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明細書 :固体高分子形燃料電池用酸化物系高電位安定担体

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5515019号 (P5515019)
登録日 平成26年4月11日(2014.4.11)
発行日 平成26年6月11日(2014.6.11)
発明の名称または考案の名称 固体高分子形燃料電池用酸化物系高電位安定担体
国際特許分類 H01M   4/86        (2006.01)
B01J  23/644       (2006.01)
B01J  27/24        (2006.01)
H01M   4/88        (2006.01)
H01M   8/10        (2006.01)
FI H01M 4/86 B
H01M 4/86 M
B01J 23/64 101M
B01J 27/24 M
H01M 4/88 K
H01M 8/10
請求項の数または発明の数 9
全頁数 26
出願番号 特願2011-543315 (P2011-543315)
出願日 平成22年11月26日(2010.11.26)
国際出願番号 PCT/JP2010/071106
国際公開番号 WO2011/065471
国際公開日 平成23年6月3日(2011.6.3)
優先権出願番号 2009270275
2010073613
優先日 平成21年11月27日(2009.11.27)
平成22年3月26日(2010.3.26)
優先権主張国 日本国(JP)
日本国(JP)
審査請求日 平成24年8月21日(2012.8.21)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】304023994
【氏名又は名称】国立大学法人山梨大学
発明者または考案者 【氏名】渡辺 政廣
【氏名】柿沼 克良
【氏名】内田 誠
【氏名】上野 武夫
【氏名】内田 裕之
個別代理人の代理人 【識別番号】100083116、【弁理士】、【氏名又は名称】松浦 憲三
審査官 【審査官】山内 達人
参考文献・文献 国際公開第2009/060582(WO,A1)
特開2009-176649(JP,A)
調査した分野 H01M 4/86-4/98
特許請求の範囲 【請求項1】
希土類、アルカリ土類、遷移金属、ニオブ、ビスマス、スズ、アンチモン、ジルコニウム、モリブデン、インジウム、タンタル、タングステンから選ばれる一種以上の金属酸化物一次粒子を融着させて形成した融合体であり、該融合体は5nm~100nmの平均一次粒子径をもつ金属酸化物の一次粒子の全数に対して少なくとも80%以上が5個以上相互に融着結合して、連鎖状または房状の構造を形成していることを特徴とする電極触媒用担体であって、
前記融合体は、導電率が0.1~1.3S/cmであることを特徴とする電極触媒用担体
【請求項2】
請求項1において、前記融合体は、その嵩比重が該一次粒子の最密充填状態における理論的嵩密度に対して、0.1~0.95の値をもつことを特徴とする電極触媒用担体。
【請求項3】
請求項1または2に記載の電極触媒用担体に、平均粒子径が1~20nmの貴金属および/または貴金属を含む合金を、電極触媒全体の量を100重量%とした場合に1~50重量%担持することを特徴とする電極触媒。
【請求項4】
前記電極触媒は化学炎法またはプラズマ法で製造された前記電極触媒用担体を用いてなることを特徴とする請求項3に記載の電極触媒。
【請求項5】
遷移金属、スズ、アンチモン、ジルコニウム、モリブデン、インジウム、タンタル、タングステンから選ばれる一種以上の金属酸化物一次粒子を融着させて形成した融合体を、500℃以上の高温場で窒素ガスまたはアンモニア雰囲気中で還元処理して、少なくとも一部が金属窒化物であり、該融合体は5nm~100nmの平均一次粒子径をもつ一部が金属窒化物の結晶子の、全数に対して少なくとも80%以上が5個以上相互に融着結合して、連鎖状または房状の構造を形成している担体であることを特徴とする電極触媒用担体であって、
前記融合体は、導電率が0.1~1.3S/cmであることを特徴とする電極触媒用担体
【請求項6】
請求項5に記載の電極触媒用担体に、平均粒子径が1~20nmの貴金属および/または貴金属を含む合金を、電極触媒全体の量を100重量%とした場合に1~50重量%担持することを特徴とする電極触媒。
【請求項7】
請求項6に記載の電極触媒の表面の一部を覆う被覆担体材料を酸処理によって除いたことを特徴とする電極触媒。
【請求項8】
請求項7に記載の電極触媒を用いた燃料電池。
【請求項9】
