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明細書 :熱エネルギー搬送システム、熱融通システム及び熱エネルギー搬送方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5994130号 (P5994130)
公開番号 特開2014-102025 (P2014-102025A)
登録日 平成28年9月2日(2016.9.2)
発行日 平成28年9月21日(2016.9.21)
公開日 平成26年6月5日(2014.6.5)
発明の名称または考案の名称 熱エネルギー搬送システム、熱融通システム及び熱エネルギー搬送方法
国際特許分類 F24D  10/00        (2006.01)
F24F   5/00        (2006.01)
FI F24D 10/00
F24F 5/00 101Z
F24F 5/00 102Z
請求項の数または発明の数 19
全頁数 32
出願番号 特願2012-253544 (P2012-253544)
出願日 平成24年11月19日(2012.11.19)
審査請求日 平成27年10月23日(2015.10.23)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】506122327
【氏名又は名称】公立大学法人大阪市立大学
【識別番号】512299152
【氏名又は名称】長廣 剛
発明者または考案者 【氏名】中尾 正喜
【氏名】西岡 真稔
【氏名】ファーナム クレイグ
【氏名】長廣 剛
個別代理人の代理人 【識別番号】100083172、【弁理士】、【氏名又は名称】福井 豊明
【識別番号】100167807、【弁理士】、【氏名又は名称】笠松 信夫
審査官 【審査官】渡邉 聡
参考文献・文献 特開昭50-030342(JP,A)
特開昭59-032726(JP,A)
特開2001-153381(JP,A)
特開2013-050933(JP,A)
国際公開第02/065034(WO,A1)
特開平03-026952(JP,A)
特開平05-248982(JP,A)
調査した分野 F24D 10/00
F24F 5/00
特許請求の範囲 【請求項1】
熱エネルギーを搬送する熱媒が輸送される熱媒輸送路と、
前記熱媒輸送路に接続され、当該熱媒輸送路に熱エネルギーを供給する熱源と、
前記熱媒輸送路に接続され、当該熱媒輸送路から熱エネルギーを取り出す熱需要端と、
前記熱媒輸送路内において、互いに異なる温度を有し、前記熱媒輸送路で輸送方向に所定の長さを有する状態で順次輸送される熱媒の温度分布を取得する温度分布取得手段と、
前記熱需要端の負荷要求を受け付けるとともに、前記温度分布取得手段により取得された温度分布に基づいて、受け付けた負荷要求を満足できる熱エネルギーを有する熱媒が当該負荷要求を発した前記熱需要端に到達したときに、到達した熱媒から前記熱需要端に熱エネルギーを取り出させる制御手段と、
を備える、熱エネルギー搬送システム。
【請求項2】
前記制御手段は、前記受け付けた負荷要求を満足できる熱エネルギーを有する熱媒を前記熱源に供給させる、請求項1記載の熱エネルギー搬送システム。
【請求項3】
前記熱媒輸送路には複数の熱源が接続され、前記制御手段は、各熱源の運転状態に基づいて、前記熱エネルギーを供給させる熱源を特定する、請求項2記載の熱エネルギー搬送システム。
【請求項4】
前記熱媒輸送路は環状であるとともに、前記熱源及び前記熱需要端において、前記熱媒は前記熱媒輸送路から取り出されることなく、熱エネルギーのみが前記熱媒との間で授受される、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の熱エネルギー搬送システム。
【請求項5】
前記熱媒輸送路は、環状の第1の輸送路と環状の第2の輸送路とを有するとともに、前記熱源及び前記熱需要端は、前記第1の輸送路又は前記第2の輸送路から抜き出した前記熱媒を蓄積するバッファタンクを備え、前記バッファタンクに蓄積された前記熱媒との間で熱エネルギーが授受される、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の熱エネルギー搬送システム。
【請求項6】
少なくとも1の空調機器を備える第1の建物と、
少なくとも1の熱源を備える第2の建物と、
前記第1の建物と前記第2の建物との間に配置され、熱エネルギーを搬送する熱媒が輸送される熱媒輸送路と、
前記熱媒輸送路内において、互いに異なる温度を有し、前記熱媒輸送路で輸送方向に所定の長さを有する状態で順次輸送される熱媒の温度分布を取得する温度分布取得手段と、
前記第1の建物における前記空調機器の負荷要求を受け付けるとともに、前記温度分布取得手段により取得された温度分布に基づいて、受け付けた負荷要求を満足できる熱エネルギーを有する熱媒が前記第1の建物に到達したときに、到達した熱媒から前記第1の建物に熱エネルギーを取り出させ、当該取り出した熱エネルギーを前記空調機器に使用させる制御手段と、
を備える、熱融通システム。
【請求項7】
前記制御手段は、前記受け付けた負荷要求を満足できる熱エネルギーを有する熱媒を前記第2の建物が備える前記熱源に供給させる、請求項6記載の熱融通システム。
【請求項8】
前記熱媒輸送路には、それぞれが熱源を備える複数の建物が接続され、前記制御手段は、各建物における熱源の運転状態に基づいて、当該複数の建物の中から前記第2の建物を特定する、請求項7記載の熱融通システム。
【請求項9】
前記熱媒輸送路は、環状の第1の輸送路と環状の第2の輸送路とを有するとともに、前記第1の建物及び前記第2の建物は、前記第1の輸送路又は前記第2の輸送路から抜き出した前記熱媒を蓄積するバッファタンクを備え、前記バッファタンクに蓄積された前記熱媒との間で熱エネルギーが授受される、請求項6から請求項8のいずれか1項に記載の熱融通システム。
【請求項10】
前記熱媒輸送路には、それぞれが前記第1の輸送路又は前記第2の輸送路から抜き出した前記熱媒を蓄積するバッファタンクを備える複数の建物が接続され、
前記制御手段は、前記受け付けた負荷要求を満足できる熱エネルギーを有する熱媒が前記複数の建物のいずれかが備える前記バッファタンクに蓄積され、かつ当該バッファタンク内の熱媒の用途が確定されていない場合、当該建物及び当該バッファタンクを前記第2の建物及び前記熱源として特定する、請求項9記載の熱融通システム。
【請求項11】
前記バッファタンクは、異なる温度を有する熱媒又は建物から排出される残余の熱エネルギーにより、単一の温度を有する熱媒を生成する均熱槽として機能する、請求項9又は10記載の熱融通システム。
【請求項12】
前記第2の建物の前記熱源が、熱エネルギーを付与した熱媒を前記第1の輸送路又は前記第2の輸送路に注入する場合、当該注入と同時に、当該注入位置の下流側において、注入対象の輸送路から注入量と同量の熱媒を抜き出す、請求項9から請求項11のいずれか1項に記載の熱融通システム。
【請求項13】
前記第1の建物の前記バッファタンクに、前記第1の輸送路又は前記第2の輸送路から熱エネルギーが付与された熱媒を抜き出す場合、当該抜き出しと同時に、当該抜き出し位置の上流側において、注入対象の輸送路に抜き出し量と同量の熱媒を注入する、請求項9から請求項12のいずれか1項に記載の熱融通システム。
【請求項14】
予め指定され範囲外の温度を有する熱媒が前記第1の輸送路又は前記第2の輸送路に注入される場合、当該熱媒は、前記第1の輸送路及び前記第2の輸送路のうち予め指定された一方の輸送路に注入される、請求項9から請求項13のいずれか1項に記載の熱融通システム。
【請求項15】
前記第1の輸送路及び前記第2の輸送路と、前記バッファタンクとの接続部が、
前記第1の輸送路に介在された開閉弁と、
前記第2の輸送路に介在された開閉弁と、
一端が前記第1の輸送路の前記開閉弁の一方側に接続された第1の熱媒導入路と、
一端が前記第2の輸送路の前記開閉弁の一方側に接続された第2の熱媒導入路と、
前記第1の熱媒導入路及び前記第2の熱媒導入路の他端がともに一端に接続され、他端が前記バッファタンクに接続された共通導入路と、
一端が前記第1の輸送路の前記開閉弁の他方側に接続された第1の熱媒導出路と、
一端が前記第2の輸送路の前記開閉弁の他方側に接続された第2の熱媒導出路と、
前記第1の熱媒導出路及び前記第2の熱媒導出路の他端がともに一端に接続され、他端が前記バッファタンクに接続された共通導出路と、
前記第1の熱媒導入路に介在された開閉弁と、
前記第2の熱媒導入路に介在された開閉弁と、
前記共通導入路に介在された開閉弁と、
前記第1の熱媒導出路に介在された開閉弁と、
前記第2の熱媒導出路に介在された開閉弁と、
前記共通導入路に介在された開閉弁の上流側に設けられた、前記バッファタンク側に熱媒を送出するポンプと、
前記共通導出路に設けられた、前記バッファタンクから前記共通導出路の前記一端側に熱媒を送出するポンプと、
前記ポンプと前記共通導入路の開閉弁との間の前記共通導入路と、前記共通導出路のポンプの下流側の共通導出路とを接続するバイパス流路と、
前記パイパス流路に介在された開閉弁と、
を備える、請求項9から請求項14に記載の熱融通システム。
【請求項16】
前記空調機器は、前記第1の建物が備える熱源により生成された熱エネルギーが付与された熱媒が供給される第1の熱媒供給路と、前記熱媒輸送路により搬送された熱媒から取り出した熱エネルギーが付与された熱媒が供給される第2の熱媒供給路とを備え、
前記制御手段は、前記負荷要求と予め指定された条件とに基づいて、前記第1の熱媒供給路と前記第2の熱媒供給路とのいずれにより前記空調機器に熱媒を供給するかを決定する、請求項6から請求項15のいずれか1項に記載の熱融通システム。
【請求項17】
負荷要求を受け付けるステップと、
熱エネルギーを搬送する熱媒が輸送される熱媒輸送路内において、互いに異なる温度を有し、前記熱媒輸送路で輸送方向に所定の長さを有する状態で順次輸送される熱媒の温度分布を取得するステップと、
前記受け付けた負荷要求を満足できる熱エネルギーを有する熱媒の塊を前記温度分布に基づいて特定するステップと、
前記特定した熱媒の塊を前記熱媒輸送路により前記負荷要求の要求元に搬送するステップと、
前記特定した熱媒の塊が負荷要求の要求元に到達したときに、到達した熱媒から熱エネルギーを取り出すステップと、
を有する、熱エネルギー搬送方法。
【請求項18】
前記受け付けた負荷要求を満足できる熱エネルギーを有する熱媒の塊を前記温度分布に基づいて特定するステップにおいて、当該負荷要求を満足できる熱エネルギーを有する熱媒の塊が特定できなかった場合、前記熱媒輸送路に接続された熱源により、前記負荷要求を満足できる熱エネルギーを有する熱媒の塊を前記熱媒輸送路内に生成させるステップをさらに有する、請求項17記載の熱エネルギー搬送方法。
【請求項19】
前記受け付けた負荷要求を満足できる熱エネルギーを有する熱媒の塊を前記温度分布に基づいて特定するステップにおいて、当該負荷要求を満足できる熱エネルギーを有する熱媒の塊が特定できなかった場合、前記熱媒輸送路に接続された他の建物において一部が消費された残余の熱エネルギーにより、前記負荷要求を満足できる熱エネルギーを有する熱媒の塊を前記熱媒輸送路内に生成させるステップをさらに有する、請求項17又は請求項18記載の熱エネルギー搬送方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、熱エネルギーを有効に利用することができる熱エネルギー搬送システム、熱融通システム及び熱エネルギー搬送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、1箇所又は数箇所の熱供給設備(地域冷暖房プラント)で集中的に製造された、冷水、温水、蒸気等の熱媒を、地域導管を用いて複数の建物へ供給する地域熱供給システムが実用化されている。この種の熱供給システムは、例えば、熱供給設備Aが地域Aに熱媒を供給する場合、地域A内の建物に供給される熱媒の温度と、該建物で空調等に利用されて熱供給設備Aへ帰還する熱媒との温度差が所定の範囲内に保たれるように設計・運用される(温度差が所定範囲外となった場合、熱供給設備Aは地域A内の建物に所定温度の熱媒を供給することができなくなる。)。これにより、熱供給設備Aから地域A内の各建物に対し、各建物において必要な熱エネルギーを安定して供給することが可能になる。
【0003】
しかしながら、このような構成では、地域Aに熱媒を供給する熱供給設備Aと、地域Bに熱媒を供給する熱供給設備Bとが隣接している場合でも、熱供給設備Aと熱供給設備Bとを一体運用して地域Aと地域Bとの熱供給を効率的に行うことができない。これは、一般に、地域Aと地域Bとで熱需要量が同一であることはなく、結果として、熱供給設備Aから供給される熱媒の温度と熱供給設備Bから供給される熱媒の温度とが異なることに起因する。各熱供給設備から供給される熱媒の温度が異なる場合、単純に各地域熱供給システムの地域導管を相互に接続すると、異なる温度の熱媒が混ざり合って接続点における熱媒の温度が変動してしまう。そして、熱供給設備から供給される熱媒の温度と熱供給設備へ帰還する熱媒との温度差を所定の範囲内に保つことができなくなり、結果として、各地域の建物が必要とする熱量を供給することができなくなる。
【0004】
このような熱媒の混合の問題を回避するため、例えば、特許文献1は、地域Aに熱媒を供給する地域熱供給システムと、地域Bに熱媒を供給する地域熱供給システムとを、蓄熱槽を介して接続する構成を開示している。このような構成では、例えば、地域Aに供給される熱媒の温度よりも地域Bに供給される熱媒の温度の方が高い場合、地域Aの地域導管を流れる熱媒は蓄熱槽に導入される。蓄熱槽では、戻り配管を流れる熱媒の熱を利用して熱媒が昇温され、当該昇温された熱媒が地域Bの地域導管に供給される。また、特許文献2は、熱媒の混合の問題を回避するため、複数の帰還管路を設け、熱媒体の温度に応じて使用する帰還管路を変更する構成を開示している。
【0005】
一方、非特許文献1は、上述のような、特定の熱供給設備から地域内の建物に熱媒を供給する方式ではなく、各住宅やビル毎に熱源を設置して近傍の住宅やビルとの間で熱を融通し合う「ベストエフォート型熱融通ネットワーク」を提唱している。
【先行技術文献】
【0006】

