TOP > 国内特許検索 > タギングMR画像における撮像対象の運動解析方法及びMRI装置 > 明細書

明細書 :タギングMR画像における撮像対象の運動解析方法及びMRI装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5419024号 (P5419024)
登録日 平成25年11月29日(2013.11.29)
発行日 平成26年2月19日(2014.2.19)
発明の名称または考案の名称 タギングMR画像における撮像対象の運動解析方法及びMRI装置
国際特許分類 A61B   5/055       (2006.01)
FI A61B 5/05 380
請求項の数または発明の数 16
全頁数 33
出願番号 特願2011-511330 (P2011-511330)
出願日 平成22年1月8日(2010.1.8)
国際出願番号 PCT/JP2010/050173
国際公開番号 WO2010/125832
国際公開日 平成22年11月4日(2010.11.4)
優先権出願番号 2009111371
優先日 平成21年4月30日(2009.4.30)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成25年1月7日(2013.1.7)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504132272
【氏名又は名称】国立大学法人京都大学
発明者または考案者 【氏名】松田 哲也
【氏名】天野 晃
個別代理人の代理人 【識別番号】110000280、【氏名又は名称】特許業務法人サンクレスト国際特許事務所
審査官 【審査官】伊藤 幸仙
参考文献・文献 特開2007-190114(JP,A)
米国特許第8538104(US,B2)
清水優、金秀一、天野晃、松田哲也,「心臓3次元MRI タギング画像からのタグ交差点検出法」,第26回日本医用画像工学会大会予稿集(CD-ROM),日本,2007年,A1-2
調査した分野 A61B 5/055
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
特許請求の範囲 【請求項1】
タギングMR画像における撮像対象の運動解析方法であって、
撮像対象の同じ運動に対して、異なるタグパターンよるNL回(NLは2以上の正の整数)のcine撮像をすることで、前記撮像対象の前記運動における複数の時相について撮像された時系列のタギングMR画像をNL個得る工程と、
各時相のNL個のタギングMR画像における同一画素についてのNL個の画素値を、当該画素についての長さNLの画素値系列とする工程と、
異なる時相において、前記画素値系列が同一の符号系列を構成する画素を検出することで、時系列のタギングMR画像における撮像対象の運動を解析する工程と、
を含み、
前記タグパターンそれぞれは、前記画素値系列が、所定の符号系列を構成するようにパターンが形成されたものである、
ことを特徴とするタギングMR画像における撮像対象の運動解析方法。
【請求項2】
撮像対象の運動を解析する前記工程では、前記画素値系列に基づいて、各画素において混在する複数の符号系列それぞれが占める割合を算出し、当該割合に基づいて、1画素の大きさ未満での撮像対象の運動量を算出する
請求項1記載の運動解析方法。
【請求項3】
前記符号系列は、直交符号系列である請求項1記載のタギングMR画像における撮像対象の運動解析方法。
【請求項4】
前記符号系列は、拡散符号系列である請求項1記載のタギングMR画像における撮像対象の運動解析方法。
【請求項5】
前記符号系列は、PN系列である請求項1記載のタギングMR画像における撮像対象の運動解析方法。
【請求項6】
前記符号系列は、M系列である請求項1記載のタギングMR画像における撮像対象の運動解析方法。
【請求項7】
タギングMR画像における撮像対象の運動解析方法であって、
撮像対象に対し、所定のタグパターンでcine撮像することで、前記撮像対象の運動における複数の時相について撮像された時系列のタギングMR画像を得る工程と、
各時相のタギングMR画像に含まれるNL個(NLは2以上の正の整数)の画素それぞれの画素値を、当該NL個の画素からなる領域についての長さNL個の画素値系列とする工程と、
異なる時相において、前記画素値系列が同一の符号系列を構成する領域を検出することで、時系列のタギングMR画像における撮像対象の運動を解析する工程と、を含み、
前記所定のタグパターンは、前記画素値系列が、所定の符号系列を構成するようにパターンが形成されたものである、
ことを特徴とするタギングMR画像における撮像対象の運動解析方法。
【請求項8】
撮像対象の運動を解析する前記工程では、各画素の画素値の大きさに基づいて、タグパターンの明領域又は暗領域が各画素の範囲内において本来占めるべき割合を算出し、当該割合に基づいて1画素の大きさ未満での撮像対象の運動量を算出する
請求項7記載の運動解析方法。
【請求項9】
MRI装置であって、
撮像対象の同じ運動に対して、異なるタグパターンよるNL回(NLは2以上の正数)のcine撮像をすることで、前記撮像対象の前記運動における複数の時相について撮像された時系列のタギングMR画像をNL個得る手段と、
特定の時相のNL個のタギングMR画像における同一画素についてのNL個の画素値からなる画素値系列を、前記特定の時相において当該画素を示す長さNLの符号系列とみなし、前記符号系列と同じ符号系列となる画素値系列を持つ画素を、前記特定の時相以外の時相のNL個のタギングMR画像において検出することで、時系列のタギングMR画像における撮像対象の運動を解析する手段と、
を備え、
前記タグパターンそれぞれは、前記画素値系列が、所定の符号系列を構成するようにパターンが形成されたものである、
ことを特徴とするMRI装置。
【請求項10】
撮像対象の運動を解析する前記手段では、前記画素値系列に基づいて、各画素において混在する複数の符号系列それぞれが占める割合を算出し、当該割合に基づいて、1画素の大きさ未満での撮像対象の運動量を算出する
請求項9記載のMRI装置
【請求項11】
前記符号系列は、直交符号系列である請求項9記載のMRI装置。
【請求項12】
前記符号系列は、拡散符号系列である請求項9記載のMRI装置。
【請求項13】
前記符号系列は、PN系列である請求項9記載のMRI装置。
【請求項14】
前記符号系列は、M系列である請求項9記載のMRI装置。
【請求項15】
MRI装置であって、
撮像対象に対し、所定のタグパターンでcine撮像することで、前記撮像対象の運動における複数の時相について撮像された時系列のタギングMR画像を得る手段と、
特定の時相のタギングMR画像に含まれるNL個(NLは2以上の正の整数)の画素それぞれの画素値からなる画素値系列を、当該NL個の画素からなる領域を示す長さNLの符号系列とみなし、前記符号系列と同じ符号系列となる画素値系列を持つ領域を、前記特定の時相以外の時相のタギングMR画像において検出することで、時系列のタギングMR画像における撮像対象の運動を解析する手段と、
を備え、
前記所定のタグパターンは、前記画素値系列が、所定の符号系列を構成するようにパターンが形成されたものである、
ことを特徴とするMRI装置。
【請求項16】
撮像対象の運動を解析する前記手段では、各画素の画素値の大きさに基づいて、タグパターンの明領域又は暗領域が各画素の範囲内において本来占めるべき割合を算出し、当該割合に基づいて1画素の大きさ未満での撮像対象の運動量を算出する
請求項15記載のMRI装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、タギングMR画像における撮像対象の運動解析方法及びMRI装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
心疾患の診断、治療には、心壁の運動を解析することが非常に重要である。心壁運動の詳細な解析には、人体の組織を磁気的に標識するタギングMRI法(非特許文献1参照)が用いられることが多い。タギングMRI法では、時系列タギングMR画像(時系列撮影のMR画像(cine MRI))の解析により、心壁の三次元的な運動を解析することが可能である。
【先行技術文献】
【0003】