前記融合体は、融着結合する前記一次粒子同士の中心間距離(rc)は、融着結合する前記一次粒子のそれぞれの半径(r1、r2)の和より小さい請求項1又は5記載の電極触媒用担体。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、固体高分子形燃料電池用電極(PEFC)に使用する酸化物系および/または窒化物系微粒子担体の組成と構造及び電極に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、燃料電池の電極触媒として貴金属微粒子を100m/g以上の比表面積をもつ炭素粒子に担持させたものが多用されている。特に高い導電性を持つ炭素粒子は燃料電池の電極用触媒の担体として有効なものである。例えば、炭素粒子に、白金や白金とルテニウムもしくは白金と鉄といった貴金属合金粒子を担持させた粉末は、高性能な高分子形燃料電池用電極触媒として特許文献1、2に知られている。これらの文献には、白金や白金と他の1種以上の金属による合金を炭素に担持させることにより固体高分子形燃料電池用電極ができると記載されている。
【0003】
また特許文献3、4、5、6では、白金代替触媒としてペロブスカイト型酸化物微粒子や卑な金属酸化物を用い、それらを炭素粒子へ担持させた触媒が燃料電池用電極触媒としての効果を発揮すると記載されている。さらに、特許文献7では白金を主として二酸化チタン等の酸化物からなる材料に担持させ、それに導電性を付与させるため炭素を混ぜることにより、燃料電池等の電気化学デバイスの出力特性および耐久性を効果的に向上させると記載されている。
【0004】
また、特許文献8、9では白金代替触媒として酸窒化物、窒化物、遷移金属四窒化物を利用し、それらを炭素粒子に担持させることで電極触媒として使用する例も挙げられている。
特許文献10には、Pt担持酸化物触媒をプラズマ法により合成して、炭素を使用しない改質触媒に関する技術が開示されているが、いずれも球状の触媒担体を用いたものであり、形状が連鎖状、房状であることについては記載も示唆もされていない。
【先行技術文献】
【0005】

【特許文献1】特開2001-15121
【特許文献2】特開2006-127979
【特許文献3】特開2008-4286
【特許文献4】特開2006-26586
【特許文献5】特開2004-363056
【特許文献6】特開2003-092114
【特許文献7】特開2005-174835
【特許文献8】特開2008-155111
【特許文献9】特開2005-44659
【特許文献10】特開2007-203129
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年、PEFCは自動車などへの応用が期待されるようになり、走行中の加減速および起動停止に対応した頻繁な負荷変動に絶える電極が必要とされている。すなわち、頻繁な負荷変動・起動停止により、カソードの電位は0.9V以上に達するため、カソードに用いる白金を担持した炭素は、下記の反応式(1)に示す酸化反応により、著しく劣化する。
C + 2HO→ CO+ 4H + 4e (E0 = 0.207V vs SHE)・・・(1)
【0007】
そこで、金属酸化物、酸窒化物そして窒化物等を助触媒として、白金および/またはその合金化合物を炭素へ担持させることによって、炭素劣化を防止した電極触媒は、前記特許文献3、4、5、6にあるように公知である。また、担体を金属酸化物にして耐久性を向上させる試みは前記文献7にある。しかし、その導電性は小さく、大きな比表面積を有していないため、十分な触媒性能を発揮できず、炭素(カーボンブラック、グラファイト化カーボン等)の添加を必要としている。
【0008】
一般に粉末を電極担体として用いるには、それを微粒子にして比表面積を大きくすることが行なわれている。しかし、酸化物および/または窒化物系粉末を微粒子にすると粉体間の接触が点接触となり接触抵抗が増加するため、触媒担体内の導電率が低下すると共に触媒性能を十分に発揮できないということが危惧されている。そこで、高比表面積を有する微細化した酸化物および/または窒化物系粒子を合成すると共に、その粒子同士を電気的に接合および/または結合させることで高い導電率を保持させることが考えられる。
【0009】
ところが、酸化物および/または窒化物系微粒子をアトマイズ法等で合成する方法はあるものの、それらは圧粉体のままでは電気抵抗が高い。そこでこれを小さくするために、微粒子を接合または融着させるには高温焼成工程が必要である。しかし、焼成の際、比表面積は大幅に減少して、必要な高い比表面積を有した酸化物および/または窒化物系微粒子担体を合成することは困難であった。また、酸化物および/または窒化物系粉末上に白金を高分散させても、SMSI効果等によりその白金表面を担体が覆い、触媒性能を著しく低下させる場合もあることが分かった。
【0010】
本発明は、上記の課題を解決するために、高導電性と高比表面積を併せ持つ酸化物および/または窒化物微粒子が結合した電極触媒用の担体を開発し、これにナノサイズに粒径を制御したPtおよび/またはPt合金を担持させた高い活性性能を有する燃料電池用電極触媒及びその担体を提供することである。なお、この触媒を用いた燃料電池は、0.9V以上の高電位において溶解や腐食等が生じず、PEFCの作動条件下で安定に稼動するものでなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、ある特定な組成及び結晶構造を持つ酸化物および/または窒化物構造体をある一定の高温場、例えば火炎法にて形成させ、その中には0.9V以上の高電位において溶解や腐食がなく、さらに高い電子伝導性を示すものである。すなわち、5nm~100nmの一次粒子径を有する酸化物および/または窒化物結晶を連鎖状または房状の構造(図1に示す構造。)に成形したものを担体の母材にする。ここで火炎法というのは、金属が溶解した溶液を、アセチレン等の高温度の火炎中に直接噴霧して得られた、きわめて微細な金属酸化物等の成形法である。