【特許文献1】特開2001-153381号公報
【特許文献2】特開2012-042162号公報
【0007】

【非特許文献1】荒木和路、柏木孝夫他, "ベストエフォート型熱融通ネットワーク(βネットワーク)(第1報)基本構想の提案と課題の整理", 空気調和・衛生工学会大会学術講演論文集, pp.1695-1698(2012)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1が開示する従来技術では、1箇所又は数箇所の熱供給設備から地域導管を通じて建物に熱媒が搬送され、当該建物で利用された後の熱媒は戻り配管を通じて熱供給設備に戻される。すなわち、各建物には熱源設備は設置されておらず、熱エネルギーは、熱供給設備から一方通行で各建物に送られる。そのため、従来の地域熱供給システムにより熱エネルギーが供給される地域に熱源を備えるビル等が存在する場合であっても、そのビルで生成された熱エネルギーを、従来の地域熱供給システムを使用してその地域で有効利用することはできない。また、上述の構成では、各建物で利用された熱媒は戻り配管に導入されて熱供給設備に戻るため、その地域において一切再利用をすることができない。これらの点は、特許文献2が開示する技術でも同様である。
【0009】
一方、非特許文献1が開示する構成では、各建物が熱源設備を備え、自身の熱源設備で自給できない場合には、近隣の建物の熱源設備で生成された熱エネルギーを利用する。そのため、熱源を備えるビル等で生成された熱エネルギーを、その地域で有効利用することは可能なようにも思える。しかしながら、非特許文献1では、着想が開示されているだけでその着想を実現するための具体的構成は示されておらず、いかなる構成によれば近隣の建物の熱源設備で生成された熱エネルギーを利用することを可能にできるのかは明らかにされていない。また、近隣の建物に供給される熱エネルギーが再利用可能な構成であるも明確でない。
【0010】
すなわち、上述の先行文献が開示する技術では、熱源を備える建物で生成された熱エネルギーをその地域で有効利用することはできない。また、ある建物に熱媒が供給され、当該建物において熱エネルギーが使用された後の熱媒が有する熱エネルギーを他の建物において利用することもできない。
【0011】
また、このように熱エネルギーが残存する熱媒が戻り配管を通じて熱供給設備に戻ると、熱供給設備において当該熱媒に熱エネルギーを付与する前後における熱媒の温度差が小さくなり、熱供給設備の運転効率が低下することになる。例えば、冷房のために熱供給設備が5℃の熱媒を供給する場合であって、当該熱供給設備が戻り配管を通じて戻った20℃の熱媒から5℃の熱媒にする能力を有しているとする。この状況下において、戻り配管を通じて10℃の熱媒が熱供給設備に戻るとすると、熱供給設備は10℃の熱媒から5℃の熱媒を生成することになる。この場合、熱供給設備は能力を制限して運転されることになり、このような運転状態は低効率であることが多い。
【0012】
さらに、上述のように熱エネルギーが熱供給設備から一方通行で各建物に送られる従来の地域熱供給システムを、既に建物が完成している既存地域に新たに設置する場合、既存建物に既に設置されている熱源設備が地域熱供給システムに置換、更新されることになる。この場合、既存熱源設備は不要となるため、当該熱源設備が未だ十分に使用可能である場合には、そのような熱源設備を地域熱供給システムに置換しようとする需要も少ない。また、熱源設備の更新時期になった建物から順次地域熱供給システムに接続することも考えられるが、従来の地域熱供給システムでは、供給地域の需要量に応じた熱供給設備が設けられるため、既存の地域熱供給システムに新たな建物を任意に接続することも容易ではない。
【0013】
その一方で、各建物が備える互いに独立した熱源を備える既存地域では、それぞれの建物において熱エネルギーが不足することがないように熱エネルギーを生成することが必要である。そのため、各熱源が低効率で運転されたり、高効率運転を目的として過剰な熱エネルギーを生成したりすることで、地域全体としてエネルギー効率が低くなっているという現状もある。
【0014】
本発明はこのような従来技術の課題を鑑みてなされたものであって、地域において生成された熱エネルギーを極めて有効に利用することができ、既存建物への適用も容易である、熱エネルギー搬送システム、熱融通システム及び熱エネルギー搬送方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上述の目的を達成するために、本発明は以下の技術的手段を採用している。すなわち、本発明に係る熱エネルギー搬送システムは、熱媒輸送路、熱源、熱需要端、温度分布取得手段、及び制御手段を備える。熱媒輸送路は、熱エネルギーを搬送する熱媒を輸送する。熱源は、熱媒輸送路に接続され、当該熱媒輸送路に熱エネルギーを供給する。熱需要端は、熱媒輸送路に接続され、当該熱媒輸送路から熱エネルギーを取り出す。温度分布取得手段は、熱媒輸送路内において、互いに異なる温度を有し、熱媒輸送路で輸送方向に所定の長さを有する状態で順次輸送される熱媒の温度分布を取得する。制御手段は、熱需要端の負荷要求を受け付けるとともに、温度分布取得手段により取得された温度分布に基づいて、受け付けた負荷要求を満足できる熱エネルギーを有する熱媒が当該負荷要求を発した熱需要端に到達したときに、到達した熱媒から熱需要端に熱エネルギーを取り出させる。
【0016】
この熱エネルギー搬送システムでは、異なる温度を有する熱媒の塊が熱媒輸送路中を搬送される。すなわち、熱媒搬送路中に異なる熱エネルギーが付与された熱媒を併存させた状態で熱エネルギーを搬送することができる。そのため、例えば、当該熱エネルギー搬送システムに接続された建物において余剰となった熱エネルギーや当該建物で使用され後に残存する熱エネルギーを、他の建物に任意に搬送することができる。したがって、従来廃棄されていた少量の熱エネルギーや排熱を有効に利用することが可能になる。その結果、熱源の一次側エネルギーを大幅に削減することができる。また、熱エネルギー供給者及び熱エネルギー使用者の特定が容易であるため、課金も比較的容易に実施可能である。
【0017】
上記構成において、制御手段は、受け付けた負荷要求を満足できる熱エネルギーを有する熱媒を熱源に供給させる構成を採用することもできる。この構成において、熱媒輸送路に複数の熱源が接続される場合、制御手段は、各熱源の運転状態に基づいて、熱エネルギーを供給させる熱源を特定する構成を採用することもできる。
【0018】
また、上記構成において、熱媒輸送路は環状であるとともに、熱源及び熱需要端において、熱媒は熱媒輸送路から取り出されることなく、熱エネルギーのみが熱媒との間で授受される構成を採用することができる。また、熱媒輸送路は、環状の第1の輸送路と環状の第2の輸送路とを有し、熱源及び熱需要端は、第1の輸送路又は第2の輸送路から抜き出した熱媒を蓄積するバッファタンクを備える構成を採用することもできる。この場合、バッファタンクに蓄積された熱媒との間で熱エネルギーが授受される。
【0019】
一方、他の観点では、本発明は、地域において熱エネルギーを融通し合う熱融通システムを提供することもできる。すなわち、本発明に係る熱融通システムは、少なくとも1の空調機器を備える第1の建物、少なくとも1の熱源を備える第2の建物、熱媒輸送路、温度分布取得手段、及び制御手段を備える。熱媒輸送路は、第1の建物と第2の建物との間に配置され、熱エネルギーを搬送する熱媒を輸送する。温度分布取得手段は、熱媒輸送路内において、互いに異なる温度を有し、熱媒輸送路で輸送方向に所定の長さを有する状態で順次輸送される熱媒の温度分布を取得する。制御手段は、第1の建物における空調機器の負荷要求を受け付けるとともに、温度分布取得手段により取得された温度分布に基づいて、受け付けた負荷要求を満足できる熱エネルギーを有する熱媒が第1の建物に到達したときに、到達した熱媒から第1の建物に熱エネルギーを取り出させ、当該取り出した熱エネルギーを前記空調機器に使用させる。
【0020】
この熱融通システムでは、異なる温度を有する熱媒の塊が熱媒輸送路中を搬送される。すなわち、熱媒搬送路中に異なる熱エネルギーが付与された熱媒を併存させた状態で熱エネルギーを搬送することができる。そのため、例えば、当該熱融通システムに接続された建物において余剰となった熱エネルギーや当該建物で使用され後に残存する熱エネルギーを、他の建物に任意に搬送することができる。したがって、従来廃棄されていた少量の熱エネルギーや排熱を有効に利用することが可能になる。その結果、熱源の一次側エネルギーを大幅に削減することができる。また、熱エネルギー供給者及び熱エネルギー使用者の特定が容易であるため、課金も比較的容易に実施可能である。
【0021】
上記構成において、制御手段は、受け付けた負荷要求を満足できる熱エネルギーを有する熱媒を第2の建物が備える熱源に供給させる構成を採用することもできる。この構成において、熱媒輸送路に、それぞれが熱源を備える複数の建物が接続される場合、制御手段は、各建物における熱源の運転状態に基づいて、当該複数の建物の中から上記第2の建物を特定する構成を採用することもできる。
【0022】
また、上記構成において、熱媒輸送路は、環状の第1の輸送路と環状の第2の輸送路とを有するとともに、第1の建物及び第2の建物は、第1の輸送路又は第2の輸送路から抜き出した熱媒を蓄積するバッファタンクを備える構成を採用することができる。この構成では、バッファタンクに蓄積された熱媒との間で熱エネルギーが授受される。
【0023】
この熱融通システムにおいて、それぞれが第1の輸送路又は第2の輸送路から抜き出した熱媒を蓄積するバッファタンクを備える複数の建物が熱媒輸送路に接続された構成を採用することもできる。この場合、制御手段は、受け付けた負荷要求を満足できる熱エネルギーを有する熱媒が上記複数の建物のいずれかが備えるバッファタンクに蓄積され、かつ当該バッファタンク内の熱媒の用途が確定されていない場合、当該建物及び当該バッファタンクを上述の第2の建物及び熱源として特定する。当該構成において、バッファタンクは、異なる温度を有する熱媒又は建物から排出される残余の熱エネルギーにより、単一の温度を有する熱媒を生成する均熱槽として機能することができる。
【0024】
また、以上の構成において、第2の建物の熱源が、熱エネルギーを付与した熱媒を第1の輸送路又は第2の輸送路に注入する場合、当該注入と同時に、当該注入位置の下流側において、注入対象の輸送路から注入量と同量の熱媒を抜き出す構成を採用することができる。また、第1の建物のバッファタンクに、第1の輸送路又は第2の輸送路から熱エネルギーが付与された熱媒を抜き出す場合、当該抜き出しと同時に、当該抜き出し位置の上流において、注入対象の輸送路に抜き出し量と同量の熱媒を注入する構成を採用することができる。
【0025】
さらに、第1の輸送路及び第2の輸送路と、バッファタンクとの接続部は、以下の構成を採用することができる。すなわち、当該接続部は、第1の輸送路に介在された開閉弁と、第2の輸送路に介在された開閉弁とを備える。また、一端が第1の輸送路の開閉弁の一方側に接続された第1の熱媒導入路、及び一端が第2の輸送路の開閉弁の一方側に接続された第2の熱媒導入路を備える。第1の熱媒導入路及び第2の熱媒導入路は、ともに他端が共通導入路の一端に接続されており、当該共通導入路の他端はバッファタンクに接続されている。さらに当該接続部は、一端が第1の輸送路の開閉弁の他方側に接続された第1の熱媒導出路、及び一端が第2の輸送路の開閉弁の他方側に接続された第2の熱媒導出路を備える。第1の熱媒導出路及び第2の熱媒導出路は、ともに他端が共通導出路の一端に接続されており、当該共通導出路の他端がバッファタンクに接続されている。第1の熱媒導入路、第2の熱媒導入路、共通導入路、第1の熱媒導出路、第2の熱媒導出路には開閉弁がそれぞれ介在されている。また、共通導入路に介在された開閉弁の上流側には、バッファタンク側に熱媒を送出するポンプが設けられており、共通導出路には、バッファタンクから共通導出路の一端側に熱媒を送出するポンプが設けられている。さらに、ポンプと共通導入路の開閉弁との間の共通導入路と、共通導出路のポンプの下流側の共通導出路とはバイパス流路によって接続されており、パイパス流路には開閉弁が介在されている。
【0026】
さらに他の観点では、本発明は、熱エネルギー搬送方法を提供することができる。すなわち、本発明に係る熱エネルギー搬送方法では、まず、負荷要求が受け付けられる。次いで、熱エネルギーを搬送する熱媒が輸送される熱媒輸送路内において、互いに異なる温度を有し、熱媒輸送路で輸送方向に所定の長さを有する状態で順次輸送される熱媒の温度分布が取得される。続いて、受け付けられた負荷要求を満足できる熱エネルギーを有する熱媒の塊が温度分布に基づいて特定される。当該特定された熱媒の塊は熱媒輸送路により負荷要求の要求元に搬送される。そして、特定された熱媒の塊が負荷要求の要求元に到達したときに、到達した熱媒から熱エネルギーが取り出される。
【0027】
この熱エネルギー搬送方法では、異なる温度を有する熱媒の塊が熱媒輸送路中を搬送される。すなわち、熱媒搬送路中に異なる熱エネルギーが付与された熱媒を併存させた状態で熱エネルギーを搬送することができる。そのため、例えば、当該熱エネルギー搬送システムに接続された建物において余剰となった熱エネルギーや当該建物で使用され後に残存する熱エネルギーを、任意に搬送することができる。したがって、従来廃棄されていた少量の熱エネルギーや排熱を有効に利用することが可能になる。その結果、熱源の一次側エネルギーを大幅に削減することができる。また、熱エネルギー供給者及び熱エネルギー使用者の特定が容易であるため、課金も比較的容易に実施可能である。
【0028】
この熱エネルギー搬送方法では、受け付けられた負荷要求を満足できる熱エネルギーを有する熱媒の塊を温度分布に基づいて特定するステップにおいて、当該負荷要求を満足できる熱エネルギーを有する熱媒の塊が特定できなかった場合、熱媒輸送路に接続された熱源により、負荷要求を満足できる熱エネルギーを有する熱媒の塊を熱媒輸送路内に生成させる構成を採用することもできる。また、受け付けられた負荷要求を満足できる熱エネルギーを有する熱媒の塊を温度分布に基づいて特定するステップにおいて、当該負荷要求を満足できる熱エネルギーを有する熱媒の塊が特定できなかった場合、熱媒輸送路に接続された他の建物において一部が消費された残余の熱エネルギーにより、負荷要求を満足できる熱エネルギーを有する熱媒の塊を熱媒輸送路内に生成させる構成を採用することもできる。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、熱源を備える建物で生成された熱エネルギーをその地域で有効利用することができる。また、ある建物に熱媒が供給され、当該建物において熱エネルギーが使用された後の熱媒が有する熱エネルギーを他の建物において利用することもできる。その結果、熱エネルギーを有効利用でき、熱源効率を改善することができる。さらに、熱エネルギー供給者及び熱エネルギー使用者の特定が容易であるため、課金も比較的容易に実施可能である。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明における熱エネルギー搬送原理を説明する模式図
【図2】本発明における温度混合領域の一例を示す図
【図3】本発明における温度混合領域の一例を示す図
【図4】本発明の一実施形態における熱融通システムの全体構成を示す概略構成図
【図5】本発明の一実施形態におけるサーマルルータを示す概略構成図
【図6】本発明の一実施形態における多段階式蓄熱水槽を示す概略構成図
【図7】本発明の一実施形態における制御手段の一例を示す機能ブロック図
【図8】本発明の一実施形態における熱融通システムが実施する地域内熱融通手順の一例を示すフロー図
【図9】本発明の一実施形態における熱融通システムが実施する搬送経路決定手順の一例を示すフロー図
【図10】本発明の一実施形態における熱融通システムが実施する搬送方法決定手順の一例を示すフロー図
【図11】本発明の一実施形態における熱融通システムが実施する注入方法決定手順の一例を示すフロー図
【図12】本発明の一実施形態における熱融通システムの動作を説明する図
【図13】本発明の一実施形態における熱融通システムの動作を説明する図
【図14】本発明の一実施形態における熱融通システムの動作を説明する図
【図15】本発明の一実施形態における熱融通システムの動作を説明する図
【図16】本発明の一実施形態における熱融通システムの動作を説明する図
【図17】本発明の一実施形態における熱融通システムの動作を説明する図
【図18】本発明の一実施形態における他のサーマルルータを示す概略構成図
【図19】本発明の一実施形態における他の熱融通システムの全体構成を示す概略構成図
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながらより詳細に説明する。まず、本発明における熱エネルギー搬送原理について説明する。図1は、本発明の熱エネルギー搬送原理を説明する模式図である。

