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明細書 :エネルギ変換器、旗型エネルギ変換装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4590641号 (P4590641)
登録日 平成22年9月24日(2010.9.24)
発行日 平成22年12月1日(2010.12.1)
発明の名称または考案の名称 エネルギ変換器、旗型エネルギ変換装置
国際特許分類 F03D   5/06        (2006.01)
FI F03D 5/06
請求項の数または発明の数 12
全頁数 20
出願番号 特願2006-543042 (P2006-543042)
出願日 平成17年10月19日(2005.10.19)
国際出願番号 PCT/JP2005/019220
国際公開番号 WO2006/043600
国際公開日 平成18年4月27日(2006.4.27)
優先権出願番号 2004304150
優先日 平成16年10月19日(2004.10.19)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成19年9月19日(2007.9.19)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504132272
【氏名又は名称】国立大学法人京都大学
発明者または考案者 【氏名】河井 宏允
個別代理人の代理人 【識別番号】100085338、【弁理士】、【氏名又は名称】赤澤 一博
【識別番号】100148910、【弁理士】、【氏名又は名称】宮澤 岳志
審査官 【審査官】笹木 俊男
参考文献・文献 特開2000-320443(JP,A)
特開2001-351416(JP,A)
特開2003-116258(JP,A)
調査した分野 F03D 5/06
H01L 41/113
特許請求の範囲 【請求項1】
風等の流体の流れにさらされる位置に配されるとともに前記流れによって周縁部の少なくとも一部が略自由にはためき得る布製の可撓性平面体と、振動エネルギを電気エネルギに変換するエネルギ変換部と、前記可撓性平面体に連結されるとともに前記流れにより可撓性平面体に生じる振動を前記エネルギ変換部に伝達する伝達部と、建築物や地面等に固定され得るベースとを具備するとともに、
前記可撓性平面体を、前記ベースに支持させた支柱に、固有周期を持たずに自由にはためき得るように支持させ、
前記エネルギ変換部が、圧電体たる圧電バイモルフ素子の圧電効果を利用したもので、前記圧電バイモルフ素子の一端側を前記ベースに支持させ、前記圧電バイモルフ素子の他端側を前記伝達部を介して前記可撓性平面体に取り付けてなることを特徴とするエネルギ変換器。
【請求項2】
風等の流体の流れにさらされる位置に配されるとともに前記流れによって周縁部の少なくとも一部が略自由にはためき得る布製の可撓性平面体と、振動エネルギを電気エネルギに変換するエネルギ変換部と、前記可撓性平面体に連結されるとともに前記流れにより可撓性平面体に生じる振動を前記エネルギ変換部に伝達する伝達部と、建築物や地面等に固定され得るベースとを具備するとともに、
前記可撓性平面体を、前記ベースに支持させた支柱に、固有周期を持たずに自由にはためき得るように支持させ、
前記エネルギ変換部が、磁性体とコイルとの電磁誘導作用を利用した回転発電機であることを特徴とするエネルギ変換器。
【請求項3】
ほぼ自由にはためく布製の可撓性平面体の周縁部の一部又は全部を、そのはためきを許容しつつ懸吊する懸吊部を備えていることを特徴とする請求項1又は2記載のエネルギ変換器。
【請求項4】
前記可撓性平面体に対して2つの懸吊部を設けるとともに、その可撓性平面体が、基端側を基準軸としてはためくものであって、
2つの懸吊部のうち一方を、布製の可撓性平面体の上端側周縁部の基端側に設け、他方を先端側に設けるように構成し、また、前記伝達部を、布製の可撓性平面体の下端側周縁部の基端側に連結されるように構成していることを特徴とする請求項3記載のエネルギ変換器。
【請求項5】
前記可撓性平面体の取付高さを変更するための懸吊高さ位置変更手段を具備し、
この懸吊高さ位置変更手段により、布製の可撓性平面体の上端側周縁部と下端側周縁部との間にたるみが生成され得るように構成していることを特徴とする請求項記載のエネルギ変換器。
【請求項6】
はためきの基準軸になる布製の可撓性平面体の基端側周縁部を挟み込みつつ、その基端側周縁部から離間して設けた一対の挟持部を備えたストッパを具備することを特徴とする請求項1乃至5いずれかに記載のエネルギ変換器。
【請求項7】
前記可撓性平面体が、鉛直方向に長手寸法を有する幟状のものであることを特徴とする請求項1乃至6いずれかに記載のエネルギ変換器。
【請求項8】
前記可撓性平面体のはためきの基準軸になる基端側に沿って設けられ且つこの可撓性平面体を間接的又は直接的に支持する支柱と、この支柱をその軸回りに回動可能に支持する回動支持部とを具備することを特徴とする請求項1乃至7いずれかに記載のエネルギ変換器。
【請求項9】
布製の可撓性平面体を流体の流れる方向とほぼ平行に配置する場合において、布製の可撓性平面体の流体上流側にて流体の流れる方向に生じる振動を伝達部がエネルギ変換部に伝達するものであることを特徴とする請求項1乃至8いずれかに記載のエネルギ変換器。
【請求項10】
