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明細書 :色素増感型太陽電池

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2014-220164 (P2014-220164A)
公開日 平成26年11月20日(2014.11.20)
発明の名称または考案の名称 色素増感型太陽電池
国際特許分類 H01M  14/00        (2006.01)
H01L  31/04        (2014.01)
FI H01M 14/00 P
H01L 31/04 Z
請求項の数または発明の数 3
出願形態 OL
全頁数 15
出願番号 特願2013-099720 (P2013-099720)
出願日 平成25年5月9日(2013.5.9)
新規性喪失の例外の表示 特許法第30条第2項適用申請有り 講演会の名称:2012年 日本化学会西日本大会 講演会主催者:日本化学会九州支部・同中国四国支部 開催の期間: 平成24年11月10日,11日 刊行物:2012年 日本化学会西日本大会 講演要旨集 第237頁 刊行物発行者:2012年 日本化学会西日本大会 実行委員会 発行日:平成24年11月10日
発明者または考案者 【氏名】永岡 昭二
【氏名】城崎 智洋
【氏名】堀川 真希
【氏名】伊原 博隆
【氏名】高藤 誠
出願人 【識別番号】591202155
【氏名又は名称】熊本県
【識別番号】504159235
【氏名又は名称】国立大学法人 熊本大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100076048、【弁理士】、【氏名又は名称】山本 喜幾
【識別番号】100141645、【弁理士】、【氏名又は名称】山田 健司
【識別番号】100147854、【弁理士】、【氏名又は名称】多賀 久直
審査請求 未請求
テーマコード 5F151
5H032
Fターム 5F151AA14
5F151FA03
5F151FA06
5F151FA08
5F151GA03
5H032AA06
5H032AS16
5H032CC11
5H032EE01
5H032HH05
要約 【課題】色素増感型太陽電池の光電変換効率を向上する。
【解決手段】色素増感型太陽電池は、透明電極18と、この透明電極18に積層された酸化物半導体層20と、この酸化物半導体層20の対向電極側に積層され、透明電極18側から入射する光を散乱する光散乱層22とからなる光電極12を備えている。光散乱層22は、例えばポリマーからなる母粒子26と該母粒子26の表面に担持された光散乱性を有する無機微粒子28とからなるコアシェル型の複合粒子24で構成されている。
【選択図】図1
特許請求の範囲 【請求項1】
透明電極(18)と、この透明電極(18)に積層された酸化物半導体層(20)と、この酸化物半導体層(20)の対向電極側に積層され、前記透明電極(18)側から入射する光を散乱する光散乱層(22)とを備えた色素増感型太陽電池において、
前記光散乱層(22)を、母粒子(26)と該母粒子(26)の表面に担持された光散乱性を有する無機微粒子(28)とからなるコアシェル型の複合粒子(24)で構成した
ことを特徴とする色素増感型太陽電池。
【請求項2】
前記母粒子(26)は、球状である請求項1記載の色素増感型太陽電池。
【請求項3】
前記母粒子(26)は、表面にアニオン性基またはカチオン性基を有する請求項1または2記載の色素増感型太陽電池。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
この発明は、色素増感型太陽電池に関するものである。
【背景技術】
【0002】
色素増感型太陽電池は、光電極の酸化物半導体層に入射する光を外部に逃がさないように閉じ込めることで、光電変換効率を向上することが検討されている。例えば、薄膜太陽電池に用いられる光閉じ込め技術としては、透明絶縁性基板上に形成した透明導電膜表面に、ナノサイズの凹凸構造を形成することで、薄膜太陽電池の光変換効率の向上が図られている(例えば特許文献1参照)。凹凸構造による光閉じ込め技術は、透明絶縁性基板側から入射してきた光が、凹凸構造を有する透明導電膜と酸化物半導体層との界面で散乱された後に酸化物半導体層に入射するので、酸化物半導体層に概ね斜めに入射する。このように、酸化物半導体層に斜めに光が入射することにより、光の実質的な光路が延びて光の吸収量が増大するため、光起電力素子の光電変換特性が向上して出力電流が増加するのである。
【0003】
また別の光閉じ込め技術としては、酸化物半導体層中に、色素を担持した光吸収粒子と異なる粒径の光散乱粒子を混ぜて、酸化物半導体層に入射した光を散乱させることにより、酸化物半導体層における光の実質的な光路の延長を図る構成が提案されている(例えば特許文献2参照)。このような光散乱粒子としては、粒径が20nm~1000nm程度の酸化チタンなどの光を屈折させる無機微粒子が用いられる。また、酸化物半導体層を、酸化チタン等の通常の半導体粒子と、光散乱粒子としての特異な形状(星型)の酸化チタン粒子とから構成することも提案されている(特許文献3参照)。
【0004】
更に別の光閉じ込め技術としては、酸化物半導体層の対向電極側の面に光反射層を設け、酸化物半導体層を通過する光を、光反射層で反射して酸化物半導体層に再入射させる構成が提案されている(例えば特許文献4参照)。特許文献3に開示の光反射層は、形状異方性を有する酸化チタンなどの無機微粒子から構成されている。
【先行技術文献】
【0005】