【0032】
図1に示すように、本発明における熱エネルギー搬送システム10は、熱媒輸送路1、熱源2、熱需要端(熱負荷)3、温度分布取得手段4、制御手段5を備える。

【0033】
熱媒輸送路1は、熱エネルギーを搬送する熱媒6を輸送する。熱媒輸送路1には熱源2と熱需要端3が接続されている。ここでは、説明のため、1の熱源2と1の熱需要端3とを示しているが、後述のように、当該熱源2及び熱需要端3は、熱媒輸送路1に対して複数が接続される。特に限定されないが、熱源2及び熱需要端3は建物等である。すなわち、熱エネルギーを供給可能な建物等は熱源2になることができ、また、熱エネルギーを消費可能な建物等は熱需要端3になることができる。また、図1では、熱媒輸送路1が熱源2及び熱需要端3を貫通するような図を示しているが、熱源2が熱媒輸送路1内の熱媒6に熱エネルギーを供給できること、及び熱需要端3が熱媒輸送路1内の熱媒6から熱エネルギーを取得できることを模式的に示すものであり、熱エネルギー授受の具体的構成を示すものではない。このような熱エネルギーの授受は、例えば、熱媒輸送路1内の熱媒6と、直接的又は間接的に熱交換を実施する熱交換器を介して実施することができる。なお、ここでは、熱媒6は、熱媒輸送路1内を熱源2から熱需要端3に向けて流れているものとする。

【0034】
熱源2は熱媒輸送路1に熱エネルギーを供給し、熱需要端3は熱媒輸送路1から熱エネルギーを取り出す。熱媒輸送路1内において、熱媒6は互いに異なる温度を有する状態で分布している。図1では、下流側から、5℃の熱媒12a、10℃の熱媒12b、5℃の熱媒12c、12℃の熱媒12dが分布している状態を示している。同一の温度を有する一連の熱媒6(12a~12dの夫々)は、熱媒輸送路1の熱媒輸送方向に沿ってある程度の長さを有している。以下、熱媒輸送路1の熱媒輸送方向に沿って実質的な長さを有する、同一の温度の熱媒6の塊を、適宜、「熱パケット」と呼称する。

【0035】
熱媒輸送路1内には熱媒6の温度分布を取得する温度分布取得手段4が設置されている。温度分布取得手段4は、例えば、熱媒輸送路1に所定間隔で設置した温度センサ及び当該各温度センサの出力をモニタする装置を含む構成とすることも可能である。しかしながら、本実施形態では、熱媒輸送路1内に敷設した光ファイバ15により温度分布を取得する構成を採用している。このような構成を有する温度分布取得手段4は、光ファイバ15の一端から光パルスを入射し、当該光ファイバ15の各部で発生するラマン散乱光(ストークス光、アンチストークス光)を計測する。当該ラマン散乱光には温度依存性が存在するため、その温度依存性と、上記パルス光の入射から当該ラマン散乱光が計測されるまでの時間とに基づいて、光ファイバ15の特定位置における温度を計測することができる。なお、このような光ファイバを使用した温度計測機器は市販されているため、ここでの詳細な説明は省略する。

【0036】
制御手段5は、熱需要端3の負荷要求(熱エネルギー搬送要求)を受け付けると、温度分布計測手段4により取得された温度分布に基づいて、受け付けた負荷要求を満足できる熱エネルギーを有する熱媒6を探索する。そして、例えば、受け付けた負荷要求を満足できる熱エネルギーを有する熱媒6が負荷要求を発した熱需要端3に到達する予定時刻を当該熱需要端3に通知する。当該通知を受けた熱需要端3は、通知された到達予定時刻が到来したときに、熱媒輸送路1内の熱媒6(負荷要求を満足できる熱エネルギーを有する熱媒6)から熱エネルギーを取り出す。

【0037】
例えば、熱需要端3の負荷要求を満足できる熱パケットが図1に示す10℃の熱媒12bであった場合、制御手段5は、10℃の熱媒12bが熱需要端3に到達したときに熱需要端3に10℃の熱媒12bから熱エネルギーを取り出させる。

【0038】
なお、異なる温度の熱パケットが接触する部分(図1に示す温度混合領域11)では、時間の経過とともに両側の熱媒が混ざり合い、時間の経過が長くなると(すなわち、熱媒6の移動距離が大きくなると)温度混合領域11の長さも長くなる。また、温度が異なる熱パケットが順に搬送される場合、熱媒輸送路1の壁面温度も、熱パケットの温度に応じて次々と変化する。このような、熱媒輸送路1の壁面の温度変化は熱パケットの下流側端部と熱媒輸送路1の壁面とが接触した際に、熱パケットと熱媒輸送路1の壁面との間で熱エネルギーが移動することにより発生する。すなわち、当該温度変化も、温度混合領域11の長さの増大に作用することになる。