布製の可撓性平面体を流体の流れる方向とほぼ平行に配置する場合において、伝達部たる旗竿にエネルギ変換部を取り付けているとともに、布製の可撓性平面体に励起された振動を旗竿の振動としてエネルギ変換部に伝達するものであることを特徴とする請求項1乃至8いずれかに記載のエネルギ変換器。
【請求項11】
布製の可撓性平面体の流体上流側と流体下流側との中間位置に結合する伝達部が、布製の可撓性平面体の流体下流側端部を自由端としたことにより生ずる振動をエネルギ変換部に伝達することを特徴とする請求項1乃至8いずれかに記載のエネルギ変換器。
【請求項12】
前記伝達部が、紐体により構成されていることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9又は11いずれかに記載のエネルギ変換器。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、流体によって柔軟平面に励起される振動からエネルギを抽出するためのエネルギ変換器などに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、地球温暖化問題などの環境問題の顕在化により、自然エネルギである風を利用して電力を発生させるエネルギ変換器への期待が強くなってきている。
【0003】
この種のエネルギ変換器としては、例えば、1又は複数枚の羽根を備えたプロペラ型風車のように、風を受ける部分を、剛性のある部材で実現したものや、例えば、風を案内板に挟まれた隙間に導き、案内板に平行に柔軟な布地に張力を加えて張り、垂直方向に励起される振動を利用するようにした発電器のように、風を受ける部分を、柔軟性のある部材で実現したものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】
米国特許第4348594号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前者の構成では、風が弱い際には羽根の回転が生じず発電できない。また、ビル風のようにある程度の風が常に発生するような場所に配置したとしても、強風が発生した際には、過剰な羽根の回転が発生し羽根が破損してしまう等、風の強弱による発電性の問題や、安全性の問題を有している。
【0005】
後者の構成では、布地の分布質量と可動コイルの質量と与えられた張力とにより決まる共振周期と、風の渦周期とが共鳴するときの振動に対しては効率よく発電するが、風速の変動により渦周期も変動するので共鳴する確率は低く、効率よく発電し得るものではない。また、可動コイルは、布地に比して質量が重く、フラッタを惹き起こす要件としての軽量振動体とならないので、よほどの強風領域でなければ実用できるものではない。
【0006】
本発明は、このような課題に着目してなされたものであって、主たる目的は、流速の如何によらず発電可能であり、また安全で乱れた風等の流体でも破損の恐れも少なく、さらに低コストで実現可能なエネルギ変換器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
[0007]
すなわち、本発明のエネルギ変換器の一つは、風等の流体の流れにさらされる位置に配されるとともに前記流れによって周縁部の少なくとも一部がほぼ自由にはためき得る布製の可撓性平面体と、振動エネルギを電気エネルギに変換するエネルギ変換部と、前記可撓性平面体に連結されるとともに前記流れにより可撓性平面体に生じる振動を前記エネルギ変換部に伝達する伝達部と、建築物や地面等に固定され得るベースとを具備するとともに、前記可撓性平面体を、前記ベースに支持させた支柱に、固有周期を持たずに自由にはためき得るように支持させ、前記エネルギ変換部が、圧電体たる圧電バイモルフ素子の圧電効果を利用したもので、前記圧電バイモルフ素子の一端側を前記ベースに支持させ、前記圧電バイモルフ素子の他端側を前記伝達部を介して前記可撓性平面体に取り付けてなることを特徴とする。
また、本発明のエネルギ変換器の他の一つは、風等の流体の流れにさらされる位置に配されるとともに前記流れによって周縁部の少なくとも一部がほぼ自由にはためき得る布製の可撓性平面体と、振動エネルギを電気エネルギに変換するエネルギ変換部と、前記可撓性平面体に連結されるとともに前記流れにより可撓性平面体に生じる振動を前記エネルギ変換部に伝達する伝達部と、建築物や地面等に固定され得るベースとを具備するとともに、前記可撓性平面体を、前記ベースに支持させた支柱に、固有周期を持たずに自由にはためき得るように支持させ、前記エネルギ変換部が、磁性体とコイルとの電磁誘導作用を利用した回転発電機であることを特徴とする。
[0008]
れらのようなものであれば、可撓性平面体は、それ自身は固有周期をもたないため、流体の刻々と変化する圧力分布に倣って形態を変化させながら、流体の脈動に倣ってはためきを生じ、当該可撓性平面体に加わる流体の圧力等のエネルギを吸収した振動が、流速の如何によらず励起される。そして、このように可撓性平面体に励起された振動は、伝達部によって、エネルギ変換部へと伝達され、エネルギ変換部で電気エネルギに変換される。また、流体の流れを受ける部分である可撓性平面体は、プロペラ型風車の羽根のように、剛性を有していないので、乱れた流体によっても破損する恐れが少なく、万が一破損したとしても、致命的な怪我等をする確率は格段に低い。そして、可撓性平面体が布製であるので、低コストなものとすることができる。
[0009]
