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明細書 :ラムズデライト型結晶構造を有したナノメートルサイズの二酸化マンガンを合成する方法、二酸化マンガンを用いて水酸化物イオン起源のプロトン、電子および酸素を生成する方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5692821号 (P5692821)
登録日 平成27年2月13日(2015.2.13)
発行日 平成27年4月1日(2015.4.1)
発明の名称または考案の名称 ラムズデライト型結晶構造を有したナノメートルサイズの二酸化マンガンを合成する方法、二酸化マンガンを用いて水酸化物イオン起源のプロトン、電子および酸素を生成する方法
国際特許分類 C01G  45/02        (2006.01)
C01B  13/02        (2006.01)
FI C01G 45/02
C01B 13/02 B
請求項の数または発明の数 15
全頁数 17
出願番号 特願2012-507119 (P2012-507119)
出願日 平成23年3月25日(2011.3.25)
国際出願番号 PCT/JP2011/057471
国際公開番号 WO2011/118816
国際公開日 平成23年9月29日(2011.9.29)
優先権出願番号 2010073823
優先日 平成22年3月26日(2010.3.26)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成26年3月4日(2014.3.4)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504132272
【氏名又は名称】国立大学法人京都大学
発明者または考案者 【氏名】古屋仲 秀樹
【氏名】辻本 将彦
個別代理人の代理人 【識別番号】100093230、【弁理士】、【氏名又は名称】西澤 利夫
審査官 【審査官】壺内 信吾
参考文献・文献 特開2008-200609(JP,A)
特開2007-090342(JP,A)
特開2009-106924(JP,A)
特開2007-238424(JP,A)
特開2009-289616(JP,A)
米国特許第3533740(US,A)
辻本将彦ほか,R型二酸化マンガンによる水の酸化分解反応を用いた室温作動型燃料電池,第48回電池討論会講演要旨集,2007年11月13日,第596頁~第597頁
調査した分野 C01G25/00-47/00,49/10-99/00
C01B13/00-13/36
B01J21/00-38/74
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
特許請求の範囲 【請求項1】
2価のマンガンを含むマンガン化合物の水溶液にアルカリ試薬を添加して水酸化マンガンを析出させるステップ1と、前記水溶液の水温を室温に保ちながら過酸化水素水を添加して前記水酸化マンガンを酸化マンガンに変換するステップ2と、水が共存した状態で前記酸化マンガンに希酸を加えてラムズデライト型結晶構造を有したナノメートルサイズの二酸化マンガンを得るステップ3とから成る、一連の湿式多段酸化プロセスを特徴とする二酸化マンガンの合成方法。
【請求項2】
2価のマンガンを含むマンガン化合物が、塩化マンガンまたは硫酸マンガンであることを特徴とする請求項1に記載の二酸化マンガンの合成方法。
【請求項3】
請求項1または2のステップ3終了後、前記ナノメートルサイズの二酸化マンガンに、2価のマンガンを含むマンガン化合物の水溶液を添加して加温することを特徴とする二酸化マンガンの合成方法。
【請求項4】
2価のマンガンを含むマンガン化合物の水溶液の液性が、酸性であることを特徴とする請求項3に記載の二酸化マンガンの合成方法。
【請求項5】
2価のマンガンを含むマンガン化合物が、塩化マンガンまたは硫酸マンガンであることを特徴とする請求項3または4に記載の二酸化マンガンの合成方法。
【請求項8】
ラムズデライト型結晶構造を有したナノメートルサイズの二酸化マンガンに、2価のマンガンを含むマンガン化合物の水溶液を添加して加温することにより、前記二酸化マンガンを結晶成長させることを特徴とするラムズデライト型結晶構造を有した二酸化マンガンの結晶成長方法。
【請求項9】
2価のマンガンを含むマンガン化合物の水溶液の液性が、酸性であることを特徴とする請求項8に記載のラムズデライト型結晶構造を有した二酸化マンガンの結晶成長方法。
【請求項10】
2価のマンガンを含むマンガン化合物が、塩化マンガンまたは硫酸マンガンであることを特徴とする請求項8または9に記載のラムズデライト型結晶構造を有した二酸化マンガンの結晶成長方法。