【0012】
本発明の電極触媒用担体は、希土類、アルカリ土類、遷移金属、ニオブ、ビスマス、スズ、アンチモン、ジルコニウム、モリブデン、インジウム、タンタル、タングステンから選ばれる一種以上の金属酸化物一次粒子融合体であり、該融合体は5nm~100nmの大きさをもつ金属酸化物の結晶子の全数に対して少なくとも80%以上が5個以上相互に融着結合して、連鎖状または房状の構造を形成していることを特徴とする。
【0013】
ここで、融着結合及び構造は、透過電子顕微鏡およびもしくは透過走査電子顕微鏡の撮影像によって判定できるものである。
【0014】
本発明の電極触媒用担体は、一次粒子融合体は、その嵩比重が該一次粒子の最密充填状態における理論的嵩密度に対して、0.1~0.95の値をもち、かつ、導電率が0.1~1.3S/cmであることを特徴とする。
【0015】
本発明の電極触媒は、平均粒子径が1~20nmの貴金属および/または貴金属を含む合金を、電極触媒全体の量を100重量%とした場合に1~50重量%担持することを特徴とする。
【0016】
これにより、微細な白金等の触媒活性点が、酸化物担体の全体にわたって均一に分布しているために、貴金属および/または貴金属合金触媒同士が凝集することなく安定かつ活性の高い状態で存在し、触媒性能の高い電極触媒が得られる。
【0017】
本発明の電極触媒は、前記電極触媒は化学炎法またはプラズマ法で製造された前記電極触媒用担体を用いてなることを特徴とする。
【0018】
これにより、化学炎法またはプラズマ法等を用いるため、高温条件下に原料が導入されることで、瞬時に反応および冷却が行われ、目的とする一次粒子が製造されるとともに、その一次粒子同士が部分的に融着結合をするため、高い比表面積を有する電極触媒担体を合成することができる。さらに、その得られた担体を用いることにより高性能な電極触媒が得られる。
【0019】
本発明の電極触媒用担体は、化学炎中で形成された、遷移金属、スズ、アンチモン、ジルコニウム、モリブデン、インジウム、タンタル、タングステンから選ばれる一種以上の金属酸化物一次粒子融合体を、窒素ガス雰囲気中で還元処理して、少なくとも一部が金属窒化物であり、透過電子顕微鏡の撮影像によって、該融合体は5nm~100nmの大きさをもつ結晶子の、全数に対して少なくとも80%以上が5個以上相互に融着結合して、連鎖状または房状の構造を形成している担体であることを特徴とする。
【0020】
これにより、特殊な形状を有する窒化物が形成される。その結果、原料粉末を混合および焼成することで得られる粉体の比表面積に比べ、本発明により作製された粉末の比表面積は10倍以上になり、しかも、粒子間の接触抵抗が大幅に減少し、高い電気伝導度を有する窒化物担体が得られる。
【0021】
本発明の電極触媒は、電極触媒用担体に、平均粒子径が1~20nmの貴金属および/または貴金属を含む合金を、電極触媒全体の量を100重量%とした場合に1~50重量%担持することを特徴とする。
【0022】
これにより、微細な白金等の触媒活性点が、窒化物担体の全体にわたって均一に分布しているために、貴金属および/または貴金属合金触媒同士が凝集することなく安定かつ活性の高い状態で存在し、触媒性能の高い電極触媒が得られる。
【0023】
本発明の電極触媒は、前記電極触媒の表面の一部を覆う被覆担体材料を酸処理によって除いたことを特徴とする。
【0024】
これにより、白金触媒の表面に被膜が覆われる場合、その表面での触媒反応が阻害されやすい。その被膜の除去をすることが可能となり、触媒活性が大幅に向上し、同時に安定性と高耐久性が得られる。
【0025】
本発明の燃料電池は、前記電極触媒を用いたことを特徴とする。
【0026】
これにより、0.9V以上の高電位において、電極触媒は溶解や腐食等を生じない。また本発明からなる電極触媒材料により安価で、高耐久性に優れたPEFCが実用化でき、燃料電池の広汎な普及が実現できる。
【0027】
また、本発明からなる酸化物および/または窒化物微粒子担体に貴金属を担持した電極触媒は炭素担体にPtおよび/またはPtを含む合金を担持した電極触媒に比べて高電位で安定かつ高耐久性を兼ね備えており、PEFCの長期安定作動と広汎な普及が可能となる。
【発明の効果】
【0028】
本発明の電極触媒用担体には、特殊な形状を有する酸化物が形成されている。その結果、例えば原料粉末を混合および焼成することで得られる粉体の比表面積に比べ、本発明により作製された粉末の比表面積は10倍以上になり、しかも、粒子間の接触抵抗が大幅に減少し、高い電気伝導度を有する酸化物担体が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】ストラクチャ構造モデル図
【図2】火炎法装置略図
【図3】スプレーノズル部分図
【図4】Sn0.96Sb0.04O2-δ担体についてのTEM像
【図5】触媒作製手順
