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明細書 :α-アシロキシカルボニル化合物の製法及び新規なα-アシロキシカルボニル化合物

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5770160号 (P5770160)
登録日 平成27年7月3日(2015.7.3)
発行日 平成27年8月26日(2015.8.26)
発明の名称または考案の名称 α-アシロキシカルボニル化合物の製法及び新規なα-アシロキシカルボニル化合物
国際特許分類 C07C  67/00        (2006.01)
C07C  69/78        (2006.01)
C07C  69/63        (2006.01)
C07C  69/14        (2006.01)
C07C  69/24        (2006.01)
C07C  69/54        (2006.01)
C07C  69/653       (2006.01)
C07C 205/61        (2006.01)
C07C 205/57        (2006.01)
C07D 233/64        (2006.01)
C07D 213/50        (2006.01)
C07D 333/22        (2006.01)
C07D 309/30        (2006.01)
C07C 201/12        (2006.01)
C07B  61/00        (2006.01)
FI C07C 67/00
C07C 69/78 CSP
C07C 69/63
C07C 69/14
C07C 69/24
C07C 69/54 Z
C07C 69/653
C07C 205/61
C07C 205/57
C07D 233/64 103
C07D 213/50
C07D 333/22
C07D 309/30 C
C07C 201/12
C07B 61/00 300
請求項の数または発明の数 11
全頁数 29
出願番号 特願2012-503280 (P2012-503280)
出願日 平成23年3月4日(2011.3.4)
国際出願番号 PCT/JP2011/055043
国際公開番号 WO2011/108696
国際公開日 平成23年9月9日(2011.9.9)
優先権出願番号 2010049003
優先日 平成22年3月5日(2010.3.5)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成26年1月10日(2014.1.10)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504139662
【氏名又は名称】国立大学法人名古屋大学
【識別番号】000006035
【氏名又は名称】三菱レイヨン株式会社
発明者または考案者 【氏名】石原 一彰
【氏名】ウヤヌク ムハメット
個別代理人の代理人 【識別番号】110000017、【氏名又は名称】特許業務法人アイテック国際特許事務所
審査官 【審査官】高橋 直子
参考文献・文献 特開昭62-081345(JP,A)
特開2007-304545(JP,A)
特開2009-144071(JP,A)
特開2005-099327(JP,A)
韓国公開特許第10-2011-0029576(KR,A)
Proceedings of SPIE-The International Society for Optical Engineering,2003年,5039(Pt.2),682-688
Journalof the American Chemical Society,2005年,127(35),12244-12245
Chem. Commun.,2009年,2073-2085
Advanced Synthesis & Catalysis,2010年,352,531-546
鈴木大介、外2名,超原子価ヨウ素化合物を触媒に用いるカルボニル化合物とカルボン酸の酸化的分子間カップリング反応,日本化学会講演予稿集,2010年 3月12日,Vol.90th, No.4,1307
Tetrahedron,2008年,64(27),6196-6201
Organic Letters,2004年,6(17),2905-2908
調査した分野 C07C 67/00
C07C 69/14
C07C 69/24
C07C 69/54
C07C 69/63
C07C 69/653
C07C 69/78
C07C 201/12
C07C 205/57
C07C 205/61
C07D 213/50
C07D 233/64
C07D 309/30
C07D 333/22
C07B 61/00
CAplus/REGISTRY(STN)
CASREACT(STN)
特許請求の範囲 【請求項1】
酸化剤であるヒドロペルオキシドと触媒前駆体であるヨージド塩とを用いて、カルボン酸とα位に水素原子を持つケトン、アルデヒド及びエステルからなる群より選ばれたカルボニル化合物との分子間反応を行うことにより、前記カルボニル化合物のα位に前記カルボン酸由来のアシロキシ基を導入する、
α-アシロキシカルボニル化合物の製法。
【請求項2】
前記ヒドロペルオキシドは、有機ヒドロペルオキシドである、
請求項1に記載のα-アシロキシカルボニル化合物の製法。
【請求項3】
前記ヒドロペルオキシドは、前記カルボン酸及び前記カルボニル化合物のうちモル数の少ないものに対して1~5当量使用する、
請求項1又は2に記載のα-アシロキシカルボニル化合物の製法。
【請求項4】
前記ヨージド塩は、アンモニウムヨージド、ホスホニウムヨージド及びアルカリ金属ヨージドからなる群より選ばれた1種以上である、
請求項1~3のいずれか1項に記載のα-アシロキシカルボニル化合物の製法。
【請求項5】
前記ヨージド塩は、前記カルボン酸及び前記カルボニル化合物のうちモル数の少ないものに対して1~50mol%使用する、
請求項1~4のいずれか1項に記載のα-アシロキシカルボニル化合物の製法。
【請求項6】
反応溶媒として、エーテル系溶媒、エステル系溶媒及びニトリル系溶媒からなる群より選ばれる1種以上を用いる、
請求項1~5のいずれか1項に記載のα-アシロキシカルボニル化合物の製法。
【請求項7】
25℃以上で反応を行う、
請求項1~6のいずれか1項に記載のα-アシロキシカルボニル化合物の製法。
【請求項8】
前記カルボニル化合物は、部分構造に-C(=O)-CH2-を有する、
請求項1~7のいずれか1項に記載のα-アシロキシカルボニル化合物の製法。
【請求項9】
アミンの存在下で反応を行う、
請求項1~8のいずれか1項に記載のα-アシロキシカルボニル化合物の製法。
【請求項10】
前記カルボン酸は、不飽和脂肪族カルボン酸である、
請求項1~9のいずれか1項に記載のα-アシロキシカルボニル化合物の製法。
【請求項11】
下記式(1)で表される新規なα-アシロキシカルボニル化合物。
【化1】
JP0005770160B2_000016t.gif
式(1)中、
Arはフェニル基、1以上のアルキル基を有するフェニル基又は1以上のハロゲン原子を有するフェニル基であり、
Rはアルキル基であり、
Xはアルキル基又はハロゲン原子であり、
mは0~4の整数であり、
nは1~4の整数であり
AはO,S,NH,NR又はCHR(Rはアルキル基)である。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、α-アシロキシカルボニル化合物の製法及び新規なα-アシロキシカルボニル化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
α-オキシカルボニル化合物は数多くの天然物や医薬品の有用な骨格である。α-アシロキシカルボニル化合物の従来の合成法では、猛毒な重金属酸化剤(Pb,Mn,Tl)を化学量論量用いられた。最近、超原子価ヨウ素化合物を重金属酸化剤の代わりに用いる合成法も報告されている。最近の例として、落合らのケトンと酢酸の分子間カップリング反応がある(非特許文献1)。具体的には、酢酸溶媒中、化学量論量のルイス酸存在下、触媒量のヨードベンゼンとメタクロロ過安息香酸(mCPBA)からin situで調製される超原子価ヨウ素化合物を用いて、ケトンのα位がアシロキシ化された化合物を得ている。
【先行技術文献】
【0003】

【非特許文献1】ジャーナル・オブ・アメリカン・ケミカル・ソサエティ(J. Am. Chem. Soc.),2005年,127巻,12244頁
【発明の開示】
【0004】
しかしながら、上述した方法では、反応基質に対して3当量以上のルイス酸(BF3・Et2O)が不可欠である。また、反応基質である酢酸は溶媒量つまり大過剰使用されている。更に、反応基質の適応範囲はそれほど広いものではない。
【0005】
本発明はこのような課題を解決するためになされたものであり、α-アシロキシカルボニル化合物の製法であって、ルイス酸を使用したり反応基質であるカルボン酸を大過剰に使用したりする必要がなく、反応基質の適応範囲が広い方法を提供することを主目的とする。
【0006】
上述した目的を達成するために、本発明者らは、ヨージド塩とヒドロペルオキシドとを用いて、カルボン酸とα位に水素原子を持つケトン、アルデヒド及びエステルからなる群より選ばれたカルボニル化合物との分子間α-アシロキシ化反応を試みたところ、目的とするα-アシロキシカルボニル化合物が高収率で得られることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0007】
即ち、本発明のα-アシロキシカルボニル化合物の製法は、酸化剤であるヒドロペルオキシドと触媒前駆体であるヨージド塩とを用いて、カルボン酸とα位に水素原子を持つケトン、アルデヒド及びエステルからなる群より選ばれたカルボニル化合物との分子間反応を行うことにより、前記カルボニル化合物のα位に前記カルボン酸由来のアシロキシ基を導入するものである。
【0008】
