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明細書 :コーンビームCT用ファントム

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2013-215248 (P2013-215248A)
公開日 平成25年10月24日(2013.10.24)
発明の名称または考案の名称 コーンビームCT用ファントム
国際特許分類 A61B   6/03        (2006.01)
FI A61B 6/03 F
A61B 6/03 320B
請求項の数または発明の数 4
出願形態 OL
全頁数 9
出願番号 特願2012-085995 (P2012-085995)
出願日 平成24年4月5日(2012.4.5)
発明者または考案者 【氏名】内藤 宗孝
【氏名】有地 榮一郎
出願人 【識別番号】500175325
【氏名又は名称】学校法人愛知学院
個別代理人の代理人 【識別番号】100118706、【弁理士】、【氏名又は名称】青山 陽
審査請求 未請求
テーマコード 4C093
Fターム 4C093AA22
4C093CA35
4C093EA02
4C093EB17
4C093GA02
要約 【課題】コーンビームCTの解像度をより正確に評価することのできるファントムを提供することを解決すべき課題としている。
【解決手段】柱1xと柱1zとが互いに直交してX軸及びZ軸の方向に等間隔で7本並んで格子面1を形成しており、格子面1の周縁は正方形の枠3に接続されている。柱の断面形状はすべて正方形とされている。また、格子面1と同形の格子面2がY軸方向に同じ格子間距離で格子面1と平行に対面している。さらに、柱1xと柱1zとの交点(すなわち格子点)からY軸方向に向かって柱1yが延在しており、柱1yの他端は格子面2に達している。こうして、柱1は互いに直交するX軸、Y軸及びZ軸方向に等間隔で並んで立方格子を形成している。
【選択図】図1
特許請求の範囲 【請求項1】
一定の断面形状を有する柱が、互いに直交するX軸、Y軸及びZ軸の各方向に等間隔で並んで立方格子を形成していることを特徴とするコーンビームCT用解像度評価ファントム。
【請求項2】
前記柱の断面形状は正方形であることを特徴とする請求項1に記載のコーンビームCT用解像度評価ファントム。
【請求項3】
前記柱の太さは0.01mm以上1mm以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載のコーンビームCT用解像度評価ファントム。
【請求項4】
隣接する前記柱間の距離は0.01mm以上1mm以下であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のコーンビームCT用解像度評価ファントム。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、コーンビームX線CT装置の解像度を評価するためのファントムに関する。
【背景技術】
【0002】
歯科において、歯根や顎部の骨の状況を知ることは、診断のために重要なことである。このため、従来、単純X線撮影やパノラマ撮影を行い、歯根などの状況を把握してから、治療が行われている。しかし、患部の状況をさらに詳しく知るためには単純X線撮影やパノラマ撮影では不十分であり、X線CT装置が用いられる(例えば特許文献1)。これによって、患部の立体的な形状を把握することが可能となる。
【0003】
X線CT装置の方式には、検体に対して帯状にX線ビームを照射するマルチスライスCTと、円錐状あるいは角錐状のX線ビームを照射するコーンビームCTとがある。コーンビームCTから得られるボクセル値は、マルチスライスCTから得られるCT値のような絶対値ではなく、相対値である。このため、例えばコーンビームCTで骨密度評価を行うには、海綿骨の骨梁構造を解析する骨形態計測法が応用されている。そして、海綿骨の骨梁構造を解析する骨形態計測法から得られる全組織中の骨組織割合(BV/TV値)は、マルチスライスCTのCT値と高い相関が認められている。小照射野領域でのコーンビームCTのボクセルサイズは約0.1 mm x 0.1 mm x 0.1 mmであり、マルチスライスCTと比較すると高い解像度を有している。
【0004】
従来、マルチスライスCTを用いた全身用CTの高コントラスト解像度は、アクリルレジンで作られた円板100に、様々な直径の貫通する円柱状の孔101a、101b、101c・・・・・を開けたファントムを用いて評価されている(図8参照)。円柱孔の直径は、最大3.0mmφから最少0.5mmφまで段階的に変えられており、CT像を撮った時に、どの位の直径の孔まで判別できるかによって、解像度を評価することができる。
【先行技術文献】
【0005】