すなわち、流速の如何によらず発電可能であり、また、安全で乱れた流体でも破損の恐れも少なく、さらに低コストで実現可能なエネルギ変換器を提供することができる。
[0010]
なお、可撓性平面体の垂れ下がりを防止して、可撓性平面体全体が、流れにさらされるようにするには、ほぼ自由にはためく布製の可撓性平面体の周縁部の一部又は全部を、そのはためきを許容しつつ懸吊する懸吊部を備えていることが望ましい。
[0011]
本発明の望ましい態様としては、前記可撓性平面体に対して2つの懸吊部を設けるとともに、その可撓性平面体が、基端側を基準軸としてはためくものであって、2つの懸吊部のうち一方を、布製の可撓性平面体の上端側周縁部の基端側に設け、他方を先端側に設けるように構成し、また、前記伝達部を、布製の可撓性平面体の下端側周縁部の基端側に連結されるように構成しているものが挙げられる。
[0012]
可撓性平面体にたるみをもたせるには、前記可撓性平面体の取付高さを変更するための懸吊高さ位置変更手段を具備し、この懸吊高さ位置変更手段より、布製の可撓性平面体の上端側周縁部と下端側周縁部との間にたるみが生成され得るように構成していることが好ましい。
[0013]
はためきの基準軸になる布製の可撓性平面体の基端側周縁部を挟み込みつつ、その基端側周縁部から離間して設けた一対の挟持部を備えたストッパを具備するのであれば、例えば、流体により可撓性平面体が大きくはためいた際に、過剰なはためきを挟持部によって規制して、伝達部などの部材の損傷を防止することができる。
[0014]
前記可撓性平面体が、鉛直方向に長手寸法を有する幟状のものであれば、例えば、可撓性平面体が無用にはためくことを抑制して、可撓性平面体の先端側が基端側に巻き付くといった不具合を防止できる。
[0015]
前記可撓性平面体のはためきの基準軸になる基端側に沿って設けられ且つこの可撓性平面体を間接的又は直接的に支持する支柱と、この支柱をその軸回りに回動可能に支持する回動支持部とを具備するものであれば、回動支持部に支持される支柱は、可撓性平面体がゆっくりとはためく場合には、そのゆっくりとした変化に追従して回動する一方、早くはためく場合には、その動きに対しては追従しないように動作するなど、流れの向きに応じて可撓性平面体の向きが自動的に変わり、最適なエネルギ変換を行うことができる。
[0016]
(削除)
[0017]
風速が低い場合のエネルギ変換効率をよくするためには、可撓性平面体を流体の流れる方向とほぼ平行に配置する場合において、可撓性平面体の流体上流側にて流体の流れる方向に生じる振動を伝達部がエネルギ変換部に伝達するものであるものが好ましい。又、布製の可撓性平面体を流体の流れる方向とほぼ平行に配置する場合において、伝達部たる旗竿にエネルギ変換部を取り付けているとともに、布製の可撓性平面体に励起された振動を旗竿の振動としてエネルギ変換部に伝達するものであるものが好ましい。さらに、布製の可撓性平面体の流体上流側と流体下流側との中間位置に結合する伝達部が、布製の可撓性平面体の流体下流側端部を自由端としたことにより生ずる振動をエネルギ変換に伝達するものが好ましい。
[0018]
(削除)
【発明の効果】
[0019]
以上説明したように本発明のエネルギ変換器によれば、可撓性平面体は、それ自身は固有周期をもたないため、流体の刻々と変化する圧力分布に倣って形態を変化させながら、流体の脈動に倣ってはためきを生じ、当該可撓性平面体に加わる流体の圧力等のエネルギを吸収した振動が、流速の如何によらず励起される。そして、このように可撓性平面体に励起された振動は、伝達部によって、エネルギ変換部へと伝達され、エネルギ変換部で電気エネルギに変換される。また、流体の流れを受ける部分である可撓性平面体は、プロペラ型風車の羽根のように、剛性を有していないので、乱れた流体によっても破損する恐れが少なく、万が一破損したとしても、致命的な怪我等をする確率は格段に低い。そして、可撓性平面体が布製であるので、低コストなものとすることができる。
[0020]
すなわち、流速の如何によらず発電可能であり、また、安全で乱れた流体でも破損の恐れも少なく、さらに低コストで実現可能なエネルギ変換器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
[0021]
[図1]本発明の第1実施形態に係るエネルギ変換器を示す全体斜視図。
[図2]本発明の第2実施形態に係るエネルギ変換器を示す全体斜視図。
[図3]本発明の第3実施形態に係るエネルギ変換器を示す全体斜視図。
[図4]本発明の第4実施形態に係るエネルギ変換器を示す全体斜視図。
[図5]本発明の第4実施形態における実験結果を示すグラフ。
[図6]本発明の第4実施形態における実験結果を示すグラフ。
【図7】本発明の第4実施形態における実験結果を示すグラフ。
【図8】本発明の第4実施形態における実験結果を示すグラフ。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
<第1実施形態>
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。
【0023】
本実施形態に係るエネルギ変換器Aは、旗型エネルギ変換装置としての機能を有するものであって、図1に示すように、ほぼ矩形状の可撓性平面体1と、可撓性平面体1の基端側に設けた棒状の旗竿2と、この旗竿2の下端部に連続させて設けてなり且つ振動エネルギを電気エネルギに変換する下端側圧電式エネルギ変換部31と、可撓性平面体1の上端側周縁部1sの基端部と先端部とをコイルばね4と策条5とを介して支持すべく、可撓性平面体1の上端側周縁部1sに沿って設けた棒状の横桟6と、旗竿2及び下端側圧電式エネルギ変換部31に沿って配され且つ横桟6の基端部を支持する支柱7と、支柱7のほぼ中央高さ位置に設けられ且つ風に揺られた旗竿2等の動きを規制するストッパ8と、支柱7及び下端側圧電式エネルギ変換部31を支持するベース9とを具備している。
