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明細書 :医療用ドリルユニットおよびドリルならびに医療用加工装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2012-228510 (P2012-228510A)
公開日 平成24年11月22日(2012.11.22)
発明の名称または考案の名称 医療用ドリルユニットおよびドリルならびに医療用加工装置
国際特許分類 A61C   1/08        (2006.01)
FI A61C 1/08 Z
A61C 1/08 L
請求項の数または発明の数 14
出願形態 OL
全頁数 23
出願番号 特願2012-089881 (P2012-089881)
出願日 平成24年4月11日(2012.4.11)
優先権出願番号 2011087815
優先日 平成23年4月11日(2011.4.11)
優先権主張国 日本国(JP)
発明者または考案者 【氏名】村上 良彦
【氏名】堀内 宰
【氏名】桝田 正美
【氏名】寺川 進
【氏名】山▲崎▼ 友和
【氏名】鈴木 浩之
出願人 【識別番号】304027349
【氏名又は名称】国立大学法人豊橋技術科学大学
【識別番号】504300181
【氏名又は名称】国立大学法人浜松医科大学
審査請求 未請求
テーマコード 4C052
Fターム 4C052AA01
4C052AA06
4C052BB02
4C052BB03
4C052EE02
4C052EE05
4C052EE07
4C052EE08
4C052NN01
4C052NN02
4C052NN03
4C052NN15
要約 【課題】 顎骨等の骨に穿孔する際、顎骨等の骨の内部の血管等が存在する位置を検知するために、光学的検知信号を被切削物から取り込んで解析装置に伝送できるドリルユニットと、そのドリルユニットに使用するドリルを提供し、さらに医療用加工装置を提供する。
【解決手段】 駆動部3を有するユニット本体1と、ユニット本体に保持され、光学的解析装置の光を駆動部に伝送する第1の光伝送部5と、シャンクおよびこれに連続して切れ刃が形成される刃部を備えたドリル本体2を有し、駆動部に着脱自在に装着されるドリルと、ドリル本体に内蔵され、基端部近傍と先端近傍との間で光を導出可能な第2の光伝送部6と、第1の光伝送部と第2の光伝送部との間に介在される光結合手段7とを備える。
【選択図】図1
特許請求の範囲 【請求項1】
光源および光検知手段を備える光学的解析装置に光学的に接続される医療用ドリルユニットであって、
駆動源によって駆動される駆動部を有するユニット本体と、
そのユニット本体に保持され、前記光学的解析装置からの光を駆動部に伝送する第1の光伝送部と、
シャンクおよびこれに連続して切れ刃が形成される刃部を備えたドリル本体を有し、前記駆動部に着脱自在に装着されるドリルと、
そのドリルのドリル本体に内蔵され且つ該ドリルの駆動に伴って回転されると共に、シャンク基端近傍から刃部先端近傍までの間で光伝送可能な第2の光伝送部と、
前記第1の光伝送部と第2の光伝送部との間に介在される光結合手段と、
を備えたことを特徴とする医療用ドリルユニット。
【請求項2】
前記ユニット本体に保持される前記第1の光伝送部の駆動部側端部に連続して設けられた第1の集光手段と、前記ドリル本体に内蔵される前記第2の光伝送部のシャンク基端側端部に連続して設けられた第2の集光手段とを備え、前記第1の集光手段と第2の集光手段とは互いの端面を対向して配置してなることを特徴とする請求項1に記載の医療用ドリルユニット。
【請求項3】
前記光結合手段は、屈折率整合剤としての結合油であることを特徴とする請求項1または2に記載の医療用ドリルユニット。
【請求項4】
前記光学的解析装置は、光学的干渉断層計であり、前記第2の光伝送部から伝送され、被切削物に向けて照射した光の戻り光および参照光により光干渉信号を取得し、被切削物の異相部を検出する光学的解析装置であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の医療用ドリルユニット。
【請求項5】
前記駆動源は、前記ユニット本体の内部に設けられていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の医療用ドリルユニット。
【請求項6】
前記駆動源は、モータまたはエアタービンであり、ユニット本体はハンドピースのハウジングであることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の医療用ドリルユニット。
【請求項7】
前記光結合手段は、前記ユニット本体の内部に配置されており、前記第1の光伝送部と第2の光伝送部は、前記ユニット本体内部において光学的に結合されてなることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の医療用ドリルユニット。
【請求項8】
前記駆動部は、前記シャンクの挿入を許容する筒状の回転部と、この回転部において該シャンクの一部に当接して所定の位置に位置決めする当接部とを備えた駆動部であり、
前記ユニット本体は、前記回転部が回転可能に保持される貫通孔を有し、この貫通孔に前記回転部を保持させた場合に、該回転部に挿入された前記シャンクの基端が該貫通孔の片方の開口端近傍に配置されるように形成されており、
前記第1の光伝送部は、前記ユニット本体の外部に保持されるとともに、前記シャンク基端が配置される前記貫通孔の開口端近傍に到達可能な第1の光伝送部である
ことを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の医療用ドリルユニット。
【請求項9】
請求項1ないし8のいずれかに記載の医療用ドリルユニットに使用するドリルであって、
シャンクおよびこれに連続して切れ刃が形成される刃部を有するドリル本体と、
このドリル本体の軸心に沿って設けられ、シャンク基端および刃部先端に開口部を有する貫通孔と、
この貫通孔内に配設された第2の光伝送部とを備えたことを特徴とするドリル。
【請求項10】
前記貫通孔の刃部先端側は、透光性を有する部材が配設されており、前記第2の光伝送部の刃部先端側の端部は前記部材に到達するように配設されていることを特徴とする請求項9に記載のドリル。
【請求項11】
前記ドリル本体の刃部は、切れ刃を螺旋状に形成してなるツイスト型の刃部であって、前記貫通孔は、チゼルエッジに刃部先端側の開口部を有する貫通孔であることを特徴とする請求項9または10に記載のドリル。
【請求項12】
前記第2の光伝送部の刃部先端側端部に連続する第3の集光手段を備えたことを特徴とする請求項9ないし11のいずれかに記載のドリル。
【請求項13】
請求項1ないし8のいずれかに記載の医療用ドリルユニットを備える医療用加工装置であって、
前記医療用ドリルユニットに光を送出する光源と、
前記医療用ドリルユニットから送出され、被切削物に向けて照射した光の戻り光を検知する光検知手段と、
その光検知手段により検知された光の状態から導出される特定要素の光情報を処理する処理装置とを備え、
前記処理装置は、前記光情報に基づき被切削物内部の異相部を検出する処理装置であることを特徴とする医療用加工装置。
【請求項14】
前記処理装置は、検出された異相部の位置情報から被切削物のうちの加工対象部分の肉厚を算出する手段と、
その算出結果を報知する報知手段とを備えたことを特徴とする請求項13に記載の医療用加工装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、医療用ドリルユニットおよびそのドリルユニットに使用するドリル、ならびに医療用加工装置に関し、特に、顎骨等の骨の穿孔に使用されるドリルユニットおよびドリルならびに医療用加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、外科的治療においては、骨に穿孔することを要求される場面があり、特に、歯科口腔外科の領域においては、いわゆるインプラント治療のために顎骨を穿孔する必要があった。インプラント治療は、義歯を顎骨に埋め込むにあたり、顎骨を穿孔し、金属を埋め込み、これを人工歯根(インプラント)として義歯を固定する治療法であるが、顎骨を穿孔する場合には、穿孔ドリルが歯槽管に到達することによって、歯槽管内部の歯槽神経または歯槽動脈もしくは歯槽静脈等を損傷させるおそれがあり、これらの損傷の程度によっては大量出血や神経障害を招来させることがあった。また、顎骨以外の骨を穿孔する場合においても、骨の内部に存在する骨髄または血管等を損傷させないように、穿孔しなければならないものであった。
【0003】
従来は、骨を切削する際の状態を確認する装置として、内視鏡付きドリル装置に関する技術があった(特許文献1)。この技術は、内視鏡によって切削状態を観察しつつ穿孔作業を可能とするものであって、被切削部分に面する側を透明に形成したドリルを使用するものであり、内視鏡は、ドリル以外の装置に固定され、また、内視鏡を挿入するための挿入穴を設けてドリル先端面に対峙して配設されており、透明なドリル部分を介して被切削部分の映像を入手し得る構成であった。
【先行技術文献】
【0004】