【0039】
例えば、図2は、熱媒輸送路1の特定位置において、壁面温度が15℃(ここでは、15℃の熱媒が充填されている。)の100m長の鋼管(サイズ:200A)に、一端(位置0m)から、温度が5℃の熱媒(ここでは、水)を1m/secの流速で注入した場合の鋼管の壁面及び熱媒の温度分布を示す図である。図2において、横軸は鋼管の位置に対応し、縦軸は温度に対応する。また、図2において、破線21は鋼管壁面の温度分布に対応し、実線22は熱媒の温度分布に対応する。なお、図2では、熱媒の注入開始から99.7秒後の状態(すなわち、熱パケットの長さが99.7m)の状態を示している。

【0040】
また、図3は、図2中の位置100mにおける、熱媒の温度を示す図である。図3において、横軸は経過時間に対応し、縦軸が温度に対応する。なお、ここでは、温度は、位置100mにおける鋼管断面内の平均温度である。

【0041】
図2中の実線22から理解できるように、注入した熱媒の先端から15m程度の範囲では、熱媒の温度が2℃以上上昇しており、温度混合領域11が形成されることが理解できる。また、図3の実線31から理解できるように、位置100mの点を通過する熱媒は、5℃の熱媒注入開始から90秒程度経過したときに温度が低下し始め、150秒程度が経過したときに5℃になっている。すなわち、40秒から50秒程度の時間をかけて通過する熱媒(つまり、40m~50mの長さ)が温度混合領域11になっていることが理解できる。

【0042】
制御手段5は、直前を進行する熱パケットの温度等に基づいて、このような温度混合領域11の搬送距離に依存する変動を考慮して熱媒6の熱需要端3への到達予定時刻を算出する。なお、到達予定時刻は、特定の時刻における熱媒輸送路1内の温度分布、当該温度分布における各温度の熱媒6と熱需要端3との距離、及び熱媒輸送路1内での熱媒6の輸送速度に基づいて算出可能である。

【0043】
以上の熱エネルギー搬送システム10では、異なる温度を有する熱パケットが熱媒輸送路1中を搬送される。すなわち、熱媒搬送路1中に異なる熱エネルギーが付与された熱パケットを併存させた状態で熱エネルギーを搬送することができる。そのため、例えば、熱エネルギー搬送システム10に接続された建物において余剰となった熱エネルギーや当該建物で使用され後に残存する熱エネルギーを、他の建物に任意に搬送することができる。したがって、従来廃棄されていた少量の熱エネルギーや排熱を有効に利用することが可能になる。その結果、熱源の一次側エネルギーを大幅に削減することができる。また、熱エネルギー供給者及び熱エネルギー使用者の特定が容易であるため、課金も比較的容易に実施可能である。

【0044】
続いて、上述の熱エネルギー搬送原理を使用した熱融通システムについて説明する。図4は、本発明の一実施形態における熱融通システムの一例を示す図である。なお、以下では、当該システムにより冷房を実施する事例に基づいて説明する。

【0045】
図4に示すように本実施形態の熱融通システム100は、環状の第1の熱媒輸送路110と環状の第2の熱媒輸送路120とを備える。第1の熱媒輸送路110及び第2の熱媒輸送路120は、熱エネルギーが付与された熱媒6を輸送する。

【0046】
第1の熱媒輸送路110及び第2の熱媒輸送路120には熱源と熱需要端が接続されている。ここでは、一例として、熱源(熱供給端)として熱源101、103、105、熱需要端として熱負荷102、104を示している。なお、熱源101は建物Aが備える冷凍機により構成される熱源からなり、熱源103は建物Cが備える冷凍機により構成される熱源からなる。熱源105は後述する多段階式蓄熱水槽により構成された熱源からなる。また、熱負荷102は建物Bが備える空調機器により構成される熱負荷からなり、熱負荷104は建物Dが備える空調機器により構成される熱負荷からなる。なお、ここでは、建物A、Cを熱源とし、建物B、Dを熱需要端としているが、建物A、Cが備える空調機器は熱負荷となり得る。また、建物B、Dが、例えば、空調用の冷凍機等を備えていれば、建物B、Dも熱源となり得る。

【0047】
各熱源101、103、105及び各熱負荷102、104は、接続部131、132、133、134、135を介して第1の熱媒輸送路110及び第2の熱媒輸送路120に接続されている。接続部131~134は、各建物の熱源において生成された熱エネルギーを第1の熱媒輸送路110、第2の熱媒輸送路120内の熱媒に供給する機能と、第1の熱媒輸送路110、第2の熱媒輸送路120内の熱媒から熱エネルギーを取得する機能とを有する。また、接続部135は、多段階式蓄熱水槽のいずれかの段階に、第1の熱媒輸送路110、第2の熱媒輸送路120内の熱媒を注入する機能と、多段階式蓄熱水槽のいずれかの段階から、第1の熱媒輸送路110、第2の熱媒輸送路120内に熱媒を注入する機能とを有する。接続部131~135の構造については後述する。

【0048】
第1の熱媒輸送路110及び第2の熱媒輸送路120内において、熱媒は図1に例示するように互いに異なる温度を有する状態で分布している。すなわち、熱媒は熱パケットとして第1の熱媒輸送路110及び第2の熱媒輸送路120内を輸送される。なお、第1の熱媒輸送路110及び第2の熱媒輸送路120の内部には、各輸送路内の熱媒の温度分布を取得する上述の光ファイバ15が設置されており、上述の温度分布取得手段4(図示せず)により、第1の熱媒輸送路110及び第2の熱媒輸送路120内における熱パケットの分布が取得される。

【0049】
上述の制御手段5は、図示しない上述の温度分布手段4及び各接続部131~135とデータの授受が可能な状態に接続されており、上述のように、熱需要端である、熱負荷102や熱負荷104の負荷要求を受け付けるとともに、温度分布取得手段4により取得された温度分布(熱パケットの分布)に基づいて、受け付けた負荷要求を満足できる熱パケットが当該負荷要求を発した熱負荷の接続部に到達したときに、到達した熱パケットから当該接続部を介して熱需要端に熱エネルギーを取り出させる。

【0050】
なお、制御手段5は、例えば、専用の演算回路、あるいは、プロセッサとRAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)等のメモリとを備えたハードウェア及び当該メモリに格納され、プロセッサ上で動作するソフトウェアにより実現することができる。

【0051】
また、特に限定されないが、本実施形態では、第1の熱媒輸送路110は、主として、熱源(冷凍機)で生成された熱エネルギーを付与された熱媒(低温の熱媒)、あるいは、当該熱媒の温度と大きく異なることのない温度の熱媒(例えば、温度差が3℃以内)を搬送する役割を担っている。また、第2の熱媒輸送路120は、主として、熱エネルギーが利用され、温度が上昇した熱媒を搬送する役割を担っている。そのため、以下では、当該役割を表現するため、適宜、第1の熱媒輸送路110を「サプライループ110」と呼称し、第2の熱媒輸送路120を「レタンループ120」と呼称する。

【0052】
図5は、接続部131~134の構成の一例を示す図である。接続部131~134の構成は同様であるため、ここでは、これらの代表の意味で接続部130として表示する。また、図5では、当該接続部130によりサプライループ110及びレタンループ120に接続された建物内部の熱源(ここでは、冷凍機)及び熱負荷(空調機器を含む空調エリア)を併記している。なお、図5に示す建物内部の構成は、熱源101を備える建物A、熱負荷102を備える建物B、熱源103を備える建物C、熱負荷104を備える建物Dのすべてに適用することもできる。しかしながら、熱源101、103は少なくとも図5に示す熱源を有していればよく、熱負荷102、103は少なくとも図5に示す熱負荷(空調器)を有していればよい。

【0053】
図5に示すように、本実施形態における接続部130は、サプライループ110に介在された開閉弁501、レタンループ120に介在された開閉弁502を備える。なお、ここでは、開閉弁501、及び開閉弁502を採用しているが、当該弁は、サプライループ110又はレタンループ120に当該弁の下流側で熱媒を注入する際に注入した熱媒が上流側に進行すること、及びサプライループ110又はレタンループ120から当該弁の上流側で熱媒を抜き出す際に下流側の熱媒が抜き出されることを防止できる弁であればよい。したがって、逆止弁等を使用することも可能である。開閉弁の構造は、流路を開状態と閉状態とに切り替えることができるものであれば特に限定されないが、ここでは電磁式の開閉弁を使用している。

【0054】
また、接続部130は、一端がサプライループ110の開閉弁501上流側に接続されたサプライループ側導入路503及び一端がレタンループ120の開閉弁502上流側に接続されたレタンループ側導入路504を備える。サプライループ側導入路503及びレタンループ側導入路504は、ともに他端が共通導入路505の一端に接続されており、当該共通導入路505の他端が開放型のバッファタンク506に接続されている。さらに、接続部130は、一端がサプライループ110の開閉弁501下流側に接続されたサプライループ側導出路507及び一端がレタンループ120の開閉弁502下流側に接続されたレタンループ側導出路508を備える。サプライループ側導出路507及びレタンループ側導出路508は、ともに他端が共通導出路509の一端に接続されており、当該共通導出路509の他端がバッファタンク506に接続されている。

【0055】
サプライループ側導入路503、レタンループ側導入路504、共通導入路505、サプライループ側導出路507、レタンループ側導出路508には、開閉弁513、514、515、517、518がそれぞれ介在されている。また、共通導入路505に介在された開閉弁515の上流側には、開閉弁515側(共通導入路505の一端側から他端側に向かう方向)に熱媒を送出するポンプ512が設けられている。また、共通導出路509には、熱媒をバッファタンク506からサプライループ側導出路507、レタンループ側導出路508側へ送出するポンプ510が介在されている。ポンプ510及びポンプ512は、熱媒をサプライループ110又はレタンループ120に送出するとともに、当該送出により、サプライループ110又はレタンループ120中に存在する熱媒を、下流側へ搬送する機能を有している。なお、当該ポンプ510及びポンプ512は、後述のように、一対となって動作する他のポンプと同一の流量で熱媒を送出可能であればよく、その構成は特に限定されない。

【0056】
また、開閉弁515とポンプ512と間の共通導入路505とポンプ510の下流側の共通導出路509とはバイパス流路511で接続されており、当該パイパス流路511には開閉弁519が介在されている。本実施形態では、バッファタンク506に貯留された熱媒と、建物側の熱エネルギー搬送系の熱媒との間の熱エネルギーの授受は、熱交換器520を介して実施されるようになっている。また、バッファタンク506内の熱媒の温度は図示しない温度センサにより周期的に取得され、当該取得された温度は後述のようにバッファタンク情報取得手段を介して制御手段5に適宜通知される構成になっている。

【0057】
なお、以下では、適宜、上述した接続部130において、開閉弁501、502、513、514、517、518を含む部分をサーマルルータ530と呼称し、開閉弁515、519、バッファタンク506、ポンプ510、ポンプ512、バイパス流路511を含む部分をサーマルパケットストレージ540と呼称する。

【0058】
特に限定されないが、本実施形態では、建物A内の熱エネルギー搬送系は、空調エリア601、空調エリア602、空調エリア603及び熱源604を備える。空調エリア601~603は、1又は複数の室内機(空調機器)を含み、同一の空調エリアに属する室内機には、同一の熱媒供給経路から熱媒が供給される。例えば、1つの空調エリアには、建物の1つのフロアを対応させることができる。また、1つのフロアの特定部分(例えば、東側部分や西側部分)をそれぞれ1つの空調エリアにすることもできる。このような構成は、公知であるため、ここでの詳細な説明は省略する。なお、ここでは図示を省略しているが、空調エリア601~603には、室内機の他、同一の空調エリアに属する各室内機に熱媒を供給するための配管、バルブ(流量制御バルブ)及び2次ポンプも含まれる。

