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明細書 :ポリマー複合微粒子を用いた高分子固体電解質を用いた電気化学デバイス

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5705123号 (P5705123)
登録日 平成27年3月6日(2015.3.6)
発行日 平成27年4月22日(2015.4.22)
発明の名称または考案の名称 ポリマー複合微粒子を用いた高分子固体電解質を用いた電気化学デバイス
国際特許分類 H01M  10/0565      (2010.01)
H01M  10/058       (2010.01)
H01M  10/0525      (2010.01)
H01M   4/62        (2006.01)
H01G  11/56        (2013.01)
H01G  11/24        (2013.01)
H01M   8/02        (2006.01)
H01M   8/10        (2006.01)
FI H01M 10/0565
H01M 10/058
H01M 10/0525
H01M 4/62 Z
H01G 11/56
H01G 11/24
H01M 8/02 P
H01M 8/10
請求項の数または発明の数 11
全頁数 31
出願番号 特願2011-537275 (P2011-537275)
出願日 平成22年10月20日(2010.10.20)
国際出願番号 PCT/JP2010/068454
国際公開番号 WO2011/049113
国際公開日 平成23年4月28日(2011.4.28)
優先権出願番号 2009242879
2010129364
優先日 平成21年10月21日(2009.10.21)
平成22年6月4日(2010.6.4)
優先権主張国 日本国(JP)
日本国(JP)
審査請求日 平成25年10月18日(2013.10.18)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504132272
【氏名又は名称】国立大学法人京都大学
【識別番号】504237050
【氏名又は名称】独立行政法人国立高等専門学校機構
発明者または考案者 【氏名】辻井 敬亘
【氏名】大野 工司
【氏名】福田 猛
【氏名】佐藤 貴哉
【氏名】森永 隆志
個別代理人の代理人 【識別番号】110000796、【氏名又は名称】特許業務法人三枝国際特許事務所
審査官 【審査官】瀧 恭子
参考文献・文献 特開2009-059659(JP,A)
特開2005-129456(JP,A)
特開2001-155777(JP,A)
ZHIMING LI, 他,PVDF/PMMA Brushes Membrane for Lithium-Ion Rechargeable Batteries Prepared via Preirradiation Grafting Technique,Journal of Polymer Science: Part B: Polymer Physics,2008年 4月 1日,Vol.46 No.7,pp.751-758
調査した分野 H01M 4/00-4/62、8/02、8/10、10/05-10/0587
JSTPlus(JDreamII)
特許請求の範囲 【請求項1】
負極材料層を少なくとも表面に有する負極と、正極材料層を少なくとも表面に有する正極と、前記負極と前記正極の間に位置する固体電解質とを有する電気化学デバイスにおいて、
(1)前記固体電解質が、重合性官能基を有するモノマーが重合してなる高分子グラフト鎖からなるポリマーブラシ層を備える複合微粒子を主成分として含有する高分子固体電解質であり、前記複合微粒子が実質的に三次元の規則配列構造を形成し、かつ、微粒子間隙には連続したイオン伝導ネットワークチャンネルが形成されている固体電解質であり、
(2)前記負極若しくは負極材料層、並びに/或いは、前記正極若しくは正極材料層が間隙を有し、この間隙に前記複合微粒子が充填され、及び
(3)前記電極材料層或いは前記電極と前記固体電解質の接触界面が、高分子グラフト鎖からなるポリマーブラシ層である(ここで、前記電極材料層は負極材料層及び正極材料層からなる群から選ばれる少なくとも1種の層であり、前記電極は負極及び正極からなる群から選ばれる少なくとも1種の電極である)
ことを特徴とする電気化学デバイス。
【請求項2】
前記電気化学デバイスが、リチウムイオン二次電池又は電気化学キャパシタである請求項1に記載の電気化学デバイス。
【請求項3】
前記モノマーが、イオン液体モノマーであり、前記高分子グラフト鎖の前記複合微粒子の表面占有率が5~50%であり、前記高分子グラフト鎖の分子量分布指数は1.5以下であり、複合微粒子の粒径が30nm~10μmであり、イオン伝導度が35℃において0.08mS/cm以上である請求項1に記載の電気化学デバイス。
【請求項4】
前記高分子グラフト鎖と相溶性を有する液体を含有する、請求項1に記載の電気化学デバイス。
【請求項5】
前記液体が前記高分子グラフト鎖と相溶性を有するイオン液体である請求項4に記載の電気化学デバイス。
【請求項6】
前記負極及び正極の間に固体電解質を介在させて、一方の面に正極材料層が形成され他方の面に負極材料層が形成されているバイポーラ電極を有する、請求項1に記載の電気化学デバイス。
【請求項7】
移動性イオンを更に含有する、請求項1に記載の電気化学デバイス。
【請求項8】
前記移動性イオンが、リチウムイオンである、請求項1のいずれかに記載の電気化学デバイス。
【請求項9】
前記電気化学デバイスが、シート状集電体上に電極材料層が形成された負極及び正極と、これらの電極の間に位置する固体電解質層を有し、
前記固体電解質、並びに、シート状電極の表面に設けられた負極及び/又は正極の電極材料層の側面を囲み、前記電極材料層が形成されている集電体と密着する枠体を有する、請求項1に記載の電気化学デバイス。
【請求項10】
前記負極及び正極が、前記集電体の片面の一部に電極材料層を有し、
前記枠体が、固体電解質及び前記電極材料層の側面を囲み前記集電体と密着し、且つ、前記集電体の折れ曲がりを防止するために前記負極及び正極の集電体に当接して支持する、請求項に記載の電気化学デバイス。
【請求項11】
正極活物質、負極活物質のいずれか一方の電極活物質を含むインクを集電体上に塗布して形成された電極材料層を有する電極に対して、前記電極材料層の周りに枠体を形成し、重合性官能基を有するモノマーが重合してなる高分子グラフト鎖からなるポリマーブラシ層を備える複合微粒子を含有するペーストを枠体に導入して乾燥させて固体電解質膜を形成する、固体電解質膜付電極製造工程と、
前記電極活物質とは異なる正極活物質、負極活物質の他方の電極活物質を含むインクを集電体上に塗布して形成された電極材料層を有する電極に対して、前記複合微粒子のイオン液体溶液を含浸させることにより、電極材料層の間隙に前記複合微粒子が充填された電極を製造する、複合微粒子充填電極製造工程と、
前記固体電解質膜付電極製造工程により得られる電極の前記固体電解質膜と、前記複合粒子充填電極製造工程により得られる電極の前記複合微粒子が充填された電極面とを重ね合わせてポリマーブラシ層からなる前記電極材料層と前記固体電解質の接触界面を形成する、組立工程と、
を有することを特徴とする、電気化学デバイスの製造方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、電気化学デバイスに関し、より具体的には、リビングラジカル重合により所定の高分子グラフト鎖を略均一な長さで微粒子表面に密生させた複合微粒子を用いた高分子固体電解質膜を用いた電気化学デバイスに関する。
【0002】
本明細書において、「電気化学デバイス」とは、イオン(カチオン、アニオン、プロトンも含む)の移動あるいは電気化学反応を伴う素子のことを意味し、より具体的には、一次電池、二次電池(例えば、リチウムイオン二次電池、ニッケル水素二次電池、有機ラジカル電池)、固体高分子形燃料電池等の燃料電池、有機色素太陽電池等の太陽電池、電気二重層キャパシタ、電気化学キャパシタ等を意味する。
【背景技術】
【0003】
昨今のリチウムイオン二次電池や固体高分子形燃料電池の普及に伴い、イオン伝導性の固体電解質膜の需要やニーズが益々高まってきている。ここで、リチウムイオン二次電池は、電解質内に存在するリチウムイオンを媒体とした二次電池である。そして、当該電池には、対向配置される正極及び負極間に、正極及び負極間が短絡することを防止する目的で、両極間にリチウムイオンの流通が可能な電解質を含む多孔性高分子フィルムがセパレータとして設けられている。また、固体高分子形燃料電池は、水素と酸素との反応により発電させる燃料電池の一種であり、両極間には、電解質としてイオン伝導性を有する高分子膜が配されている。
【0004】
その他、蓄電装置として、キャパシタが挙げられる。キャパシタとは、1879年にドイツの学者ヘルムホルツ(Helmholtz)によって発見された「電気二重層」現象の原理が応用された蓄電器のことである。電気を電気のまま(エネルギーの化学反応なしに)充放電することが可能で、原理的には半永久的に使用することができる、理想的な蓄電装置と言われており、様々な用途に向けての実用化を目指し研究が進んでいる。電気二重層キャパシタは、二次電池やコンデンサ等、電気を貯める蓄電媒体の一つであり、1対の活性炭電極(陽極、陰極)と電解液とで構成されている。充電時に、電極と逆電極の電解質イオンを電極の表面に物理的に吸着させ(これにより電気二重層を形成)、放電時に脱落させることを利用している。充電・放電の際に化学反応を伴わないため、電極の劣化がほとんどなく、長期に渡って使用できる。
【0005】
そして、近年、これら固体高分子形燃料電池等への応用を念頭に置いた、各種の固体電解質膜が提案されている。その中で、イオン液体(ionic liquid)を用いた固体電解質膜は、高いイオン伝導性、優れた熱的・電気的安定性、難燃性及び不揮発性というイオン液体の特質故、特に注目を浴びている。当該イオン液体を用いての固体電解質膜として、例えば、イオン液体をゲル化する手法(例えば特許文献1)と、イオン液体をセラミック膜等の固体に浸透させる手法(例えば特許文献2)が挙げられる。
【0006】
その他、イオン液体のイオン伝導性を損なうこと無く、かつ、イオン液体の漏出が抑止可能で、リチウムイオン二次電池や固体高分子形燃料電池にも適用でき、常温以上で高い機械強度・優れた形状安定性を有する非水系の高分子固体電解質として、重合性官能基を有するイオン液体モノマーが重合してなる高分子グラフト鎖からなるポリマーブラシ層を備える複合微粒子を主成分として含有することを特徴とする高分子固体電解質が提案されている(特許文献3)。
【先行技術文献】
【0007】

