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明細書 :内省支援装置、内省支援方法、内省支援プログラム、対話装置、対話方法および対話プログラム

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2014-229180 (P2014-229180A)
公開日 平成26年12月8日(2014.12.8)
発明の名称または考案の名称 内省支援装置、内省支援方法、内省支援プログラム、対話装置、対話方法および対話プログラム
国際特許分類 G06F   3/048       (2013.01)
FI G06F 3/048 654A
G06F 3/048 656C
請求項の数または発明の数 12
出願形態 OL
全頁数 28
出願番号 特願2013-109854 (P2013-109854)
出願日 平成25年5月24日(2013.5.24)
新規性喪失の例外の表示 特許法第30条第2項適用申請有り 2012年11月25日-29日、「SITIS2012 The 8th International Conference on Signal Image Technology & Internet Based Systems」において発表、および2013年4月16日-19日、IEEE主催の「SSCI 2013 2013 IEEE SYMPOSIUM SERIES ON COMPUTATIONAL INTELLIGENCE」において発表
発明者または考案者 【氏名】鶴田 節夫
【氏名】篠崎 哲雄
【氏名】山本 由紀子
【氏名】池上 有希乃
出願人 【識別番号】800000068
【氏名又は名称】学校法人東京電機大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100083806、【弁理士】、【氏名又は名称】三好 秀和
【識別番号】100100712、【弁理士】、【氏名又は名称】岩▲崎▼ 幸邦
【識別番号】100101247、【弁理士】、【氏名又は名称】高橋 俊一
【識別番号】100095500、【弁理士】、【氏名又は名称】伊藤 正和
【識別番号】100098327、【弁理士】、【氏名又は名称】高松 俊雄
審査請求 未請求
テーマコード 5E555
Fターム 5E555AA48
5E555BA02
5E555BB02
5E555BC17
5E555DB41
5E555EA05
5E555EA07
5E555EA14
5E555EA28
5E555FA01
要約 【課題】ユーザの内省を支援し、気づきに導く。
【解決手段】課題特定手段11は、ユーザの職業を取得し、ユーザに課題を問い合わせ、課題の問い合わせに対して、ユーザが入力した課題回答データを取得するとともに、課題回答データと、属性データ21のユーザの職業に対応する課題に対応づけられた関連キーワードに基づいて、ユーザの課題を取得する。課題解決支援手段12は、課題回答データに、ユーザの課題に対応づけられた関連キーワードが含まれる場合、課題回答データをミラーリングするとともに、課題の詳細を問い合わせ、課題回答データに、関連キーワードが含まれていない場合、課題回答データをミラーリングする。
【選択図】図2
特許請求の範囲 【請求項1】
ユーザの内省を支援する内省支援装置であって、
職業と、前記職業に対応する課題とを対応づけるとともに、前記職業および課題の関連キーワードを対応づける属性データを記憶する記憶装置と、
前記ユーザの課題を特定する課題特定手段と、
特定された前記ユーザの課題について、前記ユーザによる解決を支援する課題解決支援手段を備え、
前記課題特定手段は、
前記ユーザの職業を取得し、前記ユーザに課題を問い合わせ、前記課題の問い合わせに対して、前記ユーザが入力した課題回答データを取得するとともに、前記課題回答データと、前記属性データの前記ユーザの職業に対応する課題に対応づけられた関連キーワードに基づいて、前記ユーザの課題を取得し、
前記課題解決支援手段は、
前記課題回答データに、前記ユーザの課題に対応づけられた関連キーワードが含まれる場合、前記課題回答データをミラーリングするとともに、課題の詳細を問い合わせ、前記課題回答データに、前記関連キーワードが含まれていない場合、前記課題回答データをミラーリングする
ことを備えることを特徴とする内省支援装置。
【請求項2】
前記属性データはさらに、前記職業および課題に、当該課題に対する感情を示す感情キーワードを対応づけ、
前記課題解決支援手段はさらに、
前記課題の詳細の問い合わせに対して、前記ユーザが入力した課題詳細回答データを取得し、前記課題詳細回答データに、前記ユーザの課題データに対応する関連キーワードまたは感情キーワードが含まれる場合、前記課題詳細回答データをミラーリングするとともに、さらなる課題の詳細を問い合わせ、前記課題詳細回答データに、前記ユーザの課題データに対応する関連キーワードおよび感情キーワードが含まれていない場合、前記課題詳細回答データをミラーリングする
ことを備えることを特徴とする請求項1に記載の内省支援装置。
【請求項3】
前記記憶装置は、当該内省支援装置が代理するカウンセラーを紹介するエージェント開始挨拶データと、当該カウンセラーの経験に関するエージェント経験データとを含むテンプレートデータを記憶し、
前記課題特定手段は、
前記エージェント開始挨拶データを表示し、前記エージェント経験データを表示し、前記ユーザに職業を問い合わせ、前記ユーザの職業を取得した後、前記ユーザに前記職業に対応する経験を問い合わせる
ことを特徴とする請求項1または2に記載の内省支援装置。
【請求項4】
ユーザの内省を支援する内省支援方法であって、
コンピュータは、職業と、前記職業に対応する課題とを対応づけるとともに、前記職業および課題の関連キーワードを対応づける属性データを記憶し、
前記コンピュータが、前記ユーザの課題を特定するステップと、
前記コンピュータが、特定された前記ユーザの課題について、前記ユーザによる解決を支援するステップを備え、
前記課題を特定するステップは、
前記コンピュータが、前記ユーザの職業を取得するステップと、
前記コンピュータが、前記ユーザに課題を問い合わせるステップと、
前記コンピュータが、前記課題の問い合わせに対して、前記ユーザが入力した課題回答データを取得するステップと、
前記コンピュータが、前記課題回答データと、前記属性データの前記ユーザの職業に対応する課題に対応づけられた関連キーワードに基づいて、前記ユーザの課題を取得するステップを備え、
前記ユーザによる解決を支援するステップは、
前記コンピュータが、前記課題回答データに、前記ユーザの課題に対応づけられた関連キーワードが含まれる場合、前記課題回答データをミラーリングするとともに、課題の詳細を問い合わせるステップと、
前記コンピュータが、前記課題回答データに、前記関連キーワードが含まれていない場合、前記課題回答データをミラーリングするステップを備える
ことを特徴とする内省支援方法。
【請求項5】
前記属性データはさらに、前記職業および課題に、当該課題に対する感情を示す感情キーワードを対応づけ、
前記ユーザによる解決を支援するステップはさらに、
前記コンピュータが、前記課題の詳細の問い合わせに対して、前記ユーザが入力した課題詳細回答データを取得するステップと、
前記コンピュータが、前記課題詳細回答データに、前記ユーザの課題データに対応する関連キーワードまたは感情キーワードが含まれる場合、前記課題詳細回答データをミラーリングするとともに、さらなる課題の詳細を問い合わせるステップと、