【図6】Pt担持Sn0.96Sb0.04O2-δ電極触媒についてのXRDパターン
【図7】Pt担持Sn0.96Sb0.04O2-δ電極触媒についてのTEM像
【図8】Pt担持Sn0.96Sb0.04O2-δ電極触媒について、耐久性試験におけるCV変化
【図9】市販Pt担持炭素電極触媒について、電池特性評価で得られた比較のためのCV曲線
【図10】Pt担持Sn0.96Sb0.04O2-δ電極触媒及び市販Pt担持炭素電極触媒について、耐久性試験におけるECAの変化
【図11】SnO2-δ、Sn0.96Sb0.04O2-δ担体についてのXRDパターン
【図12】SnO2-δ担体についてのSTEM像
【図13】TiO2-δ,Ti0.95Nb0.05O2-δ担体についてのXRDパターン
【図14】Ti0.95Nb0.05O2-δ担体についてのSTEM像
【図15】Sr(Ti0.9Nb0.1)O3-δ担体についてのXRDパターン
【図16】Sr(Ti0.9Nb0.1)O3-δ担体についてのSTEM像
【図17】(La0.6Sr0.4)TiO3-δ担体についてのXRDパターン
【図18】(La0.6Sr0.4)TiO3-δ担体についてのSTEM像
【図19】コロイド法によるPt20重量%担持Sn0.96Sb0.042-δ触媒作製手順
【図20】Pt担持Sn0.96Sb0.042-δ電極触媒についてのTEM像
【図21】Pt担持Sn0.96Sb0.042-δ電極触媒についてCV変化
【図22】コロイド法によるPt10重量%担持TiN触媒作製手順
【図23】Pt担持TiN電極触媒についてのTEM像
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明の金属酸化物および/または窒化物の一次粒子を作製するにあたっては、プロパン、メタン、アセチレン、水素もしくは亜酸化窒素等による化学炎を用いた作製方法が適用できる。本発明においては、あらかじめ原料となる金属イオンを含むミネラルターペン溶液を調製し、酸素および/または窒素を用いた噴霧器を用いて溶液をミストにして化学炎またはプラズマなどの高温下へ導入して、一次粒子の少なくとも80%が5個以上相互に融着結合して、連鎖状および/または房状構造となった二次粒子からなる担体を得る。その際、600~800度において熱処理することにより、上記二次粒子の収率を向上させることができる。

【0031】
得られた担体表面上に1~20nmの白金および/または白金合金微粒子を担持させるにあたり、逆ミセル法、コロイド法、含浸法などの手法を応用できる。例えば、逆ミセル法で合成した1~20nmの白金および白金合金微粒子を有機溶媒に分散させた状態で、前記担体微粒子を添加する。そして、担体微粒子表面に吸着させ、ろ過と乾燥を経て、加熱処理することで、電極触媒を作製する。

【0032】
以下、本発明の金属酸化物微粒子についてさらに詳細に説明する。本物質は希土類、アルカリ土類、遷移金属、ニオブ、ビスマス、スズ、アンチモン、ジルコニウム、モリブデン、インジウム、タンタル、タングステンから選ばれる一種以上の元素を含む酸化物微粒子である。希土類、アルカリ土類、ニオブ、ビスマス、アンチモン、タンタルは導電性を向上させるド—パントになる理由により好ましく、遷移金属は導電性を与える母体を構成する元素になる理由により好ましく、上記の他の元素は遷移金属以外でありながら導電性を与える母体を構成する元素になる理由により好ましい。なお、これら微粒子は強酸性条件下でも溶解しないことから、チタン、鉄、ニオブ、タンタル、ジルコニウム、スズのうち少なくとも一種類が含有されていることが好ましい。

【0033】
後述する実施例においては、主元素としてスズ、アンチモン、チタン、ランタン、ストロンチウム、ニオブを使用しているが、一般に、金属酸化物や窒化物は添加元素などを加えること、すなわちド—パントを加えることにより高い導電性を持つものが多く、その選択肢の幅はスズ、アンチモン、チタン、ランタン、ストロンチウム、ニオブに限らず上記の金属元素から選ぶことができる。
いずれの場合にも、高い導電率を有する可能性を持つ元素を、基材とすることがより好ましい。

【0034】
また、耐腐食性に優れているものの、導電率が僅かに下がるような担体であっても、炭素を担体へ混合することで、その電極反応の性能を十分発揮させることも可能である。

【0035】
これらの金属酸化物一次粒子融合体について、融合体は5nm~100nmの大きさをもつ金属酸化物の単結晶である結晶子からなる一次粒子の少なくとも80%以上が5個以上相互に融着結合しており、3次元構造や枝分かれ構造を有する連鎖状または房状のストラクチャ構造を形成し、電極触媒用担体としている。結晶子の融着結合している個数が5個以下であれば電気伝導性の向上は見込めず、好ましくない。融着結合状態は透過電子顕微鏡および/または透過走査電子顕微鏡の撮影像によって確認することができる。

【0036】
本発明の金属酸化物および/または窒化物の各微粒子担体は、それ自体導電性を持つため、炭素を含まずに電極用の触媒担体としても利用できる。

【0037】
導電率は好ましくは0.1S/cmから1000S/cmを有すれば、所望の電極触媒性能を得ることができる。

【0038】
