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明細書 :半導体処理装置および半導体処理方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5972605号 (P5972605)
公開番号 特開2013-179163 (P2013-179163A)
登録日 平成28年7月22日(2016.7.22)
発行日 平成28年8月17日(2016.8.17)
公開日 平成25年9月9日(2013.9.9)
発明の名称または考案の名称 半導体処理装置および半導体処理方法
国際特許分類 H01L  21/265       (2006.01)
H01L  21/324       (2006.01)
H01L  21/68        (2006.01)
FI H01L 21/265 602Z
H01L 21/265 602A
H01L 21/324 P
H01L 21/324 T
H01L 21/324 Q
H01L 21/68 K
請求項の数または発明の数 16
全頁数 19
出願番号 特願2012-041973 (P2012-041973)
出願日 平成24年2月28日(2012.2.28)
審査請求日 平成26年11月6日(2014.11.6)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504136568
【氏名又は名称】国立大学法人広島大学
発明者または考案者 【氏名】東 清一郎
【氏名】芦原 龍平
個別代理人の代理人 【識別番号】100104444、【弁理士】、【氏名又は名称】上羽 秀敏
【識別番号】100112715、【弁理士】、【氏名又は名称】松山 隆夫
【識別番号】100125704、【弁理士】、【氏名又は名称】坂根 剛
【識別番号】100120662、【弁理士】、【氏名又は名称】川上 桂子
審査官 【審査官】桑原 清
参考文献・文献 特開平11-145148(JP,A)
特開2008-053634(JP,A)
特開2011-060810(JP,A)
特開2012-038839(JP,A)
調査した分野 H01L 21/265
H01L 21/324
H01L 21/68
特許請求の範囲 【請求項1】
半導体ウェハを支持する支持台と、
直流アーク放電によって発生された熱プラズマジェットを前記半導体ウェハに照射するプラズマ源と、
前記支持台を回転させるとともに前記支持台を前記半導体ウェハの径方向に移動させる回転/移動手段とを備え、
前記回転/移動手段は、前記支持台を回転させながら前記支持台を前記半導体ウェハの径方向に移動させ、
前記プラズマ源は、前記熱プラズマジェットの照射位置が前記半導体ウェハの外周側の縁から一定の距離にある位置に達したとき、前記熱プラズマジェットの発生を停止し、または前記半導体ウェハから遠ざけられ
前記半導体ウェハの外周側の縁から一定の距離にある位置は、前記半導体ウェハの中心を含み、かつ、前記半導体ウェハが目的の温度以上に加熱されるように前記熱プラズマジェットが照射される照射領域よりも前記半導体ウェハの外周側に配置される、半導体処理装置。
【請求項2】
前記半導体ウェハに近接して配置され、前記半導体ウェハを加熱する加熱ヒータを更に備える、請求項1に記載の半導体処理装置。
【請求項3】
前記加熱ヒータは、前記半導体ウェハの径方向に沿って形成された切欠部を含み、
前記回転/移動手段は、前記熱プラズマジェットが前記切欠部に沿って前記半導体ウェハに照射されるように前記支持台を前記半導体ウェハの径方向に移動させる、請求項2に記載の半導体処理装置。
【請求項4】
前記切欠部を介して前記熱プラズマジェットの照射位置における前記半導体ウェハの温度を測定する温度計を更に備え、
前記回転/移動手段は、前記温度計によって測定された温度が前記半導体ウェハの面内方向においてほぼ均一になるように前記支持台を回転させるとともに前記支持台を前記半導体ウェハの径方向に移動させる、請求項3に記載の半導体処理装置。
【請求項5】
前記プラズマ源を前記半導体ウェハの法線方向に移動させる移動手段を更に備え、
前記移動手段は、前記支持台の角速度が一定であるとき、前記熱プラズマジェットの照射位置が前記半導体ウェハの外周側へ移動するに従って前記プラズマ源を前記半導体ウェハに近づける、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の半導体処理装置。
【請求項6】
前記回転/移動手段は、前記熱プラズマジェットの照射位置が前記半導体ウェハの外周側へ移動するに従って前記支持台の角速度が低くなるように前記支持台を回転させる、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の半導体処理装置。
【請求項7】
前記回転/移動手段は、前記熱プラズマジェットがリング状に前記半導体ウェハに照射される角速度で前記支持台を回転させる、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の半導体処理装置。
【請求項8】
前記半導体ウェハは、シリコンカーバイド結晶からなる、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の半導体処理装置。
【請求項9】
直流アーク放電によって発生された熱プラズマジェットを半導体ウェハに照射する第1の工程と、
前記半導体ウェハを支持する支持台を回転させるとともに、前記熱プラズマジェットが前記半導体ウェハの径方向に照射されるように前記支持台を前記半導体ウェハの径方向に移動させる第2の工程と、
前記熱プラズマジェットの照射位置が前記半導体ウェハの外周側の縁から一定の距離にある位置に達したとき前記熱プラズマジェットの発生を停止し、または前記熱プラズマジェットを前記半導体ウェハから遠ざける第3の工程とを備え
前記半導体ウェハの外周側の縁から一定の距離にある位置は、前記半導体ウェハの中心を含み、かつ、前記半導体ウェハが目的の温度以上に加熱されるように前記熱プラズマジェットが照射される照射領域よりも前記半導体ウェハの外周側に配置される、半導体処理方法。
【請求項10】
前記半導体ウェハに近接して配置された加熱ヒータによって前記半導体ウェハを加熱する第4の工程を更に備える、請求項9に記載の半導体処理方法。
【請求項11】
前記第2の工程において、前記支持台は、前記半導体ウェハの径方向に沿って前記加熱ヒータに形成された切欠部に沿って前記熱プラズマジェットが前記半導体ウェハに照射されるように前記半導体ウェハの径方向に移動される、請求項10に記載の半導体処理方法。
【請求項12】
前記切欠部を介して前記熱プラズマジェットの照射位置における前記半導体ウェハの温度を測定する第5の工程を更に備え、
前記第2の工程において、前記支持台は、前記第5の工程において測定された温度が前記半導体ウェハの面内方向においてほぼ均一になるように回転されるとともに前記半導体ウェハの径方向に移動される、請求項11に記載の半導体処理方法。
【請求項13】
前記支持台の角速度が一定であるとき、前記第2の工程において、前記噴出口と前記半導体ウェハとの距離は、前記熱プラズマジェットの照射位置が前記半導体ウェハの外周側へ移動するに従って短く設定される、請求項9から請求項11のいずれか1項に記載の半導体処理方法。
【請求項14】
前記噴出口と前記半導体ウェハとの距離が一定である場合、前記第2の工程において、前記支持台は、前記熱プラズマジェットの照射位置が前記半導体ウェハの外周側へ移動するに従って角速度が低くなるように回転される、請求項9から請求項11のいずれか1項に記載の半導体処理方法。
【請求項15】
前記第2の工程において、前記支持台は、前記熱プラズマジェットがリング状に前記半導体ウェハに照射される角速度で回転される、請求項9から請求項11のいずれか1項に記載の半導体処理方法。
【請求項16】
前記半導体ウェハは、シリコンカーバイド結晶からなる、請求項9から請求項15のいずれか1項に記載の半導体処理方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
この発明は、半導体処理装置および半導体処理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、パワーデバイスへの応用を目指し、シリコンカーバイド(SiC)結晶のプロセス技術が盛んに研究されている。
【0003】
中でも、ハイスループットの高温熱処理技術の開発が重要課題の一つとなっていることから、急速熱処理手法としての大気圧熱プラズマジェット(Thermal-Plasma-Jet:TPJ)照射技術が注目されている(非特許文献1)。
【0004】
そして、大気圧熱プラズマジェット照射技術を用いてSiC基板の急速熱処理を行った結果、基板温度は、680℃に達した(非特許文献2)。
【先行技術文献】
【0005】