前記コンピュータが、前記課題詳細回答データに、前記ユーザの課題データに対応する関連キーワードおよび感情キーワードが含まれていない場合、前記課題詳細回答データをミラーリングするステップ
を備えることを特徴とする請求項4に記載の内省支援方法。
【請求項6】
前記コンピュータは、当該コンピュータが代理するカウンセラーを紹介するエージェント開始挨拶データと、当該カウンセラーの経験に関するエージェント経験データとを含むテンプレートデータを記憶し、
前記課題を特定するステップは、
前記コンピュータが、前記エージェント開始挨拶データを表示するステップと、
前記コンピュータが、前記エージェント開始挨拶データを表示した後、前記エージェント経験データを表示するステップと、
前記コンピュータが、前記エージェント経験データを表示した後、前記ユーザに職業を問い合わせるステップと、
前記コンピュータが、前記ユーザの職業を取得した後、前記ユーザに前記職業に対応する経験を問い合わせるステップ
をさらに備えることを特徴とする請求項4または5に記載の内省支援方法。
【請求項7】
ユーザの内省を支援する内省支援プログラムであって、
コンピュータは、職業と、前記職業に対応する課題とを対応づけるとともに、前記職業および課題の関連キーワードを対応づける属性データを記憶し、
前記コンピュータに、
前記ユーザの課題を特定するステップと、
特定された前記ユーザの課題について、前記ユーザによる解決を支援するステップを実行させ、
前記課題を特定するステップは、
前記ユーザの職業を取得するステップと、
前記ユーザに課題を問い合わせるステップと、
前記課題の問い合わせに対して、前記ユーザが入力した課題回答データを取得するステップと、
前記課題回答データと、前記属性データの前記ユーザの職業に対応する課題に対応づけられた関連キーワードに基づいて、前記ユーザの課題を取得するステップを備え、
前記ユーザによる解決を支援するステップは、
前記課題回答データに、前記ユーザの課題に対応づけられた関連キーワードが含まれる場合、前記課題回答データをミラーリングするとともに、課題の詳細を問い合わせるステップと、
前記課題回答データに、前記関連キーワードが含まれていない場合、前記課題回答データをミラーリングするステップを備える
ことを特徴とする内省支援プログラム。
【請求項8】
前記属性データはさらに、前記職業および課題に、当該課題に対する感情を示す感情キーワードを対応づけ、
前記ユーザによる解決を支援するステップはさらに、
前記課題の詳細の問い合わせに対して、前記ユーザが入力した課題詳細回答データを取得するステップと、
前記課題詳細回答データに、前記ユーザの課題データに対応する関連キーワードまたは感情キーワードが含まれる場合、前記課題詳細回答データをミラーリングするとともに、さらなる課題の詳細を問い合わせるステップと、
前記課題詳細回答データに、前記ユーザの課題データに対応する関連キーワードおよび感情キーワードが含まれていない場合、前記課題詳細回答データをミラーリングするステップ
を備えることを特徴とする請求項7に記載の内省支援プログラム。
【請求項9】
前記コンピュータは、当該コンピュータが代理するカウンセラーを紹介するエージェント開始挨拶データと、当該カウンセラーの経験に関するエージェント経験データとを含むテンプレートデータを記憶し、
前記課題を特定するステップは、
前記エージェント開始挨拶データを表示するステップと、
前記エージェント開始挨拶データを表示した後、前記エージェント経験データを表示するステップと、
前記エージェント経験データを表示した後、前記ユーザに職業を問い合わせるステップと、
前記コンピュータが、前記ユーザの職業を取得した後、前記ユーザに前記職業に対応する経験を問い合わせるステップ
をさらに備えることを特徴とする請求項7または8に記載の内省支援プログラム。
【請求項10】
カウンセラーを代理して、ユーザと対話する対話装置であって、
カウンセラーを紹介するエージェント開始挨拶データと、当該カウンセラーの経験に関するエージェント経験データとを含むテンプレートデータを記憶する記憶装置と、
前記エージェント開始挨拶データを表示し、前記エージェント経験データを表示し、前記ユーザに職業を問い合わせた後、前記ユーザの職業を取得し、前記ユーザの職業に対応する経験を問い合わせる信頼関係構築手段
を備えることを特徴とする対話装置。
【請求項11】
コンピュータが、カウンセラーを代理して、ユーザと対話する対話方法であって、
コンピュータは、カウンセラーを紹介するエージェント開始挨拶データと、当該カウンセラーの経験に関するエージェント経験データとを含むテンプレートデータを記憶し、
前記コンピュータが、前記エージェント開始挨拶データを表示するステップと、
前記コンピュータが、前記エージェント開始挨拶データを表示した後、前記エージェント経験データを表示するステップと、
前記コンピュータが、前記エージェントの経験データを表示した後、前記ユーザに職業を問い合わせるステップと、
前記コンピュータが、前記ユーザの職業を取得した後、前記ユーザに前記職業に対応する経験を問い合わせるステップ
を備えることを特徴とする対話方法。
【請求項12】
カウンセラーを代理して、ユーザと対話する対話プログラムであって、
コンピュータは、カウンセラーを紹介するエージェント開始挨拶データと、当該カウンセラーの経験に関するエージェント経験データとを含むテンプレートデータを記憶し、
前記コンピュータに、
前記エージェント開始挨拶データを表示するステップと、
前記エージェント開始挨拶データを表示した後、前記エージェント経験データを表示するステップと、
前記エージェントの経験データを表示した後、前記ユーザに職業を問い合わせるステップと、
前記ユーザの職業を取得した後、前記ユーザに前記職業に対応する経験を問い合わせるステップ
を実行させることを特徴とする対話プログラム。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザの内省を支援する内省支援装置、内省支援方法および内省支援プログラムと、これらに用いられる対話装置、対話方法および対話プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、産業界や学内などの様々なコミュニティにおいて、様々な悩みや課題を抱えるユーザが増えている。ユーザは自分の抱える課題を自分自身では言語化できず、自身の力で、内省を深めて気づきを得ることも難しい。
【0003】
このような状況を鑑み、コミュニティにカウンセラー(相談員)を配置する職場がある。しかしながら、コミュニティに属する人の悩みや課題は、そのコミュニティに特化したものとなるので、そのコミュニティに対応可能なカウンセラーは少ない。また、このカウンセラーが対応可能な人数は1ヶ月あたり延べ20~30人であるので、圧倒的な人手不足な状態である。
【0004】
そこで、カウンセラーの支援を代行できるソフトウェアエージェントが求められる。このようなソフトウェアエージェントとして、ELIZAが知られている(例えば、非特許文献1参照。)。非特許文献1に記載のELIZAは、ユーザが入力したテキスト内容をオウム返しする応答文を、作成する。オウム返しにより、ユーザは、ELIZAが話を聞いてくれていると感じる。またオウム返しによる対話においては、複雑かつ多量な専門知識を必要としないので、容易に活用することができる。
【先行技術文献】
【0005】