【請求項11】
水中に含まれる水酸化物イオンからプロトンを生成する方法であって、以下のステップを含むことを特徴とする水酸化物イオン起源のプロトン生成方法。
(1)2価のマンガンを含むマンガン化合物の水溶液にアルカリ試薬を添加して水酸化マンガンを析出させるステップ、
(2)前記水溶液の水温を室温に保ちながら過酸化水素水を添加して前記水酸化マンガンを酸化マンガンに変換するステップ、
(3)水が共存した状態で前記酸化マンガンに希酸を加えてラムズデライト型結晶構造を有したナノメートルサイズの二酸化マンガンを得るステップ、
(4)前記二酸化マンガンを水中に配することにより、水中に含まれる水酸化物イオンからプロトンを生成するステップ。
【請求項12】
前記ステップ(4)の水のpHが4.5~10の範囲であることを特徴とする請求項11に記載の水酸化物イオン起源のプロトン生成方法。
【請求項13】
水中に含まれる水酸化物イオン起源の電子を二酸化マンガン表面にチャージさせる方法であって、以下のステップを含むことを特徴とする水酸化物イオン起源の電子のチャージ方法。
(1)2価のマンガンを含むマンガン化合物の水溶液にアルカリ試薬を添加して水酸化マンガンを析出させるステップ、
(2)前記水溶液の水温を室温に保ちながら過酸化水素水を添加して前記水酸化マンガンを酸化マンガンに変換するステップ、
(3)水が共存した状態で前記酸化マンガンに希酸を加えてラムズデライト型結晶構造を有したナノメートルサイズの二酸化マンガンを得るステップ、
(4)前記二酸化マンガンを水中に配することにより、水中に含まれる水酸化物イオン起源の電子を当該二酸化マンガン表面にチャージさせるステップ。
【請求項14】
前記ステップ(4)の水のpHが4.5~10の範囲であることを特徴とする請求項13に記載の水酸化物イオン起源の電子のチャージ方法。
【請求項15】
水中に含まれる水酸化物イオンから酸素ガスを生成する方法であって、以下のステップを含むことを特徴とする水酸化物イオン起源の酸素の生成方法。
(1)2価のマンガンを含むマンガン化合物の水溶液にアルカリ試薬を添加して水酸化マンガンを析出させるステップ、
(2)前記水溶液の水温を室温に保ちながら過酸化水素水を添加して前記水酸化マンガンを酸化マンガンに変換するステップ、
(3)水が共存した状態で前記酸化マンガンに希酸を加えてラムズデライト型結晶構造を有したナノメートルサイズの二酸化マンガンを得るステップ、
(4)前記二酸化マンガンを水中に配することにより、水中に含まれる水酸化物イオンから酸素ガスを生成するステップ。
【請求項16】
前記ステップ(4)の水のpHが4.5~10の範囲であることを特徴とする請求項15に記載の水酸化物イオン起源の酸素の生成方法。
【請求項17】
水溶液中の貴金属イオンを、二酸化マンガンの表面に金属として析出させて前記水溶液から貴金属イオンを回収する方法であって、以下のステップを含むことを特徴とする水中からの貴金属イオンの回収方法。
(1)2価のマンガンを含むマンガン化合物の水溶液にアルカリ試薬を添加して水酸化マンガンを析出させるステップ、
(2)前記水溶液の水温を室温に保ちながら過酸化水素水を添加して前記水酸化マンガンを酸化マンガンに変換するステップ、
(3)水が共存した状態で前記酸化マンガンに希酸を加えてラムズデライト型結晶構造を有したナノメートルサイズの二酸化マンガンを得るステップ、
(4)前記二酸化マンガンが添加された貴金属イオンを含む水溶液のpHを4.5~10に調整することにより、前記水溶液中の貴金属イオンを、前記二酸化マンガンの表面に金属として析出させて前記水溶液から貴金属イオンを回収するステップ。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、ラムズデライト型結晶構造を有した二酸化マンガンを合成する方法と、この二酸化マンガンを用いて水酸化物イオン起源のプロトン、電子および酸素を生成する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
二酸化マンガン(組成式MnO)にはアルファ、ベータ、イプシロン、ガンマ、デルタ、アール、およびラムダ型の結晶構造が存在し、それぞれの結晶構造に応じて物理的,化学的に異なった性質を有する。このうち、アール型はラムズデライト型結晶構造と呼ばれ、結晶構造学的にはオルソロンビック型の構造をもっている。このラムズデライト型結晶構造を有した二酸化マンガンは水中で金錯イオンやパラジウム錯イオンに対して吸着性を示すため、資源回収や触媒合成のために有効な機能性材料である。(例えば、特許文献1、2、および3参照)。
【先行技術文献】
【0003】