【特許文献1】特開平03-224553号公報
【特許文献2】特開2010-142537号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来技術は、透明に形成されたドリル先端部分(被切削部分に面する側の一部)を介して、内視鏡により切削中の状態を観察できるものであるが、そのドリルの先端が血管等の存在する部位に接近しているか否かを検知することはできなかった。特に、インプラント治療においては、顎骨の歯槽管に到達させないことが重要であり、その他の状況について切削中の状態を内視鏡的に観察することはそれほど重要なものではなかった。
【0006】
また、近年のインプラント治療においては、術前に患者の顎のCT画像を撮影して歯槽管の位置を立体的に把握するとともに、このCT画像に基づいたサージカルガイドを作製し、切削用ドリルの位置および深さを制限することが行われている(特許文献2参照)。しかし、この手法による場合であっても、ドリルが歯槽管に到達することを検知するものではないことから、撮影されたCT画像または作製されたサージカルガイドが、実際の歯槽管との間で相違する場合には、その差異が僅かであってもドリルの先端が歯槽管に到達することがあるという問題点を有していた。
【0007】
そこで、本発明は、上記諸点に鑑みてなされたものであって、その目的は、顎骨等の骨に穿孔する際、顎骨等の骨の内部の血管等が存在する位置を検知するために、光学的検知信号を被切削物から取り込んで解析装置に伝送できる医療用ドリルユニットと、そのドリルユニットに使用するドリルを提供し、さらに上記医療用ドリルユニットを用いた医療用加工装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そこで、上記目的を達成するために、請求項1に記載の医療用ドリルユニットにかかる発明は、光源および光検知手段を備える光学的解析装置に光学的に接続される医療用ドリルユニットであって、駆動源によって駆動される駆動部を有するユニット本体と、そのユニット本体に保持され、前記光学的解析装置からの光を駆動部に伝送する第1の光伝送部と、シャンクおよびこれに連続して切れ刃が形成される刃部を備えたドリル本体を有し、前記駆動部に着脱自在に装着されるドリルと、そのドリルのドリル本体に内蔵され且つ該ドリルの駆動に伴って回転されると共に、シャンク基端近傍から刃部先端近傍までの間で光伝送可能な第2の光伝送部と、前記第1の光伝送部と第2の光伝送部との間に介在される光結合手段とを備えたものである。
【0009】
請求項2に記載のドリルユニットにかかる本発明は、請求項1に記載の医療用ドリルユニットであって、さらに、前記ユニット本体に保持される前記第1の光伝送部の駆動部側端部に連続して設けられた第1の集光手段と、前記ドリル本体に内蔵される前記第2の光伝送部のシャンク基端側端部に連続して設けられた第2の集光手段とを備え、前記第1の集光手段と第2の集光手段とは互いの端面を対向して配置してなるものである。
【0010】
請求項3に記載の医療用ドリルユニットにかかる発明は、請求項1または2に記載の医療用ドリルユニットであって、前記光結合手段が、屈折率整合剤による結合油で構成されたものである。
【0011】
請求項4に記載の医療用ドリルユニットにかかる発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載の医療用ドリルユニットであって、前記光学的解析装置は、光学的干渉断層計であり、前記第2の光伝送部から伝送され、被切削物に向けて照射した光の戻り光および参照光により光干渉信号を取得し、被切削物の異相部を検出するものである。
【0012】
請求項5に記載の医療用ドリルユニットにかかる発明は、請求項1ないし4のいずれかに記載の医療用ドリルユニットであって、前記駆動源が、前記ユニット本体の内部に設けられている構成としたものである。
【0013】
請求項6に記載の医療用ドリルユニットにかかる発明は、請求項1ないし5のいずれかに記載の医療用ドリルユニットであって、前記駆動源が、モータまたはエアタービンであり、ユニット本体がハンドピースのハウジングで構成されたものである。
【0014】
請求項7に記載の医療用ドリルユニットにかかる発明は、請求項1ないし6のいずれかに記載の医療用ドリルユニットであって、前記光結合手段が、前記ユニット本体の内部に配置されるものであり、前記第1の光伝送部と第2の光伝送部は、前記ユニット本体内部において光学的に結合される構成としたものである。
【0015】
請求項8に記載の医療用ドリルユニットにかかる発明は、請求項1ないし6のいずれかに記載の医療用ドリルであって、前記駆動部は、前記シャンクの挿入を許容する筒状の回転部と、この回転部において該シャンクの一部に当接して所定の位置に位置決めする当接部とを備えた駆動部であり、前記ユニット本体は、前記回転部が回転可能に保持される貫通孔を有し、この貫通孔に前記回転部を保持させた場合に、該回転部に挿入された前記シャンクの基端が該貫通孔の片方の開口端近傍に配置されるように形成されており、前記第1の光伝送部は、前記ユニット本体の外部に保持されるとともに、前記シャンク基端が配置される前記貫通孔の開口端近傍に到達可能な第1の光伝送部であるように構成したものである。
【0016】
請求項9に記載のドリルにかかる発明は、請求項1ないし8のいずれかに記載の医療用ドリルユニットに使用するドリルであって、シャンクおよびこれに連続して切れ刃が形成される刃部を有するドリル本体と、このドリル本体の軸心に沿って設けられ、シャンク基端および刃部先端に開口部を有する貫通孔と、この貫通孔内に配設された第2の光伝送部とを備えたものである。
【0017】
請求項10に記載のドリルにかかる発明は、請求項9に記載のドリルであって、前記貫通孔の刃部先端側には、透光性を有する部材が配設されており、前記第2の光伝送部の刃部先端側の端部が前記部材に到達するように配設されているものである。
【0018】
請求項11に記載のドリルにかかる発明は、請求項9または10に記載のドリルであって、前記ドリル本体の刃部が、切れ刃を螺旋状に形成してなるツイスト型の刃部であって、前記貫通孔が、チゼルエッジに刃部先端側の開口部を有しているものである。
【0019】
請求項12記載のドリルにかかる発明は、請求項9ないし11のいずれかに記載のドリルであって、さらに、前記第2の光伝送部の刃部先端側端部に連続する第3の集光手段を備えたものである。
【0020】
請求項13に記載の医療用加工装置にかかる発明は、請求項1ないし8のいずれかに記載の医療用ドリルユニットを備える医療用加工装置であって、前記医療用ドリルユニットに光を送出する光源と、前記医療用ドリルユニットから送出され、被切削物に向けて照射した光の戻り光を検知する光検知手段と、その光検知手段により検知された光の状態から導出される特定要素の光情報を処理する処理装置とを備え、前記処理装置は、前記光情報に基づき被切削物内部の異相部を検出する処理装置とするものである。
【0021】
請求項14に記載の医療用加工装置にかかる発明は、請求項13に記載の医療用加工装置であって、前記処理装置が、検出された異相部の位置情報から被切削物のうちの加工対象部分の肉厚を算出する手段と、その算出結果を報知する報知手段とを備えたものである。
【発明の効果】
【0022】