【非特許文献1】Elias A. Zerhouni, David M. parish, Walter J. Rogers, Andrew Yang,Edward P. Shapiro. Human Heart: Tagging with MR Imaging _ A Method forNoninvasive Assessment of Myocardial Motion. Radiology 169, 59-63, Oct, 1988
【非特許文献2】Albert Montillo, Dimitris Metaxas, Leon Axel. Extracting Tissuedeformation using Gabor filter banks. SPIE Vol.5369, Bellingham, WA, 2004
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
タギングMRI法において撮像対象の運動解析を行うには、タギングMR画像の撮影後の後処理として、撮像対象である心壁領域の抽出、画像処理によるタグ位置の検出を行う必要がある。磁気的な格子状の標識部分はタグと呼ばれるが、時間とともにタグのコントラストが低下する。このため、タグ位置の検出処理には、低SN(Signal Noise ratio)画像に頑健な方法が必要である。
【0005】
非特許文献2には、gaborフィルタバンクを利用する方法等が提案されている。この方法はタグの空間的な広がりを利用するため,組織の大域的な運動の解析には有効であるが、局所的なタグの運動解析では解析誤りが生じやすいという問題がある。
【0006】
本発明は、タギングMR画像において、画像処理によってタグを抽出するのとは異なる発想によって、撮像対象の運動を解析することを可能とするための技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、タギングMR画像における撮像対象の運動解析方法であって、撮像対象の同じ運動に対して、異なるタグパターンよるNL回(NLは2以上の正の整数)のcine撮像をすることで、前記撮像対象の前記運動における複数の時相について撮像された時系列のタギングMR画像をNL個得る工程と、各時相のNL個のタギングMR画像における同一画素についてのNL個の画素値を、当該画素についての長さNLの画素値系列とする工程と、異なる時相において、前記画素値系列が同一の符号系列を構成する画素を検出することで、時系列のタギングMR画像における撮像対象の運動を解析する工程と、を含み、前記タグパターンそれぞれは、前記画素値系列が、所定の符号系列を構成するようにパターンが形成されたものである、ことを特徴とするタギングMR画像における撮像対象の運動解析方法である。上記本発明によれば、符号系列の追跡によって撮像対象の運動を解析することができる。
【0008】
ここで時相とは、撮像対象の運動におけるフェーズをいい、撮像の対象となる運動には、複数の時相(フェーズ)が含まれる。例えば、撮像対象に、移動・変形などの運動を複数回繰り返させることで、同じ運動を複数回cine撮像した場合、複数回のcine撮像で得た複数のcine画像において、同一の時相(運動フェーズ)にあるものは、撮像対象の同じ状態(位置・形状など)を示すことになる。また、複数のcine画像において、異なる時相(運動フェーズ)にあるものは、撮像対象の運動によって異なる状態(位置・形状など)を示すことがある。
【0009】
なお、画素には、二次元のピクセルだけでなく3次元のボクセルも含む。また、画素値は、輝度値信号であってもよいし、位相値信号であってもよい。
【0010】
撮像対象の運動を解析する前記工程では、前記画素値系列に基づいて、各画素において混在する複数の符号系列それぞれが占める割合を算出し、当該割合に基づいて、1画素の大きさ未満での撮像対象の運動量を算出するのが好ましい。この場合、1画素の大きさ未満で運動を解析することができる。
【0011】
他の観点からみた本発明は、タギングMR画像における撮像対象の運動解析方法であって、撮像対象に対し、所定のタグパターンでcine撮像することで、前記撮像対象の運動における複数の時相について撮像された時系列のタギングMR画像を得る工程と、各時相のタギングMR画像に含まれるNL個(NLは2以上の正の整数)の画素それぞれの画素値を、当該NL個の画素からなる領域についての長さNL個の画素値系列とする工程と、異なる時相において、前記画素値系列が同一の符号系列を構成する領域を検出することで、時系列のタギングMR画像における撮像対象の運動を解析する工程と、を含み、前記所定のタグパターンは、前記画素値系列が、所定の符号系列を構成するようにパターンが形成されたものである、ことを特徴とするタギングMR画像における撮像対象の運動解析方法である。上記本発明においても、符号系列の追跡によって撮像対象の運動を解析することができる。
【0012】
前記符号系列は、耐ノイズ性に優れたものが好ましく、例えば,直交符号系列であるのが好ましく、また、拡散符号系列であるのが好ましく、さらには、PN系列であるのが好ましく、さらには,M系列であるのが好ましい。
【0013】
また、更に他の観点からみた本発明は、上記工程を実行することができるMRI装置である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、符号系列の追跡によって撮像対象の運動を解析することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】MRI装置の全体構成図である。
【図2】MRI装置における処理手順を示すフローチャートである。
【図3】cine撮像のフローチャートである。
【図4】MRI撮像のためのパルスシーケンス図である。
【図5】複数回のcine撮像の仕方の説明図である。
【図6】撮像対象の運動解析のフローチャートである。
【図7】複数のcine撮像から画素値系列を生成する仕方を説明する図である。
【図8】画素の移動追跡を示す図である。
【図9】タグパターンを示す図である。
【図10】画素への符号系列の割り当て例を示す図である。
【図11】実験結果を示す画像写真である。
【図12】撮像対象(ファントム)の運動の仕方の説明図である。
【図13】初期時相における画素境界と白黒境界を示す図である。
【図14】第1時相における白黒境界の移動を示す図である。
【図15】第2時相における白黒境界の移動を示す図である。
【図16】符号系列相関値と移動量との関係を示す図である。
【図17】符号系列相関値と移動量との関係を示す図である。
【図18】符号系列相関値と移動量との関係を示す図である。
【図19】サブピクセル解析による解析精度とピクセル解析による解析精度の違いを説明する概念図である。
【図20】本発明の変形例(画像方向への符号化(1次元))を説明する図である。
【図21】初期時相における画素境界と白黒境界を示す図である。
【図22】第1時相における白黒境界の移動を示す図である。
【図23】第2時相における白黒境界の移動を示す図である。
【図24】白黒領域と移動量との関係を示す図である。
【図25】変形例を2次元に拡張した例を説明する図である。
【図26】図25の例において、符号系列を構成する画像パターンの一覧を示す図である。
【図27】変形例を2次元に拡張した他の例を説明する図である。
【図28】図27の例において、符号系列を構成する画像パターンの一覧を示す図である。
【図29】図27の例において、AとA’を区別するための画像パターンを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の好ましい実施形態について添付図面を参照しながら説明する。
[1.MRI装置の構成]
本実施形態に係るMRI装置1は、本発明の位置情報符号化MRI法による撮像が行えるものである。本実施形態における位置情報符号化MRI法は、撮像対象物(例えば、人体の組織)を磁気的に標識(タギング)するタギングMRI法を利用するため、前記MRI装置1は、タギングMRI法による撮像が行えるように構成されている。なお、撮像対象を重畳されるタグとしては、任意の方向の縞状又は格子状のものを生成できる。
また、本実施形態では、解析対象の運動として、心壁の運動を例として説明するが、本発明における撮像対象物や解析対象の運動がこれらに限られるものではない。

【0017】
図1に示すように、このMRI装置1は、静磁場や傾斜磁場を発生させるための磁場発生部2と、撮像対象物にRFパルスを発信するとともに撮像対象物で発生した信号を受信するためのRFコイル3と、を備えている。
また、MRI装置1は、RFコイル3から発信される所定のRFパルスを生成するためのRF送信部4と、RFコイル3にて受信した受信信号(MRI信号)を処理するためのRF受信部5と、を備え、RF送信部4で生成しRFコイル3から発信されるRFパルスと磁場発生部2で生成される傾斜磁場の組み合わせによりタグパルスシーケンスを生成できる。