【0024】
以下、各部を詳述する。
【0025】
可撓性平面体1は、軽量で靭性を有するとともに強風に耐え得る張力を有する布製のものである。
【0026】
旗竿2は、可撓性平面体1の基端側に取り付けてなり、風により可撓性平面体1に生じる振動を下端側圧電式エネルギ変換部31に伝達する伝達部としての機能を発揮するものである。本実施形態では、可撓性平面体1がこの旗竿2を基準軸としてはためくように、この旗竿2が、適度な剛性を有するように構成しているが、この旗竿2を、紐体のように剛性を有しない部材に変更することもできる。
【0027】
下端側圧電式エネルギ変換部31は、振動エネルギを電気エネルギに変換するものであって、本実施形態では、圧電体の圧電効果を利用している。
【0028】
具体的に、この下端側圧電式エネルギ変換部31は、厚み方向に変位した際に起電力が発生するほぼ扁平直方体形状の圧電体たる圧電バイモルフ素子3aと、この圧電バイモルフ素子3aに接続した電極(図示せず)とを具備するものである。そして、圧電バイモルフ素子3aの下端側をベース9に支持させる一方、上端側を旗竿2に取り付けている。また、本実施形態では、この下端側圧電式エネルギ変換部31の圧電バイモルフ素子3aが変位し得る方向(矢印D1)と、可撓性平面体1の面部1aが向く方向とがほぼ一致するように、この下端側圧電式エネルギ変換部31をベース9の上に配している。
【0029】
横桟6は、ほぼ水平方向に配置されるものであって、金属製あるいは木製にて形成してある。そして、本実施形態では、コイルばね4や策条5を介して可撓性平面体1を安定して懸吊し得るようにしている。なお、これらコイルばね4と策条5とが、ほぼ自由にはためく可撓性平面体1の周縁部のはためきを許容しつつ懸吊する懸吊部としての機能をそれぞれ発揮する。
【0030】
ストッパ8は、板金素材を塑性変形加工することにより、平面視ほぼU字状を成すように形成したものである。そして、本実施形態では、その対向する面に、一対の挟持部81を設けている。挟持部81間の寸法は、旗竿2の直径及び支柱7の直径よりも拡開させてあり、これら挟持部81間に、旗竿2及び支柱7を配することができる。
【0031】
ベース9は、可撓性平面体1が強風を受けた場合でも安定するようにほぼ扁平直方体形状に形成した金属製あるいはコンクリート製のものである。なお、ベース9の形状は、ほぼ扁平直方体形状のものに限らず、安定するものであれば、例えば、平面視ほぼ円形状のものでもよい。また、ベース9を建築物や地面等にアンカーボルトなどで固定することを妨げない。
【0032】
以下、本実施形態に係るエネルギ変換器Aの使用方法を以下に説明する。
【0033】
まず、エネルギ変換器Aを、可撓性平面体1の面部1aが風向とほぼ平行になるように、換言すれば横桟6を風向とほぼ平行になるように配置する。
【0034】
すると、可撓性平面体1は、風の刻々と変化する圧力分布に倣って、形態を変化させながら、風の脈動に倣ってはためきを生じ、当該可撓性平面体1に加わる風の圧力等のエネルギを吸収した振動が励起される。この振動は、風速の如何によらず励起される。そして、このように可撓性平面体1に励起された振動は、図1中の矢印D1に示すような旗竿2の振動として、下端側圧電式エネルギ変換部31へと伝達される。このようにして、下端側圧電式エネルギ変換部31に到達した振動エネルギによって、下端側圧電式エネルギ変換部31の圧電バイモルフ素子3aは、その振動方向と同一の方向に変位し、この変化に応じた電圧が発生する。しかして、この下端側圧電式エネルギ変換部31から電気エネルギを得られる。
【0035】
なお、強い風が吹いた場合でも、可撓性平面体1の基端側に設けた旗竿2が、ストッパ8の挟持部81に当接するため、可撓性平面体1自体がはためき過ぎて破れてしまうことや、コイルばね4や策条5が破損してしまうことを防止できる。
【0036】
このように、本実施形態に係るエネルギ変換器Aによれば、可撓性平面体1は、それ自身は固有周期をもたないため、風の刻々と変化する圧力分布に倣って形態を変化させながら、風の脈動に倣ってはためきを生じ、当該可撓性平面体1に加わる風の圧力等のエネルギを吸収した振動が、風の如何によらず励起される。そして、このように可撓性平面体1に励起された振動は、伝達部たる旗竿2によって、エネルギ変換部たる下端側圧電式エネルギ変換部31へと伝達され、下端側圧電式エネルギ変換部31で電気エネルギに変換される。また、風の流れを受ける部分である布製の可撓性平面体1は、プロペラ型風車の羽根のように、剛性を有していないので、乱れた風によっても破損する恐れが少なく、万が一破損したとしても、致命的な怪我等をする確率は格段に低い。また、景観を損ねることなく、さらに、比較的簡単に構成して低コストなものとすることができる。
【0037】
すなわち、風の如何によらず発電可能であり、また、安全で乱れた風でも破損の恐れも少なく、さらに景観を損なわず低コストで実現可能であり、さらにまた保守点検工数の削減を行い得るといった、高機能なエネルギ変換器Aを提供することができる。
【0038】
