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明細書 :細胞接着促進剤及び細胞の接着を促進させる方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5586463号 (P5586463)
登録日 平成26年8月1日(2014.8.1)
発行日 平成26年9月10日(2014.9.10)
発明の名称または考案の名称 細胞接着促進剤及び細胞の接着を促進させる方法
国際特許分類 C12N   5/071       (2010.01)
C07D 487/20        (2006.01)
FI C12N 5/00 202A
C07D 487/20 CSP
請求項の数または発明の数 12
全頁数 42
出願番号 特願2010-517925 (P2010-517925)
出願日 平成21年6月16日(2009.6.16)
国際出願番号 PCT/JP2009/060950
国際公開番号 WO2009/154201
国際公開日 平成21年12月23日(2009.12.23)
優先権出願番号 2008159369
優先日 平成20年6月18日(2008.6.18)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成24年6月12日(2012.6.12)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504132272
【氏名又は名称】国立大学法人京都大学
発明者または考案者 【氏名】上杉 志成
【氏名】山添 紗有美
個別代理人の代理人 【識別番号】110000796、【氏名又は名称】特許業務法人三枝国際特許事務所
審査官 【審査官】伊達 利奈
参考文献・文献 独国特許出願公開第10350929(DE,A1)
Antiviral Res.,2007年,Vol.55,p.117-127
J.Antimicrobial Chemotherapy,2007年,Vol.60,p.68-77
Virology,2003年,Vol.311,p.134-143
J.Med.Chem.,2004年,Vol.47,p.5630-5640
Chemistry & Biology,2009年,Vol.16,p.773-782
調査した分野 C12N 1/00-7/08
C07D 451/00-521/00

JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY(STN)
BIOSIS/MEDLINE/WPIDS/WPIX(STN)

特許請求の範囲 【請求項1】
下記式(I)で表されるジスピロトリピペラジン誘導体又はその塩を含む、支持体への細胞接着促進剤。
【化1】
JP0005586463B2_000044t.gif
〔式中、R1は、水又はヘテロ原子が1~3個の窒素原子である6員の芳香族ヘテロ環基であり、R2は、ヘテロ原子が1~3個の窒素原子である6員の芳香族ヘテロ環基又は下記式(II)で表される基を意味する前記芳香族ヘテロ環基は、ダンシルヒドラジン化されていてもよく、又はインテグリン結合活性を持つ物質若しくはRGDペプチドが結合していてもよく、前記芳香族ヘテロ環基は、ハロゲン、ヒドロキシ、ホルミル、アルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシ、アルキルチオ、シアノ、ニトロ及びアミノから選択される原子又は基で置換されていてもよい)。
【化2】
JP0005586463B2_000045t.gif
〔式中、R1aヘテロ原子が1~3個の窒素原子である二価の6員の芳香族ヘテロ環基を意味し、R2aは、R1の定義に同じである(R1aで示される芳香族ヘテロ環基は、ハロゲン、ヒドロキシ、ホルミル、アルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシ、アルキルチオ、シアノ、ニトロ及びアミノから選択される原子又は基で置換されていてもよい)。〕〕
【請求項2】
ジスピロトリピペラジン誘導体が以下の群から選択される、請求項1に記載の細胞接着促進剤。
【化3】
JP0005586463B2_000046t.gif
【化4】
JP0005586463B2_000047t.gif
【化5】
JP0005586463B2_000048t.gif
【化6】
JP0005586463B2_000049t.gif
【化7】
JP0005586463B2_000050t.gif
【化8】
JP0005586463B2_000051t.gif
【化9】
JP0005586463B2_000052t.gif
及び
【化10】
JP0005586463B2_000053t.gif

【請求項3】
前記支持体が細胞培養容器である、請求項1に記載の細胞接着促進剤。
【請求項4】
前記細胞が浮遊性細胞である、請求項1に記載の細胞接着促進剤。
【請求項5】
請求項1に記載のジスピロトリピペラジン誘導体又はその塩を培地に添加もしくは支持体に塗布することを特徴とする、支持体へ細胞の接着を促進させる方法。
【請求項6】
請求項2に記載のジスピロトリピペラジン誘導体又はその塩を培地に添加もしくは支持体に塗布することを特徴とする、支持体へ細胞の接着を促進させる方法。
【請求項7】
前記支持体が細胞培養容器である、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記細胞が浮遊性細胞である、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
請求項1に記載のジスピロトリピペラジン誘導体又はその塩を含む、細胞接着及び/又は細胞増殖を促進するヘパラン硫酸のアゴニスト。
【請求項10】
下記式(Ia)で表されるジスピロトリピペラジン誘導体又はその塩。
【化11】
JP0005586463B2_000054t.gif
〔式中、R3は、ヘテロ原子が1~3個の窒素原子である6員の芳香族ヘテロ環基を意味し、R4は、下記式(IIa)で表される基を意味する(前記芳香族ヘテロ環基はダンシルヒドラジン化されていてもよく、又はインテグリン結合活性を持つ物質若しくはRGDペプチドが結合していてもよく、前記芳香族ヘテロ環基は、ハロゲン、ヒドロキシ、ホルミル、アルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシ、アルキルチオ、シアノ、ニトロ及びアミノから選択される原子又は基で置換されていてもよい)。
【化12】
JP0005586463B2_000055t.gif
〔式中、R3aヘテロ原子が1~3個の窒素原子である二価の6員の芳香族ヘテロ環基を意味し、R4aは、R3の定義に同じである(R3aで示される芳香族ヘテロ環基は、ハロゲン、ヒドロキシ、ホルミル、アルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシ、アルキルチオ、シアノ、ニトロ及びアミノから選択される原子又は基で置換されていてもよい)。〕〕
【請求項11】
下記の群から選択されるジスピロトリピペラジン誘導体又はその塩。
【化13】
JP0005586463B2_000056t.gif
【化14】
JP0005586463B2_000057t.gif
【化15】
JP0005586463B2_000058t.gif
【化16】
JP0005586463B2_000059t.gif
及び
【化17】
JP0005586463B2_000060t.gif

【請求項12】
下記式(Ib)で表されるジスピロトリピペラジン誘導体又はその塩。
【化18】
JP0005586463B2_000061t.gif
〔式中、R5は、ヘテロ原子が1~3個の窒素原子である6員の芳香族ヘテロ環基であり、R6は、ヘテロ原子が1~3個の窒素原子である6員の芳香族ヘテロ環基又は下記式(IIb)で表される基を意味する(前記芳香族ヘテロ環基はインテグリン結合活性を持つ物質又はRGDペプチドが結合しており、前記芳香族ヘテロ環基は、ハロゲン、ヒドロキシ、ホルミル、アルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシ、アルキルチオ、シアノ、ニトロ及びアミノから選択される原子又は基で置換されていてもよい)。
【化19】
JP0005586463B2_000062t.gif
〔式中、R5aヘテロ原子が1~3個の窒素原子である二価の6員の芳香族ヘテロ環基を意味し、R6aは、R5の定義に同じである(R5aで示される芳香族ヘテロ環基は、ハロゲン、ヒドロキシ、ホルミル、アルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシ、アルキルチオ、シアノ、ニトロ及びアミノから選択される原子又は基で置換されていてもよい)。〕〕
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、ジスピロトリピペラジン誘導体又はその塩を含む細胞接着促進剤、それらを培地に添加もしくは支持体に塗布することを特徴とする細胞の接着を促進させる方法、及び細胞接着促進効果を有する新規化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
コラーゲン等の天然の細胞外マトリックスは培養が困難な細胞を培養する際のコーティング材として利用され、生物工学、細胞生物学の基礎的研究に大きく寄与してきた。しかしそうした天然の動物由来の素材の欠点として、病気伝染のリスク、純度の低さ、再現性や安定性の乏しさといったことが挙げられる。こうした制約は合成品によって克服可能である。しかし、そうした合成品はしばしば、天然の素材よりも低い接着効果しか得られない。
【0003】
また、ある種のジスピロトリピペラジン誘導体の抗ウィルス活性については、非特許文献1及び2で報告されている。
【先行技術文献】
【0004】

【非特許文献1】Schmidtke, M., Riabova, O., Dahse, H. M., Stelzner, A., Makarov, V., Synthesis, cytotoxicity and antiviral activity of N,N’-bis-5-nitropyrimidyl derivatives of dispirotripiperazine. Antiviral Research (2002), 55(1), 117-127.
【非特許文献2】Artemenko, A. G., Muratov, E. N., Kuz’min, V. E., Kovdienko, N. A., Hromov, A. I., Makarov, V. A., Riabova, O. B., Wutzler, P., Schmidtke, M. Identification of individual structural fragments of N,N’-(bis-5-nitropyrimidyl)dispirotripiperazine derivatives for cytotoxicity and antiherpetic activity allows the prediction of new highly active compounds. Journal of antimicrobial Chemotherapy (2007), 60 (1), 68-77.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、支持体への細胞の接着を促進させる、ジスピロトリピペラジン誘導体又はその塩を含む細胞接着促進剤を提供する。更に、本発明は、ジスピロトリピペラジン誘導体又はその塩を培地に添加もしくは支持体に塗布することを特徴とする、支持体へ細胞の接着を促進させる方法を提供する。本発明は、細胞接着及び/又は細胞増殖を促進するヘパラン硫酸のアゴニストを提供する。また、本発明は、支持体へ細胞の接着を促進させる効果を有する新規化合物を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、合成化合物のライブラリーをスクリーニングする過程で、特定のジスピロトリピペラジン誘導体の存在下では細胞の接着が促進するという知見を得た。本発明は、これら知見に基づき、更に検討を重ねて完成されたものであり、次の細胞接着促進剤、細胞の接着を促進させる方法、細胞接着及び/又は細胞増殖を促進するヘパラン硫酸のアゴニスト及び新規化合物を提供すものである。
項1.下記式(I)で表されるジスピロトリピペラジン誘導体又はその塩を含む、支持体への細胞接着促進剤。
【0007】
【化1】
JP0005586463B2_000002t.gif

【0008】
〔式中、R1及びR2は、同一又は異なって、水素、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルキルアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、アリール置換アルキル基、ヘテロアリール置換アルキル基 (R1及びR2が両方水素の場合は除かれ、R1及びR2はダンシルヒドラジン誘導体化若しくはインテグリン結合活性を持つ物質が結合していてもよく、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基及びアルキル部分は、ハロゲン、ヒドロキシ(当該ヒドロキシはアシル化、カルバメート化又はエーテル化されていてもよい)、シアノ、ニトロ、アミノ、モノ若しくはジ置換アミノ、カルバモイル及びスルファモイルから選択される原子又は基で置換されていてもよく、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、アルキル部分及びシクロアルキル部分は、-O-、-S-、-SO-、-SO-、-OSO-、-NH-、-CO-、-CH=CH-、-C≡C-、-CONH-、-NHCO-、-NHCOO-、-OCHCONH-又は-OCHCO-で割り込まれていてもよく、アリール基、アリール部分、ヘテロアリール基、ヘテロアリール部分、シクロアルキル基及びシクロアルキル部分は、ハロゲン、ヒドロキシ、ホルミル、アルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシ、アルキルチオ、シアノ、ニトロ、アミノ、モノ若しくはジ置換アミノ、カルバモイル、スルファモイル、アルキルスルホニル、アルキルスルホニルアミノ、アルキルカルボニルアミノ、メチレンジオキシ及びアリールから選択される原子又は基で置換されていてもよい)、又は下記式(II)で表される基(R1及びR2が両方下記式(II)で表される基の場合を除く)を意味する。
【0009】
【化2】
JP0005586463B2_000003t.gif

【0010】
〔式中、R1aはアルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、シクロアルキレン基、シクロアルキルアルキレン基、アリーレン基、ヘテロアリーレン基、アリール置換アルキレン基、又はヘテロアリール置換アルキレン基(アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基及びアルキレン部分は、ハロゲン、ヒドロキシ(当該ヒドロキシはアシル化、カルバメート化又はエーテル化されていてもよい)、シアノ、ニトロ、アミノ、モノ若しくはジ置換アミノ、カルバモイル及びスルファモイルから選択される原子又は基で置換されていてもよく、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、シクロアルキレン基、アルキレン部分及びシクロアルキル部分は、-O-、-S-、-SO-、-SO-、-OSO-、-NH-、-CO-、-CH=CH-、-C≡C-、-CONH-、-NHCO-、-NHCOO-、-OCHCONH-又は-OCHCO-で割り込まれていてもよく、アリーレン基、アリール部分、ヘテロアリーレン基、ヘテロアリール部分、シクロアルキレン基、及びシクロアルキル部分は、ハロゲン、ヒドロキシ、ホルミル、アルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシ、アルキルチオ、シアノ、ニトロ、アミノ、モノ若しくはジ置換アミノ、カルバモイル、スルファモイル、アルキルスルホニル、アルキルスルホニルアミノ、アルキルカルボニルアミノ、メチレンジオキシ及びアリールから選択される原子又は基で置換されていてもよい)を意味し、
R2aは、R1及びR2の定義に同じである。〕〕
項2.ジスピロトリピペラジン誘導体が下記の群から選択される、項1に記載の細胞接着促進剤。
【0011】
【化3】
JP0005586463B2_000004t.gif

