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明細書 :シクロパラ(ヘテロ)アリーレン化合物およびその製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5726082号 (P5726082)
登録日 平成27年4月10日(2015.4.10)
発行日 平成27年5月27日(2015.5.27)
発明の名称または考案の名称 シクロパラ(ヘテロ)アリーレン化合物およびその製造方法
国際特許分類 C07C  15/14        (2006.01)
C07C  13/64        (2006.01)
C07F  15/00        (2006.01)
C07F  19/00        (2006.01)
C07F  17/02        (2006.01)
C07F   9/50        (2006.01)
FI C07C 15/14 CSP
C07C 13/64
C07F 15/00 F
C07F 19/00
C07F 17/02
C07F 9/50
請求項の数または発明の数 6
全頁数 29
出願番号 特願2011-534265 (P2011-534265)
出願日 平成22年9月29日(2010.9.29)
国際出願番号 PCT/JP2010/066900
国際公開番号 WO2011/040434
国際公開日 平成23年4月7日(2011.4.7)
優先権出願番号 2009224788
優先日 平成21年9月29日(2009.9.29)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成25年9月27日(2013.9.27)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504132272
【氏名又は名称】国立大学法人京都大学
発明者または考案者 【氏名】山子 茂
個別代理人の代理人 【識別番号】110000796、【氏名又は名称】特許業務法人三枝国際特許事務所
審査官 【審査官】吉田 直裕
参考文献・文献 Rolf Friederich et al.,Auf dem Weg zu makrocyclischen para-Phenylenen,Chemische Berichte,1993年,Vol.126,No.7,p.1723-1732
Douglas C. Caskey et al.,Toward Self-Assembled Surface-Mounted Prismatic Altitudinal Rotors. A Test Case: Molecular Rectan,Organic Letters,2004年,Vol.6,No.13,p.2093-2096
Shigeru Yamago et al.,Synthesis of [8]Cycloparaphenylene from a Square-Shaped Tetranuclear Platinum Complex,Angewandte Chemie International Edition,2010年,Vol.49,No.4,p.757-759
Mavinahalli N. Jagadeesh et al.,The Interplay of Angle Strain and Aromaticity: Molecular and Electronic Structures of [0n]Paracyclop,Journal of Molecular Modeling,2000年,Vol.6,No.2,p.226-233
Fan Zhang, et al.,Giant Cyclo[n]thiophenes with Extended π Conjugation,Angewandte Chemie International Edition,2009年 6月27日,Volume 48, Issue 36,Pages 6632-6635
調査した分野 C07C 15/14
C07C 13/64
C07F 15/00
C07F 19/00
C07F 9/50
C07F 17/02
CAplus/REGISTRY(STN)
JSTPlus(JDreamIII)
特許請求の範囲 【請求項1】
一般式(I)
【化1】
JP0005726082B2_000024t.gif
(式中、Ar,Ar,Ar,Arは、同一または異なって、置換されていてもよい2価の芳香族基を示す。
n1、n2、n3、n4は、同一または異なって、1~30の整数を示す。
ただし、Ar=Ar=Ar=Ar=1,4-フェニレンの場合、n1+n2+n3+n4は、9,12、18以外の数である)
で表される化合物。
【請求項2】
一般式(II)
【化2】
JP0005726082B2_000025t.gif
(式中、
、CR示し、
、CR示し、
、CR示し、
、CR示す。
,R、R、Rは、同一または異なって、水素原子、アルキル、シクロアルキル、アルコキシ、アルケニル、アルキニル、ハロゲン原子、アリール、ヘテロシクリル、アラルキル、OH、CN、NO、COOH、NH、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アシルアミノ、アシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニル、アルコキシカルボニルアミノ、フルオロアルキル、パーフルオロアルキル、カルバモイル、モノ若しくはジ置換カルバモイル、スルファモイル、モノ若しくはジ置換スルファモイル、アルキルスルホニルアミノを示す。隣接するRとR、もしくはRとRは、それらが結合している炭素原子と一緒になって、置換されていてもよい5員環もしくは6員環の環状基であってもよい。
n1、n2、n3、n4は、同一または異なって、1~30の整数を示す。
ただし、Y=Y=Y=Y=CHの場合、n1+n2+n3+n4は、9,12、18以外の数である)
で表される請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
前記2価の芳香族基が、ベンゼン、ナフタレン、フルオレン、インダン、インデン、アズレン、アントラセン、フェナントレン、フェナレン、ジヒドロアントラセン、インダセン、ジベンゾスベラン、テトラセン、ピレンからなる群から選択される芳香族基に由来する、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
下記式(III)
【化3】
JP0005726082B2_000026t.gif
(式中、Ar,Ar,Ar,Arは、同一または異なって、置換されていてもよい2価の芳香族基を示す。
Mは、同一または異なって、PtまたはPdまたはNiを示す。
Lは、同一または異なって、Mに配位可能なリガンドを示す。ただし、MがPtのとき、Lはシクロオクタジエン(cod)、ノルボルナジエン(nbd)、エチレンジアミンおよびそのN-アルキル誘導体、2,2’、3,3’-、4,4’-、2,3’-、2,4’-もしくは3,4’-ビピリジンまたはそのアルキル置換誘導体、1,10-フェナントロリン、トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン、ジメチルフェニルホスフィン、1,1’-ビスジフェニルフォスフィノフェロセン(dppf)等の1,1’-ビス(ジアリール)フェロセニルホスフィン、ジフェニルホスフィノエタン等のジアリールフォスフィノエタン、ジフェニルホスフィノブタン、ザントフォス、2,2’-ビス(ジフェニルホスフィノ)-1,1’-ビナフタレン、トリシクロヘキシルホスフィン、シクロドデカトリエン、ノルボルネン、1,5-ヘキサジエン、ベンゾニトリル、ブタジエン、アセチレンジカルボン酸ジメチル、ジベンジリデンアセトン、1,5-ビス(ジフェニルホスフィノ)ペンタン、ジフェニルメチルホスフィンまたはそれらの誘導体である、
n1、n2、n3、n4は、同一または異なって、1~30の整数を示す。)
で表される化合物。
【請求項5】
下記式(IV)
【化4】
JP0005726082B2_000027t.gif
(式中、Mは、同一または異なって、PtまたはPdまたはNiを示す。
Lは、同一または異なって、Mに配位可能なリガンドを示す。
、CR示し、
、CR示し、
、CR示し、
、CR示す。
,R、R、Rは、同一または異なって、水素原子、アルキル、シクロアルキル、アルコキシ、アルケニル、アルキニル、ハロゲン原子、アリール、ヘテロシクリル、アラルキル、OH、CN、NO、COOH、NH、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アシルアミノ、アシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニル、アルコキシカルボニルアミノ、フルオロアルキル、パーフルオロアルキル、カルバモイル、モノ若しくはジ置換カルバモイル、スルファモイル、モノ若しくはジ置換スルファモイル、アルキルスルホニルアミノを示す。隣接するRとR、もしくはRとRは、それらが結合している炭素原子と一緒になって、置換されていてもよい5員環もしくは6員環の環状基であってもよい。
n1、n2、n3、n4は、同一または異なって、1~30の整数を示す。)
で表される請求項4に記載の化合物。
【請求項6】
一般式(III)の化合物からM(L)を脱離させることを特徴とする一般式(I)の化合物の製造法。
【化5】
JP0005726082B2_000028t.gif
(式中、Ar,Ar,Ar,Arは、同一または異なって、置換されていてもよい2価の芳香族基を示す。
n1、n2、n3、n4は、同一または異なって、1~30の整数を示す。
Mは、同一または異なって、PtまたはPdまたはNiを示す。
Lは、同一または異なって、Mに配位可能なリガンドを示す。)
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、シクロパラ(ヘテロ)アリーレン化合物およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
これまでに二つのシクロパラフェニレンの合成例がある。1つは、Bertozzi(USA, UC Berkeley)らが、下記に示した方法によりフェニレンが9個、12個および18個からなるシクロパラフェニレン(n = 5, 8, 14)を初めて合成した(非特許文献1)。
【0003】
【化1】
JP0005726082B2_000002t.gif

