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明細書 :フッ素不溶化剤、含有フッ素の溶出を低減させた石膏及びフッ素汚染土壌の処理方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5582356号 (P5582356)
登録日 平成26年7月25日(2014.7.25)
発行日 平成26年9月3日(2014.9.3)
発明の名称または考案の名称 フッ素不溶化剤、含有フッ素の溶出を低減させた石膏及びフッ素汚染土壌の処理方法
国際特許分類 B09C   1/02        (2006.01)
B09C   1/08        (2006.01)
C09K   3/00        (2006.01)
C09K  17/06        (2006.01)
C01F  11/46        (2006.01)
FI B09B 3/00 304K
C09K 3/00 ZABS
C09K 17/06 Z
C01F 11/46 Z
請求項の数または発明の数 6
全頁数 11
出願番号 特願2010-532747 (P2010-532747)
出願日 平成20年10月10日(2008.10.10)
国際出願番号 PCT/JP2008/068441
国際公開番号 WO2010/041330
国際公開日 平成22年4月15日(2010.4.15)
審査請求日 平成23年10月4日(2011.10.4)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504237050
【氏名又は名称】独立行政法人国立高等専門学校機構
【識別番号】000199245
【氏名又は名称】チヨダウーテ株式会社
発明者または考案者 【氏名】袋布 昌幹
【氏名】丁子 哲治
【氏名】藤田 巧
【氏名】中野 宏一
【氏名】森岡 一郎
【氏名】森 克巳
【氏名】日和佐 雅哉
【氏名】前田 誠
【氏名】竹中 一将
個別代理人の代理人 【識別番号】100081798、【弁理士】、【氏名又は名称】入山 宏正
審査官 【審査官】岡田 三恵
参考文献・文献 特開2007-216156(JP,A)
特開2007-106622(JP,A)
特開平07-118005(JP,A)
袋布 昌幹,リン酸水素カルシウム二水和物(DCPD)と水溶液中フッ化物イオンの反応と応用,長岡技術科学大学 学位論文,日本,2005年 3月,30~40
調査した分野 B09C 1/02
B09C 1/08
特許請求の範囲 【請求項1】
リン酸水素カルシウム二水和物を、水/リン酸水素カルシウム二水和物の質量比が35~100となる50~80℃の水中で1~60分活性化して成ることを特徴とするフッ素不溶化剤。
【請求項2】
水中で活性化したものを、更に脱水し、乾燥した請求項1記載のフッ素不溶化剤。
【請求項3】
フッ素を含有する石膏に請求項1又は2記載のフッ素不溶化剤を添加して成ることを特徴とする含有フッ素の溶出を低減させた石膏。
【請求項4】
石膏100質量部当たりフッ素不溶化剤を0.5~5質量部の割合で添加した請求項記載の含有フッ素の溶出を低減させた石膏。
【請求項5】
フッ素汚染土壌に請求項1又は2記載のフッ素不溶化剤を添加することを特徴とするフッ素汚染土壌の処理方法。
【請求項6】
フッ素汚染土壌の乾燥物100質量部当たりフッ素不溶化剤を1~20質量部の割合で添加する請求項記載のフッ素汚染土壌の処理方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明はフッ素不溶化剤、これを用いて含有フッ素の溶出を低減させた石膏及びこれを用いるフッ素汚染土壌の処理方法に関する。例えば建築材料として用いた石膏ボードの廃材を埋立処分する場合、環境保全の観点から、かかる廃材からのフッ素の溶出量はできるだけ低いことが求められ、一つの目安として土壌環境基準の0.8mg/L以下であることが求められる。