【0012】
【化4】
JP0005586463B2_000005t.gif

【0013】
【化5】
JP0005586463B2_000006t.gif

【0014】
【化6】
JP0005586463B2_000007t.gif

【0015】
【化7】
JP0005586463B2_000008t.gif

【0016】
【化8】
JP0005586463B2_000009t.gif

【0017】
【化9】
JP0005586463B2_000010t.gif

【0018】
及び
【0019】
【化10】
JP0005586463B2_000011t.gif

【0020】
項3.前記支持体が細胞培養容器である、項1又は2に記載の細胞接着促進剤。
項4.前記細胞が浮遊性細胞である、項1~3のいずれか一項に記載の細胞接着促進剤。
項5.項1に記載のジスピロトリピペラジン誘導体又はその塩を培地に添加もしくは支持体に塗布することを特徴とする、支持体へ細胞の接着を促進させる方法。
項6.項2に記載のジスピロトリピペラジン誘導体又はその塩を培地に添加もしくは支持体に塗布することを特徴とする、支持体へ細胞の接着を促進させる方法。
項7.前記支持体が細胞培養容器である、項5又は6に記載の方法。
項8.前記細胞が浮遊性細胞である、項5~7のいずれか一項に記載の方法。
項9.項1又は2に記載のジスピロトリピペラジン誘導体又はその塩を含む、細胞接着及び/又は細胞増殖を促進するヘパラン硫酸アゴニスト。
項10.下記式(Ia)で表されるジスピロトリピペラジン誘導体又はその塩。
【0021】
【化11】
JP0005586463B2_000012t.gif

【0022】
〔式中、R3及びR4は、同一又は異なって、単環のアリール基、ヘテロアリール基(R3及びR4はダンシルヒドラジン誘導体化若しくはインテグリン結合活性を持つ物質が結合していてもよく、アリール基及びヘテロアリール基は、ハロゲン、ヒドロキシ、ホルミル、アルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシ、アルキルチオ、シアノ、ニトロ、アミノ、モノ若しくはジ置換アミノ、カルバモイル、スルファモイル、アルキルスルホニル、アルキルスルホニルアミノ、アルキルカルボニルアミノ、メチレンジオキシ及びアリールから選択される原子又は基で置換されていてもよい)、又は下記式(IIa)で表される基(R3及びR4が同一であって、5位がニトロ基、アミノ基、ホルミル基若しくはエトキシカルボニル基で置換された4-ピリミジル基、3位がニトロ基で置換された2-ピリジル基、又は2位がニトロ基で置換されたフェニル基である場合、並びR3及びR4の両方が下記式(IIa)で表される基の場合を除く)を意味する。
【0023】
【化12】
JP0005586463B2_000013t.gif

【0024】
〔式中、R3aは単環のアリーレン基又はヘテロアリーレン基(アリーレン基及びヘテロアリーレン基は、ハロゲン、ヒドロキシ、ホルミル、アルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシ、アルキルチオ、シアノ、ニトロ、アミノ、モノ若しくはジ置換アミノ、カルバモイル、スルファモイル、アルキルスルホニル、アルキルスルホニルアミノ、アルキルカルボニルアミノ、メチレンジオキシ及びアリールから選択される原子又は基で置換されていてもよい)を意味し、
R4aは、R3及びR4の定義に同じである。〕〕
項11.下記の群から選択されるジスピロトリピペラジン誘導体又はその塩。
【0025】
【化13】
JP0005586463B2_000014t.gif

【0026】
【化14】
JP0005586463B2_000015t.gif

【0027】
【化15】
JP0005586463B2_000016t.gif

【0028】
【化16】
JP0005586463B2_000017t.gif

【0029】
及び
【0030】
【化17】
JP0005586463B2_000018t.gif

【0031】
項12.支持体への細胞接着を促進させるための、項1又は2に記載のジスピロトリピペラジン誘導体又はその塩の使用。
項13.項1又は2に記載のジスピロトリピペラジン誘導体又はその塩を含む細胞培養用培地。
項14.項1又は2に記載のジスピロトリピペラジン誘導体又はその塩を塗布した細胞培養容器。
【発明の効果】
【0032】
本発明の式(I)で表されるジスピロトリピペラジン誘導体又はその塩は、培地に添加するだけで細胞接着を促進することがはじめて見出された小分子化合物である。
【0033】
本発明の式(I)で表されるジスピロトリピペラジン誘導体又はその塩の存在下では、浮遊性細胞及び足場依存性細胞の両方の支持体への接着が促進する。
【0034】
本発明の式(I)で表されるジスピロトリピペラジン誘導体又はその塩はまた、ヘパラン硫酸のアゴニストとして機能し、細胞接着及び/又は細胞増殖を促進する。
【0035】
更に、式(Ia)で表されるジスピロトリピペラジン誘導体は、細胞接着を促進する効果を有する新規化合物である。
【0036】
この細胞接着促進効果は可逆的である。特筆すべきことに、培地に添加するのみで、細胞の培養プレート上への接着は強めるが、細胞同士の接着は仲介しない。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】(A,B)1%(v/v) DMSOのみ(A)又は6 μMアドヘサミン(B)存在下でインキュベートしたHepG2細胞の顕微鏡写真である。(C,D)0-60 μMのアドヘサミンを培地に添加したHepG2細胞(C)とJurkat細胞(D)の細胞接着を示すグラフである。
【図2】アドヘサミン(1)の可逆的な活性を示すグラフである。接着した細胞は、アドヘサミン(1)の除去後示された時間にカウントされた。接着率を計算するために、洗浄前の細胞数が100%の値とされた。各アッセイは3回行われ、平均と標準偏差が最低3回の独立した実験から計算された。
【図3】細胞増殖と細胞骨格ネットワークにおけるアドヘサミン(1)の効果を示す図である。(A, B)細胞増殖は、アドヘサミン(1)(6μM)の添加後、24、48及び72時間で測定された。1%(v/v)DMSOの存在下での細胞増殖が100%の値とされた。示されたデータは、最低3回の実験の平均±SDである。(C~F)アドヘサミン(6μM)の存在下でのHepG2とJurkat細胞のアクチン繊維の再編成を示す図である。明視野(C, D)と共焦点(E, F)画像が示されている。HepG2(C, E)又はJurkat(D, F)細胞がそれぞれ5又は3時間蒔かれ、アクチン細胞骨格がローダミン標識ファロイジンで可視化された。
【図4】アドヘサミンによる接着斑の形成を示す図である。トリプシン処理されたHepG2細胞がアドヘサミンが添加されたカバーガラスに3時間蒔かれ、固定され、抗ビンキュリン抗体とAlexa Fluor 488ヤギ抗マウスIgGで染色された。
【図5】アドヘサミン誘導細胞接着における細胞骨格阻害剤の効果を示すグラフである。Jurkat細胞はノコダゾール(チューブリン阻害剤)又はサイトカラシンB(アクチン阻害剤)の存在下でアドヘサミン添加によってプラスチックプレートに接着させた。フィブロネクチンでコートされたプレートに接着した細胞で観察されたように、ノコダゾールとサイトカラシンの両方はアドへサミン誘導細胞接着を阻害した。ポリ-L-リジンをコートしたプレートへの細胞接着はサイトカラシンBおよびノコダゾールによって、ほとんど阻害されなかった。アドヘサミンの濃度は6μMであった。フィブロネクチン又はポリ-L-リジンでコートされたプレートは、フィブロネクチン又はポリ-L-リジン(1 ng/ウェル)で96ウェルプレートのウェルを前処理することによって調製された。
【図6】アドヘサミン(1)の誘導体の化学構造式及び細胞接着を示すグラフである。細胞接着を促進させる能力はJurkat細胞で評価した。
【図7】明視野(A,B)及び共焦点(C,D)画像を示す顕微鏡写真である。HepG2細胞は、播種後3時間、化合物4(6 μM, A,C)又は化合物5(6 μM, B,D)と共にインキュベートした。
【図8】アドヘサミン誘導細胞接着におけるRGDペプチドの効果を示す図である。(A, B)Jurkat細胞は、増加する量のRGDペプチド (0-100μg/mL)の存在下でアドヘサミン添加又はフィブロネクチンでコートされたプラスチックプレートに蒔かれた。アドヘサミンとフィブロネクチンの濃度はそれぞれ6μMと5μg/mLであった。接着した細胞は播種後5時間にカウントされた。各点は平均±SDを表している。
【図9】アドヘサミン誘導細胞接着におけるヘパラン硫酸消化酵素の効果を示す図である。(A, B)Jurkat細胞(A)又はHepG2細胞(B)は細胞接着を評価する前に37℃1時間、無血清培地中でヘパリナーゼ、へパリチナーゼI、及びへパリチナーゼIIの0.02 units/mL又はプロテアーゼフリーのコンドロイチナーゼABCの0.1 units/mLで前処理された。処理された細胞は、アドヘサミン添加又はフィブロネクチンでコートされたプラスチックウェルに播種された。接着した細胞は播種後5時間にカウントされた。アドヘサミンとフィブロネクチンの濃度はそれぞれ6μMと5μg/mLであった。各点は平均±SDを表している。(C, D)ヘパリナーゼ/へパリチナーゼI/へパリチナーゼII(C)又はコンドロイチナーゼABC(D)で処理されたHepG2で化合物4の細胞下の局在を示している。
【図10】CHO-K1及びグリコサミノグリカン欠損変異株におけるアドヘサミンの効果を示す図である。(A, B)1%(v/v)DMSO(A)又は6μMアドヘサミン(B)で培養されたCHO-K1(野生型)細胞 (C, D)1%(v/v)DMSO(A)又は6μMアドヘサミン(B)で培養されたCHO 677 (E)6μMのアドヘサミンが培養培地に添加されたときのCHO-K1とその変異株の接着 細胞はアドヘサミン添加又はフィブロネクチンでコートされたプラスチックウェルに播種された。アドへサミンとフィブロネクチンの濃度はそれぞれ6μMと5μg/mLであった。接着細胞は播種後5時間でカウントされた。各点は、平均±SDを表す。
【図11】アドヘサミンによるFAKとERKの活性化を示す図である。(A)アドヘサミン処理におけるFAKとERK活性化の時間的経過 Jurkat細胞は示された時間の間、低血清培地中(0.1% FBS)でアドヘサミン(6μM)により処理された。処理された細胞の溶解物はFAKホスホ-チロシン397(pFAK)、FAK、ERK1/2ホスホ-スレオニン202/チロシン204(pERK)又はERKに対する抗体でウェスタンブロットされた。(B)Jurkat細胞は種々の濃度のアドヘサミン又はポリ-L-リジンと共に5時間インキュベートされた。細胞の溶解物はFAKホスホ-チロシン397又はFAKに対する抗体でウェスタンブロットされた。(C)過剰な量のヘパリン又はRGDペプチド(100μg/mL)の効果 アドヘサミン(1)の濃度は6μMであった。
【図12】化合物1及びコーティング材料の細胞接着促進活性を示す図である。示されたデータは、三回の実験での平均±SDである。ウェルの底面積は0.3 cm2である。
【図13】アドヘサミン(1)の存在下でのJurkat細胞への蛍光色素(Alexa Fluor 594)のマイクロインジェクションを示すグラフである。アドヘサミンは、タイプIコラーゲン、ポリ-L-リジン塩酸塩、及びフィブロネクチン以上にマイクロインジェクションの成功率を上げる。使用された試薬の濃度は5μg/mLであった。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、本発明の細胞接着促進剤、細胞の接着を促進させる方法、細胞接着及び/又は細胞増殖を促進するヘパラン硫酸アゴニストについて詳細に説明する。

【0039】
細胞接着促進剤
本発明の支持体への細胞接着促進剤は、下記式(I)で表されるジスピロトリピペラジン誘導体又はその塩を含むことを特徴とする。

【0040】
・ジスピロトリピペラジン誘導体及びその塩

【0041】
【化18】
JP0005586463B2_000019t.gif

【0042】
〔式中、R1及びR2は、同一又は異なって、水素、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルキルアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、アリール置換アルキル基、ヘテロアリール置換アルキル基 (R1及びR2が両方水素の場合は除かれ、R1及びR2はダンシルヒドラジン誘導体化されていてもよく、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基及びアルキル部分は、ハロゲン、ヒドロキシ(当該ヒドロキシはアシル化、カルバメート化又はエーテル化されていてもよい)、シアノ、ニトロ、アミノ、モノ若しくはジ置換アミノ、カルバモイル及びスルファモイルから選択される原子又は基で置換されていてもよく、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、アルキル部分及びシクロアルキル部分は、-O-、-S-、-SO-、-SO-、-OSO-、-NH-、-CO-、-CH=CH-、-C≡C-、-CONH-、-NHCO-、-NHCOO-、-OCHCONH-又は-OCHCO-で割り込まれていてもよく、アリール基、アリール部分、ヘテロアリール基、ヘテロアリール部分、シクロアルキル基及びシクロアルキル部分は、ハロゲン、ヒドロキシ、ホルミル、アルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシ、アルキルチオ、シアノ、ニトロ、アミノ、モノ若しくはジ置換アミノ、カルバモイル、スルファモイル、アルキルスルホニル、アルキルスルホニルアミノ、アルキルカルボニルアミノ、メチレンジオキシ及びアリールから選択される原子又は基で置換されていてもよい)、又は下記式(II)で表される基(R1及びR2が両方下記式(II)で表される基の場合を除く)を意味する。