【特許文献1】特開2005-263615号公報
【特許文献2】特開2009-106924号公報
【特許文献3】特開2007-238424号公報
【0004】

【非特許文献1】Suetsugu,K,他, TOSOH Research & Technology Review49,21-27(2005).
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1および2におけるラムズデライト型結晶構造を有した二酸化マンガンの合成方法では、反応性の高いナノ粒子で得られているものの、炭酸マンガン粉末を焼成して酸処理する必要があるため、固体粉末と酸液体を扱う必要性があったために、ラムズデライト型結晶構造を有した二酸化マンガンの工業的な大量合成にはコスト的に問題があった。また、ラムズデライト型結晶構造を有した二酸化マンガンは水中で前記の様に金錯イオンやパラジウム錯イオンに対して吸着性を示す事が明らかにされているが、これらの機能性をもたらす基礎反応は明確ではなかった。
【0006】
また非特許文献1で報告している合成方法は、一般的な電解析出法を用いた方法であり、ラムズデライト型結晶構造を有した二酸化マンガンを高純度に合成するために17日間が必要であったり、上記の様に固体粉末と酸液体を扱う必要があったりした。これらはいずれもコスト的、製造効率的な問題を有する。
【0007】
そこで、本願発明は上記の従来技術における問題点に鑑み、ラムズデライト型結晶構造を有した二酸化マンガンを工業的に安価に大量合成することが可能な合成方法、この二酸化マンガンを用いて水中から金錯イオンやパラジウム錯イオンを吸着回収するための基礎反応である水酸化物イオン起源のプロトン、電子および酸素を生成する方法を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は以下のことを特徴としている。
【0009】
本発明の二酸化マンガンの合成方法は、2価のマンガンを含むマンガン化合物の水溶液にアルカリ試薬を添加して水酸化マンガンを析出させるステップ1と、前記水溶液の水温を室温に保ちながら過酸化水素水を添加して前記水酸化マンガンを酸化マンガンに変換するステップ2と、水が共存した状態で前記酸化マンガンに希酸を加えてラムズデライト型結晶構造を有したナノメートルサイズの二酸化マンガンを得るステップ3とから成る、一連の湿式多段酸化プロセスを特徴とする。
【0010】
この二酸化マンガンの合成方法において、2価のマンガンを含むマンガン化合物が、塩化マンガンまたは硫酸マンガンであることが好ましい。
【0011】
また本発明の二酸化マンガンの合成方法は、ステップ3終了後、ナノメートルサイズの二酸化マンガンに、2価のマンガンを含むマンガン化合物の水溶液を添加して加温することを特徴とする。
【0012】
この二酸化マンガンの合成方法においては、2価のマンガンを含むマンガン化合物の水溶液の液性が、酸性であることが好ましい。
【0013】
また、この二酸化マンガンの合成方法においては、2価のマンガンを含むマンガン化合物が、塩化マンガンまたは硫酸マンガンであることが好ましい。
【0014】
また、本発明の二酸化マンガンは、上記の合成方法によって合成された二酸化マンガンであって、ラムズデライト型結晶構造を有し、粒径1~15nmのナノ粒子であることを特徴とする。
【0015】
さらにまた、本発明の二酸化マンガンは、上記の合成方法によって合成された二酸化マンガンであって、ラムズデライト型結晶構造を有し、長さが150nm以上、太さが20nm以上の粒子である。
【0016】
本発明のラムズデライト型結晶構造を有した二酸化マンガンの結晶成長方法は、ラムズデライト型結晶構造を有したナノメートルサイズの二酸化マンガンに、2価のマンガンを含むマンガン化合物の水溶液を添加して加温することにより、前記二酸化マンガンを結晶成長させることを特徴とする。
【0017】
このラムズデライト型結晶構造を有した二酸化マンガンの結晶成長方法において、2価のマンガンを含むマンガン化合物の水溶液の液性が、酸性であることが好ましい。
【0018】
また、このラムズデライト型結晶構造を有した二酸化マンガンの結晶成長方法において、2価のマンガンを含むマンガン化合物が、塩化マンガンまたは硫酸マンガンであることが好ましい。
【0019】
本発明の水酸化物イオン起源のプロトン生成方法は、ラムズデライト型結晶構造を有したナノメートルサイズの二酸化マンガンを水中に配することにより、水中に含まれる水酸化物イオンからプロトンを生成することを特徴とする。
【0020】
この水酸化物イオン起源のプロトン生成方法において、水のpHが4.5~10の範囲であることが好ましい。
【0021】
本発明の水酸化物イオン起源の電子のチャージ方法は、ラムズデライト型結晶構造を有したナノメートルサイズの二酸化マンガンを水中に配することにより、水中に含まれる水酸化物イオン起源の電子を当該二酸化マンガン表面にチャージさせることを特徴とする。
【0022】
この水酸化物イオン起源の電子のチャージ方法においては、水のpHが4.5~10の範囲であることが好ましい。
【0023】
本発明の水酸化物イオン起源の酸素の生成方法は、ラムズデライト型結晶構造を有したナノメートルサイズの二酸化マンガンを水中に配することにより、水中に含まれる水酸化物イオンから酸素ガスを生成することを特徴とする。
【0024】
この水酸化物イオン起源の酸素の生成方法においては、水のpHが4.5~10の範囲であることが好ましい。
【0025】
また本発明の水中からの貴金属イオンの回収方法は、水溶液中の貴金属イオンを、ラムズデライト型結晶構造を有したナノメートルサイズの二酸化マンガンの表面に金属として析出させて前記水溶液から貴金属イオンを回収する方法であって、前記水溶液のpHを4.5~10に調整することにより前記貴金属イオンを前記二酸化マンガンの表面に析出させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、ラムズデライト型結晶構造を有したナノメートルサイズの二酸化マンガンを工業的に安価に大量合成することができる。また、同材料と水を接触させることで水酸化物イオンからプロトン、電子、および酸素を生成することができる。この場合、接触させる水のpHを制御することで同材料の機能性を最大限に活かすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】実施例1における合成ステップ2、3、および合成ステップ3終了後の結晶成長処理で得られた各サンプルA,B,Cに関するX線回折パターンである。
【図2】実施例1で得られたサンプルBの透過型電子顕微鏡写真である。
【図3】実施例1で得られたサンプルCの透過型電子顕微鏡写真である。
【図4】実施例1における合成ステップ2において水温を25℃以下に制御した場合(下)と25℃以下に制御しなかった場合(上)に得られたサンプルのX線回折パターン
【図5】実施例1における合成ステップ3終了後の結晶成長処理において90℃での加熱時間を4時間から40時間まで変化させた場合に得られたサンプルのX線回折パターンである。
【図6】実施例1において、原材料として塩化マンガンを用い、かつ合成ステップ3および結晶成長処理において水、または希塩酸を用いた場合に得られたサンプルのX線回折パターンである。
【図7】実施例2において、原材料として硫酸マンガンを用い、かつ合成ステップ3および結晶成長処理において水、または希硫酸を用いた場合に得られたサンプルのX線回折パターンである。
【図8】実施例3におけるR型二酸化マンガンの界面電位特性である。
【図9】(a)は金属パラジウムを表面に析出したR型二酸化マンガンの透過型電子顕微鏡写真であり、(b)は、金属パラジウムが金属状態であることを示す結合エネルギーの測定結果である。
【図10】実施例3におけるX線吸収端分析によるマンガンの価数変化である。
【図11】実施例3におけるR型二酸化マンガンを懸濁させた同位体水H18Oからの182の発生とその濃度変化である。
【図12】実施例3におけるR型二酸化マンガンを懸濁させた水のpH変化である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下に、ラムズデライト型結晶構造を有した二酸化マンガンを合成する本発明の実施形態について説明する。