【特許文献1】特開2007-48541号公報
【特許文献2】特表2004-515351号公報
【特許文献3】特開2009-59659号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に関しては、ゲル化によって、もとのイオン液体それ自体よりもイオン伝導性が著しく低下すると共に、作動温度が高温になった場合には、当該イオノゲルがゾル化し、液状となって流れ出る恐れがあるという問題がある。他方、特許文献2に関しても、イオン液体単独の場合に比してイオン伝導度が向上せず、また、浸透したイオン液体が使用中に外に漏れる等のおそれがある。そこで、これらの電解質を用いる場合には、別途ガスケットを設けるなど液漏れ対策が必要となる。
【0009】
一方、上記のように液が外に流れ出ないようなドライポリマー系の固体電解質を使用した電気化学デバイスにおいては、負極及び正極と固体電解質の界面の接合が問題となり、十分な導電性を発揮することができないという問題を有していた。そこで、本発明は、電解質からの液漏れが少なくイオン伝導度の高い固体電解質を用いて、更に、負極及び/又は正極と当該固体電解質の界面が電気的に良好に接合されている電気化学デバイスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、以下の電気化学デバイス及びその製造方法、並びに電極を提供するものである。
【0011】
項1.
負極材料層を少なくとも表面に有する負極と、正極材料層を少なくとも表面に有する正極と、前記負極と前記正極の間に位置する固体電解質とを有する電気化学デバイスにおいて、
(1)前記固体電解質が、重合性官能基を有するモノマーが重合してなる高分子グラフト鎖からなるポリマーブラシ層を備える複合微粒子を主成分として含有する高分子固体電解質であり、前記複合微粒子が実質的に三次元の規則配列構造を形成し、かつ、微粒子間隙には連続したイオン伝導ネットワークチャンネルが形成されている固体電解質であり、
(2)前記負極若しくは負極材料層、並びに/或いは、前記正極若しくは正極材料層が間隙を有し、この間隙に前記複合微粒子が充填され、及び
(3)前記電極材料層或いは前記電極と前記固体電解質の接触界面が、高分子グラフト鎖からなるポリマーブラシ層である(ここで、前記電極材料層は負極材料層及び正極材料層からなる群から選ばれる少なくとも1種の層であり、前記電極は負極及び正極からなる群から選ばれる少なくとも1種の電極である)
ことを特徴とする電気化学デバイス。
【0012】
項2.
前記電気化学デバイスが、リチウムイオン二次電池及び電気化学キャパシタである項1に記載の電気化学デバイス。
【0013】
項3.
前記モノマーが、イオン液体モノマーであり、前記高分子グラフト鎖の前記複合微粒子の表面占有率が5~50%であり、前記高分子グラフト鎖の分子量分布指数は1.5以下であり、複合微粒子の粒径が30nm~10μmであり、イオン伝導度が35℃において0.08mS/cm以上である項1に記載の電気化学デバイス。
【0014】
項4.
前記高分子グラフト鎖と相溶性を有する液体を含有する、項1に記載の電気化学デバイス。
【0015】
項5.
前記液体が前記高分子グラフト鎖と相溶性を有するイオン液体である項4に記載の電気化学デバイス。
【0016】
項6.
前記負極及び正極の間に固体電解質を介在させて、一方の面に正極材料層が形成され他方の面に負極材料層が形成されているバイポーラ電極を有する、項1に記載の電気化学デバイス。
【0017】
項7.
移動性イオンを更に含有する、項1に記載の電気化学デバイス。
【0018】
項8.
前記移動性イオンが、リチウムイオンである、項1のいずれかに記載の電気化学デバイス。
【0019】
項9.
前記負極及び正極の間に固体電解質を介在させて、一方の面に正極材料層が形成され他方の面に負極材料層が形成されているバイポーラ電極を有する、項1に記載の電気化学デバイス。
【0020】
項10.
前記電気化学デバイスが、シート状集電体上に電極材料層が形成された負極及び正極と、これらの電極の間に位置する固体電解質層を有し、
前記固体電解質、並びに、シート状電極の表面に設けられた負極及び/又は正極の電極材料層の側面を囲み、前記電極材料層が形成されている集電体と密着する枠体を有する、項1に記載の電気化学デバイス。
【0021】
項11.
前記負極及び正極が、前記集電体の片面の一部に電極材料層を有し、
前記枠体が、固体電解質及び前記電極材料層の側面を囲み前記集電体と密着し、且つ、前記集電体の折れ曲がりを防止するために前記負極及び正極の集電体に当接して支持する、項10に記載の電気化学デバイス。
【0022】
項12.
正極活物質、負極活物質のいずれか一方の電極活物質を含むインクを集電体上に塗布して形成された電極材料層を有する電極に対して、前記電極材料層の周りに枠体を形成し、重合性官能基を有するモノマーが重合してなる高分子グラフト鎖からなるポリマーブラシ層を備える複合微粒子を含有するペーストを枠体に導入して乾燥させて固体電解質膜を形成する、固体電解質膜付電極製造工程と、
前記電極活物質とは異なる正極活物質、負極活物質の他方の電極活物質を含むインクを集電体上に塗布して形成された電極材料層を有する電極に対して、前記複合微粒子のイオン液体溶液を含浸させることにより、電極材料層の間隙に前記複合微粒子が充填された電極を製造する、複合微粒子充填電極製造工程と、
前記固体電解質膜付電極製造工程により得られる電極の前記固体電解質膜と、前記複合粒子充填電極製造工程により得られる電極の前記複合微粒子が充填された電極面とを重ね合わせてポリマーブラシ層からなる前記電極材料層と前記固体電解質の接触界面を形成する、組立工程と、
を有することを特徴とする、電気化学デバイスの製造方法。
【0023】
本特許請求の範囲及び本明細書において使用される用語の定義を列記する。
【0024】
「イオン液体モノマー」とは、例えば反応性の炭素-炭素二重結合等の重合性官能基を有するイオン液体を指す。ここで、「イオン液体」とは、イオン性液体や常温溶融塩とも呼称される、イオン伝導性を有する低融点の塩であって、その多くは、カチオンとしての有機オニウムイオン、アニオンとしての有機又は無機アニオンとを組み合わせることにより得られる比較的低融点の特性を有するものを指す。融点は通常100℃以下、好ましくは室温以下である。
【0025】
「高分子グラフト鎖」は、モノマー単独のホモポリマーに限定されず、種類の異なる複数のモノマー(例えば、イオン液体モノマー、スチレン誘導体、酢酸ビニル、アクリロニトリル、エチレンオキシド)のランダムコポリマーやブロックコポリマーをも包含する。
【0026】
「ポリマーブラシ層」とは、多数の高分子グラフト鎖が高密度で表面に垂直方向に異方的な形態を有する状態で微粒子の表面に結合している際の当該高分子グラフト層を指す。高分子固体電解質は、複合微粒子が三次元に規則配列した構造を有するので、その表面にポリマーブラシ層を有する。一方、電極(負極及び/又は正極)或いは電極材料層(負極材料層及び/又は正極材料層)は、その間隙に複合微粒子を充填させた構造を有する。電極/電極材料層表面には電極活物質(負極活物質又は正極活物質)、極材(活性炭電極)、複合微粒子、液体(イオン液体など)などが存在する。
【0027】
従って、高分子固体電解質と電極を重ね合わせると、両者の接触界面は、高分子グラフト鎖からなるポリマーブラシ層になる。
【0028】
「電極」は、負極と正極の一方若しくは両方を含み、「電極材料層」は負極材料層と正極材料層の一方若しくは両方を含み、「電極活物質」は負極活物質と正極活物質の一方若しくは両方を含む。
【0029】
ペーストを枠体に「導入」するとは、ペーストを枠内に流し込むことを意味し、ペーストを枠内に注入することを包含する
【0030】
「表面占有率」とは、微粒子表面上におけるモノマー断面積あたりの高分子鎖の本数を指す。更に、「結合」とは、一般的な化学反応により形成される結合を意味し、具体的には、共有結合及びイオン結合が挙げられる。
【0031】
「分子量分布指数」とは、Mw(重量平均分子量)/Mn(数平均分子量)の比を指す。
【0032】
「複合微粒子」とは、高分子グラフト鎖が微粒子表面に結合して形成されるものを意味し、「微粒子」と区別して使用される。コアとなる微粒子部分は金属、無機物質、有機物質のいずれでもよい。
【0033】
「主成分」とは、高分子固体電解質の全重量(質量)に対して50質量%以上含有されている成分を意味する。例えば固体電解質は、複合微粒子を主成分とするが、固体電解質は、複合微粒子からなるものでもよく、複合微粒子に加えてイオン液体、重合性イオン液体モノマー、イオン液体ポリマー(重合性イオン液体モノマーの重合物)、溶媒、移動性イオン、微粒子などが50質量%以下含まれていてもよい。
【0034】
「高分子固体電解質」における「固体」とは、「構造体が自立的に一定の形と体積を有し、外から加えられる力に抵抗する性質を持ち、流動しない状態」を意味する。室温以上の温度において自立性の固体状であり膜状や板状が好ましい。外力に対して抵抗する力を現す方法として破断強度が挙げられる。
【0035】
「相溶性」とは、両方の成分を所定の割合で混合して放置した際に、二層に分離しないことを指す。
【0036】
「移動性イオン」とは、電気的に移動可能なものであれば、カチオンでもアニオンでも、また価数も問わず、例えば、リチウムイオンやプロトンを挙げることができる。
【0037】
「規則配列」とは、隣接する微粒子間の距離が略等間隔であることをいう。「三次元の規則配列構造」とは、このような規則配列を有する三次元構造をいう。
【0038】
「正極材料層」は、正極活物質をバインダー(バインダーポリマー)と混合して得られたペーストを集電体などに塗工(apply)して得られる。正極材料層は、通常正極活物質とバインダー、必要に応じてさらに導電材により構成され、集電体と一緒になって正極を構成する。正極は、具体例として正極材料層と集電体から構成される。
【0039】
「負極材料層」は、負極活物質をバインダー(バインダーポリマー)と混合して得られたペーストを集電体などに塗工(apply)して得られる。負極材料層は、通常負極活物質とバインダー、必要に応じてさらに導電材により構成され、集電体と一緒になって負極を構成する。負極は、具体例として負極材料層と集電体から構成される。
【0040】
次に、本特許請求の範囲及び本明細書中に規定された主要な各種パラメータの測定方法を列記する。
【0041】
《グラフト密度及び表面占有率の測定方法》
グラフト密度は、グラフト鎖のMn(数平均分子量)の絶対値、グラフトされたポリマー量(グラフト量)、微粒子の比表面積より算出する。Mnの絶対値はゲルパーミエーションクロマトグラフ法或いは重合率より、グラフト量は熱重量分析法或いは各種分光法等により決定し、比表面積は微粒子粒径より算出する。なお、表面占有率は、ポリマーの伸びきり形態における繰り返し単位長さとポリマー(あるいはモノマー)のバルク密度より断面積を求め、グラフト密度を掛けて算出する。ここで、グラフト密度の理論最大値は、モノマーの大きさ(高分子の断面積)による。大きなサイズのモノマーであれば最大グラフト密度は小さくなる。他方、表面占有率は、モノマー断面積(ポリマー断面積)当たりのグラフト密度であり、モノマーの大きさ(ポリマーの太さ)の違いを補正し、最大値は100%である。占有率は、表面をグラフト点(1つ目のモノマー)が占める割合という意味になる(最密充填で100%、これ以上にはグラフトできない)。
【0042】
《破断強度》
サンプルを23℃、65%の恒温室で12時間以上放置した後に、幅5mm、長さ50mmに切断する。そして、JIS K7113に基づき、島津製作所製精密万能試験機AGS-1KNGを用いて当該切断サンプルの破断強度を測定する。
【0043】
《イオン伝導度》
サンプルを直径13mmの円形に切り抜くか、あるいはステンレス製の直径12mmのコイン(高さ10mm)上に製膜する。対極となる同じサイズのステンレス製コインを置き挟み込んで固定する。コインに直接取り付けたリード線にLCRメータを使って電圧10mVの交流電圧を周波数2MHzから10Hzまで変えながら印加し、電流と位相角の応答を測定する。イオン伝導度は、一般的に行われている方法でCole-Coleプロットの実数軸との切片から求める。尚、この測定は試料を恒温湿槽の中に入れて所定温度で測定する。
【0044】
《重量平均分子量、数平均分子量》
グラフトポリマーのMw(重量平均分子量)及びMn(数平均分子量)は、フッ化水素酸処理によりシリカ粒子よりグラフトポリマーを切り出す、或いは、重合時に生成するフリーポリマーがグラフトポリマーと等しい分子量を有すると仮定して、ゲルパーミエーションクロマトグラフ法により見積もる。なお、Mnの絶対値に関しては、重合率より算出する。
【0045】
《規則配列》
例えばCCDマイクロスコープ、光学顕微鏡あるいは電子顕微鏡等を用いて高分子固体電解質表面を観察し、視野内に20から100個程度の微粒子を観察できる倍率において、10粒子以上の粒子について粒子間距離を測定する。(平均値±平均値の1/2)の範囲に測定結果の85%以上が入る場合を規則配列とする。例えばポリマーブラシ層を備える複合微粒子を主成分とする高分子固体電解質は、三次元の規則配列を有し、それにより複合微粒子の間隙には連続したイオン伝導ネットワークが形成される。
【発明の効果】
【0046】
本発明によれば、電解質からの液漏れが少なくイオン伝導度の高い固体電解質を用いることにより、パッキン等の液漏れ対策を施さずに電気化学デバイスを構成できるため、当該電気デバイスのサイズを小さくできる。更に、負極及び/又は正極と当該固体電解質の界面がポリマーブラシ層により電気的に良好に接合されている電気化学デバイスが得られる。すなわち、電極の活物質の表面積を増大させるために電極材料層の間隙が設けられた電極を用いた場合には、当該間隙内に、固体電解質に含まれる伝導性成分である複合微粒子が充填されているため、伝導ネットワークチャンネル(例えばイオン伝導ネットワークチャンネル)が形成されて電極活物質へのイオン伝達等を潤滑(smooth)に行なうことができ、電気化学デバイスの容量や出力が顕著に向上するという効果を奏する。なお、電極材料層(負極材料層又は正極材料層)の間隙は、粒子状の電極活物質をバインダーで固めた電極材料層において形成される間隙である。
【0047】
本発明において、電極材料が粒子状であれば、電極の表面積が増大すると共に、当該材料の間隙に複合微粒子が充填されやすくなるという効果を奏する。
【0048】
イオン液体モノマーの重合性官能基がラジカル重合性官能基であり、重合手法がリビングラジカル重合である場合には、高密度で分子量分布指数の低いポリマーブラシとなる。
【0049】
イオン液体モノマーは難燃性、高耐熱性、高イオン伝導性などの特徴を有しているため、イオン液体モノマーから得られるポリマーブラシ鎖自体もまた、それらの性質を継承している。これらの性質を有する複合微粒子を電気化学デバイスに利用することで、デバイスの安全性と信頼性、耐熱性が向上する。
【0050】
好ましい1つの実施形態において、本発明の高分子グラフト鎖の複合微粒子の表面占有率は5~50%と高いので、グラフト鎖が高伸長形態をとり、さらに高密度なグラフト鎖の立体的な反発力で微粒子が高度に配列し、特にイオン液体等液体の含浸時に効率的なイオン伝導ネットワークチャンネルを形成することができる。
【0051】
高分子グラフト鎖の分子量分布指数が1.5以下であれば、ポリマーブラシ鎖の長さのバラつきが少なくなり、長さが比較的揃った高密度なグラフト鎖の立体的な反発力で微粒子が高度に配列し、特にイオン液体等液体の含浸時に効率的なイオン伝導ネットワークチャンネルを形成することができる。
【0052】
ブラシ鎖と添加した液体(例えば溶媒、イオン液体)の相溶性が高ければ、ブラシ分子と液体分子はお互いに溶解し合う関係となり強い相互作用を持つ。長期間保存或いは使用しても固体電解質膜として安定で溶媒の漏出を抑制するという効果を奏する。溶媒を含むことによって、より規則的な3次元配列状態を構築することが可能となる。その結果、当該規則配列構造に起因し、より高いイオン伝導性を有するという効果を奏する。また、当該溶媒の存在により、微粒子に結合した高分子グラフト鎖が伸張する結果、当該鎖の分子量が小さい場合であっても機械強度を担保できる(固体電解質を維持できる)という効果を奏する。
【0053】
高分子固体電解質が複合微粒子と少量のイオン液体を含有している場合、複合微粒子上のポリマーブラシがイオン液体で可塑化される結果、ブラシの分子運動性が向上するため、より高いイオン伝導性を発現しうる。さらに、イオン液体は難燃性、高耐熱性、高イオン伝導性などの特徴を有しているため、これを用いた電気化学デバイスの安全性と信頼性、耐熱性が向上する。更には、イオン液体自体のイオン伝導性による、より一層のイオン伝導性向上も図ることができる。
【0054】
高分子固体電解質内に移動性イオン(例えばリチウムイオンやプロトン)がフリーの形で存在すると、イオン伝導性が高い結果、リチウムイオン二次電池のセパレータや固体高分子形燃料電池で用いられるプロトン伝導膜としてより有用となる。移動性イオンがリチウムイオンの場合、リチウムイオン二次電池に応用できる。
【0055】
前記負極及び正極の間に固体電解質を介在させて、一方の面に正極材料層が形成され他方の面に負極材料層が形成されているバイポーラ電極を有する電気化学デバイスは、電解質からの液漏れが少なくイオン伝導度の高い固体電解質を用いることにより、パッキン等の液漏れ対策を施さずにバイポーラ電極を積層して得られる高電圧電気化学デバイスの製造が可能になる。バイポーラ電極積層構造の電気化学デバイスでは直列接続された組み合わせ電極間で電解液のショート(液絡)は許されない。当該発明の電解質を用いることで、液絡の無い、小型バイポーラ型電気化学デバイスが製造できる。その結果、デバイスセル当たりの駆動電圧を高めることが可能となり、デバイスのエネルギー密度、出力密度の向上につながる。
【0056】
固体電解質及び電極材料層の側部に枠体が設けた場合、固体電解質からの液漏れがあった場合であっても、バイポーラ型電気化学デバイスなどの液絡を防止することが可能になる。
【0057】
枠体が、固体電解質及び前記電極材料層の側面を囲み前記集電体と密着し、且つ、前記集電体の折れ曲がりを防止するために前記負極及び正極の集電体に当接して支持する場合、上記のように液漏れが防止できるだけでなく、集電体の折れ曲がりを防止することができる。
【0058】
本発明の電気化学デバイスの製造方法によれば、電極材料層の周りに枠体を形成した後に、当該枠体を利用して固体電解質膜を形成することによって、固体電解質膜を形成が容易であると共に、枠体が密着するため、より液漏れも防止効果を顕著に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】図1は、本実施形態に係る電池の概略断面構成図である。
【図2】図2は、本実施形態に係る電池の概略断面構成図である。
【図3】図3は、本実施形態に係る固体電解質の概念図である。
【図4】図4は、本実施例に係る電池の充放電カーブである。
【図5】図5は、本実施例に係る電池の充放電サイクル結果である。
【図6】図6は、本実施例に係る電気二重層キャパシタのサイクル充放電カーブである。
【図7】図7は、枠体の形状例や、枠体と電極材料層及び集電体との位置関係を示した図である。
【図8】図8は、本発明に係る製造方法の概略を示す図である。
【図9】図9は、本発明に係る製造方法の概略を示す図である。
【図10】図10は、本実施例に係る電池の充放電の結果を示す図である。
【図11】図11は、実施例5で得られた固体電解質膜の走査型電子顕微鏡写真を示す図である。
【図12】図12は、実施例6で得られた電極の断面の電子顕微鏡画像を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0060】
以下、本発明の実施形態を説明する。但し、当該実施形態は、本発明のよりよい理解のために提供されるものであり、本発明の技術的範囲は以下の記載に限定されるべきでない。したがって、当業者は、本明細書中の記載を参酌して、本発明の範囲内で適宜改変を行うことができることは明らかである。以下、本実施形態においては、電気化学デバイスとして電池を例にとり、本発明の詳細について説明する。