【特許文献1】特開2009-217970号公報
【特許文献2】特開2003-303629号公報
【特許文献3】特開2010-1212号公報
【特許文献4】特開2008-258011号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記凹凸構造による光閉じ込め技術は、ナノインプリント技術により、理想的な光閉じ込めのための凹凸構造を形成することが検討されている。しかし、凹凸構造による光閉じ込め技術は、金型の作製などを考慮すると最先端の半導体技術で用いられるリソグラフィ技術などを必要とし、現在のところ極めて高価になってしまう。酸化物半導体層に分散した光散乱粒子による光閉じ込め技術は、光散乱粒子を酸化物半導体層に一様に分散させるのは難しく、また酸化物半導体層における透明絶縁性基板近傍に光散乱粒子が存在すると、光が酸化物半導体層に入射する前に表面反射するためにロスが生じてしまう。光反射層による光閉じ込め技術は、無機微粒子の凝集が生じ易く、また形状異方性の無機微粒子を均一に並べることは難しいため、光反射層により十分な光散乱効果が得られてるとはいえない。
【0007】
すなわち本発明は、従来の技術に係る前記問題に鑑み、これらを好適に解決するべく提案されたものであって、光電変換効率が高い色素増感型太陽電池を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を克服し、所期の目的を達成するため、本願の請求項1に係る発明の色素増感型太陽電池は、
透明電極と、この透明電極に積層された酸化物半導体層と、この酸化物半導体層の対向電極側に積層され、前記透明電極側から入射する光を散乱する光散乱層とを備えた色素増感型太陽電池において、
前記光散乱層を、母粒子と該母粒子の表面に担持された光散乱性を有する無機微粒子とからなるコアシェル型の複合粒子で構成したことを要旨とする。
請求項1に係る発明によれば、コアシェル型の複合粒子により均一な光散乱層を形成することができるから、入射した光の閉じ込め効果を向上させることができる。こにれより、光電変換効率を向上し得る。
【0009】
請求項2に係る発明では、前記母粒子は、球状であることを要旨とする。
請求項2に係る発明によれば、光散乱層において母粒子の表面に沿って配置された無機微粒子により光をより好適に散乱させることができる。
【0010】
請求項3に係る発明では、前記母粒子は、表面にアニオン性基またはカチオン性基を有することを要旨とする。
請求項3に係る発明によれば、母粒子の表面に無機微粒子を適切に担持させることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る色素増感型太陽電池によれば、光電変換効率を向上し得る。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係る色素増感型太陽電池の模式図である。
【図2】複合粒子の模式図である。
【図3】実施例のPAA-PMA粒子の走査型電子顕微鏡写真である。
【図4】実施例のPAAm-PMA粒子の走査型電子顕微鏡写真である。
【図5】実施例のPAA-PMA粒子の赤外線吸収スペクトルを示す図である。
【図6】実施例の複合粒子の走査型電子顕微鏡写真である。
【図7】太陽電池の電流-電圧(I-V)特性を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1に示すように、本発明に係る色素増感型太陽電池(以下、単に太陽電池という)10は、光電極12と、光電極12に対向配置された対向電極14と、光電極12および対向電極14の間に充填された電解質16とを備えている。以下の説明において、太陽電池10における光が入射される側を表として方向を指称する。すなわち太陽電池10において、光電極12側が表側となり、対向電極14側が裏側になる。なお、太陽電池10は、光電極12および対向電極14の間に、ガラスや合成樹脂製のスペーサ(図示せず)を配設して、スペーサにより両者12,14の間隔を維持するようにしてもよい。光電極12は、透明電極18と、この透明電極18の裏面に形成された酸化物半導体層20と、この酸化物半導体層20の裏面に形成された光散乱層22とを有する複層構造になっている。このように、光電極12には、光が入射する側と反対側の対向電極14側に光散乱層22が形成され、この光散乱層22により表側から入射した光の閉じ込めが図られている。

【0014】
前記透明電極18は、例えば、基板と、この基板の裏面に形成された導電層とから構成されている。基板としては、光透過性および電気絶縁性を有する素材であれば特に限定されず、例えば、透明なガラス、酸化チタンやアルミナなどの透明なセラミック、透明なプラスチックなどを用いることができる。プラスチックとしては、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリエーテルスルホン等が挙げられる。導電層は、金属や金属酸化物などの無機系導電性材料、ポリマー系導電性材料、無機有機複合型の導電性材料、またはこれらを混合した複合材料を用いることができる。導電層としては、例えば、インジウム/スズ複合化合物(ITO)、フッ素ドープ酸化スズ(FTO)、酸化スズ(SnO)、酸化亜鉛(ZnO)、ガリウムドープ酸化亜鉛(GZO)、アルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO)、アンチモン/スズ複合化合物(ATO)等を用いることができる。このような金属酸化物から導電層を形成する場合は、スパッタ法、CVD法、SPD法、蒸着法などの適宜の薄膜形成法が選択される。そして、導電層は、0.01μm~10μm程度の厚みで形成される。なお、透明電極18としては、基板に導電層が形成されたものだけでなく、基板を備えておらず全体が導電層からなるものであってもよい。