【非特許文献1】S. Higashi et. al., Jpn. J. Appl. Phys. 44(2005) L 108.
【非特許文献2】R. Ashihara et. Al., Proc. 33rdInt. Symp. Dry Process (2011) 157.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、熱プラズマジェットを横方向に走査させる方法では、SiC基板の端部における熱応力に起因するSiC基板の破損が発生するとともに、SiC基板を処理するためには、680℃では低いという問題がある。
【0007】
そこで、この発明は、かかる問題を解決するためになされたものであり、その目的は、SiC基板の破損を抑制してSiC基板を高温に加熱可能な半導体処理装置を提供することである。
【0008】
また、この発明の別の目的は、SiC基板の破損を抑制してSiC基板を高温に加熱可能な半導体処理方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明の実施の形態によれば、半導体処理装置は、支持台と、プラズマ源と、回転/移動手段とを備える。支持台は、半導体ウェハを支持する。プラズマ源は、直流アーク放電によって発生された熱プラズマジェットを半導体ウェハに照射する。回転/移動手段は、支持台を回転させながら支持台を半導体ウェハの径方向に移動させる。プラズマ源は、熱プラズマジェットの照射位置が半導体ウェハの外周側の縁から一定の距離にある位置に達したとき、熱プラズマジェットの発生を停止し、または半導体ウェハから遠ざけられる。
【0010】
また、この発明の実施の形態によれば、半導体処理方法は、直流アーク放電によって発生された熱プラズマジェットを半導体ウェハに照射する第1の工程と、半導体ウェハを支持する支持台を回転させるとともに、熱プラズマジェットが半導体ウェハの径方向に照射されるように支持台を半導体ウェハの径方向に移動させる第2の工程と、熱プラズマジェットの照射位置が半導体ウェハの外周側の縁から一定の距離にある位置に達したとき熱プラズマジェットの発生を停止し、または熱プラズマジェットを半導体ウェハから遠ざける第3の工程とを備える。
【発明の効果】
【0011】
この発明の実施の形態による半導体処理装置は、半導体ウェハを回転させるとともに半導体ウェハを径方向に移動させながら熱プラズマジェットを半導体ウェハの径方向へ向かって半導体ウェハに照射する。そして、半導体処理装置は、熱プラズマジェットの照射位置が半導体ウェハの外周側の縁から一定の距離にある位置に達すると、熱プラズマジェットを停止し、または熱プラズマジェットを半導体ウェハから遠ざける。その結果、熱プラズマジェットは、半導体ウェハに螺旋状に照射され、半導体ウェハは、径方向に沿って徐々に1800℃以上に加熱される。また、半導体ウェハの外周端における応力に起因する半導体ウェハの割れの発生が抑制される。
【0012】
従って、半導体ウェハの破損を抑制して半導体ウェハを高温に加熱できる。
【0013】
また、この発明の実施の形態による半導体処理方法は、半導体ウェハを回転させるとともに半導体ウェハを径方向に移動させながら熱プラズマジェットを半導体ウェハの径方向へ向かって半導体ウェハに照射する。そして、半導体処理方法は、熱プラズマジェットの照射位置が半導体ウェハの外周側の縁から一定の距離にある位置に達すると、熱プラズマジェットを停止し、または熱プラズマジェットを半導体ウェハから遠ざける。
【0014】
従って、上述した機構によって、半導体ウェハの破損を抑制して半導体ウェハを高温に加熱できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】この発明の実施の形態による半導体処理装置の構成図である。
【図2】図1に示す支持台および板部材の斜視図である。
【図3】図2に示す支持部材の拡大図である。
【図4】熱伝導率と、温度との関係を示す図である。
【図5】熱プラズマジェットのウェハへの照射方法を説明するための図である。
【図6】図1に示す半導体処理装置を用いたウェハの加熱実験の結果を示す図である。
【図7】熱プラズマジェットを照射したときの写真を示す図である。
【図8】図1に示す半導体処理装置を用いたウェハの他の加熱実験の結果を示す図である。
【図9】この発明の実施の形態による半導体処理方法を示すフローチャートである。
【図10】この発明の実施の形態による他の半導体処理装置の構成図である。
【図11】ウェハの裏面側から見た加熱ヒータの平面図である。
【図12】加熱ヒータの側面図である。
【図13】この発明の実施の形態による他の半導体処理方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。