【0059】
各空調エリア601~603の熱媒導入側は、第1のヘッダ631を介して熱源604に接続されるとともに、第2のヘッダ632を介して熱交換器520に接続されている。第1のヘッダ631と各空調エリア601~603とを接続する熱媒導入路のそれぞれには開閉弁611~613が設けられており、第2のヘッダ632と各空調エリア601~603とを接続する熱媒導入路のそれぞれにも開閉弁621~623が設けられている。これらの開閉弁611~613、621~623は、各空調エリア601~603に、熱源604において熱エネルギーが付与された熱媒と、熱交換器520において熱エネルギーが付与された熱媒とのいずれか一方を供給する機能を有している。また、熱源604と第1のヘッダ631とを接続する熱媒導入路には開閉弁617が設けられており、熱交換器520と第2のヘッダ632とを接続する熱媒導入路には開閉弁627が設けられている。なお、開閉弁617、627は、流量制御が可能な流量制御弁により構成されている。

【0060】
同様に、空調エリア601~603の熱媒導出側は、第3のヘッダ633を介して熱源604に接続されるとともに、第4のヘッダ634を介して熱交換器520に接続されている。各空調エリア601~603と第3のヘッダ633とを接続する熱媒導出路のそれぞれには開閉弁614~616が設けられており、各空調エリア601~603と第4のヘッダ634とを接続する熱媒導出路のそれぞれにも開閉弁624~626が設けられている。これらの開閉弁614~616、624~626は、各空調エリア601~603において使用された熱媒を、熱源604と熱交換器520とのいずれか一方に供給する機能を有している。

【0061】
なお、第3のヘッダ633と熱源604とを接続する共通導出路605には、熱媒を熱源604側に送出するポンプ606が設けられており、第4のヘッダ634と熱交換器520とを接続する共通導出路607には、熱媒を熱交換器520側に送出するポンプ608が設けられている。また、第3のヘッダ633とポンプ606との間には開閉弁618が設けられ、第4のヘッダ634とポンプ608との間には開閉弁628が設けられている。さらに、ポンプ606と開閉弁618との間と、熱交換器520の下流側とを接続する熱媒流路609及びポンプ608と開閉弁628との間と、熱源604の下流側とを接続する熱媒流路610も設けられている。熱媒流路609、610により、熱源604において熱エネルギーが付与された熱媒を直接熱交換器520に導入し、熱交換後の熱媒を熱源604に導入する流路を構成することができる。また、熱交換機520の両端を接続する熱交換器バイパス流路629も設けられている。熱媒流路609、熱媒流路610及び熱交換器バイパス流路629にも開閉弁620、619、630がそれぞれ介在されている。なお、開閉弁618、628、619、620、630は、流量制御が可能な流量制御弁により構成されている。

【0062】
なお、図5に示す建物600内の各構成要素の動作(各開閉弁の開閉及び流量調整、ポンプのオンオフ、熱源・熱交換器の制御)は、建物600内に設けられた当該建物600内の空調をコントロールする空調制御部640により制御される。当該空調制御部640は、例えば、専用の演算回路、あるいは、プロセッサとRAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)等のメモリとを備えたハードウェア及び当該メモリに格納され、プロセッサ上で動作するソフトウェアにより実現することができる。

【0063】
図5に示す構成において、例えば、特定のテナント等に設置された空調エリア602に属する室内機から冷房の要求があった場合、当該室内機は、要求された設定温度や急速冷房等の運転方法情報を空調制御部640に通知する。当該通知を受けた空調制御部640は、当該室内機が属する空調エリアを特定するとともに、当該室内機が設置されている場所(部屋)のその時点の温度及び湿度を図示しない温度センサ、湿度センサを通じて取得する。空調制御部640は、当該設定温度、運転方法情報、取得した温度及び湿度に基づいて室内機が属する空調エリア602に、熱源604において熱エネルギーが付与された熱媒と、熱交換器520において熱エネルギーが付与された熱媒とのいずれかを供給する。本実施形態では、空調制御部640は、上述の制御手段5と通信可能に接続されており、空調制御部640は、設定温度、運転方法情報及び取得した温度、湿度(あるいは、これらに基づいて決定された、要求元が属する空調エリアに供給すべき熱媒が有している必要がある熱エネルギーの条件)を制御手段5に送信する。制御手段5は、例えば、他建物の熱源の動作状態やバッファタンク内の熱媒の状態、サプライループ110、レタンループ120内の熱パケット分布等に基づいて、費用が最も低くなることや、当該熱融通システム100が配置された地域のエネルギー効率が最も高まること等の指定された観点から、受信した条件に最適な方法を判定して空調制御部640に回答する。空調制御部640は当該回答に基づいて、要求元の室内機が属する空調エリア602へ、熱源604において熱エネルギーが付与された熱媒と、熱交換器520において熱エネルギーが付与された熱媒とのいずれかを供給するかを判定する。

【0064】
例えば、熱源604を使用する場合、空調制御部640は、開閉弁617、612、615、618を開状態として(他の開閉弁は閉状態)、熱源604により熱エネルギーを付与した熱媒を第1のヘッダ631を通じて要求元の室内機が属する空調エリア602に供給する。この場合、空調エリア602において使用され温度が上昇した熱媒は、第3のヘッダ633を通じて熱源604に戻される。なお、当該熱媒の循環はポンプ606を駆動することで実施される。

【0065】
また、熱交換器520を使用する場合、空調制御部640は、例えば、開閉弁627、622、625、628を開状態として(他の開閉弁は閉状態)、熱交換器520によりバッファタンク506内の熱媒から取得した熱エネルギーを付与した熱媒を第2のヘッダ632を通じて空調エリア602に供給する。この場合、空調エリア602において使用され温度が上昇した熱媒は、第4のヘッダ634を通じて熱交換器520に戻される。なお、当該熱媒の循環はポンプ608を駆動することで実施される。

【0066】
また、他の空調エリア601、603において使用された熱媒の温度が大きく上昇しておらず、当該熱媒が空調エリア602の熱エネルギー条件を満足する場合は、当該熱媒を空調エリア602において再利用してもよい。例えば、熱源604から供給され、空調エリア601において使用された熱媒を空調エリア602において再利用する場合、空調制御部640は、開閉弁627、622、624、628、630を開状態として(他の開閉弁は閉状態)、空調エリア601において使用された熱媒を第4のヘッダ634及び第2のヘッダ632を通じて空調エリア602に供給する。このような運転が可能か否かは、例えば、第2のヘッダ632及び第4のヘッダ634内の冷媒の温度をモニタすることで空調制御部640が判断することができる。なお、当該熱媒の循環はポンプ608を駆動することで実施される。

【0067】
一方、上述のように、制御手段5により最適な方法を判定する構成では、他の建物の要求に応じて、建物600の熱源604が、他の建物のために熱エネルギーを付与する場合も発生する。この場合、空調制御部640は、開閉弁619、620を開状態として(他の開閉弁は閉状態)、熱源604により熱エネルギーを付与した熱媒を、熱媒流路610を通じて熱交換器520に供給する。熱交換器520において、バッファタンク506内の熱媒に熱エネルギーが移転され、温度が上昇した熱媒は熱媒流路609を通じて熱源604に戻される。なお、当該熱媒の循環はポンプ606、608を駆動することで実施される。なお、バッファタンク506から他の建物へ熱媒を搬送する手法については後述する。

【0068】
次いで、接続部135及び熱源105(多段階式蓄熱水槽)について説明する。図6は、接続部135及び多段階式蓄熱水槽の構成の一例を示す図である。まず、温度成層型の多段階式蓄熱水槽について説明する。多段階式蓄熱水槽(熱源105)は、熱媒の比重の温度依存性を利用し、種々の温度を有する熱媒を鉛直方向に分布させて貯留する、所定の高さを有する大型の開放型の水槽201を備える。すなわち、水槽201の上部には比重の小さい温度の熱媒が貯留され、水槽201の底部には比重の大きい温度の熱媒が貯留される。

【0069】
当該水槽201は、高さ方向に均等間隔で設けられた注入用開閉バルブ群202及び高さ方向に均等間隔で設けられた送出用開閉バルブ群203を備える。ここでは、5個の開閉弁からなる開閉弁群202、203を例示しているが、開閉弁群202、203に属する開閉弁の数及び間隔は特に限定されない。この例では、同一高さに、対応する注入用開閉弁と送出用開閉弁が設けられており、水槽201内において当該対応する注入用開閉弁と送出用開閉弁との間が、管壁に多数の貫通孔を有する有孔管により接続されている。すなわち、有孔管は、水槽201内で所定高さを維持した状態で配置されている。このような有孔管を通じて熱媒を注入及び送出を実施することで水槽201内の温度分布を乱すことのない低流速の注入及び送出が可能になる。

【0070】
なお、図6に示すように、本実施形態における接続部135は、上述のサーマルルータ530と同一の構成を有しており、共通導入路505の他端が注入用開閉バルブ群202に接続され、共通導出路509の他端が送出用開閉バルブ群203に接続されている。また、共通導出路509には水槽201内の熱媒をサプライループ110又はレタンループ120へ送出するポンプ205が介在されている。

【0071】
水槽201の高さ方向には、図示しない温度センサが均等間隔で配置されており、サプライループ110又はレタンループ120から引き出した熱パケット(熱媒)に最も近い温度に対応する1の注入側開閉弁を開状態にすることで、水槽201内に熱媒が注入される。この場合、熱媒の注入に伴い水槽201内の熱媒の液面(水位)は上昇することになる。また、サプライループ110又はレタンループ120に送出する熱パケット(熱媒)に最も近い温度に対応する1の送出側開閉弁を開状態にすることで、サプライループ110又はレタンループ120へ熱媒が送出される。この場合、熱媒の送出に伴って水槽201内の熱媒の液面は下降することになる。

【0072】
また、水槽201の底部と上部には、水槽201内に貯留された熱媒に熱エネルギーを付与する熱源205に接続された熱媒輸送路が接続されている。例えば、熱源205が水槽201内の熱媒を冷却する場合、ポンプ207を駆動して水槽201の上部から水槽201内の熱媒を引き出し熱源205に供給する。熱源205において熱エネルギーが付与された熱媒は水槽201の底部に注入される。一方、熱源205が水槽201内の熱媒を加熱する場合、ポンプ206を駆動して水槽201の底部から水槽201内の熱媒を引き出し熱源205に供給する。熱源205において熱エネルギーが付与された熱媒は水槽201の上部に注入される。

【0073】
次に、制御手段5の構成について説明する。上述の制御手段5は、例えば、汎用コンピュータにより構成することができる。図7は、本実施形態の制御手段5の機能ブロック図である。図7に示すように、本実施形態の制御手段5は、要求受付部51、情報取得部52、熱パケット特定部53、搬送方法決定部54及び動作制御部55を備える。これらの各部は、例えば、CPUが、RAMを作業領域として利用し、ROMに格納されたプログラムを実行することで実現することができる。

【0074】
要求受付部51は、上述のように、各建物が備える空調制御部640が送信する、設定温度、運転方法情報及び空調対象位置の温度、湿度(あるいは、これらに基づいて決定された、要求元が属する空調エリアに供給すべき熱媒が有している必要がある熱エネルギーの条件)等の熱エネルギー要求条件を受信する。