また、ほぼ自由にはためく可撓性平面体1の周縁部に対して、そのはためきを許容しつつ懸吊する懸吊部たるコイルばね4と策条5とを備えているので、可撓性平面体1の垂れ下がりを防止して、可撓性平面体1全体が、流れにさらされるようにできる。
【0039】
また、はためきの基準軸になる可撓性平面体1の基端側周縁部1uを挟み込みつつ、その基端側周縁部1uから離間して設けた一対の挟持部81を備えたストッパ8を具備しているので、例えば、風により可撓性平面体1が大きくはためいた際に、過剰なはためきを挟持部81によって規制して、伝達部たる旗竿2などの部材の損傷を防止することができる。
【0040】
<第2実施形態>
以下、本発明の他の実施形態を、図2を参照して説明する。なお、第1実施形態と同様の構成及び作用効果を発揮するものについては、同一の符号を付与して説明を省略する。
【0041】
本実施形態に係るエネルギ変換器Aは、図2に示すように、ほぼ矩形状の可撓性平面体1と、可撓性平面体1の上端側周縁部1sに沿って設けてなり且つ可撓性平面体1の上端側周縁部1sのほぼ中央部を伝達部たる策条51を介して支持しさらに振動エネルギを電気エネルギに変換する上端側圧電式エネルギ変換部30と、可撓性平面体1に伝達部たる紐体j1を介して取り付けてなり且つ振動エネルギを電気エネルギに変換する下端側圧電式エネルギ変換部31と、可撓性平面体1の基端側及び下端側圧電式エネルギ変換部31に沿って配され、紐体j2を介して可撓性平面体1を支持する支柱7と、支柱7及び下端側圧電式エネルギ変換部31を支持する回転台Xと、この回転台Xを支柱7の軸回りに回動可能に支持する回動支持部91を備えたベース9とを具備している。
【0042】
上端側圧電式エネルギ変換部30は、第1実施形態の下端側圧電式エネルギ変換部31と同様の構成を有するものである。そして本実施形態では、この上端側圧電式エネルギ変換部30の圧電バイモルフ素子3aが変位し得る方向D2と、可撓性平面体1の面部1aが向く方向とがほぼ一致するように、この上端側圧電式エネルギ変換部30を支柱7に取り付けている。
【0043】
下端側圧電式エネルギ変換部31は、第1実施形態の下端側圧電式エネルギ変換部31と同様の構成を有するものである。そして本実施形態では、この上端側圧電式エネルギ変換部30の圧電バイモルフ素子3aが変位し得る方向D3と、可撓性平面体1の面部1aが向く方向とがほぼ直交するように、この下端側圧電式エネルギ変換部31を回転台Xの上に配している。
【0044】
回転台Xは、支柱7を支持し、下端側圧電式エネルギ変換部31を支持している。
【0045】
ベース9は、本実施形態では、前記回転台Xを回動可能に支持する回動支持部91を備えている。自然風は、風向が変化するが、可撓性平面体1の力は上端側圧電式エネルギ変換器30に対し振動的成分とともに風向に倣う低周波成分を含むので、その平均力によりほぼ風向に倣って回転支持部91が回転し、効率の高い方向を維持することができる。
【0046】
以下、本実施形態に係るエネルギ変換器Aの使用方法を以下に説明する。
【0047】
まず、エネルギ変換器Aを、風の吹く場所に配置する。
【0048】
そして、可撓性平面体1に風が当たると、第1実施形態と同様に、可撓性平面体1は、風の刻々と変化する圧力分布に倣って、形態を変化させながら、風の脈動に倣ってはためきを生じ、当該可撓性平面体1に加わる風の圧力等のエネルギを吸収した振動が励起される。この振動は、風速の如何によらず励起される。そして、このように可撓性平面体1に励起された振動は、図2中の矢印D2、D3に示すような振動として、紐体j1、紐体j2を介して上端側圧電式エネルギ変換部30及び下端側圧電式エネルギ変換部31へと伝達される。このようにして、上端側圧電式エネルギ変換部30及び下端側圧電式エネルギ変換部31に到達した振動エネルギによって、上端側圧電式エネルギ変換部30及び下端側圧電式エネルギ変換部31の圧電バイモルフ素子3aは、その振動方向と同一の方向に変位し、この変化に応じた電圧が発生する。しかして、上端側圧電式エネルギ変換部30及び下端側圧電式エネルギ変換部31から電気エネルギを得られる。
【0049】
下側圧電式エネルギ変換部31に伝達される振動は、風向にほぼ平行に置かれた可撓性平面体1が振動を妨げる方向で風から受ける抗力により生じる抗力振動である。抗力振動による振動エネルギを圧電バイモルフ素子3aにより電気エネルギに変換するすなわち発電する場合、その発電電力量は風速にほぼ比例して増加するものである。したがって、風速に左右されることなく発電を継続できるものである。したがって、風速が低い場合にあっても、その風速に対応した発電量を確保することができる。
【0050】
ところで、回転台X自体は重いので、風向きのゆっくりした変化には追従して回転するが、はためきの高周波の運動に対しては、ほとんど動かない。すなわち、風の向きに応じて可撓性平面体1の向きが自動的に変わり、最適なエネルギ変換を行うことができる。
【0051】
<第3実施形態>
以下、本発明の他の実施形態を、図3を参照して説明する。なお、第1実施形態と同様の構成及び作用効果を発揮するものについては、同一の符号を付与して説明を省略する。
【0052】
本実施形態に係るエネルギ変換器Aは、図3に示すように、ほぼ矩形状の可撓性平面体1と、可撓性平面体1の基端側に沿って配される支柱7と、この支柱7に設けた可撓性平面体1の取付高さを変更するための懸吊高さ位置変更手段Yと、可撓性平面体1の下端側周縁部1tの先端部に取り付けてなり且つ振動エネルギを電気エネルギに変換する電磁誘導式エネルギ変換部32と、可撓性平面体1の下端側周縁部1tの基端部と支柱7との間に設けた紐体h1と、支柱7と電磁誘導式エネルギ変換部32とを支持するベース9とを具備している。