【0017】
図1は、この発明の実施の形態による半導体処理装置の構成図である。図1を参照して、この発明の実施の形態による半導体処理装置100は、架台1と、アクチュエータ2と、プラズマ源10と、測定装置30と、制御装置40と、支持台50と、回転手段60と、移動手段70と、温度計80とを備える。

【0018】
アクチュエータ2は、一方端が架台1に固定され、他方端がプラズマ源10に連結される。

【0019】
プラズマ源10は、陽極11と、絶縁体12と、導体13と、陰極14と、ガス導入管15と、給水管16と、排出管17と、電源回路20とを含む。

【0020】
陽極11は、概略、中空の円筒形状からなり、支持台50側に噴出口18を有する。また、陽極11は、その内部に中空部分19を有する。そして、陽極11は、例えば、熱伝導率が高い銅(Cu)を主成分とする金属からなる。

【0021】
絶縁体12は、陽極11と導体13との間に陽極11および導体13に接して配置される。そして、絶縁体12は、例えば、アルミナおよびセラミックス等からなる。

【0022】
導体13は、略十字形状を有する。そして、導体13のうち、水平方向DR1に配置された部分は、絶縁体12に接して配置される。また、導体13のうち、上下方向DR2に配置された部分は、陽極11の噴出口18の方向へ突出するとともに、一方端が尖っており、他方端がアクチュエータ2に連結されている。さらに、導体13は、陰極14を挿入するための孔を有する。そして、導体13は、例えば、Cuからなる。

【0023】
絶縁体12が陽極11および導体13に接するように配置されることによって、内部空間21が形成される。

【0024】
陰極14は、導体13に挿入されるとともに、一方端側が導体13から露出する。また、陰極14は、その一方端が噴出口18に向かって尖っている。そして、陰極14は、例えば、酸化ランタンを微量に添加したタングステンからなる。

【0025】
ガス導入管15は、その一方端側が陽極11を貫通して内部空間21に達するように陽極11に固定される。そして、ガス導入管15は、アルゴン(Ar)ガスを保持するガスボンベ(図示せず)に連結されている。給水管16は、その一方端側が陽極11を貫通して中空部分19に達するように陽極11に固定される。排出管17は、その一方端側が陽極11を貫通して中空部分19に達するように陽極11に固定される。

【0026】
噴出口18は、例えば、2mmφの直径を有する。電源回路20は、陽極11と陰極14との間に電気的に接続される。測定装置30は、その底面30Aが陽極11の底面11Aに一致するように陽極11の外周面に設置される。

【0027】
支持台50は、板部材110に固定される。そして、支持台50は、支持部材51と、歯車52と、ベアリング53と、枠部材54とを含む。

【0028】
支持部材51は、ドーナツ形状を有し、支持具511を有する。支持具511は、SiC結晶からなるウェハ90を点接触によって支持する。

【0029】
歯車52は、支持部材51に連結される。ベアリング53は、支持部材51と枠部材54との間に配置される。枠部材54は、支持部材51を囲むように円形の開口部を有し、その開口部内においてベアリング53を介して支持部材51を支持する。そして、枠部材54は、板部材110に固定されている。

【0030】
回転手段60は、モータ61と、歯車62とを含む。モータ61は、固定部材(図示せず)を介して板部材110に固定されている。また、モータ61は、シャフト611によって歯車62に連結されている。歯車62は、モータ61のシャフト611に連結され、支持台50の歯車52に噛み合っている。

【0031】
板部材120は、板部材110と直交するように板部材110に連結されている。

【0032】
移動手段70は、凹凸部材71と、歯車72と、モータ73とを含む。凹凸部材71は、断面形状が三角形からなり、板部材120に固定される。歯車72は、固定部材(図示せず)によって架台1に固定されており、凹凸部材71に噛み合う。

【0033】
モータ73は、固定部材(図示せず)によって架台1に固定されており、そのシャフトは、歯車72に連結されている。

【0034】
温度計80は、ウェハ90を中心としてプラズマ源10と反対側に配置され、架台1に固定される。そして、温度計80は、支持部材51の水平方向DR1における軸X上に配置される。その結果、温度計80の測定点は、プラズマ源10が照射する熱プラズマジェットの照射位置と一致する。

【0035】
アクチュエータ2は、制御装置40から電圧が印加されると、上下方向DR2に伸縮し、プラズマ源10を上下方向DR2へ移動させる。

【0036】
プラズマ源10は、電源回路20から直流電圧が印加され、ガス導入口15からArガスが内部空間21へ供給されると、直流アーク放電によって熱プラズマジェットを発生する。そして、プラズマ源10は、その発生した熱プラズマジェットを噴出口18からウェハ90に照射する。