本発明のα-アシロキシカルボニル化合物の製法によれば、ルイス酸を使用したり反応基質であるカルボン酸を大過剰に使用したりする必要がなく、α-アシロキシカルボニル化合物を得ることができる。また、カルボン酸由来のアシロキシ基が導入されるカルボニル化合物として、ケトン、アルデヒド、エステルを用いることができ、反応基質の適応範囲が広い。こうしたα-アシロキシカルボニル化合物の製法は、下記式にしたがって反応が進行するものと考えている。なお、下記式では、便宜上、カルボニル化合物としてプロピオフェノンを例示し、カルボン酸として安息香酸を例示した。まず、ヨージド塩(Z+-:但し、Z+はカウンターカチオン)とヒドロペルオキシド(ROOH:Rは水素又はアルキル)とが反応して、超原子価ヨウ素化合物とヒドロペルオキシドの還元体(ROH)とが生成する。次に、生成した超原子価ヨウ素化合物が触媒として機能してカルボニル化合物とカルボン酸との分子間反応が進行し、α-アシロキシカルボニル化合物が生成する。このとき、超原子価ヨウ素化合物は再びヨージド塩(触媒前駆体)に戻る。
【0009】
【化1】
JP0005770160B2_000002t.gif

【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明のα-アシロキシカルボニル化合物の製法は、酸化剤であるヒドロペルオキシドと触媒前駆体であるヨージド塩とを用いて、カルボン酸とα位に水素原子を持つケトン、アルデヒド及びエステルからなる群より選ばれたカルボニル化合物との分子間反応を行うことにより、前記カルボニル化合物のα位に前記カルボン酸由来のアシロキシ基を導入するものである。
【0011】
本発明のα-アシロキシカルボニル化合物の製法において、ヒドロペルオキシドとしては、過酸化水素水や有機ヒドロペルオキシドが挙げられるが、有機ヒドロペルオキシドが好ましい。また、有機ヒドロペルオキシドとしては、t-ブチルヒドロペルオキシドやクメンヒドロペルオキシドが挙げられるが、t-ブチルヒドロペルオキシドが好ましい。なお、過酸化水素水は、安価であるため、α-アシロキシカルボニル化合物の収率が有機ヒドロペルオキシドに比べて低くても、経済的観点から有利になることがある。また、ヒドロペルオキシドは、カルボン酸及びカルボニル化合物のうちモル数の少ないものに対して1~5当量使用することが好ましく、1.1~2.5当量使用することがより好ましい。使用量が少なすぎると、反応機構から考えて反応が終了しないことがあるため好ましくなく、使用量が多すぎると、それによって収率が大きく向上することがないため経済的見地から好ましくない。ヒドロペルオキシドの使用形態としては、溶媒で希釈された形態のものが好ましく、その場合、溶媒として有機溶媒(例えばデカンなどの炭化水素系溶媒)を用いてもよいし水を用いてもよい。
【0012】
本発明のα-アシロキシカルボニル化合物の製法において、ヨージド塩としては、アンモニウムヨージドやホスホニウムヨージド、アルカリ金属ヨージドなどが挙げられる。アンモニウムヨージドとしては、テトラアルキルアンモニウムヨージド(テトラアルキルの4つのアルキルは、すべて同じであってもよいし、2つ又は3つが同じであってもよいし、すべて異なっていてもよい)、テトラアリールアンモニウムヨージド(テトラアリールの4つのアリールは、すべて同じであってもよいし、2つ又は3つが同じであってもよいし、すべて異なっていてもよい)、テトラアリールアルキルアンモニウムヨージド(テトラアリールアルキルの4つのアリールアルキルは、すべて同じであってもよいし、2つ又は3つが同じであってもよいし、すべて異なっていてもよい)などのほか、アルキルとアリールとが混在したりアルキルとアリールアルキルとが混在したりアリールとアリールアルキルとが混在したアンモニウムヨージドなどが挙げられる。こうしたアンモニウムヨージドとしては、テトラメチルアンモニウムヨージド、テトラエチルアンモニウムヨージド、テトラプロピルアンモニウムヨージド、テトラブチルアンモニウムヨージド、テトラペンチルアンモニウムヨージド、テトラヘキシルアンモニウムヨージド、テトラヘプチルアンモニウムヨージド、テトラ-n-オクチルアンモニウムヨージド、テトラオクタデシルアンモニウムヨージド、エチルトリメチルアンモニウムヨージド、エチルトリプロピルアンモニウムヨージド、トリメチルフェニルアンモニウムヨージド、トリエチルフェニルアンモニウムヨージド、(1,2-ジフェニルプロピル)トリメチルアンモニウムヨージド、トリメチル-(1-フェニルエチル)アンモニウムヨージド、ベンジルトリエチルアンモニウムヨージドなどが挙げられるが、このうち炭素数1~18のアルキル基を4つ有するアンモニウムヨージドが好ましい。ホスホニウムヨージドについても、アンモニウムヨージドと同様である。ホスホニウムヨージドとしては、テトラフェニルホスホニウムヨージド、メチルトリフェニルホスホニウムヨージド、トリブチルメチルホスホニウムヨージドなどが挙げられるが、このうちテトラフェニルホスホニウムヨージドやメチルトリフェニルホスホニウムヨージドが好ましい。アルカリ金属ヨージドとしては、ヨウ化カリウムやヨウ化ナトリウムなどが挙げられる。こうしたアルカリ金属ヨージドを有機溶媒中で用いる場合には、溶解度を高めるために、アルカリ金属イオンを取り込むことが可能なクラウンエーテルなどの環状エーテルを併用することが好ましい。例えば、ヨウ化カリウムと18-クラウン-6とを組み合わせて用いることが好ましい。また、ヨージド塩は、カルボン酸及びカルボニル化合物のうちモル数の少ないものに対して1~50mol%使用することが好ましく、5~20mol%使用することがより好ましい。使用量が少なすぎると、反応速度が遅くなり、反応終了までに長期間を要するため好ましくなく、使用量が多すぎると、それによって収率が大きく向上することがないため経済的見地から好ましくない。
【0013】
本発明のα-アシロキシカルボニル化合物の製法において、反応溶媒として、エーテル系溶媒、エステル系溶媒及びニトリル系溶媒からなる群より選ばれる1種以上を用いることが好ましい。反応基質に用いるカルボン酸やカルボニル化合物を反応溶媒として兼用してもよいが、高価な反応基質を用いる場合には好ましくない。このため、通常知られている反応溶媒を用いることになるが、その場合にはエーテル系溶媒、エステル系溶媒及びニトリル系溶媒からなる群より選ばれる1種以上を用いることが好ましく、エステル系溶媒を用いることがより好ましい。エーテル系溶媒としては、ジエチルエーテルやテトラヒドロフラン、1,4-ジオキサンなどが挙げられる。エステル系溶媒としては、酢酸メチルや酢酸エチルなどが挙げられる。ニトリル系溶媒としては、アセトニトリルやプロピオニトリル、ブチロニトリルなどが挙げられる。なお、酸化剤が水分を含んでいるものであっても反応が進行することから、反応系内から積極的に水分を除去する必要はない。
【0014】
本発明のα-アシロキシカルボニル化合物の製法において、反応温度は、反応基質に応じて適宜設定すればよいが、25℃以上が好ましく、50℃以上がより好ましい。25℃未満では、反応速度が遅くなり反応が終了するまでに長期間を要するため好ましくない。反応温度の上限は、反応基質が分解せず副反応が支配的にならないように適宜設定すればよいが、例えば100℃以下としてもよい。また、反応時間も、反応基質に応じて適宜設定すればよい。
【0015】
本発明のα-アシロキシカルボニル化合物の製法において、カルボニル化合物は、カルボニル炭素にメチレン(-CH-)が結合していること、つまり部分構造に-C(=O)-CH-を有することが好ましい。この場合、α位の水素原子はこのメチレンの水素原子である。カルボニル炭素にメチルやメチンが結合している場合よりもメチレンが結合している場合の方が、カルボニル化合物のα-アシロキシ化反応が進行しやすいため好ましい
【0016】
本発明のα-アシロキシカルボニル化合物の製法において、反応基質であるカルボニル化合物とカルボン酸の適応範囲はかなり広い。カルボニル化合物としては、ケトン、アルデヒド、エステルのいずれかを使用することができる。この中には、1,3-ジケトン、1,3-ジアルデヒド、1,3-ジエステル、1,3-ケトアルデヒド、1,3-ケトエステルも含まれる。こうしたカルボニル化合物としては、R-C(=O)-CH-R又はR-C(=O)-CH-C(=O)-Rで表されるものが挙げられる。Rとしては、例えば、水素原子、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロ環、アルコキシ、シクロアルコキシ、アリーロキシなどが挙げられ、水素原子以外のものは置換基を有していてもよい。Rとしては、例えば、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロ環、アルコキシ、シクロアルコキシ、アリーロキシなどが挙げられ、これらは置換基を有していてもよい。Rとしては、例えば、水素原子、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロ環、アルコキシ、シクロアルコキシ、アリーロキシなどが挙げられ、これらは置換基を有していてもよい。また、RとRは、互いに結合して炭化水素鎖を形成していてもよく、炭化水素鎖の少なくとも1つの水素原子が置換基で置換されていてもよい。RとRも、互いに結合して炭化水素鎖を形成していてもよく、その炭化水素鎖の少なくとも1つの水素原子が置換基で置換されていてもよい。なお、炭化水素鎖の1つの炭素原子がヘテロ原子(O,S,NH,NR:但しRはアルキル)に置換されていてもよい。そのようなカルボニル化合物としては、テトラヒドロピラノン、インダノン、テトラロン及びそれらの誘導体などが挙げられる。
【0017】
アルキルとしては、特に限定されないが、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、s-ブチル、t-ブチルなどが挙げられる。シクロアルキルとしては、特に限定されないが、例えば、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどが挙げられる。アルケニルとしては、特に限定されないが、例えば、エテニル、プロペニル、ブテニルなどが挙げられる。シクロアルケニルとしては、特に限定されないが、例えば、シクロペンテニル、シクロヘキセニルなどが挙げられる。アルキニルとしては、特に限定されないが、例えば、エチニル、プロピニル、ブチニルなどが挙げられる。アルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル及びアルキニルが置換基を有する場合、その置換基としてはハロゲン原子、ニトロ、ニトリル、アリール、ヘテロ環、アルコキシカルボニル、アルコキシ、シリルオキシなどが挙げられる。なお、アリールやヘテロ環の具体例は後述する。
