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明細書 :飛行体システム及び飛行体制御方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2014-169038 (P2014-169038A)
公開日 平成26年9月18日(2014.9.18)
発明の名称または考案の名称 飛行体システム及び飛行体制御方法
国際特許分類 B64C  13/18        (2006.01)
FI B64C 13/18 Z
請求項の数または発明の数 15
出願形態 OL
全頁数 20
出願番号 特願2013-042437 (P2013-042437)
出願日 平成25年3月4日(2013.3.4)
新規性喪失の例外の表示 特許法第30条第2項適用申請有り ▲1▼発行日:平成24年9月4日 刊行物名:「人間活動のための支援技術・システムに関する研究会」予稿集 発行者:大阪工業大学・大阪市立大学・関西学院大学・摂南大学合同研究会 ▲2▼発行日:平成24年9月25日 刊行物名:平成24年度 卒業研究中間発表会予稿集 発行者:大阪市立大学工学部機械工学科 ▲3▼開催日:平成24年11月27日 集会名:第1回サステナブルストックマネジメントに関するシンポジウム 開催場所:大阪市立大学 学術情報総合センター 10F
発明者または考案者 【氏名】今津 篤志
出願人 【識別番号】506122327
【氏名又は名称】公立大学法人大阪市立大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100168583、【弁理士】、【氏名又は名称】前井 宏之
審査請求 未請求
要約 【課題】目標位置への飛行制御の応答性が良好な飛行体システムを提供する。
【解決手段】飛行体210と、飛行体に曳航されたケーブル220と、飛行体に作用するケーブルの張力に基づいて、飛行体の位置を制御する制御部230とを備えた。例えば、制御部は、飛行体の現在位置と飛行体の目標位置とに基づく差分値と、ケーブルの張力とに基づいて、飛行体の位置を制御する。本発明によれば、飛行体がケーブルを曳航する場合においても、飛行体の目標位置への飛行制御の応答性が良好に保たれる。
【選択図】図3
特許請求の範囲 【請求項1】
飛行体と、
前記飛行体に曳航されたケーブルと、
前記飛行体に作用する前記ケーブルの張力に基づいて、前記飛行体の位置を制御する制御部と
を備えた、飛行体システム。

【請求項2】
前記制御部は、前記飛行体の現在位置と前記飛行体の目標位置とに基づく差分値と、前記ケーブルの前記張力とに基づいて、前記飛行体の位置を制御する、請求項1に記載の飛行体システム。

【請求項3】
前記制御部は、前記飛行体に対する重力と前記ケーブルの前記張力との合力の方向に基づいて、前記飛行体の姿勢角度を制御する、請求項1又は請求項2に記載の飛行体システム。

【請求項4】
前記制御部は、前記飛行体に対する重力と前記ケーブルの前記張力との合力の大きさに基づいて、前記飛行体の推力を制御する、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の飛行体システム。

【請求項5】
前記ケーブルの前記張力に基づいて、前記ケーブルの長さを調整する長さ調整器を備えた、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の飛行体システム。

【請求項6】
前記長さ調整器は、前記ケーブルの前記張力が最小になるように、前記ケーブルの長さを調整する、請求項5に記載の飛行体システム。

【請求項7】
前記飛行体の前記現在位置に基づいて、前記ケーブルの前記張力を算出する張力算出部を備える、請求項2に記載の飛行体システム。

【請求項8】
前記ケーブルの前記張力を測定する張力測定部を備え、
前記張力測定部は、前記飛行体と前記ケーブルとの間に設けられる、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の飛行体システム。

【請求項9】
ケーブルを曳航する飛行体を制御する制御方法であって、
前記飛行体に作用する前記ケーブルの張力を取得する取得ステップと、
前記ケーブルの張力に基づいて、前記飛行体の位置を制御する制御ステップと
を包含した、飛行体制御方法。

【請求項10】
前記制御ステップは、前記飛行体の現在位置と前記飛行体の目標位置との差分値と、前記ケーブルの前記張力とに基づいて、前記飛行体の位置を制御するステップを包含する、請求項9に記載の飛行体制御方法。

【請求項11】
前記制御ステップは、前記飛行体に対する重力と前記ケーブルの前記張力との合力の方向に基づいて、前記飛行体の姿勢角度を制御するステップを包含する、請求項9又は請求項10に記載の飛行体制御方法。

【請求項12】
前記制御ステップは、前記飛行体に対する重力と前記ケーブルの前記張力との合力の大きさに基づいて、前記飛行体の推力を制御するステップを包含する、請求項9から請求項11のいずれか1項に記載の飛行体制御方法。

【請求項13】
前記ケーブルの前記張力に基づいて、前記ケーブルの長さを調整する長さ調整ステップを包含する、請求項9から請求項12のいずれか1項に記載の飛行体制御方法。

【請求項14】
前記長さ調整ステップは、前記ケーブルの前記張力が最小になるように、前記ケーブルの長さを調整するステップを包含する、請求項13に記載の飛行体制御方法。