石膏ボードの主原料はいうまでもなく石膏であり、石膏には天然のものと人工的に製造又は副生したものとがあるが、程度の差はあるもののこれらの石膏中には、なかでもリン酸石膏のように人工的に副生した石膏中には、相応量のフッ素が含まれており、かかるフッ素が製品である石膏ボードに持ち込まれ、更にその廃材にも持ち込まれて、結果としてそのような廃材からのフッ素の溶出が問題となるのである。このような石膏による場合だけでなく、もともとフッ素は先端技術産業の分野で広く利用されており、それに伴って排水や土壌のフッ素汚染が深刻な問題となっている。前記した石膏ボードの廃材は我国において年間で既に150万トンを超える量になるといわれているが、かかる廃材を埋立処分する場合だけでなく、例えば土壌固化剤として利用する場合も、土壌のフッ素汚染が深刻な問題となる。本発明は、フッ素を効率的に不溶化することにより、フッ素を含有する石膏の廃材やフッ素で汚染された土壌等からのフッ素の溶出量を一つの目安として土壌環境基準の0.8mg/L以下にまで低減させることができるフッ素不溶化剤、これを用いて含有フッ素の溶出を低減させた石膏及びこれを用いるフッ素汚染土壌の処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、含有フッ素の溶出を低減させる石膏の処理方法として、フッ素を含有する石膏にアルミン酸ナトリウムのようなアルミニウム化合物を加える方法(例えば特許文献1参照)、フッ素を含有する石膏スラリーにアルカリを加えてpHを9以上に上げた後、酸を加えてpHを下げ幅1以上の6以上に調整し、必要に応じて第三リン酸カルシウムのようなリン酸カルシウムを加える方法(例えば特許文献2参照)、フッ素を含有する石膏にリン酸水素カルシウム二水和物を加える方法(例えば非特許文献1参照)等が知られている。しかし、特許文献1のようにアルミン酸ナトリウムのようなアルミニウム化合物を加える従来法には、加える薬剤の性質上、その取扱いが厄介という問題があり、また特許文献2のようにpHを一定の値や幅で上下させて調整する従来法には、工数が多く、操作が煩雑という問題があって、更に非特許文献1のように単にリン酸水素カルシウム二水和物を加えるだけの従来法には、所期の効果を発現させようとすると相応に多量のリン酸水素ナトリウム二水和物が必要となり、非経済的という問題がある。
【0003】
またフッ素で汚染された土壌からのフッ素の溶出量を低減させる方法として、リン酸水素カルシウム二水和物の粉状粒子を水に懸濁処理してその粒子表面を活性化したものをフッ素で汚染された土壌と混合する方法が知られている(例えば特許文献3参照)。この従来法には、前記した非特許文献1のようにリン酸水素カルシウム二水和物をそのまま用いるのではなく、リン酸水素カルシウム二水和物を水に懸濁処理してその表面を活性化した水懸濁物を用いるため、それだけ効率的にフッ素の溶出量を低減できるという利点がある。しかし、この従来法には、リン酸水素カルシウム二水和物の活性化の程度が不充分であるため、実際にフッ素で汚染された土壌からのフッ素の溶出量を0.8mg/L以下にまで低減させようとすると、依然として相応量のリン酸水素カルシウム二水和物が必要になり、また所要期間の養生も必要になるという問題がある。

【特許文献1】特開2001-253755号公報
【特許文献2】特開2003-206133号公報
【特許文献3】特開2007-216156号公報
【非特許文献1】ジャナル オブ ザ ヨーロピアン セラミック ソサエティ(Joural of the European Ceramic Society)26(2006)767-770