【0029】
ラムズデライト型結晶構造を有した二酸化マンガン(以下、R型二酸化マンガンともいう)は、次の工程に従って合成される。まず、塩化マンガンや硫酸マンガンなどの水溶性の高い2価のマンガンを含むマンガン化合物の水溶液を調製し、この水溶液に水酸化ナトリウムなどのアルカリ試薬を加えてマンガンイオンを水酸化マンガンMn(OH)に変換する。これをステップ1とする。なお、2価のマンガンを含むマンガン化合物の水溶液は、例えば、マンガンイオン濃度が0.05~1.0wt%、好ましくは0.08~0.2wt%の水溶液が用いられる。

【0030】
次に、ステップ2として、アルカリ試薬を添加した2価のマンガン化合物の水溶液に過酸化水素水を加えて、水酸化マンガンを、マンガンの価数が2.67の酸化マンガンMnに変換する。ステップ2においては、過酸化水素水を加えた後の水溶液の水温を室温に保つことが最終的にR型二酸化マンガンを得るために重要である。ここで室温とは、本発明においては40℃以下の温度であり、下限値は2℃である。好ましい水温としては、2℃~25℃、特に5℃~20℃である。

【0031】
最後にステップ3として、水が共存した状態の酸化マンガンMnに希酸(希酸とは、塩酸、硫酸、硝酸などの酸の低濃度水溶液であり、例えば、濃度0.1M~1Mの酸水溶液である。)を加えて室温下で攪拌処理することによってラムズデライト型結晶構造を有したナノメートルサイズの二酸化マンガンを合成する。ここで、ナノメートルサイズの二酸化マンガンとは二酸化マンガンのナノ粒子のことである。ナノ粒子とは大きさが10-9~10-7メートルの粒子であり、例えば、粒径1~100nmの粒子を指す。本合成方法によれば、粒径の小さな二酸化マンガン粒子を合成することが可能であり、例えば粒径1~30nmの二酸化マンガン粒子、特に粒径1~15nmの二酸化マンガン粒子を合成することができる。合成した二酸化マンガンについては、純水などで洗浄して酸を洗い流すことが考慮される。この洗浄処理によって二酸化マンガンの結晶成長を抑えることができる。

【0032】
ステップ3において、水が共存した状態のMnとは、例えば、ステップ2において過酸化水素水を加えて水酸化マンガンを酸化マンガンに変換した後の、酸化マンガンを含む水溶液、または、この酸化マンガンを含む水溶液から乾燥処理を施さずに酸化マンガンを分離回収した、ウェットペースト状の酸化マンガンMnなどである。