【請求項15】
前記制御ステップは、前記飛行体の前記現在位置に基づいて前記ケーブルの前記張力を算出する張力算出ステップを包含する、請求項10に記載の飛行体システム。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、ケーブルを曳航する飛行体を備えた飛行体システム及び飛行体制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
高速道路や橋梁の老朽化が進んでおり、また、一般のマンション等の建築物においても定期報告が義務化されていることから、建築物の目視検査のニーズが高まっている。建築物の目視検査の際には、足場や大型クレーンを用いることが多いが、コストや検査時間がかかるため、より簡便な目視検査方法が求められている。また、天井や橋梁裏等の目視検査の際には、足場や大型クレーンの使用が困難な場合が多く、カメラ等を搭載した小型ヘリコプタの使用が検討された。
【0003】
そこで、天井や橋梁裏等の目視検査の際にバッテリー搭載のヘリコプタを使用しているが、バッテリーの電源容量に限界があるため、ヘリコプタ飛行時間に制限がある。バッテリーの電源容量の限界の対策の一つは、電源容量に余裕のある地上の基地局からヘリコプタに電源ケーブルをつないで、ヘリコプタに継続的に給電することである。
【先行技術文献】
【0004】

【非特許文献1】羽沢、外5名、「ホビー用小型無人ヘリコプタの自律制御」、日本機械学会論文集 C編、vol.70,No.691(2004-3),pp.112-119。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ヘリコプタがケーブルを曳航することにより、ケーブルの張力等の外力がヘリコプタに作用する。その結果、ヘリコプタの飛行制御に悪影響が及ぶ。特に、ケーブルの重量がヘリコプタの重量に比べて大きい場合には、ヘリコプタの目標位置への飛行制御の応答性が悪くなったり、ヘリコプタの飛行制御が不安定になったりする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による飛行体システムは、飛行体と、前記飛行体に曳航されたケーブルと、前記飛行体に作用する前記ケーブルの張力に基づいて、前記飛行体の位置を制御する制御部とを備える。
【0007】
ある実施形態において、前記制御部は、前記飛行体の現在位置と前記飛行体の目標位置とに基づく差分値と、前記ケーブルの前記張力とに基づいて、前記飛行体の位置を制御する。
【0008】
ある実施形態において、前記制御部は、前記飛行体に対する重力と前記ケーブルの前記張力との合力の方向に基づいて、前記飛行体の姿勢角度を制御する。
【0009】
ある実施形態において、前記制御部は、前記飛行体に対する重力と前記ケーブルの前記張力との合力の大きさに基づいて、前記飛行体の推力を制御する。
【0010】
ある実施形態において、前記ケーブルの前記張力に基づいて、前記ケーブルの長さを調整する長さ調整器を備える。
【0011】
ある実施形態において、前記長さ調整器は、前記ケーブルの前記張力が最小になるように、前記ケーブルの長さを調整する。
【0012】
ある実施形態において、前記飛行体の前記現在位置に基づいて、前記ケーブルの前記張力を算出する張力算出部を備える。
【0013】
ある実施形態において、前記ケーブルの前記張力を測定する張力測定部を備え、前記張力測定部は、前記飛行体と前記ケーブルとの間に設けられる。
【0014】
本発明による飛行体制御方法は、ケーブルを曳航する飛行体を制御する制御方法であって、前記飛行体に作用する前記ケーブルの張力を取得する取得ステップと、前記ケーブルの張力に基づいて、前記飛行体の位置を制御する制御ステップとを包含する。
【0015】
ある実施形態において、前記制御ステップは、前記飛行体の現在位置と前記飛行体の目標位置との差分値と、前記ケーブルの前記張力とに基づいて、前記飛行体の位置を制御するステップを包含する。
【0016】
ある実施形態において、前記制御ステップは、前記飛行体に対する重力と前記ケーブルの前記張力との合力の方向に基づいて、前記飛行体の姿勢角度を制御するステップを包含する。
【0017】
ある実施形態において、前記制御ステップは、前記飛行体に対する重力と前記ケーブルの前記張力との合力の大きさに基づいて、前記飛行体の推力を制御するステップを包含する。
【0018】
ある実施形態において、前記ケーブルの前記張力に基づいて、前記ケーブルの長さを調整する長さ調整ステップを包含する。
【0019】
ある実施形態において、前記長さ調整ステップは、前記ケーブルの前記張力が最小になるように、前記ケーブルの長さを調整するステップを包含する。
【0020】
ある実施形態において、前記制御ステップは、前記飛行体の前記現在位置に基づいて前記ケーブルの前記張力を算出する張力算出ステップを包含する。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、飛行体がケーブルを曳航する場合においても、飛行体の目標位置への飛行制御の応答性が良好に保たれる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】(a)は、本発明の実施形態1におけるヘリコプタシステム100を示す模式図である。(b)は、ヘリコプタ110に作用する力を示す模式図である。
【図2】ヘリコプタ110の制御方法を示すフローチャートである。
【図3】(a)は、ヘリコプタシステム200の2次元モデルを簡略的に示す模式図である。(b)は、カテナリーの理論に基づくケーブル220のモデルを示す。(c)は、ヘリコプタ210に作用する力を示す模式図である。
【図4】ヘリコプタシステム200の各構成部分間の制御関係を示す模式図である。
【図5】目標角度の補正と推力のフィードフォワード補償との制御ブロック図である。
【図6】目標角度の補正とフィードフォワード補償の概念図を示す。
【図7】ヘリコプタ210の制御方法を示すフローチャートである。
【図8】ヘリコプタ210の移動の模式図である。
【図9】ヘリコプタ210の移動時の張力Tcの変化を示す模式図である。
【図10】目標角度補正制御のみを行った結果(各変数の時刻歴応答)を示す。
【図11】推力フィードフォワード補償制御のみを行った結果(各変数の時刻歴応答)を示す。
【図12】目標角度補正制御及び推力フィードフォワード補償制御の両方を行った結果(各変数の時刻歴応答)を示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照して本発明の実施形態によるヘリコプタシステム及びヘリコプタ制御方法の実施形態を説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されない。本発明の実施形態はヘリコプタ以外にも飛行機等の飛行体全般に適用され得る。