【0053】
懸吊高さ位置変更手段Yは、可撓性平面体1の上端側周縁部1sの基端部に取り付けた紐体h2を巻き取り可能なリール式のリール本体Y1と、支柱7の上端部に設けてなり、前記リール本体Y1により巻き取られる紐体h2を案内する滑車Y2とを備えてなるものであって、紐体h2を巻き取れば、可撓性平面体1の上端側周縁部1sを上方へ移動させて、その上端側周縁部1sと下端側周縁部1tとの間にたるみを無くすことができ、紐体h2を繰り出せば、上端側周縁部1sを下方へ移動させて、その上端側周縁部1sと下端側周縁部1tとの間にたるみを生成することができる。
【0054】
電磁誘導式エネルギ変換部32は、対向配置される一対の磁石部321と、これら磁石部321の間を振り子のように進退する進退部322とを備えてなる。なお、図面手前側の磁石部321は、説明の便宜上破線にて表してある。
【0055】
より具体的には、磁石部321は、ほぼ扇形状を有しその両端側に磁性体たる磁石Mを配してなる。進退部322は、基端側にほぼ扇形状に巻いたコイルCを配したコイル部322aを有するとともに基端側にコイル部322aと連続して設けたほぼ細長三角形状の伝達部たる胴部322bとを有するものである。そして、可撓性平面体1がはためくと、そのはためきに伴って胴部322bが振動し、さらにコイル部322aが、コイル部322aと胴部322bとが連続する位置を回動中心として、磁石部321間を進退する。
【0056】
以下、本実施形態に係るエネルギ変換器Aの使用方法を以下に説明する。
【0057】
まず、エネルギ変換器Aを、可撓性平面体1の面部1aが風向とほぼ平行になるように配置する。
【0058】
すると、第1実施形態と同様にして、風によって、可撓性平面体1に振動が励起される。励起された振動は胴部322bに伝わって、コイル部322aを磁石部321間に進退させることとなる。しかして、磁石部321の磁石Mと、磁石部321間に進退するコイル部322aのコイルCとの電磁誘導作用により、電気エネルギが発生する。
【0059】
なお、本発明は、以上に詳述した実施形態に限られるものではない。
【0060】
例えば、可撓性平面体を、鉛直方向に長手寸法を有するほぼ縦長矩形状のもの(いわゆる「幟」状のもの)としてもよい。この幟状の可撓性平面体101を使用する実施形態を、図4により説明する。
【0061】
<第4実施形態>
エネルギ変換器A4は、縦寸法が横寸法に対して大きい長方形形状、つまり縦長の長方形形状からなる可撓性平面体101と、可撓性平面体101を支持する支持構造体102と、可撓性平面体101が揺動した際に発生させる振動エネルギを電気エネルギに変換するエネルギ変換部を構成する三台の回転式発電機103,104,105と、それぞれの回転式発電機103,104,105と可撓性平面体101と連結する伝達部とからなる。
【0062】
可撓性平面体101は、例えばポリエステル繊維による布製で、素糸の太さ及び織り方は特に限定するものではない。可撓性平面体101は、後述するように、伝達部に結合されることで、はためくように支持構造体102に支持されるもので、その風上側の下端角部分1013は紐体109により支持構造体102に接続してある。このようなポリエステル繊維製のものであれば、濡れると乾いている場合に比較して若干はためき程度が低下するが、乾きも速いことから、このようなはためきの低下が全体のエネルギ変換効率を著しく低下させるものではない。ただし、風速が低い場合においても可撓性平面体101が効率よくはためくために、軽量であることが望ましい。又、濡れる場合を考慮すると、可撓性平面体101は撥水加工及び/又は防水加工したものが好ましい。
【0063】
支持構造体102は、ベース1021と、そのベース1021の上面に立てられる二本の支柱1022,1023と、その支柱1022,1023の上端に取り付けられる取付台1024とからなる。取付台1024は、エネルギ変換部を構成する上側回転式発電機103を支持するとともに、その下面にはコイルばね106が取り付けてある。コイルばね106は、その上端が取付台1024の下面に取り付けてあり、その下端は、可撓性平面体101の風上側の上端角部分1011に結合してある。コイルばね106は、その弾性力により可撓性平面体101の風上側の上端角部分1011が抗力振動するように可撓性平面体101を懸吊するものである。
【0064】
上側回転式発電機103は、可撓性平面体101の風下側の補強上角部分1012の風向方向に直交する方向の振動による振動エネルギを電気エネルギに変換するものである。このため、上側回転式発電機103の回転軸1031には、伝達部材を構成する腕部材107が取り付けてある。この腕部材107の下端部は、可撓性平面体101の補強された風下側の補強上角部分1012に結合される。
【0065】
上記した上側回転式発電機103以外の第一下側回転式発電機104及び第二下側回転式発電機105は、ベース1021の上面に取り付けられている。第一下側回転式発電機104は、可撓性平面体101の風上側の上角部分1011の風向方向の振動による振動エネルギを電気エネルギに変換するものである。第一下側回転式発電機104の回転軸1041には、伝達部を構成する棒体108が接続される。また棒体108は、その上端がコイルばね106が結合される可撓性平面体101の風上側の上端角部分1011に結合してある。