【0004】
特徴は、化合物4におけるシス置換シクロヘキサジエン-1,4-ジオールにおけるsp3炭素を用いてシクロパラフェニレンに必要な曲面を作り、最後のステップでsp2炭素へと変換する方法である。この方法は、環状生成物を作るときを含め、収率が低いと共にその選択性も低い欠点がある。
【0005】
伊丹(名古屋大学)らは選択的に12個のベンゼン環からなるシクロパラフェニレンを合成する下記の方法を報告している(非特許文献2)。
【0006】
【化2】
JP0005726082B2_000003t.gif

【0007】
この方法では、化合物シス体のシクロヘキサン-1,4-ジオールを用いて曲面を作り、最後のステップでsp2炭素へと変換している。選択的に12個のフェニレンを有するシクロパラフェニレンのみを得ることができるが、この他の環数の化合物が合成できるかは不明である。
【0008】
いずれの合成例も最終ステップの芳香族化反応の反応条件が厳しい。すなわち、Bertozziらはリチウムナフチリドを用い(強塩基性)、伊丹らはパラトルエンスルホン酸を加えて150 oCで加熱(強酸性)を用いていることから、種々の官能基を持つシクロパラフェニレン誘導体を合成するには適していないと考えられる。
【先行技術文献】
【0009】

【非特許文献1】Jasti, R.; Bhattacharjee, J.; Neaton, J. B.; Bertozzi, C. R. J. Am. Chem. Soc. 2008, 130, 17646.
【非特許文献2】Takaba, H.; Omachi, H.; Yamamoto, Y.; Bouffard, J.; Itami, K. Angew. Chem. Int. Ed. 2009, 48, 6112.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、新規なシクロパラ(ヘテロ)アリーレン化合物およびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
シクロパラ(ヘテロ)アリーレン化合物は、複数の(ヘテロ)アリールが互いに180度の角度を有する2つの結合(典型的には、1,4-(ヘテロ)アリーレン結合)で環状に結合した分子である。歪んだ共役構造を持ち、アームチェア型のカーボンナノチューブの最小構成単位であることから、その合成や物性は大変興味が持たれている。しかし、その合成は困難であることから、これまで2例の合成例しかない(非特許文献1,2)。本発明者は、従来法とは全く異なる合成ルートで、高収率、高選択的に、これまで報告されていない環数を含む、シクロパラ(ヘテロ)アリーレン化合物の一般的な合成法を開発した。
【0012】
本発明は、以下のシクロパラ(ヘテロ)アリーレン化合物もしくはその前駆体の金属錯体およびその製造方法を提供するものである。
項1. 一般式(I)
【0013】
【化3】
JP0005726082B2_000004t.gif

【0014】
(式中、Ar,Ar,Ar,Arは、同一または異なって、置換されていてもよい2価の芳香族基もしくは置換されていてもよい2価のヘテロ芳香族基を示す。
n1、n2、n3、n4は、同一または異なって、1以上の整数を示す。
ただし、Ar=Ar=Ar=Ar=1,4-フェニレンの場合、n1+n2+n3+n4は、9,12、18以外の数である)
で表される化合物。
項2. 一般式(II)
【0015】
【化4】
JP0005726082B2_000005t.gif

【0016】
(式中、
は、同一または異なって、CRまたはNを示し、
は、同一または異なって、CRまたはNを示し、
は、同一または異なって、CRまたはNを示し、
は、同一または異なって、CRまたはNを示す。
,R、R、Rは、同一または異なって、水素原子、アルキル、シクロアルキル、アルコキシ、アルケニル、アルキニル、ハロゲン原子、アリール、ヘテロシクリル、アラルキル、OH、CN、NO、COOH、NH、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アシルアミノ、アシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニル、アルコキシカルボニルアミノ、フルオロアルキル、パーフルオロアルキル、カルバモイル、モノ若しくはジ置換カルバモイル、スルファモイル、モノ若しくはジ置換スルファモイル、アルキルスルホニルアミノを示す。隣接するRとR、もしくはRとRは、それらが結合している炭素原子と一緒になって、置換されていてもよい5員環もしくは6員環の環状基であってもよい。
n1、n2、n3、n4は、同一または異なって、1以上の整数を示す。
ただし、Y=Y=Y=Y=CHの場合、n1+n2+n3+n4は、9,12、18以外の数である)
で表される項1に記載の化合物。
項3. 前記2価の芳香族基が、ベンゼン、ナフタレン、フルオレン、インダン、インデン、アズレン、アントラセン、フェナントレン、フェナレン、ジヒドロアントラセン、インダセン、ジベンゾスベラン、テトラセン、ピレンからなる群から選択される芳香族基に由来し、前記2価のヘテロ芳香族基がピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、インドール、キノリン、イソキノリン、テトラヒドロキノリン、テトラヒドロイソキノリン、ベンゾチアゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾイソオキサゾール、チアントレン、ベンゾイミダゾール、クロメン、キサンテン、フェノキサチイン、イソインドール、インドリジン、シンノリン、カルバゾール、βカルボリン、フェナンスリジン、アクリジン、フェナンスロリン、フェノチアジン、フェノオキサジン、フェナントリジン、イソクロマン、クロマン、フェナジン、カルバゾール、インドリン、イソインドリンからなる群から選択されるヘテロ芳香族基に由来する、項1に記載の化合物。
項4. 下記式(III)
【0017】
【化5】
JP0005726082B2_000006t.gif

【0018】
(式中、Ar,Ar,Ar,Arは、同一または異なって、置換されていてもよい2価の芳香族基もしくは置換されていてもよい2価のヘテロ芳香族基を示す。
Mは、同一または異なって、PtまたはPdまたはNiを示す。
Lは、同一または異なって、Mに配位可能なリガンドを示す。
n1、n2、n3、n4は、同一または異なって、1以上の整数を示す。)
で表される化合物。
項5. 下記式(IV)
【0019】
【化6】
JP0005726082B2_000007t.gif