請求項1に記載の医療用ドリルユニットによれば、光学的解析装置から送出される光を第1の光伝送部を介して、ドリル本体に内蔵された第2の光伝送部に送ることができ、このドリル本体に内蔵された第2の光伝送部の先端から送出される光を被切削物に照射することができる。さらに、被切削物の内部において反射される光の一部(以下、戻り光と称する場合がある)は第2の光伝送部へ入射され、第1の光伝送部を経由して光学的解析装置に受光される。これにより、ドリル本体を光学的解析装置におけるプローブとして機能させることができる。従って、通常は、ドリルによる加工の状態を確認するために、プローブをドリル以外の部材として設ける必要があるが、ドリル本体をプローブとすることにより、ドリル本体とは別の装置としてプローブを設ける必要がない。また、ドリル本体が切削加工中であっても、第1および第2の光伝送部によって光が伝送されることから、切削加工を継続しつつ光学的解析を行うことができる。なお、ドリルによる切削加工は、継続しなければならないものではなく、断続的に加工しつつ、加工が中断されている間に光学的解析を行うこととしてもよい。
【0023】
第1の光伝送部は、ユニット本体に保持されているが、第2の光伝送部は、ドリル本体に内蔵されており、ドリルが駆動(例えば、回転駆動)されることに伴って、これと一体的に運動(例えば、軸回りに回転運動)することとなるから、この両光伝送部を物理的に接続させる場合には、ドリルに余分な付加を与えるなどにより、その動作に支障を来すこととなる。そこで、両光伝送部の間に光結合部を介在させることによって、ユニット本体の第1の光伝送部とドリル本体に内蔵される第2の光伝送部とが物理的に独立した状態となる。
【0024】
これにより、光学的解析装置からドリル本体の先端近傍までの間に光の伝送経路を形成したとしても、ドリルの動作に支障を来たすことがない。さらに、第1の光伝送部と第2の光伝送部とを光結合部を介在させて光学的に接続するので、両者を容易に、また、良好に光学的に接続することができる。
【0025】
従って、例えば、この医療用ドリルユニットを使用して顎骨等の骨を穿孔する場合には、当該医療用ドリルユニットは光学的解析装置に接続されるものであるので、光学的解析装置の光源に赤外線を使用し、これを第1および第2の光伝送部を介して被切削物に照射することにより、第1および第2の光伝送部を介して受光される戻り光を光学的解析装置の光検知手段により検知することができる。そして、この光検知手段が検知した戻り光の検知結果に基づいた解析により被切削物の内部の異相を確認することができる。
【0026】
この異相を確認することにより、操作者は、顎骨等の骨の内部に存在する血管等を覚知することができ、特に、顎骨内の歯槽管の位置を把握することができる。このことから、ドリル本体による顎骨の穿孔中において、ドリル本体の先端が歯槽管に接近したことを検知し、歯槽管に到達する前に穿孔を中止することにより、歯槽管に損傷を与えることを回避し得ることとなる。
【0027】
請求項2に記載の医療用ドリルユニットによれば、請求項1に記載の発明の効果に加え、第1の光伝送部と第2の光伝送部との間で伝送される光は、第1および第2の集光手段を通過した光が伝送されることとなる。ここで、第1および第2の集光手段は、入射する光が平行光である場合には、これを収束させる作用を有するものであり、収束した光(ビーム径の小さな光)が入射される場合には、これを平行光に拡散(ビーム径を増大)する性質を有するものである。そのため、第1および第2の集光手段を連続して通過する収束した光は、一方の集光手段で平行光に拡散され、他方の集光手段で平行光を収束させることとなる。従って、第1の光伝送部から送出される光は、まず、第1の集光手段を通過して平行光に拡散され、さらに第2の集光部を通過して収束した光を第2の光伝送部に送出する。これとは逆に第2の光伝送部から送出される光は、第2の集光手段を通過して平行光に拡散され、さらに第1の集光手段を通過して収束した光を第1の光伝送部に送出する。これにより、第1および第2の光伝送部から送出される光を容易にカップリングすることができる。また、第1および第2の集光手段の中間における光は発散された状態(ビーム径が増大した状態)であるから、両集光手段の中心を厳密に合致させることなく容易に光カップリング効果を得ることができる。
【0028】
この集光手段としては、屈折率分布型(GRIN:Gradient Index)レンズを使用することができる。GRINレンズを使用する場合は、その内部の屈折率が中心部と周辺部とで異なることから、光路中心から発散する光を平行光に換えることができ、これを二つの光伝送部に設けることによって、両光伝送部間における光カップリング効果を得ることができる。
【0029】
請求項3に記載の医療用ドリルユニットによれば、請求項1または2に記載の発明の効果に加え、固定側となる第1の光伝送部と駆動側の第2の光伝送部との間の光結合を好適なものとすることができる。つまり、ドリル本体を軸回りに回転駆動させ、これにともなって第2の光伝送部が軸回りに回転する場合、第1の光伝送部の端部と第2の光伝送部の端部との間に流体である結合油が介在されることから、双方の光伝送部の端部の摩耗を抑制することができる。
【0030】
請求項4に記載の医療用ドリルユニットによれば、請求項1ないし3のいずれかに記載の発明の効果に加え、光学的解析装置として、光干渉断層画像法(OCT:Optical Coherence Tomography)による光干渉断層計が使用されることから、被切削物の内部において反射した微弱な光を参照光と干渉させることによって、内部構造物の位置を解析することができる。
【0031】
上記のようにOCT法を採用すれば、被切削物の内部の異相の位置を把握することができ、被切削物に穿孔する場合、その肉厚を検知することができることから、ドリルによって穿設した孔が顎骨等の骨の内部の血管等に接近する場合には、当該穿孔操作を中止することによって、当該穿孔が血管等に到達することを回避し得るものである。
【0032】
請求項5に記載の医療用ドリルユニットによれば、請求項1ないし4のいずれかに記載の発明の効果に加え、駆動源から駆動部に至る駆動力の伝達経路を簡素化することができ、当該駆動部に装着されるドリルの駆動または停止を即時に操作することができる。すなわち、駆動力の伝達のための伝達部材を必要最小限とすることにより、駆動源が駆動を開始し、または駆動を停止した直後の伝達部材の慣性力を小さくすることができ、当該慣性力による駆動力の伝達の時間的遅延を抑えることができる。従って、骨を穿孔する場合に、ドリル本体の先端が骨の裏面に肉薄すると、直ちにドリルの駆動を速やかに停止させることが可能となる。
【0033】
請求項6に記載の医療用ドリルユニットによれば、請求項1ないし5のいずれかに記載の発明の効果に加え、ドリル本体がハンドピースに連続して設けられた構成とすることができ、十分に開放されない狭い部分に穿孔する場合であってもドリル本体を所望の位置に到達させることができる。この場合、ドリル本体の駆動源として、エアタービンを使用することにより、歯科口腔外科において汎用される圧縮空気を使用することができ、歯科口腔外科における治療(特に、いわゆるインプラント治療)において、顎骨を穿孔する場合に使用することが可能となる。なお、エアタービンによるドリル本体の回転速度が高速である場合には、機械的に減速させる構成としてもよく、エアタービンに代えてモータを使用してもよい。駆動源としてモータを使用する場合には、当該モータの性能に応じて回転速度を調整することができる。
【0034】