【0015】
前記酸化物半導体層20は、金属酸化物からなる多孔質構造の金属酸化物層に、増感色素を複合化することで構成される。ここで、金属酸化物層に増感色素を複合化するとは、金属酸化物層に増感色素が化学的に結合したり(化学吸着)、金属酸化物層に増感色素が物理的に保持されたり(物理吸着)する等、金属酸化物層に増感色素が担持された状態を云う。金属酸化物としては、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化錫、酸化インジウム、酸化ニオブ、酸化タングステン、酸化ジルコニウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム、チタン酸カルシウムなどを用いることができ、この中でも、酸化チタンや酸化亜鉛が好ましい。なお、金属酸化物は、1つの種類に限られず、2以上の金属酸化物で構成してもよい。金属酸化物層は、金属酸化物粒子を含有する懸濁液を透明電極の裏面に塗布し、乾燥および焼成を行って形成したり、コロイド溶液中に透明電極18を浸漬して電気泳動により金属酸化物粒子を透明電極18の裏面に付着させたり、コロイド溶液や分散液に発泡剤を混合して塗布した後に焼結して多孔質化したり、ポリマーマイクロビーズを混合して塗布した後に、このポリマーマイクロビーズを加熱処理や化学処理により除去して空隙を形成したりするなど、適宜の方法を適用することができる。また、金属酸化物粒子または金属酸化物粒子を含む分散液を透明電極18に塗布する際には、スキージ法、グラビアコート法、スクリーン印刷法、インクジェット法、ロールコート法、ドクターブレード法、スピンコート法、スプレー塗布法などを採用することができる。ここで、金属酸化物粒子は、平均粒径1nm~100μmであることが好ましく、1nm~1000nmであると更に好ましい。金属酸化物粒子の平均粒径が100μm以下であれば、吸着する増感色素の量を確保するのに充分な表面積を有する金属酸化物層を形成することができる。

【0016】
金属酸化物粒子を溶媒に分散させた状態で透明電極18に塗布し、溶媒を気化させることで、金属酸化物層を形成してもよい。前記溶媒としては、50℃未満の温度で気化させ得るものが好ましく、例えば、アセトニトリル等のニトリル化合物、エタノール等のアルコール、水等、またはこれらの混合溶液を採用できる。このように低温で溶媒を気化させることで、溶媒に分散した状態の金属酸化物粒子の結晶化度を保った状態で金属酸化物層を形成することができる。なお、金属酸化物粒子の結晶化度を保った状態とは、従来の高温の熱処理により電子パスが形成されるような金属酸化物が焼結した状態ではなく、金属酸化物粒子における非晶質成分に対する結晶質成分の割合が変化しない状態を云う。

【0017】
前記増感色素としては、起電力を発生させることができるものであればよく、例えば、ルテニウムやオスミウム等の遷移金属錯体、ルテニウムービピリジル錯体、ポルフィリン、フタロシアニン、ジチオラート錯体、シアニン色素、ローダミン、クマリン誘導体、スチルベン誘導体等を採用できる。金属酸化物層の表面に増感色素を複合化する方法としては、増感色素を有機溶剤に溶解して得られた混合液に、透明電極18の裏面に金属酸化物層を形成したものを浸漬する、ディップ法、ローラ法、エアーナイフ法などを適用でき、前記混合液を金属酸化物層に塗布する、ワイヤーバー法、アプリケーション法、スピン法、スプレー法、オフセット印刷法、スクリーン印刷法などを適用できる。金属酸化物層に増感色素を吸着させる方法としては、増感色素を溶媒に溶解させた色素溶液に対して、前記金属酸化物層が形成された透明電極を浸漬させる方法が好ましい。なお、色素溶液の溶媒としては、エタノール、トルエン、アセトニトリル、クロロホルム等の有機溶媒を用いることができる。

【0018】
前記酸化物半導体層20の厚みは、1μm~1000μmの範囲に設定することが好ましい。酸化物半導体層20の厚みが1μm以上であれば、好適な光電変換効率を得るのに充分な光を吸収することができる。また、酸化物半導体層20の厚みが1000μm以下であれば、透明電極18の導電層から離れた位置で光電変換により発生した電子の再結合による消失が起こり難く、この消失に起因する光電変換効率の低下の影響を受け難い。

【0019】
前記光散乱層22は、母粒子26と、この母粒子26の表面に担持され、自身に当たった光の進行方向を変化させる光散乱性を有する無機微粒子28とからなる複合粒子24で構成されている(図1および図2参照)。複合粒子24は、母粒子26の表面が多数の無機微粒子28で覆われた所謂コアシェル型の構造になっており、球状に形成するのが望ましい。光散乱層22は、酸化物半導体層20の裏面に均一に並んだ複合粒子24で構成されており、複合粒子24の外郭を構成する無機微粒子28の光散乱効果により、光電極12に入射する光を裏側に逃がさないように閉じ込めている。光散乱層22は、その厚みが1μm~50μmの範囲で形成されている。光散乱層22は、1μmより薄いと十分な光散乱効果が得られず、50μmより厚くなると、酸化物半導体層20と電解質16との間の電子の移動を妨げられ、得られた太陽電池10の開放電圧(Voc)の改善効果が低くなってしまう。