【0075】
情報取得部52は、上述の温度分布取得手段4、各建物が備えるバッファタンク506内に収容された熱媒の温度及び量を取得するバッファタンク情報取得手段7と通信可能に接続されている。情報取得部52は、温度分布取得手段4により取得されたサプライループ110及びレタンループ120内の温度分布や、バッファタンク情報取得手段7により取得された各建物が備えるバッファタンク506内に収容された熱媒の温度及び量を、所定のサンプリングタイムで適宜取得するとともに、取得した情報を保持する。また、情報取得部52は、各建物が備える空調制御部640とも接続されており、各建物が備える熱源の運転状態も所定のサンプリングタイムで適宜取得するとともに、取得した情報を保持する。なお、熱源の運転状態とは、運転中であるか停止中であるかの情報の他、熱エネルギー生成能力(生成余力)、熱エネルギー生成と運転効率との関係を示す情報、消費する一次側エネルギー量に関する情報等、他の熱源との有利、不利を比較するための任意の情報を意味する。

【0076】
熱パケット特定部53は、要求受付部51が受信した熱エネルギー要求条件及び情報取得部52が保持している各種情報に基づいて、要求受付部51が受信した熱エネルギー要求条件を満足する熱パケットを特定する。熱パケット特定部53により特定された熱パケットを要求元に搬送する経路及び方法が搬送方法決定部54によって決定され、当該決定された搬送経路及び搬送方法による熱パケット搬送は、動作制御部55が各建物の接続部130の動作を制御することによって実現される。

【0077】
続いて、上述の構成を有する熱融通システム100における熱融通の手順について説明する。

【0078】
上述のように本実施形態の熱融通システム100は、当該熱融通システム100に属する建物において、サプライループ110又はレタンループ120から熱媒を取り出して熱エネルギーを利用する。このような構成では、1の建物(例えば、図5の熱負荷102である建物B)において、例えば、サプライループ110から単に熱媒を取り出すと、サプライループ110内の熱媒の量が減少する。すなわち、サプライループ110内に熱媒が存在しない空間が発生し、当該空間にサプライループ110内の熱媒が流入するため、上述の熱パケットの形態を維持することができなくなる。

【0079】
また、1の建物(例えば、図5の熱源101である建物A)において、他の建物へ熱エネルギーを融通するために、例えば、サプライループ110へ熱媒を送出しようしても、サプライループ110内に熱媒が充填されている場合は、サプライループ110内に熱媒を注入できる空間が存在しない。すなわち、サプライループ110内に熱媒を注入することができない。

【0080】
したがって、当該熱融通システム100に属する建物において、サプライループ110又はレタンループ120から熱媒を取り出して熱エネルギーを利用することを可能とするためには、熱媒を取り出すときに、上流側の他の建物から、熱媒を取り出す対象の熱媒輸送路(サプライループ110又はレタンループ120)へ同量の熱媒を注入する必要がある。同様に、サプライループ110又はレタンループ120へ熱媒を送出して他の建物に熱エネルギーを融通することを可能とするためには、熱媒を送出するときに、下流側の他の建物において、熱媒を送出する対象の熱媒輸送路(サプライループ110又はレタンループ120)から同量の熱媒を取り出す必要がある。すなわち、熱媒輸送路(サプライループ110又はレタンループ120)の少なくとも特定の区間において、熱媒の収支を一定に保つことが必要になる。

【0081】
以上のような前提を踏まえ、以下で、熱融通システム100における熱融通の手順について説明する。図8は、熱融通システム100が実行する地域内熱融通手順の一例を示すフロー図である。当該手順は、例えば、熱融通システム100に属する建物の空調制御部640において、熱エネルギーの要求が発生したことをトリガとして開始する。

【0082】
当該手順が開始すると、空調制御部640は、上述のように、熱エネルギー要求条件を負荷要求として制御手段5へ送信する(ステップS801)。

【0083】
制御手段5の要求受付部51により当該負荷要求が受け付けられると、要求受付部51は当該要求を熱パケット特定部53に入力する。当該入力を受けた熱パケット特定部53は、情報取得部52に保持された情報に基づいて、自身が管理する熱融通システム100内において、受信した条件を満足する熱パケットを検索する。当該検索において、熱パケット特定部53は、まず、サプライループ110及びレタンループ120を搬送中の熱パケットにおいて、その時点で搬送先が決定されておらず、かつ受信した条件を満足する熱パケットの有無を検索する(ステップS802)。

【0084】
ここで、本実施形態においてサプライループ110及びレタンループ120に存在する熱パケットについて説明する。本実施形態の熱融通システム100に24時間稼働の建物が属していると、熱融通システム100も24時間稼働し続けることになるが、ここでは、熱融通システム100が完全に停止し、サプライループ110及びレタンループ120内の熱媒の温度が周囲温度と同一になっている時点から運転が開始されるとする。

【0085】
上述のように、本実施形態では、サプライループ110を搬送される熱パケットの温度は、予め指定された温度(例えば、5℃)との温度差が3℃以内等に制限されているため、当該条件を満足し、かつ、熱融通システム100に属する他の建物から負荷要求があった場合に、サプライループ110に熱パケットが注入されることになる。すなわち、サプライループ110には、搬送先(消費先)が決定されていない熱パケットは存在しないことになる。

【0086】
一方、レタンループ120には、サプライループ110のような温度制限がないため、熱融通システム100に属する他の建物から負荷要求に応じて生成された熱パケットの他、ある建物で使用されまだ熱エネルギーの一部が残存している熱媒や、他の建物での利用価値のない熱媒(例えば、周囲温度と同一温度の熱媒)が存在することになる。

【0087】
したがって、この場合、熱パケット特定部53は、上記検索をレタンループ120に対してのみ実施すればよいことになる。

【0088】
上記の検索において該当する熱パケットが存在した場合、熱パケット特定部53は、当該熱パケットを要求元の建物へ搬送する熱パケットとして特定する(ステップS802Yes)。なお、上述のように熱パケットは、搬送距離が長くなると温度混合領域11が増大して熱パケットの長さが短くなる。すなわち、エネルギー損失が大きくなる。また、搬送に要する時間も長くなる。そのため、当該検索において、熱パケットの検索範囲を、要求元の建物から上流側に位置する予め指定された距離(例えば、600m)以内に存在するものに限定してもよい。

【0089】
一方、該当する熱パケットが存在しない場合、熱パケット特定部53は、熱融通システム100に属する各建物内のバッファタンク506内に収容されている熱媒において、その時点で搬送先が決定されておらず、かつ受信した条件を満足する熱媒の有無を検索する(ステップS802No、S803)。該当する熱媒が存在する場合、当該熱媒を要求元の建物へ搬送する熱パケットとして特定する(ステップS803Yes)。なお、上述の検索と同様に、当該検索においても、検索範囲を、要求元の建物から上流側に位置する予め指定された距離以内に存在する建物に限定してもよい。

【0090】
当該検索においても該当する熱パケット(熱媒)が存在しない場合、熱パケット特定部53は熱パケットの生成を指示する(ステップS802No、S809)。当該熱パケットの生成は、熱パケット特定部53に予め指定された条件に基づいて決定された熱源において実施される。ここで、予め指定された条件とは、例えば、熱融通システム100が配置された地域のエネルギー効率が最も高まること、である。より具体的には、既に運転をしており、当該熱パケットの生成がその熱源の高効率動作範囲内で実施可能である熱源(すなわち、生成コストが安い)や、当該熱パケットを生成するために必要な一次側エネルギー(電気、燃料等)の消費量が最も低い熱源等が選択されることになる。上述のように、本実施形態では、熱融通システム100に属する熱源は制御手段5と通信可能に接続されており、各熱源の運転状態は制御手段5の情報取得部52に適宜通知される構成になっている。なお、当該熱源には、多段階式蓄熱水槽(図4、図6参照)も含まれる。また、このような条件にしたがって熱パケットを生成する場合、必然的に、需要元建物から距離が離れた建物での熱パケットの生成は抑制され、需要元建物に近い(搬送距離が短い)建物において熱パケットが生成されることになる。

【0091】
なお、熱パケット特定部53が負荷要求の要求元建物の熱源による熱パケットの生成を決定した場合、熱パケットは生成されず要求元の建物内の熱源により熱媒に熱エネルギーが付与されることになる。この場合、熱パケット特定部53は、要求受付部51を通じてその旨を要求元建物の空調制御部640に通知する。すなわち、制御手段5は、要求元建物の要求元空調エリアにおいて、要求元建物の熱源により生成された熱エネルギーが付与された熱媒が供給される熱媒供給路を使用することを決定する。

【0092】
以上のようにして、要求元へ搬送する熱パケットを特定した熱パケット特定部53は特定した熱パケットの情報を搬送方法決定部54に入力する。当該入力に応じて搬送方法決定部54は、特定した熱パケットの搬送経路及び搬送方法を決定する。図9は、搬送方法決定部54の搬送経路決定手順の一例を示すフロー図である。上述のように、本実施形態では、サプライループ110には、温度差が3℃以内等、搬送する熱パケットの温度を限定している。そのため、搬送方法決定部54は、まず、上述のようにして特定された熱パケットが、サプライループ110の搬送する温度範囲に属しているか否かを判定する(ステップS901)。規定された温度範囲内である場合、搬送方法決定部54は、当該熱パケットをサプライループ110へ注入可能であれば、搬送経路をサプライループ110に決定する(ステップS901Yes、S902Yes、S903)。一方、搬送元から要求元までの間のサプライループ110の使用予約(先行する熱パケットが多数存在する等)が非常に多く、搬送開始までに多大な時間を要する等の事情があり、レタンループ120を通じて熱パケットを搬送した方が好ましい場合には、搬送方法決定部54は、規定された温度範囲内である熱パケットであっても搬送経路をレタンループ120に決定する(ステップS901Yes、S902No、S904)。

【0093】
また、規定された温度範囲外である場合、搬送方法決定部54は、搬送経路をレタンループ120に決定する(ステップS901No、S903)。

【0094】
上述のようにして搬送経路を決定した搬送方法決定部54は、続いて、熱パケットの搬送方法を決定する。ここで、搬送方法とは、上述したように、熱媒輸送路(サプライループ110又はレタンループ120)の少なくとも特定の区間において、熱媒の収支を一定に保つ手法を意味する。図10は搬送方法決定部54の搬送方法決定手順の一例を示すフロー図である。

【0095】
搬送方法決定部54は、まず、特定された熱パケットが搬送中の熱パケットであるか否かを確認する(ステップS1001)。搬送中の熱パケットである場合、サプライループ110又はレタンループ120に熱パケットを注入する必要がないため、手順が終了する(ステップS1001Yes)。

【0096】
搬送中の熱パケットでない場合、搬送方法決定部54は、決定した搬送経路において、要求元建物までの間に先行する熱パケットが存在するか否かを確認する(ステップS1002)。先行熱パケットが存在する場合、搬送方法決定部54は、熱パケット特定部53により特定された熱媒を収容するバッファタンク506又は熱パケットを生成する熱源が存在する建物(以下、搬送元建物という。)と、要求元建物との間の、上述の手法により決定された搬送経路中に存在する先行熱パケットの消費先が決定しているか否かを確認する(ステップS1002Yes、S1003)。先行熱パケットの消費先が決定している場合、搬送方法決定部54は、当該先行熱パケットの前方(下流側)に、熱パケット特定部53により特定された熱パケットの長さよりも長い、不要な熱媒が存在するか否かを確認する(ステップS1003Yes、S1006)。該当する不要な熱媒が存在しない場合、搬送方法決定部54は、当該先行熱パケットの消費時に熱パケットを注入することを決定する(ステップS1006No、S1008)。上述のように、サプライループ110を搬送されるすべての熱パケットは、基本的に消費先が決まっている。そのため、搬送経路がサプライループ110であり、かつ先行熱パケットが連なっている状態である場合、熱パケット特定部53により特定された熱パケットは、先行熱パケットの消費時にサプライループ110に注入されることになる。