【0033】
以上の合成方法は、ラムズデライト型結晶構造を有する二酸化マンガンを、常に水を共存させた状態で合成する、いわゆる水溶液合成方法である。この水溶液合成方法は、その製造プロセスにおいて、二酸化マンガンの前駆体である酸化マンガンを乾燥処理して固体粉末にするなどの工程を経ることなく二酸化マンガンを合成することができる。また、従来の電解法(上記非特許文献1)に比較してマンガンイオンを含んだ廃液の発生を最小限にとどめることができる。このため、二酸化マンガンを工業的に安価に大量合成することができる。

【0034】
また、本合成方法においては、ステップ3終了後、ステップ3で得られたナノメートルサイズの二酸化マンガンに、2価のマンガンを含むマンガン化合物の水溶液を添加することで二酸化マンガンの結晶成長を促すことができる。以下、この処理を結晶成長処理ともいう。二酸化マンガンに接触させる2価のマンガンを含むマンガン化合物の水溶液は、上記ステップ1で説明した水溶液であり、2価のマンガンイオンを含む水溶液である。ここで、その水溶液のpHが、例えば、3未満、具体的にはpH1の様に強酸性である事が結晶成長を促す上で有効である。特に硫酸を用いた場合にはその効果が顕著である。

【0035】
結晶成長処理においては、二酸化マンガンに前記水溶液を添加した状態で前記水溶液を長時間(例えば、100時間を超える時間)加熱すると、R型結晶構造以外の結晶構造の酸化マンガンの混晶が結晶成長物に生じる場合がある。このため、R型二酸化マンガンの結晶成長を促すための加熱時間としては、100時間以下、なかでも10~80時間、特に60時間程度とすることが好ましい。前記水溶液の加熱温度は、例えば、50℃以上、好ましくは80℃以上、より好ましくは90℃以上である。このような結晶成長処理により、ステップ3で得られた二酸化マンガンを、長軸方向の長さ150nm以上、太さ20nm以上に成長させることができる。例えば長軸方向の長さの最大値が300nm程度、太さの最大値が30nm程度の二酸化マンガンを得ることができる。

【0036】
本実施形態におけるR型二酸化マンガンの結晶構造とサイズは、例えば、一般的な実験室用X線回折分析装置でX線回折パターンを分析することにより、また透過型電子顕微鏡写真から確認できる。また、各合成ステップにおけるマンガンの価数の測定に関しては、X線吸収端分析装置で吸収端を分析することで確認できる。

【0037】
さらに、本発明者は、ラムズデライト型結晶構造を有したナノメートルサイズの二酸化マンガンと水中の水酸化物イオンOH-とを反応させて、プロトンH、電子e-および酸素ガスOを生成させることを見出した。これは、下記反応式(1)によるものである。

【0038】
【化1】
JP0005692821B2_000002t.gif

【0039】
式中の下付文字(surface)は、ラムズデライト型結晶構造を有したナノメートルサイズの二酸化マンガンの表面の化学組成を表す。

【0040】
ラムズデライト型結晶構造を有したナノメートルサイズの二酸化マンガンMn(IV)Oの表面において水中の水酸化物イオンOH-が反応・分解され、これによって生じたプロトンHが二酸化マンガンMn(IV)Oの表面に吸着する。そして2つの電子e-の内、ひとつは二酸化マンガンを構成する表面のマンガン原子に受け取られてマンガンの価数を3価にし、もう一つの電子が二酸化マンガンの表面において界面電位を負に帯電させることで、(Mn(III)OOH)(surface)が構成される。またこの反応に伴って酸素ガスが放出される。反応式(1)の反応を判りやすくするために、反応式(1)の両辺からマンガン酸化物を消去すると、下記反応式(2)にしたがって水中の水酸化物イオンからプロトンH、電子e-、および酸素Oが生成される。

【0041】
【化2】
JP0005692821B2_000003t.gif

【0042】
一般に、水中の水酸化物イオンは弱酸性からアルカリ性にかけてのpH領域で濃度が高く溶存する。ラムズデライト型結晶構造を有したナノメートルサイズの二酸化マンガンを利用して水中の金などの貴金属イオンをその表面に析出回収したり、パラジウム錯イオンをその表面に吸着回収したりするなどの機能性を発揮させる際には、反応式(1)および(2)が活発に生じる弱酸性からアルカリ性にかけてのpH領域に水のpHを制御すると原理的に効果的である。このようなpH領域としては、例えば、pH4.5~10、好ましくはpH4.8~9とすることができる。pH10を超える場合には二酸化マンガン自体が溶解しはじめるため、pH10を超えるアルカリ性の水溶液への適用は好ましくない。