【0020】
(式中、Mは、同一または異なって、PtまたはPdまたはNiを示す。
【0021】
Lは、同一または異なって、Mに配位可能なリガンドを示す。
は、同一または異なって、CRまたはNを示し、
は、同一または異なって、CRまたはNを示し、
は、同一または異なって、CRまたはNを示し、
は、同一または異なって、CRまたはNを示す。
,R、R、Rは、同一または異なって、水素原子、アルキル、シクロアルキル、アルコキシ、アルケニル、アルキニル、ハロゲン原子、アリール、ヘテロシクリル、アラルキル、OH、CN、NO、COOH、NH、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アシルアミノ、アシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニル、アルコキシカルボニルアミノ、フルオロアルキル、パーフルオロアルキル、カルバモイル、モノ若しくはジ置換カルバモイル、スルファモイル、モノ若しくはジ置換スルファモイル、アルキルスルホニルアミノを示す。隣接するRとR、もしくはRとRは、それらが結合している炭素原子と一緒になって、置換されていてもよい5員環もしくは6員環の環状基であってもよい。
n1、n2、n3、n4は、同一または異なって、1以上の整数を示す。)
で表される項4に記載の化合物。
項6. 一般式(III)の化合物からM(L)を脱離させることを特徴とする一般式(I)の化合物の製造法。
【0022】
【化7】
JP0005726082B2_000008t.gif

【0023】
(式中、Ar,Ar,Ar,Arは、同一または異なって、置換されていてもよい2価の芳香族基もしくは置換されていてもよい2価のヘテロ芳香族基を示す。
n1、n2、n3、n4は、同一または異なって、1以上の整数を示す。
Mは、同一または異なって、PtまたはPdまたはNiを示す。
Lは、同一または異なって、Mに配位可能なリガンドを示す。)
【発明の効果】
【0024】
様々な環数を持つシクロパラ(ヘテロ)アリーレンを選択的に、かつ高収率で得ることができる。反応条件が中性で穏和な加熱条件で進行することから、様々な官能基を(ヘテロ)芳香族基に導入することができる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
シクロパラ(ヘテロ)アリーレン化合物は、置換されていてもよい複数の2価の(ヘテロ)芳香族基が1,4-結合等の互いに180度の角度をなす2つの結合で環状に結合した分子である。歪んだ共役構造を持ち、特にシクロパラフェニレンはカーボンナノチューブの最小構成単位であることから、その合成や物性は大変興味が持たれている。しかし、その合成は困難であることから、これまでその2例の合成例しかない(非特許文献1,2)。本発明者は、従来法とは全く異なる合成ルートで、高収率、高選択的に、これまで報告されていない環数を含む、シクロパラフェニレンの一般的な合成法を開発した。

【0026】
本明細書において、MはPtまたはPdまたはNiを示し、好ましくはPtまたはPd、より好ましくはPtである。Mは複数の金属の混合物であってもよいが、好ましくは単一の金属が使用される。Mは通常2価のカチオンである。

【0027】
Lは、Mに配位可能なリガンドを示し、単座もしくは二座のオレフィン、アミン、イミン、ピリジン、ホスフィン、アルシン、ニトリル配位子であり、例えばシクロオクタジエン(cod)、ノルボルナジエン(nbd)、エチレン、エチレンジアミンおよびそのN-アルキル誘導体、(2,2’、3,3’-、4,4’-、2,3’-、2,4’-もしくは3,4’-ビピリジンまたはそのアルキル置換誘導体)、1,10-フェナントロリン、トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン、ジメチルフェニルホスフィン、1,1’-ビスジフェニルフォスフィノエタン、1,1’-ビスジフェニルフォスフィノフェロセン(dppf)等の1,1’-ビス(ジアリール)フェロセニルホスフィン、ジフェニルホスフィノエタン等のジアリールフォスフィノエタン、ジフェニルホスフィノブタン、ザントフォス、2,2’-ビス(ジフェニルホスフィノ)-1,1’-ビナフタレン、トリシクロヘキシルホスフィン、シクロドデカトリエン、ノルボルネン、1,5-ヘキサジエン、ベンゾニトリル、ブタジエン、アセチレンジカルボン酸ジメチル、ジベンジリデンアセトン、1,5-ビス(ジフェニルホスフィノ)ペンタン、ジフェニルメチルホスフィンまたはそれらの誘導体が挙げられ、シクロオクタジエン、フェロセニルホスフィンまたはそれらの誘導体が好ましく例示される。上記リガンドの誘導体としては、特に限定されないが、フェニル基などのアリール基にフッ素原子やトリフルオロメチル基などの電子吸引性基を置換基として有する誘導体が挙げられ、例えばジフェニルホスフィノエタンの誘導体として、ジ(2,3,4,5,6-ペンタフルオロフェニル)ホスフィノエタン、ジ(2,3,5,6-テトラフルオロフェニル)ホスフィノエタン、ジ(4-トリフルオロメチル-2,3,5,6-テトラフルオロフェニル)ホスフィノエタンなどのフェニル基がフッ素原子やトリフルオロメチル基などの電子吸引性基で4置換もしくは5置換されたホスフィノエタンが挙げられる。

【0028】
Xは、Cl,Br,Iなどのハロゲン原子、などが挙げられる。

【0029】
Zは、カルバニオンを生成可能な金属を含む基であり、例えばSn(CH、Sn(C、Li、MgBr、MgCl、MgI、Cu、ZnBr、ZnI、B(OCHCHO)、B(OCMeCHe)などのホウ素誘導体などが挙げられる。

【0030】
、Y、Y、Yは、全てが炭素原子を含む基(CR,CR、CR、CR)であってもよく、Y、Y、Y、Yの合計のN原子の数は、0~4個、好ましくは0~3個、より好ましくは0~2個である。

【0031】
アルキルとしては、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、ヘキシルなどの直鎖状又は分枝鎖状のC1-18アルキルが挙げられる。

【0032】
シクロアルキルとしては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル及びシクロヘプチルなどのC3-10シクロアルキルが挙げられる。環の一部がヘテロ元素で置換されていたり、置換基を持っていてもよい。

【0033】
アルコキシとしては、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、イソブトキシ、tert-ブトキシ、n-ペンチルオキシ、イソペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、ポリエチレングリコール誘導体などの直鎖状又は分枝鎖状のC1-18アルコシキが挙げられる。

【0034】
アルケニルとしては、ビニル、1-プロペニル、2-メチル-2-プロペニル、イソプロペニル、1-、2-若しくは3-ブテニル、2-、3-若しくは4-ペンテニル、2-メチル-2-ブテニル、3-メチル-2-ブテニル、5-ヘキセニル、1-シクロペンテニル、1-シクロヘキセニル、3-メチル-3-ブテニルなどの直鎖状、分枝鎖状又は環状のC2-18アルケニルが挙げられる。

【0035】
アルキニルとしては、三重結合を少なくとも1個有するものを意味し、例えばエチニル、1-若しくは2-プロピニル、1-、2-若しくは3-ブチニル、1-メチル-2-プロピニルなどの直鎖状、分枝鎖状又は環状のC2-6アルキニルが挙げられる。

【0036】
ハロゲン原子としては、F,Cl,Br,Iが挙げられる。

【0037】
アリールとしては、5又は6員の芳香族炭化水素環からなる単環又は多環系の基を意味し、具体例としては、フェニル、ナフチル、トルイル、キシリル、フルオレニル、アントリル、ビフェニリル、テトラヒドロナフチル、クロマニル、2,3-ジヒドロ-1,4-ジオキサナフタレニル、インダニル及びフェナントリルが挙げられる。