【0043】
【化19】
JP0005586463B2_000020t.gif

【0044】
〔式中、R1aはアルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、シクロアルキレン基、シクロアルキルアルキレン基、アリーレン基、ヘテロアリーレン基、アリール置換アルキレン基、又はヘテロアリール置換アルキレン基(アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基及びアルキレン部分は、ハロゲン、ヒドロキシ(当該ヒドロキシはアシル化、カルバメート化又はエーテル化されていてもよい)、シアノ、ニトロ、アミノ、モノ若しくはジ置換アミノ、カルバモイル及びスルファモイルから選択される原子又は基で置換されていてもよく、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、シクロアルキレン基、アルキレン部分及びシクロアルキル部分は、-O-、-S-、-SO-、-SO-、-OSO-、-NH-、-CO-、-CH=CH-、-C≡C-、-CONH-、-NHCO-、-NHCOO-、-OCHCONH-又は-OCHCO-で割り込まれていてもよく、アリーレン基、アリール部分、ヘテロアリーレン基、ヘテロアリール部分、シクロアルキレン基、及びシクロアルキル部分は、ハロゲン、ヒドロキシ、ホルミル、アルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシ、アルキルチオ、シアノ、ニトロ、アミノ、モノ若しくはジ置換アミノ、カルバモイル、スルファモイル、アルキルスルホニル、アルキルスルホニルアミノ、アルキルカルボニルアミノ、メチレンジオキシ及びアリールから選択される原子又は基で置換されていてもよい)を意味し、
R2aは、R1及びR2の定義に同じである。〕〕

【0045】
上記ジスピロトリピペラジン誘導体は、更にRGD(Arg-Gly-Asp)配列等のインテグリン結合活性をもつ物質をリンカーを介するなどして結合させたものであってもよい。

【0046】
上記式(I)で表されるジスピロトリピペラジン誘導体の塩とは、ジスピロトリピペラジン誘導体1分子に対し、一価のアニオン2分子又は二価のアニオン1分子との塩を意味する。このような塩の具体例としては、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硫酸塩、過塩素酸塩等の無機酸塩、シュウ酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、酒石酸塩、安息香酸塩、トリフルオロ酢酸塩、酢酸塩、メタンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、トリフルオロメタンスルホン酸塩等の有機酸塩、及びグルタミン酸塩、アスパラギン酸塩等の酸性アミノ酸塩が挙げられる。

【0047】
上記(I)において示される各基は、より具体的にはそれぞれ次の通りである。

【0048】
「アルキル基」とは、直鎖状、分枝鎖状又は環状のいずれでもよく、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル及びデシルが挙げられる。炭素数は好ましくは1~30であり、より好ましくは1~20である。

【0049】
「アルケニル基」とは、直鎖状、分枝鎖状又は環状のいずれでもよく、二重結合を少なくとも1個有するものを意味し、例えばビニル、アリル、1-プロペニル、2-メチル-2-プロペニル、イソプロペニル、1-、2-若しくは3-ブテニル、2-、3-若しくは4-ペンテニル、2-メチル-2-ブテニル、3-メチル-2-ブテニル、5-ヘキセニル、1-シクロペンテニル、1-シクロヘキセニル、3-メチル-3-ブテニル及びこれらの均等物が挙げられる。炭素数は好ましくは2~30であり、より好ましくは2~20である。

【0050】
「アルキニル基」とは、直鎖状、分枝鎖状又は環状のいずれでもよく、三重結合を少なくとも1個有するものを意味し、例えばエチニル、1-若しくは2-プロピニル、1-、2-若しくは3-ブチニル、1-メチル-2-プロピニル及びこれらの均等物が挙げられる。炭素数は好ましくは2~30であり、より好ましくは2~20である。

【0051】
「シクロアルキル基」の具体例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル及びシクロヘプチルが挙げられる。炭素数は好ましくは3~8であり、より好ましくは5又は6である。

【0052】
「アリール基」とは、5又は6員の芳香族炭化水素環からなる単環又は多環系の基を意味し、具体例としては、フェニル、ナフチル、フルオレニル、アントリル、ビフェニリル、テトラヒドロナフチル、クロマニル、2,3-ジヒドロ-1,4-ジオキサナフタレニル、インダニル及びフェナントリルが挙げられる。

【0053】
「ヘテロアリール基」とは、N、O及びSから選択される1~3個のヘテロ原子を含む、5又は6員の芳香環からなる単環又は多環系の基を意味し、多環系の場合には少なくとも1つの環が芳香環であればよく、他の分子に結合している炭素原子の隣にNが存在することが好ましい。具体例としては、フリル、チエニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、インドリル、キノリル、イソキノリル、ベンゾ[b]チエニル及びベンズイミダゾリルが挙げられる。

【0054】
「アルキル部分」とは、シクロアルキルアルキル基、アリール置換アルキル基及びヘテロアリール置換アルキル基における各アルキル基を意味するだけでなく、ヒドロキシアルキル、アルキルチオ、アルキルスルホニル、アルキルスルホニルアミノ、アルキルカルボニルアミノ、及びアルコキシ基中のアルコキシ(O-アルキル基)中のアルキル基、並びにモノ若しくはジ置換アミノ、カルバモイル及びスルファモイルの置換基であるアルキル基を包含する。

【0055】
「シクロアルキル部分」とは、シクロアルキルアルキル基及びシクロアルキルアルキレン基のシクロアルキル基を意味する。

【0056】
「アリール部分」とは、アリール置換アルキル基及びアリール置換アルキレン基のアリール基を意味する。

【0057】
「ヘテロアリール部分」とは、ヘテロアリール置換アルキル基及びヘテロアリール置換アルキレン基のヘテロアリール基を意味する。

【0058】
アルキル、シクロアルキル、アリール又はヘテロアリール部分を含む複合基の具体例としては、該当部分に各基についての前述の具体例を当てはめたものを挙げることができる。

【0059】
「シクロアルキルアルキル基」の具体例としては、シクロプロピルメチル、シクロブチルメチル、シクロペンチルメチル、シクロヘキシルメチル及びシクロヘプチルメチルが挙げられる。

【0060】
「アリール置換アルキル基」の具体例としては、ベンジル、ナフチルメチル、フルオレニルメチル、アントリルメチル、ビフェニリルメチル、テトラヒドロナフチルメチル、クロマニルメチル、2,3-ジヒドロ-1,4-ジオキサナフタレニルメチル、インダニルメチル、フェナントリルメチル、フェネチル、ナフチルエチル、フルオレニルエチル、アントリルエチル、ビフェニリルエチル、テトラヒドロナフチルエチル、クロマニルエチル、2,3-ジヒドロ-1,4-ジオキサナフタレニルエチル、インダニルエチル及びフェナントリルエチルが挙げられる。

【0061】
「ヘテロアリール置換アルキル基」の具体例としては、フリルメチル、チエニルメチル、ピロリルメチル、イミダゾリルメチル、ピラゾリルメチル、オキサゾリルメチル、チアゾリルメチル、イソオキサゾリルメチル、イソチアゾリルメチル、ピリジルメチル、ピラジニルメチル、ピリミジニルメチル、ピリダジニルメチル、インドリルメチル、キノリルメチル、イソキノリルメチル、ベンゾ[b]チエニルメチル、ベンズイミダゾリルメチル、フリルエチル、チエニルエチル、ピロリルエチル、イミダゾリルエチル、ピラゾリルエチル、オキサゾリルエチル、チアゾリルエチル、イソオキサゾリルエチル、イソチアゾリルエチル、ピリジルエチル、ピラジニルエチル、ピリミジニルエチル、ピリダジニルエチル、インドリルエチル、キノリルエチル、イソキノリルエチル、ベンゾ[b]チエニルエチル及びベンズイミダゾリルエチルが挙げられる。

【0062】
「ダンシルヒドラジン誘導体化」とは、ダンシルヒドラジンとの反応により、ダンシルヒドラジンと結合している状態を意味し、具体的には下記式(c)で表される化合物が挙げられる。

【0063】
「ハロゲン原子」とは、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素を意味する。

【0064】
「アシル化されたヒドロキシ」とは、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ又はアリール置換アルキルカルボニルオキシを意味する。

【0065】
「カルバメート化されたヒドロキシ」とは、アルキルアミノカルボニルオキシ、アリールアミノカルボニルオキシ又はアリール置換アルキルアミノカルボニルオキシを意味する。

【0066】
「エーテル化されたヒドロキシ」とは、アルキルオキシ、アリールオキシ又はアリール置換アルキルオキシを意味する。

【0067】
アルキルカルボニルオキシの具体例としては、メチルカルボニルオキシ、エチルカルボニルオキシ、n-プロピルカルボニルオキシ、イソプロピルカルボニルオキシ、n-ブチルカルボニルオキシ、イソブチルカルボニルオキシ、tert-ブチルカルボニルオキシ、n-ペンチルカルボニルオキシ、イソペンチルカルボニルオキシ及びヘキシルカルボニルオキシが挙げられる。

【0068】
アリールカルボニルオキシの具体例としては、フェニルカルボニルオキシ、ナフチルカルボニルオキシ、フルオレニルカルボニルオキシ、アントリルカルボニルオキシ、ビフェニリルカルボニルオキシ、テトラヒドロナフチルカルボニルオキシ、クロマニルカルボニルオキシ、2,3-ジヒドロ-1,4-ジオキサナフタレニルカルボニルオキシ、インダニルカルボニルオキシ及びフェナントリルカルボニルオキシが挙げられる。

【0069】
アリール置換アルキルカルボニルオキシの具体例としては、ベンジルカルボニルオキシ、ナフチルメチルカルボニルオキシ、フルオレニルメチルカルボニルオキシ、アントリルメチルカルボニルオキシ、ビフェニリルメチルカルボニルオキシ、テトラヒドロナフチルメチルカルボニルオキシ、クロマニルメチルカルボニルオキシ、2,3-ジヒドロ-1,4-ジオキサナフタレニルメチルカルボニルオキシ、インダニルメチルカルボニルオキシ及びフェナントリルメチルカルボニルオキシ、フェネチルカルボニルオキシ、ナフチルエチルカルボニルオキシ、フルオレニルエチルカルボニルオキシ、アントリルエチルカルボニルオキシ、ビフェニリルエチルカルボニルオキシ、テトラヒドロナフチルエチルカルボニルオキシ、クロマニルエチルカルボニルオキシ、2,3-ジヒドロ-1,4-ジオキサナフタレニルエチルカルボニルオキシ、インダニルエチルカルボニルオキシ及びフェナントリルエチルカルボニルオキシが挙げられる。

【0070】
アルキルアミノカルボニルオキシの具体例としては、メチルアミノカルボニルオキシ、エチルアミノカルボニルオキシ、n-プロピルアミノカルボニルオキシ、イソプロピルアミノカルボニルオキシ、n-ブチルアミノカルボニルオキシ、イソブチルアミノカルボニルオキシ、tert-ブチルアミノカルボニルオキシ、n-ペンチルアミノカルボニルオキシ、イソペンチルアミノカルボニルオキシ及びヘキシルアミノカルボニルオキシが挙げられる。

【0071】
アリールアミノカルボニルオキシの具体例としては、フェニルアミノカルボニルオキシ、ナフチルアミノカルボニルオキシ、フルオレニルアミノカルボニルオキシ、アントリルアミノカルボニルオキシ、ビフェニリルアミノカルボニルオキシ、テトラヒドロナフチルアミノカルボニルオキシ、クロマニルアミノカルボニルオキシ、2,3-ジヒドロ-1,4-ジオキサナフタレニルアミノカルボニルオキシ、インダニルアミノカルボニルオキシ及びフェナントリルアミノカルボニルオキシが挙げられる。

【0072】
アリール置換アルキルアミノカルボニルオキシの具体例としては、ベンジルアミノカルボニルオキシ、ナフチルメチルアミノカルボニルオキシ、フルオレニルメチルアミノカルボニルオキシ、アントリルメチルアミノカルボニルオキシ、ビフェニリルメチルアミノカルボニルオキシ、テトラヒドロナフチルメチルアミノカルボニルオキシ、クロマニルメチルアミノカルボニルオキシ、2,3-ジヒドロ-1,4-ジオキサナフタレニルメチルアミノカルボニルオキシ、インダニルメチルアミノカルボニルオキシ及びフェナントリルメチルアミノカルボニルオキシ、フェネチルアミノカルボニルオキシ、ナフチルエチルアミノカルボニルオキシ、フルオレニルエチルアミノカルボニルオキシ、アントリルエチルアミノカルボニルオキシ、ビフェニリルエチルアミノカルボニルオキシ、テトラヒドロナフチルエチルアミノカルボニルオキシ、クロマニルエチルアミノカルボニルオキシ、2,3-ジヒドロ-1,4-ジオキサナフタレニルエチルアミノカルボニルオキシ、インダニルエチルアミノカルボニルオキシ及びフェナントリルエチルアミノカルボニルオキシが挙げられる。