【0018】
磁場発生部2による磁場の発生とRF送信部4によるRFパルスの送信は、制御部6によって制御される。
RF受信部5から出力されたMRI信号は、A/D変換部を介して、コンピュータ8に与えられる。コンピュータ8は、取得したMRI信号に基づいて、画像処理や後述の運動解析等の処理を行う。
また、コンピュータ8は、RF送信部4及び制御部6に対して、必要な指令を与えて、これらを制御する。

【0019】
前記コンピュータ8は、処理プロセッサ9、内部記憶装置及び/又は外部記憶装置を有する記憶部10、ディスプレイ等からなる表示部11を備えている。記憶部10には、MRI装置1を制御するためのコンピュータプログラム、撮像対象の運動解析用のコンピュータプログラム、及びその他必要なコンピュータプログラムがインストールされており、これらのプログラムが処理プロセッサによって実行されることで、以下に説明する処理が実現される。

【0020】
[2.運動解析処理]
図2は、MRI装置1の撮像対象(心臓)の運動解析処理の手順を示している。この運動解析処理は、MRI装置1が、複数回(NL回)のcine撮像(動画撮像)を行う撮像工程(ステップS1)、及び、コンピュータ8が、撮像工程によって得たNL個のcineMR画像(時系列MR画像)に基づいて撮像対象の運動の解析処理を行う解析処理工程(ステップS2)に大別される。

【0021】
[2.1.撮像工程]
ステップS1の撮像工程では、同一撮像対象の同じ動きを同一撮影範囲で、NL回のcine撮像を繰り返し行う。これらのNL回の撮像は、それぞれ、異なるNL種類のタグパターンで行われる。つまり、ステップS1の撮像工程によって、撮像対象の同じ動きを示すものの、画像中のタグパターンが互いに異なるNL個の時系列タギングMR画像(cineタギングMR画像)が得られる。

【0022】
ステップS1の撮像工程は、具体的には、図3に示すように、1回のcine撮像(ステップS12~S15)を、iが1からNLになるまで(NL回)繰り返すためのループ処理(ステップS11,S16,S17)を含んでおり、このループ内に、1回ごとのcine撮像のための処理(ステップS12~S15)が設けられている。

【0023】
cine撮像処理(ステップS12~S15)では、まず、コンピュータ8が、撮像に用いるタグパターンを選択する(ステップS12)。コンピュータ8の記憶部19には、第1タグパターンから第NLタグパターンまでNL種類のタグパターンが記憶されており、i(i:1~NL)回目のcine撮像では、第iタグパターンが選択される。なお、NL種類のタグパターンの詳細については後述する。

【0024】
そして、コンピュータ8は、選択された第iタグパターンのための第iタギングシーケンスを構成するRFパルスを送信部4によって生成させ、RFコイル3から発信させるとともに、第iタギングシーケンスを構成する所定の傾斜磁場を磁場発生部2によって生成する処理を行う(ステップS13)。続いて、コンピュータ8は、第i回目のcine撮像を行うための処理を実行する(ステップS14)。このcine撮像によって得られた時系列タギングMR画像は、コンピュータ8の記憶部10に保存される(ステップS15)。

【0025】
図4は、1回のcine撮像処理(ステップS12~S15)を行ったときのパルスシーケンスを示している。このパルスシーケンスは、FLASH法によるシーケンス(FLASHシーケンス)であり、このFLASHシーケンスのプレパレーション部分に、選択されたタグパターンを生成するDANTEタギングシーケンスを付加したものである。
図4のFLASHシーケンスは、1回の静止タギングMR画像を撮像するためのものであり、1回のcine撮像あたり、図示のFLASHシーケンスがM回繰り返され、M個の静止タギングMR画像からなる時系列タギングMR画像が得られる。ここで、1個の静止タギングMR画像を一つの時相とすると、M個の静止タギングMR画像からなる時系列タギングMR画像は、M時相分の時系列タギングMR画像となる。
なお、FLASHシーケンスは、例えば、エコー時間TE=12msとし、励起RFパルスにフリップ角α=30度のhermiteパルスを利用することができる。

【0026】
また、DANTEタギングシーケンスにおける励起RFパルスには矩形波を利用した。所望のタグパターンを得るには、DANTEタギングシーケンスにおける矩形波のパルス間隔tintを適宜設定するとともに、オフセット周波数f0または各RFパルスに位相オフセットを適宜設定すればよい。ここで、パルス間隔tint及びGxはタグ(画像中の低輝度の標識部分)の間隔dintとは反比例する。また、オフセット周波数f0または各RFパルスの位相オフセットは、タグの中心周波数位置を、任意の位置に移動させる。これらの性質を利用して、パルス間隔tint及びオフセット周波数f0を適宜設定したタギングシーケンスを設計することで、所望のNL種類のタグパターンが得られる。
なお、MRIの撮影シーケンスは、FLASHシーケンスに限られるものではなく、タグパターンを生成するためのシーケンスもDANTEシーケンスに限られるものではない。

【0027】
図5(a)は、図4に示すような1回分のcine撮像処理(ステップS12~S15)をNL回行ったときのパルスシーケンスを示している。ここで、図5(a)における第1タギングシーケンスないし第NLタギングシーケンスは、それぞれ、図4のDANTEタギングシーケンスに対応する。ただし、第1タギングシーケンスないし第NLタギングシーケンスは、それぞれ異なるタグパターンを発生させるためのものである。
また、図5(a)における第1cine(#1)から第NLcine(#NL)は、それぞれ、図4のFLASHシーケンスに対応し、第1回目のcine撮像(#1)から第NL回目のcine撮像(#NL)をするためのものである。

【0028】
各回(1回目からNL回目)のcine撮像(第1cine(#1)~第NLcine(#NL))は、それぞれ、撮像対象の同じ運動を撮像するものである。
つまり、撮像対象が心臓である場合、図5(b)に示すように繰り返される心拍において、例えば、1心拍分の時間の間において、1回のcine撮像を行うものとする。そして、各回のcine撮像は、心拍周期に関して同一のタイミング(時相)で行われる。
この結果、各回のcine撮像では、心臓の同じ運動を撮像することになる。したがって、各回(1回目からNL回目)の時系列タギングMR画像において、画像中の心臓の位置・形状は、同一時相であれば同じ位置・形状となる。

【0029】
[2.2.解析処理工程]
ステップS2の解析処理工程では、コンピュータ8が、ステップS1の撮像工程によって得たNL個の時系列タギングMR画像に基づいて撮像対象の運動の解析処理を行う。
具体的には、図6に示すように、まず、コンピュータ8は、タギング画像の各画素それぞれについて存在するNL個の画素値を、当該画素についての長さNLの画素値系列(長さNLの信号)とする処理を行う(ステップS21)。なお、ここでの画素値は、画素の輝度値であるが、画素の位相値であってもよい。
図7に示すように、NL個の時系列タギングMR画像を、時相をそろえて並べた場合、各時相それぞれについて、タギング画像がNL枚得られたことになる。したがって、タギング画像の個々の画素に着目すると、各時相の各画素について、NL個の画素値が存在することになり、これらNL個の画素値を撮像順に並べて、長さNLの画素値系列とする。