【0066】
第二下側回転式発電機105は、可撓性平面体101の下端側周縁部1013の風向方向に直交する方向の振動による振動エネルギを電気エネルギに変換するものである。第二下側回転式発電機105の回転軸1051には、伝達部を構成する腕部材1052が取り付けてある。腕部材1052の上端には、伝達部を構成する可撓性を有する紐体1053が結合してあり、その紐体1053の上端が可撓性平面体101の下端側周縁部1013の結合位置P1に結合してある。結合位置P1は、可撓性平面体101の大きさに応じて最適位置を設定するもので、このような縦長の幟状の可撓性平面体101にあっては、下端側周縁部1013の両端部分よりその中間部分に最適位置が存在することが実験により確認されている。
【0067】
次に、本実施形態に係るエネルギ変換器A4の動作について説明する。
【0068】
エネルギ変換器A4は、上述のそれぞれの実施形態と同様に、可撓性平面体101の面部101aが風向とほぼ平行になるように配置する。この時、支柱1022,1023が風上側に位置するように、エネルギ変換器A4を設置するものである。
【0069】
風が吹くと可撓性平面体101に振動が励起される。風下側の補強上角部分1012に生じる振動は、腕部材107により上側回転式発電機103の回転軸1031に伝達され、上側回転式発電機103を駆動するものである。これによって、風下側の補強上角部分1012に生じた振動エネルギが電気エネルギに変換されるものである。同様にして、風上側の上角部分1011に生じる振動は、棒体108により第一下側回転式発電機104の回転軸1041に伝達され、第一下側回転式発電機104を駆動するものである。これによって、風上側の上角部分1011に生じた振動エネルギが電気エネルギに変換されるものである。さらに、可撓性平面体101の下端側周縁部1013に生じる振動は、紐体1053及び腕部材1052により第二下側回転式発電機105の回転軸1051に伝達され、第二下側回転式発電機105を駆動するものである。これによって、下端側周縁部1013に生じた振動エネルギが電気エネルギに変換されるものである。
【0070】
このような構成において、第一下側回転式発電機104は、棒体108を介して風上側の上端部分1011の振動すなわち抗力振動が伝達されて発電するものである。これに対して、上側回転式発電機103及び第二下側回転式発電機105は、可撓性平面体101の風向と直交する方向への揺動による振動が伝達されて発電するものである。
【0071】
このため、風速が低い場合にあっても、第一下側回転式発電機104は回転駆動されて、伝達された振動エネルギを電気エネルギに変換するものである。これに加えて、上側回転式発電機103及び第二下側回転式発電機105も可撓性平面体101のはためきに応じて発電を継続する。この結果、風が吹いている状態で刻々と風速が変化しても、恒常的にそれぞれの回転式発電機103,104,105が作動して、発電が途絶えることがない。
【0072】
この第4実施形態の構成により実行した実験の結果について以下に説明する。
【0073】
具体的な構成
可撓性平面体101:縦370mm、横170mm、面積比重50g/m2
第一下側回転式発電機104:2相ハイブリッドパルスモータ(ステッピングモータ)、ステップ角度;7.5度、コイル抵抗;38Ω×2
上側回転式発電機103及び第二下側回転式発電機105:2相パーマネントマグネット型パルスモータ、ステップ角度;15度、コイル抵抗;188Ω×2
【0074】
(1)出力電圧の波形について。
【0075】
図5に、上側回転式発電機103と第二下側回転式発電機105との出力電圧の変化(波形)を示す。可撓性平面体101がはためくことにより、可撓性平面体101の風下側の補強上角部分1012及び下端側周縁部1013が風向に直交する方向に揺動する。この揺動により、それぞれの回転式発電機103,105における複数のステップ角度にわたって各コイルが走査され、その際の出力電圧をプロットするものである。
【0076】
このグラフにおいて、上側回転式発電機103の出力電圧の周波数が第二下側回転式発電機105のその周波数より高いが、これは揺動の振幅が大きいことに起因する。なお、上側回転式発電機103の出力電圧の周期は、可撓性平面体101の揺動運動自体の周期を示すものではない。
【0077】
この実験において、可撓性平面体101の把持位置、すなわち風下側の補強上角部分1012の位置やコイルばね106により与えられる張力により、可撓性平面体101のはためきの状態は著しく変化するものである。多くの場合、間欠的に強いはためきと休止期間とが交互に現れていることがグラフより読み取れるものである。この場合、可撓性平面体101の風上側の下端角部分1013の位置が出力電圧に与える影響は大である。
【0078】
(2)可撓性平面体101の伝達部との結合位置P1と出力電力との関係について。
【0079】
図6に、結合位置を変化させた場合の出力電力の変化を示す。この実験から、下端側周縁部1013における結合位置P1は、下端側周縁部1013の両端の間の中間位置において好適な位置が存在することが判明した。実験においては、風速など、可撓性平面体101がはためくための条件を好適なものにして、ほぼ連続的にはためきが継続した状態で結合位置P1と出力電力とを結果を記録した。なお、結合位置に対する出力電圧の変化傾向は、上述の第2実施形態の構成においても当てはまるものである。