【0043】
以下に実施例を示し、さらに詳しく説明する。もちろん以下の例によって本願発明が限定されることはない。
【実施例】
【0044】
<実施例1>原料に塩化マンガンを用いた水溶液合成法によるR型二酸化マンガンナノ粒子の合成方法
原料に塩化マンガンを用いて、以下に記述した3つのステップを通じてR型二酸化マンガンナノ粒子を水溶液法によって合成した。原料である塩化マンガンMnCl・4HO(和光純薬製試薬特級99%)26.7gをビーカー中のイオン交換純水225mLに溶解させた。
【実施例】
【0045】
ステップ1として、この塩化マンガンを溶解した水(pH4.6)に水酸化ナトリウムNaOH(和光純薬製試薬特級99%)10.8gを溶解させたイオン交換純水90mLを加えてマグネチックスタラーで撹拌した。塩化マンガンはこの水酸化ナトリウムの添加によって直ちに乳白色の化合物(水酸化マンガンMn(OH))に変化した。その際のpHは約12であった。
【実施例】
【0046】
これにステップ2として、過酸化水素水(和光純薬製30%)54mLを徐々に滴下し、撹拌を続けると、乳白色の化合物が茶褐色の化合物に変化した。その際、反応容器であるビーカーの周りを氷水で冷やすことによって、過酸化水素水の添加による発熱を抑え、茶褐色の化合物を含んだ反応液の水温を25℃以下に保った。最終的な反応液のpHは約7.5であった。これらの操作の後、反応液中の茶褐色の化合物を0.2マイクロ・メッシュのガラスろ紙(アドバンテック(株)GS-25)と減圧ろ過器を使ってガラスろ紙上に茶褐色の化合物を回収した。ろ紙上に回収された化合物を500mLのイオン交換純水に懸濁させて1時間、テフロン(登録商標)製のマグネチックスタラーで攪拌することで洗浄してサンプルAを得た。
【実施例】
【0047】
次にステップ3として、サンプルAを濃度0.5Mの希塩酸1Lに懸濁させて8時間攪拌した後、ろ過回収し、イオン交換純水500mL中で1時間洗浄したものがサンプルBである。
【実施例】
【0048】
さらにステップ3終了後、結晶成長処理として、濃度0.5Mの希塩酸500mLに塩化マンガン18gを溶解させた溶液100mLにこのサンプルBを適量懸濁させて、容量100mLの有栓三角フラスコに密閉して90℃に12時間保った。その後、三角フラスコを室温まで自然冷却し、サンプルBをろ過回収し、1Lのイオン交換純水中で1時間攪拌洗浄した後、大気圧下110℃で12時間乾燥することでサンプルCを得た。サンプルBの粒径は10nm程度であり、サンプルCの粒子は長さ150nm以上、太さ20nm以上であった。
【実施例】
【0049】
図1に粉末X線回折分析装置(リガク製RINT-2000、CuKα)を用いてその結晶構造を分析した結果を載せた。その結果、ステップ2で得られたサンプルAは酸化マンガンMnであることが確認できた。ステップ3で得られたサンプルBのパターンは各ピークがブロードであり結晶構造の同定は困難であったが、原子対相関関数(Atomic Pair Distribution Function)法を用いた解析結果(S. Iikubo, H. Koyanaka, S. Shamoto, K. Takeuchi, S. Kohara, K. Kodama, C-K. Loong Local crystal structure of nano-manganese-oxide gold adsorbent, J. Physics and Chemistry of Solids, Vol. 71, pp. 1603-1608 (2010))から、サンプルBがラムズデライト型の結晶構造を有した二酸化マンガンであることが確認できた。
【実施例】
【0050】
つぎに、ステップ3の終了後、希塩酸中で90℃に保つことで得られたサンプルCのパターンが図1の横軸上に示したR型の結晶構造ピークと一致したことから、本水溶液合成法によってラムズデライト型の結晶構造を有した二酸化マンガンが得られていることを証明できた。
【実施例】
【0051】
また、図2にサンプルBの透過型電子顕微鏡写真を示し、図3にサンプルCの透過型電子顕微鏡写真を示した。図2からサンプルBの粒径が10nm程度であることが確認でき、図3からサンプルCの粒子は長さ150nm以上、太さ20nm以上であることが確認できる。
【実施例】
【0052】
上記のステップ2において、水温を25℃以下に制御せずに30℃以上で合成を続けた場合、図4中の上部のパターンに示すように、*マークで示した別種の酸化マンガンMnの混在を示すピークがMnのピークに混じって現れた。水温を25℃以下に制御した場合(図4中の下部のパターン)にはMnのピークだけが観察され、次のステップ3で得られるラムズデライト型二酸化マンガンの純度に対して悪影響を及ぼさない。
【実施例】
【0053】