【0018】
アリールとしては、特に限定されないが、例えば、フェニル、ナフチル及びそれらの少なくとも1つの水素原子が置換基で置換されたものなどが挙げられる。ヘテロ環としては、特に限定されないが、例えば、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジニル、トリアジニル、テトラジニル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリルなどのほか、それらとベンゼン、ナフタレン又はシクロアルカンとの縮環化合物などが挙げられ、更に、少なくとも1つの水素原子が置換基で置換されたものなどが挙げられる。これらの場合の置換基としては、ハロゲン原子、ニトロ、ニトリル、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、アルコキシ、シクロアルコキシ、アリールなどが挙げられる。アルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アリール及びアルキニルの具体例は、上述した通りである。また、アルコキシ及びシクロアルコキシの具体例は、後述する。
【0019】
アルコキシとしては、特に限定されないが、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、イソブトキシ、s-ブトキシ、t-ブトキシ、ベンジルオキシ、t-ブチルジメチルシリルオキシ、メトキシメチルオキシなどが挙げられる。シクロアルコキシとしては、特に限定されないが、例えば、シクロプロポキシ、シクロペントキシ、シクロヘキソキシなどが挙げられる。アリロキシとしては、特に限定されないが、例えば、フェノキシ、ナフトキシ及びそれらの少なくとも1つの水素原子が置換されたものなどが挙げられる。この場合の置換基としては、ハロゲン原子、ニトロ、ニトリル、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、アルコキシ、シクロアルコキシなどが挙げられ、それらの具体例は上述した通りである。
【0020】
反応基質の具体例としては、例えば、上述したRa-C(=O)-CH2-Rb又はRa-C(=O)-CH2-C(=O)-Rcで表されるカルボニル化合物において、Ra、Rb、及びRcが以下に示される置換基から選ばれるものが挙げられる。即ち、Raが水素原子、メチル、t-ブトキシ、フェニル、メチルフェニル、エチルフェニル、ハロゲン化フェニル、メトキシフェニル、ビフェニル、メチルイミダゾリル、フェニルイミダゾリル、メトキシ、ピリジル、ベンジル、又はチエニルを示し、Rbが水素原子、ベンジル、フェニル、又はC1~C16アルキル基(但し、フェニル基又はアルキル基はハロゲン(特にクロロ又はブロモ)、フェニル、エトキシカルボニル、ベンジルオキシ、t-ブチルジメチルシリルオキシ、又はメトキシメチルオキシで置換されていてもよく、二重結合をその一部に有するものであってもよい)を示し、及び、Rcが水素原子、メチル、t-ブトキシ、フェニル、メチルフェニル、エチルフェニル、ハロゲン化フェニル、メトキシフェニル、ビフェニル、メチルイミダゾリル、フェニルイミダゾリル、メトキシ、ピリジル、ベンジル、又はチエニルを示す化合物から選ばれるカルボニル化合物を用いることができる。また、Raと—Rbと—C(=O)CH2—とが互いに結合して、シクロアルカン、例えば、シクロヘキサン、又はシクロペンタンを形成したカルボニル化合物であってもよい。更には当該シクロアルカンと芳香環、例えば、フェニルとの縮合環化合物であってもよい。シクロアルカン及び芳香環は、置換基、例えば、アルキル基(特に、t-ブチル基)、又は、ハロゲン(特に、ブロモ)を有していてもよい。或いは、Raと—Rbと—C(=O)CH2—とが互いに結合して、環状エーテル、例えばテトラヒドロピランを形成していてもよい。
【0021】
本発明のα-アシロキシカルボニル化合物の製法において、α-アシロキシ化反応を促進したり副生成物の生成を抑制したりするために添加剤を用いてもよい。こうした添加剤としては、アミンが好ましく、1級又は2級アミンがより好ましい。具体的には、ピロリジン、ピペリジン、2,2,6,6-テトラアルキルピペリジン、モルフォリン、4-フェニルブチルアミンなどが挙げられる。こうした添加剤は、特に反応基質がアルデヒドの場合に有効である。
【0022】
なお、その他にも、例えば天然物の合成中間体や医薬、農薬の合成中間体、重合体のモノマーなどが部分構造としてケトン、アルデヒド及びエステルのいずれかのカルボニル骨格を有している場合、その合成中間体やモノマーを反応基質として使用することもできる。
【0023】
本発明のα-アシロキシカルボニル化合物の製法において、もう一方の反応基質であるカルボン酸の適応範囲もかなり広い。カルボン酸としては、RdCO2Hで表されるものが好ましい。Rdとしては、例えば、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロ環などが挙げられ、水素原子以外のものは置換基を有していてもよい。これらの具体例は上述したとおりである。こうしたカルボン酸の代表例としては、酢酸、プロパン酸、ブタン酸、ペンタン酸などの飽和脂肪族カルボン酸、アクリル酸、メタクリル酸などの不飽和脂肪族カルボン酸、安息香酸などの芳香族カルボン酸等が挙げられる。このうち、不飽和脂肪族カルボン酸は、本発明のα-アシロキシカルボニル化合物の製法が酸化反応であるにもかかわらず、不飽和結合が酸化されたり重合反応が進行したりすることなく、分子間酸化的カップリング反応が選択的に効率よく進行した。
【0024】
本発明のα-アシロキシカルボニル化合物の製法において、カルボニル化合物及びカルボン酸の使用量は、反応性を考慮して適宜設定すればよい。カルボン酸とカルボニル化合物との混合比は、好ましくは0.5:2~2:0.5、より好ましくは1:2~2:1である。経済的な見地からすると、カルボニル化合物に対してカルボン酸を1当量用いるのが好ましいが、カルボニル化合物に比べてカルボン酸の価格が高い場合とかカルボニル化合物が過剰量存在した方が反応性に優れる場合には、カルボニル化合物に対してカルボン酸の使用量を1当量より少なくしてもよい。逆に、カルボン酸に比べてカルボニル化合物の価格が高い場合とかカルボン酸が過剰量存在した方が反応性に優れる場合には、カルボニル化合物に対してカルボン酸の使用量を1当量より多くしてもよい。
【0025】
本発明のα-アシロキシカルボニル化合物は、下記式(1)で表されるものである。
【化2】
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ここで、Arはフェニル基、1以上のアルキル基を有するフェニル基又は1以上のハロゲン原子を有するフェニル基であり、Rはアルキル基であり、Xはアルキル基又はハロゲン原子であり、mは0~4の整数であり、nは1~4の整数であり、k,k’はそれぞれ0~4の整数で且つk+k’が1~4の整数であり、AはO,S,NH,NR又はCHR(Rはアルキル基)である。
【0026】
アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基などの炭素数1~8の分岐を有していてもよいアルキル基が挙げられる。ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などが挙げられる。上述した本発明の製法は、このような式(1)のα-アシロキシカルボニル化合物を製造するのに適している。また、式(1)のα-アシロキシカルボニル化合物は、アクリル酸骨格又はメタクリル酸骨格を有するため、ポリマーを合成するためのモノマーとして有用である。こうしたモノマーを重合して得られるポリマーは、高い耐熱性あるいは高い屈折率を有することが期待されたり、硬化収縮を抑制することが期待されたりする。
【0027】
式(1)のα-アシロキシカルボニル化合物としては、例えば、下記式に示すものが挙げられる。
【0028】
【化3】
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【0029】
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
【実施例】
【0030】
[実施例1]
プロピオフェノン(134mg,1.0mmol)と、安息香酸(61.1mg,0.5mmol)と、Bu4NI(18.5mg,0.05mmol,安息香酸に対して10mol%)を酢酸エチル(5mL)に溶かし、TBHP(5.5M デカン溶液(Aldrich製);0.18mL,1.0mmol,安息香酸に対して2当量)を室温で入れた。反応混合液を75℃のオイルバスに入れて24時間加熱しなら撹拌した。反応終了後、反応液を室温に冷やして、Na223水溶液とNaHCO3水溶液で洗った。水層を酢酸エチルで抽出して、有機層を食塩水と水で洗った。得られた有機層を無水Na2SO4で乾燥させた。溶媒をエバポレーターで除いた後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒はHexane:EtOAc=20:1(v/v))によって目的とする生成物である2-ベンゾイロキシ-1-フェニル-1-プロパノンを単離した(126mg,0.495mmol,収率99%)。
【0031】
得られた生成物のスペクトルデータは以下の通り。 1H NMR (CDCl3, 400MHz) δ 1.68 (d, J=6.9Hz, 3H), 6.21(q, J=6.9Hz, 1H), 7.43-7.51(m, 4H), 7.56-7.62(m, 2H), 8.01(d, J=6.9Hz, 2H), 8.09(d, J=7.3Hz, 2H); 13C NMR(CDCl3, 100 MHz) δ 17.1, 71.8, 128.3(2C), 128.4(2C), 128.7(2C), 129.4, 129.7(2C), 133.2, 133.5, 134.3, 165.8, 196.6.