【0073】
アルキルオキシの具体例としては、メチルオキシ、エチルオキシ、n-プロピルオキシ、イソプロピルオキシ、n-ブチルオキシ、イソブチルオキシ、tert-ブチルオキシ、n-ペンチルオキシ、イソペンチルオキシ及びヘキシルオキシが挙げられる。

【0074】
アリールオキシの具体例としては、フェニルオキシ、ナフチルオキシ、フルオレニルオキシ、アントリルオキシ、ビフェニリルオキシ、テトラヒドロナフチルオキシ、クロマニルオキシ、2,3-ジヒドロ-1,4-ジオキサナフタレニルオキシ、インダニルオキシ及びフェナントリルオキシが挙げられる。

【0075】
アリール置換アルキルオキシの具体例としては、ベンジルオキシ、ナフチルメチルオキシ、フルオレニルメチルオキシ、アントリルメチルオキシ、ビフェニリルメチルオキシ、テトラヒドロナフチルメチルオキシ、クロマニルメチルオキシ、2,3-ジヒドロ-1,4-ジオキサナフタレニルメチルオキシ、インダニルメチルオキシ及びフェナントリルメチルオキシ、フェネチルオキシ、ナフチルエチルオキシ、フルオレニルエチルオキシ、アントリルエチルオキシ、ビフェニリルエチルオキシ、テトラヒドロナフチルエチルオキシ、クロマニルエチルオキシ、2,3-ジヒドロ-1,4-ジオキサナフタレニルエチルオキシ、インダニルエチルオキシ及びフェナントリルエチルオキシが挙げられる。

【0076】
モノ若しくはジ置換アミノ基、モノ若しくはジ置換カルバモイル基又はモノ若しくはジ置換スルファモイル基における「モノ置換」とは、アミノ基、カルバモイル基又はスルファモイル基の窒素原子に結合する水素原子の1個がアルキルで置換されていることを意味し、「ジ置換」とは、アミノ基、カルバモイル基又はスルファモイル基の窒素原子に結合する水素原子の2個が同一又は異なるアルキルで置換されていることを意味する。

【0077】
アルキルでモノ置換されたアミノ基としては、メチルアミノ、エチルアミノ、n-プロピルアミノ、イソプロピルアミノ、n-ブチルアミノ、イソブチルアミノ、tert-ブチルアミノ、n-ペンチルアミノ、イソペンチルアミノ及びヘキシルアミノが挙げられる。

【0078】
アルキルでジ置換されたアミノ基としては、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジn-プロピルアミノ、ジイソプロピルアミノ、ジn-ブチルアミノ、ジイソブチルアミノ、ジtert-ブチルアミノ、ジn-ペンチルアミノ、ジイソペンチルアミノ及びジヘキシルアミノが挙げられる。

【0079】
アルキルでモノ置換されたカルバモイル基としては、メチルカルバモイル、エチルカルバモイル、n-プロピルカルバモイル、イソプロピルカルバモイル、n-ブチルカルバモイル、イソブチルカルバモイル、tert-ブチルカルバモイル、n-ペンチルカルバモイル、イソペンチルカルバモイル及びヘキシルカルバモイルが挙げられる。

【0080】
アルキルでジ置換されたカルバモイル基としては、ジメチルカルバモイル、ジエチルカルバモイル、ジn-プロピルカルバモイル、ジイソプロピルカルバモイル、ジn-ブチルカルバモイル、ジイソブチルカルバモイル、ジtert-ブチルカルバモイル、ジn-ペンチルカルバモイル、ジイソペンチルカルバモイル及びジヘキシルカルバモイルが挙げられる。

【0081】
アルキルでモノ置換されたスルファモイル基としては、メチルスルファモイル、エチルスルファモイル、n-プロピルスルファモイル、イソプロピルスルファモイル、n-ブチルスルファモイル、イソブチルスルファモイル、tert-ブチルスルファモイル、n-ペンチルスルファモイル、イソペンチルスルファモイル及びヘキシルスルファモイルが挙げられる。

【0082】
アルキルでジ置換されたスルファモイル基としては、ジメチルスルファモイル、ジエチルスルファモイル、ジn-プロピルスルファモイル、ジイソプロピルスルファモイル、ジn-ブチルスルファモイル、ジイソブチルスルファモイル、ジtert-ブチルスルファモイル、ジn-ペンチルスルファモイル、ジイソペンチルスルファモイル及びジヘキシルスルファモイルが挙げられる。

【0083】
「-O-、-S-、-SO-、-SO-、-OSO-、-NH-、-CO-、-CH=CH-、-C≡C-、-CONH-、-NHCO-、-NHCOO-、-OCHCONH-又は-OCHCO-で割り込まれているアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、アルキル部分及びシクロアルキル部分」とは、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、アルキル部分及びシクロアルキル部分中の炭素間の単結合において、-O-、-S-、-SO-、-SO-、-OSO-、-NH-、-CO-、-CH=CH-、-C≡C-、-CONH-、-NHCO-、-NHCOO-、-OCHCONH-又は-OCHCO-で割り込まれている炭素数が2以上のアルキル基、炭素数が3以上のアルケニル基、炭素数が3以上のアルキニル基、シクロアルキル基、炭素数が2以上のアルキル部分及びシクロアルキル部分を言い、ジスピロトリピペラジンの窒素原子から2炭素以上離れている炭素原子にこれらが結合していることが好ましい。

【0084】
「ヒドロキシアルキル基」の具体例としては、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシ-n-プロピル、ヒドロキシイソプロピル、ヒドロキシ-n-ブチル、ヒドロキシイソブチル、ヒドロキシ-tert-ブチル、ヒドロキシ-n-ペンチル、ヒドロキシイソペンチル及びヒドロキシヘキシルが挙げられる。

【0085】
「アルコキシ基」の具体例としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、tert-ブトキシ、ペンチルオキシ、イソペンチルオキシ及びヘキシルオキシが挙げられる。

【0086】
「アルキルチオ基」の具体例としては、メチルチオ、エチルチオ、n-プロピルチオ、イソプロピルチオ、n-ブチルチオ、イソブチルチオ、tert-ブチルチオ、n-ペンチルチオ、イソペンチルチオ及びヘキシルチオが挙げられる。

【0087】
「アルキルスルホニル基」の具体例としては、メチルスルホニル及びエチルスルホニルが挙げられる。

【0088】
「アルキルスルホニルアミノ基」の具体例としては、メチルスルホニルアミノ及びエチルスルホニルアミノが挙げられる。

【0089】
「アルキルカルボニルアミノ基」の具体例としては、メチルカルボニルアミノ及びエチルカルボニルアミノが挙げられる。

【0090】
「アルキレン基」とは、直鎖状、分枝鎖状又は環状のいずれでもよく、例えば、メチレン、エチレン、n-プロピレン、イソプロピレン、n-ブチレン、イソブチレン、tert-ブチレン、n-ペンチレン、イソペンチレン、ヘキシレン、ヘプチレン、オクチレン、ノニレン及びデシレンが挙げられる。炭素数は好ましくは1~30であり、より好ましくは1~20である。

【0091】
「アルケニレン基」とは、直鎖状、分枝鎖状又は環状のいずれでもよく、二重結合を少なくとも1個有するものを意味し、例えばビニレン、アリレン、1-プロペニレン、2-メチル-2-プロペニレン、イソプロペニレン、1-、2-若しくは3-ブテニレン、2-、3-若しくは4-ペンテニレン、2-メチル-2-ブテニレン、3-メチル-2-ブテニレン、5-ヘキセニレン、1-シクロペンテニレン、1-シクロヘキセニレン、3-メチル-3-ブテニレン及びこれらの均等物が挙げられる。炭素数は好ましくは2~30であり、より好ましくは2~20である。

【0092】
「アルキニレン基」とは、直鎖状、分枝鎖状又は環状のいずれでもよく、三重結合を少なくとも1個有するものを意味し、例えばエチニレン、1-若しくは2-プロピニレン、1-、2-若しくは3-ブチニレン、1-メチル-2-プロピニレン及びこれらの均等物が挙げられる。炭素数は好ましくは2~30であり、より好ましくは2~20である。

【0093】
「シクロアルキレン基」の具体例としては、シクロプロピレン、シクロブチレン、シクロペンチレン、シクロヘキシレン及びシクロヘプチレンが挙げられる。炭素数は好ましくは3~8であり、より好ましくは5又は6である。

【0094】
「アリーレン基」とは、5又は6員の芳香族炭化水素環からなる単環又は多環系の基を意味し、具体例としては、フェニレン及びナフチレンが挙げられる。

【0095】
「ヘテロアリーレン基」とは、N、O及びSから選択される1~3個のヘテロ原子を含む、5又は6員の芳香環からなる単環又は多環系の基を意味し、多環系の場合には少なくとも1つの環が芳香環であればよく、他の分子に結合している炭素原子の隣にNが存在することが好ましい。具体例としては、フリレン及びチエニレンが挙げられる。

【0096】
「アルキレン部分」とは、シクロアルキルアルキレン基、アリール置換アルキレン基及びヘテロアリール置換アルキレン基における各アルキレン基を意味する。

【0097】
アルキレンを含む複合基の具体例としては、該当部分に各基についての前述の具体例を当てはめたものを挙げることができる。

【0098】
「シクロアルキルアルキレン基」の具体例としては、シクロプロピルメチレン、シクロブチルメチレン、シクロペンチルメチレン、シクロヘキシルメチレン及びシクロヘプチルメチレンが挙げられる。

【0099】
「アリール置換アルキレン基」の具体例としては、ナフチルメチレン、フルオレニルメチレン、アントリルメチレン、ビフェニリルメチレン、テトラヒドロナフチルメチレン、クロマニルメチレン、2,3-ジヒドロ-1,4-ジオキサナフタレニルメチレン、インダニルメチレン、フェナントリルメチレン、ナフチルエチレン、フルオレニルエチレン、アントリルエチレン、ビフェニリルエチレン、テトラヒドロナフチルエチレン、クロマニルエチレン、2,3-ジヒドロ-1,4-ジオキサナフタレニルエチレン、インダニルエチレン及びフェナントリルエチレンが挙げられる。

【0100】
「ヘテロアリール置換アルキレン基」の具体例としては、フリルメチレン、チエニルメチレン、ピロリルメチレン、イミダゾリルメチレン、ピラゾリルメチレン、オキサゾリルメチレン、チアゾリルメチレン、イソオキサゾリルメチレン、イソチアゾリルメチレン、ピリジルメチレン、ピラジニルメチレン、ピリミジニルメチレン、ピリダジニルメチレン、インドリルメチレン、キノリルメチレン、イソキノリルメチレン、ベンゾ[b]チエニルメチレン、ベンズイミダゾリルメチレン、フリルエチレン、チエニルエチレン、ピロリルエチレン、イミダゾリルエチレン、ピラゾリルエチレン、オキサゾリルエチレン、チアゾリルエチレン、イソオキサゾリルエチレン、イソチアゾリルエチレン、ピリジルエチレン、ピラジニルエチレン、ピリミジニルエチレン、ピリダジニルエチレン、インドリルエチレン、キノリルエチレン、イソキノリルエチレン、ベンゾ[b]チエニルエチレン及びベンズイミダゾリルエチレンが挙げられる。

【0101】
「-O-、-S-、-SO-、-SO-、-OSO-、-NH-、-CO-、-CH=CH-、-C≡C-、-CONH-、-NHCO-、-NHCOO-、-OCHCONH-又は-OCHCO-で割り込まれているアルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、シクロアルキレン基、アルキレン部分及びシクロアルキル部分」とは、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、シクロアルキレン基、アルキレン部分及びシクロアルキル部分中の炭素間の単結合において、-O-、-S-、-SO-、-SO-、-OSO-、-NH-、-CO-、-CH=CH-、-C≡C-、-CONH-、-NHCO-、-NHCOO-、-OCHCONH-又は-OCHCO-で割り込まれている炭素数が2以上のアルキレン基、炭素数が3以上のアルケニレン基、炭素数が3以上のアルキニレン基、シクロアルキレン基、炭素数が2以上のアルキレン部分及びシクロアルキル部分を言い、ジスピロトリピペラジンの窒素原子から2炭素以上離れている炭素原子にこれらが結合していることが好ましい。

【0102】
本発明のジスピロトリピペラジン誘導体のうちで、特に好適な化合物の具体例として以下の化合物及びその塩が挙げられる。その中でも、式(a)及び(g)で表される化合物が特に好ましい。式(h)で表される化合物は、インテグリン結合活性を持つ物質が結合した化合物である。

【0103】
【化20】
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【0104】
【化21】
JP0005586463B2_000022t.gif

【0105】
【化22】
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【0106】
【化23】
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【0107】
【化24】
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【0108】
【化25】
JP0005586463B2_000026t.gif

【0109】
【化26】
JP0005586463B2_000027t.gif

【0110】
及び

【0111】
【化27】
JP0005586463B2_000028t.gif

【0112】
・有効濃度及び有効量
培地への添加により支持体に細胞を接着させるための上記ジスピロトリピペラジン誘導体又はその塩の有効濃度としては、好ましくは培地中で0.4~400 μM程度、より好ましくは培地中で0.4~60 μM程度である。