また、図5には、合成ステップ3の終了後の結晶成長処理において、加熱時間が最終的に得られるラムズデライト型二酸化マンガンの結晶成長と純度に与える影響を示した。同図は、上記した結晶成長処理において希塩酸を90℃に12時間保つ代わりに、希塩酸を90℃に4時間、16時間、24時間、40時間加熱して得られたX線回折パターンである。加熱時間が長くなるに従って結晶成長する。16時間、24時間、40時間加熱した場合、図1のサンプルCと比較して若干の結晶成長をしていることが、X線回折パターンの各ピーク強度とピークのシャープさなどから見て取れた。ただし、図6に示すように、結晶成長処理において希塩酸を使って130時間90℃で加熱した場合(図中、最上部のパターン)には24°から31°の間にラムズデライト型には存在しないピークがみられた。このように100時間を超える時間の加熱処理は最終的に得られるラムズデライト型二酸化マンガンの純度に対して悪影響を及ぼすことが判った。なお、図6には、結晶成長処理において希塩酸を使って64時間90℃で加熱した場合、水を用いて130時間および64時間90℃で加熱した場合のX線回折パターンについても示した。図5および図6の結果から、本条件下では結晶成長を促すための最適な加熱時間は100時間未満である。
<実施例2>原料に硫酸マンガンを用いた水溶液合成法によるR型二酸化マンガンのナノ粒子の合成方法
実施例1の実験において、原料として塩化マンガンの代わりに硫酸マンガンMnSO・5HO(和光純薬製試薬特級99%)32.51gをビーカー中のイオン交換純水225mLに溶解させた。その後、各ステップにおける処理および試薬の添加量は実施例1と同様とした。ただし、ステップ3における酸処理時には濃度0.25Mの希硫酸を用いた。最後に、ステップ3終了後に得られた化合物を濾過回収し、有栓メスフラスコ3つに1.6gずつとり、マンガンイオン濃度0.1wt%で硫酸マンガンを溶解させたイオン交換純水100mLに懸濁させ、その状態を90℃、48時間保つことで結晶成長を促進させた。その際、各有栓メスフラスコの懸濁液のpHをそれぞれ5.2、3、および1に調整した。この調整には硫酸を用いた。その後、室温まで自然冷却し、次いで、化合物を濾過回収してX線回折パターンを計測した。図7にその結果を示した。
【実施例】
【0054】
図7から、pHを1に調整して得られた化合物は、pH5.2や3に調整して得られた化合物と比較して回折角が24°~32°付近にかけてR型以外の他の結晶構造の混晶によるものと考えられるブロードなピークが発生しないことを確認した。このことから、ラムズデライト型二酸化マンガンの結晶成長は硫酸を用いた場合にはpH1の様な強酸性のマンガンイオン水溶液中で加熱することが有効である事が判った。
【実施例】
【0055】
なお、本実施例でpHを1に調整して得られた化合物の粒径は1~30nmであった。
<実施例3>ラムズデライト型二酸化マンガンのナノ粒子が有する水との反応性、および機能性発現のための最適条件の確認
図8にラムズデライト型二酸化マンガンナノ粒子のpHの変化に対する界面電位(ゼータ電位)変化を顕微鏡電気泳動法で計測した結果を載せた。実験では、10-3mol・L-1のKNO溶液中でラムズデライト型二酸化マンガンナノ粒子を2分間超音波分散させ、5分間静置後に上水の懸濁液を採取し、さらに10-3mol・L-1のKNO溶液で希釈して実験溶液とした。pHの調整には塩酸および水酸化ナトリウム水溶液を用いた。
【実施例】
【0056】
図8からpH4.8以上のpH領域ではラムズデライト型二酸化マンガンナノ粒子の表面はマイナスに帯電する性質を有していることが判った。これは、ラムズデライト型二酸化マンガンのナノ粒子の表面における上記の水酸化物イオンを分解してプロトンと電子および酸素ガスをつくる触媒反応がpH4.8以上の領域で活発になって水中のOH濃度の増加に伴って負の電子チャージが増加する。結果として、アルカリ性の水中に浸されたラムズデライト型二酸化マンガンナノ粒子の表面の界面電位のマイナスにチャージが増加して行くことを示していると考えられる。
【実施例】
【0057】
図9(a)には、pHを6に保った水酸化パラジウム水溶液(パラジウム濃度2000ppm)200mL中にラムズデライト型二酸化マンガンのナノ粒子を添加することによって、前記ナノ粒子の表面に水酸化パラジウムが金属パラジウムとして析出した状態の透過型電子顕微鏡写真を載せた。析出したパラジウムが水酸化パラジウムの2価ではなく、金属パラジウムの0価であることはX線光電子分光法で確認した。金属パラジウムとして計測された結合エネルギーの測定結果を図9(b)に示した。
【実施例】
【0058】