【0030】
ここで、タグが存在する低輝度領域(黒い部分)を+1とし、それ以外の領域(白い部分)を-1とみなすと、長さNLの画素値系列(長さNLの信号)は、長さNLの符号系列で画素値を変調したものと考えることができる。つまり、第1時相における各画素に符号系列が割り当てられていることになる。したがって、撮像対象が運動しない場合、符号系列が特定できればその画素の位置を特定することができる。また、タグは、撮像対象自体に重畳されるものであり、撮像対象の運動に伴って、タグも移動する。したがって、コンピュータ8が、各画素について画素値系列に対応する符号系列を、後述の相関関数の計算によって決定し(ステップS22)、各時相間において同一符号系列を構成する画素の位置を検出・追跡することで(ステップS23)、タグの移動も追跡することができる。したがって、従来のようなタグ位置検出のための画像処理を行わなくても、撮像対象の運動解析が行える。
具体的には、各時相において、同一符号系列を持つ画素の位置を記憶部10に記憶しておき、また、同一符号系列を持つ画素の移動軌跡を表示部11に表示することで、装置1のユーザは、撮像対象の運動の様子を的確に把握することができる。

【0031】
例えば、図8に示すように、第1時相における画素(x1,y1)が示す撮像対象の部位の移動を追跡したい場合を考える。第1時相における画素(x1,y1)の画素値系列に対応する符号系列がL1である場合、各時相において符号系列がL1となる画素値系列を持つ画素を特定することで、第1時相における画素(x1,y1)が示す撮像対象の部位が、第1時相から第NL時相までの各時相においてどのように移動したかを示す移動軌跡を求めることができる。

【0032】
ここで、図8において、初期時相(第1時相)におけるタグパターンにおいて画素(x1,y1)に付与された位置情報(符号系列L1)は、撮像対象物の運動により、第MX時相においては画素(x2,y2)に存在するものとする。
この場合、初期時相における画素(x1,y1)が符号系列L1を送信した送信局であり、第MX時相における画素(x2,y2)が当該送信局から送信された符号系列L1を受信した受信局であるとみなすことができる。通信において、受信局は、受信信号(画素値系列)を復号することにより受信信号が示す符号系列を識別することができる。
したがって、本実施形態における上記の移動軌跡の追跡は、符号系列L1を受信した受信局(画素)を検出することと同様である。
また、タギングMR画像では、時相の経過によって、タグコントラストが低下するため、第MX時相における画素の画素値系列は、低SN比となり、劣悪な通信環境に類似することになる。しかし、通信において、適切な符号系列を選択することで、劣悪な通信環境に対応できるのと同様に、適切な符号系列を選択することで、タギングMR画像におけるタグコントラストの低下にも対応することができる。

【0033】
さて、画像処理によってタグ領域を抽出する従来の手法では、タグ領域に対応する低輝度領域を検出していたため、正確にはタグ領域の境界のみが運動解析対象であり、それ以外の領域については、内挿による運動の推定を行う必要があった。従来手法で詳細な運動の推定のためには、タグ領域、非タグ領域共に小さくすることが必要となるが、タグ領域、非タグ領域の幅と画素サイズとの関係、あるいは、両領域間の境界が正確な矩形ではないことから、タグ領域、非タグ領域の幅を細くすると、両領域間のコントラストが低下して、検出が困難となる。したがって、心臓の壁運動解析をおこなうためのタギングMRIでは、タグ領域と非タグ領域併せて6mm程度の間隔で繰り返すパターンを用いるのが一般的となっている。
しかし、心壁の厚さは10mm程度であるため、このような間隔ではタグ領域が最大でも2回程度しか現れず、壁の厚み方向における運動の差違に関する詳細な検討は難しかった。

【0034】
しかしながら、本実施形態の手法を用いると、全ての画素について位置情報を符号化するため、全ての画素に対し、画素サイズでの運動の解析が可能となる。したがって、詳細な運動解析が可能である。

【0035】
[3.利用可能な符号系列]
前記符号系列として、耐雑音特性、耐混信特定の高いものを用いることで、符号系列が割り当てられた画素の位置を高い精度で特定することができる。例えば、符号系列としては拡散符号を用い、スペクトル拡散(Spread
Spectrum; SS)を行うことができる。スペクトル拡散とは、狭帯域変調信号を拡散符号によって数百~数千倍のスペクトルを持つ広帯域信号に変調して伝送し、受信側で元の狭帯域信号に変換した後に復調する通信方式である。SSには耐妨害性、劣悪な伝送路に強いという特長がある。
このように、スペクトラム拡散の劣悪な伝送路に強いという性質を利用することで、時相の経過によるタグコントラストの低下に対し、精度の高い運動解析が可能となる。

【0036】
SSに利用できる符号系列に必要な条件は二つ挙げられる。一つは,位相差τ=0 において自己相関が鋭く、τ=0以外において相関が十分に小さいことである.これはスペクトルを一様に拡散するために必要な条件である。もう一つは、符号系列間の相関が、全ての位相差において十分小さいことである。これは他局間干渉を抑圧するために必要な条件である.これらの条件を満たす系列の一つが,擬似雑音(Pseudo Noise;PN)系列である。狭義のPN系列の定義は,自己相関値が2レベルの値だけを取る周期系列であることと、1周期中の+1と-1の個数がたかだか1つだけしか異ならない周期系列であることである。主なPN系列として、M系列が挙げられる。本実施形態では、符号系列として、このM系列を利用する。
なお、上記の拡散符号系列、PN系列、及びM系列は、いずれも符号がほぼ直交する直交性を有しており、直交符号系列でもある。

【0037】
[4.画素値系列から符号系列を特定するための相関関数の計算]
[4.1.相関関数の計算]
長さNL、系列数Nsの符号系列の集合をLとする。符号系列集合Lのi番目の符号系列をLi(1≦i≦Ns)とし、各符号要素をlij(1≦i≦Ns,1≦j≦NL)とする。ただし、lij∈{1,-1}とする。情報符号S^∈{1,-1}を拡散符号系列Liで拡散した結果をS(i)={Sj(i)}(1≦j≦NL)とする。このとき、Sj(i)=S^×lij∈{1,-1}となる。
符号系列LkとSj(i)との相関関数Φkは次のように計算される。ただし、本実施形態の手法では、τ=0しか生じないため、相関関数もτ=0でのみ計算するものとし、また、簡単のためS^=1とする。

【0038】
【数1】
JP0005419024B2_000002t.gif

【0039】
このとき、i=kであれば、Φk=NLとなり、i≠kであれば、Φk=-1となる。ゆえに、Φk(k=1,2,・・・,Ns)を計算して最大値を取るkが、割り当てられた符号系列の番号となる。しかし、実際の通信環境ではSj(i)のままで伝送を行うことができず、アナログ信号として変調を行う場合が多い。ここではアナログ変調の影響を加味した相関関数を考える。Aを変調の深さ、Bを無変調時の信号強度とすると、変調された受信信号sj(i)は、Sj(i)=-1のときB、Sj(i)=1のときB-Aとなるので、
【数2】
JP0005419024B2_000003t.gif
と表すことができる。