【0061】
図1(a)は、本実施形態に係る電池の概略断面構成図である。本実施形態に係る電池は、負極100と、正極200と、前記負極及び正極に挟持された固体電解質300とを有する。ここで、固体電解質300は、重合性官能基を有するモノマーが重合してなる高分子グラフト鎖からなるポリマーブラシ層を備える複合微粒子を主成分として含有する高分子固体電解質である。固体電解質300は高い伝導性を持たせるため薄く形成されることが好適である。尚、当該複合微粒子の詳細な構造については、後ほど詳述する。負極100は、例えば、集電体101と負極材料層102から構成される。負極材料層102は当該集電体の表面に塗布された負極ペーストを乾燥して得られ、間隙を有する。負極ペーストには、負極活物質、導電材、溶媒、バインダーポリマーなどが含まれる。負極材料層102の間隙には、前記複合微粒子が充填されている。この構造の詳細に関しては後述する。一方、正極200は、例えば、集電体201と正極材料層202から構成される。正極材料層202は当該集電体の表面に塗布された正極ペーストを乾燥して得られ、間隙を有する。正極ペーストには、正極活物質、導電材、溶媒、バインダーポリマーなどが含まれる。正極においても正極材料層202の間隙には、複合微粒子が充填されている。「間隙」は、粒子状又は粉末状の正極活物質又は負極活物質とバインダーを含む電極ペーストを集電体に塗工、乾燥した場合に形成され、粒子状又は粉末状の正極活物質あるいは粒子状又は粉末状の負極活物質を用いれば、間隙が形成される。間隙は、活性炭電極のように極材の細孔であってもよい。

【0062】
間隙の大きさは、正極活物質または負極活物質のサイズに影響され、複合微粒子が間隙に入り込める限り、どのようなサイズの正極活物質あるいは負極活物質を使用してもよい。

【0063】
例えば活性炭電極のように、極材の細孔(間隙)に複合微粒子が充填される場合もある。

【0064】
本実施形態に係る電極においては、電極材料層(正極材料層及び/又は負極材料層)の間隙に複合微粒子が存在する。ここでは、電極活物質として粒子状電極活物質を用いた場合を例にとり具体的に説明する。図1(b)は、電極の内部の様子を示した概念断面図である。すなわち、正極材料層202は、粒子状正極活物質Pが互いに接触するような構造を有しており、図面上方で固体電解質300と接触し、その他方で電極の集電材料201に接触している。ここで、本発明に係る正極及び/又は負極は、図1(c)に示す拡大図のように、正極材料層及び負極材料層を構成する粒子状電極活物質(正極活物質又は負極活物質)Pの間隙に、複合微粒子Bが入り込んだ構成を有している。粒子状電極活物質P間の空隙に複合微粒子Bが均一に入り込んだ状態が好ましい。このように空隙(間隙)に複合微粒子が充填されるため電極材料層(正極材料層202又は負極材料層102)の表面にも複合微粒子が付着している状態となっている。すなわち、このような構成を有することにより、個々の電極材料層(正極材料層又は負極材料層)へのイオン伝達を潤滑に行なうことができる。更に、このように粒子状電極活物質Pと複合微粒子Bが混在することによって、正極材料層及び負極材料層と、固体電解質の間が電気的に接続し易くなる。

【0065】
本実施形態に係る固体電解質に使用される複合微粒子の粒径が、負極材料層や正極材料層に用いられる粒子状電極活物質の粒径よりもはるかに小さいため、すなわち、形成されている間隙の大きさに対して複合微粒子が十分に小さいため、粒子状電極活物質の間に複合微粒子が入り込み易くなる。また、複合微粒子と、当該粒子状電極活物質が混在する領域に存在する複合微粒子は、固体電解質中の複合微粒子と同構成であることが、相溶性の観点から好適である。このように電極材料層の間隙に複合微粒子が存在し、かつ、固体電解質として、本実施形態に係る高分子固体電解質を用いることにより、顕著な電気伝導性の向上が期待できる。なお、本明細書において、電極活物質Pは便宜的に正極活物質又は負極活物質と例示するが、電極活物質Pには、これら活物質の他に導電材、バインダーポリマーなどが含まれていてもよい。

【0066】
上記概念図では、電極活物質を球状に描いているが、電極活物質により空隙が形成されれば、電極活物質の形状は問わない。すなわち、電極活物質の形状は、棒状、リン片状、繊維状、ウイスカー状であってもよい。これらの電極活物質は、例えば、上記のような間隙を形成することができる粒子状又は粉末状の電極活物質と、バインダーとを混合し、電極活物質同士が接着されている状態であることが好適であり、その他、粒子状活物質が焼結処理などにより、電極活物質の接点において、互いに融着している構成を有していてもよい。尚、バインダーを使用する際には、バインダーによって電極活物質と複合微粒子の電気的接触が阻害されない程度の量とすることが好適であり、バインダーの添加量は、例えば、電極材料層全体の質量に対して、10質量%以下であることが好適である。また、繊維状に加工された電極活物質を布状に面状化した電極材(織物、編み物、フエルト、不織布)も使用できる。また、粒子状電極活物質を用いる場合、当該活物質の粒径は、特に限定されないが、例えば、1μm~200μmが好適であり、1μm~50μmがより好適であり、3μm~20μmが更に好適である。粒径の測定方法は、レーザ回折/散乱式粒子径分布測定装置を用いて測定できる。