【0020】
前記母粒子26としては、球状や楕円体などの表面が曲面になった形状であるのが好ましい。母粒子26は、ポリマーなどの有機化合物、セラミックなどの無機材料、カーボンビーズなどから形成することができ、無機微粒子28を表面に担持できるものであれば特に限定されない。例えば、母粒子26は、アニオン性基またはカチオン性基を表面に有していれば、無機微粒子28を適切に担持し得る。なお、母粒子26は、導電性の有無について特に限定されないが、酸化物半導体層20でのショートを防止するという観点から、導電性がないまたは導電性があってもショートを起こさない程度に低いことが望ましい。母粒子26は、平均粒径が2μm~100μmの範囲にあるものが好ましく、より好ましくは5μm~30μmの範囲である。母粒子26の平均粒径が2μmより小さくなると、母粒子26の表面に担持できる無機微粒子28が少なくなり、無機微粒子28による好適な光散乱効果が得られず、母粒子26の平均粒径が100μmより大きくなると、得られた太陽電池10の開放電圧(Voc)の改善効果が低くなってしまう。なお、母粒子26と比べて無機微粒子28が非常に小さいので、複合粒子24の平均粒径は、母粒子26の粒径と略同じになる。母粒子26を無機材料で構成する場合に、シリカ、ガラス、ジルコニア、アルミナなどを用いることができる。

【0021】
前記母粒子26に有機高分子を使用する場合、下記の化学式1で表される架橋ポリアクリル酸エステルまたは下記の化学式2で表される架橋ポリメタクリル酸エステルの誘導体を用いるのが好ましい。ここで、化学式1および化学式2のRは、メチル、エチル、プロピル、ブチルなどのアルキル基やフェニル基、ベンジル基等であり、脂肪族または芳香族の炭化水素基から選択される疎水性の官能基を表す。なお、ポリアクリル酸エステルおよび架橋ポリメタクリル酸エステルをまとめて、ポリ(メタ)アクリル酸エステル粒子と以下表記する。この場合に、母粒子26は、架橋ポリ(メタ)アクリル酸エステル粒子から基本的に構成され、アニオン性基を持つ母粒子26は、該架橋ポリ(メタ)アクリル酸エステルにおけるカルボン酸エステルの一部を加水分解した構造を有している。また、カチオン性基を持つ母粒子26は、例えばカルボン酸エステルの一部に、アミン化合物によるアミノリシス反応により、アミノ基が導入された構造を有する。アミン化合物としては、ジアミン系化合物、ジメチルアミノ系化合物などが挙げられる。また、母粒子26は、その形状が球形状であり、球形状に形成された架橋ポリ(メタ)アクリル酸エステル粒子の形状がおおよそ維持されている。母粒子26は、架橋ポリ(メタ)アクリル酸エステル粒子の球形状表面にあるカルボン酸エステルが加水分解されて、球形状表面部分にカルボキシル基やアミノ基が存在すると共に、球形状内側部分に疎水基を有するカルボン酸エステルが存在するよう構成される。
【化1】
JP2014220164A_000003t.gif
【化2】
JP2014220164A_000004t.gif
前記化学式1および化学式2のRは、脂肪族または芳香族の炭化水素基から選択される疎水性の官能基を表す。

【0022】
前記母粒子26の出発原料として用いる架橋ポリ(メタ)アクリル酸エステル粒子は、アクリル酸エステルモノマーを架橋剤により架橋して微細な球形状とした粒子が用いられる。球形状の架橋ポリ(メタ)アクリル酸エステル粒子の製造方法は、架橋剤として、アルカンジアクリレート、フェニルジアクリレート、アルカントリアクリレート、アルカンテトラアクリレートもしくは、アルカンジメタクリレート、アルカントリメタクリレート、アルカンテトラメタクリレート、フェニルジメタクリレート、ジビニルベンゼン等の二官能以上の多官能の架橋剤を用いたアクリル酸エステルの乳化共重合、懸濁共重合法等があげられる。なお、アクリル樹脂には、メタクリル酸エステルとアクリル酸エステルとがあるが、出発原料としてはアクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステルの何れであってもよい。

【0023】
前記母粒子26は、架橋ポリ(メタ)アクリル酸エステル粒子が部分的に加水分解されて生成したカルボン酸の一部または全てが、アルカリ金属によって金属塩化された構造を有し、しかも水に不溶である。アルカリ金属としては、水酸化物のアルカリ金属、アルカリ土類金属を用いることが好ましく、特に、水酸化ナトリウムによるナトリウム、水酸化カリウムによるカリウム、水酸化マグネシウムによるマグネシウム等がよい。

【0024】
前記無機微粒子28としては、酸化チタン(TiO2)、ジルコニア(二酸化ジルコニウム:ZrO2)、ダイヤモンド、酸化鉄(Fe3O4, Fe2O3)、酸化銅(Cu2O)、タングステン、セリア(CeO2)、窒化ホウ素(h-BN,c-BN)など、屈折率が2以上にあるものが好適である。なお、酸化チタンは、アナターゼ型およびルチル型の何れであってもよい。また、無機微粒子28は、その平均粒径が100nm~1000nmの範囲で、好ましくは200nm~500nmの範囲にあり、無機微粒子28のサイズを太陽電池10に入射する可視領域の光の波長との関係で設定している。複合粒子24において無機微粒子28は、母粒子26の表面に並ぶように担持されており、例えば球形状の母粒子26であれば、母粒子26における曲面状の表面に無機微粒子28が並んで、複合粒子24全体が球形状になっている。すなわち、複合粒子24の外形形状は、母粒子26の外形に由来している。