また、その際、一次粒子融合体は、その嵩比重が該一次粒子の最密充填状態における理論的嵩密度に対して、0.1~0.95の値であることが好ましい。融合体の嵩比重は、幅5.0mm 長さ25mm 深さ20mmの直方体の孔を有する鋼鉄製の容器に融合体を0.5g詰め、一軸加圧装置にて50kgf/m2の圧力を1分間かけて圧粉体として測定し、平均粒径の粒子が最密充填状態において求めた理論的嵩比重との比を求めた。もしくは各微粒子担体の充填時の空孔率が26%以上になることを満たし、好ましくは40%以上あることが望まれる。これは、担体の充填時の空孔率が上記値より小さい場合、白金および白金合金触媒の粒子間距離が小さくなり、担体上にて凝集し粗大化するもしくは酸素還元活性が低下するためである。

【0039】
各微粒子担体は化学炎法またはプラズマ法(高周波、マイクロ波)等とよばれる高温条件下での微粒子の製造法により製造される。高温条件下を作り出す方法は前記の方法に限定されるものではない。例えば化学炎法またはプラズマ法に種々の溶液、例えばミネラルターペン溶液に原料を溶解させ、原料液が導入されると、瞬時に反応および冷却が行われ、目的とする一次粒子が製造されるとともに、結果として一次粒子同士が部分的に融着結合をするため、高い比表面積を有する電極触媒担体を合成することができる。さらに、その得られた担体に貴金属を担持させることにより高性能な電極触媒が得られる。

【0040】
担持させる貴金属である白金および白金合金の粒径が1nm未満であれば、電極反応の進行と共に溶解し、また20nmより大きくなると電気化学的活性表面積が小さくなり所望の電極性能が得られない。更に、このときの白金および白金合金の担持量は1~50重量%であることが望ましい。

【0041】
白金触媒の表面に被膜が覆われる場合、その表面での触媒反応が阻害されやすい。合成した後、塩酸、硝酸、硫酸、フッ化水素酸、過塩素酸に浸漬すること、もしくは水素含有ガス雰囲気下での熱処理でその被膜の除去をすることが可能となり、触媒活性が大幅に向上し、同時に安定性と高耐久性が得られる。その結果、電極反応の性能を向上させることが可能である。
【実施例1】
【0042】
(Pt20重量%担持Sn0.96Sb0.042-δ触媒)
まず、本実施例では図2に示す火炎法合成装置を用いた。酸素、空気およびプロパンガスを14L/min.(0.5MPa), 1L/min.(0.05MPa)の流量で図3に示すスプレーノズルのガス導入部31及び32から導入し、ガス混合機33にて混合する。混合ガスはステンレス管34へ導入され、バーナー40にて化学炎を生成させる。
【実施例1】
【0043】
一方、オクチル酸スズおよびオクチル酸アンチモンをモル比で0.96:0.04の割合でミネラルターペンに溶解させた溶液を溶液導入部35へ1分間に1~10gの量で導入されると共に、キャリヤガス導入部36に入れられた空気ガスによって、混合機37及びステンレス管38を通過する。
【実施例1】
【0044】
更に、フルイドノズル、エアノズル、リテーナーキャップ39を介してミストにされ、バーナー40にて化学炎中に導入される。化学炎の温度はプロパンガスとミネラルターペンの燃焼熱により約1600℃に上昇し、その化学炎中にてSn0.96Sb0.042-δ粉末が生成する。図2において生成した粉末は回収フィルター27にて回収され、その粉末回収量は20分間の運転で10gであった。
【実施例1】
【0045】
Sn0.96Sb0.042-δ粉末についてX線回折装置(XRD)(図11)にて評価すると共に透過電子顕微鏡(TEM)(図4)にて形状観察した。Sn0.96Sb0.042-δ粉末について、幅5.0mm 長さ25mm 深さ20mmの直方体の孔を有する鋼鉄製の容器に0.5g詰め、一軸加圧装置にて50kgf/mの圧力を1分間かけて圧粉体とした。その嵩比重は該粒子の平均粒径の粒子が最密充填状態において求まる理論的嵩比重に対して、0.9となった。
【実施例1】
【0046】
また、その導電率は1.3S/cmであった。粉末の比表面積はBET値で78.6m/gであった。また、接合する一次粒子同士の中心間距離(r)は、その該当する一次粒子同士の半径(r、r)の和より小さく、50nm以下であった。Sn0.96Sb0.042-δ40mgを、ジフェニルエーテル2.5mlに入れ、超音波分散機にて30分間混合し、Sn0.96Sb0.042-δの分散液を調製した。ジフェニルエーテル10ml中に白金アセチルアセトナートを20.16mg、ヘキサデカンジオール260mgを入れ、110℃窒素気流中で30分間混合し、白金錯体を含む有機溶液を調製した。
【実施例1】
【0047】
得られた溶液に界面活性剤としてオレイン酸85μL、オレイルアミン酸80μL入れ、220℃窒素気流中で30分間混合し、オレイン酸およびオレイルアミン酸で構成され、白金イオンを内包したミセルを含む溶液を調製した。上記溶液に水素化トリエチルホウ素リチウムテトラヒドロフラン溶液を1ml加え、270℃窒素気流中30分間混合することで、上記ミセル中に白金イオンを還元し、界面活性剤に覆われた白金微粒子の分散液を調製した。
【実施例1】
【0048】