【0037】
ガス導入管15は、Arガスをガスボンベ(図示せず)からプラズマ源10の内部空間21へ供給する。この場合、内部空間21は、大気圧に設定される。

【0038】
給水管16は、冷却水を陽極11の中空部分19へ供給する。排出管17は、陽極11の中空部分19から冷却水を排出する。

【0039】
電源回路20は、陽極11がプラスになり、陰極14がマイナスになるように、直流電圧を陽極11-陰極14間に印加する。

【0040】
測定装置30は、制御装置40からの制御に従って、支持台50によって支持されたウェハ90と噴出口18との距離dを測定する。より具体的には、測定装置30は、レーザ変位計からなり、レーザ光をウェハ90に照射したときに発生するレーザ光の干渉に基づいてウェハ90と噴出口18との距離dを測定する。距離dが半波長分変わると、干渉波が1振動するので、測定装置30は、干渉波の振動数を検出して距離dを測定する。そうすると、測定装置30は、その測定した距離dを制御装置40へ出力する。

【0041】
制御装置40は、信号DSを測定装置30へ出力する。また、制御装置40は、距離dを測定装置30から受け、その受けた距離dに基づいて、噴出口18とウェハ90との距離dが所望の距離に設定されるように、アクチュエータ2に電圧を印加する。

【0042】
また、制御装置40は、温度計80からウェハ90の温度を受け、その受けた温度に基づいて、ウェハ90の面内方向における温度が均一になるようにモータ61の回転数を制御するとともに支持台50を水平方向DR1へ移動させるようにモータ73を制御する。

【0043】
半導体処理装置100においては、噴出口18とウェハ90との距離dは、例えば、0.5mm~20mmに設定される。制御装置40は、測定装置30によって測定された距離dが0.5mm~20mmになるように電圧をアクチュエータ2に印加する。

【0044】
回転手段60は、モータ61が駆動することによって歯車62を介して歯車52を軸Xの回りに所望の角速度ωで回転させる。その結果、支持部材51は、ウェハ90を支持した状態で軸Xの回りに所望の角速度ωで回転する。

【0045】
また、移動手段70は、モータ73が駆動することによって歯車72を時計方向または反時計方向に回転させる。その結果、支持台50および回転手段60は、水平方向DR1へ移動する。

【0046】
温度計80は、放射温度計の原理によってウェハ90の温度を測定し、その測定した温度を制御装置40へ出力する。

【0047】
半導体処理装置100は、プラズマ源10によって熱プラズマジェットを発生し、その発生した熱プラズマジェットをウェハ90に照射することによって、SiC結晶を処理する。

【0048】
なお、図1においては、図示されていないが、陰極14も、陽極11と同じ方法によって冷却されている。

【0049】
図2は、図1に示す支持台50および板部材110の斜視図である。図2の(a)は、温度計80側から見た斜視図であり、図2の(b)は、プラズマ源10側から見た斜視図である。

【0050】
図2を参照して、枠部材54は、板部材110に固定されており、モータ61も、板部材110に固定されている。そして、支持部材51は、歯車52に連結されており、歯車52は、枠部材54によって支持されている。また、歯車52は、モータ61のシャフト611に連結された歯車62に噛み合っている((a)参照)。

【0051】
支持部材51は、枠部材54の開口部に嵌め込まれており、ドーナツ形状を有する。そして、3個の支持具511は、支持部材51の円周に沿って配置され、支持部材51に連結されている((b)参照)。

【0052】
図3は、図2に示す支持部材51の拡大図である。図3を参照して、支持具511は、ウェハ90の周縁部の一部をウェハ90の厚み方法から挟み込むことによってウェハ90を支持する。より具体的には、支持具511のウェハ90側の表面には、ウェハ90の厚みに相当する幅の溝が設けられており、支持具511は、ウェハ90を溝に嵌め込むことによってウェハ90を支持する。

【0053】
図4は、熱伝導率と、温度との関係を示す図である。図4において、縦軸は、SiC結晶の熱伝導率を表し、横軸は、絶対温度を表す。

【0054】
図4を参照して、SiC結晶の熱伝導率Kは、SiC結晶の温度が上昇するに従って小さくなる。ウェハ90は、直径が4~6インチである。従って、熱プラズマジェットを用いてウェハ90の一部を1000℃以上に加熱できても、SiC結晶の熱伝導率の低下によって、熱がウェハ90の面内方向へ伝達し難い。

【0055】
そこで、ウェハ90の面内方向において均一性良くウェハ90を1000℃以上に加熱するために、発明者等は、以下に説明する加熱方法を考案するに到った。

【0056】
図5は、熱プラズマジェットのウェハ90への照射方法を説明するための図である。図5を参照して、プラズマ源10は、熱プラズマジェットを発生し、その発生した熱プラズマジェットをウェハ90の中心Oに照射する。また、回転手段60は、角速度ωが1~100rad/sになるように支持台50を反時計回りに回転させるとともに、移動手段70は、熱プラズマジェットがウェハ90の中心Oから外周側へ照射されるように、支持台50および板部材110をウェハ90の径方向(水平方向DR1と同じ方法)へ移動させる。

【0057】
その結果、熱プラズマジェットは、螺旋状の軌道PJXに沿ってウェハ90に照射される。

【0058】
そして、この発明の実施の形態においては、熱プラズマジェットをウェハ90の領域REG1に照射しない。領域REG1は、ウェハ90の外周側の縁から3~5mmの幅を有する領域である。

【0059】
従って、熱プラズマジェットの照射位置が領域REG1の内周端に到達したとき、プラズマ源10は、熱プラズマジェットの発生を停止し、または制御装置40は、熱プラズマジェットがウェハ90から離れるようにアクチュエータ2を介してプラズマ源10を上下方向DR2へ移動させる。

【0060】
このように、熱プラズマジェットを領域REG1に照射しないのは、SiC結晶が破損する原因がSiC結晶の外周端部に発生する応力にあるため、熱プラズマジェットを領域REG1に照射しないようにしてSiC結晶の外周端部における応力の発生を抑制するためである。