【0024】
[実施形態1:基本原理]
図1(a)は、本発明の実施形態1におけるヘリコプタシステム100を示す模式図である。以下、図1(a)を参照して、ヘリコプタシステム100を説明する。

【0025】
ヘリコプタシステム100は、ヘリコプタ110と、ヘリコプタ110に曳航されたケーブル120と、ヘリコプタ110の位置を制御する制御部130とを備える。

【0026】
ケーブル120は、ヘリコプタ110に電力を供給するあるいは信号を伝達する電線ケーブルである。ケーブル120は、ヘリコプタ110の飛行中は、ケーブル120の自重により垂下している。

【0027】
制御部130は、ヘリコプタ110に作用するケーブル120の張力に基づいて、ヘリコプタ110の位置を制御する。例えば、制御部130は、ヘリコプタ110を目標位置に飛行させるように制御する。本実施形態において、ヘリコプタ110の重量を軽減させること、及び信号やデータをリアルタイムで確実にヘリコプタ110に伝達させることを考慮し、制御部130は、ヘリコプタ110から離れた位置に設置される。制御部130とヘリコプタ110とはケーブル120を介して回転自由に連結されている。制御部130は、ケーブル120を利用してヘリコプタ110と信号を伝達したり、データを交換したりすることができる。

【0028】
制御部130は、例えば、ヘリコプタ110の現在位置とヘリコプタ110の目標位置とに基づく差分値(位置ずれ)と、ケーブル120の張力とに基づいて、ヘリコプタ110の位置を制御する。制御部130は、ヘリコプタ110の現在位置を示すデータや、ヘリコプタ110に作用するケーブル120の張力Tc(例えば張力Tcの大きさや張力Tcが作用する方向)を示すデータを取得することができる。

【0029】
ヘリコプタシステム100は、電源Eを備え得る。電源Eは蓄電所として飛行時のヘリコプタ110の下方に設置されている。ヘリコプタ110と電源Eとは、ケーブル120を介して連結されている。電源Eは、ケーブル120を通じて、ヘリコプタ110に電力を供給する。なお、電源Eは、商用電源として、電源コンセントによりヘリコプタ110に電力を供給してもよい。

【0030】
以下、図1(b)を参照して、実施形態1におけるヘリコプタシステム100の原理を説明する。ここで、ヘリコプタシステム100は、本来3次元的なものであるが、簡潔のため、ヘリコプタシステム100のモデルを2次元的に示す。ヘリコプタ110のロール運動とピッチ運動の両方を制御することにより、2次元モデルから3次元モデルに拡張可能である。

【0031】
図1(b)は、ヘリコプタ110に作用する力を示す模式図である。図1(b)において、推力Fh、重力mhg、張力Tc、姿勢角度θh、角度θcが示される。推力Fhはヘリコプタ110の推力を示し、重力mhgはヘリコプタ110に作用する重力を示し、張力Tcはヘリコプタ110に作用するケーブル120の張力を示す。更に姿勢角度θhは水平面に対するヘリコプタ110の飛行姿勢角度を示し、角度θcは鉛直方向に対する張力Tcの角度を示す。

【0032】
ヘリコプタ110に作用する力Fのx成分Fxとy成分Fyとは、それぞれ、

【0033】
【数1】
JP2014169038A_000003t.gif

【0034】
【数2】
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【0035】
である。

【0036】
また、ヘリコプタ110の移動距離のx成分xとヘリコプタ110に作用する力Fのx成分Fxとの関係、及びヘリコプタ110の移動距離のy成分yとヘリコプタ110に作用する力Fのy成分Fyとの関係は、それぞれ、