【0032】
[実施例2]
実施例1において、安息香酸を1.0mmol、Bu4NIを0.1mmol(安息香酸に対して10mol%)、TBHPを2.0mmol(安息香酸に対して2当量)使用し、50時間加熱した以外は、実施例1と同様にして生成物を得た。収率は80%であった。
【0033】
[実施例3]
実施例1において、安息香酸を2.0mmol、Bu4NIを0.1mmol(プロピオフェノンに対して10mol%)、TBHPを2.0mmol(プロピオフェノンに対して2当量)使用し、68時間加熱した以外は、実施例1と同様にして生成物を得た。収率は80%であった。
【0034】
[実施例4]
実施例1において、安息香酸を1mmol、Bu4NIを0.1mmol(安息香酸に対して10mol%)、TBHPを1.1mmol(安息香酸に対して1.1当量)使用し、29時間加熱した以外は、実施例1と同様にして生成物を得た。収率は76%であった。
【0035】
[実施例5]
実施例4において、TBHP(5.5M デカン溶液)の代わりにTBHP(70%水溶液)を1.1mmol(安息香酸に対して1.1当量)使用した以外は、実施例4と同様にして生成物を得た。収率は72%であった。
【0036】
[実施例6]
実施例1において、安息香酸を1.0mmol、Bu4NIの代わりに(C18374NIを0.1mmol(安息香酸に対して10mol%)、TBHPを2.0mmol(安息香酸に対して2当量)使用し、47時間加熱した以外は、実施例1と同様にして生成物を得た。収率は92%であった。なお、(C18374NIは、(C18374NBrから常法により調製した。
【0037】
[実施例7]
実施例1において、安息香酸を1.0mmol、Bu4NIの代わりにPh4PIを0.1mmol(安息香酸に対して10mol%)、TBHPを2.0mmol(安息香酸に対して2当量)使用し、52時間加熱した以外は、実施例1と同様にして生成物を得た。収率は76%であった。
【0038】
[実施例8]
実施例1において、安息香酸を1.0mmol、Bu4NIの代わりにPh3MePIを0.1mmol(安息香酸に対して10mol%)、TBHPを2.0mmol(安息香酸に対して2当量)使用した以外は、実施例1と同様にして生成物を得た。収率は76%であった。
【0039】
[実施例9]
実施例1において、Bu4NIの代わりにKIを0.05mmol(安息香酸に対して10mol%)、18-クラウン-6を0.05mmol(安息香酸に対して10mol%)使用した以外は、実施例1と同様にして生成物を得た。収率は84%であった。なお、18-クラウン-6を用いなかった場合には、ヨウ化カリウムが溶媒に溶解しないため、活性が低かった。
【0040】
実施例1~9の結果を表1に示す。酸化剤の当量や収率は、ケトン及びカルボン酸のうちモル数の少ない方を基準として計算した。表1から明らかなように、触媒前駆体としてアンモニウムヨージドを用いた場合、ケトンとカルボン酸の混合比が2:1(実施例1)の場合には定量的に反応が進行し、混合比が1:1(実施例2)や1:2(実施例3)の場合でも効率よく反応が進行した。また、触媒前駆体として、テトラブチルアンモニウムヨージド(実施例1~5)やテトラオクタデシルアンモニウムヨージド(実施例6)を用いた場合のほか、テトラフェニルホスホニウムヨージド(実施例7)やメチルトリフェニルホスホニウムヨージド(実施例8)を用いた場合でも、アルカリ金属のヨージドを用いた場合(実施例9)でも効率よく反応が進行した。また、酸化剤に水分が含まれている場合(実施例5)でも、水分が含まれていない場合(実施例4)と遜色ない程度に反応が進行した。
【0041】
【表1】
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【0042】
なお、表1には示さなかったが、TBHPの代わりに30%過酸化水素水(「%」は質量%である)を用いた場合、TBHPを用いた場合に比べて収率は低かったものの、目的とする生成物を得ることができた。また、反応溶媒として、THFや1,4-ジオキサン、ジエチルエーテル、アセトニトリルを用いた場合も、酢酸エチルを用いた場合と同等か若干低い収率で目的とする生成物を得ることができた。反応溶媒として、ジクロロエタンやトルエンを用いた場合には、目的とする生成物は得られたが、酢酸エチルを用いた場合に比べて収率が低かった。表2に、各種溶媒を用いて、実施例1に準じて反応を行ったときの結果を示す。但し、反応温度は75℃ではなく、50℃とした。実施例10は、実施例3と比べて反応温度が75℃から50℃に低くなっているため、その分収率が低くなっている。この実施例10は溶媒が酢酸エチルであるが、溶媒をTHF(実施例11)、アセトニトリル(実施例12)、ジエチルエーテル(実施例13)に変更した場合でも、同等か若干低い収率で目的とする生成物が得られた。このことから、実施例11~13の溶媒は、酢酸エチルと同様、今回の反応に適していることがわかる。
【0043】
【表2】
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【0044】
[実施例14~42]
カルボニル化合物とカルボン酸との分子間酸化的カップリング反応を種々検討した。ここでは、表3及び表4に示す生成物が得られるようなカルボニル化合物R1C(=O)CH22とカルボン酸R3COOHとを用いて、表3及び表4に示すカルボン酸のモル数、反応条件で実施例1に準じて反応を行った。その結果を表3及び表4に示す。酸化剤の当量や収率は、ケトン及びカルボン酸のうちモル数の少ない方を基準として計算した。
【0045】
実施例14~24のように、プロピオフェノンのベンゼン環の置換基(R)を電子供与基や電子吸引基のいずれにした場合でも、効率よく反応が進行した。特に、実施例16や実施例18では、50℃でもほぼ定量的に反応が進行した。また、実施例25,26のように、安息香酸のベンゼン環の置換基(R)を電子供与基や電子吸引基のいずれにした場合でも、効率よく反応が進行した。また、実施例27,28のように、脱保護が容易なイミダゾリ-2-イル基をカルボニル炭素の隣接基として導入した基質においても、効率よく反応が進行した。また、実施例29~35のように、芳香族カルボン酸に限らず、飽和脂肪族カルボン酸や不飽和脂肪族カルボン酸でも生成物が高収率で得られた。特に、アクリル酸(実施例32,33)やメタクリル酸(実施例34,35)は重合しやすい不飽和脂肪族カルボン酸であるが、いずれも重合反応ではなく分子間酸化的カップリング反応が選択的に効率よく進行した。更に、プロピオフェノンの代わりに、実施例36~38のようにブチルフェニルケトン、クロロプロピルフェニルケトンを用いた場合や実施例39のように環状の脂肪族ケトンを用いた場合のほか、実施例40,41のように1,3-ジケトンや1,3-ジエステルを用いた場合でも、比較的効率よく反応が進行した。興味深いことに、実施例42のようにアルデヒドを用いた場合でも、反応が速やかに進行し、高収率で目的とする生成物が得られた。表3,4には示さなかったが、プロピオフェノンの代わりにアセトフェノンを用いた場合には、目的とする生成物は得られたものの、収率は低かった。
【0046】
【表3】
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【0047】
【表4】
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【0048】
実施例14~42で得られた生成物のスペクトルデータは以下のとおり。
【0049】
実施例14,15の生成物: 1H NMR (CDCl3, 400MHz) δ 1.67 (d, J=6.8Hz, 3H), 6.15 (q, J=6.8Hz, 1H), 7.16 (t, J=8.3Hz, 2H), 7.45 (t, J=7.6Hz, 2H), 7.58 (t, J=7.6Hz,1H), 8.00-8.09 (m, 4H).
【0050】
実施例16,17の生成物: 1H NMR (CDCl3, 300MHz) δ 1.66 (d, J=6.9Hz, 3H), 6.13 (q, J=6.9, 1H), 7.43-7.48 (m, 4H), 7.59 (t, J=7.3Hz, 1H), 7.95 (d, J=7.3Hz, 2H), 8.08 (d, J=6.8Hz, 2H).
【0051】
実施例18,19の生成物: 1H NMR (CDCl3, 400MHz) δ 1.66 (d, J=6.9Hz, 3H), 6.12 (q, J=6.9Hz, 1H), 7.45 (t, J=7.8Hz, 2H), 7.59 (t, J=7.8Hz, 1H), 7.63 (t, J=8.7Hz, 2H), 7.87 (d, J=8.7Hz, 2H), 8.08 (d, J=7.8Hz, 2H).
【0052】
実施例20,21の生成物: 1H NMR (CDCl3, 400MHz) δ 1.71 (d, J=6.8Hz, 3H), 6.24 (q, J=6.8Hz, 1H), 7.39-7.50 (m, 5H), 7.56-7.64 (m, 3H), 7.71 (d, J=8.7Hz, 2H), 8.07-8.12 (m, 4H); 13C NMR (CDCl3, 100MHz) δ 17.2, 71.9, 127.3 (2C), 127.4 (2C), 128.3, 128.4 (2C), 128.9 (2C), 129.1 (2C), 129.5, 129.9 (2C), 133.1, 133.3, 139.7, 146.2, 166.0, 196.2.