【0025】
次に、複合粒子24の製造方法の一例について説明する。前述した架橋ポリ(メタ)アクリル酸エステル粒子を用意する。また、アルカリ溶液と有機溶媒とを混合した反応溶媒を別途調製する。ここで用いられるアルカリ溶液は、アルカリ金属、アルカリ土類金属の水酸化物等を水に分散したものである。また、有機溶媒としては、エタノール、メタノール等のアルコールやこれらに混ざるプロトン性溶媒、あるいはアセトン、テトラヒドロフラン、ジオキサン等の非プロトン性溶媒等の一種または二種以上が用いられる。そして、ポリ(メタ)アクリル酸エステル粒子を、アルカリ溶液と有機溶媒とからなる反応溶媒に浸漬し、所定の反応溶媒の温度条件で、ポリ(メタ)アクリル酸エステル粒子におけるカルボン酸エステルを加水分解する。反応溶媒への浸漬処理を行った後に、反応溶媒から得られた母粒子26を取り出し、この母粒子26を水で洗浄する。なお、水洗浄だけで回収した場合に乾燥するならば、凍結乾燥がよい。また、母粒子26を溶媒置換して回収する場合は、水で洗浄後に、メタノールやジエチルエーテル等によって置換し、乾燥する。そして、ろ取等の回収方法によって、所望の平均粒径の範囲にある母粒子26を単離する。なお、母粒子26の回収方法は、ろ取に限定するものではなく、遠心分離等その他の方法も採用可能である。

【0026】
そして、無機微粒子28と母粒子26との静電相互作用により、母粒子26の表面に無機微粒子28を担持させることにより、複合粒子24が生成される。母粒子表面の官能基がアニオン性基の場合は、pHを7~1の酸性条件下、好ましくは、pH4~2の間において、酸化チタンの表面のTiOHに水素イオンが結合し、TiOH2+とプラス電荷となり、アニオン性基近傍に存在する水素イオンと酸化チタン粒子との間にイオン交換が生じ、酸化チタン粒子がアニオン性基に結合する。この場合に、アニオン性基は、カルボキシル基、シラノール基などの弱酸性陽イオン交換基、または、スルホン酸基、硫酸基、リン酸基のような、強酸性陽イオン交換基を選ぶことができる。母粒子表面の官能基がカチオン性基の場合は、pHを7~13の塩基性条件下、好ましくは、pH9~12の間においては、酸化チタンの表面のTiOHから、水素イオンが解離し、TiOとなり、アンモニウム基近傍に存在する水酸化物イオンとの間に、イオン交換が生じ、酸化チタン粒子がカチオン性基に結合する。この場合に、カチオン性基は、一級アミノ基、二級アミノ基のような弱塩基性陰イオン交換基、または、三級アミノ基、四級アミノ基のような強塩基性陰イオン交換基を選ぶことができる。このように静電相互作用により、母粒子26の表面でイオン交換反応が起り、母粒子26の表面に無機微粒子が集められ、複数の無機微粒子28で母粒子26の表面が被覆された複合粒子24が生成される。そして、洗浄、乾燥等の処理を行うことにより、コアシェル型の複合粒子24が得られる。

【0027】
前記母粒子26にセラミックを使用する場合は、シリカ、ガラス、ジルコニア、アルミナなどのいずれであってもよいが、シリカやガラスの場合は、表面にシラノール基が存在するので、pHの条件が酸性のもとで無機微粒子28を担持することができる。ジルコニアやアルミナの場合、pHの条件を2以下、あるいは12以上に設定することにより、表面荷電をコントロールすることができ、無機微粒子28を担持可能となる。

【0028】
前記対向電極14としては、白金、金、カーボン、導電性高分子、前記光電極12と同様の導電層が付された基板等を採用できる。電解質16としては、電子、ホール、イオン等を輸送できる物質であれば特に限定されず、ヨウ素/ヨウ化物、臭素/臭化物等の酸化還元電解質や、ヨウ化カリウム(KI)、ヨウ化銅(CuI)、チオシアン酸銅(CuSCN)、酸化ニッケル(NiO)等のP型半導体を有機溶媒に溶解した溶液を採用できる。前記有機溶媒としては、アセトニトリル、3‐メトキシプロピオニトリル、γ-プチロラクトン、ポリエチレングリコール、プロピレンカーボネート、ジエチルカーボネート等を採用できる。なお、電解質16は、液体に限られず、ゲル体、固体等であってもよい。

【0029】
無機微粒子28のサイズは、散乱対象の光の波長との関係で設定され、可視領域の光を適切に散乱させるためには、ナノサイズの無機微粒子28を用いるのが望ましい。このようなナノサイズの無機微粒子28は、取り扱いに多くの制約があり、また凝集が生じ易いので、無機微粒子28だけによって酸化物半導体層20の裏側に均一な光散乱層を形成するのは非常に困難である。本発明に係る太陽電池10によれば、無機微粒子28を該無機微粒子28よりも大きな母粒子26に担持させた複合粒子24の形態で取り扱い可能であるから、光散乱層22の形成を行い易く、また複合粒子24は無機微粒子28と比べて凝集し難いから、酸化物半導体層20の裏側に複合粒子24が密に並んだ光散乱層22を均一に形成することができる。更に、母粒子26の表面に担持される無機微粒子28の形状が不定形であっても、複合粒子24で光散乱層22を形成する際に無機微粒子28の形状の影響を受けずに複合粒子24を均一に並べることができ、その結果、複合粒子24の外郭を構成する無機微粒子28が酸化物半導体層20の裏側に均一に並ぶことになる。従って、酸化物半導体層20を通過しようとする光を光散乱層22の無機微粒子28によって散乱させて酸化物半導体層20に閉じ込めることができ、酸化物半導体層20での光路長を延長して光電変換効率を向上させることができる。また、無機微粒子28が球形状に形成された母粒子26の表側曲面に担持されているから、光散乱層22において無機微粒子28が様々な向きで並ぶことになり、光散乱層22で光を様々な方向に拡散するように反射させることができ、光散乱層22による光の閉じ込め効果を向上し得る。