【0037】
【数3】
JP2014169038A_000005t.gif

【0038】
【数4】
JP2014169038A_000006t.gif

【0039】
である。

【0040】
ここで、質量mhはヘリコプタ110の質量を示し、加速度axはヘリコプタ110の加速度aのx成分を示し、加速度ayはヘリコプタ110の加速度aのy成分を示す。

【0041】
式1から式4を参照して理解できるように、ヘリコプタ110の水平方向に沿った移動距離の成分x及びヘリコプタ110の鉛直方向に沿った移動距離の成分yは、いずれも、ヘリコプタ110の推力Fhとケーブル120の張力Tcとにより決定される。従来技術のように、ケーブル120の張力Tcを考慮せずにヘリコプタ110を制御すると、ケーブル120の張力Tcの影響により位置ずれが大きくなる。一方、本発明の実施形態によれば、ケーブル120の張力Tcに基づく影響が考慮され、ヘリコプタ110が目標位置に飛行できるように、ヘリコプタ110を制御することができる。

【0042】
制御部130は、式1及び式2に示される原理に基づいて、予め設定した目標位置の情報及び取得した張力Tcの情報により、ヘリコプタ110を目標位置に飛行させるようにヘリコプタ110の推力Fhの大きさ及び向きを決定する。続いて、制御部130は、決定された推力Fhが出力されるようにヘリコプタ110のモータを制御し、ヘリコプタ110が推力Fhで目標位置に飛行する。

【0043】
なお、制御部130は、ヘリコプタ110と離れた位置に設置されているが、制御部130の設置位置は特に限定されず、例えば、制御部130の構成の全部又は一部をヘリコプタ110内に設置可能である。

【0044】
なお、本実施形態において、ヘリコプタ110は、ケーブル120を介して電源Eに接続されているが、本発明は、本実施形態に限定されず、ヘリコプタ110は、例えば、データを処理したり貯蔵したりする他の遠隔装置に接続されてもよい。

【0045】
以下、図1と図2とを参照して、実施形態1におけるヘリコプタ110の制御方法を説明する。図2は、ヘリコプタ110の制御方法を示すフローチャートである。ヘリコプタ110の制御方法は、ケーブル120を曳航するヘリコプタ110を制御する制御方法であって、ステップS110とステップS120とを実行することにより実現される。

【0046】
ステップS110において、制御部130は、ヘリコプタ110に作用するケーブル120の張力Tcを取得する。次に、ステップS120において、制御部130は、ケーブル120の張力Tcに基づいて、ヘリコプタ110の位置を制御する。

【0047】
ステップS120において、例えば、制御部130は、ヘリコプタ110の現在位置とヘリコプタ110の目標位置とに基づく差分値(位置ずれ)と、ケーブル120の張力とに基づいて、ヘリコプタ110の位置を制御する。制御部130は、ヘリコプタ110の現在位置及び姿勢を示すデータ、ケーブル120の張力Tc(例えば張力Tcの大きさや張力Tcが作用する方向)を示すデータを取得することができる。ヘリコプタ110の目標位置は予め制御部130に設定されている。

【0048】
以上、図1と図2とを参照して、実施形態1におけるヘリコプタ110の制御方法を説明した。実施形態1におけるヘリコプタ110の制御方法によれば、ステップS110及びステップS120を実行することによって、ヘリコプタ110を目標位置に飛行させることができる。

【0049】
[実施形態2]
図3から図7を参照して、本発明の実施形態2におけるヘリコプタシステム200を説明する。図3(a)は、ヘリコプタシステム200の2次元モデルを簡略的に示す模式図である。

【0050】
ヘリコプタシステム200は、ヘリコプタ210と、ヘリコプタ210に曳航されたケーブル220と、ヘリコプタ210の位置を制御する制御装置260と、長さ調整器250とを備える。制御装置260は、制御部230と外力情報取得装置240とを含む。

【0051】
ヘリコプタ210は、例えば、マルチロータヘリコプタとして、第1ロータ212aと第2ロータ212bとを有する。図示されていない第3ロータ及び第4ロータを用いると、ヘリコプタ210の紙面外の運動を独立に制御可能であるため、図3(a)に示す2次元モデルを3次元モデルに容易に拡張可能である。

【0052】
長さ調整器250は、例えば、地上又は地上を走行する台車上に設置され、ケーブル220の長さを調整する。例えば、長さ調整器250は、ケーブル220の張力が最小になるように、ケーブル220の長さを調整する。

【0053】
ヘリコプタ210の運動方程式は、次のように与えられる。

【0054】
【数5】
JP2014169038A_000007t.gif

【0055】
【数6】
JP2014169038A_000008t.gif

【0056】
【数7】
JP2014169038A_000009t.gif

【0057】
ここで、位置x及び位置yは長さ調整器250に対するヘリコプタ210の位置を示し、距離rはヘリコプタ210の重心からロータ212までの距離を示し、慣性モーメントIはヘリコプタ210の慣性モーメントを示し、推力F1及び推力F2は第1ロータ212aの推力及び第2ロータ212bの推力を示す。