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、簡単な作業でより経済的に且つ効率的にフッ素を含有する石膏やフッ素で汚染された土壌等からのフッ素の溶出量を一つの目安として土壌環境基準の0.8mg/L以下にまで低減させることができるフッ素不溶化剤、これを用いて含有フッ素の溶出量を低減させた石膏、及びこれを用いるフッ素汚染土壌の処理方法を提供する処にある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記の課題を解決する本発明は、リン酸水素カルシウム二水和物を、水/リン酸水素カルシウム二水和物の質量比が35~100となる50~80℃の水中で1~60分活性化して成ることを特徴とするフッ素不溶化剤に係る。また本発明は、フッ素を含有する石膏にかかるフッ素不溶化剤を添加して成ることを特徴とする含有フッ素の溶出を低減させた石膏に係る。更に本発明は、フッ素汚染土壌にかかるフッ素不溶化剤を添加することを特徴とするフッ素汚染土壌の処理方法に係る。
【0006】
先ず、本発明に係るフッ素不溶化剤について説明する。本発明に係るフッ素不溶化剤は、リン酸水素カルシウム二水和物(CaHPO・2HO)を、水/リン酸水素カルシウム二水和物の質量比が35~100となる50~80℃の水中で1~60分活性化して成るものである。リン酸水素カルシウム二水和物がフッ素をフッ素アパタイトとして不溶化することは公知である。またリン酸水素カルシウム二水和物の粒子を水に懸濁処理すると、例えば水中で撹拌処理すると、その粒子表面に多数のナノメーター(nm)スケールの微細結晶が均一に析出した構造のものとなって活性化し、かくして活性化したものは、活性化していないものに比べれば、それだけ効率的にフッ素をフッ素アパタイトとして不溶化することも公知である。しかし、前記したように、リン酸水素カルシウム二水和物の粒子を単に水に懸濁処理するだけでは、その活性化の程度が著しく不充分である。
【0007】
本発明者らは、リン酸水素カルシウム二水和物を高度に活性化する手段について研究した結果、かかる活性化にはリン酸水素カルシウム二水和物を水中で処理するときの濃度、温度及び時間が大きな影響を及ぼし、詳しくは後述するが、リン酸水素カルシウム二水和物の粒子を、水/リン酸水素カルシウム二水和物の質量比が35~100となる50~80℃の水中で1~60分処理すると、その粒子表面が複雑にエッチングされた構造のものとなって、活性化の程度が急激に高くなることを見出した。
【0008】
したがって本発明では、リン酸水素カルシウム二水和物を、水/リン酸水素カルシウム二水和物の質量比が35~100となる50~80℃の水中で1~60分活性化したものをフッ素不溶化剤とする。リン酸水素カルシウム二水和物を水中で活性化するときの水/リン酸水素カルシウム二水和物の質量比、温度及び時間のなかでも温度が最も大きな影響を及ぼすので、ここでは温度から説明する。本発明では、リン酸水素カルシウム二水和物の粒子を、実際の操作面及び活性化面から、50~80℃の水中で活性化する。
【0009】
リン酸水素カルシウム二水和物の水中での活性化には、前記したように温度が最も大きな影響を及ぼすが、時間や濃度も相応に影響を及ぼす。本発明では、リン酸水素カルシウム二水和物を水中で活性化するときの時間を、実際の操作面及び活性化面から、1~60分とする。また濃度に関連する水/リン酸水素カルシウム二水和物の質量比を、実際の操作面及び活性化面から、35~100とする。具体的に水中での活性化は、リン酸水素カルシウム二水和物の粒子を水に浸した状態で保持するだけでもよいが、間欠的に又は連続して撹拌するのが好ましい。
【0010】
本発明では、以上のようにリン酸水素カルシウム二水和物を所定の条件下の水中で活性化したものをフッ素不溶化剤とするが、これを更に脱水し、乾燥したものをフッ素不溶化剤とするのが好ましい。この場合の脱水は、デカンテーション、濾過、遠心分離等、それ自体は公知の手段によることができ、また乾燥には、天日乾燥の他に、加熱源を用いた通風乾燥、減圧乾燥等、それ自体は公知の手段によることができる。所定の条件下の水中で活性化したものを、更に脱水し、乾燥したものは、活性化の程度に実質的な影響がなく、保管、運搬及び使用等の取扱いに便利なものとなる。
【0011】