【0061】
図6は、図1に示す半導体処理装置100を用いたウェハ90の加熱実験の結果を示す図である。

【0062】
図6の(a)~(d)において、縦軸は、ウェハ90の温度を表し、横軸は、熱プラズマジェットの照射時間を表す。また、図6の(a)~(d)において、rは、ウェハ90の径におけるウェハ90の中心Oからの距離を表す。更に、図6の(a)~(d)において、熱プラズマジェットは、陽極11と陰極14との間に印加される直流電力が1.7kWであり、Arガスの流量が7.0L/minである条件を用いて発生された。更に、図6の(a)~(d)において、ウェハ90は、1.0rad/sの角速度ωで回転された。

【0063】
図6の(a)において、曲線k1は、噴出口18とウェハ90との距離が8mmであるときのウェハ90の温度と熱プラズマジェットの照射時間との関係を示す。

【0064】
図6の(b)において、曲線k2は、噴出口18とウェハ90との距離が8mmであるときのウェハ90の温度と熱プラズマジェットの照射時間との関係を示し、曲線k3は、噴出口18とウェハ90との距離が10mmであるときのウェハ90の温度と熱プラズマジェットの照射時間との関係を示し、曲線k4は、噴出口18とウェハ90との距離が12mmであるときのウェハ90の温度と熱プラズマジェットの照射時間との関係を示す。

【0065】
図6の(c)において、曲線k5は、噴出口18とウェハ90との距離が8mmであるときのウェハ90の温度と熱プラズマジェットの照射時間との関係を示し、曲線k6は、噴出口18とウェハ90との距離が10mmであるときのウェハ90の温度と熱プラズマジェットの照射時間との関係を示し、曲線k7は、噴出口18とウェハ90との距離が12mmであるときのウェハ90の温度と熱プラズマジェットの照射時間との関係を示す。

【0066】
図6の(d)において、曲線k8は、噴出口18とウェハ90との距離が8mmであるときのウェハ90の温度と熱プラズマジェットの照射時間との関係を示し、曲線k9は、噴出口18とウェハ90との距離が10mmであるときのウェハ90の温度と熱プラズマジェットの照射時間との関係を示し、曲線k10は、噴出口18とウェハ90との距離が12mmであるときのウェハ90の温度と熱プラズマジェットの照射時間との関係を示す。

【0067】
なお、図6の(a)~(d)のいずれにおいても、ウェハ90の破損は観測されていない。

【0068】
図6を参照して、ウェハ90の温度は、熱プラズマジェットの照射位置がウェハ90の中心Oであるとき(即ち、r=0であるとき)、最も高く、熱プラズマジェットの照射位置がウェハ90の中心Oから外周側へずれるに従って低くなる(曲線k1,k2,k5,k8参照)。熱プラズマジェットの照射位置がウェハ90の中心Oから外周側へずれるほど、ウェハ90の温度が低くなるのは、熱プラズマジェットの照射位置がウェハ90の中心Oから外周側へずれるほど、ウェハ90の角速度ωが一定(=1rad/s)であるのでウェハ90の回転速度v(=r×ω)が速くなり、熱プラズマジェットがウェハ90に照射される時間が短くなるためである。

【0069】
そして、ウェハ90の温度は、噴出口18とウェハ90との距離が8mmであり、熱プラズマジェットがウェハ90の中心Oに照射されたとき、最高で1270℃に達した。

【0070】
また、ウェハ90の温度は、噴出口18とウェハ90との距離が短くなるに従って上昇する(曲線k2~k4,k5~k7,k8~k10参照)。

【0071】
より詳細には、熱プラズマジェットの各照射位置(r=5,10,15mm)において、噴出口18とウェハ90との距離が12mmから10mmへ短くなると、ウェハ90の温度は、約200℃上昇し、噴出口18とウェハ90との距離が10mmから8mmへ短くなると、ウェハ90の温度は、約400℃上昇する。

【0072】
このように、ウェハ90の温度は、噴出口18とウェハ90との距離が短くなるに従って指数関数的に上昇する。

【0073】
従って、噴出口18とウェハ90との距離を8mmから更に短くすることによって、ウェハ90の温度を1800℃以上に上昇させることができる。

【0074】
また、熱プラズマジェットを発生するときの直流電力を大きくすることによって、または熱プラズマジェットを発生するときのArガスの流量を増加することによって、ウェハ90の温度を1800℃以上に上昇させることができる。

【0075】
このように、ウェハ90の破損を防止し、ウェハ90の温度を1800℃以上に上昇させるために、ウェハ90を角速度ωで回転させながら熱プラズマジェットの照射位置をウェハ90の中心Oから外周側へ移動させる。

【0076】
そして、ウェハ90の面内方向における温度を均一にするために、角速度ωが一定であるとき、熱プラズマジェットの照射位置がウェハ90の外周へ移動するに従って噴出口18とウェハ90との距離を短くする。

【0077】
また、ウェハ90の面内方向における温度を均一にするために、噴出口18とウェハ90との距離が一定であるとき、熱プラズマジェットの照射位置がウェハ90の外周へ移動するに従って角速度ωを低下させる。

【0078】
図7は、熱プラズマジェットを照射したときの写真を示す図である。図7を参照して、10rad/sの角速度ωでウェハ90を回転させた場合、ウェハ90は、リング状に加熱されることが解る。そして、各距離rにおいて、最も温度が高い部分は、熱プラズマジェットが照射されている位置である。また、熱プラズマジェットによってリング状に処理している領域の内側は、熱の逃げ場が無いため、温度が上がり易く、熱プラズマジェットによってリング状に処理している領域の外側は、熱が拡散できる面積が広いので直ぐに温度が下がる。