【0113】
コーティングにより支持体に細胞を接着させるための式(I)で表されるジスピロトリピペラジン誘導体又はその塩の有効量としては、好ましくは0.03~36.3 pmol/cm2程度、より好ましくは0.30~36.3 pmol/cm2程度である。

【0114】
・支持体
本発明の細胞接着促進剤を用いて細胞を接着させるための支持体としては、通常プラスチックやガラス材料のものであって、細胞を培養するための細胞培養容器又は体内に入れる医療材料であれば特に限定されない。そのような細胞培養容器としては、例えば、培養用12穴、24穴、48穴及び96穴マルチウェルプレート、培養用シャーレ、及び培養用フラスコが挙げられ、組織培養用、又は浮遊培養用のどちらであってもよい。体内に入れる医療材料は、体内に埋め込む人工臓器に使用されるものであり、人工臓器としては、例えば、人工関節、人工血管などが挙げられる。

【0115】
・細胞
本発明の細胞接着促進剤を用いて接着を促進させる細胞としては、本発明の細胞接着促進剤を用いることにより支持体への接着が促進する細胞であれば特に限定されないが、好ましくは動物細胞であり、より好ましくは哺乳類の動物細胞である。例えば、ヒト、マウス、ラット等由来の細胞が挙げられる。また、細胞の種類は細部表面にグリコサミノグリカンが存在する細胞が好ましく、グリコサミノグリカンとしてヘパリン、ヘパラン硫酸又はケラタン硫酸が存在する細胞が特に好ましい。細胞は、足場依存性細胞及び浮遊性細胞のどちらであってもよい。ここで、足場依存性細胞とは、培養容器に接着できなれば生存できず増殖もできない細胞を意味し、例えば繊維芽細胞、上皮細胞、内皮細胞、平滑筋細胞、表皮細胞、肝細胞、骨芽細胞、骨格筋細胞、胚性幹細胞(ES細胞)、人工多能性幹細胞(iPS細胞)等が挙げられる。浮遊性細胞とは、浮遊状態でも増殖できる細胞を意味し、例えば骨髄細胞、リンパ系細胞、腹水ガン細胞等が挙げられる。また、本発明で用いられる細胞としては初代培養細胞も挙げられ、初代培養細胞はいずれの組織に由来するものであってもよい。

【0116】
細胞を培養するために使用する培地は、細胞の種類により適した培地を適宜選択して使用すればよく、例えばダルベッコの改変イーグル培地、ウィリアムズE培地、HamのF-10培地、F-12培地、RPMI-1640培地、MCDB153培地、199培地などの従来公知の細胞培養用基礎培地に、必要に応じて各細胞の培養に適合した従来公知の成長因子や抗酸化剤などを加えたものを使用することができる。また、細胞培養用培地は、血清を添加した培地又は無血清培地のどちらでもよい。

【0117】
細胞の接着を促進させる方法
本発明の支持体へ細胞の接着を促進させる方法は、上記式(I)に記載のジスピロトリピペラジン誘導体又はその塩を培地に添加もしくは支持体に塗布することを特徴とする。

【0118】
本発明の支持体へ細胞の接着を促進させる方法の態様は、好適な具体例として、上記式(a)~(h)に記載のジスピロトリピペラジン誘導体又はその塩を培地に添加もしくは支持体に塗布することを含む。更に好ましくは、式(a)、及び(g)で表される化合物又はその塩を培地に添加もしくは支持体に塗布することである。

【0119】
本発明の支持体へ細胞の接着を促進させる方法の支持体としては、上述した支持体を用いることができる。

【0120】
本発明の支持体へ細胞の接着を促進させる方法の細胞としては、上述した細胞を用いることができる。

【0121】
細胞の接着を促進させるための上記ジスピロトリピペラジン誘導体又はその塩の有効濃度としては、培養液中で好ましくは0.4~400 μM程度、より好ましくは0.4~60 μM程度であり、支持体上で好ましくは0.03~36.3 pmol/cm2程度、より好ましくは0.30~36.3 pmol/cm2程度である。

【0122】
ヘパラン硫酸を介した細胞接着及び/又は細胞増殖のアゴニスト
本発明の細胞接着及び/又は細胞増殖を促進するヘパラン硫酸のアゴニストは、上記式(I)に記載のジスピロトリピペラジン誘導体又はその塩を含むことを特徴とする。

【0123】
ヘパラン硫酸はタンパク質と結合したプロテオグリカンの形で細胞膜の普遍的な成分として広く分布する。上記ジスピロトリピペラジン誘導体は細胞膜上のヘパラン硫酸に結合してアゴニストとして作用し、細胞接着及び/又は細胞増殖を誘導することができる。

【0124】
本発明の細胞接着及び/又は細胞増殖を促進するヘパラン硫酸のアゴニストは、好ましくは上記式(a)~(h)に記載のジスピロトリピペラジン誘導体又はその塩を含ものであり、更に好ましくは式(a)、及び(g)で表される化合物又はその塩を含むものである。

【0125】
当該アゴニストを使用する細胞は、細胞膜上にヘパラン硫酸を有するものであればよい。細胞を培養するための支持体としては前述した支持体を使用することができる。

【0126】
当該アゴニストの細胞培養用の添加量は、上記ジスピロトリピペラジン誘導体又はその塩の有効濃度として、好ましくは培地中で0.4~400 μM程度、より好ましくは培地中で0.4~60 μM程度である。当該アゴニストの細胞を培養するための支持体へのコーティング量は、ジスピロトリピペラジン誘導体又はその塩の有効量として、好ましくは0.03~36.3 pmol/cm2程度、より好ましくは0.30~36.3 pmol/cm2程度である。

【0127】
ジスピロトリピペラジン誘導体のその他の用途
上記式(I)に記載のジスピロトリピペラジン誘導体又はその塩は、細胞の支持体への接着を促進させる活性を有することから、浮遊性細胞にマイクロインジェクションを行う際に添加することでマイクロインジェクションの成功率を上げることができる。これにより、浮遊性細胞に遺伝子をマイクロインジェクションで導入することが容易になる。

【0128】
ジスピロトリピペラジン誘導体及びその塩の製造方法
式(I)で表される化合物及びその塩は、例えば、下記式(III)の化合物とR1-X1及びR2-X2(X1及びX2は同一又は異なる脱離基であり、例えばCl, Br等のハロゲン、p-トルエンスルホニルオキシ、メタンスルホニルオキシ等が挙げられる)とを反応させ、必要に応じて生成物を他の式(I)の化合物に変換させることにより製造することができる。

【0129】
【化28】
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【0130】
式(III)の化合物とR1及びR2の反応性誘導体との反応は、溶媒中又は無溶媒下に行われる。使用する溶媒は、原料化合物の種類等に従って選択されるべきであるが、例えばトルエン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジエチルエーテル、ジクロロメタン、クロロホルム、酢酸エチル、アセトン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン及び1-メチル-2-ピロリジノンが挙げられる。これらの溶媒はそれぞれ単独で、或いは2種以上混合して用いられる。

【0131】
本反応は必要に応じて塩基の存在下で行われる。塩基の具体例としては、トリエチルアミン、エチルジイソプロピルアミン、N-メチルモルホリン、ピリジン、4-ジメチルアミノピリジンのような有機塩基が挙げられる。

【0132】
反応温度及び反応時間は用いる原料化合物の種類等により異なるが、通常、反応温度は約0 ℃~約150 ℃であり、反応時間は約0.5時間~約72 時間である。

【0133】
式(III)の化合物とR1及びR2の反応性誘導体との反応の際のモル比は、原料化合物の種類等により異なるが、通常、1:1.2~1:20、より好ましくは1:2~1:10である。

【0134】
式(e)で表されるジスピロトリピペラジン誘導体のようなジスピロトリピペラジンが2個結合した化合物を製造する際には、上記式(III)の化合物とR1a-X1X2(X1及びX2は上記と同じ定義である)とを反応させ、必要に応じて生成物を他のジスピロトリピペラジン誘導体が2個結合した式(I)の化合物に変換させることにより製造することができる。

【0135】
この場合の式(III)の化合物とR1aの反応性誘導体との反応の際のモル比は、原料化合物の種類等により異なるが、通常、600:1~2:1、より好ましくは200:1~2:1である。

【0136】
R1、R2及びR1aの構造中に反応に関与する官能基が存在する場合には、それらを常法に従って保護しておき、反応終了後に保護基を脱離させることが望ましい。

【0137】
上記製法における原料化合物で化合物(III)、並びにR1、R2及びR1aの反応性誘導体は、自体公知の方法により製造することができるか、或いは市販されているので容易に入手することができる。

【0138】
上記式(III)の化合物とR1、R2及びR1aの反応性誘導体とを反応させた後に、ダンシルヒドラジン誘導体化させることができる。この反応は、ダンシルヒドラジン誘導体化反応に通常用いられる反応条件下にて行うことができる。

【0139】
上記式(III)の化合物と4,6-ジクロロ‐2‐(メチルチオ)ピリミジン‐5-カルボン酸を反応させた後に、カルボン酸部分を活性エステル化し、RGD(アルギニン‐グリシン‐アスパラギン酸)ペプチド誘導体、RGDペプチド模倣体等を反応させることにより、アドヘサミンにインテグリン結合活性を持つ物質を結合させることができる。この反応は活性エステルとアミンの結合反応に通常用いられる反応条件下にて行うことができる。