【0038】
ヘテロシクリルとしては、アクリジニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾジオキソラン、1,3-ベンゾジオキソール-5-イル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、カルバゾリル、シンノリニル、2,3-ジヒドロベンゾフラニル、ジオキサニル、モルホリノ、フラニル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリル、1H-インダゾリル、インドリニル、インドリル、3H-インドリル、イソインドリル、イソキノリニル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、モルホリニル、1,8-ナフチリジニル、オキサジアゾリル、1,3-オキサチオラニル、オキサゾリジニル、オキサゾリル、オキシラニル、パラチアジニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサジニル、フタラジニル、ピペラジニル、ピペリジニル、プテリジニル、ピラニル、ピラジニル、ピラゾリジニル、ピラゾリニル、ピラゾロ[1,5-c]トリアジニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリジル、ピリミジニル、ピリミジル、ピロリル、ピロリジニル、プリニル、キナゾリニル、キノリニル、4H-キノリジニル、キノキサリニル、テトラゾリジニル、テトラゾリル、チアジアゾリル、チアゾリジニル、チアゾリル、チエニル、チオモルホリニル、トリアジニル、およびトリアゾリルが挙げられる。

【0039】
アラルキルとしては、ベンジル、フェネチル、ナフチルメチルなどが挙げられる。

【0040】
モノアルキルアミノとしては、メチルアミノ、エチルアミノ、n-プロピルアミノ、イソプロピルアミノ、n-ブチルアミノ、イソブチルアミノ、tert-ブチルアミノ、n-ペンチルアミノ、イソペンチルアミノ、ヘキシルアミノが挙げられる。

【0041】
ジアルキルアミノとしては、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジn-プロピルアミノ、ジイソプロピルアミノ、ジn-ブチルアミノ、ジイソブチルアミノ、ジtert-ブチルアミノ、ジn-ペンチルアミノ、ジイソペンチルアミノ、ジヘキシルアミノが挙げられる。

【0042】
アシルアミノとしては、アセチルアミノ、プロピオニルアミノ、ブチリルアミノ、イソブチリルアミノ、バレリルアミノ、ベンゾイルアミノなどが挙げられる。

【0043】
アシルとしては、アセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、バレリル、ベンゾイルが挙げられる。

【0044】
アルキルカルボニルオキシの具体例としては、メチルカルボニルオキシ、エチルカルボニルオキシ、n-プロピルカルボニルオキシ、イソプロピルカルボニルオキシ、n-ブチルカルボニルオキシ、イソブチルカルボニルオキシ、tert-ブチルカルボニルオキシ、n-ペンチルカルボニルオキシ、イソペンチルカルボニルオキシ、ヘキシルカルボニルオキシが挙げられる。

【0045】
アリールカルボニルオキシの具体例としては、フェニルカルボニルオキシ、ナフチルカルボニルオキシ、フルオレニルカルボニルオキシ、アントリルカルボニルオキシ、ビフェニリルカルボニルオキシ、テトラヒドロナフチルカルボニルオキシ、クロマニルカルボニルオキシ、2,3-ジヒドロ-1,4-ジオキサナフタレニルカルボニルオキシ、インダニルカルボニルオキシ及びフェナントリルカルボニルオキシが挙げられる。

【0046】
アルコキシカルボニルとしては、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、イソブトキシカルボニル、tert-ブトキシカルボニル、ペンチルオキシカルボニル、イソペンチルオキシカルボニル及びヘキシルオキシカルボニルなどのC1-6アルコキシカルボニルが挙げられる。

【0047】
アルコキシカルボニルアミノとしては、メトキシカルボニルアミノ、エトキシカルボニルアミノ、プロポキシカルボニルアミノ、イソプロポキシカルボニルアミノ、ブトキシカルボニルアミノ、イソブトキシカルボニルアミノ、tert-ブトキシカルボニルアミノ、ペンチルオキシカルボニルアミノ、イソペンチルオキシカルボニルアミノ及びヘキシルオキシカルボニルアミノなどのC1-6アルコキシカルボニルアミノが挙げられる。

【0048】
フルオロアルキルとしては、モノフルオロメチル、ジフルオロメチルが挙げられる。

【0049】
パーフルオロアルキルとしては、C2n+1(nは1~6の整数)で表される直鎖または分岐鎖を有するパーフルオロアルキル、特にトリフルオロメチルが挙げられる。

【0050】
モノアルキルカルバモイルとしては、メチルカルバモイル、エチルカルバモイル、n-プロピルカルバモイル、イソプロピルカルバモイル、n-ブチルカルバモイル、イソブチルカルバモイル、tert-ブチルカルバモイル、n-ペンチルカルバモイル、イソペンチルカルバモイル、ヘキシルカルバモイルが挙げられる。

【0051】
ジアルキルカルバモイルとしては、ジメチルカルバモイル、ジエチルカルバモイル、ジn-プロピルカルバモイル、ジイソプロピルカルバモイル、ジn-ブチルカルバモイル、ジイソブチルカルバモイル、ジtert-ブチルカルバモイル、ジn-ペンチルカルバモイル、ジイソペンチルカルバモイル、ジヘキシルカルバモイルが挙げられる。

【0052】
モノアルキル置換スルファモイルとしては、メチルスルファモイル、エチルスルファモイル、n-プロピルスルファモイル、イソプロピルスルファモイル、n-ブチルスルファモイル、イソブチルスルファモイル、tert-ブチルスルファモイル、n-ペンチルスルファモイル、イソペンチルスルファモイル、ヘキシルスルファモイルが挙げられる。

【0053】
ジアルキル置換スルファモイルとしては、ジメチルスルファモイル、ジエチルスルファモイル、ジn-プロピルスルファモイル、ジイソプロピルスルファモイル、ジn-ブチルスルファモイル、ジイソブチルスルファモイル、ジtert-ブチルスルファモイル、ジn-ペンチルスルファモイル、ジイソペンチルスルファモイル、ジヘキシルスルファモイルが挙げられる。

【0054】
アルキルスルホニルアミノとしては、メチルスルホニルアミノ、エチルスルホニルアミノ、n-プロピルスルホニルアミノ、イソプロピルスルホニルアミノ、n-ブチルスルホニルアミノ、イソブチルスルホニルアミノ、tert-ブチルスルホニルアミノ、n-ペンチルスルホニルアミノ、イソペンチルスルホニルアミノ、ヘキシルスルホニルアミノが挙げられる。

【0055】
隣接するRとR、もしくはRとRは、それらが結合している炭素原子と一緒になって、置換されていてもよい5員環もしくは6員環の環状基であってもよい。隣接するとは、同一の芳香環/ヘテロ芳香環に結合していてもよく(下記Case A)、隣接する芳香環/ヘテロ芳香環に結合した最も近い基との間で5員環もしくは6員環の環状基を形成してもよい(下記Case B)。5員環もしくは6員環の環状基は、飽和又は不飽和であり、炭化水素系の環状基であってもヘテロ原子(O,N,S)を少なくとも1個有する環状基であってもよい。また、下記の例では隣接するY1、Y2が5員環もしくは6員環の環状基を表す例を示しているが、Y3、Y4がさらに5員環もしくは6員環の環状基であってもよい。さらに5員環もしくは6員環の環状基は、アルキル、シクロアルキル、アルコキシ、アルケニル、アルキニル、ハロゲン原子、アリール、ヘテロシクリル、アラルキル、OH、CN、NO、COOH、NH、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アシルアミノ、アシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニル、アルコキシカルボニルアミノ、フルオロアルキル、パーフルオロアルキル、カルバモイル、モノ若しくはジ置換カルバモイル、スルファモイル、モノ若しくはジ置換スルファモイル、アルキルスルホニルアミノで表される1~3個の置換基で置換されていてもよい。