【0079】
図8は、図1に示す半導体処理装置100を用いたウェハ90の他の加熱実験の結果を示す図である。

【0080】
図8において、縦軸は、ウェハ90の温度を表し、横軸は、熱プラズマジェットの照射時間を表す。また、曲線k11~k16は、それぞれ、熱プラズマジェットの照射位置がウェハ90の中心Oから2.5mm、5.0mm、10mm、15mm、20mmおよび30mmであるときのウェハ90の温度と熱プラズマジェットの照射時間との関係を示す。更に、図8に示すウェハ90の温度と熱プラズマジェットの照射時間との関係は、陽極11と陰極14との間に印加される直流電力が1.6~1.8(kW)であり、角速度ωが10rad/sであるときのウェハ90の温度と熱プラズマジェットの照射時間との関係である。

【0081】
更に、熱プラズマジェットの照射位置がウェハ90の外周側へ移動するに従って、噴出口18とウェハ90との距離dは、短く設定された。ウェハ90の中心Oから熱プラズマジェットの照射位置までの距離rと、噴出口18とウェハ90との距離dとの関係は、表1に示すとおりである。

【0082】
【表1】
JP0005972605B2_000002t.gif

【0083】
表1に示すように、噴出口18とウェハ90との距離dは、ウェハ90の中心Oから熱プラズマジェットの照射位置までの距離rが大きくなるに従って(即ち、熱プラズマジェットの照射位置がウェハ90の外周側へ移動するに従って)、短く設定された。

【0084】
図8を参照して、熱プラズマジェットの照射位置がウェハ90の中心Oから2.5mmであるとき、ウェハ90の温度は、約50秒で最高温度に達するが、熱プラズマジェットの照射位置がウェハ90の中心Oから5mm以上になると、ウェハ90の温度が最高温度に達するまでの時間は、徐々に長くなる(曲線k11~k16参照)。

【0085】
従って、ウェハ90の外周側ほど、温度が上がり難いことが解った。

【0086】
図8においては、熱プラズマジェットの照射位置がウェハ90の外周側へ移動するに従って噴出口18とウェハ90との距離dを短くしているが、距離rが10mm以上では、ウェハ90の最高温度は、距離rが大きくなるに従って下がっている(曲線13~k16参照)。

【0087】
従って、ウェハ90の面内方向において均一な温度分布を実現するには、距離rが10mm以上の場合、噴出口18とウェハ90との距離dを表1に示す値よりも小さい値に設定する必要がある。

【0088】
このように、ウェハ90を回転させるときの角速度ωを10rad/sに設定することによってウェハ90をリング状に加熱できることが実証された。

【0089】
図9は、この発明の実施の形態による半導体処理方法を示すフローチャートである。図9を参照して、ウェハ90の処理が開始されると、回転手段60は、ウェハ90を所望の角速度で回転する(工程S1)。プラズマ源10は、ウェハ90の法線方向においてウェハ90の中心Oから十分に離れた位置で上述した方法によって熱プラズマジェットを発生し、制御装置40は、ウェハ90の温度が所望の温度になるまでアクチュエータ2を介してプラズマ源10(=熱プラズマジェット)をウェハ90に近づける(工程S2)。

【0090】
そして、ウェハ90の温度が所望の温度になると、移動手段70は、制御装置40からの制御に従って、支持台50が回転された状態で熱プラズマジェットがウェハ90の中心Oから外周側へ照射されるように支持台50をウェハ90の径方向へ移動させる(工程S3)。この場合、プラズマ源10および温度計80は、ウェハ90の径方向へ移動しないが、ウェハ90が径方向へ移動するので、熱プラズマジェットの照射位置および温度計80による測定点は、相互に一致しながらウェハ90の径方向へ移動する。

【0091】
そして、温度計80は、熱プラズマジェットの照射位置におけるウェハ90の温度を測定して制御装置40へ出力し、制御装置40は、温度計80から受けた温度に基づいて、ウェハ90の温度が所望の温度のなるようにウェハ90の回転数、ウェハ90の径方向への移動速度および噴出口18とウェハ90との距離dを制御する(工程S4)。より具体的には、制御装置40は、温度計80によって測定された温度が所望の温度よりも高いとき、角速度ωが速くなるようにモータ61の回転数を制御するとともに支持台50の径方向への移動速度が速くなるようにモータ73の回転数を制御し、または噴出口18とウェハ90との距離dが長くなるようにアクチュエータ2を制御するとともに支持台50の径方向への移動速度が速くなるようにモータ73の回転数を制御する。また、制御装置40は、温度計80によって測定された温度が所望の温度よりも低いとき、角速度ωが遅くなるようにモータ61の回転数を制御するとともに支持台50の径方向への移動速度が遅くなるようにモータ73の回転数を制御し、または噴出口18とウェハ90との距離dが短くなるようにアクチュエータ2を制御するとともに支持台50の径方向への移動速度が遅くなるようにモータ73の回転数を制御する。

【0092】
その後、熱プラズマジェットの照射位置がウェハ90の外周側の縁から一定の距離にある位置に達したとき、プラズマ源10は、熱プラズマジェットをオフし、または制御装置40は、熱プラズマジェットがウェハ90から遠ざかるようにアクチュエータ2を制御する(工程S5)。これによって、ウェハ90の処理が終了する。

【0093】
このように、この発明の実施の形態による半導体処理方法は、SiC結晶からなるウェハ90を回転させるとともにウェハ90を径方向に移動させながら熱プラズマジェットをウェハ90の中心から外周側へ向かってウェハ90に照射する。そして、半導体処理方法は、熱プラズマジェットの照射位置がウェハ90の外周側の縁から一定の距離にある位置に達すると、熱プラズマジェットの照射を停止する。その結果、熱プラズマジェットは、ウェハ90に螺旋状に照射され、ウェハ90は、中心から外周側へ向かって徐々に1800℃以上に加熱される。また、ウェハ90の外周端における応力の発生が抑制される。