【0140】
上記製造方法或いはこれらに準じた製造方法により生成する式(I)の化合物は、クロマトグラフィー、再結晶、再沈殿等の常法に従って単離・精製することができる。常法に従って各種の酸と処理することにより塩に導くことができる。また、式(I)の化合物は、反応・処理条件等により、塩の形で得られるが、常法に従って式(I)の化合物に変換することができる。
【実施例】
【0141】
以下、本発明を更に詳しく説明するため実施例及び試験例を挙げる。しかし、本発明はこれら実施例等になんら限定されるものではない。
【実施例】
【0142】
実施例1
【実施例】
【0143】
【化29】
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【実施例】
【0144】
アドヘサミン(1)ジトリフルオロ酢酸塩は250 μLのジオキサンに溶解した4,6-ジクロロ-2-(メチルチオ)-5-ホルミルピリミジン(9.5 mg, 42.7 μmol) に100 μLの3,12-ジアザ-6,9-ジアゾニアジスピロ-(5,2,5,2)-ヘキサデカン二臭化物(7.5 mg, 19.4 μmol)水溶液及び6 μL のトリエチルアミンを加えることで合成した。室温で3時間攪拌後、500 μL のアセトンを加え、析出した白色固体をアセトンで洗い、逆相HPLC (GL science, Inertsil ODS-3, 4.6 mm × 150 mm, 流速 1.0 mL/min,0.1 % TFA MeOH/H2O, 0→ 100 %)にて精製し、白色固体としてアドヘサミン(1)ジトリフルオロ酢酸塩が得られた(11.1 mg, 収率69%)。1H NMR (300 MHz, CD3OD) δ 2.58 (s, 6H), 3.82 - 4.12 (m, 16H), 4.24-4.31 (m, 8H), 10.3 (s, 2H); 13C NMR (150 MHz, DMSO-d6) δ 14.7, 37.6, 42.2, 51.8, 108.1, 161.9, 164.6, 174.2, 187.8; FABMS (NBA) [M2+] m/z = 299; HRMS (FAB) calcd. for C24H32Cl2N8O2S2 [M2+] m/z = 299.0734, found 299.0724
実施例2
【実施例】
【0145】
【化30】
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【実施例】
【0146】
化合物(3)ジトリフルオロ酢酸塩は100 μLのメタノール中でアドヘサミン二塩化物(1, 5.8 mg, 8.6 μmol) にテトラヒドロホウ素ナトリウム (0.6 mg, 16.7 μmol)を添加し、室温で30分攪拌することで合成した。反応混合物に、500 μL のアセトンを加え、析出した白色固体をアセトンで洗い、逆相HPLC (GL science, Inertsil ODS-3, 4.6 mm × 150 mm, 流速 1.0 mL/min,0.1 % TFA MeOH/H2O, 0→ 100 %)にて精製し、白色固体として化合物(3)ジトリフルオロ酢酸塩が得られた(3.8 mg, 収率56%)。1H NMR (300 MHz, CD3OD) δ 2.57 (s, 6H), 3.97 (m, 8H), 4.25 (m, 16H), 4.67 (s, 4H); FABMS (NBA) [M2+] m/z = 301; HRMS (FAB) calcd. for C24H36Cl2N8O2S2 [M2+] m/z = 301.0890, found 301.0897.
実施例3
【実施例】
【0147】
【化31】
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【実施例】
【0148】
化合物(4)ジトリフルオロ酢酸塩は0.1 % TFAを含むメタノール中にてアドヘサミン二塩化物(1, 3.0 mg, 4.5 μmol) とダンシルヒドラジン(2.3 mg, 8.6 μmol)を混合し、65度で3時間過熱して合成した。反応混合物に500μL のアセトンを加え、析出した白色固体をアセトンで洗い、逆相HPLC (GL science, Inertsil ODS-3, 4.6 mm × 150 mm, 流速 1.0 mL/min,0.1 % TFA MeOH/H2O, 0→ 100 %)にて精製し、白色固体として化合物(4)ジトリフルオロ酢酸塩が得られた(2.4 mg, 収率49%)。1H NMR (300 MHz, CD3OD) δ 2.55 (s, 6H), 2.91 (s, 12H), 4.04 - 4.07 (m, 16H), 4.28-4.30 (m, 8H), 7.32 (d, J = 8.1 Hz, 2H), 7.61 (t, J = 8.1 Hz, 2H), 7.66 (t, J = 7.6 Hz, 2H), 8.27 (s, 2H), 8.31 (d, J = 7.6, 2H), 8.40 (d, J = 7.6, 2H), 8.63 (d, J = 8.1, 2H); FABMS (NBA) [M2+] m/z = 546; HRMS (FAB) calcd. for C48H58Cl2N14O4S4 [M2+] m/z = 546.1513, found 546.1523.
実施例4
【実施例】
【0149】
【化32】
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【実施例】
【0150】
化合物(5)ジトリフルオロ酢酸塩は250 μLのジオキサンに溶解した塩化ダンシル (3.6 mg, 13.5 μmol)に100μLの3,12-ジアザ-6,9-ジアゾニアジスピロ-(5,2,5,2)-ヘキサデカン二臭化物(2.4 mg, 6.2 μmol)水溶液及び2.2μL のトリエチルアミンを加え合成した。室温で3時間攪拌後、500μL のアセトンを加え、析出した白色固体をアセトンで洗い、逆相HPLC (GL science, Inertsil ODS-3, 4.6 mm × 150 mm, 流速 1.0 mL/min,0.1 % TFA MeOH/H2O, 0→ 100 %)にて精製し、白色固体として化合物(5)ジトリフルオロ酢酸塩を得た(3.6 mg, 収率82%)。1H NMR (300 MHz, CD3OD) δ 2.93 (s, 12H), 3.76 - 3.90 (m, 16H), 3.95-4.10 (m, 8H), 7.35 (d, J = 8.0 Hz, 2H), 7.58 (d, J = 8.0 Hz, 2H), 7.64 (t, J = 7.7 Hz, 2H), 8.33 (d, J = 7.7, 2H), 8.42 (d, J = 7.7, 2H), 8.72 (d, J = 8.0, 2H); FABMS (NBA) [M2+] m/z = 346; HRMS (FAB) calcd. for C36H48N6O4S2 [M2+] m/z = 346.1589, found 346.1592.
実施例5
【実施例】
【0151】
【化33】
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【実施例】
【0152】
化合物(6)ジトリフルオロ酢酸塩は250 μLのジオキサンに溶解した4,6-ジクロロ-5-ニトロピリミジン(5 mg, 25.7 μmol) に100 μLの3,12-ジアザ-6,9-ジアゾニアジスピロ-(5,2,5,2)-ヘキサデカン二臭化物(4.5 mg, 11.7 μmol)水溶液及び4 μLのトリエチルアミンを加えることで合成した。室温で3時間攪拌後、500 μLのアセトンを加え、析出した白色固体をアセトンで洗い、逆相HPLC (GL science, Inertsil ODS-3, 4.6 mm × 150 mm, 流速 1.0 mL/min,0.1 % TFA MeOH/H2O, 0→ 100 %)にて精製し、白色固体として化合物(6)ジトリフルオロ酢酸塩が得られた(3.2 mg, 収率36%)。1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) 3.92 - 4.00 (m, 16H), 4.10-4.21 (m, 8H), 8.64 (s, 2H); FABMS (NBA) [M2+] m/z = 270.
実施例6
【実施例】
【0153】
【化34】
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【実施例】
【0154】
化合物(7)四塩化物は250 μLのジオキサンに溶解した4,6-ジクロロ-5-ニトロピリミジン(1.2 mg, 6.2 μmol)に100 μLの3,12-ジアザ-6,9-ジアゾニアジスピロ-(5,2,5,2)-ヘキサデカン二臭化物(4.8 mg, 12.3 μmol)水溶液及び4 μL のトリエチルアミンを加えることで合成した。室温で30分攪拌後、95℃に加熱して1時間攪拌し、500 μLのアセトンを加え、析出した白色固体をアセトンで洗い、白色固体として化合物(7)四塩化物が得られた(3.8 mg, 収率85%)。1H NMR (300 MHz, D2O) 3.07 - 3.19 (m, 8H), 3.51-3.65 (m, 8H), 3.72-4.20 (m, 40H); ESIMS (pos.) [M4+] m/z = 143.
実施例7
【実施例】
【0155】
【化35】
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【実施例】
【0156】
化合物(8)四塩化物は125 μLのジオキサンに溶解した4,6-ジクロロ-2-(メチルチオ)-5-ホルミルピリミジン(0.6 mg, 2.9 μmol)に50 μLの化合物7四塩化物(0.9 mg, 1.3 μmol)水溶液及び1 μLのトリエチルアミンを加えることで合成した。室温で3時間攪拌後、500 μLのアセトンを加え、析出した白色固体をアセトンで洗い、白色固体として化合物(8)四塩化物が得られた(0.8 mg, 収率56%)。1H NMR (300 MHz, D2O) 2.42 (s, 6H), 3.75 - 4.20 (m, 48H), 8.02 (s, 1H), 10.00 (s, 2H); ESIMS (pos.) [M4+] m/z = 236.
実施例8
【実施例】
【0157】
【化36】
JP0005586463B2_000037t.gif
【実施例】
【0158】
化合物(9)ジトリフルオロ酢酸塩は氷冷した500μLのジオキサンに溶解した塩化シアヌール(18.0 mg, 97μmol)に200μLの3,12-ジアザ-6,9-ジアゾニアジスピロ-(5,2,5,2)-ヘキサデカンジトリフルオロ酢酸塩(20 mg, 44 μmol)水溶液および12μLのトリエチルアミンを加えること合成した。0℃で2時間攪拌後、500 μL のアセトンを加え、析出した白色固体をアセトンで洗い、白色固体として化合物(9)ジトリフルオロ酢酸塩が得られた(25 mg, 収率77%)。1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) 3.75 - 3.98 (m, 8H), 4.10-4.13 (m, 8H), 4.15-4.20 (m, 8H); ESIMS [M2+] m/z = 261.
実施例9
【実施例】
【0159】
【化37】
JP0005586463B2_000038t.gif
【実施例】
【0160】
【化38】
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【実施例】
【0161】
(A) NBS, AIBN, リフラックス; (B) DMF, 室温; (C) EDC, HOBT, DMF; (D) (i) H2, Pd-C (5%, w/w), MeOH, (ii) 0.01 M in DMSO, 130℃; (E) (i) TFA, アニソール, CH2Cl2, (ii) iPr2NEt, DMF; (F) (i) EDC, HOBT, DMF; (G) 2M NaOH, MeOH-THF (1:1); (H) Et3N, ジオキサン-H2O, 80℃; (I) DCC, N-ヒドロキシスクシンイミド, THF ;(J) (i) TFA, アニソール, CH2Cl2, (ii) Et2N, CH3CN, 室温
【実施例】
【0162】
1(9.85 g)およびN-ブロモスクシンイミド(10 g), AIBN(0.41 g)をCCl4中で、24時間リフラックスさせた。反応混合物をセライト濾過し、溶媒を濃縮後、粗生成物2を得た。
【実施例】
【0163】
DMF中に溶解した2(5 g)に3(3 g)を滴下して加えた。室温にて3時間攪拌後、溶媒を濃縮し、水と酢酸エチルで液液分配後、有機層を濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、4(304 mg)を得た。MS (ESI) 369 (M+)
【実施例】
【0164】
EDC(194 mg), HOBT(145 mg)を4(304 mg)および5(264 mg)のDMF溶液中に加え、24時間室温にて攪拌後、水と酢酸エチルで液液分配し、有機層を濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、6(327 mg)を得た。MS (ESI) 654 (MNa+)
【実施例】
【0165】
Pd-C(5%w/w, 130 mg)を6(327 mg)のMeOH溶液に添加し、水素置換を行い、24時間攪拌した。反応混合物を濾過後、溶媒を濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、脱カルボベンジルオキシ体(200 mg)を得た。これを無水DMSO中に溶解し、130度に加熱し、16時間攪拌後、水とエーテルで液液分配し、有機層を濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、7(60 mg)を得た。MS (ESI) 500 (MNa+)
【実施例】
【0166】
TFAを7(60 mg)のCH2Cl2溶液に加え、室温下にて7時間攪拌後、溶媒を濃縮し、粗生成物をDMFに溶解した。これに8(60 mg)およびiPr2Net(0.2 mL)を添加し、室温下にて4時間攪拌した。反応混合物を水と酢酸エチルで液液分配し、有機層を濃縮後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、9(52 mg)を得た。
【実施例】
【0167】
EDC(84 mg)、HOBT(59 mg)およびNMM(0.19 mL)を10(155 mg)および9 (50 mg)のDMF溶液に添加し、3時間攪拌後、水と酢酸エチルで液液分配し、有機層を濃縮した。その後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、11(104 mg)を得た。
【実施例】
【0168】
NaOH(18 mg)を溶解した水(0.5 mL)をTHF-MeOH(1:1, 2 mL)に溶解した11(50 mg)を加え、16時間攪拌後、酢酸0.2 mLを添加した。溶媒を濃縮除去後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、12(32 mg)を得た。MS (ESI) 687 (MNa+)