【0030】
前記複合粒子24は、球状であるから、取り扱い易く、酸化物半導体層20の裏側に複合粒子24が密に並んだ光散乱層22をより均一にかつ簡単に形成することができる。

【0031】
次に、本発明に係る色素増感型太陽電池につき、好適な実施例を挙げて、以下に説明する。
【実施例】
【0032】
実施例に係る太陽電池は、以下の手順で製造される。
【実施例】
【0033】
(アニオン性基を有する母粒子の生成)
先ず、複合粒子の母粒子となる、カルボン酸エステルの一部を加水分解した構造を有する架橋ポリアクリル酸エステル粒子(PAA-PMA粒子と称す)の生成について説明する。75.0gの水酸化ナトリウムをエタノール水混合溶媒(蒸留水/エタノール=525ml/200ml)に加え、出発原料としてのポリアクリル酸メチル粒子(積水化成品工業株式会社:商品名ARX15、平均粒径15μm)を80g添加した混合液を調製する。この混合液を60℃に加熱し、350rpmで2時間かき混ぜつつ、加水分解処理を行う。その後に、蒸留水を用いて遠心分離を繰り返し、固液分離を行うことにより、洗浄液のpHが中性になるまで洗浄を行う。これにより、カルボン酸エステルの一部を加水分解した構造を有するポリアクリル酸メチル粒子(NaPAA-PMA粒子と称す)を得る。更に、NaPAA-PMA粒子を0.1Mの塩酸により洗浄した後に、蒸留水を用いて遠心分離を繰り返し、固液分離を行うことにより、洗浄液のpHが中性になるまで洗浄を行う。そして、回収した粒子を凍結乾燥して、カルボン酸エステルの一部を加水分解した構造を有する架橋ポリアクリル酸エステル粒子(PAA-PMA粒子)を得る。なお、PAA-PMA粒子の回収量は74gで、出発原料に対するPAA-PMA粒子の回収率は、92%であった。図3に、PAA-PMA粒子の走査型電子顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ株式会社製S-4000)で撮像した写真を示す。
【実施例】
【0034】
(カチオン性基を有する母粒子の生成)
次に、複合粒子の母粒子となる、カルボン酸エステルの一部にアミノ基を有する架橋ポリアクリル酸エステル粒子(PAAm-PMA粒子と称す)の生成について説明する。ポリアクリル酸エステルの球状粒子に、エチレンジアミンによるアミノリシス反応によってアミノ基を導入した球状の複合粒子を生成する。ここで、アミノリシス反応を行う反応時間を調節することで、アミノ基量を制御することができる。具体的には、300mlの三ツ口フラスコに20.10gのポリアクリル酸エステル(積水化成品工業株式会社:商品名ARX15、平均粒径15μm)を入れ、次にエチレンジアミン(ナカライテスク株式会社製、15020-35)150mlを加え、混合液の温度が90℃になるまでオイルバスを用いて加熱する。混合液が90℃になったら、かきまぜ棒、スリーワンモーター、オイルバスおよび還流冷却器を用いて、液温90℃で、回転速度100rpmの条件で所定の反応時間に亘ってかき混ぜる。所定の反応時間経過後、水で濾液のpHが7に近くなるまで洗浄し、凍結乾燥させて粒子を回収することで、エチレンジアミノ化された架橋ポリアクリル酸エステル粒子(PAAm-PMA粒子)が得られる。ここで、反応時間を5時間に設定し、表面にアミノ基が存在するPAAm-PMA粒子を調製した。得られたPAAm-PMA粒子について、逆滴定によりアミノ基の導入量を算出した。なお、逆滴定は、以下のように行った。試料0.1gを100mlの三角フラスコに入れ、0.01Mの塩酸50mlを加え、撹拌子とスターラーとを用いて1時間かき混ぜる。三角フラスコ内を水で洗浄しながら濾過し、100mlにメスアップする。そして、三角フラスコからホールピペットで20ml採取し、0.01Mの水酸化ナトリウム水溶液で滴定する。なお、官能基の導入量(meq/g)は、次式で求める。
【数1】
JP2014220164A_000005t.gif
前記PAAm-PMA粒子のアミノ基は、0.6meq/gであった。図4は、走査型電子顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ株式会社製S-4000)により倍率5000倍で撮像した写真を示している。これによれば、エチレンジアミノ化する前のポリアクリル酸エステルの粒子と変わらずに球状形状であり、エチレンジアミノ化反応が進行しても、球状を保ったままであることが確認できる。
【実施例】
【0035】