【0058】
図4は、ヘリコプタシステム200の各構成部分間の制御関係を示す模式図である。図5は、目標角度の補正と推力のフィードフォワード補償との制御ブロック図である。以下、図4及び図5を参照して、制御部230によるヘリコプタシステム200の制御を説明する。

【0059】
制御部230は、角度制御部231と位置制御部232と外力補償部233とを有している。

【0060】
角度制御部231は、ヘリコプタ210が姿勢角度θhで傾斜して飛行するようにモータ211を制御する。位置制御部232は、予め設定された位置xref及びyrefを目標位置にしてヘリコプタ210が飛行するようにモータ211を制御する。

【0061】
外力補償部233は、外力情報取得装置240により取得した外力の情報に基づいて、外力により生じる位置ずれを補償するように、角度制御部231とモータ211が出力する推力F1及びF2に対して補償値を与える。これらの補償値を用いて制御することによって、ヘリコプタ210の飛行位置は、目標位置に修正される。その結果、制御部230は、ヘリコプタ210が目標位置に移動するようヘリコプタ210を制御できる。

【0062】
なお、ヘリコプタ210の飛行位置は、目標角度指令の補正及び推力のフィードフォワード補償のうちの少なくとも一方によって、目標位置に修正される。以下、図3から図6を参照して、目標角度指令の補正及び推力のフィードフォワード補償の詳細を説明する。

【0063】
<目標角度指令の補正>
始めに目標角度指令の補正を説明する。目標角度指令の補正では、推力F1及び推力F2が外力と対向する方向を向くように推力F1及び推力F2を制御することによって、張力により生じる位置ずれが補正される。角度制御部231は、算出した回転速度となるように推力F1及び推力F2を制御する。角度制御部231は、ヘリコプタ210の姿勢角度を変更させ、推力F1及び推力F2の方向が補正される。以下、外力情報取得装置240により取得した外力の情報に基づいて、推力F1及びF2の向きの姿勢角度θhを決定することについて説明する。

【0064】
ケーブル220は、剛性を考慮せず、自重により理想的に弛んでおり、一定の長さLcを有するものとする。また、目標位置への移動は、例えば、壁面検査時の移動として想定されている。ヘリコプタ210の飛行が十分遅く、ヘリコプタ210が静的に移動することを仮定可能である。そのため、ケーブル220はカテナリー(懸垂線)形状であるとみなすことができる。

【0065】
実施形態2において、外力情報取得装置240は、ケーブル220の両端部の相対位置(Δx、Δy)と、ケーブル220の長さLcとに基づき、カテナリーの理論から、張力Tcの情報を算出し、取得する。図3(b)は、カテナリーの理論に基づくケーブル220のモデルを示す。図3(b)に示されるモデルに基づくケーブル220のカテナリー曲線による方程式は、

【0066】
【数8】
JP2014169038A_000010t.gif

【0067】
【数9】
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【0068】
【数10】
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【0069】
【数11】
JP2014169038A_000013t.gif

【0070】
【数12】
JP2014169038A_000014t.gif

【0071】
【数13】
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【0072】
【数14】
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【0073】
である。

【0074】
ここで、距離xvはケーブル220の最下点から長さ調整器250までの水平距離を示し、水平分力Hはケーブル220両端の水平分力を示し、質量wはケーブル220の単位長質量を示し、角度θrは長さ調整器250とケーブル220との角度を示し、張力Trは長さ調整器250に作用するケーブル220の張力を示す。

【0075】
式8~式14に基づいて、外力情報取得装置240は、張力Tcの情報を取得する。

【0076】
外力情報取得装置240は、相対位置(Δx、Δy)及び長さLcの情報を取得する。ケーブル220の両端部の相対位置(Δx、Δy)は、ヘリコプタ210と長さ調整器250との相対位置に相当しており、ヘリコプタ210の内部に搭載しているGPSや気圧計などのセンサにより検出することが可能である。また、ケーブル220の長さLcは、長さ調整器250により繰出し量を積算するなどの方法で検出可能である。なお、ケーブル220の両端部の相対位置(Δx、Δy)の検出方法は、本実施形態に限定されず、例えば、ヘリコプタ210を外部から撮像して画像処理することにより検出することが可能である。

【0077】
外力情報取得装置240は、張力算出部241を有する。張力算出部241は、入力された相対位置(Δx、Δy)及び長さLcを式8及び式9に代入して、距離xv及びカテナリー数Cを算出し、ケーブル220のカテナリー曲線の形状を決めることができる。

【0078】
さらに、張力算出部241で算出された距離xv及びカテナリー数Cを式11及び式12に代入することにより、ケーブル220の両端における張力Tcの向き及び張力Trの向きを算出する。また、張力Tcの大きさ及び張力Trの大きさを算出する。このように、張力算出部241は、ヘリコプタ210に作用するケーブル220の張力Tcを測定することができる。