【0053】
実施例22の生成物: 1H NMR (CDCl3, 400MHz) δ 1.66 (d, J=6.9Hz, 3H), 2.42 (s,3H), 6.20 (q, J=6.9Hz, 1H), 7.29 (d, J=8.2Hz, 2H), 7.47 (t, J=7.3Hz, 2H), 7.58 (d, J=7.3Hz, 1H), 7.91 (d, J=8.2Hz, 2H), 8.10 (d, J=7.3Hz, 2H).
【0054】
実施例23,24の生成物: 1H NMR (CDCl3, 400MHz) δ 1.67 (d, J=6.9Hz, 3H), 3.88 (s, 3H), 6.18 (q, J=6.9Hz, 1H), 6.96 (d, J=8.7Hz, 2H), 7.45 (t, J=7.6Hz, 2H),7.57 (t, J=7.6Hz, 1H), 8.00 (d, J=8.7Hz, 2H), 8.10 (d, J=7.6Hz, 2H).
【0055】
実施例25の生成物: 1H NMR (CDCl3, 400MHz) δ 1.68 (d, J=6.9Hz, 3H), 2.41 (s,3H), 6.19 (q, J=6.9Hz, 1H), 7.23-7.26 (m, 2H), 7.48 (t, J=7.3Hz, 2H), 7.59 (t, J=7.3Hz, 1H), 7.95-8.01 (m, 4H).
【0056】
実施例26の生成物: 1H NMR (CDCl3, 400MHz) δ 1.71 (d, J=6.9Hz, 3H), 6.25 (q,J=6.9Hz, 1H), 7.52 (t, J=7.3Hz, 2H), 7.63 (t, J=7.3Hz, 1H), 8.00 (d, J=8.7Hz, 1H), 8.26-8.31 (m, 4H).
【0057】
実施例27の生成物: 1H NMR (CDCl3, 400MHz) δ 1.76 (d, J=6.9Hz, 3H), 4.01 (s,3H), 6.40 (q, J=6.9Hz, 1H), 7.07 (s, 1H), 7.21 (s, 1H), 7.45 (t, J=7.8Hz, 2H), 7.58 (t, J=7.8Hz, 1H), 8.12 (d, J=7.8Hz, 2H).
【0058】
実施例28の生成物: 1H NMR (CDCl3, 400MHz) δ 1.78 (d, J=7.3Hz, 3H), 6.41 (q,J=7.3Hz, 1H), 7.14-7.50 (m, 10H), 8.06 (d, J=7.3Hz, 2H).
【0059】
実施例29,30の生成物: 1H NMR (CDCl3, 400MHz) δ 1.52 (d, J=6.9Hz, 3H), 2.14 (s, 3H), 5.89 (q, J=6.9Hz, 1H), 7.45 (dt, J=2.3, 8.7Hz, 2H), 7.88 (dt, J=2.3,8.7Hz, 2H).
【0060】
実施例31の生成物: 1H NMR (CDCl3, 400MHz) δ 0.96 (t, J=7.3Hz, 3H), 1.51 (d, J=7.3Hz, 3H), 1.62-1.72 (m, 2H), 2.38 (dt, J=2.3, 7.3Hz, 2H), 5.90 (q, J=7.3Hz, 1H), 7.45 (d, J=8.7Hz, 2H), 7.88 (d, J=8.7Hz, 2H).
【0061】
実施例32,33の生成物: 1H NMR (CDCl3, 400MHz) δ 1.56 (d, J=7.3Hz, 3H), 5.92 (dd, J=1.4, 10.5Hz, 1H), 5.98 (q, J=6.9Hz, 1H), 6.20 (dd, J=10.5, 17.4Hz, 1H), 6.46 (dd, J=1.4, 17.4Hz, 1H), 7.45 (d, J=8.2Hz, 2H), 7.90 (d, J=8.2Hz, 2H); 13C NMR (CDCl3, 100MHz) δ 16.8, 71.2, 127.4, 129.0 (2C), 129.7 (2C), 131.8, 132.5, 139.8, 165.2, 195.4.
【0062】
実施例34,35の生成物: 1H NMR (CDCl3, 400MHz) δ 1.56 (d, J=6.9Hz, 3H), 1.96 (s, 3H), 5.65 (s, 1H), 5.94 (q, J=6.9Hz, 1H), 6.21 (s, 1H), 7.45 (d, J=8.2Hz,2H), 7.90 (d, J=8.2Hz, 2H); 13C NMR (CDCl3, 100MHz) δ 16.8, 18.0, 71.4, 126.5,128.9 (2C), 129.7 (2C), 132.6, 135.3, 139.8, 166.5, 195.6.
【0063】
実施例36,37の生成物: 1H NMR (CDCl3, 400MHz) δ 1.00 (t, J=7.3Hz, 3H), 1.53-1.63 (m, 2H), 1.96-2.02 (m, 2H), 6.12 (dd, J=5.0, 7.8Hz, 1H), 7.44-7.51 (m, 4H), 7.56-7.62 (m, 2H), 8.05 (d, J=8.7Hz, 2H), 8.10 (d, J=7.3Hz, 2H).
【0064】
実施例38の生成物: 1H NMR (CDCl3, 400MHz) δ 2.43-2.48 (m, 2H), 3.74-3.86 (m, 2H), 6.38 (t, J=6.4Hz, 1H), 7.44-7.54 (m, 4H), 7.58-7.64 (m, 2H), 8.04 (d, J=7.3Hz, 2H), 8.09 (d, J=7.3Hz, 2H); 13C NMR (CDCl3, 100MHz) δ34.1, 40.6, 72.3, 128.3 (2C), 128.4 (2C), 128.8 (2C), 129.0, 129.7 (2C), 133.4, 133.8, 134.0, 165.7,1952.
【0065】
実施例39の生成物: 1H NMR (CDCl3, 400MHz) δ 0.97 (s, 9H), 1.4-1.50 (m, 1H),1.69-1.82 (m, 2H), 2.13-2.18 (m, 1H), 2.42-2.58 (m, 3H), 5.45 (dd, J=6.4, 11.9Hz, 1H), 7.48 (t, J=8.2Hz, 2H), 7.57 (t, J=8.2Hz, 1H), 8.09 (d, J=8.2Hz, 2H).
【0066】
実施例40の生成物(ケトエノール互変異性体との混合物): 1H NMR (CDCl3, 400MHz) δ 2.07 (s, 3H, enol), 2.41 (s, 3H, ketone), 5.73 (s, 1H, ketone), 7.48-7.54 (m, 2H), 7.62-7.68 (m, 1H), 8.12 (dd, J=0.9, 8.3Hz, ketone), 8.19 (dd, J=0.9, 8.3Hz, enol).
【0067】
実施例41の生成物: 1H NMR (CDCl3, 400MHz) δ 3.88 (s, 6H), 5.81 (s, 1H), 7.48 (t, J=7.8Hz, 2H), 7.62 (t, J=7.8Hz, 1H), 8.15 (d, J=7.8Hz, 2H).
【0068】
実施例42の生成物: 1H NMR (CDCl3, 400MHz) δ 3.20 (dd, J=8.2, 14.7Hz, 1H), 3.30 (dd, J=4.6, 14.7Hz, 1H), 5.43 (dd, J=4.6, 8.2Hz, 1H), 7.23-7.34 (m, 5H), 7.45 (t, J=7.3Hz, 2H), 7.60 (t, J=7.3Hz, 1H), 8.03 (d, J=7.3Hz, 2H), 9.67 (s,1H); 13C NMR (CDCl3, 100MHz) δ 35.1, 79.0, 127.0, 128.4 (2C), 128.5 (2C), 128.9, 129.3 (2C), 129.6 (2C), 133.4, 135.3, 165.8, 198.0.
【0069】
[実施例43~50]
カルボニル化合物とカルボン酸との分子間酸化的カップリング反応を種々検討した。ここでは、表5に示す生成物が得られるようなカルボニル化合物R1C(=O)CH22とカルボン酸R3CO2Hとを用いて、表5に示す反応条件で実施例1に準じて反応を行った。その結果を表5に示す。酸化剤の当量や収率は、ケトン及びカルボン酸のうちモル数の少ない方を基準として計算した。
【0070】
実施例43,44のように、カルボニル化合物としてヘテロ環を持つケトン、カルボン酸として安息香酸を用いた場合でも、効率よく反応が進行した。また、実施例45,46のように、カルボニル化合物として1,3-ジケトンや1,3-ケトエステル、カルボン酸として安息香酸を用いた場合でも、効率よく反応が進行した。また、実施例47~50のように、カルボニル化合物としてプロピオフェノン、カルボン酸としてアクリル酸又はメタクリル酸を用いた場合でも、実施例32~35と同様、アクリル酸又はメタクリル酸の不飽和結合が酸化されたり、アクリル酸又はメタクリル酸の重合反応が進行したりすることなく、分子間酸化的カップリング反応が選択的に効率よく進行した。
【0071】
【表5】
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【0072】
実施例43~50で得られた生成物のスペクトルデータは以下のとおり。
【0073】
実施例43の生成物:TLC, Rf = 0.25 (hexane-EtOAc = 4:1); IR (neat) 3060, 1710, 1451, 1272, 1117, 976 cm-1; 1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ 1.75 (d, J = 7.4 Hz, 3H), 6.65 (q, J = 7.4 Hz, 1H), 7.43-7.49 (m, 2H), 7.52 (ddd, J = 1.4, 4.6, 7.8 Hz, 1H), 7.55-7.61 (m, 1H), 7.87 (dt, J = 1.8, 7.8 Hz, 1H), 8.08-8.14 (m, 3H), 8.71-8.74 (m, 1H); 13C NMR (CDCl3, 100 MHz) δ 16.9, 72.1, 122.7, 127.6, 128.3, 129.6, 129.8, 133.1, 137.0, 148.9, 151.3, 166.0, 197.2; HRMS (FAB+) m/z calcd for C15H14NO3 (M+H) 256.0974, found 256.0977.