次に、本発明に係る含有フッ素の溶出を低減させた石膏(以下、単に本発明の石膏ともいう)について説明する。本発明の石膏は、フッ素を含有する石膏に以上説明したような本発明に係るフッ素不溶化剤を添加して成るものである。ここで用いるフッ素を含有する石膏は、それがフッ素を含有するものであれば、その種類を特に制限されず、これには例えば、リン鉱石から湿式リン酸法によりリン酸を生成させる際の副産物として得られる石膏、石灰法により排煙脱硫する際の副産物として得られる石膏、これらの石膏を用いて製造した石膏ボードの廃材から得られる石膏等が挙げられる。
【0012】
フッ素を含有する石膏に本発明に係るフッ素不溶化剤を添加する方法それ自体は特に制限されない。双方を単にそのまま混合することもできるが、混合前に双方を粉粒状としておくことが好ましい。また双方の混合前、混合中又は混合後に必要に応じて適宜加水することができ、更には双方の混合後に必要に応じて適宜養生することもできる。フッ素を含有する石膏に対する本発明に係るフッ素不溶化剤の添加量は、フッ素を含有する石膏100質量部当たり、本発明に係るフッ素不溶化剤が通常0.5質量部以上の割合となるようにするが、0.5~5質量部の割合となるようにするのが好ましい。フッ素を含有する石膏100質量部当たり、本発明に係るフッ素不溶化剤の添加量を0.5質量部未満の割合となる量にすると、そのような条件下ではかかる石膏からのフッ素の溶出量を土壌環境基準の0.8mg/L以下にするのが実用上難しくなる傾向を示し、逆に本発明に係るフッ素不溶化剤の添加量を5質量部超の割合となる量にしても、効果の発現はそれ程には変わらない。本発明の石膏は、フッ素の溶出量を土壌環境基準の0.8mg/L以下にまで低減させた石膏であるため、そのまま埋立処分することもできるが、石膏ボード、プラスター、土壌固化材等の原料として再使用することができる。
【0013】
最後に、本発明に係るフッ素汚染土壌の処理方法(以下、単に本発明の処理方法という)について説明する。本発明の処理方法は、フッ素汚染土壌に前記したような本発明に係るフッ素不溶化剤を添加する方法である。フッ素汚染土壌に本発明に係るフッ素不溶化剤を添加する方法それ自体は特に制限されない。双方を単にそのまま混合することもできるが、双方の混合前、混合中又は混合後に必要に応じて適宜脱水又は加水して水分調整することができ、また双方の混合後に必要に応じて適宜養生することもできる。水分調整する場合には、双方の混合後の水分が5~20質量%となるようにするのが好ましい。
【0014】
フッ素汚染土壌に対する本発明に係るフッ素不溶化剤の添加量は、フッ素汚染土壌の乾燥物100質量部当たり、本発明に係るフッ素不溶化剤が通常1質量部以上の割合となるようにするが、1~20質量部の割合となるようにするのが好ましい。フッ素汚染土壌の乾燥物100質量部当たり、本発明に係るフッ素不溶化剤の添加量を1質量部未満の割合となる量にすると、そのような条件下ではかかるフッ素汚染土壌からのフッ素の溶出量を土壌環境基準の0.8mg/L以下にするのが実用上難しくなる傾向を示し、逆に本発明に係るフッ素不溶化剤の添加量を5質量部超の割合となる量にしても、効果の発現はそれ程には変わらない。
【発明の効果】
【0015】
本発明によると、簡単な作業でより経済的に且つ効率的に、フッ素を含有する石膏やフッ素で汚染された土壌等からのフッ素の溶出量を一応の目安として土壌環境基準の0.8mg/L以下にまで低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係るフッ素不溶化剤を得るために原料として用いたリン酸水素カルシウム二水和物の粒子表面を例示する5000倍の走査型電子顕微鏡写真。
【図2】本発明に係るフッ素不溶化剤の粒子表面を例示する5000倍の走査型電子顕微鏡写真。
【図3】本発明に係るフッ素不溶化剤を得るための活性化試験における温度がフッ素溶出量に与える影響を例示するグラフ。
【図4】本発明に係るフッ素不溶化剤を得るための活性化試験における時間がフッ素溶出量に与える影響を例示するグラフ。