【0079】
次に、取得した張力Tcの情報は、外力情報取得装置240から、外力補償部233に入力される。外力補償部233は、ケーブル220の張力Tcを考慮した上で、ヘリコプタ210の目標角度θFFを算出する。その後、算出した目標角度θFFの情報は、外力補償部233から、角度制御部231に入力されると共に、位置制御部232から入力された情報に加算されることにより、ヘリコプタ210の姿勢角度の目標値θREFが算出される。さらに、角度制御部231は、ヘリコプタ210がθREFで飛行するようにモータ211を制御する。その結果、ヘリコプタ210は、姿勢角度の目標値θREFで飛行することにより、ケーブル220の張力Tcを相殺する方向に推力の方向を向けることができる。

【0080】
以下、図3(c)を参照して、外力補償部233が張力Tcに基づいて目標角度θFFを算出する原理について説明する。

【0081】
図3(c)は、ヘリコプタ210に作用する力を示す模式図である。ヘリコプタ210にかかる外力は、ヘリコプタ210に加わる重力mgとケーブル220の張力Tcとの合力である。そのため、目標角度θFFは、合力の方向と推力の方向が正反対になるように、式15に基づいて算出することができる。

【0082】
【数15】
JP2014169038A_000017t.gif

【0083】
ここで、角度θresは、重力mgと合力T(重力mgと張力Tcとの合力)のベクトルが成す角度を示す。

【0084】
なお、本発明に係る外力補償部233は、ケーブル220の張力Tcに起因する水平方向における位置ずれを補正するように、ヘリコプタ210の目標角度θFFを制御する。ヘリコプタ210の目標角度θFFの制御は、ヘリコプタ210の角度を直接制御するため、ヘリコプタ210の位置制御の水平方向の応答速度が向上する。

【0085】
<推力のフィードフォワード補償>
次に推力のフィードフォワード補償を説明する。推力のフィードフォワード補償によって、推力F1及び推力F2の大きさが補正され、張力により生じる位置ずれが補正される。以下、外力情報取得装置240により取得した外力の情報に基づく推力のフィードフォワード補償について説明する。

【0086】
外力補償部233は、張力Tcと重力mgとの合力を補償可能な補償推力FFFを算出する。制御部230は、位置制御部232からの出力に補償推力FFFが加算された上でロータ212が出力するように、モータ211を制御する。

【0087】
図6は、フィードフォワード補償の概念図を示す。ヘリコプタ210の姿勢角度θhとヘリコプタ210の目標角度θFFとは一致していないため、推力ベクトル方向における重力mgと張力Tcとの成分をフィードフォワード補償することにより、張力Tcと重力mgとによる影響を低減する。

【0088】
外力補償部233は、フィードフォワード補償の推力FFFを式16により算出することができる。ここで、係数KFFは、フィードフォワード係数を示す。

【0089】
【数16】
JP2014169038A_000018t.gif

【0090】
さらに、目標角度θFFと補償推力FFFとの両方を補償することができる。係数KFFを1とし、ヘリコプタ210の姿勢角度θhが目標角度θFFに一致しているとき、張力Tcと重力mgとの合力は完全に補償される。その結果、ヘリコプタ210は、張力Tcによる影響を受けず、目標位置に飛行することができる。

【0091】
なお、本実施形態において、外力情報取得装置240は、ケーブル220の長さLc及びヘリコプタ210の相対位置に基づいて、張力Tcを算出しているが、本発明は、本実施形態に限定されず、例えば、ケーブル220の張力を測定する張力測定部を備える。張力測定部は、ヘリコプタ210とケーブル220との間に設けることにより張力Tcを測定することができる。この場合、張力測定部は、例えばロードセル又は歪みゲージであり得る。また、ケーブル220とヘリコプタ210とが相対的に回転自由な場合、回転した角度を測定することにより、張力Tcの角度θcを測定することができる。

【0092】
<長さ調整器によるケーブルの張力制御>
長さ調整器250は、ケーブル220を巻き取ったり、繰出したりするために設けられている。長さ調整器250は、ヘリコプタ210の飛行距離に応じて、必要な長さでケーブル220を繰出すことができると共に、ヘリコプタ210に連結していないケーブル220の一端部を固定することができる。図3(a)に示すモデルでは、長さ調整器250は、電源Eと同じ位置に設置されている。

【0093】
以下、長さ調整器250を利用して張力Tcを間接的に調整する一例を説明する。始めに、制御部230はヘリコプタ210の位置情報を取得する。次に、制御部230は、カテナリーの理論に基づいて、張力算出部241がヘリコプタ210の位置に対し最小張力となる場合のケーブル220の長さLcmを算出する。さらに、制御部230は、算出されたケーブル220の長さLcmを繰出すように、長さ調整器250を制御する。その結果、長さ調整器250から繰出すケーブル220の長さを調整することができ、張力Tcを最小にすることができる。