得られた分散液を200℃まで徐冷し、そこに上記Sn0.96Sb0.042-δ分散液を混合して、270℃窒素気流中30分間混合し、界面活性剤で覆われた白金微粒子をSn0.96Sb0.04O2-δ粉末表面に吸着させた。Sn0.96Sb0.042-δ微粒子を室温にてろ過し、エタノールでの洗浄を数回行った。60℃にて乾燥後、電気炉にて300℃窒素中にて加熱処理し、さらに300℃0.4%水素(窒素ベース)中にて加熱処理して、Ptを担持したSn0.96Sb0.042-δ電極粉末を得た。これら一連の作製手順を図5にまとめた。
【実施例1】
【0049】
このようにして得られたPtを担持したSn0.96Sb0.042-δ電極粉末について、粉末X線回折測定を行った結果、図6に示す回折パターンが得られ、PtとSn0.96Sb0.04O2-δの存在を確認した。この際回折ピークの半値幅から得られる各粉末の結晶子径はPtが3.2nmであり、Sn0.96Sb0.042-δは10nm~50nmであった。
【実施例1】
【0050】
なお、Ptの担持量は高周波誘導加熱発光分光法(ICP)を用いて19重量%であることを確認した。さらに、得られた粉末の形状観察をTEMにて行った(図7参照)。その結果、Sn0.96Sb0.042-δ粉末は球形でその直径は平均10nmであり、各粒子ともお互いが結着し、三次元的に連鎖状に連なっていた。このときの比表面積は78m2/g(BET値)であった。
【実施例1】
【0051】
またPtは球形で、Sn0.96Sb0.042-δ表面に均一に分散して担持されており、その平均粒径は3.0nm(500個の粒子径を平均して算出)であった。また、Pt表面には厚さ数nmの被覆層が存在していた。得られた触媒については10重量%のフッ化水素酸にて酸処理を行った。
【実施例1】
【0052】
以上の方法で得られた各電極粉末について、回転リングディスク電極を用いてCV測定を行った。電解液には0.1mol/lの過塩素酸水溶液を、参照極には標準水素電極(RHE)を用いた。電位の走査速度は0.1V/sec.とした。更に、0.9V以上での電極材料の安定性を確認するため、0.05V~1.3Vまで電位範囲を100回掃引した後、0.05V~1.0Vの電位範囲でCVを測定した。
【実施例1】
【0053】
この測定手順を1セットとして、10セット以上(1000サイクル以上の掃引)を行った。Pt10重量%担持Sn0.96Sb0.042-δにおけるCV測定結果を図8に示す。比較として0.05V~1.0Vの電位範囲で操引した市販Pt担持炭素のCV測定結果を図9に示す。Pt担持炭素では電位の掃引に伴い0.2V~0.6V付近の電流値が増加すると共に、炭素の劣化で生じたキノン基の酸化還元に伴うピークが0.6V付近で現れている。
【実施例1】
【0054】
それに対し、Pt担持Sn0.96Sb0.042-δ電極では0.2V~0.6V付近の電流値は各測定とも一定であり、0.05Vから0.4V付近での酸素吸着波に起因するピーク面積から求めた白金有効反応面積(ECA)は50m/g(Pt)となった。なお、300℃0.4%水素(窒素ベース)中にて加熱処理とフッ化水素酸で処理しない触媒のECAは20m/g(Pt)であった。
【実施例1】
【0055】
セットのECAは1000セット目以降50m/g(Pt)となった(図10参照)。図10には市販されているPEFC用電極触媒(Pt担持カーボン)でのECAの変化も示す。これより、0.9V以上の高電位でもPt担持Sn0.96Sb0.042-δ電極は安定であり、サイクル数を重ねることで市販品は劣化するのに対し、Pt担持Sn0.96Sb0.04O2-δ電極のECAは1000サイクル付近で最大値60m/g(Pt)となり、それ以降の減少は市販Pt/C触媒のそれに比べわずかであった。また二重層領域の変化は見られず、Pt担持Sn0.96Sb0.042-δは高電位で安定に性能を示すことが判明した。
【実施例2】
【0056】
(SnO2-δ担体)
本実施例でも図2に示す火炎法合成装置を用いた。合成の際の酸素、空気およびプロパンガス流量、化学炎の生成は実施例1と同じである。オクチル酸スズをミネラルターペンに溶解させた溶液を実施例1と同様の手法でミストにして、化学炎中に導入する。化学炎の温度はプロパンガスとミネラルターペンの燃焼熱により約1600℃に上昇し、その化学炎中にてSnO2-δ粉末が生成する。
生成した粉末は回収フィルター27(図2)にて回収され、その粉末回収量は20分間の運転で7gであった。SnO2-δ粉末についてXRDにて評価(図11参照)すると共に透過走査電子顕微鏡(STEM)(図12参照)にて形状観察した。
【実施例2】
【0057】
SnO2-δ粉末について、幅5.0mm 長さ25mm 深さ20mmの直方体の孔を有する鋼鉄製の容器に0.5g詰め、一軸加圧装置にて50kgf/m2の圧力を1分間かけて圧粉体とした。その嵩比重は該粒子の平均粒径の粒子が最密充填状態において求まる理論的嵩比重に対して、0.9となった。その導電率は0.4S/cmであった。粉末の比表面積はBET値で69.4m/gであった。また、接合する一次粒子同士の中心間距離(r)は、その該当する一次粒子同士の半径(r、r)の和より小さく、50nm以下であった。
【実施例3】
【0058】
(Ti0.95Nb0.05O2-δ担体)