実施例のPAA-PMA粒子について、拡散反射法による赤外分光分析を行い、PAA-PMA粒子におけるカルボン酸エステルの一部が加水分解されているか否かを確認した。なお、赤外分光装置としては、日本分光株式会社社製の製品名FT/IR-6300を用いた。その結果を図5に示す。図5に示すように、参考例のポリアクリル酸メチル(PMA)粒子(出発原料)は、水酸基のピークが確認されないのに対し、実施例のPAA-PMA粒子では、3500cm-1付近に水酸基のブロードなピークが出現している。また、図5に示すように、参考例のPAA粒子は、1710cm-1付近にカルボキシル基由来のC=O伸縮振動が存在するのに対して、参考例のPAA粒子を加水分解したものでは、1570cm-1付近にカルボアニオン由来のC=O伸縮振動が観察される。そして図45示すように、実施例のPAA-PMA粒子は、1570cm-1付近にカルボアニオン由来のC=O伸縮振動の消失が確認され、1700cm-1付近にブロードなピークが観察される。これは、カルボアニオンがカルボキシル基に変換され、1700cm-1付近にピークがシフトしていると考えられ、架橋ポリアクリル酸エステルにおけるカルボン酸エステルが加水分解されていることが確認できる。また、100mgの実施例のPAA?PMA粒子を、50mlの蒸留水中で1時間撹拌し、0.05Nの水酸化ナトリウム水溶液を用いてpH7になるまで滴定を行い、カルボキシル基を算出したところ、カルボキシル基は0.65meq/gであった。
【実施例】
【0036】
また、実施例のPAAm-PMA粒子について、拡散反射法による赤外分光分析を行い、PAAm-PMA粒子におけるカルボン酸エステルの一部がアミノ化されているか否かを確認した。なお、赤外分光装置としては、日本分光株式会社社製の製品名FT/IR-6300を用いた。FT-IRスペクトルにより、1730cm-1付近にPMA由来のエステル結合のC=O伸縮振動の吸収が減少し、エチレンジアミンとの反応よって生じる1650cm-1付近のアミド結合由来のC=O伸縮振動の吸収、および3400cm-1付近のN-H伸縮振動の吸収が増大した。
【実施例】
【0037】
(PAA-PMA粒子からの複合粒子の生成)
実施例のPAA-PMA粒子を400mlの蒸留水に10g加え、塩酸の添加により、分散媒をpH3に調整する。10mlの水に無機微粒子としての酸化チタン微粒子(石原産業株式会社製:製品名CR50、平均粒径250nm)を1.0gを混合した酸化チタン微粒子分散液を、前記分散媒に加え、分散媒の温度を60℃にしたもとで、300rpmで2時間撹拌することで、PAA-PMA粒子の表面が酸化チタン微粒子によって被覆されたコアシェル型の複合粒子を生成する。分散媒から遠心分離により複合粒子を分離した後に、凍結乾燥を行って実施例の複合粒子を回収する。実施例の複合粒子の回収量は、10.8gであり、分散媒に添加したPAA-PMA粒子に対する回収率は、97.7wt%である。図6に、実施例の複合粒子の走査型電子顕微鏡写真を示す。また、実施例の複合粒子について、熱重量測定(thermogravimetry;TG)により、酸化チタン微粒子の複合量を算出した結果、6.7wt%の酸化チタン微粒子が複合されていることが確認された。
【実施例】
【0038】
(PAAm-PMA粒子からの複合粒子の生成)
実施例のPAAm-PMA粒子を400mlの蒸留水に10g加え、塩酸の添加により、分散媒をpH12に調整する。10mlの水に無機微粒子としての酸化チタン微粒子(石原産業株式会社製:製品名CR50、平均粒径250nm)を1.0gを混合した酸化チタン微粒子分散液を、前記分散媒に加え、分散媒の温度を60℃にしたもとで、300rpmで2時間撹拌することで、PAAm-PMA粒子の表面が酸化チタン微粒子によって被覆されたコアシェル型の複合粒子を生成する。分散媒から遠心分離により複合粒子を分離した後に、凍結乾燥を行って複合粒子を回収する。前記複合粒子の回収量は、10.8gであり、分散媒に添加したPAAm-PMA粒子に対する回収率は、98.7wt%であった。また、前記複合粒子について、熱重量測定(thermogravimetry;TG)により、酸化チタン微粒子の複合量を算出した結果、7.0wt%の酸化チタン微粒子が複合されていることが確認された。
【実施例】
【0039】
(光電極の作製)
透明電極としては、導電層としてフッ素ドープ酸化スズ(FTO)が用いられたガラスTOC基板(AGCファブリテック株式会社:製品名 A110U80(U膜),12~13Ω/sq.)を用いた。縦300mm×横350mm×厚さ1.1mmのガラスTOC基板を切断することで、5mm×2.5mmの大きさとし、この透明電極の中央部分を5mm空けて、スペーサーとしての役割を果たすメンディングテープ(住友スリーエム株式会社製、厚さ58μm)を貼り付けた。平均粒径8~10nmの酸化チタン微粒子を11wt%含むペースト(Solaronix社製:製品名Ti-Nanoxide HT)を透明電極に滴下し、ガラス棒を用いて、スキージ法により、透明電極に塗布した後に風乾した。乾燥後にメンディングテープを剥がし、前記ペーストでコーティングされた透明電極を、電気炉にて450℃で30分間熱処理して酸化チタン微粒子を焼結することで、金属酸化物層が形成された基本セルを得た。0.3mMの増感色素(Solaronix社製:製品名 Ruthenizer 535 bis-TBA(N719))を分散したアセトニトリル/t-ブタノール混合溶液中に、基本セルを25℃で24時間浸漬することで、金属酸化物層に増感色素を吸着させる。そして、混合液から取り出した基本セルから余分な増感色素をアセトニトリルで除去した後に乾燥させることにより、透明電極に光変換層が積層された比較例1の光電極を作製した。また、比較例1の光電極の酸化物半導体層に、酸化チタン微粒子からなる光散乱層を積層した比較例2の光電極を作製した。比較例2の光散乱層は、平均粒径250nmの酸化チタン微粒子(石原産業株式会社製:製品名 CR50)を含むペーストを酸化物半導体層上に滴下し、ガラス棒を用いて塗布した後に風乾して形成した。なお、比較例2の光散乱層は、25μmの厚さで形成されている。