また、モータをユニット本体の内部に設ける構成にあっては、駆動部周辺に永久磁石を配設し、その周辺にコイル部を設けることによって、駆動部をモータの回転子として構成させることも可能となる。この場合には、当該コイル部に電力供給することによって、駆動部を回転駆動させることができ、当該電力の供給および停止により駆動部の駆動状態を制御できることから、当該駆動部の回転および停止を速やかに操作し得ることとなる。
【0035】
請求項7に記載の医療用ドリルユニットによれば、請求項1ないし6のいずれかに記載の発明の効果に加え、第1の光伝送部および光結合手段をユニット本体内部に内蔵させることができ、ユニット本体内部の遮光された空間において第2の光伝送部に対し光学的に結合させることができる。また、光結合手段の位置が固定されることとなることから、第2の光伝送部を備えるドリル本体を所定の位置に装着することによって、容易に光学的な結合状態を形成することができる。
【0036】
請求項8に記載の医療用ドリルユニットによれば、請求項1ないし6のいずれかに記載の発明の効果に加え、第1の光伝送部をユニット本体の外部に保持させ、ユニット本体の端面付近において第2の光伝送部を光学的に結合させることができ、ユニット本体を小型にすることができる。すなわち、本ドリルを顎骨の穿孔に用いる場合など、第2の光伝送部を備えるドリル本体を装着すべきユニット本体は、口腔内に挿入されるため小型にすべき要請が強く、ユニット本体内部を簡素な構成にすることによって、その要請に応えることができる。この場合、第2の光伝送部を備えるドリル本体は、シャンクが回転部の当接部によって位置決めされることから、シャンクの基端を所定の位置に配置することができることとなり、光結合手段との相対的な位置関係を常に安定させることができる。
【0037】
請求項9に記載のドリルによれば、ドリルの軸心に沿って設けられた貫通孔に第2の光伝送部が配設されることから、ドリルが回転駆動する場合、第2の光伝送部はドリルの軸心に留まって軸回りに回転することとなる。これにより、回転するドリル全体の重量バランスが大きく崩れることを抑え、ドリルによる切削加工を安定させることができる。
【0038】
請求項10に記載のドリルによれば、請求項9に記載の発明の効果に加え、ドリル本体の刃部先端の近傍に第2の光伝送部の先端を配置することができることから、光伝送部の先端から光を照射させる場合には、その照射位置がドリル本体の刃部先端近傍となり、ドリルによって穿孔する場合、穿孔された部分に挿入された状態のドリル本体の刃部先端から光を照射することができる。これにより、照射された光および反射する戻り光の減衰を少なくすることができる。従って、第2の光伝送部に光を伝送し得る光源を有し、反射光を受光して光学的な解析をする光学的解析装置を使用する場合においては、穿孔された孔の最も深い位置(すなわち解析対象物に接近した位置)から光を照射し、また、その前方内部で反射する戻り光を取得することができることとなり、光学的な解析に好適な光の照射および戻り光の受光が可能となる。
【0039】
請求項11に記載のドリルによれば、請求項9または10に記載の発明の効果に加え、ドリル本体の刃部に切り溝が形成される構成であるから、被切削物を切削した際に発生する切り屑を切削部分から排出することができる。また、チゼルエッジに貫通孔の開口部を形成することにより、刃部の先端に第2の光伝送部の先端を配置させることができる。これにより、第2の光伝送部が取得する戻り光は、ドリルの先端において取得した反射光として処理することができ、ドリルの先端位置と骨の内部構造物との位置関係を一層正確に測定することができる。
【0040】
請求項12に記載のドリルによれば、請求項9ないし11のいずれかに記載の発明の効果に加え、ドリルの刃部先端側に第3の集光手段を備えることにより、第2の光伝送部の先端に送出される光を集合させて照射できるとともに、被切削物において反射する光を集光することができる。なお、上記において、第2の光伝送部としては光ファイバを使用することができ、また、集光手段として、前述のGRINレンズを使用することができる。GRINレンズを使用すれば、光ファイバによって送出される光を集中照射し、また、戻り光を集めて光ファイバのコアに導出させることができる。
【0041】
請求項13に記載の医療用加工装置によれば、請求項1ないし8に記載の医療用ドリルユニットに対して光を送出するとともに、その医療用ドリルユニットから送出される光を受光し、この受光した光の状態から被切削物内部の異相部を検出することができる。ここで、異相部の位置を検出することにより、被切削物を切削加工する際に、加工すべき部分と加工すべきでない部分との境界を検知することができ、切削加工すべき部分の肉厚について加工可能な残りの肉厚の状態等を把握することができる。従って、本装置を顎骨等の骨を穿孔加工する際に使用すれば、穿孔される孔の最も深い部分が骨内部の血管等に到達するものであるか否かを判断することができることから、穿孔加工の途中において、穿孔の継続が可能であるか否かを判断することができる。
【0042】
請求項14に記載の医療用加工装置によれば、請求項13に記載の発明の効果に加え、前記異相部の位置の検出結果に基づいて、被切削物のうちの加工対象部分の肉厚情報を得ることができる。報知方法が音によるものである場合には、肉厚の厚薄によって音色を変えるように構成してもよい。この構成の場合には、操作者は、報知される情報を参照しつつ加工の可否を判断することができる。また、加工できる肉厚の許容範囲を予め処理装置に入力し、当該許容範囲の限界に達した場合にのみ報知させる構成としてもよい。この場合には、操作者は、当該報知手段による報知がされるまで加工を継続することができる。さらに、また、このような報知手段に前記医療用ドリルユニットのドリル本体の駆動源と連動させる構成とする場合には、穿孔すべき部分の肉厚が限界値に達した場合に駆動を停止させることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】医療用ドリルユニットにかかる発明の第一実施形態の概略を示す説明図である。
【図2】光学的解析装置の概略を示し、医療用ドリルユニットの実施形態の使用形態を併せて示す説明図である。
【図3】医療用ドリルユニットにかかる発明の第二実施形態の概略を示す説明図である。
【図4】医療用ドリルユニットにかかる発明の第三実施形態の概略を示す説明図である。
【図5】医療用ドリルユニットにかかる発明の第四実施形態の概略を示す説明図である。
【図6】医療用ドリルユニットにかかる発明の第四実施形態の概略を示す説明図である。
【図7】ドリルにかかる発明の実施形態に使用するドリル本体の概略を示し、(a)は正面図であり、(b)は(a)の右側面図であり、(c)は(b)のIIIC-IIIC部分の拡大断面図である。
【図8】ドリルにかかる発明の実施形態の説明図である。
【図9】ドリルにかかる実施形態の変形例を示す説明図である。
【図10】ドリルにかかる実施形態の他の変形例を示す説明図である。
【図11】OCT法を用いた光学的解析装置による実験結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0044】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は、医療用ドリルユニットにかかる発明の第一実施形態の概略を示す説明図である。この図に示すように、本実施形態は、ユニット本体1およびドリル本体2を備えており、ユニット本体1には、駆動部3が内蔵され、この駆動部3にドリル本体2の基部がチャック4によって装着できるようになっている。