【非特許文献1】ジョセフ・ワイゼンバウム著、秋葉 忠利訳、「コンピュータ・パワー—人工知能と人間の理性」、サイマル出版会、1979年1月
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、非特許文献1に記載のELIZAは、ユーザの入力した情報に対し、オウム返しするに留まるので、解決すべき問題や目標が明らかになっていくわけではないという問題がある。ELIZAによる応答文においては、オウム返しによるもので文脈を維持し活用しないため、ユーザが、対話を続けることが困難となる。このため、対話によりユーザの内省を継続的に深めて、問題を明確にし、問題の解決方法に気付くに至ることは難しい問題がある。
【0007】
また、悩みや課題を解決するために、ユーザ自身が課題を明確にし、解決方法も自ら見出すことが求められる。そのためカウンセラーは、ユーザが自分自身で問題を明確にし、その解決法を見つけるための内省を促す必要がある。
【0008】
すなわち、非特許文献1に示すように、オウム返しのみでは、ユーザの気づきを導くことは困難であり、問題を解決することは困難であると考えられる。
【0009】
従って本発明の目的は、ユーザの内省を支援し、気づきに導くことのできる内省支援装置、内省支援方法および内省支援プログラムと、これらに用いられる対話装置、対話方法および対話プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明の第1の特徴は、ユーザの内省を支援する内省支援装置に関する。本発明の第1の特徴に係る内省支援装置は、職業と、職業に対応する課題とを対応づけるとともに、職業および課題の関連キーワードを対応づける属性データを記憶する記憶装置と、ユーザの課題を特定する課題特定手段と、特定されたユーザの課題について、ユーザによる解決を支援する課題解決支援手段を備える。課題特定手段は、ユーザの職業を取得し、ユーザに課題を問い合わせ、課題の問い合わせに対して、ユーザが入力した課題回答データを取得するとともに、課題回答データと、属性データのユーザの職業に対応する課題に対応づけられた関連キーワードに基づいて、ユーザの課題を取得する。課題解決支援手段は、課題回答データに、ユーザの課題に対応づけられた関連キーワードが含まれる場合、課題回答データをミラーリングするとともに、課題の詳細を問い合わせ、課題回答データに、関連キーワードが含まれていない場合、課題回答データをミラーリングする。
【0011】
ここで、属性データはさらに、職業および課題に、当該課題に対する感情を示す感情キーワードを対応づけ、課題解決支援手段はさらに、課題の詳細の問い合わせに対して、ユーザが入力した課題詳細回答データを取得し、課題詳細回答データに、ユーザの課題データに対応する関連キーワードまたは感情キーワードが含まれる場合、課題詳細回答データをミラーリングするとともに、さらなる課題の詳細を問い合わせ、課題詳細回答データに、ユーザの課題データに対応する関連キーワードおよび感情キーワードが含まれていない場合、課題詳細回答データをミラーリングしても良い。
【0012】
また記憶装置は、当該内省支援装置が代理するカウンセラーを紹介するエージェント開始挨拶データと、当該カウンセラーの経験に関するエージェント経験データとを含むテンプレートデータを記憶し、課題特定手段は、エージェント開始挨拶データを表示し、エージェント経験データを表示し、ユーザに職業を問い合わせ、ユーザの職業を取得した後、ユーザに前記職業に対応する経験を問い合わせても良い。
【0013】
本発明の第2の特徴は、ユーザの内省を支援する内省支援方法に関する。本発明の第2の特徴に係る内省支援方法において、コンピュータは、職業と、職業に対応する課題とを対応づけるとともに、職業および課題の関連キーワードを対応づける属性データを記憶する。内省支援方法は、コンピュータが、ユーザの課題を特定するステップと、コンピュータが、特定されたユーザの課題について、ユーザによる解決を支援するステップを備える。課題を特定するステップは、コンピュータが、ユーザの職業を取得するステップと、コンピュータが、ユーザに課題を問い合わせるステップと、コンピュータが、課題の問い合わせに対して、ユーザが入力した課題回答データを取得するステップと、コンピュータが、課題回答データと、属性データのユーザの職業に対応する課題に対応づけられた関連キーワードに基づいて、ユーザの課題を取得するステップを備える。ユーザによる解決を支援するステップは、コンピュータが、課題回答データに、ユーザの課題に対応づけられた関連キーワードが含まれる場合、課題回答データをミラーリングするとともに、課題の詳細を問い合わせるステップと、コンピュータが、課題回答データに、関連キーワードが含まれていない場合、課題回答データをミラーリングするステップを備える。
【0014】
ここで属性データはさらに、職業および課題に、当該課題に対する感情を示す感情キーワードを対応づけ、ユーザによる解決を支援するステップはさらに、コンピュータが、課題の詳細の問い合わせに対して、ユーザが入力した課題詳細回答データを取得するステップと、コンピュータが、課題詳細回答データに、ユーザの課題データに対応する関連キーワードまたは感情キーワードが含まれる場合、課題詳細回答データをミラーリングするとともに、さらなる課題の詳細を問い合わせるステップと、コンピュータが、課題詳細回答データに、ユーザの課題データに対応する関連キーワードおよび感情キーワードが含まれていない場合、課題詳細回答データをミラーリングするステップを備えても良い。
【0015】
またコンピュータは、当該コンピュータが代理するカウンセラーを紹介するエージェント開始挨拶データと、当該カウンセラーの経験に関するエージェント経験データとを含むテンプレートデータを記憶し、課題を特定するステップは、コンピュータが、エージェント開始挨拶データを表示するステップと、コンピュータが、エージェント開始挨拶データを表示した後、エージェント経験データを表示するステップと、コンピュータが、エージェント経験データを表示した後、ユーザに職業を問い合わせるステップと、コンピュータが、前記ユーザの職業を取得した後、ユーザに職業に対応する経験を問い合わせるステップをさらに備えても良い。
【0016】
本発明の第3の特徴は、ユーザの内省を支援する内省支援プログラムに関する。本発明の第3の特徴に係る内省支援プログラムにおいて、コンピュータは、職業と、職業に対応する課題とを対応づけるとともに、職業および課題の関連キーワードを対応づける属性データを記憶する。内省支援プログラムは、コンピュータに、ユーザの課題を特定するステップと、特定されたユーザの課題について、ユーザによる解決を支援するステップを実行させる。課題を特定するステップは、ユーザの職業を取得するステップと、ユーザに課題を問い合わせるステップと、課題の問い合わせに対して、ユーザが入力した課題回答データを取得するステップと、課題回答データと、属性データのユーザの職業に対応する課題に対応づけられた関連キーワードに基づいて、ユーザの課題を取得するステップを備える。ユーザによる解決を支援するステップは、課題回答データに、ユーザの課題に対応づけられた関連キーワードが含まれる場合、課題回答データをミラーリングするとともに、課題の詳細を問い合わせるステップと、課題回答データに、関連キーワードが含まれていない場合、課題回答データをミラーリングするステップを備える。
【0017】
ここで属性データはさらに、職業および課題に、当該課題に対する感情を示す感情キーワードを対応づけ、ユーザによる解決を支援するステップはさらに、課題の詳細の問い合わせに対して、ユーザが入力した課題詳細回答データを取得するステップと、課題詳細回答データに、ユーザの課題データに対応する関連キーワードまたは感情キーワードが含まれる場合、課題詳細回答データをミラーリングするとともに、さらなる課題の詳細を問い合わせるステップと、課題詳細回答データに、ユーザの課題データに対応する関連キーワードおよび感情キーワードが含まれていない場合、課題詳細回答データをミラーリングするステップを備えても良い。
【0018】
またコンピュータは、当該コンピュータが代理するカウンセラーを紹介するエージェント開始挨拶データと、当該カウンセラーの経験に関するエージェント経験データとを含むテンプレートデータを記憶し、課題を特定するステップは、エージェント開始挨拶データを表示するステップと、エージェント開始挨拶を表示した後、エージェント経験データを表示するステップと、エージェント経験データを表示した後、ユーザに職業を問い合わせるステップと、コンピュータが、ユーザの職業を取得した後、ユーザに職業に対応する経験を問い合わせるステップをさらに備えても良い。
【0019】
本発明の第4の特徴は、カウンセラーを代理して、ユーザと対話する対話装置に関する。本発明の第4の特徴に係る対話装置は、カウンセラーを紹介するエージェント開始挨拶データと、当該カウンセラーの経験に関するエージェント経験データとを含むテンプレートデータを記憶する記憶装置と、エージェント開始挨拶データを表示し、エージェント経験データを表示し、ユーザに職業を問い合わせた後、ユーザの職業を取得し、ユーザの職業に対応する経験を問い合わせる信頼関係構築手段を備える。
【0020】
本発明の第5の特徴は、コンピュータが、カウンセラーを代理して、ユーザと対話する対話方法に関する。本発明の第5の特徴に係る対話方法において、コンピュータは、カウンセラーを紹介するエージェント開始挨拶データと、当該カウンセラーの経験に関するエージェント経験データとを含むテンプレートデータを記憶する。本発明の第5の特徴に係る対話方法は、コンピュータが、エージェント開始挨拶データを表示するステップと、コンピュータが、エージェント開始挨拶データを表示した後、エージェント経験データを表示するステップと、コンピュータが、エージェントの経験データを表示した後、ユーザに職業を問い合わせるステップと、コンピュータが、ユーザの職業を取得した後、ユーザに職業に対応する経験を問い合わせるステップを備える。
【0021】
本発明の第6の特徴は、カウンセラーを代理して、ユーザと対話する対話プログラムに関する。本発明の第6の特徴に係る対話プログラムにおいて、コンピュータは、カウンセラーを紹介するエージェント開始挨拶データと、当該カウンセラーの経験に関するエージェント経験データとを含むテンプレートデータを記憶する。本発明の第6の特徴に係る対話プログラムは、コンピュータに、エージェント開始挨拶データを表示するステップと、エージェント開始挨拶データを表示した後、エージェント経験データを表示するステップと、エージェントの経験データを表示した後、ユーザに職業を問い合わせるステップと、ユーザの職業を取得した後、ユーザに職業に対応する経験を問い合わせるステップを実行させる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、ユーザの内省を支援し、気づきに導くことのできる内省支援装置、内省支援方法および内省支援プログラムと、これらに用いられる対話装置、対話方法および対話プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施の形態に係る内省支援方法の概略を説明するフローチャートである。
【図2】本発明の実施の形態に係る内省支援装置のハードウェア構成と機能ブロックを説明する図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る属性データのデータ構造とデータの一例を説明する図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る内省支援方法を説明するフローチャートである。
【図5】本発明の実施の形態に係る内省支援方法における会話例を説明する図である。(その1)
【図6】本発明の実施の形態に係る内省支援方法における会話例を説明する図である。(その2)
【図7】本発明の実施の形態に係る内省支援方法における会話例を説明する図である。(その3)
【図8】本発明の実施の形態に係る内省支援方法における会話例を説明する図である。(その4)
【図9】本発明の実施の形態に係る内省支援方法による対話継続回数の評価を説明する図である。
【図10】本発明の実施の形態に係る内省支援方法による信頼関係および気づきの評価方法を説明する図である。
【図11】本発明の実施の形態に係る内省支援方法による評価を説明する図であって、図11(a)は、信頼関係の評価を説明し、図11(b)は、気づきの評価を説明する図である。
【図12】本発明の第1の変形例に係る内省支援装置のハードウェア構成と機能ブロックを説明する図である。
【図13】本発明の第1の変形例に係る内省支援装置のモジュール構成を説明する図である。
【図14】本発明の第1の変形例に係る内省支援装置における文脈指向を説明する図である。
【図15】本発明の第1の変形例に係る内省支援装置のカウンセリングナレッジデータの一部であって、職業経験と経験知を整理するために参照されるデータの一例を説明する図である。
【図16】本発明の第1の変形例に係る内省支援装置のオントロジー辞書データであって、職種を特定するために参照されるデータの一例を説明する図である。
【図17】本発明の第1の変形例に係る内省支援装置のオントロジー辞書データであって、課題種別を抽出するために参照されるデータの一例を説明する図である。
【図18】本発明の第1の変形例に係る内省支援装置において、課題、課題の下位および感情表現のオントロジーキーワードを説明する図である、
【図19】本発明の第1の変形例に係る内省支援装置において、文脈オブジェクトデータの構造を説明する図である、
【図20】本発明の第2の変形例に係る対話装置のハードウェア構成と機能ブロックを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
次に、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。以下の図面の記載において、同一または類似の部分には同一または類似の符号を付している。