【0097】
一方、先行熱パケットの消費先が未定である場合(すなわち、搬送経路がレタンループ120である場合)、搬送方法決定部54は、搬送元建物と要求元建物との間の、上述の手法により決定された搬送経路中に存在する建物のバッファタンク506又は多段階式蓄熱水槽105に、先行熱パケットを退避可能であるか否かを確認する(ステップS1003No、S1004)。先行熱パケットが退避可能である場合、搬送方法決定部54は、当該先行熱パケットの退避時に熱パケットを注入することを決定する(ステップS1004Yes、S1007)。なお、バッファタンク506へ退避可能とは、バッファタンク506に先行熱パケットを収容する容量が存在し、バッファタンク506内に先行熱パケットを導入して退避した場合に、バッファタンク506内に既に存在している熱媒との混合により、予め指定された閾値を超える大きな熱損失が発生せず(すなわち、損失を許容できる)、かつ先行熱パケットの長さが熱パケット特定部53により特定された熱パケットよりも長いことを意味する。

【0098】
先行熱パケットが退避不可能である場合、搬送方法決定部54は、要求元建物の接続部130(あるいは、搬送元建物と要求元建物との間の、上述の手法により決定された搬送経路中に存在する建物の接続部130において、先行熱パケットを一方の熱媒輸送路から他方の熱媒輸送路へバイパスし、当該先行熱パケットのバイパス時に熱パケットを注入することを決定する(ステップS1004No、S1005)。先行熱パケットが存在しない場合も同様である(ステップS1002No、S1005)。しかしながら、この場合、先行する熱媒が熱パケットではなく、周囲温度と同等の温度を有する不要な熱媒である可能性がある。そのため、この場合、バイパスに変えて、熱エネルギーが付与される熱媒として、いずれかの建物のバッファタンク506や多段階式蓄熱水槽105に導入するとき(以下、熱媒処理時という。)に熱パケットを注入することを決定することも可能である。先行熱パケットの前方に、熱パケット特定部53により特定された熱パケットの長さよりも長い、不要な熱媒が存在する場合も同様である(ステップS1006Yes、S1005)。

【0099】
なお、先行熱パケットと不要な熱媒とが存在する場合、バイパスあるいは熱媒処理の対象とする熱媒は、先行熱パケットの前方に存在する熱媒とすることが特に好ましい。このようにすることで、先行熱パケットの進行を停止することなく、熱パケット特定部53により特定された熱パケットを注入することができる。

【0100】
また、いずれの場合であっても、搬送経路として決定された輸送路に熱媒を注入する注入速度と当該輸送路から熱媒を抜き出す抜出速度とは同一である。すなわち、注入量と抜き出し量とは同一である。すなわち、先行熱パケットを進行させるためだけに他の建物においてその輸送路に対して熱媒の注入が実施されていた場合、熱パケット特定部53により特定された熱パケットが注入される際に、当該他の建物における熱媒の注入は停止されることになる。

【0101】
以上のようにして、特定した熱パケットの搬送経路及び搬送方法を決定した搬送方法決定部54は、決定した搬送方法を動作制御部55に通知する。当該通知を受けた動作制御部55は、搬送方法決定部54により決定された搬送経路及び搬送方法により、熱パケット特定部53が特定した熱パケットの搬送を実行する(ステップS805)。そして、当該熱パケットが要求元建物に到達するまで待機する(ステップS806No)。なお、当該熱パケットの搬送は、熱融通システム100に属する建物の接続部130(図5では接続部131~135)の動作(開閉弁およびポンプの動作)を制御することによって実現される。

【0102】
その後、当該熱パケットが要求元建物に到達すると、要求元建物のサーマルルータ530は、到達した熱パケットを要求元建物のバッファタンク506に導入する(ステップS807)。当該導入のタイミングは、動作制御部55によって指示される。上述のように、情報取得部52には、サプライループ110及びレタンループ120内の温度分布がリアルタイムで保持されているため、熱パケットの到達タイミングを検知することができる。なお、バッファタンク506への熱パケットの導入については後述する。

【0103】
また、バッファタンク506へ熱パケットを導入する場合、熱媒の収支を一定に保つために、熱パケットが取り出される熱媒輸送路(サプライループ110又はレタンループ120)に、同量の熱媒を注入する必要がある。当該熱媒を注入する方法も、上述の搬送方法決定部54が決定する。図11は、搬送方法決定部54が実施する注入方法決定手順の一例を示すフロー図である。当該手順は、上記熱パケットが要求元建物に到達する以前に実施される。

【0104】
搬送方法決定部54は、まず、バッファタンク506へ導入する熱パケットが、他の熱パケットと紐づけられているか否かを確認する(ステップS1101)。ここで、紐づけとは、図10のステップS1002における消費先が決定している先行熱パケットとして後続の熱パケットと対応づけられている状態を意味する。紐づけされている場合、手順が終了する(ステップS1101Yes)。この場合、要求元建物のバッファタンク506へ当該熱パケットを導入するときに、紐づけされている熱パケットが注入されるため、熱媒輸送路において熱媒の収支は一定に維持される。

【0105】
紐づけされている後続の熱パケットが存在しない場合、搬送方法決定部54は、搬送元建物と要求元建物との間の、上述の手法により決定された搬送経路中に存在する建物のバッファタンク506又は多段階式蓄熱水槽105から熱パケットを注入可能であるか否かを確認する(ステップS1101No、S1102)。搬送経路中に存在する建物のバッファタンク506から熱パケットを注入可能である場合、搬送方法決定部54は、要求元建物のバッファタンク506へ熱パケットを導入するときに、搬送経路中に存在する当該建物のバッファタンク506から熱パケットを注入することを決定する(ステップS1102Yes、S1104)。なお、バッファタンク506から注入可能とは、バッファタンク506に取り出される先行熱パケットと同量の熱媒が存在し、さらに、注入先がサプライループ110である場合は、当該熱媒が上述の規定温度内であることを意味する。

【0106】
搬送経路中に存在する建物のバッファタンク506から熱パケットを注入できない場合、搬送方法決定部54は、要求元建物のバッファタンク506へ熱パケットを導入するときに、他方の熱媒輸送路から熱パケットを注入することを決定する(ステップS1102No、S1103)。ここで、他方の熱媒輸送路からの注入は、一方の熱媒輸送路から他方の熱媒輸送路へ熱媒をバイパスすることで実現される。なお、この場合、温度範囲を満足しない熱媒のレタンループ120からサプライループ110へのバイパスもやむを得ず実施される場合がある。このバイパスは、サプライループ110において熱パケットが存在しない部分において実施されることになる。

【0107】
以上のようにして決定した注入方法を、バッファタンク506へ熱パケットを導入する際に実施することで、熱媒輸送路において熱媒の収支は一定に維持することができる。

【0108】
以上のようにして要求元のバッファタンク506に熱パケット(熱媒)が導入されると、当該要求元建物の空調制御部640が当該熱媒に付与された熱エネルギーを、熱交換器520を介して取り出し、要求元の室内機へ供給する(ステップS808)。なお、要求元の室内機を含む当該建物において利用され、熱エネルギーが消費された熱媒(ここでは、温度が上昇した熱媒)は、適当なタイミングでレタンループ120に排出される。また、このように他の建物で利用可能な熱エネルギーを含まない熱媒は、上述のように、熱エネルギーが付与される熱媒として、熱融通システム100に属する建物のバッファタンク506や多段階式蓄熱水槽105に適宜導入されることになる。

【0109】
以下、サーマルルータ530及びサーマルパケットストレージ540の動作について順に説明する。なお、以下で説明する図12~図17では、熱媒が通過する経路を太線で示し、他の経路を細線で示す。また、開状態にある開閉弁を黒塗りで示し、閉状態にある開閉弁を線図で示す。

【0110】
まず、一方の熱媒輸送路から他方の熱媒輸送路へのバイパス動作について説明する。図12及び図13は、サーマルルータ530及びサーマルパケットストレージ540によるバイパス動作を説明する図である。図12がサプライループ110からレタンループ120へのバイパスに対応し、図13がレタンループ120からサプライループ110へのバイパスに対応する。

【0111】
図12に示すように、サプライループ110からレタンループ120へのバイパスは、開閉弁501、502を閉状態とし、開閉弁513、519、518を開状態とする(その他の開閉弁は閉状態)ことで実現できる。また、図13に示すように、レタンループ120からサプライループ110へのバイパスは、開閉弁501、502を閉状態とし、開閉弁514、519、517を開状態とする(その他の開閉弁は閉状態)ことで実現できる。なお、これらのバイパス状態における熱媒の搬送はポンプ512の駆動により実現される。

【0112】
図14はサーマルルータ530及びサーマルパケットストレージ540によるサプライループ110からバッファタンク506への熱パケットの導入動作を説明する図である。図14に示すように、サプライループ110からバッファタンク506への熱パケットの導入は、開閉弁501を閉状態とし、開閉弁513、515を開状態とする(その他の開閉弁は閉状態)ことで実現できる。なお、当該状態における熱媒の搬送はポンプ512の駆動により実現される。

【0113】
図15はサーマルルータ530及びサーマルパケットストレージ540によるバッファタンク506からサプライループ110への熱パケットの送出動作を説明する図である。図15に示すように、バッファタンク506からサプライループ110への熱パケットの送出は、開閉弁501を閉状態とし、開閉弁517を開状態とする(その他の開閉弁は閉状態)ことで実現できる。なお、当該状態における熱媒の搬送はポンプ510の駆動により実現される。

【0114】
図16はサーマルルータ530及びサーマルパケットストレージ540によるレタンループ120からバッファタンク506への熱パケットの導入動作を説明する図である。図16に示すように、レタンループ120からバッファタンク506への熱パケットの導入は、開閉弁502を閉状態とし、開閉弁514、515を開状態とする(その他の開閉弁は閉状態)ことで実現できる。なお、当該状態における熱媒の搬送はポンプ512の駆動により実現される。

【0115】
図17はサーマルルータ530及びサーマルパケットストレージ540によるバッファタンク506からレタンループ120への熱パケットの送出動作を説明する図である。図17に示すように、バッファタンク506からレタンループ120への熱パケットの送出は、開閉弁502を閉状態とし、開閉弁518を開状態とする(その他の開閉弁は閉状態)ことで実現できる。なお、当該状態における熱媒の搬送はポンプ510の駆動により実現される。

【0116】
なお、上記実施形態では、サプライループ110とレタンループ120内の熱媒の搬送方向を同一方向としているが、搬送時間短縮の観点では、サプライループ110とレタンループ120内の熱媒の搬送方向を逆方向とすることが好ましい。

【0117】
また、熱媒の搬送方向を任意に切り替えることができる構成としてもよい。図18は、このような搬送方向の切替を可能にするサーマルルータの構成の一例を示す図である。図18に示すように、このサーマルルータ550は、開閉弁551及び開閉弁552を備える点で、図5に示すサーマルルータ530と相違し、他の構成は同様である。開閉弁551はサプライループ110に介在されており、サプライループ側導出路507とサプライループ110との接続点が、開閉弁501と開閉弁551とで挟まれている。開閉弁552はレタンループ120に介在されており、レタンループ側導出路508とレタンループ120との接続点が、開閉弁502と開閉弁552とで挟まれている。

【0118】
この構成では、サプライループ側導出路507を通じて熱媒をサプライループ110に注入する場合、開閉弁501を閉状態とし開閉弁551を開状態とすると、注入された熱媒は、サプライループ側導出路507とサプライループ110との接続点から開閉弁551の方向へ進行する。一方、開閉弁501を開状態とし開閉弁551を閉状態とすると、注入された熱媒は、サプライループ側導出路507とサプライループ110との接続点から開閉弁501の方向へ進行する。同様に、レタンループ側導出路508を通じて熱媒をレタンループ120に注入する場合、開閉弁502を閉状態とし開閉弁552を開状態とすると、注入された熱媒は、レタンループ側導出路508とレタンループ120との接続点から開閉弁552の方向へ進行する。一方、開閉弁502を開状態とし開閉弁552を閉状態とすると、注入された熱媒は、レタンループ側導出路508とレタンループ120との接続点から開閉弁502の方向へ進行する。