【0040】
このとき変調信号と符号系列Lkとの相関関数φkは、
【数3】
JP0005419024B2_000004t.gif
となる。

【0041】
ここで、LkがM系列であれば、
【数4】
JP0005419024B2_000005t.gif
であるので、
【数5】
JP0005419024B2_000006t.gif
となる。ただし、A/2=A’とする。したがって、A,Bが一定値を取れば、φk(k=1,2,・・・,Ns)を計算して最小値を取るkが、割り当てられた符号系列の番号である。つまり、変調信号を利用して符号系列の特定を行うことが可能となる。

【0042】
[4.2.実施形態における相関関数の計算]
あるFOV(Field Of View)について、解像度WMTX[pixel]、時相間の間隔tph[sec]でM時相分のcine撮像を行うものとする。時刻t=tph×pにおける画素(x,y)の画素値(画像信号)をa(x,y,p)と表す。ただし、初期時相(第1時相)の時刻はt=tph×0とするため、0≦p≦M-1である。
ここで、長さNLの拡散符号系列Li={lij}を考える。画素値a(x,y,p)と拡散符号lij(j=1,2,・・・,NL)の積を取ると、スペクトル拡散変調された画素値g(i)(x,y,p,j)が得られる。得られる画像の画素値g(i)(x,y,p,j)を簡単のため、mj(i)とおき、MRIタギング法を用いた変調を考えると、
【数6】
JP0005419024B2_000007t.gif
と表すことができる。

【0043】
このとき、k1はタグと非タグ領域の画素値コントラストであり、k2は非タグ領域の画素値に対応する。これらの値は、理想的にはいずれも定数となる。lij=1のとき、mj(i)=k2-k1となり、画像では低輝度になる。また、lij=-1のとき、mj(i)=k2となり、画像では高輝度になる。したがって、タグ領域を適切に設定することで、MRIの撮影における画素値をスペクトル拡散変調することができる。

【0044】
このとき、画素値mj(i)(1≦j≦NL)と符号系列Lkの相関関数φkは、
【数7】
JP0005419024B2_000008t.gif
であり、k1/2=k’1とすると、
【数8】
JP0005419024B2_000009t.gif

【0045】
よって、φkが最小となるkがその画素の変調に利用された符号系列を示す。1~NL時相までφkが最小となる画素を辿れば、初期時相で、(x,y)に位置していた画素の移動を追跡することが可能となる。

【0046】
ただし、実際にMRI装置1で撮像を行うと、撮像の条件によって、符号系列の各要素に対応する画像ごとにk1,k2は異なる。さらに、画素の位置によってもk1,k2は変化する。そのため実際には、数6の式(4)は、
【数9】
JP0005419024B2_000010t.gif
となる。

【0047】
この場合、式5(数8)の式が成り立たず、割り当てられた符号系列Liの特定が困難となる。そこで、画素位置や撮像条件による影響を除去するため、画素値mj(i)の除算を行うと、
【数10】
JP0005419024B2_000011t.gif
となる。

【0048】
1(x,y,j)/k2(x,y,j)=k3(x,y,j)とすると、k3は、タグのコントラストに相当する。k3(x,y,j)がjに関わらずほぼ一定であると仮定すると、相関関数φkは、
【数11】
JP0005419024B2_000012t.gif
となり、やはり、φkが最小となるkを求めることにより、各画素に対応する符号系列を決定することができる。

【0049】
[5.タグパターンの例]
ここでは、符号系列としてM系列を利用する。M系列は、NL=2n-1の符号長、系列数を持ち、τ=0における自己相関値と相互相関値の比が-NL:1となる。本実施形態において、画素値系列から符号系列を特定する際には、自己相関値がピークを持っていることが望ましいため、NLは大きいことが望まれる。一方、NLが大きいと、NL個の時系列タギングMR画像を撮像する必要があり、撮像に時間を要する。そこで、ここでは、NL=7とした。
L=7のM系列として、2次の原始多項式x2+x+1で生成される符号系列を用いた。前述のDANTEタギングシーケンス(又はSPAMMタギングシーケンス)では、一定長さのタグ領域と一定長さの非タグ領域が交互に繰り返す周期的なタグパターンが実現できるため、生成した7つのM系列から符号系列を選択し、適切に空間配置することで、全ての撮影において周期的なタグパターンを成すことができる。

【0050】
本実施形態では、7符号系列中6符号系列を選択して並べた符号配置を利用した。つまり、Ns=6となる。下記表1は、6つのM系列L1~L6を示している。
【表1】
JP0005419024B2_000013t.gif

【0051】
表1において、横方向の各列が、一つのタグパターンに対応する。表1の「-1」を高輝度領域、「1」をタグに対応する低輝度領域となるようにDANTEタギングシーケンスを設計した場合の7つのタグパターン(画像中の一部(18×18画素分)の拡大図)を図9に示す。
図9の各タグパターンは、対応する画像領域(18×18画素分)内の各画素に、図10に示すように、符号系列L1~L6を割り当てた場合のものである。各画素に割り当てられた符号系列L1~L6は、画素の位置情報を示していることになる。

【0052】
上記表1のような符号系列を用いると、例えば、撮像対象物の縦緩和時間T1の約2倍の時間まで位置情報を誤り無く符号することができる。

【0053】
なお、図10では、縦方向にはすべて同一の符号系列が割り当てられている。これは、単純化のため、複数のタグパターンすべてを縦縞状としたためである。しかし、図10において縦方向も異なる符号系列が割り当てられるようにしてもよいのは当然である。横方向及び縦方向において隣接する画素の符号系列が異なるようにするには、複数のタグパターンの中に、横縞状のものや格子状のものを混在させることで実現できる。そのようなタグパターンもタギングシーケンスを適宜設定することで生成可能である。

【0054】
[6.実験結果]
図11(a)~(c)は、図12に示すファントム(撮像対象)が、左右方向に正弦運動する様子をタギングMRI装置1にて撮影した結果を示している。
図11(a)は、図9に示す7つのタグパターンにて7個のcine画像をMRI装置1にて撮像し(NL=7)、先に説明したNL=7のM系列にて、ファントムの位置の変位を判定した結果を示している。

【0055】
図11(b)は、左右方向に正弦運動するファントムの時系列画像(第1時相から第33時相まで)において、各時相の画像から、同一位置の領域(垂直方向に1画素×水平方向に約50画素の領域)を切り出し、この短冊状の領域を、時刻(時相)に沿って、図11の縦軸方向に並べたものである。つまり、図11(a)の縦軸は、時間(第1時相から第33時相)を示しており、横軸は、画素位置を示している。
図11(a)においては、判定した符号系列L1~L6を、画素の明暗で区別して示している。つまり、図11(a)においては、明暗度が同じ画素は同一の符号系列であると判定された画素となっている。

【0056】
図11(b)は、上記M系列を構成する7個のcine画像のうち、タグ領域(低輝度領域)及び非タグ領域(高輝度領域)それぞれの左右幅が1mm(1画素分)のタグパターン(1画素の幅を1mmとすると図9の第1タグパターンに相当)でファントムを撮影した画像である。
また、図11(c)は、上記M系列を構成する7個のcine画像のうち、タグ領域(低輝度領域)及び非タグ領域(高輝度領域)それぞれの左右幅が3mm(3画素分)のタグパターン(1画素の幅を1mmとすると図9の第3~第5タグパターンのいずれかに相当)でファントムを撮影した画像である。

【0057】
図11(b)及び図11(c)においても、各時相の画像から、同一位置の領域(垂直方向に1画素×水平方向に約50画素の領域)が切り出され、この短冊状の領域が、時刻(時相)順に、図11の縦軸方向に並べられている。