【0067】
図2(a)は、本実施形態に係る電池において、バイポーラ電極を有する複数層構成のバイポーラ電池の概略断面構成図である。バイポーラ電池は、負極100と、正極200とを有し、当該負極及び正極の間に固体電解質300を介して、集電体401の一方の面に負極材料層102が形成され他方の面に正極材料層202が形成されているバイポーラ電極400を有する。尚、負極100は、集電体101と当該集電体の表面に形成された負極材料層102とを有する。正極200は、集電体201と当該集電体の表面に形成された正極材料層202とを有する。当該形態においても、電極材料層の間隙に、前記複合微粒子が充填されている。図2(a)において電極200と電極400の間の電圧が3Vある場合は、電極200と電極100の間の電圧は6Vとなる。このようにバイポーラ電極を挟んで単電池を積層することは、単電池を直列に接続することと同じ意味を有する。すなわち、図2(a)のバイポーラ電池に、固体電解質300と、バイポーラ電極400を増設し、図2(b)に示すように、更に積層数を増やすことも可能である。尚、積層数に理論的な制限はない。

【0068】
以下、本実施形態に係る電池において使用される材料について説明する。

【0069】
負極活物質
本実施形態において使用される負極活物質は、特に限定されないが、例えば、LiTi12系等の酸化物系の電極活物質を使用することができる。また、負極活物質としては、上記の酸化物系の電極活物質の他に、炭素・黒鉛系、Sn、Al、Zn、Siなどの合金系、リチウム金属系の材料を使用することが可能である。

【0070】
正極活物質
本実施形態において使用される正極活物質は、特に限定されないが、例えば、コバルト酸リチウム(LiCoO)、ニッケル酸リチウム(LiNiO)、ニッケル‐コバルト系酸化物(LiNi1-xCo)、マンガン酸リチウム(LiMn)、ニッケル‐マンガン系酸化物(LiNi0.5Mn0.5ニッケル-マンガン-コバルト系酸化物(LiNi1/3Mn1/3Co1/3)、非酸化物系のオリビン型リン酸鉄リチウム(LiFePO)、ケイ酸鉄リチウム系酸化物(LiFe1-xMnSiO)、LiMnO、Li1.2Fe0.4Mn0.4等のLiMO系酸化物、硫黄系化合物(LiS)等の酸化物系の電極活物質が挙げられる。

【0071】
固体電解質膜
図3(右下)は、固体電解質膜の概念図である(尚、あくまで概念図であり、当該構造のものに本発明は限定されるものではない)。ここで、本実施形態に係る固体電解質膜は、モノマーより合成される高分子グラフト鎖が微粒子の表面上に超高密度で結合した複合微粒子(図3の右上に示した高密度ポリマーブラシ)を少なくとも主成分として含有する。その他の任意成分として、溶媒、イオン液体、リチウムイオン、プロトン、或いはその他のカチオン、アニオン等を含有していてもよい。ここで、本実施形態に係る固体電解質膜は、当該複合微粒子及びその他の任意成分とからのみなる自立性のあるものである。但し、本発明は当該形態には限定されず、例えば、不織布やその他多孔体の内部に上記組成の膜を充填した形態であってもよい(これについては後述する)。以下、まず、各構成要素を詳述する。

【0072】
(複合微粒子)
本実施形態に係る固体電解質膜の必須成分である複合微粒子は、モノマーを原料とする高分子グラフト鎖が微粒子の表面上に結合基を介して超高密度で結合している。その結果、隣接するグラフト鎖間の立体反発によりグラフト鎖は異方的な形態をとり、ポリマーブラシを形成する。ここでは、当該複合微粒子を「高分子グラフト鎖部」、「微粒子部」、「結合基部」に分けた上、これらを順に説明することとする。そして、その後、当該複合微粒子の構造及び物性を詳述することとする。

【0073】
高分子グラフト鎖部
高分子グラフト鎖部は、モノマー単独のホモポリマー、種類の異なる複数のモノマー(例えば、イオン液体モノマー、スチレン誘導体、酢酸ビニル、アクリロニトリル、エチレンオキシド)のランダムコポリマーやブロックコポリマーからなる。当該複合微粒子を製造する際、リビングラジカル重合により製造することが好適であるので、当該重合官能基はラジカル重合性官能基であることが好適である。特にアクリル基、メタクリロイル基が好ましい。これらのモノマーの中でもイオン液体モノマーが好適である。ここで、イオン液体モノマーは、重合官能基とイオン基を有する限り特に限定されない。ここで、原料であるイオン液体モノマーとしては、四級アンモニウム塩系重合性イオン液体、イミダゾリウム塩系重合性イオン液体、ピリジニウム塩系重合性イオン液体、四級ホスホニウム系重合性イオン液体、グアニジニウム塩系重合性イオン液体、イソウロニウム塩系重合性イオン液体、チオウロニウム塩系重合性イオン液体等が挙げられるが、特に、アンモニウム塩型のイオン液体は、イミダゾリウム塩あるいはピリジニウム塩型イオン液体に比べて耐電圧性が高い。すなわち、低い還元分解電位と高い酸化分解電位を有し、広い電圧範囲で安定であり、四級アンモニウム塩系重合性イオン液体が、広い電位窓と低い粘性のため好適である。特に比較的短いC1~C5程度のアルキル基を有するアンモニウム塩型イオン液体は、その粘度も低くより好適である。

【0074】
ここで、四級アンモニウム塩系重合性イオン液体の好適例は、以下の式:

【0075】
【化1】
JP0005705123B2_000002t.gif

【0076】
{R、Rは、C1~C5アルキルを表し、Rは、C1~C5アルキル又は水素原子を表し、Rは、C1~C2のアルキル基又は水素原子を表し、Xは、N(CFSO{TFSI}、BF、PF、BFCF3、等を表す。}で示される、アクリル酸誘導体又はメタクリル酸誘導体又はエタクリル酸誘導体である。

【0077】
ここで、より具体的な例としては、R1、がメチル基でありRが水素原子であるアクリル酸誘導体モノマーや、Rがエチル基、Rが水素原子、Rがメチル基であるメタクリル酸モノマーや、Rがエチル基、Rがメチル基、Rがメチル基のメタクリル酸モノマーが例示されるが、これらに限定されず、当業者の認識する範囲内で適宜選択される。R~Rの二つ以上の置換基が連結した脂環式環状構造を有していてもよい。また、アルキル基の炭素の幾つかが酸素原子で置換されたアルコキシ基である場合も問題なく使用することが出来る。これら化合物は、WO2004/027789記載の方法により製造可能である。尚、本明細書において「アルキル」とは、メタン、エタン、プロパンのような脂肪族炭化水素(アルカン)から水素原子が一つ失われて生ずる1価の基をいい、一般にC2n+1-で表される(ここで、nは正の整数である)。アルキルは、直鎖又は分枝鎖であり得る。

【0078】
尚、原料であるイオン液体モノマーは、重合基とイオン基の他、他の官能基を有していてもよい。例えば、より高いプロトン伝導度を達成するために、強酸基(例えばスルホン酸基)を有するものを使用してもよい。また、より高いプロトン伝導度を達成するに際しては、強酸基を有するイオン液体モノマーを使用しなくとも、強酸基を有する他のモノマーと組み合わせる形であってもよい。

【0079】
高分子グラフト鎖の重量平均分子量は、特に限定されないが、1000~300,000が好適であり、2000~100,000がより好適であり、4000~70,000が更に好適である。ここで、分子量が大きくなる程、複合微粒子は固体電解質膜を形成しやすくなる反面、3次元配列を構築しにくくなるためイオン伝導性は低下する傾向にある。他方、分子量が小さくなる程、複合微粒子は固体電解質膜を形成しにくくなる反面、3次元配列を構築し易くなるためイオン伝導性は向上する傾向にある。このように、使用する原料や用途等に応じ、適宜分子量を決定することが好適である。更に、高分子グラフト鎖の分子量分布指数は、複合微粒子間に圧縮反発を均等に作用させるには1.5以下である必要があり、1.3以下であることが好適であり、1.2以下であることがより好適である。

【0080】
微粒子部
次に、本実施形態に係る複合微粒子に使用される微粒子は、特に限定されず、無機物質であっても有機物質であってもよく、例えば、シリカ等のケイ素酸化物;Au(金)、Ag(銀)、Pt(白金)、Pd(パラジウム)等の貴金属;Ti、Zr、Ta、Sn、Zn、Cu、V、Sb、In、Hf、Y、Ce、Sc、La、Eu、Ni、Co、Fe等の遷移金属、それらの酸化物又は窒化物等の無機物質;或いはポリマー等の有機物質であるものが挙げられる。

【0081】
微粒子表面から超高密度でグラフト重合させるためには、10nm~30μmの粒径を有する単分散微粒子であることが好ましく、更に好ましくは100nm~10μm、更に好ましくは100nm~1μm、の粒径を有する単分散微粒子である。ここで、「単分散微粒子」とは、粒子径のばらつきが10%以下であるものをいう。尚、ここでの粒径は、電子顕微鏡で観察した100個の微粒子の直径の平均値を指す。また、粒子径のばらつきの概念及び測定方法は、特開2006-208453に記載の通りである。

【0082】
ブラシ鎖長は3nm~100μm程度の範囲で自由な長さでコントロール可能である。ブラシ鎖長の範囲として、好ましくは3nm~1μm、より好ましくは3nm~100nmである。また、ポリマー電解質として好ましい複合微粒子の直径の範囲は、15nm~20μm程度である。より好ましい範囲は、30nm~10μm、さらに好ましいのは100nm~3μmである。

【0083】
結合基部
次に、本実施形態に係る複合微粒子に使用される結合基は、微粒子表面と高分子グラフト鎖とを結合するものである限り特に限定されない。ここで、この結合基部の原料となる化合物は、微粒子表面に結合する基とリビングラジカル重合のための重合開始基とを有する化合物である。例えば、微粒子としてシリカを選択した場合、当該原料化合物の一例は、例えば、以下の式:

【0084】
【化2】
JP0005705123B2_000003t.gif

【0085】
(式中、スペーサー鎖長nは、3~10の整数であることが好ましく、4~8の整数がより好ましく、6が最も好ましい;Rは、C1~C3アルキルであることが好ましく、C1又はC2アルキルがより好ましい;Rは、C1又はC2アルキルであることが好ましい;Xは、ハロゲン原子が好ましく、特にBrが好ましい)で示される、重合開始基含有シランカップリング剤である。当該重合開始基含有シランカップリング剤は、例えばWO2006/087839に記載された方法に従い製造可能である。代表的な重合開始基含有シランカップリング剤には、例えば(2-ブロモ-2-メチル)プロピオニルオキシヘキシルトリエトキシシラン(BHE)等が挙げられる。尚、グラフト密度調整の観点から、重合開始基含有シランカップリング剤に加え、重合開始基を含有しないシランカップリング剤(例えば、一般に使用されるアルキルシランカップリング剤)を使用してもよい。尚、微粒子自体が既に重合開始部位を有している等の場合(例えば、元々有している場合や、プラズマ処理等により表面処理された結果として形成された場合)には、結合基部は存在していなくともよい(微粒子が結合基部を有しているともいえる)。