【0056】
【化8】
JP0005726082B2_000009t.gif

【0057】
二価の芳香族基とは、6員の芳香族炭化水素環を含む単環又は多環系の2価基を意味し、芳香族基の具体例としては、ベンゼン、ナフタレン、フルオレン、フルオレノン、フルオレノール、インダン、インデン、アズレン、アントラセン、フェナントレン、フェナレン、ジヒドロアントラセン、インダセン、ジベンゾスベラン、テトラセン、ピレンなどの環を1個または2個以上有し、これらがベンゼンの1,4位、ナフタレンの1,4位もしくは1,5位もしくは2,6位、アントラセンの1,4位もしくは1,5位もしくは1,6位もしくは2,7位、フェナンスレンの1,4位もしくは1,6位もしくは2,7位もしくは3,9位、フルオレンの1,4位などの、2つの結合が互いに180度をなす位置で隣接する(ヘテロ)芳香族基と結合する基を意味し、二価の(ヘテロ)芳香族基が縮合しない(ヘテロ)芳香族基を複数有する場合には、2以上の(ヘテロ)芳香族基は、直接結合(例えばビフェニル、ビピリジルなど)、-CH=CH-、-C≡C-、-N=N-、

【0058】
【化9】
JP0005726082B2_000010t.gif

【0059】
などの任意の2価の基で連結されていてもよい。二価の芳香族基は、上記の芳香族基から芳香環に結合する2個の水素原子を除いた基である。このような場合であっても、二価の芳香族基の2つの結合は、互いに180度をなす。例えば-Ph-CH=CH-Ph-や-Ph-N=N-Ph-の場合、

【0060】
【化10】
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【0061】
の芳香族基が挙げられる。2個の(ヘテロ)芳香族基が-CH=CH-、-N=N-で連結した場合を上記に示したが、3個以上の(ヘテロ)芳香族基が、複数の2価の基で連結されたものも本発明に包含される。また、(ヘテロ)芳香族基がジアゾベンゼン誘導体である本発明の化合物は、本発明の好ましい実施形態の1つである。

【0062】
本発明の二価の芳香族基の2つの結合位置は、例えば以下に例示される。

【0063】
【化11】
JP0005726082B2_000012t.gif

【0064】
二価のヘテロ芳香族基としては、O,N,Sからなる群から選ばれるヘテロ原子を1個以上含む5又は6員のヘテロ芳香環を有する単環又は多環系の基を意味し、6員のヘテロ芳香環は、隣接する基との結合に関与する。ヘテロ芳香族基の具体例としては、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、インドール、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、キノリン、イソキノリン、テトラヒドロキノリン、テトラヒドロイソキノリン、ベンゾチアゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾイソオキサゾール、チアントレン、ベンゾイミダゾール、クロメン、キサンテン、キサンテノン、キサンテノール、フェノキサチイン、イソインドール、インドリジン、シンノリン、カルバゾール、βカルボリン、フェナントリジン、アクリジン、フェナンスロリン、フェノチアジン、フェノオキサジン、フェナントロリン、イソクロマン、クロマン、フェナジン、カルバゾール、インドリン、イソインドリンが挙げられる。二価のヘテロ芳香族基は、上記のヘテロ芳香族基からヘテロ芳香環に結合する2個の水素原子を除いた基である。

【0065】
本発明の二価のヘテロ芳香族基の2つの結合位置は、例えば以下に例示される。

【0066】
【化12】
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【0067】
【化13】
JP0005726082B2_000014t.gif

【0068】
二価の芳香族基、二価のヘテロ芳香族基の置換基としては、上記に例示されたアルキル、シクロアルキル、アルコキシ、アルケニル、アルキニル、ハロゲン原子、アリール、ヘテロシクリル、アラルキル、OH、CN、NO、COOH、NH、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アシルアミノ、アシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニル、アルコキシカルボニルアミノ、フルオロアルキル、パーフルオロアルキル、カルバモイル、モノ若しくはジ置換カルバモイル、スルファモイル、モノ若しくはジ置換スルファモイル、アルキルスルホニルアミノが挙げられる。置換基の数は、1~3個、好ましくは1~2個、特に1個が挙げられる。

【0069】
電子求引性の置換基(例えばF,Cl,Br等のハロゲン原子、CF等のパーフルオロアルキル基、CN,NO,COOH,アセチルなどのアシル基、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル等のアルコキシカルボニル基)が結合すると、電子移動材料として好適であり、電子供与性の置換基(例えばメトキシ等のアルコキシ基、アミノ基、メチルアミノ等のモノアルキルアミノ基、ジメチルアミノ等のジアルキルアミノ基、OH、メチル等のアルキル、シクロペンチル等のシクロアルキルなど)が結合した場合にはホール輸送材料として好適である。また、電子求引性の置換基を有する2価のアリール基/ヘテロアリール基と、電子供与性の置換基を有する2価のアリール基/ヘテロアリール基を組み合わせた本発明の化合物は、新しい特性を有する電荷移動材料として好ましい。

【0070】
n1、n2、n3、n4は、同一または異なって、1以上の整数、好ましくは1~30、より好ましくは1~20、さらに好ましくは1~15、特に1~10、1~5、1~4、1~3、または、1~2である。

【0071】
n1、n2、n3およびn4の合計は、4以上、好ましくは4~100、5~80、6~60、7~40、8~30程度、例えば4~20、4~19、4~18、4~17、4~16、4~15、4~14、4~13である。これらの合計の数字は、原料の二価の芳香族基もしくは二価のヘテロ芳香族基を有する化合物を適宜選択し、必要に応じて目的の数の化合物を単離することにより得ることができる。n1、n2、n3およびn4の合計が異なる化合物の精製は、例えばゲルろ過などの分子ふるいの原理により行うことができる。

【0072】
本発明の化合物は、単一の化合物であってもよいが、n1、n2、n3およびn4の合計が異なる複数の化合物の混合物であってもよい。

【0073】
後の実施例に示されるように、ビフェニル若しくはジメチルフルオレンのように芳香環を2個連結したタイプのAr基を有する原料を使用する場合、Ar基(ビフェニル若しくはジメチルフルオレン)が4個連結された化合物を得ることができる。一方、ビフェニルとトリフェニレンのように芳香環が2個連結された化合物と3個連結された化合物を反応させると、複雑な反応が起こり、芳香環の数として8~12若しくは9~13の化合物の混合物が得られている。簡単に説明すると、-(Ar)-M(L)-(Ar)-結合を生じさせる反応には、以下の(Pattern A)と(Pattern B)の2種が挙げられる。