図10にはX線吸収端分析法によって、実験で使用したラムズデライト型二酸化マンガンナノ粒子のマンガンの価数変化を示した。図中、(a)群の中でpH6のイオン交換純水中に2日間浸されていたラムズデライト型二酸化マンガンのナノ粒子(RMO)には3価のマンガンが含まれていることを示す1eV程度の吸収端のシフトが観察された。これはマンガン3価の標準物質として計測した酸化マンガンであるMn側にシフトしていることからいえる。しかしながら、pH3のイオン交換純水中に2日間浸されていたラムズデライト型二酸化マンガンのナノ粒子には3価のマンガンが検出されず、マンガン4価の標準物質として計測した乾燥したラムズデライト型二酸化マンガンナノ粒子と同様な吸収端を示しており、pH3の水との接触ではマンガンの価数変化を引き起こす電子の発生は検出されていない。したがって、同結果は、上記化学式(1)に示した機能性を発現するための反応はpH4.8以上で生じることを裏付けている。
【実施例】
【0059】
また、(b)群の中では、図9(a)に示したパラジウム金属を析出した後のラムズデライト型二酸化マンガンのナノ粒子のマンガンは4価であり、水酸化パラジウム中のパラジウムイオンPd2+を還元するために電子を放出した結果、4価に戻っていることが判った。その際、水酸化パラジウム水溶液で湿潤している状態(図中▽のプロット)でもマンガンの価数は乾燥したラムズデライト型二酸化マンガンのナノ粒子と一致する4価の吸収端を示している。したがって、パラジウムイオンが金属へ還元・析出した反応が、ラムズデライト型二酸化マンガンのナノ粒子を添加した水酸化パラジウム水溶液中で生じたことを示しており、パラジウム水溶液に浸したラムズデライト型二酸化マンガンのナノ粒子の表面に付着したパラジウムイオンが単に乾燥処理の効果によって還元・析出したものではないことを示している。さらに、この様なパラジウムの金属析出は暗所におかれた実験系でも生じる事から、ラムズデライト型二酸化マンガンのナノ粒子の光触媒効果は関与していないことも判った。
【実施例】
【0060】
pHを4.8以上9以下に保持した塩化金水溶液中にラムズデライト型二酸化マンガンのナノ粒子を添加した場合でも、同様な析出性が確認された。
【実施例】
【0061】
また、図11には、アルミホイルで遮光した密閉容器中で、1mLの同位体水H18O(ケンブリッジ・アイソトープ製99.7%)中に0.05gの乾燥したラムズデライト型二酸化マンガンナノ粒子を懸濁させた際に、同位体水の水酸化物イオン起源の酸素ガスである18が検出され、時間の経過と共にその濃度が増加して行く様子を示した。測定には、ガスクロマトグラフ質量分析装置を用いた。また、実験に用いた同位体水同位体水H18Oは希塩酸の添加によって初期pHを3に調整した。この初期pHは乾燥したラムズデライト型二酸化マンガンナノ粒子を懸濁させた直後にpH6に上昇し、実験終了時の215時間経過時までpH6を維持した。また、1mLの同位体水H18Oは、密閉して実験を開始する前にヘリウムガスHe(99.99%)を3分間バブリングして、同位体水中に溶存する可能性のある18をパージ除去した。図11の全てのプロットデータからは空気中に含まれるアルゴンの同位体36Arが実験時に密閉容器中にリークしている可能性を除去するため、密閉容器中の40Arの濃度を同時に計測する事で天然の同位体比から36Arのリーク量を求め、図中全ての18の計測値から予め36Arの濃度を差し引いた。これは計測にガスクロマトグラフ質量分析装置を用いているため18と同じ質量数を有する36Arが誤差となるためである。
【実施例】
【0062】
図12にはラムズデライト型二酸化マンガンのナノ粒子0.2gを90mLのイオン交換純水に懸濁させた際に、初期のpHに応じて懸濁後のpH変化が異なる様子を示した。ただし、初期pHが1の場合には、pHの変化を明確にするためにラムズデライト型二酸化マンガンナノ粒子2gを90mLのイオン交換純水に懸濁させた。図では、酸性の水中ではラムズデライト型二酸化マンガンナノ粒子表面に水中のプロトンHが吸着してpHが上昇した結果、図8の界面電位の測定結果が示すようにラムズデライト型二酸化マンガンのナノ粒子の表面が正に帯電し、アルカリ性の水中ではOHが分解されて負に帯電しpHは低下することを示している。
【実施例】
【0063】
以上の図8から図12において示した結果は、全て上記の反応式(1)および(2)を支持するものであり、例えば図8に示したパラジウムの析出反応は以下の反応式の様に合理的に説明できる。
【実施例】
【0064】
【化3】
JP0005692821B2_000004t.gif
【実施例】
【0065】
式中の下付文字(surface)は、ラムズデライト型結晶構造を有したナノサイズの二酸化マンガンの表面の化学組成を表す。
これらの反応に関するギブスの自由エネルギーはΔG=-38.64KJmol-1と計算されるため、この反応はラムズデライト型二酸化マンガンのナノ粒子を触媒として進行すると言える。
図面
【図1】
0
【図4】
1
【図5】
2
【図6】
3
【図7】
4
【図8】
5
【図10】
6
【図11】
7
【図12】
8
【図2】
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【図3】
10
【図9】
11