【0094】
なお、張力算出部241は、最小張力となるケーブル220の長さLcmを算出する場合、ケーブル220の最下点の高さなどの拘束条件を考慮しても良い。

【0095】
なお、制御部230は、長さ調整器250とケーブル220とが成す角度θrが0度となるように、長さ調整器250を制御しても良い。

【0096】
以上、長さ調整器250によるケーブル220の張力制御を説明した。

【0097】
以下、図3~図7を参照して、実施形態2におけるヘリコプタ210の制御方法を説明する。図7は、ヘリコプタ210の制御方法を示すフローチャートである。ヘリコプタ210の制御方法は、ケーブル220を曳航するヘリコプタ210を制御する制御方法であって、ステップS210とステップS220とを実行することにより実現される。

【0098】
まず、ステップS210において、外力情報取得装置240は、ヘリコプタ210に作用するケーブル220の張力Tcを取得する。

【0099】
ステップS210は、ステップS211及びステップS212により実行される。ステップ211において、外力情報取得装置240は、ケーブル220の両端部の相対位置(Δx,Δy)の情報を取得する。さらに、ステップS212において、外力情報取得装置240は、取得したケーブル200の両端部の相対位置(Δx,Δy)及びケーブル220の長さLcに基づいて、張力Tcの大きさ及び方向を算出する。

【0100】
次に、ステップS220において、制御部230は、ケーブル220の張力Tcに基づいて、ヘリコプタ210の位置を制御する(ヘリコプタ210を目標位置に移動させる)。

【0101】
ステップS220は、ステップS221及びステップS222のうちの少なくとも一方と、ステップS223とにより実行される。ステップS221において、外力補償部233は、取得した張力Tcに基づいて、目標角度θFFを算出する。ステップS222において、外力補償部233は、取得した張力Tcに基づいて、フィードフォワード補償推力FFFを算出する。さらに、ステップS223において、算出した目標角度θFF及び算出したフィードフォワード補償推力FFFのうち少なくとも一方に基づいて、ヘリコプタ210を目標位置に移動させる。

【0102】
以上、図3~図7を参照して、本発明の実施形態2を説明した。実施形態2において制御装置260は制御部230と外力情報取得装置240とを含むが、制御装置260は、制御部230と外力情報取得装置240とのうち制御部230のみを含み得る。制御部230と外力情報取得装置240とは、別々の装置として機能し得る。

【0103】
[実施例]
以下、図8から図12を参照して、本発明の実施例を説明する。本実施例に係るヘリコプタ210の飛行制御においては、姿勢角度制御を内側ループとし、水平方向の位置制御の操作量が姿勢角度制御の目標値となる外側ループを構成する。位置制御と姿勢角度制御とは、それぞれPID制御とする。第1ロータ212a及び第2ロータ212bへの制御入力信号の算出方法を次に示す。

【0104】
【数17】
JP2014169038A_000019t.gif

【0105】
【数18】
JP2014169038A_000020t.gif

【0106】
【数19】
JP2014169038A_000021t.gif

【0107】
【数20】
JP2014169038A_000022t.gif

【0108】
【数21】
JP2014169038A_000023t.gif

【0109】
【数22】
JP2014169038A_000024t.gif

【0110】
【数23】
JP2014169038A_000025t.gif

【0111】
ここで、位置xref及び位置yrefはヘリコプタ210の位置の目標値を示し、角度θrefはヘリコプタ210の姿勢角度の目標値を示す。関数Gx、関数Gy、関数GθはPID制御関数を示し、操作量θrefは水平方向の誤差に基づく姿勢角度への操作量を示す。更に信号uyは垂直方向の制御入力信号を示し、信号uθは、姿勢角度の制御信号を示し、信号u1及び信号u2は、第1ロータ212a及び第2ロータ212bへの制御入力信号を示す。

【0112】
本発明の実施例は、式1から式14に基づいて、ヘリコプタ210とケーブル220の物理モデル及び飛行制御モデルをMATLAB-Simulink上に作成することにより行われた。本発明の実施例を確立するために、最初に同定実験を行った。

【0113】
<同定実験>
本モデルにおいて、ロータ212の推力は、推力指令値から、むだ時間+1次遅れで遅れるものと仮定し、以下のモデルを用いた。

【0114】
【数24】
JP2014169038A_000026t.gif

【0115】
ここで、係数Kは比例ゲインを示し、定数Tは時定数を示し、時間Lはむだ時間を示す。

【0116】
また、その係数は12Aモータと9×5の3ブレードプロペラの組み合わせによる同定実験によって求めた以下の表1の値を用いた。

【0117】
【表1】
JP2014169038A_000027t.gif

【0118】
表2は、シミュレーションモデルの詳細を示す。

【0119】
【表2】
JP2014169038A_000028t.gif

【0120】
表3は、式17及び式18に基づくPID制御の各制御ゲインを示す。

【0121】
【表3】
JP2014169038A_000029t.gif

【0122】
図8は、ヘリコプタ210の移動の一例の模式図である。ヘリコプタ210の目標位置は、壁面検査時の移動を想定して徐々に移動するように設定された。位置(-5m,5m)から位置(-7m,5m)まで、開始点及び終点での速度と加速度とを0とする5次多項式に沿って30秒間かけて移動させた。ケーブル220の長さLcは一定とした。