【特許文献1】特開平6-277214号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記の円柱状の孔を持つファントムの形状では、奥行き方向(すなわち孔の深さ方向)についての解像度を評価することができないため、ボクセルが立方形態となるコーンビームCTの解像度を正確に評価することができなかった。
【0007】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであり、コーンビームCTの解像度をより正確に評価することのできるファントムを提供することを解決すべき課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、コーンビームCTにおいて、奥行き方向についても解像度を評価可能とすべく鋭意研究を行った結果、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明のコーンビームCT用解像度評価ファントムは、一定の断面形状を有する柱が、互いに直交するX軸、Y軸及びZ軸の各方向に等間隔で並んで立方格子を形成していることを特徴とする。
【0010】
本発明のファントムでは、一定の断面形状を有する柱(すなわち、軸方向と垂直に切った断面形状が、どこで切っても同じ形状を有する柱)がX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向に等間隔で並んで立方格子を形成するため(図1参照)、コーンビームX線が照射されると、三次元のそれぞれの方向に透過したX線像のプロファイルが形成される。このため、様々な柱の太さ及び様々な柱間の距離のファントムを用意しておき、どの程度の細かいパターンのファントムまで識別できるかを測定することにより、X軸方向、Y軸方向、及びZ軸方向のいずれの方向についても解像度を評価することができる。
【0011】
したがって、本発明のコーンビームCT用解像度評価ファントムによれば、コーンビームCTの解像度をより正確に評価することができる。
【0012】
前記柱の断面形状は正方形であることが好ましい。コーンビームCTでは、撮影領域の空間を細かく分割し、その各々の部分でのX線吸収の値(ボクセル値)をコンピュータにて計算している。その最小単位のボクセルの形状は立方形であるから、2次元平面で考える場合、どの平面に対しても正方形となるからである。
【0013】
また、柱の太さは0.01mm以上1mm以下であることが好ましい。ここで、柱の太さとは、径方向での最大径をいう(例えば、柱の断面形状が1辺ammの正方形であればa×(2の平方根)mm)。コーンビームCTのボクセルサイズは0.1mm×0.1mm×0.1mm程度であるため、これを評価するためには、柱の太さは0.01mm未満は必要ないし、製造も困難となるからである。一方、柱の太さが1mmを超えるものとすると、コーンビームCTのボクセルサイズを大幅に超えることとなり、それ以上の太さの柱で形成されたファントムによる評価は不要となるからである。さらに好ましいのは0.1mm以上0.7mmであり最も好ましいのは0.1mm以上0.5mm以下である
【0014】
さらに、隣接する前記柱間の距離は0.01mm以上1mm以下であることが好ましい。ここで柱間の距離とは、隣接する2本の柱の内側どうしの距離をいう。コーンビームCTのボクセルサイズは0.1mm×0.1mm×0.1mm程度であるため、柱間の距離は0.01mm未満は必要ないし、製造も困難となるからである。一方、柱間の距離が1mmを超えるものとすると、コーンビームCTのボクセルサイズを大幅に超えることとなり、それ以上の柱間の距離で形成されたファントムによる評価は不要となるからである。さらに好ましいのは0.1mm以上0.8mm以下である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明のコーンビームCT用解像度評価ファントムの模式斜視図である。
【図2】実施例1のファントムの平面写真である。
【図3】実施例1のファントムの拡大平面図である。
【図4】実施例1のファントムの拡大側面図である。
【図5】実施例1~4のファントムの斜視写真である。
【図6】実施例4のファントムにおけるCT画像である。
【図7】実施例4のファントムにおけるXZ面のCT像(上側)及びX軸およびZ軸に平行にボクセル値をプロットし、波形を分析したグラフ(下側)である。
【図8】マルチスライスCTで用いられている従来の分解能評価ファントムの模式斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を具体化した実施例を、図面を参照しつつ説明する。
(実施例1)
実施例1では、歯科用コーンビームCT解像度評価用のファントムを作製した(図2参照)。このファントムは、図3及び図4に示すように、柱1xと柱1zとが互いに直交してX軸及びZ軸の方向に等間隔で7本並んで格子面1を形成しており、格子面1の周縁は正方形の枠3に接続されている。また、図4に示すように、格子面1と同形の格子面2がY軸方向に同じ格子間距離で格子面1と平行に対面している。さらに、柱1xと柱1zとの交点(すなわち格子点)からY軸方向に向かって柱1yが延在しており、柱1yの他端は格子面2の格子点に接続されている。こうして、柱1は互いに直交するX軸、Y軸及びZ軸方向に等間隔で並んで図1に示すような立方格子を形成している。柱1の断面形状は正方形とされており、柱の太さは0.1mmであり、柱間の距離は0.6mmである。

【0017】
(実施例2)
実施例2では、柱の太さを0.2mmとした。その他については実施例1と同様であり、説明を省略する。

【0018】
(実施例3)
実施例3では、柱の太さを0.3mmとした。その他については実施例1と同様であり、説明を省略する。

【0019】
(実施例4)
実施例4では、柱の太さを0.4mmとした。その他については実施例1と同様であり、説明を省略する。

【0020】
上記実施例1~4のファンムは、レーザ光を光硬化性樹脂に照射して立体モデルを作製するというマイクロ光造形技術を用いることにより、金型を用いることなく作製した。これらの写真を図5に示す。図5中Aが実施例1、Bが実施例2、Cが実施例3、Dが実施例4のファントムである。