【0094】
従って、SiC結晶からなるウェハ90の破損を抑制してウェハ90を高温に加熱できる。

【0095】
そして、ウェハ90を回転させるときの角速度ωが一定である場合、好ましくは、工程S4において、噴出口18とウェハ90との距離は、熱プラズマジェットの照射位置がウェハ90の外周側へ移動するに従って短く設定される。

【0096】
この場合、制御装置40は、歯車72を回転させるようにモータ73を制御し始めてからの時間を計測し、その計測した時間にモータ73の回転数を乗算してモータ73の回転回数を取得し、その取得したモータ73の回転回数を歯車72の回転回数とする。その後、制御装置40は、歯車72の回転回数に歯車72の円周長を乗算して支持台50の移動距離を取得する。この移動距離は、熱プラズマジェットの照射位置のウェハ90の中心Oからの距離rに等しい。

【0097】
従って、制御装置40は、上述した方法によって取得した距離rが大きくなるに従って、噴出口18からウェハ90までの距離dが短くなるようにアクチュエータ2に電圧を印加する。その結果、アクチュエータ2は、距離rが大きくなるに従って、上下方向DR2へ伸び、熱プラズマジェットは、ウェハ90に近づく。

【0098】
また、噴出口18とウェハ90との距離が一定であるとき、好ましくは、工程S4において、支持台50は、熱プラズマジェットの照射位置がウェハの外周側へ移動するに従って角速度ωが低くなるように回転される。

【0099】
この場合、制御装置40は、上述した方法によって熱プラズマジェットの照射位置(=距離r)を取得し、その取得した熱プラズマジェットの照射位置(=距離r)がウェハ90の外周側へ移動するに従って回転数を低くするようにモータ61を制御する。

【0100】
更に、好ましくは、工程S4において、支持台50は、ウェハ90の面内方向においてウェハ90の温度が均一になるように回転され、かつ、ウェハ90の径方向へ移動される。

【0101】
この場合、制御手段40は、温度計80が測定した温度が高くなれば、角速度ωが速くなるようにモータ61を制御し、温度計80が測定した温度が低くなれば、角速度ωが遅くなるようにモータ61を制御する。また、制御手段40は、温度計80が測定した温度が高くなれば、噴出口18とウェハ90との距離が長くなるようにアクチュエータ2を制御し、温度計80が測定した温度が低くなれば、噴出口18とウェハ90との距離が短くなるようにアクチュエータ2を制御する。

【0102】
更に、ウェハ90をリング状に処理する場合、好ましくは、工程S4において、回転手段60は、支持台50を角速度ω以上で回転させる。この角速度ωは、熱プラズマジェットの照射位置がリング状になるときの最低の角速度である。

【0103】
そして、この発明の実施の形態においては、ウェハ90をリング状に処理する場合においても、ウェハ90を回転させるときの角速度ωが一定である場合、噴出口18とウェハ90との距離は、熱プラズマジェットの照射位置がウェハ90の外周側へ移動するに従って短く設定され、噴出口18とウェハ90との距離が一定であるとき、支持台50は、熱プラズマジェットの照射位置がウェハの外周側へ移動するに従って角速度ωが低くなるように回転される。

【0104】
図10は、この発明の実施の形態による他の半導体処理装置の構成図である。この発明の実施の形態による半導体処理装置は、図10に示す半導体処理装置100Aであってもよい。

【0105】
図10を参照して、半導体処理装置100Aは、図1に示す半導体処理装置100に加熱ヒータ130を追加したものであり、その他は、半導体処理装置100と同じである。

【0106】
加熱ヒータ130は、略円筒形の形状を有し、ウェハ90に近接して支持台50の内周側に配置される。そして、加熱ヒータ130は、板部材110に固定される。従って、加熱ヒータ130は、支持台50とともにウェハ90の径方向(=水平方向DR1)に移動する。

【0107】
そして、加熱ヒータ130は、ウェハ90を600℃程度に加熱する。

【0108】
このように、半導体処理装置100Aは、加熱ヒータ130によってウェハ90の全体を600℃程度に加熱し、その600℃程度に加熱されたウェハ90に熱プラズマジェットを照射してウェハ90を1800℃以上に加熱する。従って、ウェハ90を1800℃以上に容易に加熱できる。

【0109】
図11は、ウェハ90の裏面側から見た加熱ヒータ130の平面図である。図11を参照して、加熱ヒータ130は、切欠部131を有する。切欠部131は、ウェハ90の径方向に沿って配置される。

【0110】
熱プラズマジェットは、切欠部131内においてウェハ90の中心から距離rだけ離れた位置SPに照射される。その結果、ウェハ90の領域REG2が熱プラズマジェットによって加熱される。

【0111】
そして、ウェハ90は、例えば、反時計回りに回転されながら矢印ARW1の方向へ移動される。これによって、熱プラズマジェットを切欠部131内の一定の位置SPに照射すれば、ウェハ90の全体を1800℃以上に加熱できる。

【0112】
図12は、加熱ヒータ130の側面図である。図12を参照して、プラズマ源10は、加熱ヒータ130の切欠部131に対向するウェハ90の部分に熱プラズマジェットTPJを照射する。

【0113】
温度計80は、加熱ヒータ130の切欠部131を介して、熱プラズマジェットTPJの照射位置におけるウェハ90の温度を測定する。このように、熱プラズマジェットTPJの照射位置は、温度計80による測定点と一致している。

【0114】
そして、プラズマ源10および温度計80は、架台1に固定されているので移動しない。ウェハ90が径方向に移動することによって、熱プラズマジェットTPJの照射位置および温度計80による測定点は、相互に一致しながら、切欠部131に沿ってウェハ90の径方向へ移動する。