【0074】
【化14】
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【0075】
(式中、Ar1、Ar1、M、L、n1、n2、Zは、前記に定義されるとおりである。)
上記のようにMX(L)とZの反応、あるいはMX2(L)の存在下における2つのZの反応により(Ar1)n1-M(L)-(Ar2)n2の結合が生じ、次いでM(L)が脱離して(Ar1)n1-(Ar2)n2の結合が生じる。従って、(Ar1)n1=(Ar2)n2=(Ar3)n3=(Ar4)n4=-C6H4-C6H4-のビフェニル化合物の場合、フェニレン基が8個の環状化合物が得られ、(Ar1)n1=(Ar3)n3=ビフェニル化合物、(Ar2)n2=(Ar4)n4=トリフェニル化合物(-C6H4-C6H4-C6H4-)の場合、フェニレン基(-C6H4-)が10個(=2+3+2+3)の環状化合物が得られると考えられる。しかしながら、反応条件にもよるが、この反応でフェニレン基(-C6H4-)が8~12個あるいは9~13個の化合物が得られており、多角形構造が関与している可能性がある。

【0076】
本発明の化合物の合成の鍵は平面的な構造が最も安定であるパラ(ヘテロ)アリーレン化合物を折り曲げて環状にする点である。今回、一般式(III)、(IV)で表されるような四角形構造、あるいは多角形構造を持つ安定な金属錯体(特に白金錯体)をシクロパラフェニレンの前駆体として用いることで、シクロパラ(ヘテロ)アリーレンの効率的な合成法を確立した。一般式(III)、(IV)で表される四角形構造は、4 x 4で[8]シクロパラフェニレンができるときの中間体と考えられるが、[9]~[13] シクロパラフェニレンができるときは、多角形構造が関与している可能性がある。理論に拘束されることを望むものではないが、本発明者は、一種類の化合物から出発すると正方形、形(長さ)が異なる置換基が入ると、四角形を含む多角形錯体ができると考えている。

【0077】
四角形構造を持つ安定な金属錯体の合成に三通りのルートがあり、第1は4つの金属化された芳香族化合物(Z-(Ar1)n1-Z、Z-(Ar2)n2-Z、Z-(Ar3)n3-Z、Z-(Ar4)n4-Z)から1段階で錯体を合成するルートであり、本発明の式(I)の化合物が得られる(スキーム1、ルートa)。第2は1つの金属化された芳香族化合物(Z-(Ar1)n1-Z)から1段階で錯体を合成するルートであり、[4×n1]シクロパラ(ヘテロ)アリーレンの合成に適している(スキーム1、ルートb)。もう一つは、2段階で金属錯体(好ましくは白金錯体)を合成するルートであり、奇数の環数を含む様々なシクロパラフェニレンの合成に適している(スキーム1、ルートc)。金属錯体(特に白金錯体)の還元的脱離反応により、シクロパラ(ヘテロ)アリーレンが高収率で得られる。

【0078】
さらに、スキーム2には、スキーム1のルートb、ルートcにおいて、原料がヘテロパラフェニレン誘導体である場合の例を示す。

【0079】
スキーム1のルートaは、Z-(Arn1-Z、Z-(Arn2-Z、Z-(Arn3-Z、Z-(Arn4-Zの存在下にMX(L)を反応させて化合物(III)を得、これをそのまま、あるいはトリフェニルホスフィンのような中性配位子や、Br(Iでもよい)のようなハロゲンの存在下でM(L)、特にPt(L)を脱離させて、目的とする化合物(I)を得る。Z-(Arn1-Z、Z-(Arn2-Z、Z-(Arn3-Z、Z-(Arn4-Zの存在下にMX(L)を反応させて化合物(III)を得る反応は、-78℃~溶媒の沸騰する温度下に30分~24時間程度反応させることにより、有利に進行させることができる。溶媒を用いる場合には、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒や、塩化メチレンや1,2-ジクロロエタン等のハロゲン系の溶媒、ベンゼンやトルエンなどの炭化水素系の溶媒を用いることができる。Z-(Arn1-Z、Z-(Arn2-Z、Z-(Arn3-Z、Z-(Arn4-Zの合計1モルに対し、MX(L)を1モル程度使用する。

【0080】
次に、化合物(III)を溶媒(例えばテトラヒドロフランやジオキサンなどのエーテル系溶媒、トルエンやメシチレンのような炭化水素系溶媒、1,2-ジクロロエタンや1,2-ジクロロベンゼンのようなハロゲン系溶媒)の存在下、あるいは無溶媒で室温から200℃程度の温度下に1~48時間程度反応させることで、M(L)、特にPt(L)を脱離させて、目的とするシクロパラ(ヘテロ)アリーレン化合物(I)を得る。このとき、化合物(III)1モルに対し、Br(Iでもよい)のようなハロゲンを4モルから過剰量使用したり、トリフェニルホスフィンのような中性配位子を4モルから過剰量使用しても良い。

【0081】
スキーム1のルートbは、Z-(Arn1-Zの存在下にMX(L)を反応させて化合物(IIIa)を得、これをBr(Iでもよい)のようなハロゲンの存在下でML、特にPt(L)を脱離させて、目的とするシクロパラ(ヘテロ)アリーレン化合物(Ia)を得る。Z-(Arn1-Z 1モルに対しMX(L)を1モル程度使用し、-78℃~溶媒の沸騰する温度下に30分~24時間程度反応させることにより化合物(IIIa)を得ることができる。溶媒を用いる場合には、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒を用いることができる。次に、化合物(IIIa)1モルに対し、Br(Iでもよい)のようなハロゲンを1モルから過剰量使用し、必要に応じて溶媒(例えばジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒)の存在下に室温から100℃程度の温度下に1~24時間程度反応させることで、M(L)、特にPt(L)を脱離させて、目的とするシクロパラ(ヘテロ)アリーレン(Ia)を得る。

【0082】
スキーム1のルートcは、Z-(Arn1-Z 1モルに対しMX(L)を2モル以上の量で、-78℃~溶媒の沸騰する温度下に30分~24時間程度反応させることによりZがMX(L)に置換された化合物を得、これをほぼ等モルのZ-(Arn2-Zと-78℃~溶媒の沸騰する温度下に30分~24時間程度反応させることにより化合物(IIIb)を得ることができる。溶媒を用いる場合には、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒を用いることができる。次に、化合物(IIIb)1モルに対し、Br(Iでもよい)のようなハロゲンを1モルから過剰量使用し、必要に応じて溶媒(例えばジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒)の存在下に室温から100℃程度の温度下に1~24時間程度反応させることで、ML、特にPt(L)を脱離させて、目的とするシクロパラ(ヘテロ)アリーレン(Ib)を得る。

【0083】
スキーム2のルートb,cは、スキーム1のルートb,cと同様な条件で反応させることにより有利に進行する。

【0084】
【化15】
JP0005726082B2_000016t.gif

【0085】
(式中、Ar,Ar,Ar,Ar、n1、n2、n3、n4、M、L、X、Zは、前記に定義されるとおりである。)

【0086】
【化16】
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【0087】
(式中、Y,Y,Y,Y、n1、n2、M、X、L、Zは、前記に定義されるとおりである。)