【0045】
本実施形態のユニット本体1には、外部装置である光学的解析装置に光学的に接続される第1の光伝送部5が配設されている。この第1の光伝送部5の先端には集光手段51が連続して設けられ、集光手段51の端面が駆動部3に到達するように設けられている。ここで、本実施形態においては、第1の光伝送部5として光ファイバが使用され、その先端の集光手段51としてGRINレンズ51が使用されるものである。

【0046】
また、本実施形態のドリル本体2には、第2の光伝送部6が内蔵されている。この第2の光伝送部6は、ドリル本体2の軸心に沿って設けられており、その先端には集光手段61が連続して設けられている。また、集光手段61は、上記ドリル本体2がユニット本体1に装着された状態において、その端面が、前記第1の光伝送部5の集光手段51の端面に対向するように配置されている。なお、本実施形態では、第2の光伝送部6にも光ファイバが使用され、集光手段61にGRINレンズが使用されている。
つまり、光学的解析装置からドリルの先端まで連続する導波路が形成されているが、第1の光伝送部5と第2の光伝送部6とは別体で形成され、物体としては非連続となっている。

【0047】
上記第1および第2の光伝送部5,6の先端に設けられる集光手段51,61は、ユニット本体1の駆動部3において光学的に接続されており、両者の中間には光結合部7が介在されている。光結合部7は、結合油によって光結合される構成であり、この結合油が両集光手段51,61の中間に留めるための液溜部が駆動部3に形成されている。なお、光結合部7としては、結合油に限定されるものではない。透光性を有するものであれば光結合部7として使用することが可能である。例えば、両集光手段51,61の間に空隙部を形成した空気層によって光結合部7を構成してもよい。また、透光性を有する液体やゾルまたはゲルを使用してもよい。液体としては水またはグリセリン溶液などを使用することができ、油としてはシリコーンやミネラルオイルを使用することができる。なお、光結合部7の屈折率が光伝送部5,6の屈折率と異なる場合は伝送される光が集光手段51,61の端面で反射し、その反射する光量分だけ伝送されずに損失することとなることから、その屈折率を整合させるために屈折率調整剤を使用することが好ましい。
尚、光結合部は微小な空隙を備えて形成することが好ましい。この微小な空隙は、対向する集光手段51,61を配置するときの精度等により、結果的に両端面間に微小な間隙が形成される場合のほか、前述のように予め所定の空隙を形成するように両集光手段51,61を配置する場合がある。

【0048】
このように、光結合部7を介して対向する集光手段(GRINレンズ)51,61は、焦点位置を調整するために屈折率に応じて長さが調整され、双方のGRINレンズ51,61によって集光率を0.5ピッチとしている。これにより、第1の光伝送部(光ファイバ)5から送出された光が、集光されつつ第2の光伝送部(光ファイバ)6に平行光として入射することができ、また、第2の光伝送部(光ファイバ)6から送出される光についても集光されつつ第1の光伝送部(光ファイバ)5に入射できることとなる。従って、物理的に連続していない両光伝送部5,6を光学的に接続することができる。つまり、光カップリング効果を得ることができるのである。

【0049】
本実施形態の駆動部3は、ベアリングを介してユニット本体1に回転自在に保持されている。また、この駆動部3は、電動モータの一部(モータのコア)を構成している。すなわち、駆動本体部31は概略円筒状に形成されており、その外周部に永久磁石32が固着されている。そして、ユニット本体1の側には、上記永久磁石32の近傍にコイル部33が設けられ、このコイル部33に電源コード30を介して電源が供給されることにより、駆動部本体31の永久磁石32がモータのコアとして誘導され、モータ同様に回転駆動されるものである。従って、駆動部3は、駆動源となるモータとの間で伝達機構を設けることなく回転駆動力が付与されることとなる。

【0050】
なお、この駆動部3の円筒状の駆動本体部31の先端には、外部形状をテーパ状にしてなるドリル保持部34が形成されている。このドリル保持部34は、駆動本体部31の軸線方向に複数のスリット(図示せず)が形成され、スリットの間隙の範囲において径が変化するものである。そして、チャック4は、上記ドリル保持部34のテーパ状外部に係合するコレット型となっており、このチャック4をドリル保持部34に着脱することにより、ドリル保持部34の内径を縮小するように変化させる構造となっている。ドリル本体2のシャンク部21をドリル保持部34に挿入し、チャック4を装着することにより、ドリル本体2と駆動部3とが一体的に回転可能となるものである。
ドリル本体2の回転に伴い内蔵される第2の光伝送部6も一体で回動するが、上記したように、第1の光伝送部5と第2の光伝送部6とは別体で形成され、物体としては非連続となっているので、回転動作に支障をきたすことがない。その上、上記の光結合部によって光学的には第1の光伝送部5と第2の光伝送部6とは連続しているので、光解析装置からドリル本体2の先端までの間において、光(光信号)の伝達を円滑に行うことができるものとなる。

【0051】
なお、ドリル本体2に内蔵される第2の光伝送部6の他端は、ドリル本体2の刃部先端近傍に到達するように配置され、この第2の光伝送部6に伝送される光をドリル本体2の刃部先端側から照射するとともに、被切削物の内部で反射した光(戻り光)の入射を可能にしている。この詳細はドリルの実施形態において説明する。

【0052】
本実施形態は、上記のような構成であるから、外部装置である光学的解析装置から送出される光を第1の光伝送部5が伝送し、集光手段51,61および光連結部7を介して第2の光伝送部6に伝送されることとなる。そして、第2の光伝送部6に伝送された光は、その先端(ドリル本体2の先端)から照射されることとなる。また、戻り光は、第2の光伝送部6の先端から入射し、上記の伝送経路を逆向きに伝送し、光学的解析装置に戻されることとなる。

【0053】
ここで、光学的解析装置の例示として光干渉断層法(OCT)による解析装置について概略説明する。この解析装置は、上記ドリルユニットの実施形態に光学的に接続して使用できるものである。図2は、その概略を示す図である。この図に示すように、光学的解析装置Aは、低コヒーレンス光を発するスーパールミネセントダイオード(SLD)による光源81を備え、この光源81の光を光カプラ82により二つの光伝送経路に分岐する。分岐された一方の光は、参照光として使用され、レンズ83を介して参照ミラー84に照射されるとともに、この参照ミラー84により反射する戻り光が再び光カプラ82を介して光検出器85により検出される。他方の光は、測定用として使用され、プローブBから対象物に照射されるとともに、その戻り光が光カプラ82を介して光検出部85により検出される。この光検出部により検出された光を干渉計86により干渉させることにより、異なる深さの内部構造物の位置を光強度対距離の情報(干渉信号)に変換し、さらに干渉情報を処理装置87に入力し、内部構造物の状態を解析するのである。なお、処理装置87には一般的なパーソナルコンピュータが使用される。

【0054】
図2において、参照ミラー84は、レンズ83との距離を変動可能に設けられる可変ミラーとして示されている。この参照ミラー84の移動量は、図示されていないが前記処理装置87に出力されて、その移動量とともに内部構造物の状態が解析されるものである。ただし、上記可変ミラーは、干渉計86により光を干渉させることを目的とするものであり、例えば、プローブBからの戻り光と参照光とを個別に検出し、両者の光の強度を単純に比較することにより光強度対距離を測定できる場合には、当該参照ミラー84の位置を固定した構成であってもよい。

【0055】
本実施形態では、上記光学的解析装置AのプローブBとして穿孔のためのドリル本体2を使用するものである。すなわち、光学的解析装置Bの測定用の光がドリルユニット1に送出され、ドリル本体2の先端から測定用の光が被切削物(例えば、下顎骨)Cに照射するのである。また、被切削物(例えば、下顎骨)Cの内部で反射した戻り光がドリル本体2の先端から入射し、ドリルユニット1を介して戻り光を光学的解析装置Aに送出するのである。

【0056】
上記の場合、切削加工に使用されるドリル本体2の先端よりも先の内部で反射する光に基づいて、当該被切削物の内部構造を検知することができることから、例えば、下顎骨Cを切削加工する際、下顎骨Cの内部に存在する歯槽管Dの位置を把握することができ、ドリル本体2により切削加工された部分の肉厚を認識することができる。これにより、ドリル本体2による加工を継続するか中止するかの判断材料を得ることができる。そして、ドリル本体2により切削加工された残りの部分が薄肉となり、ドリル本体2の先端が歯槽管Dに接近したことが検知されれば、使用者において、ドリル本体2による切削加工を中止すべきことを判断することができる。さらに、処理装置87において、ドリル本体2により切削加工される部分(加工対象部分)の肉厚を逐次検出させるとともに、ドリル本体2による穿孔が許容される限界の肉厚を閾値として、予め当該処理装置87に設定することにより、処理装置87に加工対象部分の肉厚が閾値に到達したか否かを判断させる構成としてもよい。この場合、報知手段を連動させることによって、加工対象部分の肉厚が当該閾値に達し、またはその直前であることを使用者に覚知させることができる。さらに、処理装置87によってドリル本体の駆動をも制御させる構成としてもよく、この場合には、加工対象部分が限界値に達した際にドリル本体2の駆動を停止させるように制御させることができる。