【0115】
図13は、この発明の実施の形態による他の半導体処理方法を示すフローチャートである。

【0116】
図13に示すフローチャートは、図9に示すフローチャートに工程S0を追加したものであり、その他は、図9に示すフローチャートと同じである。

【0117】
図13を参照して、半導体処理装置100Aを用いてウェハ90の処理が開始されると、加熱ヒータ130は、ウェハ90を600℃以上に加熱し、ウェハ90を予備加熱する(工程S0)。

【0118】
その後、上述した工程S1~工程S5が順次実行され、ウェハ90の処理が終了する。この場合、工程S2において、熱プラズマジェットTPJは、加熱ヒータ130の切欠部131内の一定の位置SPに照射される。また、温度計80は、位置SPにおけるウェハ90の温度を測定する。

【0119】
また、工程S3,S4においては、プラズマ源10および温度計80は、ウェハ90の径方向へ移動しないが、ウェハ90が径方向へ移動するので、熱プラズマジェットの照射位置および温度計80による測定点は、相互に一致しながら切欠部131内をウェハ90の径方向へ移動する。

【0120】
半導体処理装置100Aにおいても、ウェハ90を回転させるときの角速度ωが一定である場合、好ましくは、工程S4において、噴出口18とウェハ90との距離は、熱プラズマジェットの照射位置がウェハ90の外周側へ移動するに従って短く設定される。

【0121】
また、噴出口18とウェハ90との距離が一定であるとき、好ましくは、工程S4において、支持台50は、熱プラズマジェットの照射位置がウェハの外周側へ移動するに従って角速度ωが低くなるように回転される。

【0122】
更に、好ましくは、工程S4において、支持台50は、ウェハ90の面内方向においてウェハ90の温度が均一になるように回転され、かつ、ウェハ90の径方向へ移動される。

【0123】
この場合、制御手段40は、温度計80が測定した温度が高くなれば、角速度ωが高くなるようにモータ61を制御し、温度計80が測定した温度が低くなれば、角速度ωが低くなるようにモータ61を制御する。また、制御手段40は、温度計80が測定した温度が高くなれば、噴出口18とウェハ90との距離が長くなるようにアクチュエータ2を制御し、温度計80が測定した温度が低くなれば、噴出口18とウェハ90との距離が短くなるようにアクチュエータ2を制御する。

【0124】
更に、ウェハ90をリング状に処理する場合、好ましくは、工程S1,S3,S4において、回転手段60は、支持台50を角速度ω以上で回転させる。

【0125】
図13に示すフローチャートに従ってウェハ90を処理する場合、ウェハ90は、加熱ヒータ130によって600℃以上に予備加熱されるので、予備加熱を行わない場合よりも、熱プラズマジェットTPJを用いてウェハ90を1800℃以上に容易に加熱できる。

【0126】
上述したように、半導体処理装置100,100Aを用いれば、破損を抑制してウェハ90を1800℃以上に加熱できる。

【0127】
従って、SiC結晶をアニールでき、またはSiC結晶中へイオン注入されたドーパントを電気的に活性化して接合を形成できる。つまり、半導体処理装置100,100Aを用いれば、SiC結晶を用いたパワーデバイスを容易に製造できる。

【0128】
なお、この発明の実施の形態による半導体処理装置は、半導体処理装置100,100Aから温度計80を削除したものであってもよい。温度計80が無くても、破損を抑制してウェハ90を1800℃以上に加熱できるからである。

【0129】
また、この発明の実施の形態による半導体処理装置は、半導体処理装置100,100Aからアクチュエータ2を削除したものであってもよい。プラズマ源10を上下方向DR2へ移動させなくても、熱プラズマジェットを発生するときの直流電力またはArガスの流量を制御することによって、ウェハ90の温度を上昇させることができるからである。

【0130】
更に、上記においては、熱プラズマジェットは、ウェハ90の中心Oから外周側へ向かってウェハ90に照射されると説明したが、この発明の実施の形態においては、これに限らず、熱プラズマジェットは、ウェハ90の外周側から中心Oへ向かって照射されてもよい。

【0131】
更に、上記においては、支持台50は、3箇所でウェハ90を支持すると説明したが、この発明の実施の形態においては、これに限らず、支持台50は、ウェハ90の領域REG1を覆うようにウェハ90を支持してもよい。これによって、熱プラズマジェットが領域REG1に照射されなくなり、ウェハ90の破損を更に抑制できる。

【0132】
更に、上記においては、半導体処理装置100,100Aは、SiC結晶からなるウェハ90を処理すると説明したが、この発明の実施の形態においては、これに限らず、半導体処理装置100,100Aは、シリコンウェハを上述した方法によって処理してもよく、一般的には、半導体ウェハを上述した方法によって処理してもよい。

【0133】
更に、この発明の実施の形態においては、回転手段60および移動手段70は、「回転/移動手段」を構成する。

【0134】
更に、制御装置40およびアクチュエータ2は、「移動手段」を構成する。

【0135】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0136】
この発明は、半導体処理装置および半導体処理方法に適用される。
【符号の説明】
【0137】
1 架台、2 アクチュエータ、10 プラズマ源、11 陽極、12 絶縁体、13 導体、14 陰極、15 ガス導入管、16 給水管、17 排出管、20 電源回路、30 測定装置、40 制御装置、50 支持台、51 支持部材、52,62,72 歯車、53 ベアリング、54 枠部材、60 回転手段、61,73 モータ、70 移動手段、71 凹凸部材、80 温度計、90 ウェハ、100,100A 半導体処理装置、110,120 板部材、130 加熱ヒータ、511 支持具。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図8】
6
【図9】
7
【図10】
8
【図11】
9
【図12】
10
【図13】
11
【図7】
12