【0086】
複合微粒子の構造
複合微粒子は、イオン液体モノマーを原料とする高分子グラフト鎖が微粒子の表面上に結合基を介して超高密度で結合している(ブラシ状)。ここで、微粒子表面上のグラフト鎖の表面占有率は、数%以上の高密度であることが好ましく、より好ましくは5~50%であり、更により好ましくは10~40%である。このような範囲のグラフト密度とすることにより、グラフト鎖が異方的な形態(高伸張形態)をとり、特にイオン液体含浸時に効率的なイオン伝導ネットワークチャンネルを形成しやすくなる。また、複合微粒子の粒径は、10nm~30μmの粒径を有する単分散微粒子であることが好ましい。特に電解質に用いる場合と電極内に用いる場合で複合粒子の好ましい粒子径が異なる場合がある。特に電極内に用いる場合は、電極活物質の粒子径に合わせて調整する必要が生じる。また、粒子径の異なる複合微粒子を複数種類混合して充填率を最適化することも可能である。いずれの場合も、15nm~30μmの粒径を有する単分散複合微粒子が好ましく、更に好ましくは20nm~20μm、更に好ましくは30nm~10μm、特に100nm~3μmの粒径を有する単分散複合微粒子である。また、粒子径のばらつきの概念及び測定方法は、特開2006-208453に記載の通りである。

【0087】
(溶媒)
本実施形態に係る固体電解質膜の任意成分である溶媒は、固体電解質膜中に複合微粒子よりも少量(重量基準)存在し得る成分である。当該溶媒は、複合微粒子を可塑化し、複合微粒子を規則配列させるように機能する。溶媒の種類は限定されないが、複合微粒子の高分子グラフト鎖と相溶性があるもの(良溶媒)を選択することが好適である。電気化学デバイス用の電解質としての利用においては、電池用の溶媒が好ましい。例をあげれば、炭酸ジメチル、炭酸メチルエチル、炭酸メチルイソプロピル、炭酸メチルブチル、炭酸ジエチル、炭酸エチルプロピル、炭酸エチルイソプロピル、炭酸エチルブチル、炭酸ジプロピル、炭酸次イソプロピル、炭酸ジブチル、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、炭酸1,2-ブチレンなどのカーボネート系溶媒、γブチロラクトンなどのラクトン系溶媒、1,2-ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、1,3ジオキサン、1,4ジオキサン、4-メチル—1,3-ジオキサンなどのエーテル系溶媒、メチルホルメート、メチルアセテート、メチルプロピオネートなどが好ましい。さらにここで、使用する溶媒としては、後述するイオン液体を使用することが好適である。尚、固体電解質膜における溶媒の含有量は、複合微粒子(微粒子+ポリマーブラシ層)の全体に対し、1~100重量%が好ましく、10~80重量%がより好ましく、20~50重量%がさらに好ましい。

【0088】
(イオン液体)
本実施形態に係る固体電解質膜の任意成分であるイオン液体は、固体電解質膜中に複合微粒子よりも少量(重量基準)存在し得る成分である。当該イオン液体は、複合微粒子を可塑化し、複合微粒子を規則配列させるように機能する。ここで、当該イオン液体は、例えば、四級アンモニウム塩、イミダゾリウム塩、ピリジニウム塩、四級ホスホニウム塩、グアニジニウム塩、イソウロニウム塩、チオウロニウム塩等のイオン液体が挙げられる。尚、イオン液体は、高分子グラフト鎖の構成成分であるイオン液体モノマーそれ自体であってもよい(これについては後述する)。ここで、イオン液体は、複合微粒子の高分子グラフト鎖と相溶性があるもの(良溶媒)を選択することが好適であり、具体的には、共通のイオン基を有することが好適であり、更には、共通のイオン基が結合した基本骨格部位が共通することがより好適である。また、イオン液体の含有量は、ポリマーブラシ層を形成する高分子グラフト鎖の分子量に応じて適宜選択されるが、複合微粒子(微粒子+ポリマーブラシ層)の全体に対し、1~100重量%が好ましく、10~80重量%がより好ましく、20~50重量%がさらに好ましい。

【0089】
(リチウムイオン)
高いリチウムイオン伝導性を付与することを特に意図した場合、固体電解質膜は、リチウムイオンを含有することが好適である。ここで、添加するリチウムイオン(リチウム塩)は、特に限定されず、例えば、LiN(CFSO{LiTFSI}、LiBF、LiPF等が挙げられる。

【0090】
(プロトン)
高いプロトン伝導性を付与することを特に意図した場合、固体電解質膜は、強酸を含有していてもよい。ここで、添加する強酸は、特に限定されず、例えば、硫酸、ベンゼンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、トリフルオロメタンスルホン酸、燐酸化合物(リン酸、ポリリン酸など)等が挙げられる。

【0091】
(その他のイオン)
電気化学デバイスの駆動に必要なイオンを含むことが出来る、ヨウ素イオンなどハロゲンイオンも使用できる。本発明で時に添加されるイオン液体は、解離した状態でカチオン、アニオンとしても機能することを明記しておく。電気二重層キャパシタとして利用する場合は、イオン液体がキャリアイオンとして機能する。その他のアンモニウムイオン、リン系イオンなども、一般的な電気二重層キャパシタ用の有機塩、無機塩もイオンとして使用することが出来る。

【0092】
《固体電解質膜の構造》
本実施形態に係る固体電解質膜は、複合微粒子が規則配列した三次元構造若しくは二次元構造を採っている。そして、複合微粒子同士は、大きな圧縮抵抗という力学特性故、強く反発し合っている。また、複合微粒子間でイオン伝導ネットワークチャンネルを形成していると理解される。ところで、このような規則配列した三次元構造は、本実施形態に係る複合微粒子を良溶媒中に存在させることにより形成されることは確認されている(コロイド結晶、特開2003-327641)。したがって、前述した複合微粒子をイオン液体で可塑化する手法によらなくても、このコロイド結晶液を何らかの手段により固定すれば、結晶構造が固定化された固体電解質膜を得ることができる。そのための代表的な方策が、コロイド結晶液中で高分子グラフト鎖同士を架橋する手法等である。

【0093】
《固体電解質膜の性質》
本実施形態に係る固体電解質膜の特性は、「イオン伝導性」、「形状保持性」及び「機械強度」に優れている点にある。以下、これらを順に説明する。

【0094】
(イオン伝導性)
本実施形態に係る固体電解質膜のイオン伝導度は、高ければ高いほど良いが、現実的には35℃において、0.08 mScm-1以上の伝導性が好ましい。

【0095】
さらに0.1mScm-1以上が好ましく、より好ましくは、0.5mScm-1以上あると良い。最上級に好ましいのは、1mScm-1以上である。このイオン伝導度は、PMMAグラフト鎖複合微粒子の3次元構造体よりも高く、固体でありながらバルクのイオン液体と同等の高い伝導性を示す。このように、高いイオン伝導性を示すのは、規則配列した複合微粒子のイオン液体ポリマー間に形成されたイオンチャンネルの存在のためと理解される。また、イオン液体を充填させた態様やリチウムイオンを存在させた態様は、更に高いイオン伝導性を示す。

【0096】
製造例2記載のイオン液体ポリマー・シリカ複合微粒子を適当量のアセトニトリル(ACN) に分散させた。この分散液に、イオン液体(DEME-TFSI)とリチウム塩(Li-TFSI)を加えて均一溶液とした。組成は、複合微粒子:DEME-TFSI:Li-TFSI:ACN=0.423g :0.141g:0.081g:10g である。得られた固体に再びACNを加えて、(複合微粒子+DEME-TFSI+Li-TFSI)濃度が70wt%のACN 溶液を作製した。この溶液をイオン伝導測定用のコイン電極上にキャストし、50℃で減圧化に放置し、重量変化が無くなるまで減圧乾燥固化させた。その後、コイン電極を120℃まで加熱し、同じサイズの対極をポリマー電解質の上部にセットし、両方の電極間距離が100μmになるように加圧し、コイン電極と電解質を接着させた。得られたコイン電極をLCRメータを用いて複素インピーダンス測定を行い、イオン伝導性を求めた。値は25℃で、0.2mS/cmであった。

【0097】
得られた固体に再びPC を加えて、(複合微粒子+DEME-TFSI+Li-TFSI)濃度が70wt%のPC 溶液を作製した。この溶液を予め50℃にて15時間減圧乾燥した正極(図8(c))の上に滴的添加した。50℃で、減圧乾燥を1日間行い、完全にPC を蒸発させた。電極上に微粒子固体膜が形成された正電極を得た。(図9(a))

【0098】
(形状保持性)
本実施形態に係る固体電解質膜は、少なくとも室温から150℃の範囲において自立性のある非流動性の固体状態を示すものである。より好ましい形態保持温度範囲は、室温から250℃である。上限は特に限定されないが、ブラシ鎖ポリマーの熱分解温度まで固体状態を維持できることが好ましい。

【0099】
(機械強度)
本実施形態に係る固体電解質膜の機械強度(破断強度)は、上記温度範囲(形状保持性の欄に記載した温度範囲)において引っ張り破断強度が0.05kgf/cm2以上、好ましくは0.1kgf/cm2以上であると尚良い。

【0100】
このように、本実施形態に係る固体電解質膜においては、膜強度は主としてシリカ微粒子が、イオン伝導性は主としてイオン液体ポリマーグラフト鎖(ポリマーブラシ層)が担う。このように機能を分離したハイブリッド設計の場合、微粒子の材質や形状の選択と、イオン液体ポリマーの設計との組合わせにより、優れた機械特性とイオン伝導性を兼ね備えた最適な固体電解質膜を与え得る。特に、高密度(10%以上)ブラシ同士が接触する界面では高分子鎖末端の偏在により、高い分子運動性、即ち、優れたイオン伝導性が期待される。尚、本実施形態に係る固体電解質膜は、前記のように自立性のあるものであるが、高温で膜強度に問題がある場合には、不織布やその他多孔体の内部に上記組成の膜を充填した形態であってもよい。

【0101】
固体電解質は、複合微粒子を構成要素とし、各複合微粒子はポリマーブラシ層を備えているので、固体電解質表面には、ポリマーブラシ層が存在する。従って、電極材料層(負極材料層、正極材料層)と前記固体電解質の接触界面は、高分子グラフト鎖からなるポリマーブラシ層になる。

【0102】
《固体電解質膜の製造方法》
以下、固体電解質膜の製造方法を説明する。まず、固体電解質膜の主成分である複合微粒子の製造方法を説明し、次いで、複合微粒子等から固体電解質膜を製造する方法を説明することとする。尚、以下の製造方法は例示であることに留意すべきである。

【0103】
(複合微粒子の製造方法)
複合微粒子の製造方法は、
結合基部の原料となる化合物と微粒子とを反応させて、重合開始基を微粒子表面に形成させる第一工程;
表面に重合開始基を有する微粒子とモノマーとをリビングラジカル重合条件下で接触させて、高分子グラフト鎖が超高密度で微粒子表面に結合した複合微粒子を含有する粗生成物を得る第二工程;及び
第二工程での粗生成物を精製して複合微粒子を得る第三工程
である。以下、各工程を詳述する。

【0104】
第一工程
第一工程は、周知の手法により実施できる。例えば、微粒子として無機・金属系材料(例えばシリカ)を使用し、結合基部の原料となる化合物として重合開始基含有シランカップリング剤を使用した場合、水の存在下でシランカップリング剤を加水分解させてシラノールとし、部分的に縮合させてオリゴマー状態とする。この状態で、シリカ表面に水素結合的に吸着させた後、無機・金属系材料を乾燥処理することで脱水縮合反応を起こさせ、重合開始基を当該材料上に形成させる。

【0105】
ここで、微粒子表面上のグラフト密度は、重合開始基含有シランカップリング剤と重合開始基を含有しないシランカップリング剤との割合を調整することで、自在に変更することができる。シランカップリング剤のうちすべてが重合開始基含有シランカップリング剤である場合、以下の重合後に10%を超える表面占有率を達成できる。