【0088】
上記スキーム1,2では、転位あるいは5角形以上の多角形構造の反応が起こらない場合の例を示しているが、n1=n2=n3=n4=2の場合には、理論通りに8個のアリール基/ヘテロアリール基(Ar)が結合された本発明の化合物が得られるが、n1,n2,n3,n4のいずれかに3以上のアリール基/ヘテロアリール基を含む場合、複雑な転位反応若しくは多角形構造を生じる反応が起こり、種々のアリール基の個数を有する化合物の混合物が得られ、これらを精製することで、目的とする化合物が得られ得る。

【0089】
従って、本明細書において、一般式は4つの(ヘテロ)アリール単位{(Ar1)n1、(Ar2)n2、(Ar3)n3、(Ar4)n4}、さらに場合により4つ以上の金属M(L)を含む化合物が例示されているが、これは、5つ以上の(ヘテロ)アリール単位{(Ar1)n1、(Ar2)n2、(Ar3)n3、(Ar4)n4、(Ar5)n5......}、さらに場合により5つ以上の金属M(L)を含む化合物であり得る。

【0090】
一般式(I)、(II)の化合物の場合、5つの以上の(ヘテロ)アリール単位を含む環状化合物になった場合でも、これらの式に含まれる化合物は、本発明に包含される。一般式(III)、(IV)の化合物の場合、(ヘテロ)アリール単位と金属M(L)が同数、かつ、5以上である化合物も包含される。
【実施例】
【0091】
以下、本発明を実施例を用いてより詳細に説明するが、本発明がこれら実施例に限定されないことは言うまでもない。
【実施例】
【0092】
実施例1
[8]シクロパラフェニレン(3)の選択的合成
【実施例】
【0093】
【化17】
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【実施例】
【0094】
[(cod)Pt(4,4’-biphenyl)]4(2a)の合成(cod = 1,5-シクロオクタジエン):4,4'-ビス(トリメチルスタニル)ビフェニル(1) [1] (298 mg, 0.621 mmol) とPt(cod)Cl2 (233 mg, 0.623 mmol) を窒素気流下で1,2-ジクロロエタン150 mLに溶解し、その溶液を70℃ で59時間加熱攪拌した。生じた沈殿物をろ過により分別した。集めた固体をヘキサンで洗浄した後、少量の塩化メチレンで洗浄することで51%の収率で2aを淡黄色の固体として得た (145.2 mg, 0.317 mmol)。1H NMR (400 MHz, CD2Cl2) δ2.52 (bs, 32 H), 5.10 (bs, 16 H), 7.12 (d, J = 6.8 Hz, 16 H), 7.19 (d, J = 8.0 Hz, 16 H); 13C NMR (100 MHz, CD2Cl2) 30.1, 104.8, 125.6, 135.0, 136.1, 154.3; MS (FAB) m/z calcd for C80H80Pt4(M)+ 1820.5, found 1820.4.
【実施例】
【0095】
[(dppf)Pt(4,4’-biphenyl)]4(2b)の合成:2a (31.1 mg, 17.0 μmol)と1,1-ビス(ジフェニルフォスフィノ)フェロセン(dppf, 39.5 mg, 71.2 μmol) を窒素気流下において10 mLの塩化メチレンに懸濁し、室温で6時間攪拌した。溶媒を減圧下で留去した後、残渣を酢酸エチルで洗浄することで91%の収率で2bが淡いオレンジ色の固体として得られた(55.8 mg, 15.5 μmol)。1H NMR (400 MHz, CD2Cl2) 4.20 (bs, 16 H), 4.29 (bs, 16 H), 6.37 (d, J = 7.6 Hz, 16 H), 6.69 (m, 16 H), 7.21 (t, 32 H), 7.31 (t, 16H), 7.48 (t, 32 H).
【実施例】
【0096】
なお、2aを単離せずに、得られた固体をそのまま次のステップに用いたところ、2bが74%の収率(2段階の合計)で得られた。
【実施例】
【0097】
[8]シクロパラフェニレン (3) の合成:2b (24.2 mg, 6.71 μmol)を窒素気流下で5 mLのトルエンに懸濁し、そこに臭素 (3 μL, 49 μmol) を室温で加えた。反応用液を95 oC で 17時間攪拌した後、不溶物を濾別した。ろ液の溶媒を減圧下で留去することで固体を得た。これを分取ゲルろ過クロマトグラフィー(GPC, 移動相はクロロホルム)で精製した後、さらにシリカゲルカラムクロマトグラフィー(移動相はクロロホルム/ヘキサン1/4~1/1の混合溶液)で精製することで49%の収率で3を黄色固体として得た(2.0 mg, 3.29 μmol)。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ7.48 (s, 32 H); 13C NMR (100 MHz) 127.6, 137.8; MS (MALDI-TOF) m/z calcd for C48H32 (M)+ 608.2505, found 608.2504.
【実施例】
【0098】
臭素の代わりにPPh3およびI2を加えた実験との比較を以下の表に示した。反応条件(溶媒、温度)は臭素の時と同じ。
【実施例】
【0099】
【表1】
JP0005726082B2_000019t.gif
【実施例】
【0100】
[8]シクロパラフェニレン(3)の選択的合成の別法(実際は2の合成の別法)
【実施例】
【0101】
【化18】
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【実施例】
【0102】
1(246 mg, 0.511 mmol)と白金錯体4 (di-μ-[1,1’-biphenyl]-4,4’-diyldichlorobis[(1,2,5,6-η)-1,5-cyclooctadiene]diplatinum)[2] (416 mg, 0.501 mmol)を窒素気流下で250 mLの1,2-ジクロロエタンに溶解し、その溶液を50 oC で7日間攪拌した。不溶物をろ過した後、ろ液の溶媒を減圧下で留去することで固体を得た。この固体をヘキサンで洗浄することで2aが淡黄色の固体として得られた(421 mg)。この化合物は精製することなく、そのまま次のステップに用いた。
【実施例】
【0103】
2a (70 mg)とdppf (89 mg, 0.16 mmol) の混合物を窒素気流下で20 mLの塩化メチレンに懸濁し、室温で17時間攪拌した。溶媒を留去した後、得られた固体を酢酸エチルで洗浄することで3を淡いオレンジ色の固体として得た(103.6 mg)。
【実施例】
【0104】
実施例2
[9], [10], [11], [12], [13]シクロパラフェニレンの合成
【実施例】
【0105】
【化19】
JP0005726082B2_000021t.gif
【実施例】
【0106】
4 (58.2 mg, 70.2 μmol) と化合物5(1,1’-[1,1’:4’,1”-terphenyl]-4,4”-diyl[1,1,1-trimethylstanane]) (40.8 mg, 73.4 μmol)を窒素気流下で1,2-ジクロロエタン30 mLに溶解し、50 oCで20時間加熱した。固体を濾別した後、ろ液の溶媒を減圧下留去した。得られた固体をヘキサンで洗浄し、環状構造の白金錯体59.8 mgを淡黄色の固体として得た。
【実施例】
【0107】
得られた固体 (31.1 mg, 17.0 μmol)とdppf (53.3 mg, 97.9 μmol) を窒素気流下において10 mLの塩化メチレンに懸濁し、室温で17時間攪拌した。溶媒を減圧下で留去した後、残渣を酢酸エチルで洗浄することでdppfが配位した環状白金錯体79.3 mgを淡いオレンジ色の固体として得た。
【実施例】
【0108】