【実施例】
【0040】
(光散乱層の作成)
PAA-PMAおよび酸化チタンによるコアシェル型の実施例に係る複合粒子を、水とエチレングリコールを1対2の割合で調製した混合溶媒中に分散させて複合粒子ペーストを作る。複合粒子ペーストを前記基本セルにおける酸化物半導体層上に滴下し、ガラス棒を用いて、スキージ法により塗布した後に風乾することで、実施例の光散乱層を形成した。なお、実施例の光散乱層は、29μmの厚さで形成されている。0.3mMの増感色素(Solaronix社製:製品名Ruthenizer 535 bis-TBA(N719))を分散したアセトニトリル/t-ブタノール混合溶液中に、金属酸化物層および実施例の光散乱層を形成した透明電極を25℃で24時間浸漬することで、金属酸化物層に増感色素を吸着させる。そして、混合液から取り出した金属酸化物層から余分な増感色素をアセトニトリルで除去した後に、乾燥させることにより、実施例の光電極を作製した。
【実施例】
【0041】
次に、実施例の光電極、比較例1および比較例2の光電極の夫々と対向電極を組み合わせると共に、光電極と対向電極との間に電解質を注入することで、複合粒子からなる光散乱層を備えた実施例の太陽電池と、光散乱層を備えていない比較例1の太陽電池と、酸化チタン微粒子からなる光散乱層を備えた比較例2の太陽電池を夫々作製した。対向電極としては、白金(Pt)を用いた。そして、短絡を避けるために、光電極と対向電極との間にスペーサーフィルム(約100μm)を挟んで固定した。その後、アセトニトリル中に、0.5Mのヨウ化リチウム(LiI)、0.05Mのヨウ素(I)、0.06Mの1、2-ジメチル-3-プロピルイミダゾリウムヨージド、0.1Mの4-tert-ブチルピリジンを含む電解質溶液を、光電極と対向電極との隙間に注入して、色素増感型太陽電池を完成させた。
【実施例】
【0042】
実施例に係る太陽電池の光電極は、透明電極と、この透明電極に積層された酸化物半導体層と、この酸化物半導体層の対向電極側に積層され、表側から入射する光を散乱する光散乱層とを備えており、光散乱層が、カルボン酸エステルの一部が加水分解された構造を有する架橋ポリアクリル酸エステルからなる球状の母粒子とこの母粒子の表面に担持された酸化チタン微粒子とからなるコアシェル型の複合粒子で構成されている。比較例1に係る太陽電池の光電極は、透明電極と、この透明電極に積層された酸化物半導体層とから構成され、光散乱層を備えていない。比較例2に係る太陽電池の光電極は、透明電極と、この透明電極に積層された酸化物半導体層と、この酸化物半導体層の対向電極側に積層され、表側から入射する光を散乱する光散乱層とを備えており、光散乱層が酸化チタン微粒子のみで構成されている。
【実施例】
【0043】
(太陽電池の評価)
セルの面積を0.25cmに設定した実施例、比較例1および比較例2の太陽電池の夫々について、太陽電池評価装置(日本分光株式会社製、製品名 YQ-250)を用いて、光照射強度100mW/cmの条件で、電流-電圧(I-V)特性を測定した。その結果を図7および表1に示す。
【実施例】
【0044】
太陽電池の光電変換効率ηは、以下の式によって算出される。
・光電変換効率η=Pmax(mW/cm2)/Pin(mW/ cm2)×100
=JSC(mA/cm2)×VOC(V)/100(mW/cm2)×FF×100
・Pmax:最大出力
・Pin :光照射強度
・JSC :短絡電流密度
・VOC :開放電圧
ここで、短絡電流密度(JSC)とは、電圧が0Vのときの電流値であり、開放電圧(VOC)とは、電流が0mAのときの電圧値である。また、太陽電池の出力は、設定された電圧に対して発生する電流をかけた値で表され、最大出力Pmax(mW/cm2)は、最大面積をとりうるときの出力である。すなわち、最大出力となるときの電流密度と電圧をそれぞれ、JmaxおよびVmaxと表した際に、FF=(Jmax×Vmax)/(JSC×VOC)で表される。
【実施例】
【0045】
【表1】
JP2014220164A_000006t.gif
【実施例】
【0046】
図7および表1に示すように、実施例の太陽電池は、光散乱層を備えていない比較例1の太陽電池と比べて、短絡電流密度が1.54倍になり、光電変換効率が1.58倍になり、比較例1と比べて性能が大幅に向上していることが確認できる。実施例の太陽電池は、酸化チタン微粒子から光散乱層を形成した比較例2の太陽電池と比べて、短絡電流密度が1.18倍になり、光電変換効率が1.15倍になり、比較例2と比べても性能が向上していることが確認できる。
【符号の説明】
【0047】
14 対向電極,18 透明電極,20 酸化物半導体層,22 光散乱層
24 複合粒子,26 母粒子,28 無機微粒子
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6