【0106】
第二工程
第二工程は、リビングラジカル重合条件下でモノマー原料(イオン液体モノマー等)を重合させることにより実施する。尚、使用するモノマーの種類は、単独であってもよいし、複数であってもよい。ここで、リビングラジカル重合とは、連鎖移動反応及び停止反応のない、又は無視できるほど小さい重合反応では、重合反応終了後でも生成重合体の末端に重合活性を保持しており、モノマーを加えると再び重合反応を開始させることができるような重合を意味する。リビングラジカル重合の特徴としては、モノマーと重合開始剤の濃度比を調節することにより任意の平均分子量をもつ重合体の合成ができること、また、生成する重合体の分子量分布が極めて狭いこと、ブロック共重合体へ応用できること、等が挙げられる。尚、「リビングラジカル重合条件下」とは、微粒子の表面上に設けた重合開始基を基点とするリビングラジカル重合が確実にかつ良好に進行するために当業者が適宜選択した重合条件を採用することを意味する。

【0107】
ここで、本実施形態において使用されるイオン液体性モノマーを用いてグラフト鎖を形成する際には、特に、原子移動ラジカル重合法(ATRP)、可逆移動触媒重合法(RTCP)により重合することが好ましい。原子移動ラジカル重合法に使用される触媒は、特に限定されないが、例えば、塩化銅(I)等の一価の銅触媒と、前記銅触媒に対して1モル当量のビピリジン(bpy)等の二座の配位子との組合せが挙げられる。更に、前記組合せに、二塩化銅(II)を加えることが好ましい。この方法によると、狭い分子量分布指数(例えば1.3未満)を保持したまま、重合率に比例して数平均分子量Mnを容易に増大させることができる結果、分子量の制御されたイオン液体ポリマーの合成や数千から数十万の分子量範囲での分子量制御が可能となる。可逆移動触媒重合法に使用される触媒は、特に限定されないが、1,4-シクロヘキサジエンなどの炭素触媒とラジカル発生剤の組合せが挙げられる。この方法によれば、特に優れたアミノ基耐性を発揮する。ここで、イオン液体ポリマーの分子量を増加させると、ガラス転移温度が上昇する一方、イオン伝導度が低下する傾向にある。したがって、分子量の最適化は、電解質膜としての特性(イオン伝導性)を重要視しつつ、膜の機械的特性をも加味しながら行う必要がある。

【0108】
第三工程
目的とする複合微粒子は、第二工程で得られた粗生成物(反応液)から夾雑物(未反応原料、副生成物、溶媒等)を、当該分野で慣用される方法(例えば、抽出、蒸留、洗浄、濃縮、沈澱、濾過、乾燥等)によって除去した後に、当該分野で慣用される後処理方法(例えば、吸着、溶離、蒸留、沈澱、析出、クロマトグラフィー等)を組み合わせて処理して単離し得る。

【0109】
(複合微粒子等から固体電解質膜を製造する方法)
固体電解質膜の製造方法の一例は、
複合微粒子を溶媒中に分散させて複合微粒子分散液又は複合微粒子ペーストを得る第一工程;及び
前記複合微粒子分散液又は前記複合微粒子ペーストを所定基材上に塗布又は型入れした後、当該塗布物又は当該型入れ物を乾燥させて溶媒を除去する第二工程、
である。

【0110】
ここで、溶媒の極性も重要な要素である。イオン液体ポリマーに親和性が高い極性の高い溶媒を用いることが好ましい。アセトニトリル、プロピレンカーボネートなどのカーボネート系溶媒は好適に用いられる。

【0111】
また、イオン液体が充填された固体電解質膜を製造する場合には、第一工程で溶媒とイオン液体との混合溶媒を使用し、第二工程で当該溶媒のみ除去すればよい。

【0112】
更に、リチウムイオンを含有する固体電解質膜を製造する場合には、リチウム塩を予めイオン液体あるいは溶媒に溶解させたものを第一或いは第二工程で使用すればよい。その他のイオン化合物や酸を加える場合も同様である。

【0113】
また、第一工程で複合微粒子のコロイド結晶液を形成し、当該コロイド結晶を固定化する場合には、場合により当該コロイド結晶液に架橋剤を添加した上で、周知の架橋手法(例えば、加熱やエネルギー線照射)により架橋させる工程が更に含まれる。この場合、複合微粒子の高分子グラフト鎖に架橋基を持たせる必要があるので、複合微粒子の製造の際、当該架橋基を有するモノマーを使用する(例えば、架橋基を有するイオン液体モノマーを使用するとか、架橋基を有する他のモノマーを併用する)。

【0114】
或いは、当該コロイド結晶液を固定化する別の方法として、高融点の溶媒(室温よりも上)を用いて第一工程で複合微粒子のコロイド結晶液を形成し、その後、分散溶媒の融点以下に温度を下げコロイド結晶を固定化する冷却工程が更に含まれていてもよい(この場合、前記の第二工程は不要となる)。

【0115】
尚、第一工程でコロイド結晶液を形成させた後に、当該コロイド結晶の固定化を図る場合には、第一工程の後、コロイド結晶が形成されているか否かの確認をしてもよい。ここで、コロイド結晶が形成できているかどうかは、分散液が構造色を発するか視覚的に確認することによってもできるが、共焦点レーザースキャン顕微鏡(略称:CSLM)による三次元画像によっても確認することができる。CSLMの特徴は、サンプルの焦点面と光学的に共役(コンフォーカル)の位置にピンホール絞りを設けていることにある。これにより、サンプル内部の二次元画像を迷光のない状態で得ることができる。また、サンプルの二次元平面をポイントスキャンし、光学的なスライス画像を作成した後、同様の操作をサンプルのZ軸方向に沿って移動して行う。こうして取り込んだ多数の二次元平面スライス画像から、三次元画像を構築することができる。このようなCSLM測定により、分散液内の複合微粒子の規則配列構造を確認することができる。

【0116】
(複合微粒子と固体電解質膜を同時に形成する方法)
前述の方法は、先に複合微粒子を製造し、次に当該複合微粒子を用いて固体電解質を製造するという手法であったが、同時に製造することも可能である。具体的には、複合微粒子を製造する際に使用する溶媒として、イオン液体モノマーを使用する手法である。詳細には、上記の手法に従い、リビングラジカル重合を実施し、当該イオン液体モノマーの一部を重合させる。そして、重合に関与しなかった残存モノマーは、可塑剤として固体電解質膜内に留まることになる。このように、適切にリビングラジカル重合を実施することにより、複合微粒子を形成しつつ、複合微粒子間にイオン液体モノマーが介在した固体電解質膜を得ることができる。この時の重合を不織布あるいはその他の多孔体の中で行うことも出来る。多孔体の空隙の中にイオン液体モノマーと微粒子を浸透させておき、重合を行うことも出来る。その際に重合反応性を持たない、イオン液体モノマー以外の物質を加えておくことも出来る。

【0117】
尚、高温で膜強度に問題がある場合には、前述のように、不織布やその他多孔体の内部に上記組成の膜を充填して実用に供することが有効である。この場合、あらかじめ作成した複合微粒子とイオン液体、必要に応じてその他の添加物を溶媒に溶解し、これを不織布あるいはその他の多孔体に含浸後に、溶媒のみ蒸発させる手法で作成できる(換言すれば、当該手法は、複合微粒子等から固体電解質膜を製造する方法を、不織布或いはその他の多孔体中で行う方法ともいえる)。

【0118】
(電池の製造方法)
本実施形態に係る電池は、固体電解質と、電極材料層の間隙に前記複合微粒子が充填されている負極(又は正極)と、正極(又は負極)を重ね合わせて作製することができる。より詳細に、電極材料層の間隙に、前記複合微粒子が充填されている電極の製造方法は、特に限定されないが、例えば、前述の固体電解質膜を製造する方法における第二工程において、負極の負極材料層又は正極の正極材料層の表面上に複合微粒子分散液又は複合微粒子ペーストを塗布又は型入れして固体電解質を製造する方法を用いることができる。複合微粒子と固体電解質膜を同時に形成する場合、電極材料層の間隙に、前記複合微粒子が充填されている電極は、負極上又は正極上の電極材料層の表面上で前記重合を行うことにより形成される。尚、上記の他に、電極材料層上で、電解質膜を作製することによっても、電極材料層の間隙に、前記複合微粒子が充填される。電解質膜の作成方法としては、溶媒キャスト法、ディップコート法、スキージ法(ドクターブレード法)、インクジェット法、スクリーン印刷法などが適用可能である。

【0119】
バイポーラ電極の場合、上記の方法を両面に施す方法の他に、複合微粒子分散液中にバイポーラ電極を浸漬して引き上げるディップコート法を使用することにより、負極材料層及び正極材料層の間隙へ複合微粒子が充填される。更に、当該表面処理によって、電極表面の粗さが解消されるため、電極材料層と固体電解質の接触がよくなる。また、浸漬及び引き上げは、一回でもよいが、複数回(例えば10回)繰り返し行なうことにより、固体電解質を厚くすることができると共に、表面が平滑になる。

【0120】
本発明に係る電気化学デバイスにおいては、前記固体電解質、並びに、シート状電極の表面に設けられた負極及び/又は正極の電極材料層の側面を囲み、前記電極材料層が形成されている集電体と密着する枠体が設けられていることが好適である。このように枠体を設けることにより、固体電解質から液が染み出ないようにすることができる。バイポーラ電極を使用した電気化学デバイスでは液体が染み出ることにより、複数層に分かれた電極対の間で短絡が生じてしまうことがあるが、当該枠体を設けることによりこのような問題を解決することができる。また、当該枠体は、固体電解質、負極材料層及び正極材料層の側面を覆うことが好適である。このように構成することにより、電極材料層の間隙から固体電解質の液がより染み出さないようにすることが可能となる。

【0121】
枠体の形状は特に限定されない。しかしながら集電体とは密着する必要がある。図7は、枠体の形状例や、枠体500と電極材料層(正極材料層202を例に取り説明する)及び集電体(集電体201を例に取り説明する)との位置関係を示した図である。固体電解質と枠体が密着していてもよい(図7(a))。但し、電極材料層202上に枠体500の底部が完全に乗ってしまうような設計は採用できない(図7(f))。枠体は電極から離れていてもかまわない(図7(d)(e))。電極に半分程枠体が載っており、半分程が集電体と密着している場合も良い(図7(b)(c))。電極の端部は機械的強度が低いため、電極材料層形成後に枠体を紫外線硬化樹脂で形成することにより、枠体樹脂が電極空隙に入り込み、硬化されることで電極端部分の構造が強固になる。枠体は電極材料層の厚み方向の長さ(すなわち高さ)より長く(高く)設置するのが好ましい。

【0122】
本発明に係る電気化学デバイスは、負極及び正極が、シート状の集電体と、前記集電体の片面の一部に塗布された電極材料層を有しており、更に当該構成を有するデバイスにおいて枠体が、固体電解質膜及び前記電極材料層の側面を覆い、且つ、前記集電体の折れ曲がりを防止するために、前記負極及び正極の集電体に当接して支持するように構成されていることが好適である。集電体の間を力学的に支持するように構成することにより、シート状の集電体のように端部が折れ曲がり易いものを積層した場合であっても、端部が変形しにくい電気化学デバイスを得ることが可能となる。この場合、枠体は、負極及び正極のシート状集電体の端部に沿った形状を有していることが好ましい。また、枠体自体の強度が高いことが好ましい。