【0058】
図11(a)に示すように、M系列を用いたタギングMR画像の判定結果では、第13~14時相(上から13~14行目)付近まで、1mm(1画素)間隔で、ファントムの移動(左右方向の正弦運動)をほぼ正しく判定できている。
これに対し、図11(b)に示す1mm幅のタギングMRI画像では、タグ領域及び非タグ領域が細いため、両領域のコントラストが低くなり、第10時相までにタグパターンは消失し、それ以降の追跡ができない。
また、図11(c)に示す3mm幅のタギングMRI画像では、M系列による判定結果と同様に、第13~14時相まで淡いコントラストでタグパターンを追跡できるが、太いタグパターンのため、位置判定の分解能は3mmにすぎない。

【0059】
このように、図11(b)及び(c)のように元画像のタグパターンそのものを追跡する場合には、位置の検出可能な時間が短くなったり、あるいは検出精度が低下したりするのに対し、図11(a)のNL個の画像を用いた符号判定では、比較的長い時間、高い精度で撮像対象の位置を検出することができる。

【0060】
[7.サブピクセル解析(Sub-Pixel Analysis)]
上記のM系列による判定では、1画素単位の解析(Pixel analysis)となり、位置検出の精度は1画素単位である。したがって、1画素未満の移動量を検出することはできない。

【0061】
図13は、タグパターンが付された撮像対象(ファントム)を撮像した時系列タギングMR画像の初期時相(第1時相)における拡大図を示している。図13では、横3画素(X1,X2,X3)×縦2画素(Y1,Y2)の計6画素を示している。
図13に示すように、初期時相では、撮像対象に標識されたタグパターンにおける低輝度領域(黒領域)と高輝度領域(白領域)との境界は、画素の境界と一致している。図13において、黒領域の横幅は、ちょうど2画素分である。

【0062】
ところが、時間の経過に伴って、撮像対象が移動すると、各画素においては、撮像対象の低輝度領域(黒領域)と高輝度領域(白領域)とが混ざった状態で撮影されることになる。図14は、撮像対象が図13の位置から左に0.25画素分移動したときの実際の位置と撮影した画像における画素値とを示している。また、図15は、撮像対象が図13の位置から左に0.5画素分移動したときの実際の位置と撮像した画層における画素値とを示している。

【0063】
図14においては、図14(a)に示すように撮像対象は、左に0.25画素分移動している。ただし、画素値(輝度値)は、画素単位でしか得られない。したがって、撮像画像における画素値は、図14(b)に示すように、X2の画素は黒領域となるものの、X1の画素は、白にわずかに黒みがかかった薄い灰色の領域となり、X3の画素は、黒にわずかに白みがかかった濃い灰色の領域となる。なお、図13~及び図15の画素内に描かれたメッシュは、画素値(輝度)の大きさに対応しており、メッシュが荒いほど白(高輝度)に近く、メッシュが細かいほど黒(低輝度)に近いことを示している。

【0064】
さらに、図15においては、図15(a)に示すように撮像対象は、左に0.5画素分移動している。この場合の画素値は、図15(b)に示すように、X2の画素は黒領域となるものの、X1及びX3の画素は、白と黒の中間の灰色の領域となる。

【0065】
ここでの黒領域の横幅は、図13に示すように、本来、2画素分であるが、撮像対象が1画素未満の移動を生じると、図14(b)及び図15(b)に示すように黒領域と白領域との境界がぼやけることになる。

【0066】
このように、両領域の境界がはっきりしない場合においても、先に説明した符号系列の検出(符号判定)は、画素単位で行われる。したがって、図13に示す初期時相において、画素X1が第1符号系列L1に、画素X2が第2符号系列L2に、画素X3が第3符号系列L3に対応しているものとすると、図14の状態では、図13と同様に、画素X1の画素値系列が第1符号系列L1、画素X2の画素値系列が第2符号系列L2、画素X3の画素値系列が第3符号系列L3であると検出される可能性が高い。この場合、撮像対象が左に0.25画素分移動しているにもかかわらず、全く移動していないと判定されることになる。

【0067】
また、図15の状態では、図14と同様に検出されるか、あるいは、画素X1の画素値系列が第2符号系列L2、画素X2の画素値系列が第3符号系列L3、画素X3の画素値系列が第4符号系列L4であると検出される可能性が高い。前者の場合、撮像対象は左に0.5画素分移動しているにもかかわらず、全く移動していないと判定されることになる。後者の場合、撮像対象は左に0.5画素分しか移動しているにもかかわらず、1画素分移動したと判定されることになる。

【0068】
1画素未満の移動量を求めるサブピクセル解析(Sub-Pixel Analysis)を行う場合には、図6に示すステップS22において、各画素の画素値系列から、唯一の符号系列を決定するのではなく、各画素において複数の符号系列(L1~L6)が混在している可能性も含めて検出する。

【0069】
各画素において複数の符号系列(L1~L6)が混在している可能性も含めて検出するには、各画素の画素値系列と複数の符号系列(L1~L6)それぞれとの相関値を用いる。
ここでは、画素値系列と特定の符号系列との相関値を0~1で表し、「1」の場合、相関が最も高く、「0」の場合、相関が最も低いものとする。

【0070】
図13に示す初期時相のように、画素の境界と撮像対象の白黒領域の境界とが一致している場合、各画素には、複数の符号系列は混在せず、画素値系列は、唯一の符号系列に対応することになる。したがって、各画素の画素値系列と複数の符号系列(L1~L6)それぞれとの相関値は、理論的には、図13に示すようになる。具体的には、画素X1については、第1符号系列L1との相関が最大となり、他の符号系列L2~L6との相関は最小となる。画素X2については、第2符号系列L2との相関が最大となり、他の符号系列L1,L3~L6との相関は最小となる。画素X3については、第3符号系列L3との相関が最大となり、他の符号系列L1,L2,L4~L6との相関は最小となる。

【0071】
図14(a)に示すように撮像対象が左に0.25画素分移動すると、各画素には、複数の符号系列が混在することになる。したがって、各画素の画素値系列と複数の符号系列(L1~L6)それぞれとの相関値は、理論的には、各画素において各符号系列が占める領域の面積の大小に応じた値となる。
図14(a)に示すように、画素X1については、第1符号系列L1及び第2符号系列L2が混在している。このため、他の符号系列L3~L6との相関は最小となるのに対し、第1符号系列L1との相関は0.75、第2符号系列L2との相関は0.25というように、各画素において符号系列L1,L2が占める領域の面積の大小に応じた値をとる。画素X2,X3についても同様に、混在する符号系列についてそれらの符号系列が占める領域の面積の大小に応じた値をとる。

【0072】
さらに、図15(a)に示すように撮像対象が左に0.5画素分移動すると、画素X1については、他の符号系列L3~L6との相関は最小となるのに対し、第1符号系列L1との相関は0.5、第2符号系列L2との相関は0.5というように、各画素において符号系列L1,L2が占める領域の面積の大小に応じた値をとる。画素X2,X3についても同様に、混在する符号系列についてそれらの符号系列が占める領域の面積の大小に応じた値をとる。

【0073】
処理プロセッサ9は、図14及び図15に記載のような各画素についての複数の符号系列(L1~L6)それぞれとの相関値に基づいて、それぞれの画素に含まれる1又は複数の符号系列(L1~L6)を特定するとともに、各画素において各符号系列が占める割合を求める。