【0080】
(3)出力電力と風速との関係について。
【0081】
図7に、風速を変更した場合の出力電力の変化を示す。それぞれの回転式発電機103,104,105において、ばらつきはあるが、各回転式発電機103,104,105の出力電力を総計した総出力電力は、その勾配つまり風速に対する変化は風速の三乗にほぼ比例するものである。この実験結果に基づいて、はためきによって形成される面積を受風面積とし、その値を入力として効率を算出すると、1.8%程度となった。
【0082】
有効電力を評価するために、回転式発電機つまりパルスモータのコイル1個の出力を整流して容量4700μFのコンデンサに充電させた。この場合に、図8に示すように、実験開始から1分間でコンデンサの端子間の電圧は7.5Vに上昇し、蓄積エネルギは0.13Jであった。この値は、6個のコイルを総計した場合には、0.8Jに相当するものである。したがって、適切な電子回路を適用すれば、間欠的な交信を実行するリモートセンシングシステムの電源として、必要な電力を供給し得るものとなる。
【0083】
なお、上述のそれぞれの実施形態においては、可撓性平面体1を風にさらされる位置に配するように構成しているが、例えば、水等の流体にさらされる位置に配置するようにするものであってもよい。
【0084】
その他、各部の具体的構成についても上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0085】
本発明は、以下に列記する場所や施設などにおいて利用可能である。
【0086】
(1)登山道などにおける無線網の電源設備。
【0087】
無線網を構築するための無線装置は、通信距離が短ければ少ない電力により動作させることが可能である。したがって、近距離に多数の無線局を配置する無線網にあっては、その無線網で必要とする総電力を少なくすることができるので、好ましく本発明を適用することができる。この場合、無線装置として携帯電話の一部を改造して実現し、本発明を太陽電池と共用して電源とするものが挙げられる。このような構成を採用することにより、総合経済性の高いシステムを構築することができる。
【0088】
(2)登山道や道路などに設置する携帯電話の有料電池充電設備。
【0089】
電池の充電の使用料金は、携帯電話のデビットカード機能を用いて支払いできるようにすることにより、利便性も向上し、同設備を盗まれる危険性も防止することができる。この例の応用として、温度調節機能を外して電力消費を少なくした清涼飲料水などの自動販売機、あるいは温度調節機能の不要な防寒具などの自動販売機に適用することも可能である。
【0090】
(3)無人島などを含む島嶼における映像監視施設。
【0091】
このような映像監視施設にあっては、電源を確実に確保しなければならないが、太陽電池による電源装置と相補う構成の電源装置とすることにより、保守間隔を長くすることができる。
【0092】
(4)地下鉄構内やトンネル内での車両通過監視設備。
【0093】
地下鉄構内やトンネル内にあっては、車両の通過により風が発生するので、その風により発電し、車両が通過したことを示す通過信号を発生させ、その通過信号を監視するものである。このように風力を利用して発電することにより、太陽電池の使用できない場所でもこのような監視体制を採用することを可能にするものである。このような監視装置の応用としては、谷風が優位である場合の多い峡谷において、異常な強風の発生を感知して報知するものが挙げられる。
【0094】
上述した活用例においては、無線を介して電源状況をこれらの設備を集中管理する部署に通報するように構成することは言うまでもない。このような構成にすることにより、設備の信頼性を向上させるものである。
【0095】
(5)商品に取り付けられるタグチップ用電源。
【0096】
ほぼ無人化された倉庫において、商品管理のためのロボットに搭載される商品情報読み取り装置は、商品に取り付けられたタグチップから商品情報を読み取るに、タグチップに対して無線で送電するものであるが、比較的大きな送信電力を必要とし、又近接させる必要がある。パッケージ内の商品に取り付けられたタグチップとは近接させることができない場合があり、より大きな電力を要する。パッケージの外側面に可撓性平面体(旗)をたなびかせた発電中継器を設けると、内側の内蔵商品の近くに電力送信アンテナを配置することが可能になる。必要に応じて送風機により風を発生させ、発電中継器に電力を送り、発電中継器から無線で電力を供給されたタグチップは応答信号を発信する。商品情報読み取り装置の受信感度を高くすれば距離をおいても読み取りは可能となり、商品情報を収集することができる。倉庫のように商品が集積され、照明が暗く太陽電池が使いにくい場所では本発明の構成が有利である。
【0097】
これと同様の活用例としては、船積みされるコンテナに本発明を適用するものが挙げられる。船積みの場合は、より強い風を期待することができ、確実に動作させることができる。
【0098】
なお、本発明において得られる電力については、各種の蓄電池に蓄電することにより、より効果的に活用できるものである。蓄電の方法としては、電気以外の形態例えば、水素の形で蓄えることや、その水素により燃料電池を作動させるようにするものであってもよい。これらの蓄電方法については、公知のものを適用するものであってよい。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7