【実施例】
【0169】
14(6.8 mg)のジオキサン溶液に13のブロマイド塩(5 mg)の水溶液を添加し、15分攪拌後、5μLのトリエチルアミンを添加し、さらに5時間80度で攪拌した。反応混合物をアセトンで洗い、逆相HPLCにて精製し、15(4 mg)を得た。MS (ESI) 315 (M2+)
【実施例】
【0170】
15(2 mg)およびN-ヒドロキシスクシニミド(1.2 mg)、DCC(2.3 mg)のTHF溶液を室温下にて3時間攪拌し、溶媒を濃縮除去した。
【実施例】
【0171】
12(10 mg)をCH2Cl2に溶解し、TFAを添加して、Boc基を除去した。溶媒を濃縮し、そのまま次の反応に用いた。得られた粗生成物16(1.2 mg)のアセトニトリル溶液に12の脱Boc体(1.6 mg)およびトリエチルアミン10μLを加え、0度で4時間攪拌したのち、溶媒を濃縮除去した。これを逆相HPLCにて精製し、化合物(10)(2.4 mg)を得た。MS (ESI) 788(M2+)
【実施例】
【0172】
材料
3,12-ジアザ-6,9-ジアゾニアジスピロ-(5,2,5,2)-ヘキサデカン二臭化物(化合物3)はSigma-Aldrich社から購入した。4,6-ジクロロ-5-ニトロピリミジン、塩化ダンシル、塩化シアヌール、テトラヒドロホウ素ナトリウムは和光純薬工業株式会社から購入した。4,6-ジクロロ-2-(メチルチオ)-5-ホルミルピリミジンはToronto Research Chemicalsから購入した。ダンシルヒドラジンは東京化成工業株式会社から購入した。化合物1, 3, 4及び5は、前述した方法で作製した。アドヘサミン及びその誘導体 (2-5) はDMSOに希釈し、濃度調整を行い、細胞接着アッセイ及びITC測定に供した。サケ皮由来タイプIコラーゲン及びウシ血漿由来フィブロネクチン(和光純薬工業株式会社)、ポリ-L-リジン塩酸塩(株式会社ペプチド研究所)、ポリ-L-オルニチン臭素水素酸塩(MP Biomedicals, Inc.) はMilli-Q水に溶解し、使用するまで-20℃で保存した。ヘパリン (平均分子量 (Mw), 18.0 kDa)及びヘパラン硫酸(Mw, 13.6 kDa) はナトリウム塩をそれぞれ、MP Biomedicals Inc. およびCelsus社から購入した。コンドロイチン硫酸 A(Mw, 37.5 kDa)、ケラタン硫酸(Mw, 30.0 kDa)及びヒアルロン酸(Mw, 125.0 kDa)は生化学工業株式会社から購入した。ウサギ抗FAK(C-20)抗体及びウサギ抗ERK(C-16)抗体はSanta Cruz Biotechnologyから購入した。マウス抗FAK(ホスホ-チロシン397)抗体はBD Biosciences Pharmingenから得た。ウサギ抗ERK1/2ホスホ-スレオニン202/チロシン204(pERK)抗体はCell Signaling Technologyから購入した。抗ウサギ及び抗マウス免疫グロブリンG(IgG)(西洋ワサビペルオキシダーゼ結合完全抗体)とECL Plus Western blotting detection reagentsはGE Healthcareから購入した。合成RGD特異的ペプチド(GRGDTP)はシグマ社から購入した。
【実施例】
【0173】
細胞培養および小分子化合物スクリーニング
HepG2細胞は10%ウシ胎児血清(FBS) と1% ペニシリン/ストレプトマイシンを添加したMEM を培地とし、37℃、5% CO存在下にて培養した。Jurkat細胞は10%ウシ胎児血清(FBS)と1%ペニシリン/ストレプトマイシンを添加したRPMI-1640 を培地とし、37℃、5% CO存在下にて培養した。小分子化合物のスクリーニングは20 μg/mL の濃度で各化合物を添加した96穴プレートに、HepG2懸濁液(2 × 105 cells/mL)100μLを播種し、3, 16, 24時間後に顕微鏡下にて表現系変化を観察した。CHO K1細胞とCHO欠損変異株は7.5%ウシ胎児血清を追加されたHam’s F-12培地中で維持された。
【実施例】
【0174】
細胞接着アッセイ
添加によるアッセイ-50、500及び5000 μg/mLの濃度でアドヘサミン(1)、タイプIコラーゲン、ポリ-L-リジン塩酸塩、ポリ-L-オルニチン臭素水素酸塩及びフィブロネクチンの水溶液1μL を96穴プレートに添加し、ここにHepG2懸濁液(4 × 105cells/mL)100 μLを加えた。3時間37℃でインキュベートした後、接着していない細胞を3回PBSでウェルを洗うことで除去し、接着した細胞数をNeubauer counting chamber (Digital Bio)にてカウントした。Jurkat 細胞については 100 μL の細胞懸濁液をそれぞれのウェルに1 × 106 cells/mLの濃度で播種し、5時間37℃でインキュベートしたのち、PBSで2回ウェルを洗うことで接着していない細胞を除去し、接着した細胞数をNeubauer counting chamber (Digital Bio)にてカウントした。接着率を算出するため、最初に播種した細胞数を100%とした。対照実験は1μLのDMSOのみを添加したウェルにて行った。それぞれのアッセイを3回行い、平均値および標準偏差を算出した。
【実施例】
【0175】
CHO野生型及び欠損変異株については、培養培地中でトリプシン処理された100μLの細胞懸濁液をそれぞれのウェルに2× 105 cells/mLの濃度で播種し、5時間37℃でインキュベートしたのち、PBSで2回ウェルを洗うことで接着していない細胞を除去し、接着した細胞数をNeubauer counting chamber (Digital Bio)にてカウントした。接着率を算出するため、洗浄前の細胞数を100%とした。各アッセイを3回行い、最低3回の独立した実験により平均値および標準偏差を算出した。
【実施例】
【0176】
コーティングによるアッセイ-各試料(アドヘサミン(1)、タイプIコラーゲン、ポリ-L-リジン塩酸塩、ポリ-L-オルニチン臭素水素酸塩及びフィブロネクチン)の濃度調製は1%のDMSOを含む10 mM PBS によって希釈して行った。100 μL のそれぞれの溶液(1、10、及び100 μg/mL) を96ウェルに添加し、一晩4℃でインキュベートした後、ウェルをMilli-Q 水にて二回洗った。100 μL のJurkat細胞懸濁液(1 × 106 cells/mL)をコーティングを施したウェルに播種し、5時間37℃でインキュベートした後、PBSで2回ウェルを洗うことで接着していない細胞を除去し、接着した細胞数をNeubauer counting chamber (Digital Bio)にてカウントした。
【実施例】
【0177】
アドヘサミンとその誘導体との細胞接着促進活性の比較は試薬添加によるアッセイでJurkat細胞を用いて行った。60μM,600μM,6000μMの濃度に調製した化合物のDMSO溶液1μLを96穴プレートに添加し、ここにJurkat懸濁液(1 × 106 cells/mL)100μLを加えた。5時間37℃でインキュベートしたのち、PBSで2回ウェルを洗うことで接着していない細胞を除去し、接着した細胞数をNeubauer counting chamber (Digital Bio)にてカウントした。接着率を算出するため、最初に播種した細胞数を100%とした。対照実験は1μLのDMSOのみを添加したウェルにて行った。それぞれのアッセイを3回行い、平均値および標準偏差を算出した。
【実施例】
【0178】
競合阻害試験
アドヘサミン(1, 0.6 nmol) と0.006 から12 nmolまで濃度をふった各種グリコサミノグリカン(GAG)(ヘパリン、ヘパラン硫酸、コンドロイチン硫酸、ケラタン硫酸、ヒアルロン酸及びヘパリンオリゴ糖)を10μLの100 mM NaCl と1% DMSOを含む50 mMリン酸バッファー(pH 6.0)中にてボルテックスミキサーで室温にて30分攪拌後、それぞれの混合物を96ウェルプレートに移し、90μL のJurkat細胞懸濁液(1 × 105 cells/mL)を加えた。5時間37℃でインキュベートした後、PBSで2回ウェルを洗うことで接着していない細胞を除去し、接着した細胞数をNeubauer counting chamber (Digital Bio)にてカウントした。阻害率を算出するため、各試料を加えて接着が認められた細胞数から、1%のDMSOのみ又は1%のDMSOと各濃度のGAGのみを加えたウェルにおける接着細胞数を差し引いた。阻害率は次の式で表される。
【実施例】
【0179】
【数1】
JP0005586463B2_000040t.gif
【実施例】
【0180】
ここで、AC+(-)GAGs, +(-)アドヘサミンはGAGs及びアドヘサミンの存在化(非存在化)での接着細胞数を表す。IC50値は6 μMのアドヘサミンが誘導する接着活性を50%阻害する各GAGの濃度とする。結果をGAGの濃度の対数に対し、阻害率をプロットし、複数の独立した実験に基づき、得られた曲線からIC50を求めた。
【実施例】
【0181】
等温滴定カロリメトリー(ITC)
ITC 測定は25℃でMicoCal VP-ITCマイクロカロリメーターを用いて行った。アドヘサミン(15 μM) 10 μLを25 回、GAG(2.7 mM のヘパラン硫酸、ヘパリン、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸及びヘパリンオリゴ糖)に注入し、滴定を行った。滴定は100 mM NaCl および 1%DMSOを含む50 mMリン酸バッファー(pH 6.0) 中で行った。GAGsは重合度により分子量にばらつきがあるため、これを補正したうえで、ITCにおける熱流量を比較する必要がある。このためGAGsの場合のモル濃度は、二糖単位の濃度を示している。
【実施例】
【0182】
細胞剥離アッセイ
アドヘサミン(1)のDMSO溶液1μL(6mM)が96ウェルプレートの各ウェルに供給された。Jurkat細胞が増殖培地に懸濁され、細胞懸濁液の100μLが各ウェルに1×106cells/mLの濃度で添加された。37℃で5時間インキュベーション後、培地が吸引され、プレートがPBSで2回洗われた。新しい培地100μLが各ウェルに添加された。更に37℃で4、8、14及び24時間インキュベーション後、非接着細胞が2回PBSで洗浄することで除去され、接着細胞がNeubauer counting chamberでカウントされた。接着率を計算するため、洗浄前の細胞数が100%の値とされた。各アッセイは3回行われ、平均と標準偏差が最低3回の独立した実験から計算された。
【実施例】
【0183】
共焦点顕微鏡
HepG2 細胞の懸濁液 (100 μL) を96穴プレート(Greiner bio-one)に2 × 105 cells/mLの細胞密度で播種し、化合物4 および 5(6 μM) と共に3時間37℃でインキュベートした。インキュベーション後、培地交換を行った後、蛍光顕微鏡観察に供した。顕微鏡像はYokogawa 社製USC 22共焦点蛍光顕微鏡にて励起波長 405 nmで行った。
【実施例】
【0184】
細胞の酵素処理
Jurkat細胞(5×104)はRPMIの100μL中で培養され、室温で30分間、ヘパリナーゼ、へパリチナーゼI及びヘパリチナーゼIIの併用(0.02 units/mL)又はコンドロイチナーゼABC(0.1 units/mL)で処理された。処理された細胞のアドヘサミンに反応する能力はアドヘサミンの存在下(6μM)で96ウェルプレートのプラスチックウェルに接着した細胞をカウントすることにより評価された。
【実施例】
【0185】
細胞増殖アッセイ
アドヘサミン(1)のDMSO溶液1μLが600μMの濃度で96ウェルプレートに添加された。HepG2細胞とJurkat細胞は増殖培地に懸濁され、100μLの細胞懸濁液がそれぞれ2×105 cells/mL及び4×105cells/mLの濃度で各ウェルに添加された。示された時間のインキュベーション後、細胞生存度が生細胞中のNADHデヒドロゲナーゼによって水溶性ホルマザン色素を生成するテトラゾリウム塩(WST-8)を含むCell Counting Kit-8(Dojindo Molecular Technologies, Inc., Gaithersburg, MD)を使用して測定された。5μlのWST-8アッセイ溶液が各ウェル当たり100μlの増殖培地に加えられ、4時間インキュベートされた。溶液の光学密度(OD)が、450 nmの測定波長と650 nmの参照波長を使用してマイクロプレートリーダーで読まれた。1%(v/v)のDMSOを含む増殖培地でインキュベートされた細胞生存度が100%の値とされた。各アッセイは3回行われ、平均と標準偏差が最低3回の独立した実験から計算された。
【実施例】
【0186】
ローダミン標識ファロイジンによるアクチン骨格の可視化
Jurkat又はHepG2細胞がアドヘサミン(6μM)の存在下でカバーガラスに蒔かれた。それぞれ5又は3時間後に20分間4%パラホルムアルデヒドを使用して固定された。細胞膜は(PBS中の)0.1% triton X-100での5分間の処理により透過化された。サンプルはPBSで2回洗浄され、製造会社の使用説明書(Invitrogen)に従ってアクチン細胞骨格がローダミン標識ファロイジンで可視化された。細胞画像は588 nmレーザー励起を用いたYokogawa CSU22共焦点蛍光顕微鏡で取り込まれた。
【実施例】
【0187】
細胞骨格阻害
Jurkat細胞(5×104)は100μLのRPMI中で培養され、37℃でサイトカラシンB(0-100μM)又はノコダゾール(0-0.5μM)と共にインキュベートされた。処理された細胞は、アドヘサミン(6μM)への反応がアッセイされた。フィブロネクチン又はポリ-L-リジンでコートされたプレートへの反応も評価された。コートされたプレートはフィブロネクチン又はポリ-L-リジン(1 ng/ウェル)で96ウェルプレートのウェルを前処理することにより調製された。
【実施例】
【0188】
ウェスタンブロッティング
Jurkat細胞は10%FBSを含むRPMI培地で維持された。5-6百万のJurkat細胞が最終容量2 mLで6ウェルプレートのウェルに供給され、アドヘサミン又はポリ-L-リジンの存在下で0-5時間37℃でインキュベートされた。非接着細胞は除去され、ペレット化された。残りの接着細胞は4%SDS、10%グリセロール、0.006%ブロモフェノールブルー及び1.8%β-メルカプトエタノールを含む125 mMのTris-HClバッファー(pH 6.8)で溶解された。接着細胞のホモジネートは同じウェルからのペレット化された非接着細胞と混合され、混合されたサンプルは5分間煮沸された。サンプルはSDS-PAGEによって分離され、ニトロセルロース膜にエレクトロブロットされた。膜は1%BSAでブロックされ、一次抗体と共にインキュベートされ、それから西洋ワサビペルオキシダーゼ結合二次抗体と共にインキュベートされた。ブロットは増強した化学発光技術を使用して現像された。
【実施例】
【0189】
マイクロインジェクション