【0057】
以上のように、本実施形態のドリルユニットにOCTによる解析装置を接続することによって、本実施形態のドリルユニットに使用されるドリル本体2は、解析装置AのプローブBとして機能することとなる。

【0058】
また、上述のように、本実施形態のドリルユニットを使用して光学的解析装置により解析することによって、すなわち、本実施形態のドリルユニットを使用して医療用加工装置を構成することによって、ドリルユニットから送出され、被切削物に向けて照射した光の戻り光に基づいてドリル本体の先端が当接する面よりも前方の内部構造を検知することができる。例えば、ドリルユニットを使用して顎骨等の骨を切削する場合においては、その切削加工ととともに、解析装置による解析によって異相を確認することができ、この異相の位置を検出することにより、顎骨等の骨の内部に存在する血管等を覚知することができ、特に、顎骨内の歯槽管の位置を把握することができる。尚、本ドリルユニットは、上記顎骨の穿孔に限って用いられるものではなく、例えば、頭蓋骨や椎骨等の各部の骨の穿孔等に用いても良い。

【0059】
次に、医療用ドリルユニットにかかる発明の第二実施形態について説明する。この実施形態の概略を図3に示す。この図に示すように、本実施形態は、歯科用のドリルユニットであり、ユニット本体101は、ハンドピースのハウジングで構成されている。ハンドピース本体部111は中空であり、この中空部分に第1の光伝送部105が配設されている。ただし、その先端付近および集光手段151は、ハンドピース先端部112において固定されている。

【0060】
また、ハンドピース先端部112には駆動部103が内蔵されているが、この駆動部103は、駆動部本体131の外周部にエアタービン132が固着されている。従って、エアタービンが回転することによって、駆動部本体131が回転駆動されるものである。このエアタービンに圧縮空気を送気するために、ハンドピース本体部111の中空部に送気管113が配設されている。この送気管113の先端が開口しており、圧縮空気をエアタービンの羽に吹き付けることができるものである。なお、圧縮空気は、歯科治療で頻繁に使用されるものが送気され、駆動部本体131の回転および停止は、圧縮空気の送気および停止の操作によって行われることとなる。

【0061】
上記構成において、第1の光伝送部105は、ハンドピース先端部112の内部において大きく湾曲されているが、この光伝送部105として光ファイバを使用する場合、その光ファイバが許容される曲げ半径(曲率)の範囲内で湾曲することが要求される。そして、通常の光ファイバが許容される曲率を超えて湾曲させる必要がある場合には、空孔アシスト光ファイバのように、許容される曲率が小さいものを選択すればよい。

【0062】
なお、駆動部103には、ドリル本体2をコレット型チャック4によって装着できるものであり、ドリル本体2には、第2の光伝送部6が内蔵された構成であることは、第一実施形態と同様である。

【0063】
このように、ハンドピース先端部112に駆動部103を内蔵することにより、歯科口腔外科における治療(いわゆるインプラント治療)において、顎骨を穿孔する場合に利用することができる。特に、歯科医師が使用する場合には、圧縮空気の供給・停止の操作によりドリル本体2を駆動させることができることから、その使用方法の習得が容易となる。

【0064】
さらに、医療用ドリルユニットにかかる発明の第三実施形態について説明する。この実施形態の概略を図4に示す。この図に示すように、本実施形態においても、ユニット本体201はハンドピースのハウジングが使用される。ハンドピース本体部211の中空部分には、圧縮空気を送気する送気管213が配設されるとともに、エアタービン214およびこれに連続する傘歯車215が設けられている。上記送気管213から圧縮空気が供給されると、エアタービン214が回転し、さらに傘歯車215を回転させることができるものである。また、駆動部203には、駆動部本体231の外周に傘歯車233が固着されており、この傘歯車233は、上記エアタービン214に連続する傘歯車215と噛合しており、回転方向を変換するとともに、回転速度を減速しつつ駆動部本体231に伝達するように構成されている。

【0065】
このように、駆動源をハンドピース本体部211に内蔵されるエアタービン214として、これを駆動本体部211に伝達する機構により、ハンドピース本体部211をドリル本体2の軸線に対し直交方向に配置することができる。また、エアタービン241による回転速度を減速させることができることから、ドリル本体2を比較的低速で回転させることとなり、慎重に行うべき切削加工において、ドリル本体2の過切削を抑制することができる。

【0066】
なお、本実施形態においても、第1の光伝送部205を光ファイバとする場合に、小さい曲率が許容される空孔アシスト光ファイバを使用することができる。また、駆動部203には、ドリル本体2をコレット型チャック4によって装着できるものであり、ドリル本体2には、第2の光伝送部6が内蔵された構成であることは、本実施形態においても第一実施形態と同様である。

【0067】
次に、医療用ドリルユニットにかかる発明の第四の実施形態について説明する。図5および図6は本実施形態の概略図であり、図5は第1の光伝送部および第2の光伝送部をユニット本体から離脱させた状態を、図6は、それぞれをユニット本体に装着した状態を示す。これらの図に示すように、本実施形態は、ユニット本体301の内部に駆動源を備えておらず、外部から伝達される駆動力によって回転部303を駆動するようになっており、また、第1の光伝送部305がユニット本体301の外部に保持された構成となっている。上記駆動源は、ユニット本体301の外方において図示せぬモータまたはエアタービンによって駆動力を発生させており、ユニット本体301(ハンドピース先端312)に回転駆動力を伝達するものである。駆動源からハンドピース本体部311まで伝達された回転駆動力は、ハンドピース本体部311に設けられる傘歯車315によって回転方向が変換され、ハンドピース先端312の内部に配置される回転部303に伝達されるものである。

【0068】
ところで、本実施形態の回転部303は、筒状に形成された構成となっており、ハンドピースの先端312に設けられた貫通孔313に挿通した状態で保持されるものである。この貫通孔313は、ドリル本体2が装着される際の軸線方向に貫通して設けられ、回転部303は上記貫通孔313貫通孔313のほぼ全体にわたって装着されるものである。また、回転軸303は、外部表面に凹凸形状が形成され、部分的に軸受336,337を介して貫通孔313の内部に保持され、上記凹凸形状の凹部に当該軸受336,337を嵌合させることにより、回転部303の位置が一定に維持されるようになっている。

【0069】
上記の回転部303には当接部335が設けられ、この当接部335によって当該貫通孔に挿入されるドリル本体2のシャンク21を位置決めすることができる。この当接部335は、位置決めされるシャンク21の基端21aが、回転部303の一方の開口端(すなわち貫通孔313の一方の開口端)の近傍に配置されるように形成されるものである。そこで、本実施形態では、当接部335を筒状の回転部303の一方開口端において、当該開口を部分的に閉鎖するように構成している。これにより、貫通孔313の一方の端部が部分的に遮断されるようになっている。さらに、当接部335には、そのほぼ中央に連通孔307が設けられ、当該当接部335による貫通孔313の遮断状態は、当該連通孔307が設けられている範囲において開放される状態となっている。また、回転部303の他方の端部は、ドリル本体2のシャンク21を回転部303に挿入できるように開口している。