【0074】
具体的には、図16~図18に示すように、複数の符号系列(L1~L6)それぞれとの相関値と、移動量との関係とを規定した情報(移動量特定情報)が、記憶部10に予め設定されており、処理プロセッサ9は、図16~図18に示す情報を参照することで、符号系列の特定等を行う。

【0075】
図16は、ある画素に、符号系列L1だけが存在している状態(図16の横軸の「0」の位置)から、符号系列L2が進入してきて、その画素が符号系列L2だけで占められた状態(図16の横軸の「1画素」の位置)となるまでの間における、その画素の画素値系列と符号系列(L1~L6)それぞれとの相関値の変化を示している。

【0076】
図17は、ある画素に、符号系列L2だけが存在している状態(図17の横軸の「0」の位置)から、符号系列L3が進入してきて、その画素が符号系列L3だけで占められた状態(図16の横軸の「1画素」の位置)となるまでの間における、その画素の画素値系列と符号系列(L1~L6)それぞれとの相関値の変化を示している。

【0077】
図18は、ある画素に、符号系列L3だけが存在している状態(図18の横軸の「0」の位置)から、符号系列L4が進入してきて、その画素が符号系列L4だけで占められた状態(図18の横軸の「1画素」の位置)となるまでの間における、その画素の画素値系列と符号系列(L1~L6)それぞれとの相関値の変化を示している。

【0078】
なお、図16~図18には、図13~図15における撮像対象の動きに関連する3つの情報(移動量特定情報)だけを示したが、実際には、1つの画素に同時に存在する可能性がある符号系列の組み合わせの数だけの情報が記憶部10に設定されている。

【0079】
処理プロセッサ9は、例えば、画素X1について図14(a)示すような各符号系列(L1~L6)との相関値が得られた場合、記憶部10に記憶されている情報(移動量特定情報)をサーチして、得られた相関値とフィットする情報を選択する。ここでは、1つ前の時相(初期時相;図13)において、画素X1の符号系列は符号系列L1であるから、記憶部10に記憶されている情報のうち、横軸=0の位置において符号系列L1との相関値が最大となっている図16の情報が選択される。
そして、符号系列L1との相関値=0.75及び符号系列L2との相関値=0.25という混在状況に基づいて、図16に示す情報を参照して、符号系列L2が進入してきた移動量は「0.25」であると判定する。

【0080】
同様にして、図14(a)に示す他の画素及び図15(a)に示す画素についても、混在する符号系列及び進入してきた符号系列の移動量(その画素に占める割合)を求めることができる。

【0081】
なお、図13~図15のように、単純な左右方向の往復運動(正弦運動)の場合、各符号系列の占める割合だけからでも、撮像対象の移動方向を特定することが可能であるが、より複雑な運動となった場合には、各画素における符号系列の割合の変化の仕方を、連続する複数の時相間で検証することで、移動方向を推定することが可能である。
また、図16~図18に示す情報(移動量特定情報)では、相関値と移動量との関係が線形となっているが、実際には、非線形となることが多い。相関値と移動量との関係が非線形性となる場合は、各符号系列の組み合わせ毎に、予め符号系列から計算により求めて置いた関係、あるいは予め実測によりもとめておいた関係を、移動量特定情報として用いるのが好ましい。

【0082】
以上のようなサブピクセル解析を行うことで、1画素の大きさ未満での撮像対象の運動量を算出することができる。
図19は、左右方向に正弦運動する撮像対象(ファントム)に対してサブピクセル解析とピクセル解析とを行った場合の解析結果のイメージを示している。撮像対象のある点に着目すると、図19における実線(理論位置)で示すように、運動は正弦運動となる。この撮像対象に対して、ピクセル解析を行った場合、位置は、1mm単位でしか検出できないことになる。これに対し、サブピクセル解析では、1mm未満の移動も検出できるため、理論位置に近い位置を検出することが可能となる。

【0083】
[8.変形例]
上記実施形態では、一つの画素それぞれに符号系列(位置情報)を割り当てたが、符号系列(位置情報)を割り当てる対象は、一つの画素に限らず、複数の画素からなる画像領域であってもよい。

【0084】
しかも、符号系列(位置情報)を割り当てる対象を、1個の時系列タギングMR画像におけるNL個の画素からなる画像領域とした場合、符号系列は、NL方向ではなく、画像方向(2次元画像のX方向若しくはY方向、又は3次元画像のX方向,Y方向若しくはZ方向)に形成することができる。この場合、複数の時系列タギングMR画像を撮像する必要がなくなり、撮像時間を短縮することができる。

【0085】
図20は、画像方向(X方向)に符号系列「1,-1,-1,1,-1,1,1」を割り当てた例を示している。この場合、時相(時刻)t=0において、画像の左端に位置していた前記符号系列を有する領域は、後の時相(時刻)t=t1においては、撮像対象(人体組織)の運動により、画像の右方へ移動している。時相t=t1において、前記符号系列が割り当てられている領域を検出するには、時相t=t1の画像において、前記符号系列「1,-1,-1,1,-1,1,1」との相関をとり、相関値が大きくなる位置を検出することで行える。
例えば、図示のように、時相t=t1の符号系列「1,-1,-1,1,-1,1,1」の位置と同じ位置で相関をとった場合、その位置から1画素分右へ移動した位置で相関をとった場合、2画素分右へ移動した位置で相関をとった場合、及び3画素分右へ移動した位置で相関をとった場合では、3画素分右へ移動した位置で相関をとった場合に相関が最も高くなり、その他の場合では、相関が-1(最小値)である。したがって、時相t=t1においては、符号系列「1,-1,-1,1,-1,1,1」が割り当てられた領域は、3画素分右へ移動した位置にあることを検出することができる。

【0086】
[9.変形例におけるサブピクセル解析]
この変形例においても、1画素単位の解析(ピクセル解析)だけでなく、1画素未満の解析(サブピクセル解析)を行うことができる。この変形例において、サブピクセル解析を行う場合には、各画素の画素値(輝度値)から移動量(白領域又は黒領域の占める割合)を求める。
つまり、タグパターンにおいて、白領域と黒領域の境界が1つの画素中に位置した場合、図22(b)及び図23(b)のように、その画素は、白領域と黒領域との間の中間色(中間輝度)となる。例えば、白領域部分だけが撮影された画素(例えば図21の画素X1)に、隣の画素(例えば、図21の画素X2)から黒領域部分が移動してきた場合、その画素X1の画素値は、その画素X1に占める黒領域の大きさに応じた強さの黒みがかかった値となる。
また、黒領域部分だけが撮影された画素(例えば図21の画素X3)に、隣の画素から黒領域部分が移動してきた場合、その画素X3の画素値は、その画素X3に占める白領域の大きさに応じた強さの白みがかかった値となる。

【0087】
タグパターンにおける黒領域の輝度を「0」、白領域の輝度の輝度を「1」とした場合、白領域画素に黒領域部分が移動してきた場合の画素値(輝度)と移動量とは、図24(a)のように示される。また、黒領域画素に白領域部分が移動してきた場合の画素値(輝度)と移動量とは、図24(b)のように示される。

【0088】
なお、図24の画素値は、同じ撮像対象の同じ運動についてタグパターンが付されていない時系列MR画像における画素値で正規化したものである。撮像対象の位置によっては、同じ白領域又は黒領域であっても画素値が異なることがあり、また、時間が経つにつれてタグパターンが消失(例えば、黒領域も白領域となる)するが、上記の正規化を行っておくことで、条件により異なる画素値(輝度)が得られても、図24に示す関係を適用することができる。また、正規化は、タグパターンが付されていない時系列MR画像における画素値ではなく、同一時相における白領域若しくは黒領域の画素値又はそれらのコントラストを用いて行っても良い。