【0025】
本発明の実施の形態において「ユーザ」は、本発明の実施の形態に係る内省支援装置による支援を受ける対象者であって、クライアントと称される場合もある。

【0026】
「内省」は、深く自己をかえりみること、反省することである。本発明の実施の形態に係る内省支援装置は、文脈に応じて、ユーザに内省を促す応答文を作成して出力する。

【0027】
「ミラーリング」は、相手が入力した文章を、オウム返しに返答するメッセージを作成して、出力することである。例えばユーザが、「私は、SEになりたいのですが、仕事に就けるか不安なのです。」と入力した場合を考える。これをコンピュータは、ミラーリングすることにより「あなたは、SEになりたいのですが、仕事に就けるか不安なのですね。」と出力する。このように、ミラーリング処理においては、「私」を「あなた」と置換する。またコンピュータは、英文の場合、付加疑問文を付与し、日本文の場合は「~ですね」と語尾を変換するなどして、ユーザに問いかけつつ確認する文章を作成しても良い。

【0028】
(内省支援方法の概要)
本発明の実施の形態に係る内省支援方法は、内省支援装置1によって実行される。内省支援装置1は、所定の内省支援プログラムがインストールされた一般的なコンピュータである。内省支援装置1は、ユーザの属するコミュニティの課題に対応可能なカウンセラーのエージェント(代理人)として機能する。

【0029】
図1を参照して、本発明の実施の形態に係る内省支援方法の概略を説明する。まず、ステップS1においてユーザが、内省支援装置1や内省支援プログラムなどを起動すると、ステップS2に進む。

【0030】
ステップS2において内省支援装置1は、課題特定フェーズを遂行する。課題特定フェーズにおいて内省支援装置1は、エージェントとユーザとが、経験を共有しながら信頼関係を構築し問題の大枠を明確するとともに、内省を促すための導入の役割を担う。従って、課題特定フェーズの文脈は比較的明確である。課題特定フェーズにおいて内省支援装置1は、信頼関係を構築するプロセスに先立って、社会人や学生などの、ユーザの属する職業を絞り込む。そして内省支援装置1は、その職業になるまでの経験を質問し、ユーザに回答させる。更に各経験の節々で獲得した、人生を過ごしていくための経験知を内省し話してもらう。

【0031】
このように課題特定フェーズにおいて、内省支援装置1は、職業の絞り込み、経験や経験知の共有、そして課題の特定を進める。具体的には内省支援装置1は、支援開始にあたって、エージェントがユーザに挨拶し、エージェント自身の経験内容を提供する。さらに内省支援装置1は、ユーザの職業を取得し、そのユーザの職業に応じて、ユーザ自身の経験内容も提供させ、ユーザが経験を整理するのを支援する。これにより、エージェントとユーザとが、互いに共感して、信頼関係を築くことに寄与する。さらに内省支援装置1は、この職業から、ユーザの課題種別および課題を絞り込み、特定する。

【0032】
ステップS3において内省支援装置1は、課題解決フェーズを遂行する。課題解決フェーズにおいて内省支援装置1は、ステップS2で築かれた信頼関係を維持し深めつつ、ステップS2で特定された課題に即した文脈で、ユーザとの対話が継続されるように、エージェントの応答文を作成する。内省支援装置1は、ユーザが明確に言語化した文脈を利用して応答するとともに、課題解決に向けて、文脈に即して言い換えしたり、課題を詳細化したりすることで、ユーザに内省を促す。このような処理を繰り返すことで、内省支援装置1は、ユーザが気づきに至るよう、支援する。

【0033】
ステップS3において、課題解決フェーズの処理を繰り返し、ステップS4においてユーザが、内省支援装置1や内省支援プログラムなどを停止すると、内省支援装置1は処理を終了する。

【0034】
このように、本発明の実施の形態に係る内省支援方法は、課題特定フェーズと、課題解決フェーズとにわけて処理することにより、課題の枠組みを明確にし、その明確にされた枠組みの中で文脈を維持して会話を継続する。これにより内省支援装置1は、継続された会話の中で、ユーザ自身が気づきにより、課題を明確にし、解決方法も自ら見出すことができる。

【0035】
また、本発明の実施の形態に係る内省支援方法においては、職業から課題を絞り込む場合を説明するが、この際、ステップS111で取得したユーザの経験も考慮して、課題を絞り込んだり、応答文を作成したりしても良い。

【0036】
(内省支援装置)
図2を参照して、本発明の実施の形態に係る内省支援装置1を説明する。内省支援装置1は、中央処理制御装置10、記憶装置20、入力装置30および出力装置40などを備える一般的なコンピュータである。

【0037】
入力装置30は、キーボードやマウスなどであって、ユーザの指示を、中央処理制御装置10に入力する。出力装置40は、表示装置などであって、中央処理制御装置10の処理結果をユーザに認識可能な状態で出力する。本発明の実施の形態において内省支援装置1は、カウンセラーのエージェントとして機能する。従って内省支援装置1は、ユーザに入力装置30および出力装置40を介して、エージェントとチャットしているような体験を与え、ユーザに内省を促す。

【0038】
別の実施態様として、内省支援装置1は、通信制御装置(図示せず)を備え、通信ネットワークに接続された入力装置および出力装置を介して、ユーザの指示を取得したり、ユーザに情報を提供したりしても良い。また本発明の実施の形態においては、文字を使ったチャット形式を想定するが、これに限らない。例えば内省支援装置1は、エージェントの応答文のテキストデータを音声データに変換して出力し、ユーザの音声を音声データに変換するとともに音声データをテキストデータに変換する変換装置(図示せず)を用いることにより、音声による会話形式で実現しても良い。

【0039】
記憶装置20は、内省支援プログラムを記憶するとともに、属性データ21およびテンプレートデータ22を記憶する。

【0040】
属性データ21は、職業と、職業に対応する課題とを対応づけるとともに、職業および課題の関連キーワードを対応づける。属性データ21は、ユーザの課題を絞り込むとともに、ユーザに詳細化を促すキーワードを設定したオントロジーである。属性データ21は、例えば図3に示すように、3つのテーブルを備えても良い。

【0041】
図3(a)は、ユーザの職業を特定するために用いる第1の属性データ21aである。第1の属性データ21aは、職業の識別子と、この職業を判定するための関連キーワードとを対応づけたデータである。例えば、内省支援装置1がユーザに職業を問い合わせた際、ユーザから得られた回答に「科学」が含まれている場合、そのユーザの職業が、「理系の学生」であると判定する。

【0042】
図3(b)および(c)は、ユーザの職業が判定された後、そのユーザの課題を絞り込む際に用いる第2の属性データ21bおよび第3の属性データ21cである。本発明の実施の形態において、第2の属性データ21bは、課題の種別を絞り込むために用いられ、第3の属性データ21cは、特定された課題の種別をさらに詳細な課題に絞り込むという、2段階での絞り込みを想定するが、これに限られない。

【0043】
図3(b)に示す第2の属性データ21bは、課題種別と、課題種別を判定するための関連キーワードとを対応づけたデータである。ここで、課題種別は、職業毎に設けられる。図3(b)に示す第2の属性データ21bは、職業「学生」に関する課題種別のみを挙げている。例えば内省支援装置1がユーザに課題を問い合わせた際、ユーザから得られた回答に「今後のキャリア」が含まれている場合、そのユーザの課題種別が、「キャリア発達」であると判定する。図3において図示しないが、「IT従事者」などの他の職業についても同様に、課題種別を判定するための関連キーワードが設けられる。

【0044】
図3(c)に示す第3の属性データ21cは、課題の識別子と、課題を判定し、内省を促すための関連キーワードおよび感情キーワードとを対応づけたデータである。この感情キーワードは、ユーザに課題の具体化を促し、気づきを支援するためのトリガーとなるキーワードであって、具体的には、「心配」、「不安」などである。図3(c)に示す第3の属性データ21cは、職業「学生」および課題種別「キャリア」に関する課題のみを挙げている。図3において図示しないが、「IT従事者」の「キャリア」などの他の職業および課題種別についても同様に、課題を判定するための関連キーワードおよび感情キーワードが設けられる。第3の属性データ21cは、ユーザが入力したテキストデータに含まれるキーワードやフレーズから、職業および課題種別に絞り込むために用いられる。これにより、第3の属性データ21cは、ユーザの問題を特定する。

【0045】
テンプレートデータ22は、内省支援装置1が出力するエージェントの台詞のデータである。この台詞は、内省支援装置1が代理するカウンセラーを想定して予め決定される。例えばテンプレートデータ22は、カウンセラーを紹介するエージェント開始挨拶データと、カウンセラーの経験に関するエージェント経験データとを含む。テンプレートデータ22の各台詞のデータは、中央処理制御装置10によって読み出され、出力装置40に適宜出力される。

【0046】
中央処理制御装置10は、課題特定手段11および課題解決支援手段12を備える。

【0047】
課題特定手段11は、ユーザの課題を特定する。課題特定手段11の処理は、図1のステップS2の処理に相当する。

【0048】
課題特定手段11は、テンプレートデータ22のエージェント開始挨拶データを表示し、エージェント経験データを表示し、ユーザに職業を問い合わせ、ユーザの職業を取得した後、ユーザに職業に対応する経験を問い合わせる。課題特定手段11は、ユーザの職業を取得し、ユーザに課題を問い合わせ、課題の問い合わせに対して、ユーザが入力した課題回答データを取得する。課題特定手段11はさらに、課題回答データと、属性データ21のユーザの職業に対応する課題に対応づけられた関連キーワードに基づいて、ユーザの課題を取得する。

