギン酸ゲル内に取り込まれた蛍光ビーズの存在が確認され、得られたゲルファイバーが同軸のコア・シェル構造を有していることが証明された。ゲルファイバーの断面イメージ(図3(b)における上端部:Top view)からも同軸のコア・シェル構造が確認できた。このゲルファイバーはピンセットで操作できる程度の機械的強度を有していた。また、得られたゲルファイバーにおけるコア部直径とシェル部被覆厚はコア部流体及びシェル部流体の流速比(Qcore/Qshell)に応じて変化した(図4)。
【実施例】
【0044】
同様にしてゲルファイバーを作成する際にシェル用流体である1.5% w/vアルギン酸ナトリウム中に両親媒性のオクダデシルローダミンBクロライド(赤)及びFITCリピッド(Fluorescein isothiocyanate-labeled lipid: 緑)の混合物(1-1.5 mM)と蛍光ビーズ(カルボン酸修飾マイクロスフィア、青:φ1μm)を添加してゲルファイバーを製造した。両親媒性の蛍光リピッドはコア部の超分子ファイバーに選択的に取り込まれ、超分子構造を可視化することができた。結果を図5に示す。青色蛍光は蛍光ビーズが取り込まれたシェル部分のアルギン酸ゲルを示しており、コア部の超分子ファイバにはローダミンリピッド(赤)及びFITCリピッド(緑)取り込まれていることが図5(a)及び(b)の結果から明らかである。
【実施例】
【0045】
また、ビオチン化リピッドをコア部の超分子ファイバーに取り込ませたゲルファイバーを製造した。このゲルファイバー中のビオチンをストレプトアビジン結合色素(ストレプトアビジン Alexa Fluor 488, Invitrogen: 緑)で可視化した結果を図5(c)に示す。この結果から、ビオチンとアビジンの特異的結合により超分子ファイバーがストレプトアビジン結合色素を認識したことが明らかであり、本発明により提供される超分子ファイバーやゲルファイバーがセンサーや診断用具などの部材として応用できることが示された。
【実施例】
【0046】
同様の方法により超分子ファイバーに蛍光リピッドを取り込ませたゲルファイバーを製造して共焦点レーザー顕微鏡下で観察したところ、直線的に整列した複数の超分子ファイバーを含むファイバー束が観察された。結果を図6に示す。図6(b)は(a)の拡大図であり、直線状のゲルファイバーの伸長方向に配向した複数の超分子ファイバーを確認することができる。
【実施例】
【0047】
対照としてフラスコ内で超分子ヒドロゲル(超分子モノマー0.1%)を調製して透過型電子顕微鏡(TEM)で観察した結果を図6(c)に示す。超分子ファイバーがランダムに三次元的にからみあったネットワークが形成されており、直線的に孤立した超分子ファイバーや直線的に整列した超分子ファイバーは認められなかった。また、共焦点レーザー顕微鏡下においてアルギン酸ナトリウム及び超分子モノマー15:1(wt%)からなるヒドロゲルをローダミンBクロライドで染色して観察したところ、ゲルを構成するランダムな三次元ネットワークが観察された(図6(d))。これらの結果から、通常の超分子ヒドロゲルでは直線的に孤立した超分子ファイバーや直線的に整列した超分子ファイバーは形成されていないこと、及び本発明の方法により直線的に整列した複数の超分子ファイバーを含むファイバー束を製造できることが示された。
【実施例】
【0048】
得られた超分子ファイバーを含むファイバー束内における分子流動特性を確認するため、FITCリピッドを取り込んだコアシェル型の超分子ファイバーのコア部分(コア部直径:1μm)の一部を488 nmのレーザーを用いて室温下に消光させ、消光後の蛍光強度の回復過程を調べた(FRAP: fluorescence recovery after photobleaching)。この方法により、蛍光ラベルされた物質の蛍光団の蛍光強度の回復特性からその物質の移動度を測定することができる。消光されていない蛍光団が消光部分に移動して蛍光が復活する様子を経時的にモニターした結果を図7に示す。図7(a)は照射直後(0 sec)及び946秒後の共焦点レーザースキャン顕微鏡下のイメージであり、四角で囲んだ部分にレーザー照射を行った。図7(b)は照射部における蛍光回復を経時的に示した図である。この結果、946秒後に16%の蛍光強度の回復が確認され、超分子ファイバーにおけるゆっくりとした分散状態及び流動性が示された。
【実施例】
【0049】
例2
超分子ファイバーの内部に存在する疎水性ナノ空間を利用して超分子ファイバを鋳型としてファイバ状の有機高分子を製造した。図8(a)及び(b)に製造方法の模式図を示す。超分子としてリン酸ヘッド型超分子モノマーを用いて0.1% w/vリン酸ヘッド型超分子モノマー水溶液及びシェル用流体として1.5% w/vアルギン酸ナトリウム水溶液を用い、鞘部の流体として20 mM塩化カルシウム溶液を用いた条件によりアルギン酸ゲルで被覆された超分子ファイバーを例1と同様に形成した。この超分子ファイバーの内部空間の直径は大凡5-10nmである。この超分子ファイバーの内部に有機高分子モノマーとして 3,4-エチレンジオキシチオフェンをジメチルスルホキシドに溶解させ、超分子ファイバーを浸漬させることで充填し、酸化重合により重合を行った。図8(c)は超分子ファイバー及びアルギン酸により被覆された高分子の顕微鏡写真である。得られたファイバーからアルギン酸ゲルをキレート剤の条件により除去し、さらに超分子を同様にCa2+キレート剤の条件により除去することにより形成された複数のファイバー状有機高分子が束になったポリマー束が得られた。ファイバー状の有機高分子の直径はおおむね超分子ファイバ径を反映した20-30 nm程度であり、ファイバーの長さは少なくともミリメートル・スケールであった。ファイバー状の有機高分子の顕微鏡写真を図8(d)に示した。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
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【図4】
3
【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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