本実施例でも図2に示す火炎法合成装置を用いた。合成の際の酸素、空気およびプロパンガス流量、化学炎の生成は実施例1と同じである。オクチル酸チタン、オクチル酸ニオブをミネラルターペンに溶解させた溶液を実施例1と同様の手法でミストにして、化学炎中に導入する。化学炎の温度はプロパンガスとミネラルターペンの燃焼熱により約1600℃に上昇し、その化学炎中にてTi0.95Nb0.05O2-δ粉末が生成する。
【実施例3】
【0059】
生成した粉末は回収フィルター27 (図2)にて回収され、その粉末回収量は20分間の運転で7.5gであった。Ti0.95Nb0.05O2-δ粉末についてXRDにて評価(図13参照)すると共に透過走査電子顕微鏡(STEM)(図14参照)にて形状観察した。Ti0.95Nb0.05O2-δ粉末の圧粉体を作製しその空孔率を算出したところ40%であり、その導電率は0.2(S/cm)であった。
【実施例3】
【0060】
粉末の比表面積はBET値で78.0m/gであった。また、接合する一次粒子同士の中心間距離(r)は、その該当する一次粒子同士の半径(r、r)の和より小さく、50nm以下であった。さらにその粉末について、幅5.0mm 長さ25mm 深さ20mmの直方体の孔を有する鋼鉄製の容器に0.5g詰め、一軸加圧装置にて50kgf/mの圧力を1分間かけて圧粉体とした。
【実施例3】
【0061】
その嵩比重は該粒子の平均粒径の粒子が最密充填状態において求まる理論的嵩比重に対して、0.85となった。その圧粉体を作製して空孔率を算出したところ40%であり、その導電率は0.1S/cm未満であった。粉末の比表面積はBET値で72.3m/gであった。また、接合する一次粒子同士の中心間距離(r)は、その該当する一次粒子同士の半径(r、r)の和より小さく、50nm以下であった。
【実施例4】
【0062】
(Sr(Ti0.9Nb0.1)O3-δ担体)
本実施例でも図2に示す火炎法合成装置を用いた。合成の際の酸素、空気およびプロパンガス流量、化学炎の生成は実施例1と同じである。オクチル酸ストロンチウム、オクチル酸チタン、オクチル酸ニオブをミネラルターペンに溶解させた溶液を実施例1と同様の手法でミストにして、化学炎中に導入する。化学炎の温度はプロパンガスとミネラルターペンの燃焼熱により約1600℃に上昇し、その化学炎中にてSr(Ti0.9Nb0.1)O3- δ粉末が生成する。
【実施例4】
【0063】
生成した粉末は回収フィルター27 (図2)にて回収され、その粉末回収量は20分間の運転で8.5gであった。Sr(Ti0.9Nb0.1)O3- δ粉末についてXRDにて評価(図15参照)すると共に透過走査電子顕微鏡(STEM)(図16参照)にて形状観察した。Sr(Ti0.9Nb0.1)O3- δ粉末について、幅5.0mm 長さ25mm 深さ20mmの直方体の孔を有する鋼鉄製の容器に0.5g詰め、一軸加圧装置にて50kgf/mの圧力を1分間かけて圧粉体とした。
【実施例4】
【0064】
その嵩比重は該粒子の平均粒径の粒子が最密充填状態において求まる理論的嵩比重に対して、0.9となった。その導電率は0.2S/cmであった。粉末の比表面積はBET値で67.8m/gであった。また、接合する一次粒子同士の中心間距離(r)は、その該当する一次粒子同士の半径(r、r)の和より小さく、50nm以下であった。
【実施例5】
【0065】
((La0.6Sr0.4)TiO3-δ担体)
本実施例でも図2に示す火炎法合成装置を用いた。合成の際の酸素、空気およびプロパンガス流量、化学炎の生成は実施例1と同じである。オクチル酸ランタン、オクチル酸ストロンチウム、オクチル酸チタンをミネラルターペンに溶解させた溶液を実施例1と同様の手法でミストにして、化学炎中に導入する。化学炎の温度はプロパンガスとミネラルターペンの燃焼熱により約1600℃に上昇し、その化学炎中にて(La0.6Sr0.4)TiO3-δ粉末が生成する。
【実施例5】
【0066】
生成した粉末は回収フィルター27 (図2)にて回収され、その粉末回収量は20分間の運転で10gであった。(La0.6Sr0.4)TiO3-δ粉末についてXRDにて評価(図17参照)すると共に透過走査電子顕微鏡(STEM)(図18参照)にて形状観察した。(La0.6Sr0.4)TiO3-δ粉末について、幅5.0mm 長さ25mm 深さ20mmの直方体の孔を有する鋼鉄製の容器に0.5g詰め、一軸加圧装置にて50kgf/mの圧力を1分間かけて圧粉体とした。
【実施例5】
【0067】
その嵩比重は該粒子の平均粒径の粒子が最密充填状態において求まる理論的嵩比重に対して、0.9となった。その導電率は0.7S/cmであった。粉末の比表面積はBET値で70.7m/gであった。また、接合する一次粒子同士の中心間距離(r)は、その該当する一次粒子同士の半径(r、r)の和より小さく、50nm以下であった。
【実施例6】
【0068】
(コロイド法によるPt20重量%担持Sn0.96Sb0.04O2-δ触媒)
前述の実施例と同様に火炎法合成装置にてSn0.96Sb0.04O2-δ粉末を合成し、XRDにて結晶相を評価すると共に透過電子顕微鏡(TEM)(図4参照)にて形状観察した。
【実施例6】
【0069】