【0070】
上記構成により、ドリル本体2のシャンク21を回転部303に挿入し、当該シャンク21の基端21aを当接部335に当接させることにより、ドリル本体2が位置決めされることとなり、ドリル本体2およびその内部に設けられる第2の光伝送部6が所定の位置に配置されることとなる。なお、当接部335は、上記のようにシャンク21の基端21aを当接する構成に限定されるものではなく、シャンク21の軸線方向の任意の位置で当接する構成でもよい。この場合、シャンク21の形状を外径の異なる段付き形状とし、シャンク21の基端21aの側を小径とすることにより、大径部分の端部が当接部335に当接して、シャンク21が位置決めされることとなる。そして、基端21aの側が小径であることから、上記のように位置決めされた状態において、当該基端21aは当接部335を通過し、さらに先方に到達させることができる。このようなシャンク21の位置決め方法によって、基端21aを配置すべき位置を任意に設定することが可能となる。この基端21aの位置は、ユニット本体301の内部の場合のほか、ユニット本体301の表面または外方とする場合があり得る。

【0071】
他方、第1の光伝送部305は、ユニット本体301の外方に配置されるものであり、この第1の光伝送部305を被覆する被覆部350がユニット本体301の外部表面に付設されることによって、当該ユニット本体301に保持されている。また、被覆部350の先端はハンドピース先端312に着脱可能に構成されており、当該先端部分をハンドピース先端312に装着することにより、第1の光伝送部305がユニット本体301の内部(回転部303に備えられている当接部335)に到達することができるようになっている。尚、被覆部350は、ユニット本体301に対して着脱可能に構成されてもよい。

【0072】
なお、第1の光伝送部305は、大きく角度を変更して光を伝送させるために、二つの光伝送部305a,305bによって伝送される光をミラー305cによって光学的に連続させる構成としている。すなわち、被覆部350の先端付近にミラー305cを内蔵するとともに、このミラー305cを介して両側にそれぞれ光伝送部305a,305bを配設しているのである。光の伝送方向は、上記ミラー305cによる反射角度によって調整可能であるが、本実施形態では、光の伝送方向を90°変換するために、ミラー305cの反射角度を45°としている。また、二つの光伝送部305a,305bはいずれも光ファイバを使用し、このミラー305cよりも前方に設けられる光伝送部305bは、先端部分が前記当接部335の連通部307に到達するようになっている。すなわち、前記ドリル本体2のシャンク基端21aとの間において形成される光結合部により第2の光伝送部6との光学的結合を可能にしている。

【0073】
本実施形態では、図6に示されているように、ドリル本体2のシャンク21および被覆部350の先端をユニット本体301に装着させた状態においては、第1の光伝送部305(前方の光伝送部305b)および第2の光伝送部6は、いずれも回転部303に設けられる当接部335に到達し、その先端が連通孔307を介して光学的に結合されるものである。従って、この連通孔307が光結合手段として機能することとなり、両光伝送部6,305の先端間に空隙部を形成することにより、空気層による光結合部が構成される。なお、当該空隙部には、第一実施形態と同様に、透光性を有する液体やゾルまたはゲルを充填することも可能である。なお、両光伝送部6,305の先端に集光手段を設ける構成としてもよく、この場合は第一実施形態と同様にGRINレンズを使用することができる。

【0074】
本実施形態は、上記のような構成であるから、第1の光伝送部305および第2の光伝送部6は、ユニット本体301から着脱可能となり、ユニット本体301を簡素な構造とすることができる。これにより、ユニット本体301(特に、ハンドピースの先端部312)を小型化することができる。また、光結合手段(連通孔)307は、回転部303に設けられる当接部335に設けられ、その当接部335は、第1の光伝送部305(被覆部350の先端)をユニット本体301から離脱した状態で外部に露出することとなるから、当該光結合手段307に対して屈折率調整剤を充填することが容易となる。なお、第2の光伝送部6はドリル本体を交換すれば容易であるが、第1の光伝送部305についてもユニット本体301から離脱させることにより、その交換を可能としている。

【0075】
次に、前述の医療用ドリルユニットに使用されるドリルの実施形態について、ツイストドリルを例示して説明する。図7(a)は、本実施形態におけるドリル本体の全体図であり、(b)は、ドリル本体の先端部を示す図であり、(c)は、ドリル本体の先端部分の拡大断面図である。本実施形態を構成するツイストドリルは、この図に示すように、ドリル本体2は、シャンク21と、これに連続して形成される刃部22とで構成される。刃部22には、切り溝23と切れ刃24が設けられ、ドリル本体2が軸回りに回転駆動されることにより穿孔できる。切り溝23は、切れ刃24のすくい角を形成するとともに、切り屑を排除することができるものである。ツイストドリルの場合は、この切り溝23が螺旋状に形成されることから、被切削物を切削する際に生じる切り屑をドリル本体2の先端から後方(シャンク21の方向)に排除させることができる。

【0076】
上記ドリル本体2の内部には、軸心に沿った小口径の貫通孔25が穿設されており、その両端がシャンク側および刃部先端側で開口する開口部26,27を形成している。刃部先端側の開口部27は、チゼルエッジに形成されており、刃部22の中心かつ先端において開口させている。ドリル本体2の径を2mm~5mmとすることにより、インプラント治療における穿孔に使用することができる。この場合、貫通孔の径は0.2mm~0.5mmとし、ドリルの穿孔機能に影響を与えない程度に設けられる。また、貫通孔25は、ドリル本体2の軸心に沿って穿設されるものであり、ドリル本体2が回転駆動される際に、その軸心において同様の孔形状が維持されるようになっている。

【0077】
上記ドリル本体2の貫通孔25には、図8に示すように、光伝送部としての光ファイバ91が配設されている。この光ファイバ91は、貫通孔25に嵌入されるものであり、貫通孔25と同様に、ドリル本体2が回転駆動されるとき、その軸心において、ぶれることなく同じ位置に維持されるものである。なお、この光ファイバ91は、前記ドリルユニットの実施形態における第2の光伝送部6に該当するものである。

【0078】
上記の光ファイバ91の両端には、さらに、集光手段としてのGRINレンズ92,93が接続されている。シャンク21の基端側に設けられるGRINレンズ92は、前記ドリルユニットの第2の光伝送部6に設けられた集光手段に該当するものであり、ドリル本体2が装着される駆動部側におけるもう一つのGRINレンズとともに光カップリング効果を得ることができるものである。

【0079】
これに対し、刃部22の先端側に設けられるGRINレンズ93は、単独で集光率を0.5ピッチとするように、その屈折率に応じた長さに調整されている。従って、光ファイバ91に伝送される光を集光しつつ被切削物に対して照射することができ、さらに、被切削物の内部で反射した光(戻り光)を集光しつつ、再び光ファイバ91に入射することができるものである。これにより、微弱な戻り光を入射することができるのである。

【0080】
本実施形態は、上記のような構成であるが、図8中に示されているように、さらに、刃部22の先端側開口部27を、透光性を有する板部材(保護部材)94によって閉塞する構成としてもよい。このように、保護部材94を設けることによって、刃部22の先端側に設けられるGRINレンズ93の先端を保護することができる。また、ドリル本体2のシャンク側先端に、液溜用の凹部95を設けてもよい。これは、前述のドリルユニットの実施形態において光結合部として結合油を使用する場合に、当該結合油を貯留させるために機能させることができる。

【0081】
さらに、本実施形態では、貫通孔25が同じ内径で穿設されているが、GRINレンズ92,93を保持するために、光ファイバ91が設けられる範囲よりも大きい口径としてもよい。この場合、GRINレンズ92,93を光ファイバ91の両端に融着してなる一体的な構成とし、両端のGRINレンズ92,93を固着することによって、全体をドリル本体2の内部に光ファイバを固定するようにしてもよい。