【0074】
実施例44の生成物:TLC, Rf = 0.29 (hexane-EtOAc = 4:1); IR (CHCl3) 3020, 1719, 1674, 1415, 1271, 1115 cm-1; 1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ 1.72 (d, J = 7.0 Hz, 3H), 5.97 (q, J = 7.0 Hz, 1H), 7.16 (dd, J = 4.0, 5.0 Hz, 1H), 7.44-7.49 (m, 2H), 7.56-7.62 (m, 1H), 7.70 (dd, J = 1.4, 5.0 Hz, 1H), 7.88 (dd, J = 1.4, 4.0 Hz, 1H), 8.09-8.13 (m, 2H); 13C NMR (CDCl3, 100 MHz) δ 17.5, 72.7, 128.1, 128.2, 129.1, 129.6, 132.6, 133.2, 134.4, 140.2, 165.6, 189.4; HRMS (FAB+) m/z calcd for C14H13O3S (M+H) 261.0585, found 261.0582.
【0075】
実施例45の生成物:TLC, Rf = 0.34 (hexane-EtOAc = 4:1); IR (neat) 3060, 1727, 1691, 1450, 1275, 1115 cm-1; 1H NMR (keto and enol tautomers, CDCl3, 400 MHz) δ 2.20 (s, 3H, enol), 2.41 (s, 3H, keto), 6.49 (s, 1H, keto), 7.30-7.35 (m, 2H, enol), 7.37-7.42 (m, 1H, enol), 7.45-7.55 (m, 4H, keto; 2H, enol), 7.60-7.67 (m, 2H, keto and enol), 7.77-7.81 (m, 2H, enol), 8.07-8.13 (m, 4H, keto, 2H, enol), 15.24 (s, 1H, enol); 13C NMR (keto and enol tautomers, CDCl3, 100 MHz) δ 22.3, 26.9, 82.3, 127.3, 128.0, 128.2, 128.4, 128.5, 128.7, 129.4, 129.9, 130.0, 131.4, 133.0, 133.8, 133.9, 134.1, 134.2, 164.8, 165.0, 175.0, 190.8, 191.7, 199.5; HRMS (FAB+) m/z calcd for C17H15O4 (M+H) 283.0970, found 283.0966.
【0076】
実施例46の生成物:TLC, Rf = 0.37 (hexane-EtOAc = 4:1); 1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ 1.52 (s, 9H), 2.43 (s, 3H), 5.63 (s, 1H), 7.45-7.51 (m, 2H), 7.59-7.64 (m, 1H), 8.11-8.16 (m, 2H); 13C NMR (CDCl3, 100 MHz) δ 27.3, 27.7, 78.5, 83.9, 128.4, 128.5, 129.9, 133.7, 163.2, 165.0, 197.8.
【0077】
実施例47,48の生成物:TLC, Rf = 0.37 (hexane-EtOAc = 4:1); IR (neat) 2990, 1726, 1698, 1408, 1196, 971 cm-1; 1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ 1.58 (d, J = 6.9 Hz, 3H), 5.90 (dd, J = 1.4, 10.4 Hz, 1H), 6.06 (q, J = 6.9 Hz, 1H), 6.22 (dd, J = 10.4, 17.4 Hz, 1H), 6.22 (dd, J = 1.4, 17.4 Hz, 1H), 7.46-7.52 (m, 2H), 7.57-7.63 (m, 1H), 7.94-7.98 (m, 2H); 13C NMR (CDCl3, 100 MHz) δ 17.0, 71.4, 127.6, 128.4, 128.7, 131.8, 133.5, 134.2, 165.3, 196.6; HRMS (FAB+) m/z calcd for C12H13O3 (M+H) 205.0865, found 205.0864.
【0078】
実施例49,50の生成物:TLC, Rf = 0.29 (hexane-EtOAc = 8:1); IR (neat) 2988, 1719, 1698, 1450, 1166, 971 cm-1; 1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ 1.58 (d, J = 6.8 Hz, 3H), 1.97 (s, 3H), 5.64 (s, 1H), 6.01 (q, J = 6.8 Hz, 1H), 6.22 (s, 1H), 7.46-7.51 (m, 2H), 7.57-7.62 (m, 1H), 7.94-7.98 (m, 2H); 13C NMR (CDCl3, 100 MHz) δ 17.0, 18.1, 71.5, 126.4, 128.3, 128.6, 133.4, 134.3, 135.5, 166.6, 196.8; HRMS (FAB+) m/z calcd for C13H15O3 (M+H) 219.1021, found 219.1018
【0079】
[実施例51~61]
アルデヒドとカルボン酸との分子間酸化的カップリング反応を、表6に示す反応式及び反応条件で、反応温度を50℃にし、実施例1に準じて行った。その結果を表6に示す。なお、表6の反応式の「EtOAc(0.2M)」は、酢酸エチルの体積あたりのアルデヒドのモル数を表す。また、主たる副生物はセルフアルドール縮合生成物と酸化的脱水素化生成物(3-フェニル-2-ペンテナール)であった。
【0080】
カルボン酸として酢酸を用いた場合、実施例51のように、アミンを添加しなかった例では、30時間反応後の目的物の収率と副生物の収率はそれぞれ60%、約20%であった。これに対して、ピロリジン(実施例52~54)やピペリジン(実施例55~57)を添加したところ、目的物の収率が向上し、副生物の生成が抑制される傾向が見られた。副生物の生成を抑制する効果は、添加量がアルデヒドに対して2~5当量、特に2当量のときに顕著に現れた。添加物として2,2,6,6,-テトラメチルピペリジン(実施例58)やモルフォリン(実施例59)をアルデヒドに対して2当量添加した場合にも、副生物の生成を抑制する効果が見られた。なお、実施例58では目的物の収率が落ちているように見えるが、副生物が少ないことから、反応時間を長くすれば目的物の収率が向上すると予測される。実施例52~59では2級アミンを添加物として用いたが、実施例60では1級アミンを添加物として用いた。この場合にも、2級アミンと同様の傾向が見られたが、効果は2級アミンの方が高かった。
【0081】
カルボン酸として安息香酸を用いた場合、前出の実施例42のように、アミンを添加しなかった例では、20時間反応後の収率は67%であり、副生物は多数存在していた。これに対して、ピペリジンを添加したところ(実施例61)、目的物の収率が94%と劇的に向上し、副生物の生成も大きく抑制された。また、単離収率も89%と高かった。
【0082】
【表6】
JP0005770160B2_000010t.gif

【0083】
実施例51~60で得られた目的物のスペクトルデータは以下の通り。
【0084】
実施例51~60の目的物:TLC, Rf = 0.46 (hexane-EtOAc = 1:1); IR (neat) 3020, 1739, 1373, 1216 1033 cm-1; 1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ 2.13 (s, 3H), 3.02 (dd, J = 8.7, 14.6 Hz, 1H), 3.18 (dd, J = 4.8, 14.6 Hz, 1H), 5.23 (dd, J = 4.8, 8.7 Hz, 1H), 7.18-7.35 (m, 5H), 9.56 (s, 1H); 13C NMR (CDCl3, 100 MHz) δ 20.6, 35.0, 78.6, 127.1, 128.6, 129.3, 135.4, 170.4, 198.0; HRMS (FAB+) m/z calcd for C11H13O3 (M+H) 193.0865, found 193.0868.
【0085】
[実施例62~72]
アルデヒドとカルボン酸との分子間酸化的カップリング反応を、添加物としてピペリジンを用いて行った。すなわち、表7に示す生成物が得られるようなアルデヒドR1CH2CH2CHOとカルボン酸R2CO2Hとを用いて、ピペリジン存在下、表7に示す反応条件で、実施例1に準じて反応を行った。その結果を表7に示す。
【0086】
実施例62~72のように、カルボニル化合物として種々のアルデヒドを用いた場合でも、効率よく反応が進行した。このうち、実施例62,63のように、カルボン酸としてアクリル酸又はメタクリル酸を用いた場合でも、実施例32~35,47~50と同様、アクリル酸又はメタクリル酸の不飽和結合が酸化されたり、アクリル酸又はメタクリル酸の重合反応が進行したりすることなく、分子間酸化的カップリング反応が選択的に効率よく進行した。
【0087】
【表7】
JP0005770160B2_000011t.gif

【0088】
実施例62~72で得られた生成物のスペクトルデータは以下のとおり。
【0089】
実施例62の生成物:TLC, Rf = 0.47 (hexane-EtOAc = 1:1); IR (neat) 3032, 2925, 1726, 1408, 1269, 1187, 1073 cm-1; 1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ 3.09 (dd, J = 8.4, 14.7 Hz, 1H), 3.22 (dd, J = 4.5, 14.7 Hz, 1H), 5.29 (dd, J = 4.5, 8.4 Hz, 1H), 5.92 (dd, J = 0.9, 10.4 Hz, 1H), 6.18 (dd, J = 10.4, 17.4 Hz, 1H), 6.46 (dd, J = 1.4, 17.4 Hz, 1H), 7.20-7.34 (m, 5H), 9.58 (s, 1H); 13C NMR (CDCl3, 100 MHz) δ 35.1, 78.7, 127.1, 127.2, 128.6, 129.3, 132.4, 135.3, 165.4, 198.0; HRMS (FAB+) m/z calcd for C12H13O3 (M+H) 205.0865, found 205.0865.