【0089】
図24に示す関係(移動量特定情報)を用いて、移動量を求めるには、まず、画素値から、画素内において白領域が占める割合fwと、黒領域が占める割合fBを求める。これらの割合fw,fBは、ある画素の画素値を、正規化することによって得られる。
例えば、時間が経つにつれて、タグパターンの黒領域が消失する場合、時相ごとに黒領域がとる値は、白領域の値に近づいていくため変化する。これに対処するには、同じ撮像対象の同じ運動についてタグパターンが付されていない時系列MR画像において、割合fw,fBの算出対象となっている画素と、同一時相かつ同一位置の画素(対応画素)に着目する。正規化では、割合fw,fBの算出対象となっている画素の画素値を、対応画素の画素値で除算する。これにより、算出対象の画素値の画素値は、「1」(白領域のみ)から「0」(黒領域のみ)の値で正規化され、その値がfWとなる。fBは、[1-fW]の演算で求めることができる。

【0090】
割合fw,fBが求まると、図24に示す関係を用いて、それらの 割合fw,fBから算出対象画素への白領域又は黒領域の進入量(移動量)を1画素未満の大きさで求めることができる。なお、移動方向は、過去の時相における白領域又は黒領域の配置や算出対象画素の周囲の画素の画素値に基づいて推定可能であるが、規則的な左右方向の正弦運動を前提とする場合、移動量がわかるだけで運動解析が可能である。

【0091】
[10.変形例の2次元(多次元)への拡張]
なお、図20において、符号系列(位置情報)が割り当てられる画素の領域は、1次元(X方向のみ)の領域であったが、2次元又は3次元の領域であってもよい。また、図7に示す複数回(例えば、NL回)の撮像方向も加えて考えた場合、2次元画像であれば画像X方向、画像Y方向、及び撮像方向の3次元における領域であってもよいし、3次元画像であれば、画像X方向、画像Y方向、画像Z方向、及び撮像方向の4次元における領域であってもよい。

【0092】
図25及び図26は、図20に示す変形例を2次元に拡張した例を示している。図25及び図26に示す例では、1つの符号系列(位置情報)が割り当てられる画素の領域は、2次元の領域(3画素×3画素)となっている。
図25(a)に示すタグパターンは、変形例を2次元に拡張するためのパターンである。このパターンは、図25(b)にも示すように、横縞(水平の縞模様)と縦縞(垂直の縞模様)とを有するパターンである。図25(b)のパターンは、画像の縦方向にみたときに、横縞の白領域(白帯)幅:黒領域(黒帯)幅=3:1であり、画像の横方向にみたときに、縦縞の白領域(白帯)幅:黒領域(黒帯)幅=3:2である。なお、図25(b)の斜線部分が黒領域であり、白抜き領域が白領域である。

【0093】
このようなタグパターンを撮像対象に印加すると、図25(a)に示すように、2次元空間で、20個(縦4画素×横5画素)の画素(図25(b)のA-T)を1単位として左右上下に繰り返す白黒パターンが形成される。
A-Tの20個の画素について、それぞれを中心とする例えば9個の画素(自身の画素及びその近傍の8個の画素;3×3画素の領域)の白黒パターンに注目すると、図26に示すように、20個の3×3画素の領域は、すべて異なる白黒パターンとなっている。これは、20個の画素に特有の画像パターン(長さNL=9の符号系列;位置情報)とみなすことができ、タグパターンによって画像の各画素をコーディングできたことと等価である。

【0094】
図27~図29は、変形例を2次元に拡張した他の例を示している。
図27(b)に示すパターンも、横縞(水平の縞模様)と縦縞(垂直の縞模様)とを有するパターンである。図27(b)のパターンは、画像の縦方向にみたときに、横縞の白領域(白帯)幅:黒領域(黒帯)幅=3:2であり、画像の横方向にみたときに、縦縞の第1白領域幅:第1黒領域幅:第2白領域幅:第2黒領域幅=3:1:1:1である。なお、図27(b)の斜線部分が黒領域であり、白抜き領域が白領域である。

【0095】
このようなタグパターンを撮像対象に印加すると、図27(a)に示すように、2次元空間で、30個(縦5画素×横6画素)の画素(図27(b)のA-Y(A’,F’,K’,P’,U’を含む))を1単位として左右上下に繰り返す白黒パターンが形成される。
A-Yの30個の画素について、それぞれを中心とする例えば9個の画素(自身の画素及びその近傍の8個の画素;3×3画素の領域)の白黒パターンに注目すると、A’,F’,K’,P’,U’は、A,F,,P,Uと同じパターンになるため、図28に示すように、25個の白黒パターンが得られ、これら25個の3×3画素の領域は、すべて異なる白黒パターンとなっている。これは、25個の画素に特有の画像パターン(長さN=9の符号系列;位置情報)とみなすことができ、タグパターンによって25個の画素をコーディングできたことと等価である。

【0096】
A’,F’,K’,P’,U’の画素と、A,F,K,P,Uの画素との区別については、図29に示すように、9個の画素(自身の画素及びその近傍の8個の画素;3×3画素の領域)よりもさらに周辺の画素(例えば、自身の画素及びその近傍の24個の画素;5×5画素の領域)に注目することにより判別することが可能である。なお、30個の画素全部について、5×5画素の領域で符号化をしてもよい。

【0097】
なお、以上説明した変形例において特に説明しない点については、図1~図10に関して説明した内容に即して実施することができる。

【0098】
なお、上記において開示した事項は、例示であって、本発明を限定するものではなく、様々な変形が可能である。
例えば、画素信号が、輝度値に代えて、又は加えて、位相値であってもよい。
また、運動解析としては、単に、移動などを検出するのではなく、検出された移動量から撮像対象の弾性率を求めるものであってもよい。
さらに、本発明の撮像対象は、特に限定されない。ただし、解析精度の観点からは、血液などの流体のように基本的形態を持たない撮像対象よりも、心筋組織などのように移動・収縮・拡張などが生じるとしても基本的形態が保持される撮像対象の方が、良好な解析精度を得やすく好ましい。つまり、例えば血流を想定すると、血流方向の上流側に位置する部分が、下流側に位置する部分を追い越してしまい、ある時相における撮像対象(血流)の連続的な配置関係が、後の時相では崩れてしまう可能性があり、良好な解析精度を得るのを困難にする。一方、心筋組織は、運動(移動・収縮・拡張)しても、ある時相における心筋組織の連続的な配置関係が維持される連続体であるため、解析が容易となり、良好な解析精度を得るのが容易となる。
【符号の説明】
【0099】
1 MRI装置
2 磁場発生部
3 RFコイル
4 RF送信部
5 RF受信部
6 制御部
7 A/D変換部
8 コンピュータ
9 処理プロセッサ
10 記憶部
11 表示部
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図12】
10
【図14】
11
【図15】
12
【図16】
13
【図17】
14
【図18】
15
【図20】
16
【図22】
17
【図23】
18
【図24】
19
【図26】
20
【図28】
21
【図29】
22
【図11】
23
【図13】
24
【図19】
25
【図21】
26
【図25】
27
【図27】
28