【0123】
枠体の形成方法は特に限定されないが、電極材料層の上に、固体電解質膜を形成する前に、電極材料層の側面を覆って、土手状の枠体を形成することが好ましい。このように枠体を形成した後に、固体電解質膜を形成するための液体組成物を導入し固体電解質膜を形成することが好適である。枠体の形成には液体樹脂あるいは樹脂を溶剤に溶解した樹脂溶液を用い、これをインクとしてスクリーン印刷法、ディスペンサ法、インクジェット印刷法などの方法を用いて、枠状に成型することが好ましい。樹脂は、熱硬化性樹脂あるいは熱可塑性樹脂の何れも使用可能であるが、特に好ましいのは紫外線あるいは可視光の照射によって硬化する光硬化樹脂を用いるのが良い。各種印刷法で成形した樹脂枠に光を照射して硬化し、機械強度の高い枠体を形成するのがよい。このように固体電解質を形成する前に枠体を形成することにより、固体電解質膜の形成が容易になると共に、固体電解質と枠体が密着するため好適である。

【0124】
ここで、本発明に係るバイポーラ電池の詳細な製造方法について説明する。説明はその一例を示し、製造方法は例示した方法のみに限定されるものではない。

【0125】
バイポーラ電池の製造方法としては、例えば、固体電解質膜付電極製造工程と、複合微粒子充填電極製造工程と、組立工程とを有することが好適である。本製造方法においては、固体電解質膜付電極製造工程と、複合粒子充填電極製造工程とを経た後に組立工程が行なわれる。

【0126】
固体電解質膜付電極製造工程及び複合微粒子充填電極製造工程において、正極活物質又は負極活物質を含むインクが使用される。ここで使用するインクとしては、上記の正極活物質又は負極活物質を必須的に含み、更に、導電材、バインダーポリマー、溶媒を含むことが好適である。

【0127】
導電材としては、炭素質材料に導電性を付与できるものであれば特に制限されず、例えば、カーボンブラック、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、カーボンウイスカー、炭素繊維、天然黒鉛、人造黒鉛、酸化チタン,酸化ルテニウム,アルミニウム,ニッケル等の金属ファイバなどが挙げられ、これらの1種を単独でまたは2種以上を組み合せて用いることができる。これらの中でも、カーボンブラックの一種であるケッチェンブラック、アセチレンブラックが好ましい。

【0128】
ここで、バインダーポリマーとしては、例えば、不飽和ポリウレタン化合物や、相互侵入網目構造または半相互侵入網目構造を有する高分子材料や、ポリエステル系熱可塑性樹脂や、フッ素系高分子材料などを用いることが好ましい。これらの高分子材料を用いると高い接着性を有するため、電極の物理強度を向上させることができる。また、フッ素系高分子材料は、熱的、電気的安定性に優れる。

【0129】
ここで溶媒は、有機溶媒であっても水であってもよく、公知の溶媒から適宜選択して使用される。

【0130】
インクの組成は、正極活物質又は負極活物質の含有量は、例えば、インク全体重量の20~70重量%が好適である。また、導電材の含有量は、インク全体重量の2~15重量%が好適である。バインダーポリマーの含有量は、インク全体重量の2~20重量%が好適である。

【0131】
当該インクは、集電体に塗布することにより使用される。集電体としては、特に限定されないが、例えば、正極集電体としてアルミニウム箔または酸化アルミニウムが挙げられる。
一方、負極集電体として銅箔、ニッケル箔または表面が銅めっき膜もしくはニッケルめっき膜にて形成された金属箔が挙げられる。

【0132】
固体電解質膜付電極製造工程
前記インクをアルミ箔などの集電体(例えば、正極の集電体201)(図8(a))の上に均一な厚さになるように塗り広げて、電極材料層(例えば、正極材料層202)を構築する(図8(b))。ここで、電極部分の厚さは、特に限定されないが、5~1000μmが好適である。電気化学デバイスの用途に応じてコントロールすべきであるが一般的には10から200μm程度の厚さとすることが好ましい。

【0133】
続いて、前記インク塗布により構築した電極材料層(例えば、正極材料層202)の周りに枠体500を形成する。特に限定されないが、例えば、紫外線硬化樹脂を用いて電極の周りに枠体を形成することが好適である。ここで、紫外線硬化樹脂としては、特に限定されないが、例えば、アクリル系、メタクリル系の樹脂等を使用することができる。使用する樹脂は、電池に用いる電解液及びイオン液体に溶解しない樹脂を選定する必要がある。

【0134】
続いて、前記固体電解質膜の製造方法に準じて、前記枠体を形成した電極上で、枠体内に複合粒子ペーストを導入して乾燥させて固体電解質膜300を形成する(図9(a))。このように枠体を形成した後に固体電解質膜を形成することにより、枠体と固体電解質膜が密着し易くなり、液漏れを好適に防止することが可能となる。

【0135】
複合微粒子充填電極製造工程
前記インクをアルミ箔などの集電体(例えば、負極の集電体101)上に均一な厚さになるように塗り広げて、電極材料層(例えば、負極材料層102)を構築する(図8(d))。ここで、電極部分の厚さは、特に限定されないが、5~1000μmが好適である。

【0136】
複合微粒子イオン液体溶液を電極材料層上に塗布して含浸させて電極材料層の間隙内に複合微粒子を充填する。ここで使用する複合微粒子溶液は、特に限定されないが微粒子濃度で10から90重量%程度が好適で、好ましくは50から90重量%が良い。複合微粒子としては、前記複合微粒子が挙げられる。またイオン液体としては、各種イオン液体を使用することが出来、特に脂肪族第四級アンモニウム塩型イオン液体が好ましく用いられる。イオン液体のアニオンとリチウム塩のアニオンを同一としても良いし、別のアニオンであってもかまわない。このイオン液体溶液を予め70~150℃にて5~24時間減圧乾燥した電極の電極層(例えば、負極材料層102)に含浸させることが好適である(図9(b))。含浸後、周りに付着した溶液はきれいにふき取り、電極を50~120℃で、減圧下に5時間から24日放置し、電極への浸透を促進させることが好適である。

【0137】
組立工程
上記の方法で作成した正極と負極の集電体同士を貼り合わせ、正負極が裏表に組み合わされたバイポーラ電極を作製する(図9(c)(d))。その後、正極、バイポーラ電極、負極の順に積層し、最下層の正極と最上層の負極に端子600を接合する(図9(e))。ここで、当該積層体の上下をポリプロピレン板700でカバーすることが好適である(図9(f))。