【0123】
位置(-5m,5m)から位置(-7m,5m)まで直線で移動した場合の張力Tcの変化を式8から式14に基づいて求めた。図9は、張力Tcの変化を示す模式図である。横軸はヘリコプタ210のx位置を示し、縦軸は張力Tcの大きさを示す。図9から、ヘリコプタ210が右から左に移動し、長さ調整器250から離れるに従って、張力Tcが増加することを理解できる。

【0124】
本実施例では、(1)従来制御、(2)KFF=0として目標角度補正を行った目標角度補正制御、(3)推力フィードフォワード補償制御、及び(4)目標角度補正と推力フィードフォワード補償との制御を行った。各制御の結果を以下に示す。

【0125】
<目標角度補正制御>
図10は、目標角度補正制御のみを行った結果(各変数の時刻歴応答)を示す。図10(a)及び図10(b)において、横軸は時間を示し、縦軸は、それぞれ、ヘリコプタ210の水平方向の位置誤差(位置ずれ)、鉛直方向の位置誤差(位置ずれ)を示す。また、図10において、実線は目標角度補正のみの制御の結果を示し、破線は従来制御の結果を示す。

【0126】
図10(a)において、目標角度補正制御は、ケーブル220の張力と釣り合うためのヘリコプタ210の姿勢角度が直接求められるため、従来制御と比較して目標位置が移動した時の水平方向の応答速度が向上した。図10(b)において、目標角度補正制御は、従来制御と比較して鉛直方向の応答はそれ程変わっていない。

【0127】
図10に示された結果から理解できるように、目標角度補正制御のみでヘリコプタ210を制御する場合、従来制御と比較して、特に水平方向において応答速度が向上した。

【0128】
<推力フィードフォワード補償制御>
図11は、推力フィードフォワード補償制御のみを行った結果(各変数の時刻歴応答)を示す。図11において、実線は推力フィードフォワード補償のみ制御の結果を示し、破線は従来制御の結果を示す。

【0129】
図11(a)は、水平方向における時刻歴応答を示す。図11(a)において、横軸は時間を示し、縦軸は水平方向における位置を示す。推力フィードフォワード補償制御を行っても、従来制御と比較して水平方向の応答はそれ程変わっていない。

【0130】
図11(b)は、鉛直方向における時刻歴応答を示す。図11(b)において、横軸は時間を示し、縦軸は鉛直方向における位置誤差(位置ずれ)を示す。推力フィードフォワード補償制御のみを行った場合、従来制御と比較して、鉛直方向における目標値に対する誤差が低減された。

【0131】
<目標角度補正と推力フィードフォワード補償との制御>
図12は、目標角度補正制御及び推力フィードフォワード補償制御の両方を行った結果(各変数の時刻歴応答)を示す。図12において、実線は目標角度補正制御及び推力フィードフォワード補償制御の両方を行った結果を示し、破線は従来制御の結果を示す。

【0132】
図12(a)及び図12(b)は、ヘリコプタ210の各変数の時刻歴の応答状況を示しており、横軸は時間を示す。

【0133】
図12(a)は、水平方向における時刻歴の応答状況を示し、縦軸はヘリコプタ210の水平方向の位置誤差(位置ずれ)を示す。目標角度補正制御及び推力フィードフォワード補償制御の両方を行う場合、従来制御と比較して、目標位置が移動した時の水平方向の応答速度が向上した。従来制御の場合における水平方向の誤差の最大値は0.385mであるのに対して、目標角度補正制御及び推力フィードフォワード補償制御の両方を行う場合における誤差の最大値は0.013mであった。すなわち、目標角度補正制御及び推力フィードフォワード補償制御によれば、軌跡の誤差の最大値を約30分の1に低減することができた。

【0134】
図12(b)は、鉛直方向における時刻歴応答を示す。図12(b)において、横軸は時間を示し、縦軸はヘリコプタ210の鉛直方向の位置誤差(位置ずれ)を示す。目標角度補正制御及び推力フィードフォワード補償制御の両方を行う場合、従来制御と比較して、鉛直方向における目標値に対する誤差が低減された。従来制御の場合における垂直方向の誤差の最大値は0.064mであるのに対して、目標角度補正制御及び推力フィードフォワード補償制御の両方を行う場合における誤差の最大値は0.0013mであった。すなわち、目標角度補正制御及び推力フィードフォワード補償制御によれば、軌跡の誤差の最大値を約50分の1に低減することができた。

【0135】
図12に示された結果から理解できるように、目標角度補正制御及び推力フィードフォワード補償制御の両方を行った場合、従来制御に対して、飛行経路の精確性と、水平方向及び鉛直方向における時刻歴の応答速度はいずれも向上した。
【産業上の利用可能性】
【0136】
本発明は、飛行体及び飛行体の制御に適用することができる。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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