得られた固体 (52.0 mg) を窒素気流下で5 mLのトルエンに懸濁し、そこに臭素 (5 μL, 98μmol) を室温で加えた。反応用液を90℃で 1時間攪拌した後、不溶物を濾別した。ろ液の溶媒を減圧下で留去することで固体を得た。得られた固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(移動相はクロロホルム/ヘキサン1/4~1/1の混合溶液)で精製した。1H NMRにより生成物を分析したところ、 [9]-, [10]-, [11]-, [12]-, [13]シクロパラフェニレン (6a~e) がそれぞれ5.4%, 9.6%, 7.7%, 3.8%, 0.8%の収率(4を基準とした3段階の通算収率)生成していることがわかった。
【実施例】
【0109】
[9]-Cycloparaphenylene (6a): 1H NMR (400 MHz, CDCl3) 7.52 (s, 36 H); MS (MALDI-TOF) m/z calcd for C54H36(M)+ 684.3, found 684.3.
[10]-Cycloparaphenylene (6b): 1H NMR (400 MHz, CDCl3) 7.56 (s, 40 H); MS (MALDI-TOF) m/z calcd for C60H40(M)+ 760.3, found 760.3.
[11]-Cycloparaphenylene (6c): 1H NMR (400 MHz, CDCl3) 7.58 (s, 44 H); MS (MALDI-TOF) m/z calcd for C66H44(M)+ 836.3, found 836.4.
[12]-Cycloparaphenylene (6d): 1H NMR (400 MHz, CDCl3) 7.61 (s, 48 H); MS (MALDI-TOF) m/z calcd for C72H48(M)+ 912.4, found 912.5.
[13]-Cycloparaphenylene (6e): 1H NMR (400 MHz, CDCl3) 7.64 (s, 52 H).
【実施例】
【0110】
大量合成
4 (501 mg, 0.604 mmol)、5 (335 mg, 0.603 mmol)を窒素気流下で1,2-ジクロロエタン300 mLに溶解し、50 oCで32時間加熱した。固体を濾別した後、ろ液の溶媒を減圧下留去した。得られた固体をヘキサンで洗浄し、環状構造の白金錯体641 mgを淡黄色の固体として得た。この固体とdppf (630 mg, 1.23 mmol) を窒素気流下において100 mLの塩化メチレンに懸濁し、室温で14時間攪拌した。溶媒を減圧下で留去した後、残渣を酢酸エチルで洗浄することでdppfが配位した環状白金錯体を淡いオレンジ色の固体として得た。この固体を85 mLのトルエンに懸濁し、そこに臭素 (62 μL, 1.21 mmol) を室温で加えた。反応用液を90℃で 12時間攪拌した後、不溶物を濾別した。ろ液の溶媒を減圧下で留去することで固体を得た。得られた固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(移動相はクロロホルム/ヘキサン1/4~1/1の混合溶液)で精製した。1H NMR解析により、[8]-, [9]-, [10]-, [11]-, [12]シクロパラフェニレンがそれぞれ2.4%, 3.2%, 5.3%, 4.7%, 2.3%生成していることがわかった。さらに、分取ゲルろ過クロマトグラフィー(GPC、移動相はクロロホルム)で生成することで、それぞれのシクロパラフェニレンを単離した。
【実施例】
【0111】
実施例3
【実施例】
【0112】
【化20】
JP0005726082B2_000022t.gif
【実施例】
【0113】
1(32.1 mg, 0.0668 mmol)、5(37.1 mg, 0.0668 mmol)、Pt(cod)Cl2 (50 mg, 0.1336 mmol) を窒素気流下で35 mLの1,2—ジクロロエタンに溶解し、70 oCで24時間攪拌した。溶媒を留去後、生じた固体を液酸で洗浄した。その個体に塩化メチレンを加え、固体をろ過した。塩化メチレン溶液を減圧下で留去することで、白色固体を得た(71.2 mg)。
【実施例】
【0114】
得られた固体を30 mg取りだし、これにdppf (31.8mg、0.05743 mmol)を加えた後、窒素気流下で10 mLの塩化メチレンに縣濁し、室温で24時間攪拌した。溶媒を留去後、酢酸エチルで洗浄することで固体を得た(56.0 mg)。
【実施例】
【0115】
得られた固体を23.8 mg取りだし、トルエン3.75 mLを加えた。そこに、Br2のトルエン溶液(1.95 x 10-2 mol/L)を1.25 mL加えた後、95 oCで12時間攪拌した。反応溶液をアルミナカラムを通した後(移動相はクロロホルム/ヘキサン1/4~1/1の混合溶液)、溶媒を留去した。反応生成物を1H NMRで測定したところ、[8]-、[9]-、[10]-、[11]-、[12]シクロパラフェニレンがそれぞれ0.7%, 3.0%, 7.3%, 9.8%, 3.7%生成していることがわかった。
【実施例】
【0116】
実施例4
【実施例】
【0117】
【化21】
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【実施例】
【0118】
化合物1 (9,9-dimethyl-9H-fluorene-2,7-diyl)bis(trimethylstannane) (104 mg, 0.2 mmol) と[(nbd)Pt(4,4’-biphenyl)]4 (72 mg, 0.2 mmol)を窒素気流下でTHF 150 mLに溶解し、66 oCで43時間加熱した。溶媒を減圧下で柳虚した後、固体を酢酸エチルで洗浄することで淡オレンジ色をした固体を得た(100 mg)。この固体とdppf (231 mg, 0.42 mmol) を窒素気流下で67 mL の塩化メチレンに縣濁し、室温で12時間攪拌した。溶媒を減圧下で留去した後、固体を酢酸エチルで洗浄することで淡オレンジ色をした固体を得た(44.2 mg)。この固体を窒素気流下で25 mLのトルエンに縣濁した後、室温で臭素 (6.8 μL, 0.13 mmol) を加えた。反応溶液を95 oCで21時間加熱した後、溶媒を減圧下で留去した。素生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(移動相は塩化メチレン/ヘキサン= 1/1の溶液)で精製した後、さらに分取ゲルろ過クロマトグラフィー(GPC, 移動相はクロロホルム)で精製することで化合物2を11%の収率で得た(0.85 mg)。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) 1.17 (s, 12H), 6.89 (s, 8 H), 7.52 (d, 8 H), 7.58 (d, 8 H); 13C NMR (100 MHz, CDCl3) 23.9, 31.7 122.2, 123.9, 126.6, 138.3, 139.7 157.2; MS (MALDI-TOF) m/z calcd for C60H48(M)+ 768.376, found 768.366.
【実施例】
【0119】
リファレンス
[1] M. D. Curtis, A. L. Allred, J. Am. Chem. Soc. 1965, 87, 2554.
[2] D. C. Caskey, R. K. Shoemaker, J. Michl, Org. Lett. 2004, 6, 2093.
【産業上の利用可能性】
【0120】
化合物が蛍光を持つことから、有機EL、有機トランジスター、有機太陽電池材料などの有機エレクトロニクスデバイス開発に対して新しい骨格を提供するものである。また、カーボンナノチューブの利用が検討されている、光、電子材料などを初めとする様々なナノテク材料への応用も期待される。