アドヘサミン(1)、タイプIコラーゲン、ポリ-L-リジン塩酸塩、及びフィブロネクチンの溶液が、1%(v/v)DMSOを含むPBSで希釈することによって調製された。各溶液の10μL(1 mg/mL)がガラス底培養ディッシュ(35 mm未コートディッシュ)に添加された。培養培地中の細胞懸濁液2 mLが、2×105 cells/mLの濃度で各ウェルに添加された。37℃で14時間インキュベーション後、5 mg/mLの濃度でAlexa Fluor 594(Molecular Probes, USA)が、CI-2000自動化細胞インジェクションシステム(富士通製)を使用することによりJurkat細胞に注入された。マイクロインジェクションの成功率は、インジェクションシステムの蛍光顕微鏡の表示を通じての蛍光細胞の直接的な観察によって評価された。示されたデータは、最低3回の実験の平均±SDである。20の細胞が各実験で注入された。
【実施例】
【0190】
試験例1
アドヘサミンの存在下では、HepG2細胞は培養プレート上への接着が強まることが観察された(図1A, B)。細胞接着を促進していることを確かめるために、トリプシン処理にてプレートから脱着したHepG2細胞をアドヘサミン0.6-60 μM存在下で培養し、再接着の度合いを評価した。培養時間は3時間としたが、これはHepG2細胞が3時間のうちに培養プレート上へ接着し始めるからである。3時間後、プレートをリン酸バッファーで洗い、接着していない細胞を除去したのち、プレート上に残った接着細胞の数をカウントした。1その結果、アドヘサミンは最大でHepG2の接着を2倍まで高め、その作用は濃度依存的であることが分かった(図1C)。
【実施例】
【0191】
しかしながら、HepG2はプラスチック製の組織培養用プレートに接着するという性質を有しているので、浮遊細胞であるヒトのTリンパ球系のがん細胞、Jurkat細胞においても同様の効果が見られるかどうかを試した。その結果、驚くべきことに6、60μMのアドヘサミンによって、それぞれ30、60%のJurkat細胞を接着させることができると分かった(図1D)。PBSで2回プレートを洗浄することによるアドヘサミンの除去は細胞を脱離させた。Jurkat細胞の93%は洗浄後24時間で培養プレートの表面から離れた(図2)。これはアドヘサミンの作用が可逆的であることが示唆される。特筆すべきことに、アドヘサミンは細胞同士の接着は促進することなく、細胞と基質間での接着を高める。アドヘサミンを添加するのみで、Jurkat細胞の培養プレート上への接着は強めるが、細胞同士の接着は仲介しない。
【実施例】
【0192】
試験例2
アドヘサミンは試験した細胞型では明確な細胞毒性を有していない。細胞増殖は実際には、強められた(図3AB)。細胞の形態も維持されたHepG2細胞やJurkat細胞のように通常であった(図1)。ローダミン標識ファロイジンでのアクチン細胞骨格の可視化は、接着細胞でのFアクチンネットワークを明らかにした。アクチンフィラメントの束がHepG2細胞において細胞軸に平行に又は細胞突起を突き通して走っていた。生存していることを暗示させるよく組織化した皮質のアクチン構造はJurkat細胞で形成していた(図3EF)。そのように組織化されたアクチン構造は非特異的なコーティング剤であるポリ-L-リジンでコートされたプレートに接着した細胞では検出されなかった。
【実施例】
【0193】
細胞はまた、接着斑のマーカーであるビンキュリンに対する抗体で染色された。非処理HepG2細胞はコンタクトを形成していない時に、播種後直ぐにビンキュリン含有接着斑はアドヘサミン処理細胞で観察された(図4)。これらの観察は、プレートへの細胞のアドヘサミン誘導接触は細胞接着の通常の予定で開始することを示していた。2, 3
【実施例】
【0194】
アドヘサミン媒介接着を試験するために、細胞骨格阻害剤の効果が評価された。接着アッセイが、それぞれアクチンフィラメントと微小管形成を阻害する薬剤であるサイトカラシンB又はノコダゾールでの処理後に行われた。4, 5フィブロネクチン媒介細胞接着を低下させるように、サイトカラシンB又はノコダゾールはアドヘサミン媒介細胞接着を量依存的に阻害した。反対に、2種の薬剤はポリ-L-リジンによる細胞接着誘導において検出可能な効果を有さなかった(図5AB)。これらのデータは全体的にアドヘサミンが生体由来の細胞外マトリックスによる誘導によく似た細胞接着を誘導することを示唆している。
【実施例】
【0195】
試験例3
細胞接着作用の仕組みを探るため、まずアドヘサミン誘導体2種の活性を評価した。その結果、末端のピリミジン環を除去すると活性は完全に失われるが(図6、化合物2)、ピリミジン環上のアルデヒド基を水酸基に還元しても活性は保たれることが明らかになった(化合物3)。そこで、ピリミジン環上のアルデヒド部分に蛍光基を施して分子の挙動を探ることにした。蛍光基としてはダンシル基を用いた。作製したダンシル結合型アドヘサミン(化合物4)は細胞接着促進活性を保持していた。
【実施例】
【0196】
化合物4の蛍光顕微鏡観察により、この蛍光プローブ体(化合物4)は細胞表面に局在していることが明らかにされた(図7A, C)。対照的に、活性のないダンシル結合型ジスピロトリピペラジン(5)はどこにも局在しなかった(図7B, D)。
【実施例】
【0197】
細胞表面の標的の候補は、フィブロネクチンのような細胞外マトリックスの周知の細胞表面受容体であるインテグリンであった。この可能性を調査するために、インテグリンのフィブロネクチン相互作用ドメインに結合しマスクするArg-Gly-Asp(RGD)ペプチドを培地に添加し、アドへサミンの活性を競合阻害する能力を試験した。RGDペプチドはフィブロネクチンでコートされたプレート上でJurkat細胞の接着を減少させた。しかし高濃度(100μg/mL)でさえJurkat細胞のアドヘサミン誘導接着の阻害に失敗した(図8A, B)。アドヘサミンはインテグリンのフィブロネクチン認識ドメインとの相互作用を通じて活性を発揮してないようであった。
【実施例】
【0198】
アドヘサミンの他の潜在的な標的はグリコサミノグリカン(GAG)であり6、これはインテグリンと共に細胞接着に主要な役割を果たすと報告されている負電荷を帯びた細胞表面の糖鎖である。7-11GAGはヘパリン、ヘパラン硫酸、コンドロイチン硫酸、ケラタン硫酸、及びヒアルロン酸の5種類に分類できる。これらのGAGをアドヘサミンとともに投与し、アドヘサミンの活性が競合的に阻害されるかどうかを確かめた(表1)。その結果、ヘパリン、ヘパラン硫酸、ケラタン硫酸によってアドヘサミンの活性は阻害され、そのIC50(アドヘサミン6 μMによって誘導される接着活性を50%阻害する濃度とする)はそれぞれ、0.27、0.79、1.03 μMであった。コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸によっては競合阻害が起こらなかった。アドヘサミンとこれらの分子同士の相互作用を確認するため、アドヘサミンと各種GAGとの結合に伴って発生する熱量差をITCによって測定した。12ヘパリン、ヘパラン硫酸、及びケラタン硫酸による滴定では明確な吸熱反応が認められ、算出されたKd値はそれぞれ、0.39、4.67、5.85 μMであった。一方、コンドロイチン硫酸、及びヒアルロン酸の滴定によっては熱量差が得られず、Kd値は算出できなかった。これらのデータからアドヘサミンは細胞表面のヘパリン、ヘパラン硫酸、ケラタン硫酸に選択的に結合している可能性が示唆される。
【実施例】
【0199】
【表1】
JP0005586463B2_000041t.gif
【実施例】
【0200】
相互作用を詳細に調べるため、Kd値が最も優れていたヘパリンに焦点を絞ってさらに実験を進めた。ヘパリンは直鎖状の多糖で、主に硫酸化されたウロン酸とD-グルコサミンの二糖単位の繰り返しからなる。13結合する最小の長さを明らかにするため、アドヘサミンと各長さのヘパリン(2、4、6、8、10糖)との相互作用をITCと競合阻害実験により評価した。両方の実験で、6糖が最も高いアドヘサミンとの親和性を示した(表2)。ITCの結果により、6糖1分子に対し、アドヘサミン2分子が結合することが示唆され、Kd値は0.12μMであった。
【実施例】
【0201】
【表2】
JP0005586463B2_000042t.gif
【実施例】
【0202】
試験例4
その他のアドヘサミン誘導体の細胞接着促進活性を評価した。結果を表3に示す。
【実施例】
【0203】
【表3】
JP0005586463B2_000043t.gif
【実施例】
【0204】
試験例5
アドヘサミンとの細胞接着が細胞表面ヘパラン硫酸によって媒介されていること確かめるために、Jurkat細胞はGAG消化酵素で処理された。ヘパリナーゼ、ヘパリチナーゼI及びへパリチナーゼII(0.02 units/mL)での細胞表面ヘパラン硫酸鎖の消化は、アドヘサミン誘導細胞接着を減少させた。反対に、5倍高い濃度(0.1 units/mL)のコンドロイチナーゼABCは、アドヘサミン誘導細胞接着の検出可能な効果はなかった(図9A)。影響はアドヘサミンで処理された細胞より小さかったが、ヘパラン硫酸での消化はフィブロネクチンでコートされたプレートへの細胞の接着に影響を与えた(図9A)。これはフィブロネクチンが細胞接着を媒介するインテグリンとヘパラン硫酸の両方に結合するという以前の発見に一致する。
【実施例】
【0205】
HepG2細胞の未処理の又はアドヘサミンで強化された接着におけるGAG消化酵素の効果を実験した。HepG2細胞の未処理の接着はGAG消化酵素での処理によってわずかに低下した。細胞がそれぞれヘパリナーゼ/へパリチナーゼI/へパリチナーゼII(0.02 units/mL)又はコンドロイチナーゼABC(0.1 units/mL)で処理されたときに、13%と7%の阻害が観察された(図9B)。Jurkat細胞で観察されたように、アドヘサミン誘導細胞接着は、ヘパラン硫酸消化酵素で取り消されたが、コンドロイチナーゼABCでは取り消されなかった(図9B)。
【実施例】
【0206】
化合物(4)の蛍光プローブの局所化でのGAG消化酵素の効果を調査した。細胞がヘパラン硫酸消化酵素で処理されたときには、化合物4は細胞表面から拡散したが、コンドロイチナーゼ処理は化合物4の細胞表面の局所化に影響を与えなかった(図9CD)。これらの結果は、アドヘサミンが細胞表面のヘパラン硫酸との相互作用を通じて細胞接着を誘導するという概念を指示する。
【実施例】
【0207】
ヘパラン硫酸とのアドヘサミンの相互作用を更に検証するために、CHO 745、CHO 677、CHO 606及びCHO F17を含むグリコサミノグリカン合成が欠損したCHO-K1細胞の変異株を使用した。CHO 745細胞はヘパラン硫酸とコンドロイチン硫酸を合成することが出来ず、CHO 677細胞はヘパラン硫酸の発現が減少し、コンドロイチン硫酸の発現が増加している。14, 15これらの細胞系の両方が親のCHO-K1細胞よりアドヘサミンに反応性が低かった(図10E)。これらのデータはアドヘサミン誘導細胞接着がヘパラン硫酸プロテオグリカン依存の過程であること、及びヘパラン硫酸の欠損はコンドロイチン硫酸の発現レベルの増加によって補うことはできないことを示している。
【実施例】
【0208】
GlcNAc N-デアセチラーゼ/N-スルホトランスフェラーゼ-1活性を欠くCHO 606細胞もまたアドヘサミンに反応性が低かった(図10E)。16反対に、2-O-スルホトランスフェラーセ欠損CHO F17細胞はアドヘサミンに反応性であった(図10E)。17これらの結果は、ヘパラン硫酸のN-スルフェート基がアドヘサミンとの相互作用にとって重要な要素であること、一方、ウロン酸残基のC-2の硫酸エステルは結合にあまり重要ではないことを示している。
【実施例】
【0209】
試験例6
インテグリンと細胞表面ヘパラン硫酸プロテオグリカンによって媒介される細胞接着は、多くの非受容体キナーゼを刺激する細胞間シグナルを発生する。細胞外マトリックスへの細胞接着によって活性化される最も重要なキナーゼであるフォーカルアドヒージョンキナーゼ(FAK)のリン酸化が、アドヘサミンの存在でモニターされた。Jurkat細胞でのFAK活性化の時系列分析は、アドヘサミン刺激後5時間でのFAKリン酸化を証明した(図11A)。活性化は量依存的であり、アドヘサミンの5 μg/mLがFAKをリン酸化するのに十分であったが、ポリ-L-リジンは同じ量での活性化に失敗した(図11B)。細胞が拮抗的な濃度のヘパリンとインキュベートされたときには、FAKのアドヘサミン誘導リン酸化は減少した(図11C)。反対にRGDペプチドの添加では検出可能な効果は無かった(図11C)。並行で行われたウェスタンブロットは細胞溶解液での総FAKレベルに有意な変化を示さなかった。18
【実施例】
【0210】
同じ様な結果がFAKによって活性化される下流のキナーゼである細胞外シグナル調節キナーゼ(ERK)でも得られた。ERKはアドヘサミンとのインキュベーション後5時間でリン酸化され、その活性化は過剰量のヘパリンの添加によってブロックされた(図11)。FAKとERKの活性化は、細胞運動性、細胞増殖、細胞骨格組織化、及び接着依存性細胞生存における重要な役割を演じる。19, 20これらの2種類のキナーゼのリン酸化は、アドヘサミンの細胞骨格組織化及び増殖促進活性の理由を説明する。
【実施例】
【0211】
試験例7
アドヘサミンの接着促進作用を4つの既存のプレートコーティング剤と比較した。比較したコーティング剤はタイプIコラーゲン、フィブロネクチン、ポリ-L-リジン及びポリ-L-オルニチンである。アドヘサミンを添加した場合、ほかのコーティング剤よりもずっと効率的に接着を高めることが分かった(図12)。同様の効果はアドヘサミンおよびコーティング剤の塗布によっても得られ、この場合、アドヘサミンは50 μg/wellの濃度ではフィブロネクチン、ポリ-L-リジン、ポリ-L-オルニチンよりも優れた効果を示した。
【実施例】
【0212】
試験例8
プレートへの強固な接着は一般的にマイクロインジェクションの成功のために必要であるので、アドヘサミンの可能性のある一つの応用はマイクロインジェクションを促進するための試薬としての使用である。この可能性をテストするために、アドヘサミンによって、リンパ球の浮遊性のために技術的に難しいと考えられている実験であるJurkat細胞へのマイクロインジェクションが可能になるかを試験した。実際に、細胞への蛍光色素Alexa Fluor 594のマイクロインジェクションは、アドヘサミンが無い場合、完全に成功しなかった。培地へのタイプIコラーゲン又はポリ-L-リジンの添加はほとんど効果がなく、フィブロネクチンの添加は成功率を~30%まで向上させた(図13)。しかしながら、同じ量のアドヘサミンは成功率を~80%位まで高めた(図13)。アドヘサミンは、インジェクトすることが難しい細胞にマイクロインジェクションを可能又は補助する合成試薬として役立つかもしれない。
【実施例】
【0213】
参考文献
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【産業上の利用可能性】
【0214】
アドヘサミンは細胞の培養プレートへの接着を強めるという、その活性様式から、細胞生物学における細胞接着剤、プレートコーティング剤としての応用が考えられる。
図面
【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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