【0090】
実施例63の生成物:TLC, Rf = 0.50 (hexane-EtOAc = 1:1); IR (neat) 2927, 1740, 1719, 1455, 1295, 1163 cm-1; 1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ 1.95 (s, 3H), 3.09 (dd, J = 8.6, 14.7 Hz, 1H), 3.21 (dd, J = 4.8, 14.7 Hz, 1H), 5.23 (ddd, J = 0.9, 4.8, 8.6 Hz, 1H), 5.65 (t, J = 1.4 Hz, 1H), 6.18 (t, J = 1.4, Hz, 1H), 7.20-7.34 (m, 5H), 9.58 (d, J = 0.9 Hz, 1H); 13C NMR (CDCl3, 100 MHz) δ 18.1, 35.2, 78.9, 127.1, 128.6, 129.4, 135.2, 135.4, 166.7, 198.3; HRMS (FAB+) m/z calcd for C13H15O3 (M+H) 219.1021, found 219.1020.
【0091】
実施例64の生成物:TLC, Rf = 0.37 (hexane-EtOAc = 4:1); IR (neat) 2960, 2930, 2861, 1722, 1452, 1273, 1112 cm-1; 1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ 0.90 (t, J = 6.9 Hz, 3H), 1.26-1.42 (m, 4H), 1.46-1.57 (m, 2H), 1.78-2.01 (m, 2H), 5.22 (dd, J = 5.1, 8.2 Hz, 1H), 7.46-7.51 (m, 2H), 7.59-7.64 (m, 1H), 8.08-8.12 (m, 2H), 9.64 (s, 1H); 13C NMR (CDCl3, 100 MHz) δ 13.9, 22.3, 24.6, 28.7, 31.3, 78.7, 128.4, 129.1, 129.7, 133.4, 166.1, 198.5; HRMS (FAB+) m/z calcd for C14H19O3 (M+H) 235.1334, found 235.1333.
【0092】
実施例65の生成物: TLC, Rf = 0.34 (hexane-EtOAc = 4:1); IR (neat) 2935, 2860, 1740, 1720, 1452, 1272, 1114 cm-1; 1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ 1.51-1.60 (m, 2H), 1.66-1.76 (m, 2H), 1.87-2.04 (m, 2H), 2.64 (t, J = 7.8 Hz, 2H), 5.21 (dd, J = 5.0, 8.2 Hz, 1H), 7.15-7.20 (m, 3H), 7.24-7.30 (m, 2H), 7.45-7.51 (m, 2H), 7.59-7.64 (m, 1H), 8.06-8.10 (m, 2H), 9.63 (s, 1H); 13C NMR (CDCl3, 100 MHz) δ 24.4, 28.6, 30.9, 35.4, 78.5, 125.7, 128.2, 128.3, 128.4, 129.0, 129.7, 133.4, 141.9, 166.0, 198.4; HRMS (FAB+) m/z calcd for C19H21O3 (M+H) 297.1491, found 297.1496.
【0093】
実施例66の生成物:. TLC, Rf = 0.47 (hexane-EtOAc = 1:1); IR (neat) 2979, 1726, 1452, 1273, 1176, 1115 cm-1; 1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ 1.26 (t, J = 6.9 Hz, 3H), 1.82-2.08 (m, 4H), 2.40 (t, J = 7.3 Hz, 2H), 4.14 (q, J = 6.9 Hz, 2H), 5.24 (dd, J = 4.6, 8.7 Hz, 1H), 7.46-7.52 (m, 2H), 7.59-7.64 (m, 1H), 8.09-8.14 (m, 2H), 9.65 (s, 1H); 13C NMR (CDCl3, 100 MHz) δ 14.1, 20.4, 28.2, 33.6, 60.4, 78.3, 128.5, 129.0, 129.8, 133.6, 166.0, 172.8, 198.1; HRMS (FAB+) m/z calcd for C15H19O5 (M+H) 279.1232, found 279.1232.
【0094】
実施例67の生成物:TLC, Rf = 0.32 (hexane-EtOAc = 1:1); IR (neat) 2934, 2863, 1720, 1453, 1272, 1113, 1027 cm-1; 1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ 1.57-1.75 (m, 4H), 1.86-2.04 (m, 2H), 3.49 (t, J = 6.4 Hz, 2H), 4.49 (s, 2H), 5.22 (dd, J = 4.4, 8.2 Hz, 1H), 7.23-7.36 (m, 5H), 7.44-7.50 (m, 2H), 7.58-7.63 (m, 1H), 8.08-8.12 (m, 2H), 9.62 (s, 1H); 13C NMR (CDCl3, 100 MHz) δ 21.8, 28.6, 29.3, 69.6, 72.8, 78.6, 127.4, 127.5, 128.3, 128.4, 129.0, 129.8, 133.5, 138.3, 166.0, 198.3; HRMS (FAB+) m/z calcd for C20H23O4 (M+H) 327.1596, found 327.1597.
【0095】
実施例68の生成物:TLC, Rf = 0.40 (hexane-EtOAc = 4:1); IR (neat) 2930, 2857, 1740, 1723, 1269, 1098 cm-1; 1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ 0.04 (s, 6H), 0.88 (s, 9H), 1.33-1.45 (m, 4H), 1.48-1.56 (m, 4H), 1.85-2.00 (m, 2H), 3.60 (t, J = 6.4 Hz, 2H), 5.22 (dd, J = 4.6, 8.2 Hz, 1H), 7.46-7.51 (m, 2H), 7.59-7.64 (m, 1H), 8.08-8.12 (m, 2H), 9.64 (s, 1H); 13C NMR (CDCl3, 100 MHz) δ -5.36, 18.3, 24.9, 25.5, 25.9, 28.7, 29.0, 32.6, 63.0, 78.7, 128.4, 129.1, 129.7, 133.4, 166.0, 198.4; HRMS (FAB+) m/z calcd for C21H35O4Si (M+H) 379.2305, found 379.2311.
【0096】
実施例69の生成物:TLC, Rf = 0.45 (hexane-EtOAc = 1:1); IR (neat) 2934, 1721, 1452, 1271, 1112, 1044 cm-1; 1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ 1.30-1.45 (m, 4H), 1.45-1.70 (m, 4H), 1.86-2.02 (m, 2H), 3.35 (s, 3H), 3.52 (t, J = 6.4 Hz, 2H), 4.61 (s, 2H), 5.22 (dd, J = 5.0, 8.2 Hz, 1H), 7.46-7.52 (m, 2H), 7.59-7.64 (m, 1H), 8.09-8.12 (m, 2H), 9.64 (s, 1H); 13C NMR (CDCl3, 100 MHz) δ 24.9, 25.9, 28.7, 29.0, 29.5, 55.0, 67.5, 78.6, 96.3, 128.4, 129.0, 129.7, 133.5, 166.0, 198.4; HRMS (FAB+) m/z calcd for C17H25O5 (M+H) 309.1702, found 309.1711.
【0097】
実施例70の生成物:TLC, Rf = 0.56 (hexane-EtOAc = 4:1); IR (neat) 2936, 1740, 1720, 1452, 1272, 1114 cm-1; 1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ 1.35-1.58 (m, 6H), 1.74-1.82 (m, 2H), 1.86-2.02 (m, 2H), 3.53 (t, J = 6.9 Hz, 2H), 5.23 (dd, J = 4.2, 8.2 Hz, 1H), 7.46-7.52 (m, 2H), 7.59-7.65 (m, 1H), 8.09-8.12 (m, 2H), 9.65 (s, 1H); 13C NMR (CDCl3, 100 MHz) δ 24.8, 26.5, 28.5, 28.7, 32.3, 44.9, 78.6, 128.5, 129.0, 129.8, 133.5, 166.1, 198.5; HRMS (FAB+) m/z calcd for C15H20ClO3 (M+H) 283.1101, found 283.1100.
【0098】
実施例71の生成物:TLC, Rf = 0.40 (hexane-EtOAc = 4:1); IR (neat) 2927, 2855, 1740, 1722, 1452, 1271, 1113 cm-1; 1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ 1.25-1.41 (m, 8H), 1.47-1.55 (m, 2H), 1.85-1.98 (m, 2H), 2.00-2.07 (m, 2H), 4.89-5.02 (m. 2H), 5.22 (dd, J = 4.6, 8.2 Hz, 1H), 5.80 (tdd, J = 6.4, 10.1, 17.0 Hz, 1H), 7.46-7.52 (m, 2H), 7.59-7.64 (m, 1H), 8.09-8.13 (m, 2H), 9.64 (d, J = 0.9 Hz, 1H); 13C NMR (CDCl3, 100 MHz) δ 24.9, 28.7, 28.8, 28.9, 29.1, 29.2, 33.7, 78.7, 114.2, 128.5, 129.1, 129.8, 133.5, 139.0, 166.1, 198.6; HRMS (FAB+) m/z calcd for C18H25O3 (M+H) 289.1804, found 289.1801.