次に図19の作製手順に従い塩化白金酸六水和物2.7gを300mlの超純水に溶解させ、更に亜硫酸ナトリウム15.3gを加え撹拌した。その溶液を1400mlの水で希釈し、NaOHを用いて溶液のpHを5に調整した。その後、過酸化水素を120ml加え、NaOHでpHを5に再調整した。
【実施例6】
【0070】
得られた溶液にSn0.96Sb0.04O2-δ粉末4gを分散させた300mLの超純水を混合し、95℃にて1時間撹拌した。室温まで冷却した後、濾過し、超純水及びアルコールでの洗浄を行い、80℃にて乾燥し、Pt担持Sn0.96Sb0.04O2-δ触媒粉末を得た。Ptの担持量は高周波誘導加熱発光分光法(ICP)を用いて16重量%であることを確認した。
【実施例6】
【0071】
さらに、得られた粉末形状観察をTEMにて行った(図20参照)。Sn0.96Sb0.04O2-δの各粒子ともお互いが結着し、三次元的に連鎖状に連なっていた。またPtは球形で、Sn0.96Sb0.04O2-δ表面に均一に分散して担持されており、その平均粒径は1.5nm(500個の粒子径を平均して算出)であった。
【実施例6】
【0072】
以上の方法で得られた各電極粉末について、回転リングディスク電極を用いてCV測定を行った。電解液には0.1mol/lの過塩素酸水溶液を、参照極には標準水素電極(RHE)を用いた。電位の走査速度は0.1V/sec.とした。0.05V~1.3Vでの電位掃引を100回繰り返した後のCV測定結果を図21に示す。Pt担持Sn0.96Sb0.04O2-δ電極では0.2V~0.6V付近の電流値は各測定とも一定であり、0.05Vから0.4V付近での酸素吸着波に起因するピーク面積から求めた白金有効反応面積(ECA)は57m/g(Pt)、再現性を確認するため、同条件で作製した別のPt担持Sn0.96Sb0.04O2-δ触媒での測定では60m/g(Pt)となった。
【実施例6】
【0073】
これより、0.9V以上の高電位でもPt担持Sn0.96Sb0.04O2-δ電極は劣化がなく安定に性能を示すことが判明した。また表1に示すとおり対流ボルタンメトリから測定したPt担持Sn0.96Sb0.04O2-δ触媒の活性支配電流密度は6.78mA/cm(0.70V)となり、市販Pt/C触媒より活性が向上していることも確認した。ここで、表1は、Pt担持Sn0.96Sb0.042-δ触媒の活性支配電流密度を示す表である。
【実施例6】
【0074】
【表1】
JP0005515019B2_000002t.gif
【実施例7】
【0075】
(コロイド法によるPt10重量%担持TiN触媒)
図22の作製手順に従い塩化白金酸六水和物1.35gを150mlの超純水に溶解させ、更に亜硫酸ナトリウム7.7gを加え撹拌した。その溶液を700mlの水で希釈し、NaOHを用いて溶液のpHを5に調整した。
【実施例7】
【0076】
その後、過酸化水素を60ml加え、NaOHでpHを5に再調整した。得られた溶液にTiN粉末2gとカタラーゼ0.47gを分散させた150mLの超純水を混合し、室温にて1時間撹拌した。濾過及び超純水及びアルコールでの洗浄を行い、80℃にて乾燥し、Pt担持TiN触媒粉末を得た。Ptの担持量は高周波誘導加熱発光分光法(ICP)を用いて10重量%であることを確認した。
【実施例7】
【0077】
さらに、得られた粉末形状観察をTEMにて行った(図23参照)。TiNの各粒子は立方体もしくは直方体で、Ptは球形でありその平均粒径は約1nmであった。
【産業上の利用可能性】
【0078】
近年注目されている、燃料電池自動車ではPEFCが採用されている。それに利用される電極材料は炭素を担体として1nm~20nmの粒子径をもつ貴金属微粒子を担持させたものを利用している。しかし、自動車用では、走行中の加減速に対応した頻繁な負荷変動・起動停止が生じ、その際カソードの電位は0.9V以上に達する。この0.9V以上の高い電位において、炭素は酸化反応により、著しく劣化する。
【0079】
本発明の電極担体は、炭素を全く用いていないため、0.9V以上の高電位においても安定で、高い導電性を兼ね備えており、高い非表面軌跡を有していることから、1nm~20nmの粒子径をもつ貴金属微粒子を担持させることができ、耐久性と高い触媒活性が実現できた。従って、PEFCを搭載した電気自動車等へ利用が期待される。
【符号の説明】
【0080】
1 酸化物または窒化物担体
2 白金ナノ粒子
21 空気
22 燃料ガス(プロパン)・酸素
23 原料溶液
24 スプレーノズル
25 化学炎
26 一次粒子融合体
27 一次粒子融合体回収フィルター
28 回収器
31 ガス導入部
32 ガス導入部
33 ガス混合機
34 ステンレス管
35 溶液導入部
36 キャリヤガス導入部
37 混合機
38 ステンレス管
39 リテーナーキャップ
40 バーナー
図面
【図5】
0
【図11】
1
【図13】
2
【図1】
3
【図2】
4
【図3】
5
【図4】
6
【図6】
7
【図7】
8
【図8】
9
【図9】
10
【図10】
11
【図12】
12
【図14】
13
【図15】
14
【図16】
15
【図17】
16
【図18】
17
【図19】
18
【図20】
19
【図21】
20
【図22】
21
【図23】
22