【0049】
課題解決支援手段12は、特定されたユーザの課題について、ユーザによる解決を支援する。課題解決支援手段12の処理は、図1のステップS3の処理に相当する。

【0050】
課題解決支援手段12は、ユーザが入力した課題回答データに、ユーザの課題に対応づけられた関連キーワードが含まれる場合、課題回答データをミラーリングするとともに、課題の詳細を問い合わせる。一方、課題回答データに、関連キーワードが含まれていない場合、課題解決支援手段12は、課題回答データをミラーリングする。

【0051】
さらに課題解決支援手段12は、課題の詳細の問い合わせに対して、ユーザが入力した課題詳細回答データを取得する。課題解決支援手段12は、課題詳細回答データに、ユーザの課題データに対応する関連キーワードまたは感情キーワードが含まれる場合、課題詳細回答データをミラーリングするとともに、さらなる課題の詳細を問い合わせる。一方、課題詳細回答データに、ユーザの課題データに対応する関連キーワードおよび感情キーワードが含まれていない場合、課題解決支援手段12は、課題詳細回答データをミラーリングする。

【0052】
(内省支援方法)
図4ないし図8を参照して、本発明の実施の形態に係る内省支援方法およびその会話例を説明する。

【0053】
まずユーザが内省支援装置1を起動し、開始挨拶を入力すると、ステップS101において課題特定手段11は、ユーザによる入力信号に基づいて生成されたユーザ開始挨拶データを取得する。更に課題特定手段11は、生成したユーザ開始挨拶データを出力装置40に出力し、ユーザが認識可能な形式で表示する。例えば出力装置40は、図5の文ST11「私は今回が初めてです。」を表示する。

【0054】
次にステップS103において課題特定手段11は、テンプレートデータ22を参照して、エージェント開始挨拶データおよびエージェント経験データを抽出する。ステップS104において課題特定手段11は、エージェント開始挨拶データを出力装置40に出力する。このエージェント開始挨拶データは、ユーザ開始挨拶データをミラーリングしたデータであっても良い。続いてステップS105において課題特定手段11は、エージェント経験データを出力装置40に出力する。ステップS106において、ユーザの職業を問い合わせるプロンプトを表示し、ユーザに職業の入力を促す。

【0055】
ステップS104ないしステップS106による出力結果は、図5の文ST12に対応する。例えば図5に示すように、ユーザが「私は今回が初めてです。」と入力したことに対し、課題特定手段11は、文ST12に示すように、「今回初めてですね。」と、ユーザの文ST11をミラーリングした応答文を生成し、出力する。さらに、課題特定手段11は、エージェント経験データとして、カウンセラーの業務経験と経験知などを、出力装置40に出力するとともに、職業を問い合わせるために、「それでは、現在の職業を教えてください。」と続く文章を生成し、出力する。

【0056】
ステップS107において課題特定手段11は、ステップS106のプロンプトに対しユーザの入力によって生成された職業回答データを取得し、出力装置40に出力する。この職業回答データは、図5の文ST13「私は情報系の学部に所属しています。」に対応する。ステップS108において課題特定手段11は、属性データ21を参照し、ステップS107で取得した職業回答データから、ユーザの職業データを特定する。文ST13に「情報」が含まれ、ここで図3(a)に示す第1の属性データ21aの職業「理系の学生」の関連キーワードに「情報」が含まれている。従って課題特定手段11は、ユーザの職業が、「理系の学生」であると特定する。

【0057】
これに対しステップS109において課題特定手段11は、ステップS108で特定したユーザの職業データを、出力装置40に出力する。ここで課題特定手段11は、ステップS107でユーザの入力に基づいて生成された職業回答データをミラーリングするとともに、ステップS108で特定した職業データを出力しても良い。例えば図5に示すように、課題特定手段11は、文ST14「あなたは、情報系の学部に所属、つまり理工系の学生ですね。」を表示する。

【0058】
ここで図6に示すように、ユーザが回答として、文ST21「はい、そうです。」と、肯定する文章を入力したとする。この場合、ステップS110において、課題特定手段11は、ユーザの経験を問い合わせるプロンプトを表示する。ここでの経験の入力は、ユーザの職業に依存する。具体的には、課題特定手段11は、後述する図15に示すような、職業毎の経験値の整理項目を対応づけたデータを参照して、ユーザの職業に対応する経験を問い合わせる。図5ないし図8に示す例においてユーザは学生であるので、課題特定手段11は、図15において、職業「学生」に対応づけられた、高校時代の経験、大学に入学した目的、大学での体験項目を順次問い合わせる。具体的には、課題特定手段11は、次の文脈であるユーザの高校時代の経験を問い合わせるプロンプトを含む文ST22を表示し、ユーザに経験の入力を促す。

【0059】
ここでステップS111において課題特定手段11は、ステップS110のプロンプトに対しユーザの入力によって生成された経験回答データを取得し、出力装置40に出力する。この経験回答データは、図6の文ST23「私は、高校では部活動一筋でした。」に対応する。これに対し課題特定手段11は、文ST23をミラーリングした文ST24を出力する。これにより、課題特定手段11は、ユーザに、更に経験を語るよう促す。

【0060】
ユーザがさらに経験を入力し、課題特定手段11は、ユーザがさらに入力した経験回答データを、取得し、出力装置40に出力する。この経験回答データは、図6の文ST25「3年生最後の夏に県大会に出場できました。」に対応する。課題特定手段11は、文ST25をミラーリングするとともに、入力するべき経験がない場合、「経験知追加なし」の選択を促すメッセージを含む文ST26を表示する。

【0061】
これに対し、ユーザが「経験知追加なし」を選択すると、課題特定手段11は、次に、大学に入学した目的を問い合わせるプロンプトを表示する。ユーザはこれに対し、大学に入学した目的を回答し、「経験知追加なし」を選択すると、課題特定手段11は、さらに、大学での体験項目を問い合わせるプロンプトを表示する。このように、図6に示す会話を継続して、課題特定手段11は、ユーザの職業にあった経験を取得する。

【0062】
このように、ステップS111においてユーザが経験回答データを入力すると、ステップS112において課題特定手段11は、課題種別を問い合わせるプロンプトを表示する。課題特定手段11は、図7に示す文ST31「それでは、今ここで頭に浮かぶ気がかりなことや課題がありましたらお話下さい。」を表示する。ここでステップS113において課題特定手段11は、ステップS112のプロンプトに対しユーザの入力によって生成された課題種別入力データを取得し、出力装置40に出力する。この課題種別入力データは、図7の文ST32「IT技術を着実に学んでいけるのか心配なのです。」に対応する。

【0063】
ステップS114において課題特定手段11は、属性データ21を参照して、ステップS113で入力された課題種別入力データと、ステップS108で特定した職業データに関する課題種別から、課題種別の候補データを特定する。具体的には、課題特定手段11は、第2の属性データ21bを参照して、ユーザの職業「理系の学生」に関連する課題種別「キャリア」、「人間関係」、「学校環境」および「自己の不安」を特定する。

【0064】
そこで課題特定手段11は、ステップS115において、課題種別を問い合わせるプロンプトを表示する。具体的には課題特定手段11は、文ST32で入力された文書をミラーリングするとともに、ステップS114で特定した課題種別を、ユーザの課題種別の候補として問い合わせる文ST33を生成し、表示する。この文ST33は、「あなたは、IT技術を着実に学んでいけるのか心配なのですね。そのことは、キャリア、人間関係、学校環境、自己の不安のどれに関係しますか?」である。

【0065】
これに対しユーザが、ステップS116において「キャリア」、「人間関係」、「学校環境」および「自己の不安」のうちの自己の課題を選択する課題種別データを入力すると、課題特定手段11は、ユーザが選択した課題種別を表示する。具体的には、課題特定手段11は、ユーザの入力に基づいて文ST34「今後のキャリアに関連します。」を表示する。ステップS115およびステップS116の処理は、エージェントとユーザの会話で処理されているが、課題特定手段11は、課題種別候補から一つを選ばせるラジオボタンを表示するなどして、実現されても良い。

【0066】
さらに課題特定手段11は、ユーザが入力した文ST34をミラーリングする文ST35を生成し、表示する。文ST35は、「あなたの気がかりなことは、今後のキャリアに関連するのですね。」である。これに対し、ユーザが肯定する文ST36「はい。」を入力すると、課題特定手段11は、ユーザの課題種別が「今後のキャリア」と決定し、この決定した課題種別をさらに絞り込む処理をする。

【0067】
課題特定手段11は、ステップS117において、課題を具体的に問い合わせるプロンプトを表示する。課題特定手段11は、具体的には、ステップS117において文ST36「あなたは、今後のキャリアに対する課題があるのですね。課題を整理して具体的にお話ください。」を生成して表示する。この文ST36は、ユーザの課題「今後のキャリア」を確認するとともに、「課題を整理して具体的にお話ください。」と問いかけることで、この課題を具体的にユーザに言語化させる役割を担う。