【0119】
以上説明したように、本実施形態の熱融通システム100によれば、当該システムに接続された建物間で熱エネルギーを任意に移動させることが可能であり、各建物が備える熱源を連携して運転することが可能になる。そのため、従来、各建物が備える互いに独立した熱源が、それぞれの建物において熱エネルギーが不足することがないように十分な熱エネルギーを生成することで、地域全体として過剰に生成されていた熱エネルギーを、地域全体として適正な余剰分を含む本来必要な量に低減することができる。例えば、建物(熱負荷)において使用されてレタンループ120に導入された熱媒の熱エネルギーの再利用が可能であり、従来廃棄されていた少量の熱エネルギーや排熱を有効に利用することが可能になる。また、その結果、熱源において熱エネルギーが付与される前後の熱媒の温度差を大きくすることができ、熱源を高効率で運転することも可能になる。加えて、一次側エネルギーとしてガスを使用する熱源や一次側エネルギーとして電気を使用する熱源等の種々の熱源を、それぞれの特性に合わせて、時期(暖房、冷房)や時間帯等に応じて高効率で運転させることが可能になる。そして、これらの効果が相まって、熱源が消費する一次側エネルギーを大幅に削減することができる。

【0120】
また、本実施形態の熱融通システム100では、サプライループ110とレタンループ120に接続部130を介して建物を任意に接続することができる。そのため、既存建物が有する熱源等を置換、更新する必要がなく、既存建物が多く存在する地域に適用することも容易である。加えて、熱エネルギー供給者及び熱エネルギー使用者の特定が容易であるため、課金も比較的容易に実施可能である。

【0121】
また、本実施形態の熱融通システム100では、各建物が備えるポンプにより、サプライループ110及びレタンループ120内を熱媒が輸送されるため、図4に示すように熱媒を輸送する(ループ内を循環させる)ためのポンプをサプライループ110及びレタンループ120に介在させる必要がない。すなわち、熱媒の輸送が必要な場所及び期間に限ってポンプが駆動されるため、熱媒輸送のためのエネルギー消費量を必要最小限にすることができる。加えて、本構成では、サプライループ110又はレタンループ120に熱媒を注入するポンプと、当該ポンプに対応してサプライループ110又はレタンループ120から熱媒を抜き出すポンプとが、同一流量となる状態で動作できればよく、その際に、サプライループ110又はレタンループ120を流れる熱媒の流量に何ら制限はない。すなわち、対となって動作するときに一方の流量に調整可能であれば各建物に設置されるポンプの容量は任意である。そのため、例えば、規模の小さな建物にも関わらず大容量ポンプの設置が要求される等の不都合は発生しない。

【0122】
なお、上記では、建物が1つのバッファタンク506を備える構成を説明したが、1の建物に複数のバッファタンクを設け、各バッファタンクに互いに温度の異なる熱媒を収容できる構成を採用することも可能である。この場合、各バッファタンクに熱交換器が設けられ、各熱交換器は上述の熱交換機520と同様にヘッダを介して各空調エリアに接続される。すなわち、この構成では、各空調エリアには、熱源及び各熱交換器において熱エネルギーが付与された熱媒を選択的に供給することができることになる。

【0123】
さらに、上記では、特に好ましい形態として、熱媒輸送路として、サプライループ110とレタンループ120との2つの環状輸送路が並んで設けられた構成について説明したが、3つ以上の環状輸送路が並んで設けられてもよい。

【0124】
ところで、上述の事例では、熱媒輸送路として、2つの環状輸送路が並んで設けられた構成としたが、熱媒輸送路は、1つの環状輸送路によって構成することもできる。図19は、本発明の一実施形態における熱融通システムの他の例を示す図である。なお、以下では、当該システムにより冷房を実施する事例に基づいて説明する。

【0125】
図19に示すように本実施形態の熱融通システム400は、環状の熱媒輸送路410を備える。熱媒輸送路410は、熱エネルギーが付与された熱媒6を輸送する。熱媒輸送路410には熱源と熱需要端が接続されている。ここでは、一例として、熱源(熱供給端)として熱源401、403、405、熱需要端として熱負荷402、404を示している。なお、熱源401は建物Eが備える冷凍機により構成される熱源からなり、熱源403は建物Gが備える冷凍機により構成される熱源からなる。熱源405は、例えば、上述した多段階式蓄熱水槽により構成された熱源からなる。また、熱負荷402は建物Fが備える空調機器により構成される熱負荷からなり、熱負荷404は建物Hが備える空調機器により構成される熱負荷からなる。なお、ここでは、建物E、Gを熱源とし、建物F、Hを熱需要端としているが、建物E、Gが備える空調機器は熱負荷となり得る。また、建物F、Hが、例えば、空調用の冷凍機等を備えていれば、建物F、Hも熱源となり得る。

【0126】
各熱源401、403、405及び各熱負荷402、404は、接続部431、432、433、434、435を介して熱媒輸送路410に接続されている。接続部431~435は、各建物の熱源において生成された熱エネルギーを熱媒輸送路410内の熱媒に供給する機能と、熱媒輸送路410内の熱媒から熱エネルギーを取得する機能とを有する。接続部431~435は、例えば、レタンループ120側の接続路(レタンループ側導入路504及びレタンループ側導出路508)を省略した上述のサーマルルータ530及びサーマルパケットストレージ540により構成することもできる。しかしながら、ここでは、接続部431~435は熱交換器により構成されている。そのため、この例では、熱媒輸送路410から熱媒6が取り出されることなく、熱エネルギーのみが熱媒6と熱源401、403、405との間又は熱媒6と熱負荷402、404との間で授受される。また、本構成では、熱媒輸送路410における熱媒6の輸送(循環)は、熱媒輸送路410に介在されたポンプ411により実現される。

【0127】
熱媒輸送路410内において、熱媒6は図1に例示するように互いに異なる温度を有する状態で分布している。すなわち、熱媒6は熱パケットとして熱媒輸送路410内を輸送される。なお、熱媒輸送路410の内部には、輸送路内の熱媒6の温度分布を取得する上述の光ファイバ15が設置されており、上述の温度分布取得手段4(図示せず)により、熱媒輸送路410内における熱パケットの分布が取得される。

【0128】
上述の制御手段5は、図示しない上述の温度分布手段4及び各接続部431~435(ここでは、熱交換器)とデータの授受が可能な状態に接続されており、上述のように、熱需要端である、熱負荷402や熱負荷404の負荷要求を受け付けるとともに、温度分布取得手段4により取得された温度分布(熱パケットの分布)に基づいて、受け付けた負荷要求を満足できる熱パケットが当該負荷要求を発した熱負荷の接続部に到達したときに、到達した熱パケットから当該接続部を介して熱需要端に熱エネルギーを取り出させる。なお、熱パケットの到達タイミングは、上述のように、制御手段5が熱媒輸送路410内の温度分布をリアルタイムで取得することで検知することができる。あるいは、上述のように、温度分布計測手段4により取得した温度分布に基づいて制御手段5が、その熱パケットが到達する予定時刻を熱需要端に通知してもよい。

【0129】
この構成では、図1に例示するような温度分布は、例えば、熱媒輸送路410の全体を5℃の熱媒6が循環している状態で、熱負荷402が所定量の熱媒と熱交換した結果、熱媒輸送路410中の熱媒6が10℃(熱パケット12b)になり、また、熱負荷404が所定量の熱媒と熱交換した結果、熱媒輸送路410中の熱媒6が12℃(熱パケット12d)になる、等により生じる。

【0130】
例えば、図19に例示する構成において熱媒輸送路410中の熱媒6が図1に例示する温度分布になっていた場合、熱負荷402が負荷要求し、当該要求が10℃の熱媒で満足できるときには、制御手段5は、10℃の熱パケット12bが熱負荷402の接続部(熱交換器)432に到達したときに当該熱パケット12bから熱エネルギーを取り出させる。また、熱負荷402が負荷要求し、当該要求が熱媒輸送路410中のいずれの熱パケットでも満足できないときは、制御手段5は、例えば、10℃の熱パケット12bが熱源401の接続部(熱交換器)431に到達したときに当該熱パケット12bに熱エネルギーを供給して熱媒の温度を5℃にさせる。そして、制御手段5は、長さが長くなった5℃の熱パケット(図1の熱パケット12a~12cまでの長さ)が熱負荷402の接続部432に到達したときに当該熱パケットから熱エネルギーを取り出させる。なお、上述のように、熱パケットの生成は、制御手段5に予め指定された条件に基づいて決定された熱源において実施される。この例では、熱融通システム400に属する熱源は制御手段5と通信可能に接続されており、各熱源の運転状態は制御手段5に適宜通知される構成になっている。

【0131】
また、図1に例示する1番目の5℃の熱パケット12aと2番目の5℃の熱パケット12cとの両方を使用すれば熱負荷402の負荷要求を満足できるときは、制御手段5は、1番目の5℃の熱パケット12aが熱負荷402の接続部432に到達したときと、2番目の5℃の熱パケット12cが熱負荷402の接続部432に到達したときに熱媒からそれぞれ熱エネルギーを取り出させる。

【0132】
以上の熱融通システム400では、熱媒輸送路410内の流速が固定され、各接続部431~435である熱交換器として同一の性能としなければ、熱パケットの搬送が不可能になる(熱媒が混合する)等の制約が生じるが、上述の熱融通システム100と同様の効果を得ることができる。

【0133】
なお、上述した実施形態は本発明の技術的範囲を制限するものではなく、既に記載したもの以外でも、本発明の範囲内で種々の変形や応用が可能である。例えば、上述の実施形態では、冷房についての具体例を説明したが、暖房においても同様の効果を得ることができる。また、上述の実施形態では、主として、熱媒輸送路が環状である事例について説明したが、本発明は、環状以外の熱媒輸送路に対して適用することも可能である。環状でなくとも、熱媒搬送路中に異なる熱エネルギーが付与された熱媒を併存させた状態で熱エネルギーを搬送することができるため、当該熱エネルギー搬送システムに接続された建物において余剰となった熱エネルギーや当該建物で使用され後に残存する熱エネルギーを、他の建物に任意に搬送できるという効果を得ることは可能である。

【0134】
また、図8から図11に示すフロー図は例示であり、本発明の動作はこれらのフロー図の動作のみに限られない。熱パケットを分割して注入する等多様な変形や応用が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0135】
本発明によれば、地域において生成された熱エネルギーを極めて有効に利用することができ、かつ既存建物への適用も容易であり、熱エネルギー搬送システム、熱融通システム及び熱エネルギー搬送方法として有用である。
【符号の説明】
【0136】
1、410 熱媒輸送路
2、101、103、105、401、403、405、604 熱源
3、102、104、402、404 熱需要端(熱負荷)
4 温度分布取得手段
5 制御手段
6 熱媒
10 熱エネルギー搬送システム
12a~12d 熱媒の塊(熱パケット)
15 光ファイバ
100、400 熱融通システム
110 第1の輸送路(サプライループ)
120 第2の輸送路(レタンループ)
130~135 接続部
431~435 接続部(熱交換器)
501、502 開閉弁
503 サプライループ側導入路(第1の熱媒導入路)
504 レタンループ側導入路(第2の熱媒導入路)
505 共通導入路
506 バッファタンク
507 サプライループ側導出路(第1の熱媒導出路)
508 レタンループ側導出路(第2の熱媒導出路)
509 共通導出路
510、512 ポンプ
513~515 開閉弁
517~519 開閉弁
520 熱交換器
530、550 サーマルルータ
540 サーマルパケットストレージ
601~603 空調エリア(空調機器)
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10
【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
15
【図17】
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【図18】
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【図19】
18