【図5】本発明に係るフッ素不溶化剤を得るための活性化試験における水/リン酸水素カルシウム二水和物の質量比がフッ素溶出量に与える影響を例示するグラフ。
【図6】本発明の石膏において石膏100質量部当たりの本発明に係るフッ素不溶化剤の添加質量部が石膏からのフッ素溶出量に与える影響を例示するグラフ。
【図7】本発明の処理方法においてフッ素汚染土壌の乾燥物100質量部当たりの本発明に係るフッ素不溶化剤の添加質量部がフッ素汚染土壌からのフッ素溶出量に与える影響を例示するグラフ。

【実施例】
【0017】
試験区分1
リン酸水素カルシウム二水和物の粒子を、水/リン酸水素カルシウム二水和物の質量比が100となる温度25℃、30℃、35℃、40℃、45℃、50℃、60℃、70℃又は80℃の水中で1時間撹拌して粒子表面をエッチングした後、濾過により脱水し、60℃の温風により通風乾燥して、合計9区分の活性化した粒子すなわちフッ素不溶化剤を得た。図1は原料として用いたリン酸水素カルシウム二水和物の粒子表面を例示する5000倍の走査型電子顕微鏡写真、図2は50℃の水中で活性化したリン酸水素カルシウム二水和物の粒子表面を例示する5000倍の走査型電子顕微鏡写真である。前者の粒子表面が滑らかであるのに対し、後者の粒子表面は複雑にエッチングされている。
【0018】
フッ素を含有する石膏として、火力発電所から石灰法により排煙脱硫する際の副産物として排出される石膏を用い、この石膏50gに前記した合計9区分のフッ素不溶化剤0.25g及び純水500mlを加え、毎分200回で6時間振盪し、10分間静置した後、上澄液を0.45nmのメンブレンフィルターで濾過して溶出液を得、この溶出液中のフッ素濃度をイオン選択性電極で測定し、フッ素溶出量を求めた(定量下限は0.02mg/L)。結果を表1及び図3に示した。表1中のブランクは、フッ素不溶化剤を加えていない前記の石膏について求めたフッ素の溶出量である。表1及び図3からも明らかなように、フッ素の溶出量は、リン酸水素カルシウム二水和物の粒子を水中で活性化するときの温度が40℃まで急激に低くなり、50℃以上で殆ど変わらなくなっている。本発明において、実際の操作面及び活性化面から、かかる温度を、50~80℃とする所以である。
【0019】
【表1】
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【0020】
試験区分2
リン酸水素カルシウム二水和物の粒子を、水/リン酸水素カルシウム二水和物の質量比が100となる温度60℃の水中で0.25分、0.5分、1分、2.5分、5分、7.5分、10分又は60分撹拌して粒子表面をエッチングした後、濾過により脱水し、60℃の温風により通風乾燥して、合計7区分の活性化した粒子すなわちフッ素不溶化剤を得た。
【0021】
フッ素を含有する石膏として、火力発電所から石灰法により排煙脱硫する際の副産物として排出される石膏を用い、この石膏50gに前記した合計7区分のフッ素不溶化剤0.25g及び純水500mlを加え、以下試験区分1の場合と同様にして、フッ素溶出量を求めた(定量下限は0.02mg/L)。結果を表2及び図4に示した。表2中のブランクは、フッ素不溶化剤を加えていない前記の石膏について求めたフッ素の溶出量である。表2及び図4からも明らかなように、フッ素の溶出量は、リン酸水素カルシウム二水和物の粒子を水中で活性化するときの時間が0.5分まで急激に低くなり、1分以上で殆ど変わらなくなっている。本発明において、実際の操作面及び活性化面から、かかる時間を、1~60分とする所以である。
【0022】
【表2】
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【0023】
試験区分3
リン酸水素カルシウム二水和物の粒子を、水/リン酸水素カルシウム二水和物の質量比が5、10、15、25、35、50又は100となる温度60℃の水中で1時間撹拌して粒子表面をエッチングした後、濾過により脱水し、60℃の温風により通風乾燥して、合計7区分の活性化した粒子すなわちフッ素不溶化剤を得た。
【0024】