【0068】
これに対してステップS118においてユーザが、課題入力データを入力すると、課題解決支援手段12は、この課題入力データを表示する。この課題入力データは、図8の文ST41「私は、SEになりたいのですが、仕事に就けるか不安なのです。」である。

【0069】
これに対し課題解決支援手段12は、ステップS119においてユーザの課題を特定する。具体的には、図3(c)の第3の属性データ21cを参照し、文ST41に含まれるキーワード「SEになりたい」と、課題「就職活動」に対応する関連キーワード「SEになりたい」が合致すると判定する。これにより課題特定手段11は、ユーザの課題が「就職活動」であると判定する。

【0070】
このように、ユーザの課題が特定されると、課題解決支援手段12は、このように特定された課題「就職活動」に関する文脈を逸脱することなく、ユーザの課題解決を支援する。具体的には、課題解決支援手段12は、ステップS120において、ユーザが入力した課題回答データに、特定した課題に関連するキーワードがあるか否かを判定する。このキーワードは、図3(c)に示す第3の属性データ21cの関連キーワードおよび感情キーワードを含む。キーワードがある場合、課題解決支援手段12は、ステップS121において、詳細を問うプロンプトを生成して表示し、ユーザに更なる入力を促す。このとき課題解決支援手段12は、ユーザが入力したテキストデータをミラーリングした文字列と、詳細を問う文字列とを連結した文を生成して表示しても良い。一方、キーワードを含まない場合、課題解決支援手段12は、ステップS122において、ユーザが入力したテキストデータをミラーリングした文字列を生成して表示する。

【0071】
ステップS121ないしステップS122において、出力装置40に表示される会話を、図8を参照して説明する。

【0072】
ユーザの入力により生成された文ST41「私は、SEになりたいのですが、仕事に就けるか不安なのです。」に、第3の属性データ21cの関連キーワード「SEになりたい」と感情キーワード「不安」が含まれる。そこで課題解決支援手段12は、ステップS121で示すように、文ST42「あなたは、SEになりたいのですが、仕事に就けるか不安なのですね。もう少し詳しくお話ください。」を出力装置40に出力する。文ST42のうち、「あなたは、SEになりたいのですが、仕事に就けるか不安なのですね。」は、文ST41をミラーリングした部分である。また「もう少し詳しくお話ください。」は、文ST42の1文目の「不安」が、第3の属性データ21cの感情キーワードに一致することにより、さらに詳細を問う文章である。文ST42の「もう少し詳しくお話ください。」に対し、課題解決支援手段12は、ユーザに、「不安」についてさらに詳細に入力するよう促す。

【0073】
これに対しユーザの入力により生成された文ST43「年齢や能力的なこともあって、きちんとした仕事に就けるのか不安なのです。」が、出力装置40に表示される。文ST42において、「不安」についてさらに詳細に入力するよう促したことにより、課題解決支援手段12は、ユーザに、「不安」の理由を言語化することを支援する。

【0074】
これに対し課題解決支援手段12は、文ST44「あなたは、年齢や能力的なこともあって、きちんとした仕事に就けるのか不安なのですね。もう少し詳しくお話しください。」を出力装置40に出力する。文ST44のうち、「あなたは、年齢や能力的なこともあって、きちんとした仕事に就けるのか不安なのですね。」は、文ST43をミラーリングした部分である。また「もう少し詳しくお話ください。」は、文ST43の「不安」が、第3の属性データ21cの感情キーワードに一致することにより、さらに詳細を問う文章である。文ST44の「もう少し詳しくお話ください。」に対し、課題解決支援手段12は、ユーザに、「不安」についてさらに詳細に入力するよう促す。

【0075】
これに対し課題解決支援手段12は、ユーザの入力により生成された文ST45「私はITの飲み込みが遅くて、将来、IT関連の仕事につくのは難しいと思うのです。」を、出力装置40に出力する。文ST44において、「不安」についてさらに詳細に入力するよう促したことにより、課題解決支援手段12は、ユーザに、「年齢や能力的」という不安の理由を言語化しやすく支援する。

【0076】
これに対し課題解決支援手段12は、文ST46「あなたはITの飲み込みが遅くて、将来、IT関連の仕事につくのは難しいと思うのですね。」を出力装置40に出力する。文ST46の「あなたはITの飲み込みが遅くて、将来、IT関連の仕事につくのは難しいと思うのですね。」は、文ST45をミラーリングした部分である。この文ST46において課題解決支援手段12は、文ST42や文ST44のように、「もう少し詳しくお話ください。」と詳細を問うプロンプトは表示しない。これは、先行する文ST45に、感情キーワードや関連キーワードに対応するキーワードが含まれていないからである。この場合、課題解決支援手段12は、図4のステップS122に示すように、ミラーリングしたのち、ユーザの更なる入力を待機する。

【0077】
ここでユーザは、待機する間、会話を続けるべくさらに何らかの言語化を試みる。これにより課題解決支援手段12は、ユーザの入力により生成された文ST47「私は、ITのスキルを学ぶために、もっと時間を使うべきだと思うのです。」を出力装置40に出力する。これに対し課題解決支援手段12は、文ST48「あなたは、ITのスキルを学ぶのに、もっと時間を使うべきだと思うのですね。もう少し詳しくお話下さい。」を出力装置40に出力する。文ST48のうち、「あなたは、ITのスキルを学ぶのに、もっと時間を使うべきだと思うのですね。」は、文ST47をミラーリングした部分である。また「もう少し詳しくお話ください。」は、文ST47の「ITのスキルを学ぶ」が、第3の属性データ21cの関連キーワードに一致することにより、さらに詳細を問う文章である。文ST48の「もう少し詳しくお話ください。」に対し、課題解決支援手段12は、ユーザに、「ITのスキルを学ぶ」ことについてさらに詳細に入力するよう促す。

【0078】
このように、課題解決支援手段12は、課題特定手段11が特定した課題について、所定のキーワードが含まれる文章をユーザが入力した場合、さらに詳細を問うことにより、ユーザの考えの言語化を促す。またユーザ自身が言語化することにより、課題解決支援手段12は、ユーザ自身に気づきを与え、ユーザ自身が解決手段を言語化できるよう支援することができる。

【0079】
このように、本発明の実施の形態に係る内省支援装置1は、図5ないし図8に示す対話により、ユーザによる気づきを導く。

【0080】
図5に示す会話において、内省支援装置1は、お互いの経験を経て信頼関係を築くきっかっけを持ち、さらに、属性データ21を参照し、ユーザの職業を特定する。ここで特定されたユーザの職業の文脈に基づいて、これ以降の会話が進められる。

【0081】
図6に示す会話において内省支援装置1は、図5に示す会話で絞り込まれた文脈において、更なる信頼関係の構築を目指して、内省を促進する経験知の整理を進める。内省支援装置1は、対話により、ユーザに自己の経験について内省し自分自身で経験知を整理するよう促す。この処理は、学生、社会人などの職業に応じて数個のパターンを用意し、質問が繰り返えされる。

【0082】
図7に示す会話において、内省支援装置1は、ユーザが抱えている問題を言語化するよう促し、ユーザの職業にありがちな問題を、5~6分類(キャリア関係、人間関係、文化・環境関係等)に大枠で絞り込み、課題特定フェーズの処理を終了する。これにより内省支援装置1は、以降の課題解決フェーズの文脈を限定することができる。

【0083】
図8に示す会話において、内省支援装置1は、絞り込まれた問題についての対話する中で、関係するキーワードを複数または単体でマッチングし、内省を深める応答を続ける。ここで内省支援装置1が、5~10個程度のマッチングパターン毎に適切な応答をすることにより、内省支援装置1は、ユーザに内省の継続を促すことができると考えられる。

【0084】
以上の方法により、本発明の実施の形態に係る内省支援装置1は、1000以下の限られたパターン知識と各パターンでの数十個のキーワードの知識適用で、仕事経験の絞り込みや問題の枠組みの明確化を可能にする。さらに、絞り込みや問題の枠組みでとらえられない語彙は、対話促進をする応答文をランダムに選択するELIZA方式により知識獲得や探索コストの爆発的増大の問題が解決できる。

【0085】
(評価)
図9ないし図11を参照して、本発明の実施の形態に係る内省支援方法の評価を説明する。本発明の実施の形態に係る内省支援方法は、ユーザと、内省支援装置1の出力によるエージェントとが、いかに円滑に対話を進めることができるかを目標に評価する。その基準として、図9ないし図11に示すように、対話継続回数、信頼関係の構築程度および気づきの程度を尺度として評価する。ここで、従来技術として上記非特許文献1で示したELIZAと、本願発明とを比較して説明する。

【0086】
図9ないし図11における評価として、評価対象となるユーザは、情報処理関連学部の学生とした。更に、問題意識を持っていることがカウンセリングの効果に影響することから、キャリアについて問題意識を持つ学生6人を選んで実施した。つまり、内省能力が標準以上あり、かつ、IT関連のキャリアについて真剣に悩んでおり、カウンセリングを望んでいる人を対象とした。