【0021】
<測 定>
上記実施例1~4のファントムを用い、歯科用コーンビームCT装置を用いてCT写真を撮影した。装置はフラットパネル検出器搭載のAlphard VEGA(朝日レントゲン工業社製)を用い、ファントムのX軸およびY軸は装置の前歯部のレーザービームに沿って設置した。また、ファントムのZ軸は床面と垂直方向となるように設置した。コーンビームCTの撮影領域は直径51 mm、高さ51 mm(ボクセルサイズ:0.1 mm x 0.1 mm x 0.1 mm)とし、管電圧60kV、管電流2mAの条件でスキャンを行った。測定データは軸位断面のダイコム形式にてポータブルハードディスクに保存した。測定は各々のファントムについて3回づつ行った。

【0022】
<画像解析>
軸位断面の歯科用コーンビームCT画像を、3次元画像ソフトウェア (OsiriX Imaging Software)を用いてパーソナルコンピュータ(Macintosh G4、 Apple Computer Inc.、 Cupertino、 USA)で解析した。例として、実施例4のファントム(柱の太さ=0.4mm、柱間の距離=0.6mm)におけるCT画像を図6に示す。この図において、YZ面(図6左上)、XY面(図6左下)及びXZ面(図6右)のファントムのCT像が認められる。
各ファントムにおいて、XZ面の擬似骨梁に一致した断面を構築した後、X軸およびZ軸に平行にボクセル値をプロットし、波形を分析した。各ファントムにおけるXZ面の構築は2箇所で行った。その結果、図7(上の写真)に示すように、柱に相当するピークが7箇所に観察された。

【0023】
各ファントムの波形のピーク値を記録し、隣り合うピーク値間のボクセル数を計測した。一連の観察と計測は、XZ面において柱の間隔に相当する8箇所で行い、それらの値を平均して求めた。その結果、実施例1(柱の太さ0.10mm)のファントムではX軸およびZ軸ともに格子に相当する7箇所のピークを確認できなかった。また、実施例2(柱の太さ0.20mm)のファントムでは、X軸において48箇所中3箇所でピークを確認することができなかった。さらに、実施例2のファントムのZ軸、並びに、実施例3(柱の太さ=0.30mm)及び実施例4(柱の太さ=0.40mm)のファントムのXYZのすべての軸で、7箇所の柱のピークすべてを確認した。柱に相当する部分のピーク値の測定結果を表1に示す。この表から、柱が太くなるとピーク値は高くなることが分かる。また、Z軸に平行に計測されたピーク値は、X軸に平行に計測されたピーク値と比較して大きかった。

【0024】
【表1】
JP2013215248A_000003t.gif

【0025】
また、ピーク値の間隔ボクセル数についての結果を表2に示す。この表から、間隔ボクセル数の平均は、実施例2(柱の太さ=0.20mm)ではX軸に平行において8.05ボクセル、Z軸に平行において8.08ボクセル、実施例3(柱の太さ=0.30 mm)ではX軸およびZ軸ともに9.00ボクセル、実施例4(柱の太さ=0.40 mm)ではX軸に平行では10.02ボクセル、Z軸に平行では9.99ボクセルであった。1ボクセルは今回の画像では1辺0.1mmであった.

【0026】
【表2】
JP2013215248A_000004t.gif

【0027】
実施例1~4の歯科用コーンビームCT解像度評価ファントムを用いた上記結果から、測定に用いた歯科用コーンビームCT装置によれば、柱の太さが0.20 mm以上である実施例2~4のファントムにおいて、定量的な画像評価において分析し得た。歯科用コーンビームCT装置のボクセルの1辺は0.1mmである。デジタル画像でのパーシャルボリューム効果を考慮すると、今回用いた歯科用コーンビームCT装置は概ね設計通りの性能を有していることが判明した。実施例1~4の解像度評価ファントムのデザインは、柱の太さを0.10 mm、0.20 mm、0.30
mm及び0.40 mmとし、柱間の距離は0.60 mmとしている。これらのファントムのCT画像の解析によって得られたピーク値の間隔ボクセル数の平均値から、測定に用いた歯科用コーンビームCT装置の解像度は極めて高く、ほぼ仕様どおりであることが分かった。また、以上の結果から、実施例1~4のファントムを用いることにより、歯科用コーンビームCTのような小さなボクセル値であっても、X軸Y軸及びZ軸の方向での解像度の評価を行うことができ、歯科用コーンビームCT装置の工場出荷時の品質管理や装置使用上での日常点検の解像度評価に応用できることが分かった。

【0028】
この発明は上記発明の実施の態様及び実施例の説明に何ら限定されるものではない。特許請求の範囲を逸脱せず、当業者が容易に想到できる範囲で種々の変形態様もこの発明に含まれる。
【符号の説明】
【0029】
1x、1y、1z…柱
1、2…格子面
3…枠
図面
【図1】
0
【図3】
1
【図4】
2
【図8】
3
【図2】
4
【図5】
5
【図6】
6
【図7】
7