【0138】
以上のように、本実施形態の好ましい実施形態を用いて本実施形態を例示してきたが、本発明は、この実施形態に限定して解釈されるべきものではない。本発明は、特許請求の範囲によってのみその範囲が解釈されるべきであることが理解される。当業者は、本発明の具体的な好ましい実施形態の記載から、本発明の記載及び技術常識に基づいて等価な範囲を実施することができることが理解される。本明細書において引用した特許、特許出願及び文献は、その内容自体が具体的に本明細書に記載されているのと同様にその内容が本明細書に対する参考として援用されるべきであることが理解される。
【実施例】
【0139】
製造例1 イオン液体モノマー合成
N,N-diethyl-N-(2-methacryloylethyl)-N-methylammonium bis(trifluoromethylsulfonyl) imide (DEMM-TFSI)の合成
メタクリル酸2-(ジエチル)アミノエチル10.12 gをテトラヒドロフラン100 mlに溶解させ、テトラヒドロフラン200 mlで希釈したヨードメタン4.08 mlを滴下漏斗により添加し反応させた。滴下の速度は1滴/秒程度とした。このとき操作はアイスバス中で行った。反応後24時間放置した。析出した固体をエタノールに溶解させ、その後テトラヒドロフランを加え再結晶を行い、白色の結晶N,N-diethyl-N-(2-methacryloylethyl)-N- methyl ammonium iodide (DEMM-I)を得た。DEMM-Iの結晶20.8gを水70mlに溶解させ、これに水70mlに溶解させたリチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド18.31 gを少しずつ反応させイオン交換を行った。このとき反応はアイスバス中で行い、急激な温度変化に注意しながら反応させた。下層黄色液体を酢酸エチルを用いて抽出し、エバポレーター及び真空ポンプにて終夜減圧乾燥して溶媒を完全に除去し、イオン液体DEMM-TFSIを得た(収率42%)。
【実施例】
【0140】
(構造解析)
DEMM-TFSIのIRスペクトルはVarian 2000 FT-IR spectrometer、1H-NMRスペクトルの測定はJEOL GX-400 spectrometerを使用した。溶媒は重アセトニトリル、基準物質はtetramethylsilane(TMS)で測定した。 1H-NMR(Acetonitrile) δ=1.33 (t, 6H), 1.99 (s, 3H),3.00(s, 3H), 3.41 (q, 4H), 3.60 (t, 2H), 4.51 (t, 2H). 5.75 (s, 1H), 6.14 (s, 1H), Infrared spectra; methacryl group (1680 and 1720 cm-1)
【実施例】
【0141】
製造例2 イオン液体ポリマー・シリカ複合微粒子(数平均分子量5000)合成
2-ブロモイソ酪酸エチル(EBIB) 0.0122gに塩化銅 CuCl (I)と塩化銅 CuCl2(II)をモル比9:1で混合した塩化銅0.0064gを加えた。更に2,2’-ビピリジン0.0195gとイオン液体モノマー3.0000gと溶媒アセトニトリル3.0381gを加えてよく混合した。この混合液に、2-ブロモ-2-メチルプロピオニルオキシヘキシルトリエトキシシラン(BHE)で処理したシリカ微粒子(SiP, 平均直径130nm)0.1215gを加えた。秤量と混合操作は、酸素濃度を30~60ppmに抑えたアルゴンガス雰囲気グローブボックス中で行った。以上の混合物をモル比で表すと、EBIB :2,2’-bipy :CuCl [CuCl(I),CuCl2(II)の混合物]:DEMM-TFSI =1:2:1:100となる。アセトニトリルは混合物全量に対し50wt%, SiPは全量に対し2wt%となる。上記混合物を70℃で40分保持し、重合を行いPoly(DEMM-TFSI)が表面に密植されたシリカ微粒子(Poly(DEMM-TFSI)/SiP ) を合成した。合成系内で共同的に得られたフリーポリマーの数平均分子量(Mn)及び分子量分布指数(Mw/Mn)はそれぞれ5000と1.17であった。従ってシリカ表面に植えられたイオン液体ポリマーも同等の長さと分布を持つと見込まれる。また、表面占有率は、30%であった。
【実施例】
【0142】
(数平均分子量及び分子量分布の決定)
Poly(DEMM-TFSI)が表面に密植されたシリカ微粒子(Poly(DEMM-TFSI)/SiP ) を取り除き、残った液を水/エタノール(1/1)溶液に注下し、再沈殿により得られるポリマーを集めた。合成系内で共同的に得られたこのフリーポリマーの数平均分子量(Mn)及び分子量分布指数(Mw/Mn)はそれぞれ5000と1.17であった。
【実施例】
【0143】
ここで、合成したイオン液体ポリマーの分子量はGel Permeation Chromatography(GPC)により求めた。測定は40℃で行い、昭和電工(株)社製Shodex GPC-101、同社製カラムShodex OHpak SB-806M HQを2本使用し、溶媒として0.2M硝酸ナトリウム水溶液、0.5M酢酸アセトニトリル溶液1:1混合溶液を用いた。流量は、1.0ml/minとした。数平均、重量平均分子量は、Shodex480IIにより作製したポリエチレンオキシド検量線を用いて算出した。
【実施例】
【0144】
製造例3 イオン液体ポリマー・シリカ複合微粒子(数平均分子量60000)合成
製造例2において、合成時のモル比をEBIB :2,2’-bipy :CuCl [CuCl(I),CuCl2(II)の混合物]:DEMM-TFSI =1:20:10:1000に変更し、70℃で17時間保持することで、Poly(DEMM-TFSI)が表面に密植されたシリカ微粒子(Poly(DEMM-TFSI)/SiP ) を合成した。合成系内で共同的に得られたフリーポリマーの数平均分子量(Mn)及び分子量分布指数(Mw/Mn)はそれぞれ60000と1.17であった。複合微粒子の表面占有率は30%であった。
【実施例】
【0145】
実施例1 リチウムポリマー電池(モノポーラ型)の製造
負極の製造
電極はエナストラクト社のAKO-6を使用した。(T. Sato et al. / Journal of Power Sources 164 (2007) 390-3969 )。負極材は、粒子状のLi4Ti5O12でありこれらの粒子はバインダーにより接合されている、電極容量は0.42 mAh cm-2, 電極密度は3.00 mg cm-2, 電極厚さは25μm、集電体は13μmの銅はくを用いている。
【実施例】
【0146】
正極の製造
電極はエナストラクト社のCKT-22を使用した。正極材は、粒子状のLiMn2O4 でありこれらの粒子はバインダーにより接合されている、電極容量は0.49 mAh cm-2, 、電極密度は、6.60 mg cm-2、電極厚さは、36-37 μm、集電体は20μmのアルミニウムである。
【実施例】
【0147】
電池の製造
正極を 4cm × 4cm の長方形に切断した。負極は 4cm × 4cm を用いた。ポリマー電解質を形成するために電解質溶液を作成した。製造例2の複合微粒子:イオン液体(DEME-TFSI):リチウム塩LiTFSI=66:22:12(重量部)となる様にプロピレンカーボネート(PC)に分散した。ポリアミド繊維のセパレータに上記混合液を浸みこませた。70℃、-100kPa、15hr(以上)でPCを除きセパレータ内に固体電解質を成形した。ポリマー電解質中のリチウム塩濃度は0.5mol/Lである。一方、正負極にも上記の溶液を浸みこませた。含浸条件は70℃、-100kPa、15hr(以上)でPCを完全に蒸発させた。正極、セパレータ、負極を積層してラミネートフィルムで真空パックした。出来上がった電池は、5mAh/cell の容量を持っていた。充電は0.05Cにて1.5→3V で行い、放電は3V->1.5Vで0.05Cで実施した。温度は40℃で行った。
【実施例】
【0148】
結果を図4及び図5に示す。図4は、電池の充放電カーブであり、図5は、電池の充放電サイクル結果である。また、走査型電子顕微鏡にて、粒子状電極活物質の間隙に、複合微粒子が充填されていることを確認した。
【実施例】
【0149】
実施例2 バイポーラ型電気二重層キャパシタ製造
以下の方法により電極を作成した。電極活性層を作成するために、はじめに、焼成ヤシがら活性炭(日清紡製、表面領域2000m-1、平均空孔径20nm、平均パーティクルサイズ8μm)と、アセチレンブラック、ポリ(ビニリデンフルオライド)[PVDF,平均Mw Ca. 534,000 シグマアルドリッチファインケミカル社製]と、N-メチル‐2‐ピロリドン(NMP)を含有するインクを混合した。これらの混合物を酸化アルミニウム箔(30μm)の両面にブレードで直接塗布し、140℃で72時間、真空下でNMP及び水分を取り除いた。ここで、乾燥した電極は、30MPaのロール圧縮により圧縮され、120℃の真空下で15時間、乾燥された。このようにして、焼成ヤシがら活性炭 89wt%、アセチレンブラック5wt%、PVDF 6wt%電極は得られ、20mm×40mmにカットし、活性層は150μmであった。
【実施例】
【0150】
活性炭電極の周りに紫外線硬化樹脂で土手状の囲み枠を形成した。ここで、当該枠の幅は、0.5cmとし、高さは活性炭電極面より50μm高くなるように作成した。当該枠の作成後、紫外線を走査照射して硬化させた。その後、電極上に電解質作製用の溶液を満たした。溶液は、複合微粒子(製造例2):イオン液体(DEME-TFSI):=75:25(重量部)をプロピレンカーボネートに混合したものである。その後、70℃、-100kPa、15hr(以上)でPCを除き電極表面に固体電解質を成形した。最下層の電極は片面、2枚目の電極は両面、最上部の電極は片面にそれぞれ活性炭電極層を有する。真ん中の電極は裏表がそれぞれ正極、負極となるバイポーラ電極である。また、走査型電子顕微鏡にて、電極材料層の間隙に、複合微粒子が充填されていることを確認した。最下層と最上層から端子を取り出し、ラミネートフィルムで真空パックした。出来上がったキャパシタは0Vから5Vの駆動電圧を持つバイポーラ型電気二重層キャパシタである。
【実施例】
【0151】
結果を図6に示す。図6は、電池の充放電カーブである。
【実施例】
【0152】
実施例3 ディップコート法
複合微粒子、イオン液体、増粘剤(各種高分子など)を含む揮発性溶媒からなる溶液に基板を浸漬し、これを引き上げることにより、基板上に複合微粒子/イオン液体のハイブリッド膜を形成した。具体的には、以下の条件で実施した。
【実施例】
【0153】
溶液濃度:複合微粒子(製造例2)18wt%、イオン液体(DEME-TFSI)5wt%を含むアセトニトリル溶液
基板:シリコンウエハ
引上速度:1μm/s~2000μm/s
ここで得られた結果を表1に示す。尚、膜中比率とは、成膜後の膜中のそれぞれの成分の重量比率を意味する。
【実施例】
【0154】
【表1】
JP0005705123B2_000004t.gif
【実施例】
【0155】
引上速度、溶液組成と濃度、増粘剤としてイオン液体ポリマーの添加により、膜厚および形成膜中のイオン液体濃度の制御が可能であった。上記条件では、引上速度20~30μm/sで固体電解質膜として好適な膜が得られた。多重積層(浸漬・引上のサイクルを繰り返して)も可能であることも確認した。
【実施例】
【0156】
実施例4 バイポーラ電池の製造実施例
(I)正極作製例:戸田工業株式会社製のマンガン酸リチウム(M-5105A)、電気化学株式会社製導電性カーボン(デンカブラックHS-100)を日東紡製の遠心攪拌機マゼルスターを用いて粉体混合した。混合物にバインダーポリマーとして、クレハ製ポリフッ化ビニリデン(PVDF)(KF ポリマー#1320)とN-メチルピロリドン(NMP)を加えて、マゼルスターを用いて均一に混合し、正極作製用インクとした。インクの組成は、重量部組成で、マンガン酸リチウム:導電性カーボン:PVDF:NMP = 84:8 :8 :60 であった。このインクを厚さ15μm のアルミ箔(図8(a))に均一厚さになるよう塗り広げた。電極塗り面サイズは、40mm x 20mm の長方形である。電極部分の厚さは70μm とした。(図8(b))電極の周りに紫外線硬化樹脂(協立化学産業株式会社製ワールドロック801SE-LG1)を用いて枠を形成した。枠の幅は5mm、高さは160μm になるよう形成した。樹脂に浜松ホトニクス製UV SPOT LIGHT SOURCE L9588-01 を用いて紫外線を照射し、樹脂を硬化させた。硬化条件は室温、2分照射で行った。(図8(c))
【実施例】
【0157】
(II)負極作成例:石原産業株式会社製チタン酸リチウム(LT-105)電気化学株式会社製導電性カーボン(デンカブラックHS-100)を日東紡製の遠心攪拌機マゼルスターを用いて粉体混合した。混合物にバインダーポリマーとして、クレハ製ポリフッ化ビニリデン(PVDF)(KF ポリマー#9130)とN-メチルピロリドン(NMP)を加えて、マゼルスターを用いて均一に混合し、負極作製用インクとした。インクの組成は、重量部組成で、チタン酸リチウム:導電性カーボン:PVDF:NMP =82:8:10:60であった。このインクを厚さ15μm のアルミ箔(図8(a))に均一厚さになるよう塗り広げた。電極塗り面サイズは、40mm x 20mm の長方形である。電極部分の厚さは70μm とした。(図8(d))
【実施例】
【0158】
(III)バイポーラ電池の作成:製造例2記載のイオン液体ポリマー・シリカ複合微粒子を適当量のプロピレンカーボネート(PC)に分散させた。この分散液に、イオン液体(DEME-TFSI)とリチウム塩(Li-TFSI)を加えて均一溶液とした。組成は、複合微粒子:DEME-TFSI:Li-TFSI:PC=0.423g :0.141g:0.081g:10g である。溶液を50℃で減圧化に放置し、重量変化が無くなるまで減圧乾燥固化させた。得られた固体に再びPC を加えて、(複合微粒子+DEME-TFSI+Li-TFSI)濃度が70wt%のPC 溶液を作製した。この溶液を予め50℃にて15時間減圧乾燥した正極(図8(c))の上に滴的添加した。50℃で、減圧乾燥を1日間行い、完全にPC を蒸発させた。電極上に微粒子固体膜が形成された正電極を得た。(図9(a))
【実施例】
【0159】
一方、1mol/L の濃度になるようLi-TFSI をイオン液体DEME-TFSI に溶解した溶液を作製した。このイオン液体溶液を予め50℃にて15時間減圧乾燥した負極(図8(d))の電極層に含浸させた。含浸後、周りに付着した溶液はきれいにふき取り、電極を50℃で、減圧下に1日放置し、電極への浸透を促進した。真空含浸後の電極表面に液滴は皆無で、表面は乾燥した状態であった。(図9(b))。
【実施例】
【0160】
上記の方法で作成した正極と負極のアルミ箔同士を貼り合わせ、スポット溶接機を用いて、電極の形成されていない個所を10か所以上熔着し、正負極が裏表に組み合わされたバイポーラ電極を作製した。(図9(c)(d))その後、正極、バイポーラ電極、負極の順に積層し、最下層の正極と最上層の負極にニッケル製の端子600をスポット熔着した。積層体の上下を厚さ300μmのポリプロピレン板でカバーし、電池用アルミラミネートパック袋に挿入し、真空熱熔着により封止し、難燃性固体リチウムポリマー高電圧電池を得た。(図9(e)(f))。
【実施例】
【0161】
(IV)充放電:得られた電池の放電時電圧は3.0V であった。充電は0.1C レートで行い、満充電電圧は6.0V である。電池容量は3.5mAh/cell であった。3Vから6V のくり返し充放電が可能であることを確認した。10サイクル以上の充放電では容量劣化が無くなり、二次電池として機能することが確認された。結果を図10に示した。
【実施例】
【0162】
実施例5 固体電解質膜の製造
製造例2で製造した複合微粒子75重量部とイオン液体(DEME-TFSI)25重量部をアセトニトリル150重量部とを混合した溶液をステンレス基盤の上にキャストし、室内でアセトニトリルを蒸発させた。その後、30℃の真空乾燥機内でアセトニトリルを完全に蒸発させ、固体膜を得た。得られた固体膜を走査型電子顕微鏡で観察したところ、微粒子の配列構造は面沁立方格子構造であることが明らかとなった(図11)。
【実施例】
【0163】
実施例6 電極へのディップコーティング
実施例1で作成のリチウムイオン電池を基材として、実施例3記載の方法でディップコーティングを行った。得られた電極の断面の電子顕微鏡画像(図12)より、電極材の作る空間に複合微粒子が充填されていることを確認した。
【符号の説明】
【0164】
図1
100:負極
101:集電体
102:負極材料層
200:正極
201:集電体
202:正極材料層
300:固体電解質
図2
100:負極
101:集電体
102:負極材料層
200:正極
201:集電体
202:正極材料層
300:固体電解質
400:バイポーラ電極
401:集電体
図7
201:集電体
202:正極材料
500:枠体
図8
101:負極の集電体
200:正極
201:正極の集電体
202:正極材料層
500:枠体
図9
101:負極の集電体
102:負極材料層
201:正極の集電体
202:正極材料層
300:固体電解質
500:枠体
600:端子
700:ポリプロピレン板
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10
【図12】
11