【0087】
図9を参照して、対話継続回数に基づく評価を説明する。従来発明が対話開始から対話完了まで、平均7.5回の対話がなされた。これに対し、本願発明は、課題特定フェーズ、すなわち対話開始から経験の整理までが13.3回、経験の整理後から対話完了まで10.8回で、合計24.1回であった。

【0088】
図10を参照して、信頼関係の構築程度および気づきの程度に基づく評価方法を説明する。この評価は、評価者による、図10(a)および(b)に示すようなアンケート回答を基準とする。図10(a)に示すように、信頼関係による10問のアンケートを含み、図10(b)に示すように、気づきに関する12問のアンケートを含む。それぞれの回答は、「7.非常にそう思う」、「6.そう思う」「5.多少そう思う」、「4.どちらともいえない」、「3.あまりそう思わない」、「2.そう思わない」、「1.まったくそう思わない」の7つ評価値からいずれかを選択させる方式をとる。

【0089】
図11(a)に示すように、信頼関係の構築程度について、本願発明について評価値の平均が、4.39であったのに対し、従来技術についての評価値の平均は、2.8であった。また、図11(b)に示すように、気づきの程度について、本願発明について評価値の平均が、4.50であったのに対し、従来技術についての評価値の平均は、3.51であった。

【0090】
本発明の実施の形態に係る内省支援装置1は、経験知の整理をする対話プロセスを経て、信頼関係を築く支援をする。このプロセスを経過した段階では、このプロセスを持たない従来発明(ELIZA)の対話回数が、対話終了まで含めても7.5回であるのに対し、本願発明は24.1回である。これにより、本願の実施の形態に係る内省支援装置1は、よりスムースな対話がなされるよう支援できたことがわかる。また、図11に示すように、信頼関係の構築程度および気づきの程度においても、従来発明と比べて、効果的であることがわかる。また、本発明の実施の形態に係る内省支援装置1は、感情の言葉をフォローすること、つまり感情的な状態やその変化の状況を言語化させ、詳細化するように支援することは、信頼関係を向上および維持するうえで、効果がある。

【0091】
本発明の実施の形態に係る内省支援装置1は、ユーザとの対話において、ユーザ自身の経験を整理する際、ユーザ自身の内省を促進し、エージェントとの信頼感を構築することができる。また、内省支援装置1は、ユーザの話す事柄や感情のキーワードを利用し、徹底した文脈を維持しての応答を繰り返すことにより、ユーザの意識を内省による整理を促し、改善の気づきをえることの実現を可能とする。このように、内省支援装置1は、ユーザの内省を支援することができる。

【0092】
(第1の変形例)
図12を参照して、第1の変形例に係る内省支援装置1aを説明する。第1の変形例に係る内省支援装置1aは、文脈オブジェクトを生成するとともに、生成した文脈オブジェクトに基づいて文脈指向を推論することにより、ユーザの内省を支援する。

【0093】
記憶装置20は、オントロジー辞書データ26、文脈オブジェクトデータ27およびカウンセリングナレッジデータ28を記憶する。中央処理制御装置10は、自然言語対話処理手段16および文脈指向推論手段17を備える。

【0094】
自然言語対話処理手段16は、オントロジー辞書データ26などを用いて、語彙と構造を抽出し、文脈オブジェクトデータ27に保存する。文脈指向推論手段17は、文脈オブジェクトデータ27の保存情報と、専門知識モデルであるカウンセリングナレッジデータ28を用いて推論し応答文を作成する。

【0095】
図13を参照して、自然言語対話処理手段16および文脈指向推論手段17のそれぞれのモジュール構成を説明する。

【0096】
自然言語対話処理手段16は、ユーザと内省支援装置1aのインタフェースとなる初期終了処理部161、対話テキスト分析部162および対話テキスト出力部165を備える。

【0097】
初期終了処理部161は、内省支援装置1aの立ち上げ時に、文脈オブジェクトデータ27および各種作業情報を初期するとともに、対話開始メッセージを生成し、出力する。初期終了処理部161は、終了時にはワードリストなどの保存情報を退避し終了のメッセージを生成し、出力する。

【0098】
対話テキスト分析部162は、キーワード取出部163および文脈分析部164を備え、対話テキストを受け取り次の処理を行う。キーワード取出部163は、ユーザによって入力されたテキスト文に含まれるキーワードを抽出する。文脈分析部164は、文脈オブジェクトデータ27やオントロジー辞書データ26の内容に応じて、新たな文脈情報を設定する。

【0099】
対話テキスト出力部165は、文脈指向推論手段17が作成した応答文を、出力装置40に出力する。

【0100】
文脈指向推論手段17は、課題発見や課題の具体化のための文脈を振り分ける文脈ベース推論エンジン171と、カウンセリングナレッジデータ28を参照して、応答文を生成する文脈指向カウンセリング処理部172を備える。

【0101】
文脈ベース推論エンジン171は、ユーザの職業を抽出し、ユーザの抱える問題を絞り込みにより抽出して文脈オブジェクトデータ27に保存する。

【0102】
文脈指向カウンセリング処理部172は、カウンセリングナレッジデータ28を参照して、経験知の整理をする対話文、抽出キーワードを利用して、言い換えや詳細化の質問応答文を生成する。

【0103】
図14を参照して、第1の変形例で用いられるデータを説明する。

【0104】
オントロジー辞書データ26は、文脈抽出のための知識を記憶する。文脈オブジェクトデータ27は、文脈を保持するための情報を記憶する。

【0105】
カウンセリングナレッジデータ28は、文脈指向のカウンセリングのためのデータを保持する。カウンセリングナレッジデータ28は、たとえば、IT関係の初級レベルのカウンセリングを行うナレッジとして、次の文脈指向カウンセリング用語と文脈指向カウンセリングルールで記述される。

【0106】
文脈指向カウンセリング用語を説明する。

【0107】
(1)職種:IT職業人、理系学生、文系学生
(2)課題種別:キャリア発達、職場内在要因、組織役割、人間関係、組織構造風土、個人特性
(3)課題:理系/文系学生のキャリア発達問題の場合:就職、適性、不一致、実現性、気持ち、能力、意欲、IT職業人のキャリア発達問題の場合:希望職種、職業適性、給与、将来職種
(4)感情表現:マイナス感情(不安、心配、怖い、悩む)、プラス感情
文脈指向カウンセリングルールを説明する。この文脈指向カウンセリングルールは、各副文脈で参照される図14の各AAに対応する。

【0108】
図14に示すように、文脈指向カウンセリングルールは、対話開始から問題の大枠を把握するまでの課題発見主文脈に関するルールと、把握した問題を明確化し、気づきを導く課題解決主文脈に関するルールを備える。

【0109】
課題発見主文脈は、対話を開始し、職種を識別し、信頼関係構築のための経験知の整理をし、課題種別の特定に至る文脈である。課題発見主文脈は、職業把握副文脈、信頼関係副文脈、課題種別識別副文脈および誤入力対応副文脈を備える。

【0110】
職業把握副文脈は、職業把握AAに基づいて、職種用語を把握して職種を識別する。職業把握AAは、後述する図16に示すオントロジー辞書データ26bで表現した3つの職種を識別する意味ネットワークの実行ルール群(AA:Action Agent)である。職業把握副文脈は、職種の絞り込みが完了すると、信頼関係構築副文脈へ遷移する。

【0111】
信頼関係副文脈は、信頼関係構築AAに基づいて、識別した職種での職業経験と経験知を整理する文脈である。信頼関係構築AAは、職業に応じて指定した把握内容を繰り返し質問する意味ネットワークの実行ルール群である。職業に応じて指定した把握内容は、後述する図15に示すカウンセリングナレッジデータ28に依存し、一つの職業につき、数個の経験知の整理項目を有する。信頼関係副文脈は、ユーザが、「経験知追加なし」の意思を示す指示を入力すると、課題種別識別副文脈へ遷移する。

【0112】
課題種別識別副文脈は、課題種別識別AAに基づいて、対話に現れる課題を表すキーワードから課題種別を識別する文脈である。課題種別識別AAは、図18に示す課題、課題の下位および感情表現のオントロジーキーワードから、上記の各課題種別に対して、5~10個の課題のいずれに該当するかを明確化する。課題種別の識別が完了すると課題解決主文脈へ遷移する。

【0113】
誤入力対応副文脈は、誤入力対応AAに基づいて、誤入力の場合でも対話を続ける文脈である。誤入力対応AAは、対象とする文脈で目標とする語彙がマッチングしない場合、誤入力と見なして、数個の誤入力対応返答文の一つをランダムに返答する。誤入力対応副文脈は遷移しない。

【0114】
課題解決主文脈は、課題発見主文脈が識別した課題種別を深堀し、解決のための気づきを導く文脈である。課題解決主文脈は、課題明確化副文脈と文脈不適合対応副文脈とを備える。