フッ素を含有する石膏として、火力発電所から石灰法により排煙脱硫する際の副産物として排出される石膏を用い、この石膏50gに前記した合計7区分のフッ素不溶化剤0.25g及び純水500mlを加え、以下試験区分1の場合と同様にして、フッ素溶出量を求めた(定量下限は0.02mg/L)。結果を表3及び図5に示した。表3中のブランクは、フッ素不溶化剤を加えていない前記の石膏について求めたフッ素の溶出量である。表3及び図5からも明らかなように、フッ素の溶出量は、リン酸水素カルシウム二水和物の粒子を水中で活性化するときの水/リン酸水素カルシウム二水和物の質量比が25まで急激に低くなり、35以上で殆ど変わらなくなっている。本発明において、実際の操作面及び活性化面から、かかる質量比を、35~100とする所以である。
【0025】
【表3】
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【0026】
試験区分4
リン酸水素カルシウム二水和物の粒子を、水/リン酸水素カルシウム二水和物の質量比が100となる温度60℃の水中で1時間撹拌して粒子表面をエッチングした後、濾過により脱水し、60℃の温風により通風乾燥して、フッ素不溶化剤を得た。
【0027】
フッ素を含有する石膏として、火力発電所から石灰法により排煙脱硫する際の副産物として排出される石膏を用い、この石膏50gに前記したフッ素不溶化剤を0.125g、0.25g、0.375g、0.5g、0.75g、1.0g、1.5g又は2.0g加え、更に純水500mlを加えて、以下試験区分1の場合と同様にしてフッ素溶出量を求めた(定量下限は0.02mg/L)。結果を表4及び図6に示した。表4中のブランクは、フッ素不溶化剤を加えていない前記の石膏について求めたフッ素の溶出量である。表4及び図6からも明らかなように、フッ素を含有する石膏からのフッ素の溶出量は、石膏100質量部当たりの本発明に係るフッ素不溶化剤の添加質量部が0.5まで急激に低くなっている。本発明において、実際の操作面及び効果面から、かかるフッ素不溶化剤の添加質量部を、通常は0.5以上とし、好ましくは0.5~5とする所以である。
【0028】
【表4】
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【0029】
試験区分5
リン酸水素カルシウム二水和物の粒子を、水/リン酸水素カルシウム二水和物の質量比が100となる温度60℃の水中で1時間撹拌して粒子表面をエッチングした後、濾過により脱水し、60℃の温風により通風乾燥して、フッ素不溶化剤を得た。
【0030】
フッ素汚染土壌として、石膏工場から採取したフッ素で汚染された土壌を用いた。この土壌を温度50℃で真空乾燥し、10mmの篩で篩分けした。篩を通過したフッ素汚染土壌の乾燥物50gに前記したフッ素不溶化剤を0.25g、0.5g、1.0g、1.5g、2.0g又は2.5g加え、更に純水500mlを加えて、毎分200回の振幅4~5cmで6時間振盪した後、No.5Cの濾紙で濾過し、0.45nmのメンブレンフィルターで濾過して、溶出液を得、この溶出液中のフッ素濃度をイオン選択性電極で測定し、フッ素溶出量を求めた(定量下限は0.02mg/L)。結果を表5及び図7に示した。表5中のブランクは、フッ素不溶化剤を加えていない前記のフッ素汚染土壌の乾燥物について求めたフッ素の溶出量である。表5及び図7からも明らかなように、フッ素汚染土壌からのフッ素の溶出量は、フッ素汚染土壌の乾燥物100質量部当たりの本発明に係るフッ素不溶化剤の添加質量部が1まで急激に低くなっている。本発明において、実際の操作面及び効果面から、かかるフッ素不溶化剤の添加質量部を、通常は1以上とし、好ましくは1~20とする所以である。





【0031】
【表5】
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図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6