【0099】
実施例72の生成物:TLC, Rf = 0.43 (hexane-EtOAc = 4:1); IR (neat) 2925, 2854, 1740, 1724, 1453, 1270, 1112 cm-1; 1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ 0.88 (t, J = 6.8 Hz, 3H), 1.18-1.43 (m, 18H), 1.46-1.56 (m, 2H), 1.85-2.07 (m, 6H), 5.22 (dd, J = 5.0, 8.2 Hz, 1H), 5.29-5.39 (m, 2H), 7.46-7.52 (m, 2H), 7.59-7.64 (m, 1H), 8.09-8.12 (m, 2H), 9.64 (s, 1H); 13C NMR (CDCl3, 100 MHz) δ 14.1, 22.6, 24.9, 27.0, 27.1, 28.8, 28.9, 29.1, 29.2, 29.4, 29.5, 29.6, 29.7, 31.8, 78.7, 128.4, 129.1, 129.5, 129.8, 130.0, 133.4, 166.0, 198.4; HRMS (FAB+) m/z calcd for C25H39O3 (M+H) 387.2899, found 387.2900.
【0100】
[実施例73~77]
プロピオフェノンと安息香酸との分子間酸化的カップリング反応を、酸化剤としてTBHP(デカン溶液)、溶媒として酢酸エチルを用いて行ったときの基質濃度について検討した。実験手順は実施例1に準じて行った。表8にその結果を示す。なお、基質濃度は、酢酸エチルの体積あたりのプロピオフェノンのモル数を表す。表8から明らかなように、基質濃度にかかわらず、反応は効率よく進行した(実施例73~76)。また、酢酸エチルを用いなかった場合でも、反応は効率よく進行した(実施例77)。
【0101】
【表8】
JP0005770160B2_000012t.gif

【0102】
[実施例78~82]
カルボニル化合物とカルボン酸との分子間酸化的カップリング反応を種々検討した。すなわち、表9に示す生成物が得られるようなケトンR1C(=O)CH22とカルボン酸(メタクリル酸又は安息香酸)とを用いて、表9に示す反応条件で、実施例1に準じて反応を行った。その結果を表9に示す。
【0103】
【表9】
JP0005770160B2_000013t.gif

【0104】
表9の生成物のスペクトルデータは以下のとおり。
【0105】
実施例78の生成物:1H NMR (CDCl3, 300 MHz) δ 1.98 (s, 3H), 2.53-2.59 (m, 1H), 2.75-2.83 (m, 1H), 3.60-3.73 (m, 2H), 4.26-4.32 (m, 1H), 4.33-4.40 (m, 1H), 5.28 (dd, J = 7.1, 10.6 Hz, 1H), 5.67 (s, 1H), 6.20 (s, 1H).
【0106】
実施例79の生成物:TLC, Rf = 0.33 (hexane-EtOAc = 4:1); 1H NMR (CDCl3, 300 MHz) δ 1.99 (s, 3H), 3.10 (dd, J = 4.8, 17.4 Hz, 1H), 3.67 (dd, J = 7.0, 17.4 Hz, 1H), 5.43 (dd, J = 4.8, 8.0 Hz, 1H), 5.67 (s, 1H), 6.22 (s, 1H), 7.55-7.60 (m, 1H), 7.64-7.70 (m, 2H).
【0107】
実施例80の生成物:Rf = 0.30 (hexane-EtOAc = 4:1); 1H NMR (CDCl3, 300 MHz) δ 2.03 (s, 3H), 2.29-2.41(m,1H), 2.41-2.49 (m, 1H), 3.07-3.15 (m, 1H), 3.19-3.30 (m, 1H), 5.62 (dd, J = 5.0, 13.2 Hz, 1H), 5.67 (s, 1H), 6.26 (s, 1H), 7.25-7.31 (m, 1H), 7.31-7.37 (m, 1H), 7.49-7.55 (m, 1H), 8.01-8.06 (m, 1H).
【0108】
実施例81の生成物:Rf = 0.32 (hexane-EtOAc = 4:1); 1H NMR (CDCl3, 300 MHz) δ 2.38-2.51 (m, 1H), 2.51-2.59 (m, 1H), 3.11-3.20 (m, 1H), 3.26-3.35 (m, 1H), 5.81 (dd, J = 5.0, 13.3 Hz, 1H), 7.28-7.33 (m, 1H), 7.33-7.39 (m, 1H), 7.44-7.50 (m, 2H), 7.50-7.57 (m, 1H), 7.57-7.62 (m, 1H), 8.06 (dd, J = 0.9, 7.8 Hz, 1H), 8.13-8.18 (m, 2H).
【0109】
実施例82の生成物:TLC, Rf = 0.45 (hexane-EtOAc = 4:1); 1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ 2.00 (s, 3H), 5.67 (s, 1H), 6.22 (s, 1H), 6.90 (s, 1H), 7.33-7.45 (m, 5H), 7.46-7.56 (m, 3H), 7.93-7.99 (m, 2H); 13C NMR (CDCl3, 100 MHz) δ 18.2, 77.6, 126.9, 128.5, 128.6, 128.7, 129.0, 129.2, 133.4, 133.6, 134.6, 135.4, 166.7, 193.8.
【0110】
[実施例83~87]
4-ter-ブチルシクロヘキサノンとメタクリル酸との分子間酸化的カップリング反応を種々検討した。すなわち、表10に示す反応条件で、実施例1に準じて反応を行った。その結果を表10に示す。この反応では、モノアシロキシ体とジアシロキシ体のほか、未同定の副生物が得られた。モノアシロキシ体とジアシロキシ体は、両方とも単一なジアステレオマー(全ての置換基がエクアトリアル)であった。
【0111】
【表10】
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【0112】
実施例83~87で得られた生成物のスペクトルデータは以下のとおり。
【0113】
モノアシロキシ体:Rf = 0.26 (hexane-EtOAc = 8:1); 1H NMR (CDCl3, 300 MHz) δ 0.95 (s, 9H), 1.39-1.52 (m, 1H), 1.58-1.78 (m, 2H), 1.98 (s, 3H), 2.08-2.17 (m, 1H), 2.32-2.39 (m, 1H), 2.44 (ddd, J = 0.9, 6.0, 14.0 Hz, 1H), 2.52 (ddd, J = 2.7, 4.6, 14.0 Hz, 1H), 5.28 (dd, J = 6.4, 12.4 Hz, 1H), 5.63 (s, 1H), 6.21 (s, 1H); 13C NMR (CDCl3, 100 MHz) d 18.3, 27.6, 28.0, 32.4, 34.1, 39.5, 45.8, 76.2, 126.2, 135.7, 166.3, 204.8.
【0114】
ジアシロキシ体:Rf = 0.24 (hexane-EtOAc = 8:1); 1H NMR (CDCl3, 300 MHz) δ 0.98 (s, 9H), 1.61-1.71 (m, 2H), 1.78-1.89 (m, 1H), 1.97 (s, 6H), 2.35-2.44 (m, 2H), 5.39 (dd, J = 6.0, 12.8 Hz, 2H), 5.63 (s, 2H), 6.22 (s, 2H); 13C NMR (CDCl3, 100 MHz) d 18.2, 27.5, 32.4, 33.9, 41.5, 74.8, 166.0, 198.9.
【0115】
[実施例88~90]
分子間酸化的カップリング反応に用いる酸化剤の種類について検討した。その結果を表11に示す。実施例88,89は、プロピオフェノンとメタクリル酸との反応を、それぞれ過酸化水素水、クメンヒドロペルオキシドを酸化剤として用いた例である。表11で酸化剤の「%」は質量%である。参考までに、同様の反応をTBHPを酸化剤として用いた実施例49の結果も併せて表11に示した。いずれの酸化剤でも、収率の高低は別として、目的物であるα-アシロキシカルボニル化合物が得られた。また、実施例90は、プロピオフェノンと安息香酸との反応をクメンヒドロペルオキシドを酸化剤として用いた例である。参考までに、同様の反応をTBHPを酸化剤として用いた実施例74の結果も併せて表11に示した。この場合も、いずれの酸化剤でも目的物であるα-アシロキシカルボニル化合物が得られた。
【0116】
【表11】
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【0117】
本出願は、2010年3月5日に出願された日本国特許出願第2010-049003号を優先権主張の基礎としており、引用によりその内容全てが本明細書中に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0118】
本発明は、主に薬品化学産業に利用可能である。特に、実施例25~28で得られたα-アクリロキシケトンやα-メタクリロキシケトンを重合させた重合体は、防汚塗料組成物(例えば特開2009-144071参照)やポジ型レジスト材料(例えば特開2009-169406参照)として利用可能である。また、サルビノリンA(Salvinorin A)は、精神病やアルツハイマー病など中枢神経系の疾病治療のリード化合物として注目されているが、α-アセトキシケトン骨格を持つため、本発明の製法を適用すれば、従来より短いステップで最終物を得ることが可能である。