【0115】
課題明確化副文脈は、詳細文脈推論AAおよび大局文脈推論AAに基づいて、図18に示す課題、課題の下位および感情表現のオントロジー辞書データ26cから、上記の各課題種別に対して、5~10個の課題のいずれに該当するかを明確化する。詳細文脈推論AAは、課題に対応する詳細文脈の獲得と応答文用の、例えば主語、述語、目的格等の複数項目照合型の意味ネットワークの実行ルール群である。大局文脈推論AAは、課題のキーワードの一部が一致する場合に、大局文脈獲得と応答文を作成する単一項目照合型の意味ネットワークの実行ルール群である。課題明確化副文脈は、照合失敗時に、文脈不適合対応副文脈へ遷移する。

【0116】
文脈不適合副文脈は、文脈不適合対応AAに基づいて、入力文そのままか、複数の文脈不適合対応用返答文の中からランダムに選択して応答文を作成する。文脈不適合対応AAは、照合失敗時に、対話促進用の応答文を作成する意味ネットワークの実行ルール群である。

【0117】
図15に示すカウンセリングナレッジデータ28は、職業と経験知を整理するために参照される。内省支援装置1aは、カウンセリングナレッジデータ28を参照して、ユーザの職業に応じた経験を、ユーザに問い合わせることを可能とする。

【0118】
図16ないし図18を参照して、オントロジー辞書データ26を説明する。オントロジー辞書データ26は、キーワードから文脈を抽出するために用いられる。図16に示すオントロジー辞書データ26aは、職業用語から職種を抽出するために用いられる。図17に示すオントロジー辞書データ26bは、課題種別の抽出に用いられる。オントロジー辞書データ26bは、図16で特定される各職種について、課題種別と、その課題を対応づけて保持する。図18に示すオントロジー辞書データ26cは、ローカル推論において、詳細な文脈に振り分けるために参照される。

【0119】
図19を参照して、文脈分析部164が出力し、文脈指向推論手段17が参照する文脈オブジェクトデータ27を説明する。文脈オブジェクトデータ27は、属性名として、経験、課題種別、課題、および感情の項目を持つ。文脈分析部164は、エージェントとユーザとの対話の文脈において、文脈オブジェクトデータ27に設定された各項目を、順次設定して文脈オブジェクトデータ27を逐次更新する。文脈指向推論手段17は、文脈オブジェクトデータ27で設定された各項目に従って、ユーザの内省を促すために必要な応答文を作成する。

【0120】
本発明の第1の変形例に係る内省支援装置1aは、CxBRのルールを用いる。CxBRのルール(知識)は主、文脈と下位文脈(副文脈、副々文脈など)を備える。これらの文脈ルールは、遷移ルールと実行ルールを備える。遷移ルールは、次の文脈に制御を移すための条件である。例えば、図14の信頼関係構築副文脈の遷移ルールは、「if「追加の学びなし」を確認しthen課題種別識別副文脈に遷移」である。実行ルールは、基本的には下位の文脈のルール(最下位はAA)を呼び出す。例えば、図14の副文脈のルールはAAを呼び出す関数である。詳細文脈推論AAは、複数のキーワード・マッチングにより応答文を作成する。大局文脈推論AAは、単一のキーワード・マッチングにより応答文を作成する。文脈不適応対応AAは、キーワードのマッチング失敗時に対話を継続するとともに、促進する。

【0121】
第1の変形例に係る内省支援装置1aの処理を説明する。

【0122】
(1)内省支援装置1aが呼び出されると、初期終了処理部161が起動される。内省支援装置1aは、対話開始のメッセージを作成し、ログを出力する。

【0123】
(2)内省支援装置1aは、入力文を受け取ると対話テキスト分析部162で、(2a)および(2b)の処理を行う。(2a)キーワード取出部163では、分析した内容からターゲットとするキーワードを抽出する。(2b)文脈分析部164では、抽出したキーワードとオントロジー辞書データ26、カウンセリングナレッジデータ28、および文脈オブジェクトデータ27を利用して新たな文脈状態を判断し文脈オブジェクトデータ27に保存する。

【0124】
(3)文脈指向推論手段17は、文脈ベース推論エンジン171が起動され処理する。文脈ベース推論エンジン171は、下記の処理をする。
(3a)初期(デフォルト)主文脈を活性化する。
(3b)目標を達成するか、達成不可能と判断されるまで、下記の処理を繰り返す。
(3b-a)ミッションの目標に達したら、(3c)に進み、終了する。
(3b-b)ほかのミッション終了基準に達したら、(3d)に進み、終了する。
(3b-c)全遷移規制の条件部を評価し、新主文脈へ遷移すべき状況ならば、これを活性化し、(3b-a)に戻る。
(3b-d)制御関数があれば、それを実行して、エージェントの行動を制御する。
(3b-e)全行動規制の条件部を評価し、下位文脈を活性化すべきなら、活性化し、その中の(3b-d)を実行する。
(3b-f)(3b-a)に戻る。
(3c)ミッション成功。
(3d)ミッション停止。

【0125】
第1の変形例に係る内省支援装置1aは、ユーザとの対話において、ユーザ自身の経験を整理する際、ユーザ自身の内省を促進し、エージェントとの信頼感を構築することができる。また、内省支援装置1aは、ユーザの話す事柄や感情のキーワードを利用し、徹底した文脈を維持しての応答を繰り返すことにより、ユーザの意識を内省により整理し、改善の気づきをえることの実現を可能とする。このように、第1の変形例に係る内省支援装置1aによる処理においても、ユーザの内省を支援することができる。

【0126】
(第2の変形例)
第2の変形例において、カウンセラーを代理して、ユーザと対話する対話装置2を説明する。第2の変形例に係る対話装置2は、本発明の実施の形態に係る内省支援装置1および第1の変形例に係る内省支援装置1aのうち、ユーザとエージェントとの対話を円滑に勧めるための信頼構築に関する機能を実現する。対話装置2は、図20に示すように、中央処理制御装置10、記憶装置20、入力装置30および出力装置40を備え、対話プログラムがインストールされた一般的なコンピュータである。

【0127】
対話装置2における記憶装置20は、カウンセラーを紹介するエージェント開始挨拶データと、当該カウンセラーの経験に関するエージェント経験データとを含むテンプレートデータ22を記憶する。

【0128】
また対話装置2は、信頼関係を構築するよう支援する信頼関係構築手段18を備える。信頼関係構築手段18は、テンプレートデータ22のエージェント開始挨拶データを表示し、エージェント経験データを表示する。信頼関係構築手段18は、ユーザに職業を問い合わせた後、ユーザの職業を取得し、ユーザの職業に対応する経験を問い合わせる。

【0129】
このとき信頼関係構築手段18は、図15に示す職業毎の経験値の整理項目に基づいて、ユーザの職業に対応する経験を問い合わせる。具体的には、ユーザが理系学生の場合、信頼関係構築手段18は、高校時代の体験項目、大学の入学の目的および大学での体験項目を順次問い合わせる。

【0130】
このように第2の変形例に係る対話装置2は、エージェントの挨拶データを表示し、エージェントの経験データを表示した後、ユーザに職業を問い合わせる。コンピュータが、あるカウンセラーを代理するエージェントとして機能し、このエージェントの挨拶および経験を表示した後、ユーザに問い合わせすることで、ユーザに、コンピュータに対して親密さを感じさせ、ユーザ自身の情報を入力しやすくすることができる。

【0131】
また第2の変形例に係る対話装置2は、その後、ユーザの職業に応じた経験を問い合わせることで、ユーザの属性に応じた対話を継続することができる。またこのような対話を継続することで、さらに、ユーザがコンピュータにユーザ自身の情報を入力しやすい状況を作りだす。これにより、本発明の実施の形態や第1の変形例で説明した様に、コンピュータによる、ユーザ自身の属性に応じたカウンセリングを可能とする。

【0132】
(その他の実施の形態)
上記のように、本発明の実施の形態とその第1および第2の変形例によって記載したが、この開示の一部をなす論述および図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例および運用技術が明らかとなる。

【0133】
例えば、本発明の実施の形態に記載した内省支援装置は、図2に示すように一つのハードウェア上に構成されても良いし、その機能や処理数に応じて複数のハードウェア上に構成されても良い。また、既存の情報処理装置上に実現されても良い。

【0134】
本発明はここでは記載していない様々な実施の形態等を含むことは勿論である。従って、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
【符号の説明】
【0135】
1 内省支援装置
2 対話装置
10 中央処理制御装置
11 課題特定手段
12 課題解決支援手段
16 自然言語対話処理手段
17 文脈指向推論手段
18 信頼関係構築手段
20 記憶装置
21 属性データ
22 テンプレートデータ
26 オントロジー辞書データ
27 文脈オブジェクトデータ
28 カウンセリングナレッジデータ
30 入力装置
40 出力装置
161 初期終了処理部
162 対話テキスト分析部
163 キーワード取出部
164 文脈分析部
165 対話テキスト出力部
171 文脈ベース推論エンジン
172 文脈指向カウンセリング処理部
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10
【図12】
11
【図13】
12
【図14】
13
【図15】
14
【図16】
15
【図17】
16
【図18】
17
【図19】
18
【図20】
19