【0082】
以上のように、ドリルにかかる本実施形態によれば、ドリル本体2の刃部22の先端に光ファイバ91の先端を配設することができ、光学的解析装置により、解析する場合、当該ドリル本体をプローブとして機能させることができる。特に、ドリル本体2の刃部22の先端は、切削加工(穿孔)する際に最も深く侵入する部分に位置することから、光ファイバ91の先端(またはGRINレンズ93の端面)の位置をドリル本体2のチゼルエッジの近傍に配置することにより、ドリル本体2の先端を基準として、その先の内部構造物との位置を検出することができる。これにより、刃部をどこまで進行させるべきかを判断が極めて容易となる。

【0083】
なお、上記に示した各実施形態は、本発明の例示であってこれらに限定されるものではない。上記実施形態における光学的解析装置として、OCTによる解析装置を例示したが、本発明の医療用ドリルユニットを使用し、送出される戻り光に基づいて解析できるものであれば、その解析手段の種類は問わない。例えば、ドリル先端の光吸収度や発光度などの物性に基づく光学情報を得ることにより異相を検知させる解析手段を用いてもよい。例えば、異相に特異的に結合する蛍光色素によってあらかじめこれを染色しておき、その光学信号(蛍光強度)が大きく検出できるようになったとき、ドリル先端がその相内に進んだことが分かる。う歯の治療に本発明のドリルまたはドリルユニットを応用することで、カリエス部分を断層像として見ながら歯の切削ができるし、また、カリエス部分の変色を確認しながらの切削作業もできる。歯の組織内の変色部分がプローブで検出できなくなったら、切削を完了してよいとすることが可能になる。

【0084】
更には、第4の実施形態(図5参照)において、駆動源はユニット本体301の外方に設ける構成としたが、ユニット本体301(ハンドピースの本体部311が装着される把持部を含む)の内部にモータを設置し、このモータによる駆動力を回転部303に伝達させる構成としても良い。把持部にモータを内蔵する構成としてもよい。

【0085】
また、第1の実施形態においても、上記のように把持部に内蔵したモータにより駆動部3を回転させる構成としても良い。すなわち、実施形態1では、駆動部3の周辺に永久磁石32およびコイル33によるモータを形成させていたが、このようなモータを設けず、把持部に内蔵したモータの動力源を駆動部3に伝達する構成とするのである。このような構成により、駆動部3の周辺の構造を簡素化することによって小型にすることができる。

【0086】
また、ドリル本体2に小口径の長尺の貫通孔を穿設することが困難な場合には、図9に示すように、ドリル本体102の大部分に対して、やや径の大きい孔を穿設し、刃部122の先端に小径の孔を穿設する形態のドリルとしてもよい。この場合、大きい径の孔と内部に配設する光ファイバ191との間に間隙を生ずることとなるが、この間隙部には、合成樹脂製のスペーサを挿入するか、または、接着剤によって間隙を埋めることによって、光ファイバ191をドリル本体102の中心に配置することが可能である。なお、図示のように、光ファイバ191の刃部側先端にはGRINレンズ193を連続して設ける構成としてもよい。

【0087】
また、図示のように、刃部122の先端には前記実施形態と同様に保護部材194を設ける構成としているが、この保護部材194を装着する部分の口径は、光ファイバ191の刃部側先端またはGRINレンズ193が配設される孔(最小口径孔)よりも僅かに大きいものとしている。そして、保護部材194は、当該孔に嵌合する大きさで構成され、最小口径孔の開口端に当接するように設置されるように構成されている。これは、保護部材194を刃部122の先端に装着する際、当該先端側から当該孔内に挿入されることから、その保護部材194の装着位置を決定させるためである。さらに、ドリルによる加工に際し、ドリル本体102の先端に受ける反力によって保護部材194がシャンク121に移動させない効果をも有している。

【0088】
さらに、図10に示すように、ドリル本体202の刃部222の先端の構成を変更してもよい。例えば、図10(a)に示すように、刃部222の先端には保護部材を設けず、光ファイバ291の端部を刃部222の先端に配置するように設ける構成としてもよい。集光手段を設けない場合であっても光ファイバから所定の光が照射され、また、戻り光が入射できれば、本発明の効果を得ることができるからである。また、図10(b)に示すように、光ファイバ291の刃部側先端に連続するGRINレンズ293を設け、このGRINレンズ293の端部を刃部222の先端に配置する構成としてもよい。この場合においてもGRINレンズ293から集光された光が照射され、また、戻り孔を取得できるものである。

【0089】
〔実験例〕
以下、OCTによる光学的解析装置を使用したときの実験例を説明する。本実験は、ニワトリの長管骨を使用し、顎骨の骨の肉厚と干渉信号の強度との関係を実験したものである。光学的解析装置は、図2に例示した光学的解析装置を独自で製作したものを使用した。干渉信号の強度検出は、骨の肉厚との関係を明確に検知するため、異なる部位の骨から肉厚の異なる部分を使用し、確認のために薄肉の透明なプラスチック製の板材について異相を検知できるか否かについて実験した。

【0090】
その実験結果を図7に示す。ただし、この図に示すグラフは、横軸が光干渉に使用する参照光を得るための参照ミラー(図では参照鏡と表記)の移動距離であり、縦軸が干渉信号の強度である。また、図11(a)は、厚肉の骨を有する部分の結果であり、図11(b)は薄肉の骨を有する部分の結果であり、図11(c)は、単なるプラスチック製の板材1枚についての結果を示す。

【0091】
この図に示されるように、厚肉の骨の場合は、プローブの直前の骨の位置を示す強い干渉信号に続いて、干渉信号が比較的小さくなっている部分が存在する。この干渉信号の小さい波が比較的長く連続する状態(図11(a))では、骨から空間層までに距離があることを示している。これに対し、薄肉の骨の場合は、干渉信号の小さい波が短くなり、骨の内部の空間が接近していることを示している(図11(b))。そして、骨ではなく樹脂板についての実験結果では、干渉信号の小さな波は消失している(図11(c))。このように、強い干渉信号の波に続き弱い干渉信号の波の長さをモニタリングすることにより、異相部の位置を検知することができ、その情報から骨の肉厚を検出することができる。

【0092】
上記の結果から、骨を穿孔する場合についても、骨の肉厚が減少することにより、干渉信号が変化することが明らかとなり、この光干渉信号の小さい波が続く長さを検出することによって異相を認知することが可能である。なお、光学的解析装置に使用される処理装置に警報手段を設けることによって、切削状態を報知させることが可能であると判断される。例えば、弱い干渉信号の波の長さ、すなわち、干渉信号が出力される範囲の参照ミラーの移動距離の長さについて、切削できる許容量を予め設定しており、この許容量に到達した時点で警報音を発するように構成すれば、骨の内部の空間にドリルが到達する前に切削を中止することができる。この警報音は、接近状態を段階的に覚知させるように音色を変化させて設定することにより、許容量に近い状態、さらに接近した状態、到達した状態を音色によって報知させる構成とすることができる。
【符号の説明】
【0093】
1 ユニット本体
2 ドリル本体
3 駆動部
4 チャック
5 第1の光伝送部(第1の光ファイバ)
6 第2の光伝送部(第2の光ファイバ)
7 光結合部
21 シャンク
22 刃部
23 切り溝
24 切れ刃
25 貫通孔
26,27 開口部
31 駆動部本体
32 永久磁石
33 コイル
51,61 集光手段(GRINレンズ)
91 光伝送部(光ファイバ)
92,93 集光手段(GRINレンズ)
94 保護手段(板部材)
A 光学的解析装置
B プローブ
C 顎骨
D 歯槽管
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
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